[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.647


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■■ [書評]のメルマガ                2017.02.10.発行
■■                              vol.647
■■ mailmagazine of book reviews     [下司で下品ででたらめな 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<98>「大砲」の使いみち、のお話し

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→80 カラフルな色の世界

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第98回 すもうがすきなのに・・・(仮題)

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→平成版の“男の作法”?

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 パレードブックスの御担当下牧しゅう様より、下記の書籍を献本いただきま
した。ありがとうございます!

 『追憶 下弦の月』
  尾原重男
  四六判・362頁(ハードカバー)
  ISBN 978-4-434-23989-2
  2017年11月発行
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<98>「大砲」の使いみち、のお話し

 昔、書店をやってたとき、当時やたらと信者を増やしていた新興宗教があっ
た。
 この宗教団体は出版部門も持っていて、その書籍を「ぜひとも置いてくれ」
と、ほぼ毎日のように「営業」にやってくる20代らしい男性信者に、やや辟易
した経験がある。

 ンな胡散臭い本を置くつもりもなかったので、いつも適当にあしらってお帰
りいただいていたのだけど、懲りずに毎日やってきては、教祖の「素晴らしい
教え」が満載の本のことや、自分がこれを読み、この教団に入って「いかに救
われたか」を、得々と語るのであった。

 そんなとき、ある週刊誌がこの教団の教祖のスキャンダルを掲載し、これに
憤った信者たちが徒党を組み、出版社に抗議に押しかける、という事件が起こ
った。
 信者たちの先頭に立って抗議行動を起こしていたのが、有名作家と女優とい
う著名人だったこともあって、当時のテレビや新聞でも盛んに報道された。
 それからしばらくは、この宗教団体と出版社は全面対決の様相となり、かな
り長く訴訟合戦が続いたと記憶する。

 そんな時に、またぞろやって来た件の営業クンは、この週刊誌がいかにでた
らめで嘘八百並べているか、さらに掲載された記事は悪意でもって捏造された
ものだ、と滔々と述べ立ててから、

「こんな下司で下品ででたらめな雑誌を置いていると、お店の品位を落とすば
かりだ。ぜひともお宅の店頭から除くことをお勧めします」

 と力説する。
 教団は、抗議活動と裁判と同時に、信者を使ってこの雑誌と出版社の不買運
動も進めていたのであった。

 申し出は、もちろん断った。
 何を置いてなにを置かないかを、他人に口出しされる覚えはないし、なによ
り雑誌ジャーナリズムというのは、「雑(あれこれ)誌(しるす)」の字義の
とおり、下世話な話題から政治経済国際問題芸術エンターテインメント及びス
ポーツまで、あまねくネタを拾い上げ、さらに対象に正面から切り込む新聞・
テレビなどとは違う「ナナメ下方35度」の角度から、やらしく粘着質にえぐり
こむのがその役目だと、これは当時から思っていて、営業クンにもそう伝える
と、翌日から彼はぴたりと来なくなったのだった。

 今も「雑誌」に対するこの考えは変わってないのだけど、しかし昨今、こと
に週刊誌など見てると、「下世話」方面にベクトルが傾き過ぎているキライが
ある、と思う。

 誰と誰が密会しようが不倫であろうが、どうぞご勝手に、である。
 ついでに言えば、芸能人などが不倫関係暴き立てられた末の「謝罪会見」と
いうのも、非常に不愉快だ。
 「ごめんなさい」は、当事者同士でやりあってればいい話で、世間に対して
「謝罪」する必要性がどこにあるのか、どうにもよくわからない。
 だいたいからして、当事者同士意外には、誰にも迷惑はかかってないはずな
のに、誰に対して、なにを「謝罪」せいというのだ?

 「〇〇の娘」や「××の息子」が、なんらの事件を起こしたに際して、わざ
わざその親が出て来ての「謝罪会見」もまた、非常に不愉快だ。
 江戸時代の「縁座」じゃあるまいし、成人した男女が起こした事件に対して、
その親を糾弾し「謝罪」に引きずり出すのは、行き過ぎどころか、とても危険
な行為だと思う。

 最近で言えば、秋篠宮家の婚儀に関して、長女・真子さんの婚約者の家庭問
題が、根掘り葉掘りあれこれ暴露されているようで、これは、この婚約をよろ
しく思わない現政権の某所が、陰で動いているとの説もあるそうだが、そうな
ると、大正時代の「宮中某重大事件」の再現ではないか。
 誰だ? 平成の山縣有朋は? 同じ「長州閥」のアベちゃんその人か?

