[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.621

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■■ [書評]のメルマガ                 2017.1.10.発行
■■                              vol.621
■■ mailmagazine of book reviews     [タイトルで笑いをとるな 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→野球四コマ、ボブ、そしてくま夫婦

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→シェイクスピア講義(大学の授業風に)

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→『ノッポさんがしゃべった日』高見映 扶桑社文庫

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→初笑い

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<85>野球四コマ、ボブ、そしてくま夫婦

 皆様、あけましておめでとうございます。
 本年もまた、相も変らぬ駄文ではございますが、どうぞよろしく愛想尽かさ
ず、お付き合いのほどをお願い申し上げます。

 しかし、「正月らしさ」というのが、年々歳々薄くなって……というのは、
昨年も一昨年も書いたような覚えがあるのだが、元旦に、近所のスーパーへ普
段通りに買い物行って、また改めて思ってしまったことだった。

 学生時代、バイトの都合でだっけか年末年始を東京で過ごすことになった元
旦の朝。
 飯を食おうと思って外に出たのだが、開いてる店がどこにもなくて、当時は
もちろんコンビニなんてないし、「げげ」と焦りながら電車で新宿まで行くと、
ようやく開いてる喫茶店を見つけて、正月料金でバカ高いスパゲティ(確か、
1500円くらいだった)で一息ついた1977年の記憶が、もはや懐かしい。

 あ、「コンビニがなかった」というのは、正しくないかもしれない。
 あるにはあったのだが、今のようにそこらに掃いて捨てるほどにはなくて、
ぽつぽつとあった店も、「24時間営業」はまだしてなかったと思う。

 友人のTくんの江古田の下宿近くにはその前年、「セブンイレブン」が開店
して、Tくんはこれを「ちっちゃいスーパー」と呼び、「朝7時から晩の11時
まで開いとって、便利やねん」というのが、ちょっと羨ましかった。
 「コンビニエンスストア」という呼称もまた、まだ一般的ではなかった…と
言うよりも、その呼称自体がまだなかったんだっけか?

 以前、上のような話を学生にしたついでに、

 当時のデパートは、全国どこでも閉店時間が夕方の6時で、毎週、たいてい
は水曜か木曜に定休日が設定されていた。

 と話すと、一様に「ウソでしょ」「信じられん」という声が飛んだ。

 今の学生たちには、日本中どこでも、1日24時間稼働しているコンビニがあ
る風景、というのは、生まれたときから既にある「当たり前」の光景であり、
デパートが「年中無休」なのもまた、「当たり前」なのですね。

 もう1年も前ではあるが、京都のコンビニで見た光景が忘れられない。
 それは、2016年も明けて間もない1月の四条烏丸某コンビニでのこと。

 入り口を入ってすぐの新聞スタンドには、各スポーツ紙がそれぞれ見出しを
出した形で陳列されていたのだが、スポニチ、ニッカン、サンスポ、報知の4
紙は一様に一面では、前夜のNHKニュースでも報じられた「スマップ解散(の
噂)」をでかでかと報じていた。

 が、ひとり「デイリー」のみは、「我関せず」とばかり、「正捕手の条件」
「矢野コーチ激白」と、当時就任間もない矢野コーチが語る、春のキャンプで
の課題が一面で、世間でナニが起ころうが、一番重要なことは「タイガース」
という、この新聞の面目躍如。

 周知の通り、春先こそ若手の積極起用で瞬間風速的に「お!」と思わせたタ
イガースだが、夏場以降はずるずると後退。振り返ってみれば、2016年のプロ
野球の話題は、もっぱら広島カープと大谷に終始した感があるとはいえ、その
最中にも決してブレることなくタイガースを追い続けたデイリーの姿勢をこそ、
見倣いたいものである。

 タイガースを語りだすと、またもや脱線しそうなのでこれくらいにするが、
イチローはじめ日本人選手がメジャーリーグでプレーする機会も増え、今や新
聞やテレビのスポーツニュースで彼らの活躍が伝えられるのもまた、当たり前
となった昨今、スポーツニュースを眺めながら、ふと思い出した漫画があった。

