[書評]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
[書評]のメルマガ vol.685


■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.09.20.発行
■■                              vol.685
■■ mailmagazine of book reviews  [ガラケー派にとっては迷惑千万 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #110『八月の光』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『人生の勝率』の高め方 土井英司 角川書店

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『ジャニーズは努力が9割』(霜田明寛・著 新潮新書)

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#110『八月の光』

 先月、ウィリアム・フォークナーの名作『八月の光』を読んだ。理由は八月
だったから。

 大部の書ではあるが、小説だし、再読だし、そんなに手こずらないと思った
のに、案外時間がかかった。再読とはいえかなり久しぶりでほとんど何も覚え
ておらず、読み始めてもまったく記憶が蘇らない。実質的には初読に等しかっ
たせいだろう。

 舞台は、アメリカ南部。行ったことはないが、その八月といえば、やはり暑
くて湿気が多いのだろうか。まして時代は1930年頃。冷房もない。

 物語の構造は複雑だが、中心にあるのはひとつの殺人放火事件である。それ
でこのアメリカ文学の古典が、昔のミステリー解説本ではベスト100に入って
いたりする。

 とはいえ、謎解きではない。犯人はクリスマスであると明かされている。

 もちろん、12月25日が人を殺し、家に火を放ったわけじゃない。ジョー・ク
リスマスという名前の男が犯人なのだ。彼はイエス生誕の日、孤児院に捨てら
れていた赤ん坊だったので、そんな変わった名を付けられた。一見白人だが、
実は白人の娘と黒人の男の間に生まれた混血児だった。このことの意味は1930
年代の南部アメリカではとても重い。

 養子にもらわれるが、厳格なクリスチャンだった養父の暴力的な支配に反抗
し、18歳で家出。以後、放浪の旅の末、33歳で物語の舞台であるジェファーソ
ンに流れ着く。

 そこで彼が出会ったのは、北部から移住して来た黒人解放論者で周囲から孤
立していた一家の、最後の生き残りである孤独な女性、ジョアナ・バーデン。
彼女の家の裏にある黒人小屋に住みつき、肉体関係を持つが、それは普通の恋
愛とは異なる歪つな形をとる。その結果、二人の錯綜した心理が、物語を殺人
放火という破局へ導くのである。

 この物語に覆いかぶさっているのは、重苦しい宗教の影だ。

 確かにジョー・クリスマスは、黒人の血が混じっているがゆえに人種差別を
受けるのだが、彼の人生を狂わせたのは、むしろキリスト教だという印象を受
ける。その名前といい、養父がクリスチャンだったことといい、物語当時33歳
という、キリストが十字架に掛けられた年齢と同じであることといい、随所に
宗教的刻印を押された人物でもある。

 いまでもこの地域はバイブル・ベルトと呼ばれ、原理主義のキリスト教徒も
多いそうだが、この時代、信仰は一層深く生活に根を下ろし、人々の思考を縛
っていた。

 宗教心があるのは悪いことではないが、キリスト教というのはユダヤ教以来
の怒れる神を戴いているせいか、イスラム教同様どうも血なまぐさくなりがち
だ。

 さらに、脇役ながら重要な人物であるハイタワーという男も、元牧師である。

 彼はジェファーソンの町に赴任してきたが、妻との間がうまく行かず、その
トラブルが原因で牧師の地位を追われる。だがそれでもこの町に住み続け、近
隣の人たちからも忌避されながら、孤独に老いを重ねている。

 この人物が登場する場面で、フォークナーは何度か「音楽」について言及し
ている。

 それはもちろん、ハイタワーが牧師だったからであり、教会に音楽はつきも
のだからだ。

 物語の終わり近く。ハイタワーは自分の家の窓辺で、暮れていく町を一人眺
めている。

 水曜である。当時は日曜の朝と夕、そして水曜の夜、人々は礼拝のために教
会へ集まった。だから彼は、まもなく町の人たちが近くの教会へやって来るの
を知っている。そして時間になれば、音楽が始まる。それはオルガンの音楽だ。
かつては数えきれないほど聴いた音楽。いまは教会を追われ、間近に聴くこと
が叶わなくなった音楽。

 しかしハイタワーは、その音楽を感動的だとは考えない。「あの熱狂的で厳
粛で深遠な十字架刑の姿と態度を再現する」ものだと思い、それは「冷酷で執
念深い性質を持ち、用心ぶかくて、我が身を犠牲にする情熱もなく、頼み、懇
願するのだが、それは生をではなく、死をこい願っているのであり、他の新教
音楽と同様、人々に生命を禁じるその高い調子は、まるで死が賜物であるかの
ように、死を請求している」と感じるのだ。

 そんな風に説明されると、誰も聴きたがらないのではと思ってしまうが、教
会に集まる会衆はそれを積極的に求める。つまり彼らは、死を受け入れ、讃え
るのである。

 なぜなら、自分たちがかくも哀れな姿に創造されたことに対し、造物主たる
神に復讐したいと願っているからだ。そうハイタワーは考える。

 平たく言えば、「神め、こんな惨めな人生をわれわれに与えやがって、これ
くらいなら死の方がましだ、くそ、死を讃えて歌ってやる、ざまーみろ」とい
うところだろうか。

 すなわち、讃美歌は復讐の歌なのである。

 しかも、このアクロバティックな論理展開を、彼はさらにもうひと捻りする。

 南部人は「喜びや陶酔に耐えられない」とし、「そこから逃避するために暴
力と酒と喧嘩と祈りを用い、破滅する時にも、また、同様に、きまって暴力を
用いるのだ」と断定する。「だから彼らの宗教も当然のことに、彼ら自身やお
互いを、十字架上に追いあげるようなものになるのだ」。

 しかし、現実に自分を十字架に追いあげる人間はいない。だから代わりに贖
罪をしてくれる、スケープゴートが必要になる。

 かつてそれはイエスであった。そして1930年のジェファーソンでは、黒人で
ありながら白人女性と姦通し、放火殺人の大罪を犯したジョー・クリスマスな
のである。

 かくして、その水曜日、教会に集まった善男善女は、ローマ総督ピラトの屋
敷に押しかけ、イエス・キリストの処刑を迫った群衆に重なり合う。

 ロック・オペラ『ジーザス・クライスト・スーパースター』ではこの場面で、
群衆が「Crucify him(彼を十字架に)!」と大合唱するのだが、あの叫びが
まさにこのオルガン音楽に共鳴している。

 とはいえ、この場面は静謐だ。会衆は黙ってミサに参加し、牧師の説教に耳
を傾けている。いや、厳密には、いるらしい。なぜならその様子を、教会から
追われたハイタワーは見ることが出来ないからだ。ただ、自宅の窓辺にじっと
座って想像している。

 しかし、静かな分、ある種の恐ろしさがある。敬虔な信仰の場で、人々が心
の底で願っているのが死であるというグロテスクなコントラスト。

 そう言えば、八月は日本がアメリカに敗戦した月でもある。あの戦争にこの
国を駆り立てたのは、実は国民自身だった、という説もある。米英討つべし、
の世論に押されて、政府は開戦せざるを得なかったというのだ。

 もしそれが一面の真実なら、『八月の光』の南部人たちが神への復讐として
死を望んだのに対し、昭和16年の日本人たちは天皇という現人神への愛として
鬼畜米英の死を望み、十字架にかけようとして返り討ちにあった、とも言える。

 ともあれ、名もなき大衆の暗黙の意志が、時に大きな破局へと歴史を進めて
いくことはままあることだ。大衆の一人として、その恐ろしさは常に噛み締め
ておきたい。

 さて、このように、音楽が重要なモチーフとして登場するフォークナーの
『八月の光』は、音楽本としても優れているのだが、一方、ひとつの疑問が湧
く。

 『八月の光』に登場する音楽は、ほとんどが白人の音楽なのだ。

 物語には脇役ながら黒人たちも登場する。彼らの生活もわずかだが描かれる。
そしてジョー・クリスマスは白人と黒人の混血である。

 なのに、黒人音楽にほとんど言及されていないのは、なぜか?

 フォークナー自身白人であり、当時は黒人のコミュニティに相当深く入り込
んで行かなければ、彼らの音楽を耳にする機会がなかったのだろうか?