 上はあくまで「噂」ではあるが、しかし、このところの雑誌ジャーナリズム
には、「政権寄り」の記事が目に余る、と思うのはわしだけだろうか?

 ナンタラ砲とか言われてるそうだが、政権に阿り、「弱い者いじめ」の暴露
記事にばかり、その「砲」の照準が向けられるのなら、そんなメディアは百害
あって一利なし、即刻廃刊していただきたい。

 政権とは一線を画し、あくまで「反権力」に立地して「雑(あれこれ)」を
暴いていくのが、正しい雑誌の在り方だと思うのは、過剰な期待だろうか?
 せっかくの「砲」ならば、その照準はもっと大きなものにこそ、向けていた
だきたい、と思うのである。

 …と、今回は、前振りだけにしとこうと思った話題が、ことのほか字数を食
ってしまったので、漫画の話題はなんもなし。
 今回書こうと思った漫画の話は、次回のココロ、なのだった。

太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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80 カラフルな色の世界

 今年は各地で雪のニュースが続いています。
 日常生活が可能な限り早くもどりますように。
 早くもどすために尽力くださっている方々に感謝します。
 
 会津でも白い空、白い地面の世界が例年以上に長いです。気温も低くあまり
とけないからでしょうか。色のある世界が恋しくなります。

 なので今回はカラフルな色を楽しむ絵本を中心にご紹介します。

 『クレヨンで描いたおいしい魚図鑑』
  加藤 休ミ 晶文社

 『きょうのごはん』『おさなかないちば』など、既においしい食べ物を描い
た絵本をつくってきた加藤さんですが、今回は鮭の塩焼き、焼きたらこ、金目
鯛の煮付けなどなど、料理となった魚たちの図鑑です。

 クレヨン、クレパスで描かれている魚たちの美味しそうなことったらありま
せん。「シズル感」たっぷりです。小学校の図工で使っていたクレヨンでこれ
だけ美味しい絵が描けるなんてすごい。

 また図鑑なので魚の知識ももりこまれています。系統樹として魚料理の種類
を「仲間」としているものでは、太陽と塩の時代、しょうゆ時代、冷蔵庫時代
と、それぞれの時代の魚料理が分けられていて興味をひきます。

 およそ1800年前の邪馬台国では、なんと既に干物と塩焼き、汁ものがあった
そうで、初めて知りました。いたみやすい魚を日持ちさせるための知恵はずい
ぶん前からあったのですね。

 描かれている魚料理は17種類。ししゃもの一夜干しは本当にリアルで、紙の
上から何度もさわってしまいました。金目鯛の煮付けは、特においしい目の玉
あたりをクローズアップしていて、食欲をそそります。

 親バカ(?)ですが、魚料理が大好きで魚の食べ方がものすごくきれい(つ
まりほとんど残さない)な高校生の娘も、この絵本をみて「おなかすくね、魚
食べたくなるね、目の玉おいしいんだよね」とうっとり眺めていました。

 クレヨンでおいしく描かれた魚料理は一見の価値があります。ぜひ。


 『ネルソンせんせいがきえちゃった!』
  ハリー・アラード 文 ジェイムズ・マーシャル 絵
  もりうちすみこ訳 朔北社

 書影をネットでみた瞬間、「これはおもしろい絵本!」とアンテナにひっか
かりました。
 もちろんその時はまだ中身をまったく知りません。
 ただ表紙に描かれた子ども達の教室の雰囲気にひかれたのです。

 ネルソン先生の生徒たちは、いつもしゃべったり、動いたり、うるさくして
ばかり。先生の注意など聞く耳を持ちません。とうとう先生は学校に来なくな
りました。それでも生徒たちは、これ幸いとばかりに遊ぼうとするのですが、
代わりにきたスワンプ先生の怖さに震えます。そこでネルソン先生にもどって
きてもらおうと策を練りはじめるのですが……。

 子どもたちの表情は小悪魔のようだったり、天使のようだったり、どちらも
かわいく、気持ちが素直に表情にでているのが楽しめます。

 子どもたちに読み聞かせすれば、やさしいネルソン先生ときびしいスワンプ
先生の対応を楽しんでくれるに違いありません。

 本書は1977年にアメリカで刊行され、いまもロングセラーを続けているそう
です。ユーモアな文章と洒落た雰囲気の絵は飽きのこない何度も読みたくなる
魅力があります。 


 『ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし』
   ジョン・キラカ 作 さくま ゆみこ 訳 西村書店