 1990年代の半ばに、「ビッグコミックスピリッツ」に連載されていた、パン
チョ近藤・作『ボブとゆかいな仲間たち』である。
 正確に言うと、1994年8月から、翌95年10月まで…というのが、今回取り寄
せた単行本の奥付にあった記載。

 『ボブとゆかいな仲間たち』は、ひと言で言ってしまうと、「メジャーリー
グ版『がんばれ!タブチくん』」だ。

 当時の近鉄バファローズを自由契約となった野茂英雄が、メジャーのロサン
ゼルスドジャースに入団し、その活躍が日本でも華々しく報じられるようにな
ったのが、1995年からその翌年にかけて。

 それまで、アメリカのメジャーリーグというのは、日本人にとって馴染みが
ないどころか、どこか遠いところでやってる「なんだか日本よりもかなり凄い
らしいプロ野球リーグ」という、未知のアンドロメダ星雲のようなSF的存在
だったのを、ぐっと身近に引き寄せたのが野茂英雄だったのだけど、野茂がメ
ジャーリーガーとして頭角を現す前に連載が始まったこの漫画は、いかんせん
登場が早すぎたか、一年とちょっとで連載が終了してしまった。

 実在のプロ野球団や選手をパロディキャラクターとする「野球四コマ」は、
前述のいしいひさいち『がんばれ!タブチくん』のヒットを皮切りに、70年代
後半から80年代にかけて、それこそ雨後の竹の子状態で次から次へと出現し、
その勢いは90年代に入っては増々加速、ついには専門誌まで出現するに至る。

 その中にあって、アメリカのメジャーリーグの架空の球団「ロサンゼルス・
アースクエイクス」を舞台としたこの漫画は、異色中の異色でもあった。

 アースクエイクスは、一応メジャーチームではあるのだが、かなりの弱小チ
ーム。
 その弱小チームの「四番・DH」に座る主人公・ボブ・ホフマンは、「打て
ない、守れない、走れない」の三拍子揃った「迷」選手である。
 そのボブを中心としたアースクエイクスの面々が、メジャーとはとても思え
ないへっぽこ野球を、毎回4ページにわたって繰り広げるのが、この漫画だっ
た。

 連載当時は大した人気もなく、だから1年とちょっとで連載終了と相成った
のだろうが、わしは、この4ページが醸し出す、どうしようもなくぬるくてゆ
るい雰囲気が、なんだかとても好感持てて好きだった。

 当時は書店をやっていたので、毎週月曜に入荷する「スピリッツ」は、梱包
解いたらまずこの漫画を読んでから、棚出ししてたもんです。

 一番大笑いしたので、鮮烈に覚えていたのは、こんなエピソード。

 走者を貯めてしまったところに、リーグ屈指のスラッガーを迎えて、脂汗を
流し怖気づくピッチャー。審判にタイムをかけ、キャッチャーがマウンドに駆
け寄る。

 「ヘイ! 心配すんな。こいつの弱点は俺がしっかり調査済みだ」
 「お、さすが女房役。助かったぜ」
 「ああ、まかせとけ。こいつはな、 100マイルの速球には、からきし弱いん
だ、そいつで行こう!」
 「……」
 「ヘイ! わかったのかい!? 100マイルのストレートだぜ」
 「あ……ああ、わかったよ。わかったけど、その 100マイルを、いったい誰
が投げるんだい?」

 と、覚えていたのだが、今回、懐かしさに駆られて取り寄せた単行本で再読
すると、若干シチュエーションが違っていた。

 さらに、『ボブ』は、2009年から「月刊IKKI」で『ボブとゆかいな仲間たち
2009』として連載が再開され、ここでは、ボブとその仲間たちは、アースクエ
イクスから「ブルドッグシティ・ブルワーズ」に「一対四」の大型トレードで
移籍して、ボブは、へっぽこぶりにさらに磨きをかけて、「併殺打製造機」の
異名も頂戴しているらしい。