 しかし、一ヵ所、黒人少年が歌を口ずさむ場面がある。

「彼は歌いはじめた、平たいメロディで、リズムに溢れ、節は単調だがはずん
だ調子だった。

 あの若い、黒んぼ女

 あの子のプディング、ほしいもの言ってみな、

 さあ

 隠しゃしないで、言ってみな」

 この黒人少年の歌を「単調なメロディだがはずむようなリズムがある」と記
しているのは、ブルースを彷彿とさせる特徴で、フォークナーがまったく黒人
音楽に無知だったとも思えない。

 実際、未読だが、「ある夕陽」(原題”That evening sun”)という短編が
あり、このタイトルはW.C.ハンディが作曲した「セントルイス・ブルース」の
一節「That evening sun goes down」から取られたという。

 だが、この短編と「セントルイス・ブルース」にはそれ以外に密接なつなが
りはなく、「フォークナーとブルースをゆるやかに結びつける批評はいくつか
あるにしても、タイトルとストーリーとの関連を掘り下げて論じ、成果を上げ
ているものは、まだ見当たらない。」(「「あの夕陽」とデルタの変容 フォ
ークナーのブルース」梅垣昌子)そうだ。

 この点に関しては、まだまだ、謎である。

ウィリアム・フォークナー
加島祥造訳
『八月の光』
昭和四十二年八月三十日 発行
昭和六十二年三月二十日 二十二刷
新潮文庫

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン

最近、イベントや演劇のチケットがスマホ・チケットになっています。ガラケ
ー派にとっては迷惑千万。紙にプリントすればOKなイベントもあれば、そう
でないのもあり。ややこしいことこの上ない。いやだけどいよいよスマホを持
たざるを得ないかと検討中。実に不愉快。さて、月光グリーンの6年ぶりの新
譜『We are GEKKO GREEN』が発売になりました。こちらは愉快痛快。毎日ヘビ
ロテしております。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『人生の勝率』の高め方 土井英司 角川書店

 有名な出版エージェントの土井氏の新著。人生ではなくて、「6次産業」の
成功の確率の高め方には一言言いたいこともあるというか、あっちこっちでギ
ャーギャー言っている者としては、タイトルにある「確率の高め方」に反応し
てしまうわけである(^^;

 舞台は都内某所。「AI時代に勝ち残るビジネススキル講座」の終了直前、司
会者が講師のD氏への最後の質問として200人の中から20代とおぼしきスーツ
姿の男性を指名したところから始まる。

 スーツ姿の男性の質問は元アマゾンのカリスマバイヤーで「人生がときめく
片づけの魔法」のプロデューサーとしても有名なDさんが書評を書くとベスト
セラーになるという噂について、書評を書くコツがあるのか?というもの。

 ここでDさんが誰なのかバレるわけだが、答えは「僕が書評を書いたからベ
ストセラーになった」のではなくて、「ベストセラーになる素材を選んで書評
を書いている」のが実際であるという。

 そこから「人間は、うまくいったことの理由を個人の能力、努力、頑張りに
求めがちですが、実際には、『選択した時点』で、結果の9割は決まっていま
す」として、成功する確率の高い集団に属して、そこからに適切なものを選ぶ
力の重要性をストーリー形式で説く。

 そして、「努力よりも優先すべきなのは、選択です」言い換えれば「努力が
報われないのは『選択』が間違っているからです」とまで宣うのである。

 コンサル時代に何百人と経営者は見てきた。Aという経営者とBと言う経営
者を見ていて、たぶん誰が見てもAの方が優秀だと思うのに、業績はBの方が
いいとか、普通にあった。こうなる理由はいろいろあるのだけど、優秀な経営
者の会社の業績が悪いのは、単に営んでいる業種の環境が悪かったこともよく
あった。逆に急成長業種だと、オツムがよさそうでない人でもブイブイ言えて
いたりもしたのですね・・・昔の某外資系○○業界とか。

 ま、それはともかく成功した経営者で、よく自分の成功要因として「運が良
かった」という人が少なくないのも、そうした選択の運、不運が実際の経営を
大きく左右することを知っているからだろう。

 なので、この主張には全く異議はないのだけど、それにしても身もふたもな
いこと書くよな〜と思いながら読み進めていく。書かれているのは、タイトル
通り人生の勝率を上げるために、どのような選択をするのかのノウハウとして

2章「選択基準」を明確にする
3章「キーパーソン」を味方につける
4章 価値ある「情報」のつかみ方
5章「運」は戦略的に呼び込める

と続いていく。

 挙げられていくノウハウの一つ一つは、読書量が多い人ならどこかで聞いた
ことがある内容も多いだろう。しかし、先に挙げた目次を読んで、「よくある
内容だな」と思う人は、なおさら読んだほうがいい。一見陳腐なノウハウでも、
この本の文脈で読むからこそ、血肉となり、脳みそに刻まれる・・・そんな書
き方をこの本はしているからだ。

 なぜこう「すっと」この本の世界に入っていけるのか・・・大きな声では言
ってはいないが、この人は相当に苦労も失敗もしている。おそらくは人生の敗
者となる1歩手前まで行ったが、踏みとどまったといった経験を何度かしてい
る。

 敗者となる1歩手前まで行って、踏みとどまれるかどうかは、その人に「自
信」があるかどうかで決まる。人生は何度失敗してもいい。というか、どんな
に有能な人でも失敗しないなんてことはない。

 DeNAを見よ。マッキンゼーのパートナーを務めた、きわめて優秀なコンサル
タントの方が創業しても八年は鳴かず飛ばずだったし、大成功した直後にまた
大失敗したじゃないか!だから問題は失敗にあるのではなく、失敗しても堪え
ない、再びチャレンジを始められる意志を持てるかどうかであって、そんな意
志を持てるか否かは「自信」の有無による。

 その「自信」を読者につけてもらいたい。そう思って書いているのがありあ
りとわかる。だから、すっと内容が頭に入ってくる。

 もちろん初めて読む内容もある。この本には「自分の『変わる力』を信じる」
という目次があるのだけど、これなんか個人的にしびれる。そう、何度もくじ
けそうになりつつも踏みとどまった人には、このせりふは刺さるはすだ。

 そしてあきらめないことの大切さ・・・やはり目次に「師匠やメンターを追
い込め」と言わんばかりのことを書いてあるのは、ここであきらめて欲しくな
かった顧客(著者の本職は出版エージェントだから、クライアントだろう)を
繋ぎ止められなかったという後悔があるのだろう。繋ぎ止められていたらベス
トセラー作家に育てられたのに、できなかった。そんな後悔がなければ、こん
な文章書けないわ。

 出版エージェントとして有名な方だから、この本を読むのは出版に関心のあ
る人が多いと思うけども、そういう人だけの本にするにはもったいない。人生
に倦んでいる人は、だまされたと思って一度読んでもらいたい。たぶん、後悔
はしないはずだ。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
努力でいける? いけない? を考えてみた
『ジャニーズは努力が9割』
(霜田明寛・著 新潮新書)


 この本のタイトルを見て、ミキの漫才を思い出した人、多いと思います。
ミキは大阪の若手漫才師で兄弟でコンビを組んでるんですね。
 弟が言います。

弟「兄ちゃん、送っといたから」
兄「何をや」
弟「履歴書」
兄「どこにや」
弟「だから、ジャニーズ事務所」
兄「なんでや!」
弟「だってジャニーズ事務所ってたいてい兄弟が履歴書を送ることから始まっ
  ているやん」と言い、小太りブサイクの兄が「なんでそんなことをしたん
  や。恥をかくだけや」と言われて
弟「だってお兄ちゃんは優しいから」
兄「優しさだけではジャニーズになれん!」
弟「だったら聞くけど、ジャニーズにはイケメンしか入れないんですかッ!?」
兄「(キレて)そうですッ!!!」

というネタです。(詳しくはネットで)

 外見を度外視して努力が9割なんて、大胆なタイトル。

 こういう本があるから、「どんな努力もします」という勘違いな人がオーデ
ィションを受けにきちゃうわけです。

 ジャニーズ・・・確かに10代でそう見栄えがよくなかった少年でも合格して
スターになっている例がないわけではありません。でもそれは、ジャニー喜多
川という、その少年の「20年後の姿が見える」という天才プロデュサーがいた
からこそで、それも例としては少なく、だいたいはイケメンが合格しているわ
けです。

 努力すれば何とかなると信じるか、努力だけではどうにもならない世界があ
ることを知るのが大事なのか・・・・うむむ、難しいよね、言いにくいよね。

 この本には、ジャニーズ所属タレント16人を取り上げそれぞれはどんな努力
したのかを書いてあります。実際に著者が会ったのは1人だけであとは芸能誌、
週刊誌などからの抜粋を基本にしたもの。つまり、いわゆる「資料書き」とい
うヤツですね。たぶん、ファンなら知っている事柄が書いてあって、コアなヲ
タなら、「これ書くならあのエピを書いてよ」ぐらいは言いそう。