 タンザニアの南西に住むフィパという人たちに伝わる昔話を、画家のキラカ
さんが語り部を見つけて聞き取りをしたものです。

 昔々、日照りが長く続き作物がとれない時期がありました。動物たちは腹ぺ
こです。乾いた大地に不思議な木が一本生えていました。その木はおいしそう
な実がいっぱいなっています。しかし、ゆすってもたたいても実はとれません。
どうやったら実がとれるのか、からだの大きなゾウとスイギュウが賢いカメに
相談に行くと……。

 訳者さくまさんのあとがきによると、アフリカにはまだ農業が天気に左右さ
れているため、日照りで飢える人もでる地域があるそうです。この昔話にでて
くる「ごちそうの木」は日照りの時にあってほしい願いのようなものなのでし
ょうか。

 キラカさんの絵は、濃くはっきりした色調が鮮やかなポップアート。白い雪
の日が続いているときに、この絵本を開くと、うれしい気持ちになれます。

 実をとるための動物たちの試行錯誤も愉快で、おいしい実の味を想像しなが
ら読みました。

 訳者のさくまさんは「アフリカ子どもの本プロジェクト」の活動をされてお
り、この絵本もそのプロジェクトが関わっています。

 サイトはこちら http://africa-kodomo.com/

 このプロジェクトは3つの目的があり、

1)アフリカに設立したドリーム・ライブラリー(現在2館)を継続的に支え
  る。
2)識字や楽しみのための本を必要としているアフリカの子どもたちがいれば、
  そこに本を届ける。
3)日本の子どもたちに、アフリカの文化やアフリカの子どもたちのことを伝
  える。

 『ごちそうの木』の作者キラカさんが昨年来日したときも、このプロジェク
トで講演会やワークショップを開催されました。

 それでは最後にご紹介する本も目をひく表紙です。

 『マルコとパパ ダウン症にあるむすことぼくのスケッチブック』
   グスティ 作 宇野和美 訳 偕成社

 作者グスティはアルゼンチン出身のイラストレーター。ダウン症のある息子
マルコとの日々をスケッチしたものが本書です。

 グスティはマルコが生まれてきたとき、最初はダウン症であることを、
「こんなのうけいれられない」と率直に表明し、その時の困惑ぶりを描きます。
母親のアンヌはなんのこだわりもなく受け入れたことも、女性から学ぶことが
たくさんあると、アンヌとのやりとりを細かく書いています。

 「いいんだ! この子はこのままで!」

 マルコをマルコのまま受け入れたグスティの描く絵は、子どもへの愛しさが
たっぷりです。ペンでざっくり描いたもの、水彩で色をのせたもの、詳細に描
写されたもの、家族の生活が目の前で繰り広げられ、読んでいるとどんどんマ
ルコが身近にいるように感じられてきます。

 マルコにはテオというお兄さんもいるのですが、テオもマルコを「せかいい
ちのおとうと」とかわいがります。父親のグスティはテオから学んだことも多
いのです。

 遊びや学校生活、日常生活をしやするための手術も描かれ、それらは障害の
ある子どもとの暮らし――「受け入れる」とはを見せてくれます。

 さて、様々な本には最後に作者による謝辞が書かれています。
 この本には「ありがとう」というページにたくさんの人がでてきます。
 私はたいてい謝辞は読み飛ばすことが多いのですが、
 「ありがとう」は熟読し、何度も読み返しもしました。
 グスティの声が聞こえてくるようだったからです。

 今月、来月と刊行記念トークイベントも開催されるので、お近くの方は足を
運ばれてはいかがでしょう。

 ★刊行記念トークイベント開催予定★

 ○2月27日(火)19:30〜BOOKS 青いカバ(駒込)
 「日本語版『マルコとパパ』ができるまで〜翻訳とデザインと」
  宇野和美さん(翻訳家)x 鳥井和昌さん(デザイナー)
 https://www.kaiseisha.co.jp/news/24156

 ○3月20日(火)18:30〜ブックハウスカフェ(神保町)
 世界ダウン症の日記念トークイベント
 宇野和美さん(翻訳家) x 関口英子さん(翻訳家)
 https://goo.gl/xuF86A

 
(林さかな)
会津若松在住
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第98回 すもうがすきなのに・・・(仮題)

 角界が喧しい。
 問題点としては2点ある。

 ひとつは、土俵上の取り組みに対する批評ではなく、大相撲を主催している
公益財団法人日本相撲協会に対しての批判や意見である。それらが世間に入り
乱れている。その運営方法や管理能力に対して、さまざまな人たちがさまざま
な意見を吐き散らかしている、という印象。そのような外からのたくさんの批
判や意見に対して、日本相撲協会はしっかりそれらに向き合っている、という
印象はない。はぐらかしている、とまでは云わないが、黙っていればそのうち
収まる、と考えているのではないか、という態度のような感じ。それから、素
人が伝統ある大相撲のことにとやかく口を出すな、という上から目線の横柄な
態度も隠しているような気になってしまうのは、私だけではないはずだ。