 という情報もまた、単行本の巻末の広告で知ったのだけど、わしが取り寄せ
たこの単行本も、連載再開に合わせて復刊されたものだったようだ。

 改めて読み返してみると、リリーフピッチャーが日本プロ野球みたいに「リ
リーフカー」に乗って登場したり、「全米高校野球選手権」があったりと、と
きおりディテールに妙なところも混じるのだが、それもまた含めての、のった
り、まったりが、この漫画の「味」。
 ぬるくてゆるい空気を満喫いたしました。

 「IKKI」は既に休刊となってしまったが、ボブたちのブルワーズでの活躍は、
『ボブとゆかいな仲間たち めざせ!ワールドシリーズ!!』として単行本化さ
れてるそうで、これも取り寄せようと思っている。

 この漫画を思い出し、も一度読み直そうと思ってから調べてわかったのだけ
ど、作者のパンチョ近藤氏は、現在は北海道在住。
 どうやら、「スピリッツ」での連載が終わったあたりから、漫画ではなく別
の仕事に就いて、結婚もされたようだ。
 ところが、結婚生活を続ける中で、ご本人がアスペルガー症候群であったこ
とが判明。

 さらに、奥さんもまた、パンチョ氏がアスペルガーであったがゆえに、「カ
サンドラ症候群」というアスペルガーの配偶者に生じる身体的精神的不調を患
ってしまったのだった。

 以上のことは、その奥さんが、「熊田くまこ」の名で開設したブログで知っ
た。

「クマ夫婦のなんでだろ?」
 http://ameblo.jp/kumada-kumako7/

 ブログには、「くまこ」さんの筆になる四コマ漫画で、夫婦が知り合ってか
ら結婚するまでの経緯や、その後の日常生活が詳しく綴られており、こちらも
また、2007年に幻冬舎から書籍化されている。

 今回、『ボブ』の復刻版とともに、この奥さんの漫画も取り寄せてみた。

 単行本は、熊田くまこではなく「中央ヤンボル」との名義で、タイトルは
『くま夫婦』。

 単行本に収録された漫画は、アスペルガーやカサンドラのエピソードではな
く、夫婦そろってアル中にはまり込んでいく「酒とバラの日々」的日常がメイ
ン……なのだけど、「だ、大丈夫か? おい……」と、ギャグ漫画のはずなの
に、どうにも笑えない、どっちかつーとヒイてしまうようなエピソードが満載
だった。

 単行本の結末では、どうにか夫婦でアル中状態を脱し、仲良く前向きになっ
ているようだが、実際は、好不調の波がその後も続いたろうと思う。
 実際、上記のブログの更新も、昨年の夏から途絶えているようだし。

 決して無理はしてほしくはないが、できるだけ発信し続けて欲しいと思う。
 そして、パンチョ氏の漫画もまた、どこかで続けてほしいと願ってやまない。
 あのぬるさ、ゆるさ、というのは、昨今のウェブマガジンには「ぴったり」
はまると思うのだけど、「ボブその後」、どこかでやってくれないかな。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第85回 シェイクスピア講義(大学の授業風に)

 上智大学の先生でイエズス会の神父でもあるピーター・ミルワード先生の授
業がそのまま本になったような書物が出版された。

 第一部がピーター・ミルワード先生の講義録で、第二部が教え子であり訳者
でもある橋本修一先生のシェイクスピア入門編とも云える教養講座になってい
る本。

『ミルワード先生のシェイクスピア講義』
 (ピーター・ミルワード 著)(橋本修一 訳)
 (フィギュール彩)(彩流社)(2016年)

 ミルワード先生の専門はまさにシェイクスピア。そして本書ではシェイクス
ピアの悲劇に登場するヒロインたちについて考察している。

 第一講 ジュリエット(ロミオとジュリエット)
 第二講 オフィーリア(ハムレット)
 第三講 デズデモーナ(オセロ)
 第四講 マクベス夫人(マクベス)
 第五講 コーデリア(リア王)

 ミルワード先生は、シェイクスピアの悲劇のヒロインたちを“超自然的な存
在”という。

 すなわち、悲劇のヒロインたちは“すべてを超越した特別な存在”として描
かれている、というのだが、実は執筆子には、その意味がよくわからない。こ
の文章を読んだとき、なんとなく聖書というか、キリスト教的な匂いを嗅ぎ取
った。ミルワード先生はイエズス会の神父さんである。