 では、この本が読むに値しないのかというとそうでもありません。

 やはりたぐいまれなる資質を持った少年がさらに努力して切磋琢磨する姿は
美しく感動的。

 「アイドルは求められたところで最高の結果を出す『最強の存在』でなくて
はいけないと思うんです。音楽でも芝居でもキャスターでも、その筋の専門家
に囲まれる中で『できるね』と言わせるために、人より勉強して、人より多く
の時間を費やさなねばいけない」(亀梨和也)

 なんていうフレーズを読むと、「私も頑張ろう」って思えます。これは、ジ
ャニーズを媒体にした自己啓発本なんですね。

 あと、著者のがんばりにも敬意を表したいです。著者は実際にジャニーズの
オーディションを受けたけど、仕事に呼ばれないまま年を重ねている“ジャニ
ーさんからの電話を待っている組”(今はタッキーからの電話を待っていると
いうことになるのかな?)。30代半ばにしてライターとして数冊の著作をもの
にしつつ、がんばっている最中って感じですね。

 後半で少し、「努力が9割って書くのはムリがあるかなあ」とためらい弱気
になりつつも、そこはふんばって、最後まで「努力が9割」と言い切ったのは
お見事でした。ジャニーズに合格してもおかしくはない爽やかイケメン、いつ
か成功してテレビにコメンテーターとして出てジャニーズのだれかと共演でき
るといいね。

 大きな引き出しで同業者の私が著者に言えること、それは、

「ライターは努力が10割」。

がんばってね!

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。
----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 結局、成功の秘訣は努力なんでしょうか。選択なんでしょうか。AIに仕事
が奪われるかというこの時代、何の分野で努力するかの選択が成功の要因なの
かもしれません。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3001部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.684

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.09.10.発行
■■                              vol.684
■■ mailmagazine of book reviews       [季節が変わりました 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<116>9月になってもウランバーナ

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→98 自由を感じる絵本のせかい

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第116回 黒澤明の贖罪

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<116>9月になってもウランバーナ

 小池一夫氏は、生前に数々のヒット作を生み出し、これを原作として映像化
された作品には、内外の映画監督らに影響を与えた作品も少なくない。
 クエンティン・タランティーノ監督の『キルビル』などは、映画版の『修羅
雪姫』のキャラクターと世界観を、そのまんまの形で、明治の東京から現代の
アメリカに移し換えた作品で、ラストシーンでは、ご丁寧にも『修羅雪姫』主
演の梶芽衣子が歌う主題歌まで流れてくる。

 『子連れ狼』は、やはり映画版が80年代アメリカで公開されるや、その斬新
なキャラクターと、スプラッターなアクションシーンが話題となってヒットし、
映画のヒットを受けて、原作漫画の英訳版も出版された。
 これが、アメリカで日本の漫画が翻訳出版された最初で、いわば「クールジ
ャパン」の先駆けとなった。
 また、その後アメリカで「サムライ」「ニンジャ」がブームとなったのも、
この作品がきっかけ、と言われている。

 だが、小池一夫が、漫画界に残した最大の功績は、『小池一夫劇画村塾』を
立ち上げ、数多くの才能を発掘したこと、これに尽きると思う。

 漫画原作者は、その「原作」を作画してくれる漫画家がいなければ、作品を
発表することができない。
 が、今でこそ、各社こぞって応募型の新人賞を設け、新人漫画家の発掘に余
念がないが、1970年代当時、そのようなシステムはなく、新人漫画家がデビュ
ーするのは、かなりの狭き門、だった。

 そんな状況の中で、発売されているほぼすべての漫画雑誌、及び一部の一般
週刊誌に連載を持っていると、勢い、タッグを組む漫画家は固定化してくる。
一つの連載が終わると、また同じ漫画家と組んで新しい連載が始まる、この繰
り返し。
 これでは、いずれ読者に飽きられる、できればフレッシュな新人漫画家とも
組んでみたい、と思っても、新人漫画家の発掘や育成は、今のようにシステム
化されておらず、なかなか出てこない。

 ならばいっそ、自らの手で新人漫画家を育成して、出版界に送り込もう、と
思い立ったのが、「劇画村塾」創設の直接的な動機だったそうだ。

 1977年春に「第一期」として開講された「小池一夫劇画村塾」は、業界で大
きな話題を呼んだ。
 今でこそ、大学や専門学校に「漫画学科」や「漫画コース」があるのは、別
に珍しくもなんともないが、当時、漫画を教える学校や塾、なんてものは、日
本中どこを探してもなかったのだ。

 しかも、その「日本初の漫画塾」で、塾頭として教壇に立つのが、絵を描か
ない「原作者」である、という点でも、大いに注目された。
 絵の描けない原作者が、どうやって漫画を教えるのか? と懐疑的な意見も、
当時の業界内には決して少なくはなかった。
 手塚治虫は、「絵の描けない小池さんが、どうやって漫画の描き方を、教え
るんでしょうね?」と、かなり冷ややかなコメントを発してもいた。

 が、開塾から1年後、一期生の中から、当時まだ女子大生だった高橋留美子
が「少年サンデー」でデビューし、その直後からデビュー作を元とする『うる
星やつら』の連載を開始。瞬く間に大ヒット作となる。
 さらにその後も、さくまあきら、堀井雄二、狩撫麻礼、山本直樹、とがしや
すたか、菊池秀行、板垣恵介、等々、続々と、しかも漫画界に留まらず、ゲー
ムや小説の世界にも人材を輩出するにつけ、世間の評価は一変した。

 「劇画村塾」には、わしも創設から2年後に「スタジオ・シップ」に入社し
て、その「第二期」から関わってきた。
 週に2回開催されていた授業にも、毎回付き合ってきた。

 その授業では、「絵の描きかた」など、一切教えることはなかった。
 どころか、「絵なんてなあ、ずっと描いてりゃ、そこそこ見られる絵は描け
るようになるんだ」と、塾生の作品を評価する際にも、画力や絵のテクニック
は一切問わなかった。
 さらに「描いても描いても、ずっと絵がヘタだったら、売れてから絵のうま
いスタッフを雇えばいい」とまで言っていた。

 では、ストーリーの作り方を教えていたのか、と言えば、それも違う。
 逆に、「ストーリーを作るな」と教えていた。

 教室で、自身の自慢話を交えながら、繰り返し繰り返し教えていたのは、
「読者が共感できるキャラクターを作れ」ということと、そのキャラクターを、
いかにして「起てるか」ということだった。
 まずはキャラクターを際立たせた上で、そのキャラが、何かになりたい、あ
るいは何かを成し遂げたい、ともがきながら動く、その「軌跡」が、すなわち
「ストーリー」であり、すなわち、ストーリーを作るのは、作者ではなくキャ
ラクターである、と教えていたのだった。
 砕いて言えば、要するに「俳優の育て方」と、その俳優の個性を活かす「演
出」ですね。

 そうやって、2年を1スパンとして2期、3期と回を重ね、1983年からは
「神戸校」も開講し、活動を一旦休止する1990年ころまでには、100人以上に
及ぶ様々な人材を、漫画、ゲーム、文芸の世界に輩出してきたのだった。

 劇画村塾で高橋留美子と同期の一期生だった狩撫麻礼は、30歳を過ぎてから
漫画原作者を志した変わり種だった。
 デビュー前には、主にレゲエを聴かせるロックバーを、小田急経堂の農大通
りで営んでいた。
 わしも当時は経堂に住んでいたので、コンクリートのガレージのような、穴
倉のようなその店に、度々お邪魔した。

 店は、デビューして連載を持つようになってからは手放したようだったが、
住まいがやはり経堂で、当時のわしの住まいからもごく近くだったので、夜、
ビールを買いに出かけたついで、あるいは散歩の途中に、こちらにもよくよく
お邪魔した。
 表通りから、世田谷区独特の入り組んだ路地を入ったところで、木造の、ア
パートなんだけど、なにやら福生あたりの米軍ハウスを思わせるような造りの、
いかにも「狩撫麻礼」な住まいだった。

 「こんばんは〜〜」と、相手の都合も考えずに訪ねて行くと、いつもイヤな
顔ひとつせずに、「いよ〜〜っ」と迎えてくれて、すぐに冷蔵庫からビールを
取り出す人だった。
 「仕事してたんだけど、ちょうど煮詰まってたとこでさ、ちょっと付き合っ
てよ」と、バドワイザーを注いでくれるのだった。