 もうひとつは、関取たちに直接、投げかけたい事柄。弱い横綱。強すぎてオ
レ様になっている横綱。故障を押して出場するから、さらに悪化させ故障が長
引いてしまう関取たち。そもそも関取たちに故障者が多すぎること。・・・そ
ういう関取たちに対する物言いもたくさん噴出している。
 とにかく、長年の相撲ファンとしては、この処のおすもうを巡るごたごたが
もどかしくて歯がゆくて仕方ない。

『のこった −もう、相撲ファンを引退しない−』(星野智幸 著)
(発行:ころから)(2017年11月17日発行)

 著者の星野智幸氏は、日本を代表する小説家である。今回、本書が刊行する
にあたり新聞に載ったその紹介記事には、星野智幸氏は幼少時より熱烈な大相
撲ファンであり、2003年に貴乃花が引退したときに、一度はきっぱりと大相撲
を観なくなった。と書いてある。そして約10年のブランクを経て、2014年に久
しぶりに大相撲を観始めたら、相撲の会場も相撲を観ている世間も10年前とは
様変わりしており、様子が違っていることに著者は驚き、憤慨している。

 本書は、星野智幸氏がどういう経緯で大相撲を観ることを止めたか、また再
びどうして観始めることになったか、そして古くからの大相撲ファンである星
野智幸氏が大相撲を巡る現状をどう考えているか、が丁寧に書かれているエッ
セーである。本書の最後に星野智幸氏の最初の小説(相撲小説)が掲載されて
いる。この作品は氏が始めて文学賞に応募した作品であり、落選している小説
である。まさにおまけとして楽しく読める作品である。

 相撲は国技だ。と云われている。が、「国技」ってなんだろう。「国技」と
いう言葉が大相撲を観戦するときに不必要なナショナリズムを煽っているので
はないか。ここ10年以上に渡ってモンゴル人力士が大相撲の土俵を席巻してい
る。日本人関取による幕内優勝が望まれ続け、ついに三年前(2015年)の初場
所で琴奨菊が優勝した。これにより、大相撲におけるナショナリズムは最高潮
に盛り上がり、以後、場所中の雰囲気は、日本人力士を過度にたたえ、たくさ
んの声援を送り、反対に外国人力士(主にモンゴル人力士)には、声援を送ら
ない(実際に執筆子は彼らに対して歓声が極端に少ない状況をたくさん目撃し
ている)のだ。

 相撲は土俵で一対一の勝負をする、孤独な競技だ。個人競技の極みと云って
よい。素晴らしい勝負、いい相撲に対する大声援ではなく、力士の出身地で声
援を区別していることがそもそもマナー違反なのだ。そのような相撲の見方は
邪道である。
 本書は、出身国によって差別せず、技や土俵での態度を観る純粋な相撲観戦
を是とし、現状を憂いている。

 そして大相撲が八百長問題や暴力事件に揺れていたとき、ひとり横綱として、
土俵に立ち続けていた白鵬を讃えている。白鵬の評価はさまざまであるが、あ
の大相撲の危機のときに、かれは大相撲を支えていたし、また数々の記録を塗
り替えた彼の相撲を同時代に観られたことを喜んでいる。

 大相撲に関してはさまざまな意見がある。本書はその中のひとつの意見であ
る。でもその意見はとても傾聴に値するいい意見だと思う。

 この原稿は、2月2日の日本相撲協会理事選挙の後に書き始めた。その後、
2月7日に民放で渦中の貴乃花親方に対する単独インタビューが放送された。
土俵の外が喧しすぎる。


多呂さ(立春を過ぎてもなお、今年は寒い日が続きます。日本は自然災害の多
い国です。豪雪地帯の皆さまにはお見舞いを申し上げます。)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える/SHOW−Z
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平成版の“男の作法”?
『男子の作法』 (SB新書) 弘兼憲史

「もし無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら?」と問われたら、僕は間違
いなく、池波正太郎の“男の作法”と答えます。何もない無人島で、男の粋に
ついて読んでどうするんだというツッコミをもらいそうですが、大人になって
から読んだ本の中で、今でも気付いたら読み返している本といえば、僕の中で
はこれなのです。

 てんぷら屋に行く時は腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げ
るそばからかぶりつく・・・とは有名な一節ですが、たとえ食べられるものが
ない状況下であっても、男の粋とは、ダンディズムとは何かについて、無人島
であれこれ妄想してみたいなと思ったりします。本気で。