 読み進めていくうちに、シェイクスピアの戯曲には聖書からの引用や聖書の
本歌取りがとても多い、ということがわかるのである。シェイクスピアを聖書
の文言と対比した本に初めて出会った。王族にも貴族にも、一般民衆にも聖書
のことばが普及していた、ということにあらためて驚く。日本人が超えられな
い大きくて分厚い壁を感じる。

 シェイクスピアの悲劇に登場するヒロインは、終始女性のままだ、という指
摘がとても新鮮だった。つまり、シェイクスピアの喜劇に登場するヒロインた
ちは男装する。「十二夜」のヴァイオラ。「ヴェニスの商人」のポーシャ。
「お気に召すまま」のロザリンド。

 ところが、ここに紹介される5つの悲劇のヒロインは、男装することはなく、
登場してから、死んでしまうまで、ずっと女性のままなのだ。

 それは、なぜか? シェイクスピアの時代では、声変わり前の少年が女性を
演じていた、という。つまり、ボーイッシュな女性こそ、最も登場させやすい
キャラクターだった訳で、だからいわゆる喜劇というジャンルの作品群には、
男装した女性がたくさん見られる、というからくりである。

 しかし、悲劇ではそうはいかない。ヒロインたちは主人公を支えながら、愛
に生き、そして行動し、死んでいく。そこには騙りは必要ない。男装する理由
はないのだ。

 ヒロインをしっかりと描くことで、主人公が浮かび上がり、そして人間の喜
怒哀楽を表現し、人の心に染み込む芝居になるのだ。

 シェイクスピアが、没後400年経っても依然として世界中で上演されてい
るのは、それが理由だ。人類の普遍的なテーマを扱っているからに他ならない。

 あらためてシェイクスピアの偉大さがよくわかる良書である。

多呂さ(一年で一番寒い季節です。ご自愛ください)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える/show-z
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意外な人から採用のスタンスを学ぶ
『ノッポさんがしゃべった日』高見映 扶桑社文庫

 新たな年を迎えました。僕ですが、勤務している会社の年末年始休暇が短か
ったこともあり、今年はあまりゆっくりする間もなく、仕事始めを迎えていま
す。

 新年を迎えた直後、人事には本格的に動き出す大きな仕事があります。それ
は、新卒の採用活動です。

 新卒採用はここ数年、学生の“売り手市場”が続いておりまして、特に僕が
身を置いている情報通信業(IT業界)は、あまり学生から人気のある業界と
はいえないためか、毎年、採用数を確保すべく各社が躍起になります。

 かくいう僕も、昨年の採用活動を振り返ってみますと、いろいろ事前準備し
て臨んだはずのセミナーにまったく人が集まらなかったり、合格通知を出した
後に他社へ逃げてしまう学生が数名いたりと、想定外のことがいろいろありま
したよ。まぁ、どんな状況になろうとも、自社に合う採用予定人数を確保する
のがお仕事なので、あの手この手で何とかしてしまうのですが。

 そんな毎年バタバタの新卒採用ですので、今年度の反省を踏まえ、次年度に
どのような戦略を組み立てていくかは重要なポイントです。学生集客のために
利用するウェブサイトはどこの会社のものを使おうかとか、どんな学生が集ま
る採用イベントに参画しようかとか、採用予算とにらめっこしながら、検討し
ていくのです。

 しかしどんな戦略を立て、どんなツールを利用するか以前に、採用の最終的
な成否を分ける要素があります。それは、学生に対する人事の対応そのものと、
僕は考えています。

 もし利用したツールがうまく当たって、自社の応募者数が増加したとしても、
採用を担当する社員が、学生に少しでも悪い印象を与えてしまったらその時点
でアウト。学生はその会社に見切りをつけ、離れていきます。特に最近は、採
用に関する口コミサイトが多数存在しているので、こちらがヘタな対応をとっ
てしまうと、ネット上に情報が流れることだってあるのです。