 ビール飲みながら、時には奥さんも交えて、漫画の話や映画の話、それに狩
撫さんの“信仰”の対象であり、ペンネームの由来でもあったボブ・マーレイ
を、熱く語る人だった。
 一見“コワモテ”で、近寄りがたいオーラを発している人だったが、一旦フ
トコロに入ってしまうと、とても気さくで、気遣いの人でもあった。

 あれは確か冬だったと思うのだが、朝、会社に向かおうと経堂駅のホームに
上がると、コートの身を丸めて、ベンチで寝ている狩撫さんを発見した。
 「狩撫さん、狩撫さん」と揺り起こすと、「…ん? あ、よ〜〜っ!」と起
き上がり、「何時?」と酒臭い息を吐きながら訊く。
 「8時半です」と答えると、「ん〜〜、じゃ、もうちょっと寝るわ。これか
ら会社? いってらっしゃ〜〜い」と、コートひっかぶり、またベンチに横た
わるのだった。

 どうやら、どっかで夜通し飲んで、始発で帰ってきて、そのままホームのベ
ンチで寝ていたらしい。
 狩撫麻礼は、自身の作品世界を、身を持って生活の中に体現していた人でも
あった。

 その狩撫さんが亡くなったのを知ったのは、昨年1月の逝去からかなり経っ
てのことだったのだけど、ここ何年、」いや何十年も会ってなかったにもかか
わらず、なにやら大きな喪失感に襲われた。
 あの経堂の部屋のことなど思い出しては、その夜一人で、ビールで献杯させ
ていただいた。

 あの経堂の部屋で、つげ義春の漫画が好きだと言うと、「これ、まだ読んで
なかったら、貸すよ」と、当時発売されたばかりだった晶文社『必殺するめ固
め』を借りて持って帰って、そのうちに返すつもりが、もう四十年も借りっぱ
なしになってしまったけど、狩撫さん、これは、形見としていただいておきま
す。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
98 自由を感じる絵本のせかい

 一度みたら忘れられない絵本。
『うっかりおじさん』
 エマ・ヴィルケ 作 きただいえりこ訳 朔北社

 絵本の中にいるおじさんが、読者に語りかけてきます。

「きみ、ちょうどいいところにきてくれた!
 めがねがみつからないんだ。みなかったかい?」

 ぎょろりとした目のおじさんが、めがねを探し、
 見つかると、また別の物を探し始め、
 自分で見つける気はサラサラなく、人まかせ。

 そんなうっかりおじさんが最後にうっかりしたものとは……。

 絵本の見開きページにもちょっとした仕掛けも施され、
 すみずみまでじっくり読む&見るが楽しめます。

 スェーデンのすぐれた絵本に贈られるエルサ・ベスコフ賞を受賞しており、
 ユーモア大好きな子どもや大人の方へのプレゼントにもぴったりです。

 もう一冊、朔北社の絵本をご紹介。
 『レナレナ』
 ハリエット・ヴァン・レーク 作 野坂悦子 訳 

 30年ぶりの復刊絵本。
 熱狂的なファンをもつこの絵本は復刊が長らく待たれていたもの。
 
 レナレナは不思議なことを自然体で受けとめる少女。
 
 高野文子さんの『るきさん』がお好きな方はきっとツボにはまるのでは。
 漫画ではありませんが、コマ割された絵はグラフィックノベルの雰囲気も感
 じます。

 ネズミに追いかけられて髪の毛を食べられても、びっくりせずに、ネズミが
 食べやすいようにさかだちするのがレナレナ。

 雨が降っているときは、雨を味見して雨茶(あまちゃ)を入れるレナレナ。

 レナレナを見ていると自然と気持ちがほぐれてくるので、休憩タイムにもっ
てこい。

 読んでいるとレナレナのマネしてみたくなりますよ、たぶん。

 『すてきってなんだろう?』
 アントネッラ・カペッティ 文 メリッサ・カストリヨン 絵
  あべけんじろう あべなお 訳 きじとら出版

 楽しみにしていたきじとら出版さんの新刊。
 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞 最優秀翻訳大賞受賞作。

 ご夫婦の共同翻訳で見事、翻訳大賞を受賞されました。

 「すてき」ってどういうこと? どんなもの?
 「すてきないもむしさんね」
 と言われたいもむしは、
 初めて聞いたこの言葉の意味を知りたくて、
 熊やリスなど
 森で出合う仲間たちにたずねます。

 それぞれの「すてき」を聞きながらたどりついたのは……。

 シルクスクリーンを使った鮮やかな中間色がすてき(ふふ、こういう時にも
 使いますね)な雰囲気をつくっています。

 自分の「すてき」って何だろう。
 考える時間も心地よく楽しめます。

 『カルメラのねがい』
 マット・デ・ラ・ペーニャ作 クリスチャン・ロビンソン 絵
 石津ちひろ訳 すずき出版

 7歳の誕生日を迎えたカルメラ。お兄ちゃんと一緒に町に出かけられる年齢
 になったのが嬉しくてたまりません。

 一緒に町に出かけたときにカルメラがみつけたタンポポ。もう綿毛になって
 いたのですが、お兄ちゃんはわたげをふくときは願い事をするときだと教え
 てくれます。

 カルメラはどんな願い事をするのでしょう。
 あぁいいなぁと思えるラストが待っています。

 本書は『おばあちゃんとバスにのって』のコンビが描いた絵本第二弾。
 心を動かされるしっかりした物語に、コラージュを用い、デフォルメされた
 やわらかい色使いの絵がぴったりあっています。

『いっぽんのきのえだ』
 コンスタンス・アンダーソン 作 千葉茂樹 訳 ほるぷ出版

 木の枝からみえてくる自然を描いた科学絵本。

 一本の木の枝を、アジアゾウはハエたたきとして、うるさいハエを追い払い
 チンパンジーはスプーンとして使い、
 ダイサギはプレゼントとしてオスがメスに差し出し、巣作りをする。

 木の枝一本からみえてくる動物たちの暮らし、
 切り口ひとつで世界はまた新しく広がることを感じます。

 コラージュ、にじみ絵など様々な手法であたたかみのある写実的な絵が描か
 れ、ズームアップで描かれた動物たちがみな生き生きしています。

 最後にご紹介するのは伝記絵本です。

『「映画」をつくった人 世界初の女性映画監督アリ・ギイ』
 マーラ・ロックリフ 文 シモーナ・チラオロ 絵 杉本詠美 訳 汐文社

 映画史の研究者の中にはアリス・ギイではなく別の人物が最初に映画をつく
 ったという人もいるようですが、この絵本ではアリス・ギイが世界初の女性
 映画監督として描かれています。

 絵本では各エピソードのタイトルに、アリスが監督した映画の作品名を用い
 られ、それも劇場でみるようなタイトルの雰囲気で書かれ、映画の空気感を
 出しています。また、巻末には、映画それぞれの内容もダイジェストされて
 いるので、映画そのものにも興味がわきます。

 伝記絵本を多く手がけている作者は、今回も文字数に限りのある絵本の中で
 リズムよくアリスを紹介し、人物像を浮き彫りすることに成功しています。
 伝記絵本は絵と言葉の両方で語ることにより、その人となりが立体的にイメ
 ージできるので、幅広い年齢層が楽しめるのがうれしいところ。

 明るい色彩で描かれ、意志を感じるくりっとした目が印象的なアリス・ギイ。
 彼女のつくった映画をみてみたくなりました。
 

(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第116回 黒澤明の贖罪

 映画、それも黒澤明のことになると筆が進む。
 今月も黒澤明関連の書籍にお付き合い願いたい。

 ユニークな黒澤明論に出会った。しかし、論者の間では割と重要なテーマで
あり、さまざまな人が論評を加えているのだが、このことを黒澤明の中心に据
えたものは、執筆子にとって初めて出会ったものだ。
 そのテーマとは、“黒澤明はなぜ徴兵されなかったのか?”という問題であ
る。壮健な成人男子なら誰でも彼でも徴兵され、兵隊として何かしらの義務を
果たさねばならなかったあの時代において、終戦時に35歳であった黒澤明はな
ぜ徴兵されなかったのか? 180センチを越える身長を持っている偉丈夫だった
のに、どうして兵隊に取られなかったのか?

