[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.677

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■■ [書評]のメルマガ                2019.05.10.発行
■■                              vol.677
■■ mailmagazine of book reviews      [時代の区切りのお祭り 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。


★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→95 なんども読み返す物語

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第112回 災害と万葉集と歴史と日本人

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→今回はお休みです

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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95 なんども読み返す物語

 誰もが有限の時間で生活している。
 このあたりまえすぎることを、年を重ねるごとに思う。
 生活のために働く時間が一日の大半なため、本を読む時間を捻出するのが、
ことのほか難しい。時間だけでなく、加齢で体力も落ちているのも原因のひと
つ。

 時間がないので、読み返したいと思っても、いままで読んだことのない本を
読みたい欲望が勝ってしまう。

 そんななかでも、タイミングよく再読しているのが『オズの魔法使い』。

 早川文庫から出ている「オズの魔法使い」シリーズは高校生の時に少しずつ
買いそろえて楽しんでいた。それがひょんなことから、仕事にもつながり(復
刊ドットコムからオズシリーズ全15巻の編集)、なんども深く読み返すことに
なる。仕事の参考にと、複数の訳も読み比べもした。どの訳もすばらしく、読

たびに新鮮に面白さく夢中になってしまう。

 そしてまたあらたに訳された本が出たのはうれしい限り。

 『すばらしいオズの魔法使い』
 L・F・ボーム 作 R・イングペン 絵 杉田七重 訳 西村書店

 西村書店のカラー新訳豪華版は、本当に豪華で読みごたえがある。
 既刊の『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』『楽しい川辺』もイング
ペンの挿絵と杉田七重さんの訳で楽んだ。本書も同コンビなので、期待が膨ら
む。
 
 たくさん出ているオズの本の面白さは訳文と共に挿絵の存在も大きい。
 どの本の挿絵も、画家のイマジネーションに唸らされ、ページをぐいぐい繰
る楽しみがある。

 イングペンの絵は、人間味あるドロシーや仲間たちを描き、引きこまれる。
目立って特徴的に描くのではなく、どちらかというと個性をおさえて、存在だ
けを強調する、とでもいおうか。写実的に描かれたドロシーたちは、ファンタ
ジー世界の住人というより、ご近所さんの雰囲気を感じるほどだ。

 杉田さんの訳も質のいい文章で、声に出して読んでも黙読でも、ストーリー
を豊かにイメージできる。

 作者ボームが「ただ面白さを求めて物語を読めばいい」と物語のはじめに書
いているとおり、そして訳者の杉田さんが『すばらしいオズの魔法使い』を読
む体験は「面白さいの極み」とあとがきに書かれているとおり、ふたりの言葉
に大きくうなずく。

 オズシリーズを読んだ人であれば、ぜひとも本書でオズの仲間たちと再会し
て欲しい。

 さて、1900年に書かれた古典ファンタジーを楽しんだあとは、
 現代に描かれた絵本を紹介する。

 『ひみつのビクビク』
 フランチェスカ・サンナ 作 なかがわちひろ 訳 あかつき

 作者のデビュー作『ジャーニー 国境をこえて』(きじとら出版)もこのメ
ルマガで紹介しているが、2作目にあたる本作もよい。

 「わたし」のひみつのともだちビクビクは、いつも「わたし」を守ってくれ
ている。守ってくれているから安心、心地よい、、はず??
 最初は小さかったビクビクが「わたし」を守ってくれるたびに、大きくなっ
ていき、身動きがとれなくなってしまう。
 そんな時、別の子のビクビクと出会い……。

 どの子も心にもっている心配が形になったビクビク。新しい環境では誰もが
抱く気持ちを視覚化し、大丈夫だよと背中を押してくれる存在になっていく様
子が丁寧にやさしく描かれている。

 4月から新しい学校生活がはじまった子どもたちに、寄り添ってくれる絵本。
 

 最後に紹介する絵本はまた古典にもどり、アンデルセンの「おやゆびひめ」。
 松井るり子さんによる再話ですべてひらがなで書かれている。

 『おやゆびひめ』
 アンデルセン 作 カンタン・グレバン 絵 松井るり子 再話
 岩波書店

 カンタン・グレバンの絵はやわらかく雄大。
おやゆびひめの低い視点で描かれていたり、高いところから俯瞰するように描
かれていたりと、視点の動きがダイナミックで面白さい。