 悪印象を与えないためには、丁寧な対応、清潔感、親しみやすさ・・・など
など、人事として常に気をつけておくべきことはいくつもあるのですが、本当
に重要なのは学生の心をつかむこと。たとえば、学生に「またこの会社を訪問
したい」とか、「この採用担当とまた会いたい」と思わせることが、重要では
ないかと思うのです。

 それを実現するためには、人事が1人1人の学生のことを理解しようと努め、
心を通わせる関係性が築けるよう、努力を続けることが必要です。会話の際に
は決して上から目線にならず、相手に目線を合わせる。そのうえで、相手が話
すときはしっかりと傾聴し、有益な情報を丁寧に伝えていく・・・。僕はコー
チングをかじっているため、世の中の他の企業人事に比べれば、コミュニケー
ション面においてはアドバンテージがあるよなと思っていたのですよ。

 ところが、ところがです。そんな私のスタンスに警鐘を鳴らす考え方に出く
わしました。その主は、NHK教育テレビ(今のEテレ)で24年間にわたり
放映された人気番組「できるかな」で有名なノッポさんなのでした。

 ノッポさんから言わせると、「目線を下げる」という表現自体がおかしい。
大人のほうが上、という前提があって成り立つ以上、その考えは誤りであると
のこと。むむ、確かに。

 実はノッポさん、子供のことを「小さい人」と呼んで決して子供扱いせず、
まるで大人と接するように付き合い、会話するのを基本スタンスとされていま
す。

 なんでもノッポさんが5歳のとき、大人が自分を見て、子供だからわからな
いだろうと心の中で思っているのを、すべて見抜いていたとのことなんですね。
その原体験から、「小さい人」はとてつもなく賢く、大人になった今でも、接
するときは真剣にならなければならないと仰っています。

 この本はそんなノッポさんが初めて書いた自伝エッセイです。「できるかな」
最終回のエンディングで、初めて声を出してしゃべった話から始まり、番組誕
生の経緯、スタッフたちとのエピソード、実は手が不器用という裏話、元芸人
だったという父親との記憶、そして番組終了後、本名の「高見映」になってか
らの活動などが、ノッポさん自身の言葉で、語られていきます。

 若者にも、共演者にも、番組スタッフにも、時には偉いプロデューサーのよ
うな人に対しても、決して自分のスタンスを崩さず、常にご自身の感情に素直
に、本音で向かいあうノッポさん。言ってしまえばノッポさん自身が、心は
「小さな人」のまま、体だけ大きくなっただけなのかもしれません。

 あらためて、これまで学生対応はうまいほうだと自負していたのは、完全に
驕りだったなと気付かされたのです。

 売り手市場とはいえ、学生の立場に立ってみれば、海のものとも山のものと
も分からない、はじめての就職活動。そこで出会う大人たちが、何を考えてい
るのかを、実は彼らは見透かしていて、だけど早く内定を得たいから、媚びを
売って印象をよくしようとしていたりとか。

 だけどそんな彼らの本心を僕なんかは見抜くことができず、あの学生はきっ
と、うちの会社への志望度合いは高いはず、なんて思っていたら、他社に決ま
って辞退されちゃったりとか。生半可な心持ちで学生と会話をしているからで
すね、きっと。

 とにもかくにも今年の採用活動は、あとしばらくの準備期間を経て、3月に
は広報が解禁されます。今年はどんな学生に出会えるか、そして僕自身がどこ
まで彼らと本音でぶつかれるか。今から楽しみです。

show-z
某IT企業で人事担当者として勤務。千葉県在住。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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68 初笑い

『いいにおいのおならをうるおとこ』
 ジル・ビズエルヌ 文 ブルーノ・エッツ 絵 ふしみ みさを 訳
                            ロクリン社

 新しい年がはじまりました。
 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 2017年最初にご紹介するのは笑顔になる絵本です。

 はなさかじいさんを彷彿させる民話風のはなしに、
 のびやかな線画がいい味わいです。

 両親が亡くなったので兄と弟で財産をわけることになりました。
 兄は宝石やら使えるウマやらいいものばかりをとり、
 弟には老いぼれ犬だけ。
 それでも弟は「あいよ」と一言残して犬をもらって帰りました。