『黒澤明の十字架−戦争と円谷特撮と徴兵忌避−』(指田文夫 著)(現代企
画室)(2013年3月25日)

 著者の指田文夫氏は、2012年まで市役所に勤務しながらさまざまな評論やエ
ッセイを発表している文筆家であり、黒澤明についての評論も数多い。
 本書は指田氏による黒澤明が徴兵されなかったことについての評論である。

 本書では、まず東宝という映画会社について分析する。著者によれば、東宝
という映画会社は、円谷英二率いる特撮の専門家集団を所有していることによ
って、戦時中は軍部と特別なつながりを有していた。実際、山本嘉次郎監督作
品で円谷英二が特撮監督を務めた戦争映画『ハワイマレー沖海戦』(1942年)
では、戦後それを観た米軍が実際の海戦を撮ったと勘違いするほどの完成度の
高い特撮技術であった。その特撮集団は、戦争中に兵隊訓練用のフィルムを数
多く手がける。そのように軍部に協力することによって、他の映画会社よりも
より多くのフィルムの供給を受けていた。東宝は戦争遂行に協力しつつ、他社
よりも多いフィルムを使用して、直接戦争に関わる映画だけでなく、さまざま
な映画を制作した。

 むろん当時は、男女の色恋を描くことや反戦の映画が御法度であるから、映
画は程度の差こそあれ国民を鼓舞し戦争を賛美した映画を作らなければならな
かった。しかしそうであっても、国民の士気を高めるためであれば、戦場と兵
隊と銃後の守りだけの映画ではないものも作っている。黒澤明監督作品『姿三
四郎』(1943年)はその代表的な映画である。

 東宝は、特撮集団を使って戦争に協力しつつ、撮影や照明など映画作りのた
めの職人を徴兵から守った。戦争遂行のために最大限の協力することによって、
映画制作者たちの徴兵を免除してもらった。黒澤は監督という職人として、東
宝によって守られたのだった。

 それが著者、指田氏の考えである。

 そして、1945年(昭和20年)8月15日を迎える。この日を境に世の中は 180
度逆さまになった。東宝では戦争に協力したことによるその反動が、戦後最大
と云われる労働争議に発展した。

 さて、黒澤明である。黒澤明の本質は贖罪意識である。黒澤は、自分は戦争
に行かずに、国内で戦争賛美映画を作り、たくさんの若者を戦場に送り込み、
死なせてしまった・・・という罪を背負い、終生その想いを自己の中に培養し
ていた。黒澤は徴兵を逃れた、という贖罪意識で映画を作っていた。彼のまじ
めな性格は、一兵卒として出陣することにあった。しかし期せずして、会社に
守られて戦争に行かずに映画を作り続けることができた。だから戦後は、その
罪滅ぼしのために、贖罪のために映画を作り続けたという。

 著者がそういう想いを感じたのは「静かなる決闘」(1949年)を観たときで
あった、という。軍医として南方でけが人の手術をしていた医師(三船敏郎)
は、素手で患部に触れ、そのために梅毒に感染してしまう。戦争から戻った医
師には婚約者(三条美紀)がいる。医師は婚約者に梅毒に感染していることを
最後まで云わない。そして婚約者は去って行く。

 つまり、この医師は黒澤そのものなのである。すなわち、「自分の責任では
なく梅毒に罹った」=「自分から進んで徴兵を免れたわけではない」というこ
とである。

 黒澤は、自ら罪の告白をした。
 そしてその後も黒澤の贖罪は続く。著者によれば、その後の「野良犬」(19
49年)、「醜聞」(1950年)、「羅生門」(1950年)と“罪を背負った人間”
を描いている、という。そして、その“罪を背負った人間”がテーマである
「羅生門」は西欧人の心を奪い、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した。

 ここまでは、いくつか首を傾げる処はあっても、まあ納得できる話だが、著
者によれば、かの「七人の侍」(1954年)も黒澤の贖罪意識による映画であり、
「赤ひげ」(1965年)も懺悔と許しの映画である、という理屈にはちょっとつ
いて行けなかった。素晴らしいこじつけに思えて仕方ない。詳細は本書を読ん
でみればよいだろう。

 黒澤明は、誰も戦争の責任を取らなかった戦後の日本において、自分の作品
の中で積極的に戦争の責任を取っている。と著者は云う。
 なるほど、そうかもしれない。でもそうではないかもしれない。黒澤に贖罪
意識はあったであろう。しかしそれだけが彼のあの作品群を制作する主なエネ
ルギーであったとは思えない。
 本書は黒澤明論として面白い展開を取っていると思った。

多呂さ(思えば、8月18日(月)を境に季節が変わりました。連日、雨が降る
季節になっています。ご自愛ください)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 台風の影響で千葉が被災しています。首都圏であっても復興には時間がかか
るというのは意外でした。我々は思ったより脆い基盤の上に生活しているのか
もしれません。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3004部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.684

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.08.20.発行
■■                              vol.684
■■ mailmagazine of book reviews      [地雷とI miss youの間 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #109『ドイツを読む愉しみ』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『ソロエコノミーの襲来』荒川和久 ワニブックス

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『友だち幻想 人と人とのつながりを考える』

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#109『ドイツを読む愉しみ』

 以前この欄で「クラシックはあんなに長くないとダメなのか?」と書いたこ
とがある。
 本書に、その答えを見つけた。

 シューベルトの音楽は長い。
 いや、長いんだそうだ。
 つまり、シューベルトをちゃんと聴いたことがないのだが。

 ともあれ、その理由は従来、「構成力がなかったので、曲をうまく終結させ
られず、だらだら長くなってしまった」と説明されてきたと言う。
 要は、しまりのない作曲家なのか。女性と別れるのも下手で、ずるずる行っ
ちゃうタイプだろう。

 しかし、本書『ドイツを読む愉しみ』の著者、高橋英夫はこれに異を唱える。
 楽曲分析的にはそうなのかも知れないが、文学的に批評するなら、違う答え
が見い出せる、と言うのである。

 この人は、基本、ドイツ文学者。旧制一高から東大独文科という、かつての
文化系エリート・コースを歩み、評論家となった。しかし、ドイツ文学に留ま
らず、小林秀雄や西行を論じ、ドイツ=オーストリアのクラシック音楽につい
ても優れた文章を書いている。

 本書も、ドイツ文学を論じたものが大半で、かつタイトルも「ドイツを読む」
なのだが、冒頭に置かれたのは「音楽の中から」と題する一章で、「バッハ・
エスキス」「謎としてのモーツァルト」「内部(を/から)敲く音 ベートー
ヴェンを読む」「変幻のエントロピー シューベルトを読む」の音楽論4篇が
まとめられている。
 とはいえ、そこはやはり文学者の音楽批評なので、「楽曲分析的」ではなく、
「文学的に批評」することになるのだ。

 その最後の一篇で、「構成力がなかったから」などという残念な理由とはま
ったく異なる、シューベルトにおける長大さの意味が指摘されているのだが、
しかし、「変幻のエントロピー」とは何なのか?

 エントロピーは十九世紀、熱力学から生まれた概念。簡単に言うと、ある状
態がどれだけ混沌としているか、その程度を数学的に表す。したがって、エン
トロピーが増大する、と言えば、どんどん混沌としていく、ということ。そし
て熱力学の第2法則によると、「閉じた系では、エントロピーは増大する傾向
にある」とされる。つまり、自然はほっとくとどんどん混沌としていく、ので
ある。

 例えば風呂が熱すぎた時、水を入れる。もし自然が秩序だった状態を保つな
ら、熱い湯と冷たい水は分離したままであるはず。ところが、湯と水は混沌と
混ざり合い、湯でも水でもない、中間のぬるま湯に落ち着く。エントロピーが
増大して、平衡に達したわけだ。

 そしてこのエントロピーには、もうひとつ重要なポイントがある。「不可逆
性」だ。時間が決して後戻りしないように、エントロピーの増大も後戻りしな
い。ぬるま湯がその内また湯と水に分離することはないのである。

 この熱力学の考えが、二十世紀にはもっと広く捉えられるようになり、文明
論や社会システム論へ応用され、日常の混沌まで飲み込んでいく。挙句、あな
たのデスクの上が、ほっとくと雑多な物に占拠されて混沌となるのもエントロ
ピーの増大であり、自然なことなのだ、決してあなたがずぼらなせいではない、
ということになる。

 その先鞭をつけたのが小林秀雄で、ある友人は彼が現れると「エントロピー
が来た」と揶揄したらしい。それほどその頃の小林秀雄は、ことあるごとに
「エントロピー」「エントロピー」と言っていたんだろう。