 先日、会社帰りに立ち寄った駅構内の書店にて、平台にうずたかく積まれて
いた書籍の中に、今回ご紹介する“男子の作法”はありました。弘兼憲史とい
えばビジネスマンガ“島耕作”の作者として有名な方です。この本の表紙にも、
島耕作風の中年男性のイラストが描かれ、目を引きます。私自身、島耕作シリ
ーズも社長編の前半くらいまでは読んでいたこともあって興味を持ち、その場
で購入、帰りの電車内で読み始めました。

 まえがきには、「美学やダンディズムは内に秘めていたほうが格好いいが、
自分の好き嫌いや趣向を肩の力を抜いて、親しい後輩に語りかけるような気分
で書いた」と、弘兼先生の思いが綴られておりました。

 本編は食・酒、人間関係、仕事、旅・イベント、モノ・趣味、家庭、自己・
人生、と7つの章に分かれています。池波先生の話したことをそのまま文章に
してまとめた本家・男の作法は章立てに計算がないので、タイトルが似通って
いるだけで、本のイメージ自体はだいぶ異なりますね。ただ、スタートを“食
・酒”にしたのは、寿司屋の話で始まる本家に敬意を表したからなのか、それ
とも本のタイトルも含め、編集者の意図が入っているからなのか。本家を意識
しているのがわかります(笑)。

 肩の力を抜いて・・・という言葉通り、1つ1つのテーマには重めの内容も
含まれているものの、疲れを感じることもなく、サクサク読み進める事ができ
ます。さすがに本家とは書かれた時代が違うので、ワークライフバランス、プ
ラス思考、ビジョンといったワードが取り上げられるのは今風なものの、万年
筆やチップ(心付け)、女(妻)など、本家にも出てくる話題について、弘兼
先生が語っているのは嬉しくなりました。あ、このへんのテーマのチョイスも、
編集者の意図だったりして。

 そんな感じで読み進めていきますと、第3章「仕事」あたりから、ほんの少
しですが違和感を覚え始めました。僕が島耕作シリーズをある程度読んでいた
からなのか、はたまた表紙のイラストのせいなのか。言葉を発しているのが弘
兼先生ではなく、島耕作その人へと、入れ替わったような感じを受けたのです。

 弘兼先生は大学卒業後、新卒で松下電器(現在のパナソニック)に入社、3
年間の勤務の後、退職して漫画家の道に進まれました。つまり、実質的な組織
の中でのご経験って、この3年だけなんですね。

 本書では、この会社員時代にご経験されているエピソードが多く紹介されて
いて、それ自体は面白く読むことができるのですが、上司との付き合い方、仕
事でのアピールの仕方、そして派閥の考え方にまで話が及ぶと、これは社会人
3年の経験値で語れるものとは到底思えない。一方で、実はスーパーサラリー
マン・島耕作自身が語っているとしたら、、、もうこれがすんなりと、受け入
れられるんですよ。受け入れるというより、あ、これは島耕作が書いているん
だろうと錯覚してしまうような。

 その後の章では徐々に島耕作の香りも薄れていき、弘兼先生ご自身が、また
顔を出してきます。島耕作は弘兼先生が生み出したので、ある意味、先生の分
身と捉えることもできるのでしょうが、これだけ有名なキャラクターですので、
読者からすれば人格は別物。その辺の線引きが明確にあれば、読みやすさの中
にもっと説得力のあるエッセイになったのかなと思うんですよね。40代前後の
サラリーマンには興味深い話題が多いだけに、少し残念な感が残ったのでし
た。

 あと本書の中で「20代の女性が50代の男を恋愛対象にするか否か」「相手に
依存しない自立した恋愛とは」について語られるところが出てくるのですが、
この手の話題こそ、弘兼先生ではなく、島耕作の十八番ネタ(笑)。色魔とし
ても有名で、読者からも賛否両論ある島耕作の考えを、ぜひ読んでみたかった
ところです。もちろん実際の書き手である「中の人」は、弘兼先生で構わない
んですけどね。

show-z
某IT企業で人事担当者として勤務。千葉県在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『追憶 下弦の月』(パレードブックス)
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 最近、これまで読まなかったような本を読む機会が多くなっています。知ら
なかった世界を知るのは楽しいですね。

 人から勧められて、ということが多いのですが、もちろん、流行の本などで
はなく、人知れずロングセラーな本ばかり。

 本が売れない時代ではありますが、なんとかこういう良い本を後世に継いで
いって欲しいと思います。(あ)

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