 ところがこの犬が案外よく働くのです。
 あっという間に畑を耕し、それを見た兄は犬をとりあげたあげく返しません。

 犬の次に手に入れたもので弟はまたうるおうのですが
 同じ事を兄がしても、すべてがぐちゃぐちゃになるばかり。

 とうとう最後には、あれまあ!というオチで笑ってしまいます。

 お正月に子どもたちにも読んだら、
「タイトルで笑いをとるなと思ったけど、やっぱり笑っちゃうよ」と大受けし
ていました。

 欲張りな人と無欲な人の対立は民話ではよく語られる構図。
 人間社会の中にある欲を物語の中でくっきり浮かび上がらせます。

 この作品はジル・ビズエルヌの創作ですから民話そのものではありませんが、
ヒントを得ていることは間違いないでしょう。

 さて、この絵本をより楽しむのには作者紹介も熟読すべし。

 ふしみみさをさん翻訳絵本は、どれも作者、画家、訳者紹介によみごたえが
あるのです。絵本を楽しんだあとは、大人の楽しみで、どんな人が書いたのか、
描いたのか、訳したのかを知ってから読み返すのも楽しいです。

 文章を書いたジル・ビズエルヌは、「旅とお話しを愛する生粋のストーリー
テラー。子供や大人に向けて、舞台の上でストーリーテリングをすることもあ
る」と紹介。

 画家のブルーノ・エッツは「18歳の時、イタリアで暮らそうと決心し、自転
車にのって出かけたが、南フランスが気に入り、足をとめた。以来そこで暮ら
している」
 ね、なんだか興味がわく画家さんではないですか。

 訳者のふしみさんは「絵本を好きになったきっかけは、子どもの頃、父親が
自分や近所の子どもを主人公にして漫画付きのお話しをしてくれたこと」
 ふしみさんのお父さんにまで思いを馳せます。

 紹介のおかげでこの作家、画家、訳者の絵本をまた読みたくなります。

 ところで、この絵本は第9回日本タイトルだけ大賞(*1)作品にノミネート
されていたのをご存知でしょうか。

『いいにおいのおならをうるおとこ』は夢眠ねむ賞(*2)を受賞!

 タイトル秀逸ですものね。

 いろんな角度から楽しめる絵本。
 子どもはもちろん、大人にプレゼントしても喜んでもらえる一冊です。


(※1)日本で出版されている書籍の、内容の優劣を問わず、タイトルのみの
コピー、美しさ、面白さが際立つ書籍を表彰し、出版広告だけでなく、タイト
ルそのものの重要性を発信していくために創設するものです。
(公式サイトより)https://www.sinkan.jp/pages/title_only_9th/index.html

(※2)読書好きとして知られ、書籍メディアで本にまつわる連載を持っている
ほか、多摩美術大学卒業の経歴から美術家としての活動も広げているアイドル
グループ・でんぱ組.incのメンバー夢眠ねむさんの個人賞)
夢眠ねむさんの紹介はこちらのサイトから引用しています。
https://www.sinkan.jp/news/7424?page=1 


(林さかな)
会津若松在住。
編集協力した新訳「オズの魔法使い」(復刊ドットコム)シリーズ
★おかげさまで少しずつ重版されています
http://1day1book.strikingly.com/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『セブン・ハーフ・アンド・ワン』(文芸社)
 http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-17241-5.jsp

・『トシ、1日1分でいいからフクシマ英語に触れてみて。それだけできっと世
  界は変わる。』(SCICUS)
 https://www.facebook.com/scicus.jp/posts/1054815034566643

・『あれか、これか
  「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』(ダイヤモンド社)
 http://www.diamond.co.jp/book/9784478066041.html

・『最高のリーダーは何もしない』(ダイヤモンド社)
  http://www.diamond.co.jp/book/9784478068137.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
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 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
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 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
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 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

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 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 新年早々、発行遅れました。でも、原稿4本が揃って充実感があります。

 本年もよろしくお願い致します。(あ)

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