 この混沌は、時間にも及んでいる、と著者は言う。
「生活や社会組織の中に設定される各種の会合の時間や過程の時間は限りなく
延長されており、個人、家、社会、世界のどのレヴェルでも生存のために必要
なもの、道具、諸条件が途方もなく膨れ上がっている。それに連動して、絶対
必要ではなく、あってもなくてもいいようなものも空間を圧迫し、あってもな
くてもいい時間が時間軸に絡みついている。寿命の延引、人口の増殖、本や資
料の累積、ごみや廃棄物の山積。すべてについて後戻りは成立しない状況が生
じ、人間を圧迫している」

 身につまされる。断捨離が流行るのも、こうした「空間の圧迫」から逃れよ
うとする抵抗なのかも知れない。働き方改革だの業務の効率化だのも「時間の
圧迫」に対する抵抗なのかも知れない。

 なぜ、われわれが自然の命ずるエントロピーの増大に抗うかと言えば、その
先に待っているのが破滅だからだ。
「適正人口の突破、環境汚染、自然破壊のはての存在すべての熱死状態が仮想
されたからである。現代、人の意識の一隅には無意識の皮膜にくるまれた形で
終末論が埋蔵されているのだ」

 それでも、自然の法則であるエントロピーの増大には逆らえない。
 そうした状況の中で、あってもなくてもいいようなものによる「空間」の圧
迫よりも、あってもなくてもいい「時間」の方が、人間はまだしも耐えやすい。
その「長大化する時間の表現」こそがシューベルトの長大な音楽である、とい
うのが著者の考えである。

 もちろん、シューベルト本人はエントロピーなど知らない。著者が勝手にシ
ューベルトの音楽にエントロピーの増大を聴き取っているだけだ。

「シューベルトのD九六0やハ長調の大交響曲、弦楽五重奏曲、ピアノ・トリ
オなどは、いつまでも微細な変幻に嬉戯しつづけており、そこに私は一切の喜
怒哀楽を浄化してしまったシューベルトを「聴く」。しかし同じ曲に私は、近
代という時代と、その中の人間がいかにしても避けたり廃棄したりしえない一
方進行のヴェクトル、つまりエントロピー的に増大してゆく長さを「読む」。」

 音楽を「読む」ということは、要するに作曲家の意図や技術・技法の分析を
超えて、作曲家の内部にはない何かを召喚する作業なのだろう。
 だから著者は、シューベルトの長さからエントロピーを読み取り、そこから
「エントロピーが来た」とからかわれた小林秀雄を召喚する。そして小林がD
960を聴いた時、「これは西行の歌――願はくは花のしたにて春死なんその
きさらぎの望月のころ――のような曲だ」と言ったエピソードを引いて、「こ
の直観ないし連想には打たれる」と書く。

 そしてこの文章は、こう閉じられる。
「シューベルトに照らし合わせて西行のあの歌が喚び出されたことによって、
長さはいつまでも鳴っていることができる。終わりはない。解決はない。ただ
音だけがある」

 野暮を承知でこれを敢えてほどくなら、季節の循環に自らの死を同化させる
ことで、生を永遠に引き伸ばそうとした西行のように、エントロピーを増大さ
せながらそこに解決を置かないシューベルトは、熱死という終末を永遠に引き
伸ばしてくれる、ということだろう。

 これは、単なる現実逃避なのか。
 それでも最後の言葉、「ただ音だけがある」には、何か宇宙的な響きを感じ
て、立ち去りがたい誘惑がある。
 ともあれ、シューベルト、いっぺんちゃんと聴いてみろよ、ってことか。


高橋英夫
『ドイツを読む愉しみ』
1998年9月25日 第1刷発行
講談社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
再就職が決まらずに一年以上ぐずぐずしていたら、昔の同僚から誘われて、前
の仕事へフリーランスの形で舞い戻ることになりました。それでも、本格的に
フリーでやるぞ、というふんぎりもつかず、未だに名刺をつくっていません。
これもシューベルト的引き伸ばしか。いやいやただの優柔不断でしょ。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『ソロエコノミーの襲来』荒川和久 ワニブックス

 いわゆる日本の少子高齢化については多くの人が論じている。その中で独身
者についてはあまり触れられては来ていない。

 家族を持たない、一人世帯はどんどん増え続けている。世日本の人口は減少
しつつあるが世帯数は増え続けている。すなわち、一世帯当たりの人口が減り
続けている。中でも増えているのが単身世帯だ。

 2018年の数字で単身世帯は全体の28%くらいだが、この比率がどんどん増え
続けていくと予想されている。当然経済主体としても単身主体は無視できない
大きさを持つようになってきている。ここに焦点を当てた本である。

 ちなみにソロとは、著者の定義としては「自由・自立・自給」の3要素を持
っている人で、たとえば夫と死別した高齢で寝たきりのおばあちゃんとかは含
まれない。

 読み進めて行くと分かるが。この著者は単に目先の購買層として独身者(ソ
ロ)を見ていない。これは私の解釈だが、著者はソロをこの世の一つの「触媒」
として世の中を動かして行く存在と見ているようだ。

 そういう前提の下、まず著者は、なぜ日本が未婚化、非婚化、それにともな
う少子化・高齢化に直面するに至ったかを説明する。まず1970年代に日本政府
が少子化を推進していたという事実がある。日本の人口は増えすぎているとし
て1974年に行われた日本人公会議では、子供は二人までという宣言を採択・・
その宣言から日本の人口は明らかなトレンドに入る。日本国民は、会議の宣言
に素直に従った。

 また1965年あたりから、恋愛婚がお見合い婚より多くなってくる。お見合い
婚の減少は、そのまま婚姻数の減少に比例している・・・すなわち少子高齢化
は50年ほど前から始まっている。恋愛結婚が主流となった今でも恋愛強者は3
割くらいしかいない。

 加えて収入の問題がある。男は貧乏だと結婚できないが、女は金持ちだと結
婚できなくなる。何よりも問題なのは、最も人口が多い東京で最も少子化が進
んでいると言うこと。要するに、人口が増える予測が出来そうな要素が全くな
い。

 この流れは今。即変わったとしても今後100年ほどは人口構造に大きな変化
を及ぼさない。すなわち状況は変わらないのだ。だから少子化はこれからも進
むことを前提として受け入れろという著者の主張は、一定の説得力をもつ。

 その上でソロの人たちが作り上げている市場の大きさや消費性向(たとえば
アイドルのおっかけに大金突っ込んでいるファンは、ファングッズよりも全国
を移動する交通費や宿泊費にカネを使っている)とか、世代論(70年代生まれ
とか90年代生まれとか)でソロの消費は似通ったりしない。独身者VS家族持ち
で何に金をかけるのかが全然違ってくるなど、ソロ市場の解説が続いていく。

 そんな中でも特筆すべきは、過去に日本で少子化が進んだ時代として江戸時
代を取り上げて詳細に分析しているところだ。江戸時代、日本は現代に負けず
劣らず独身者が多かった。そうした独身者を当て込んだ商売もよくあったのだ
けど、そうした商売の多くは、現代との共通性を持つ。

 ソロが多ければ外食が流行るし、江戸時代にも外食のはしりである屋台が出
現した。居酒屋の原形が出来たのも江戸時代だし、棒手振りと言う現代のフー
ドデリバリーに相当する商売もできていたなどなど、独身者を当て込んだビジ
ネスが江戸時代にも現代にも同じようにできていることを解説する。

 言い換えると、明治から現代までに日本の人口は4倍くらいに増えたが、む
しろそういう状態こと異常であって、少子化を前提として考えれば人口が4分
の1になってもせいぜい江戸時代レベルに戻ると言うことに過ぎないのだ。

 そして。ソロたちをどうやって動かす(物やサービスを買わせる)かに話が
進んで行くのだが、ここまで読んでいると、確かにそうだろうなとすんなり頭
に入って行く。

 そこで描かれている消費は、いわゆる家族を前提とした消費とは全く違う。
家族のつながりは消えることはないし、これからも存在し続ける。しかし、ど
んな商売をしていても家族とは別の存在である、ソロを市場として認識してお
く必要は確かにありそうだ。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
人との距離感をつかむのは一生の大問題
『友だち幻想 人と人とのつながりを考える』
(菅野仁・著 ちくまプリマリー新書)


 ベストセラーは誤解されてベストセラーになる・・・これがおばちゃまの持
論です。世のコンテンツは著者の真意とズレたポイントに読者が強い印象を持
って売れるケースが多いように思います。