 松井さんのやわらかな語り口は、おやゆびひめの、はかない可愛さと、運命
のいたずらで起こるできごとに引きこませ、なんども読みたくなる。

 そう、絵本はなんども読んでこそ面白さいのだ。
 短い時間で豊かに楽しめる絵本は、大人にもオススメ。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第112回 災害と万葉集と歴史と日本人

 新元号が発表された4月1日以降、平成最後の日々であった4月中にすっか
り時の人となった万葉集学者の中西進先生。そして、改元騒動お祭りだったこ
の10連休中、メディアに引っ張りだこだった歴史学者の磯田道史先生。このお
ふたりの対談を新書化した本が本屋で平積みになっていた。

『災害と生きる日本人』(中西進・磯田道史 著)(潮出版)(潮新書)
(2019年3月20日)

 タイトルをみて本書を買ってしまった。執筆子にとっては、まさにこのタイ
トルが8年前からのテーマと云える。さまざまな災害に遭いながらこの島国で
生きていく日本人。災害と隣り合わせに一緒に行き続けなければならない運命
にある日本人。それこそ、わたしたち日本人の特色だと思っている。

 そして話題のふたり。新元号 令和を提案したとされる中西さん。天皇の退位、
平成の終焉、令和の到来、新天皇の即位。この祝祭の日々においてメディアに
出ずっぱりだった磯田さん。このふたりが日本や日本人、日本の歴史について
それぞれの薀蓄を披露し、語り合う。相当にタイムリーな本だと思った。

 さらに、売り方がうまい。本書のタイトルをテーマにおふたりが対談するの
は第1章のみ。2章以降は災害がテーマではない。本書はこの国の歴史をひも
解いて、その中で日本人のものの考え方や行動様式をさぐっている。どうやら
それがテーマなのだが、タイトルは災害に特化している。「災害と生きる日本
人」。このタイトルでは、災害や防災に関心のある人へのアピールとなるし、
話題のふたりの対談本なので、歴史に興味のある人へのセールにもなる。

 第1章「天災と人災の中で」。大地震が起こる。そのあと人々は、震災の後
だから、そのときを震災後、という。しかしこの日本列島に住む私たちは、実
は震災後ではない。地震をはじめあらゆる災害が頻発するこの土地では、災害
後という概念で考えてはいけない。何も起こらず、災害がないときでも実は災
害と災害の間を過ごしている。私たちはそんな「災間」を生きているのだ。こ
のことは肝に命じておかないといけない。またどこかで何かが起こる。今年も
今年も梅雨が始まる。日本列島は6月から10月いっぱいは水害のシーズン。ど
こでどんな形で大雨が降り続くかわからない。土地土地に伝承されたもの、石
碑などがあればそれを大事にして、過去の被害を教訓に対策を立てなければい
けない。

 第2章以降は、災害がテーマではないが、とても興味深い内容となっている。
万葉集で詠われたたくさんの詩から当時の人々の生命感人生観をあぶり出す。
恋と死と生命が主題であり、それが現代の我々とどうつながっているか、また
断絶したものはなにかをさぐる。しかし、話は万葉集だけでは終わらない。古
典と歴史の専門家は日本の歴史を俯瞰していく。

 中西先生によると、日本の歴史を大きく三つに分けて考えるとわかりやすく
なるという。三つの分岐点。第一の切れ目は5世紀。大陸から新しい思想(儒
教)が入ってきた時代。第二は12世紀。武家政権(鎌倉時代)の始まりであり、
日本の仏教が完成したとき。そして三番目の分岐点は近代が始まった19世紀。
19世紀になってやっと、日本にキリスト教が入ることができた。

 本書は歴史を学ぶ手がかりになる。歴史を学ぶためのさまざまな手段を開陳
してくれる。それは宗教や思想、経済問題など多岐にわたる。
 本書は歴史を考えていくためのいいヒントがたくさん詰まった素晴らしい小
品である。

多呂さ(時代の区切りのお祭りは終わりました。新しい時代の新鮮な空気が漂
っているうちに自分の居場所を確保したいと思っています)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 10連休明け、なぜか体調を崩されている方が多いような印象です。休むのに
疲れたのか、働きたくなくなったのか…。

 お子さんたちには素敵なお休みになったことと思います。

 というわけでもないんですが、執筆陣も2人お休みでちょっと寂しい今号と
なりました。(あ)

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