 先日読んだ、少し前の話題作のこの本もその中のひとつかもしれません。

 私がこの本を知ったのは、テレビ番組でした。「小中学校時代の友だちなん
て卒業したら会わないもの」と有名予備校教師が言い、「だから学校時代に、
友だち関係で悩むなんて意味がない」と結論づけていました。おばちゃま、そ
れがとても新鮮で、「たしかにたしかにその通り」と思って、知人に話したら
「でも友だちいないとさみしいじゃん」と言われたんですが意に介せず、「友
だちなんていらないや」と思ってスッキリしたものです。

 多かれ少なかれ、周囲の人との人間関係を煩わしいと感じている人々にとっ
て、友だち関係なんて幻想に過ぎないと喝破してくれるこの本は、胃にもたれ
ていた何かを鮮やかに解消してくれる胃薬みたいなものと受け止められたと思
います。それが30万部の大ヒットにつながったのでしょう。

 でも、有名予備校教師がレクチャーするテレビ番組を見てから半年過ぎた先
日読んでみたら、また別の印象を受けました。

 著者はコミュニケーション論をテーマのひとつにする社会学者で、この本は
お嬢さんが小学校時代に友だち関係で悩んでいるのを見て書かれたとのことで
す。
 読んでいると、友だち関係の「同調圧力」や「同質性共同性」などで個人ら
しく生きるということが社会から認められない傾向について考察しています。
そしてあくまで私の主観ですが、著者のパーソナリティもどちらかといえば人
間関係からは距離を置きたい傾向にあると感じました。それがタイトルの「友
だち幻想」につながっているのかもしれません。

 著者はあとがきで「友だちをつくろうとすることなんてしょせん幻想にすぎ
ない、無駄なことだ」(中略)私はこのような寒々とした虚無的な主張がした
かったのではありません。「友だち」という言葉に象徴される、身近な人びと
との親しさや。情緒をともに共振させながら「生」を深く味わうためには、こ
れまでの常識をちょっと疑って、人と人との距離の感覚について少しだけ敏感
になった方がいいのでは、ということを述べたかったのです」と書いています。

 それなのにそれなのに、テレビでは「友だちなんて意味なし」みたいな結論
になってしまうのはどうして?(それはテレビが極めて大ざっぱなメディアだ
からです)。

 この本の残念な部分は、ではそうしたらいい?という具体論があまり書かれ
ていないところです。著者の紹介するエピソードは学生時代の思い出と大学生
同士のかかわりが少々で、今ひとつパンチがありません。(まあ、大学教員同
士のあれこれなんて書けないしね)。この点は、会社で上司や同僚との関係の
いざこざを経験したり、結婚してからは家族内のゴタゴタや近所づきあいや夫
の親族との関係でもまれにもまれているごく普通の女性と比べて経験値の少な
さが伺われて少し残念。

 おばちゃま、思うんですけど、人との距離って離れたり近づいたり、近づき
すぎて地雷を踏んで頭を抱えたり、離れすぎて見失ってしまって泣いたりの、
0から100の目盛りの中を泥まみれになって学んで、でも何歳になっても学びき
れずに右往左往するものなの。それが一生続くのよ。

 だから思春期の子どもたちに言いたいのは、こういう本を読んで勉強するの
も大切ですが、それよりも「事例研究を重ねるしかないね」ってこと。

 最後に個人的な話を1つ。おばちゃま、先日、中学校時代からの友人を亡く
しました。なぜか号泣することもなく、「まあ、最近はそれほど会うこともな
かったからなあ」と淡々としていたのですが、一か月ぐらい経ったある日、水
餃子を作ったのね。特に特徴のない餃子ですが、しいたけとニラなど野菜をた
っぷり入れて肉は少しで作るのよ。まあまあ、おいしい(自慢)。餃子の皮を
包みながら、「この餃子の作り方を教えてくれたのは彼女だった」と思い出し
たの。そうしたら、涙が止まらず、しばし餃子を包みながらさめざめと泣きま
した。

 よく、その人の体はその人が食べたもので作られていると言われますが、人
はそれまでに会った人たちによっても形作られているのです。だから、シニカ
ルにならず幻想と言われても、距離感0と100の間、地雷とI miss youの間を右
往左往しながら、これからも人とつきあっていきたいと思いました。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。
----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 気づけば配信が10日も遅れてしまいました…。もう9月ですねー。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3006部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 12:43 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.682

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.08.10.発行
■■                              vol.682
■■ mailmagazine of book reviews    [振り返るには生々しすぎる 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<115>ウランバーナの八月

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→97 せかいに広がる楽しいこと

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第115回 平成という時代、この30年間のこと

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<115>ウランバーナの八月

 小池一夫氏の訃報を知ったのは、今年四月に骨折で入院して早々だった。
 享年83。人づてに入院中とは聞いてはいたが、「まさか」と思ったのは、も
っと長生きする人だと思っていたから。
 少なくとも、水木しげると同じくらいには長生きする人だ、と勝手に決めつ
けてもいた。

 1979年、23歳でわしは、小池一夫氏が社長を務める(株)スタジオ・シップに
入社した。
 その辺の経緯は、昔「何の雑誌」に、「就職先は冥府魔道」と題して書いた
こともある。

 漫画が好きで、大学を卒業して就職先を探すに際して、漠然と漫画に携わる
仕事がしたいと思い、出版社の試験をあちこち受けるも、全て落とされて…っ
て、当たり前ですね、「漠然と」「なんとなく」そんな仕事がしたい、と思っ
てるような人間、要りませんね。
 わしが採用担当でも、落とします。

 そんなわしを、出版部門も持っていたスタジオ・シップは拾ってくれたのだ
が、面接の席で「いつから来られる?」と訊かれて、「あ、もう今日からでも!」
と勢いよく答えたら、「じゃ、とりあえず、そこでうちの本読んで、どんなの
作ってるか見といて」と先輩社員に言われたとおり、応接室にこもって壁いっ
ぱいの本棚に並べられた小池一夫作品を、片っ端から読んだ…のだけど、それ
っきりで、誰もやってこない。

 時計を気にしながら、言われた通りに本を読んでたのだが、午前1時頃、ド
アが開いて、「あ? まだ居たんだ? ごめん、ごめん、もう帰っていいよ」
 と言われても、もう電車も動いていない。
 「あ、だったら、仮眠室があるから」と言われて、入社初日からわしは、会
社に泊まりこんだのだった。

 それから1987年の暮れまで、当初は「マネージャー課」で後に「秘書課」と
名称が変更された部署で、「オメーは、ホントに使えねー奴だな」と言われな
がら、小池氏の秘書…的な仕事を主に務めてきた。
 仕事は、「社長」こと小池氏の身の回りの世話から担当編集との連絡、原稿
の受け渡し等々で、マネージャー課、後の秘書課には、常時5〜6人がいたの
だけど、入れ替わりもかなり激しかった。

 入社した1979年から1980年代半ばにかけては、小池氏の仕事量もピークの時
代で、連載も、週刊誌に常時5〜6本、隔週誌・月二誌にも6〜7本、その他
月刊誌などをあわせると、連載本数は20本を軽く超えていた。
 この連載本数をこなすため、小池社長はたいていホテルに籠りきりで、1週
間、月曜から日曜日まで、休みなくほぼ毎日、1日あたり「2本」の原作原稿
をあげていかなければ追いつかない、というスケジュールが常態だった。

 おおむね、午後に1本、夜から深夜にかけて1本、というルーティンで、原
稿があがる目途が立つと、「来といてくれ」という電話があり、ロビーで待機。
その後、「出来た」という電話が会社にあると、会社からロビーに待機する班
(たいていは二人組だった)に、ホテルのフロント通して部屋に上がるよう伝
言してもらう。
 携帯電話のない時代、連絡はかようにややこしかった。
 待機班は、連絡受けるとすぐさま部屋に走り、出来上がった原稿を受け取り、
「素材」と呼んでいた、前回までのゲラを綴じたものや「キャラクター帳」と
いう、ページごとにその作品の主人公以下、登場人物の顔を貼りつけて、その
特徴や人称を描きこんだノート、その他資料類を、次にかかる作品のものに入
れ換える。

 さらに、社長と接触できるのは、1日の内にこの機会だけなので、会社から
持ってきた決裁書類や郵便物などを手渡す。
 わしらが一番緊張したのがこの時で、何ごともなければ、そのまま会社へ原
稿を持ち帰り、コピーを取った上で、編集者、あるいは同じ社内の漫画家に手
渡す。
 が、ここで何らかのミス…必要な「素材」の一部がなかったり、会社から持
ってきた書類の説明がうまくできなかったり…があると、たちまち社長の逆鱗
に触れることになる。
 なにせ、1日に2本…1本あたりは16ページ〜24ページの漫画シナリオなの
で、原稿用紙で約20〜30枚を1日に2度書き上げるのだ。
 常に「ピリピリ」と神経張りつめてるし、ストレスも常に頂点にある。なの
でちょっとなにかがあると、「ぴきん」と切れてしまうのですね。

 いったん切れてしまうと、もう取集がつかなくて、ミスしたわしらを怒鳴り
散らして…あれはもう叱言というより言葉の暴力に近かった。
 で、さんざ怒鳴り散らした挙句に、「もう今日は仕事する気分でなくなった」
と言い残し、「気分転換」と称して夜の銀座方面へ出かけて行くことも、まま
あった。
 わしらは「ぷっつん」と呼んでいたが、この状態になってしまうと、もうそ
の日は絶対に原稿は上がらないので、担当編集に電話をして謝る。社内作家の
場合は、たいていは社内の仕事場で原稿を待っているので、直接出向いて謝る。
 その際には絶対に、「我々のせいで」原稿が進まなくなった、と「きちんと」
経緯を説明せねばならず、さもなければ、また再びの逆鱗となるのであった。

 普段からギリギリの状態で入稿しているので、1本が遅れると、しわ寄せは
その後のスケジュールに影響して、さらにタイトになっていく。
 漫画原作の場合は、そのシナリオを漫画家がネームに起こし、さらにそれを
原稿にする。すなわち、ネームコンテのとおりに枠線・フキダシ→下絵→ペン
入れ→仕上げ、との行程経て初めて「完成」となる。
 常にスケジュールがタイトな小池一夫作品の場合、漫画家にシナリオが渡っ
てから、多くて4日、平均するとおよそ3日間が、漫画家に残された校了まで
のリミットで、上記のような理由でこれが遅れると、時間はさらに圧迫された。

 このしわ寄せによって、漫画家に原作シナリオが渡ったのが校了前日、とい
うこともあった。
 このとき、小島剛夕さんは、16ページの原稿を、なんと24時間で仕上げてし
まったのだが、おそらくは、ネームを切った後、原稿はもう下描きなしで、い
きなりペンで絵を入れていったのだと思う。
 翌日届いた完成原稿のコピーには、きちんと背景も入っていて、「ほえ〜〜
っ!」と、ただただ驚いた。

 勤務にあたっては、課員で早番遅番のシフトを組んで、早番で終了がおよそ
夜の8時頃、遅番だとたいていは深夜0時乃至2時3時、という勤務状態で、
もちろん土日も出勤。休日はシフトの合間でおよそ週に1日。ヘタするとそれ
も吹っ飛んだ。
 今なら、完全な「ブラック企業」だわ。

 わしは、今もそうなのだが、若いころから「うっかり」や「ポカ」や忘れ物
のとても多い人間で、そのせいで小池社長を「ぷっつん」に陥らせることも、
とても多かった。
 おそらく、歴代のマネージャー、秘書の中でも、社長を怒らせ「ぷっつん」
させた回数では、ベスト5には入ると思う。
 なにせ、小池社長の訃報を聞いたときにも、思い出すことと言えば、怒られ
ているシーンばっか、だったもの。

 小池社長は、講演や付き合いなどで地方へ出張することも度々だったのだが、
連載をこなすためには、その行き先にも仕事を持って行くのは当然で、行き先
には関西が多かったのだが、「地元だから地理に明るいだろう」という理由で、
わしが同行することが多かった。
 同行、と言っても、一緒に行くわけではなく、まずは仕事の「素材」や、着
道楽の小池先生の着替え等、2泊3日ほどなのに、なぜか大型トランク3つ4
つばかりの大荷物を、まずは航空便に託してこれと同じ便に乗り、行き先の空
港で借りたレンタカーに荷物を積んでホテルに先乗りする。小池社長が到着後
すぐに仕事を始められるよう、予め部屋を設えておくのだ。

 小池社長は新幹線利用で、ホテルの部屋を設えた後に駅に迎えに出ると、た
いていの場合、その車内で既に1本原稿をあげていて、受け取ったそれをホテ
ルからファクスで送信した後は、次の原稿があがるまで自室で待機、というの
が概ねいつものパターンだった。
 わしが入社する2年前から始めていた「小池一夫劇画村塾」の、神戸校を開
塾して後は、毎月1回、その開催日を挟んで3〜4日は神戸滞在、というのが
恒例化した。

 わしは、元「ガロ」少年で、だから入社してしばらくは、ケレン味たっぷり
な大舞台で大風呂敷なストーリーを展開するエンターテインメントな作風には、
なかなか馴染むことができなかったのだけど、出張に同行することで、「劇画
村塾」でいつも強調していた「キャラクター論」の講義を、いわばマンツーマ
ンで受けることが出来た。

 「ストーリー」は、作者が作るんじゃなくてキャラクターが動いた、その軌
跡がすなわちストーリー、とか、読者は「物語」に感動するんじゃない、キャ
ラクターと一体となり、その悲しみや怒りや笑いに「同調」して初めて、キャ
ラクターとともに、泣いたり笑ったりするんだ、だから、まずは「キャラクタ
ーを起てる」ことが何より重要、などなど。
 これらの教えは、今も実践するとともに、漫画のみならず、小説や映画シナ
リオにも応用して、学生たちに伝えてもいる。

 小池社長とは、その後も縁があって、書店を閉店した後、なにか仕事はない
ですかね、と、当時教授職だった大阪芸大に訪ねて行くと、「じゃ、俺の仕事
を手伝え」と言われて、2004年から約4年間、関西駐在秘書という形で、芸大
の仕事を手伝わせてもらった。

 作家の団鬼六さんは、投機欲と事業欲の大変に旺盛な人で、生前には作家活
動のかたわら、投機や事業への投資に血道をあげていたそうだが、小池社長に
も、これと似た“山師”的な性向があった。
 そもそも、さいとうプロダクションで脚本の仕事に就く以前は、雀ゴロまが
いの生活もしていたらしいし、晩年には、事業欲と投機熱が嵩じて、周囲に軋
轢を生じさせもした、というウワサも耳にしたが、それもまた「あの先生らし
いな」と、別段驚きはなかった。

 今回は、八月、ウランバーナ(盂蘭盆会)にあたって、小池一夫氏と、昨年
に亡くなった「劇画村塾」出身の狩撫麻礼氏、さらに著者物故後の今年5月に
「遺書」とも言える『全身編集者』が発売された元「ガロ」編集者の白取千夏
雄さん、そしてその妻でやはり物故者のやまだ紫さんにも言及するつもりが、
紙数が足りなくなってしまった…ので、来月もまたウランバーナのこころ、な
のだった。

 が、それら既に亡くなった人たちに、ひと言だけ言っておきたいのは、どう
か「安らかになど眠らないでください」ということ。

 生前に物語を紡いできた人たちには、死後もまた「幽霊」となって、生きて
る人間に刺激を与え続けて欲しい、と思う。
 そしてそれが、創作者の使命であり、宿命なのだ、と思うココロなのだった。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
97 せかいに広がる楽しいこと

 山中湖にある喫茶店「あみん」から23年間の営業を閉じたという葉書をいた
だきました。子どもたちが小さいとき、一度だけ家族5人で遊びに行ったこと
があるのです。もう一度うかがいたかったなあ。

「あみん」の樋口範子さんは、高校卒業と同時にイスラエルに渡り、2年間キ
ブツ(集団農場)で働き、帰国後は山中湖畔にある児童養護施設の保育士、パ
ン屋を経て、喫茶店経営に。そして現在はヘブライ文学の翻訳をライフワーク
にされていると、訳者紹介にあります。

 2003年にさ・え・ら書房より刊行された『もうひとりの息子』を読み、やま
ねこ翻訳クラブのメープルストリートという新刊紹介ページで紹介しました。(※)
それがきっかけで、編集者の方から樋口さんを紹介され、会いに出かけたので
した。いま日付を確認すると、16年も前のこと。

(※)『もうひとりの息子』紹介ページ
http://www.yamaneko.org/maplestreet/p/saera/2002.htm#musuko

 さて、今年5月にその樋口さんの翻訳された絵本がこちら。

 『もりのおうちのきいちごジュース』
 ハヤ・シェンハヴ 文 タマラ・リックマン絵 徳間書店

 色鮮やかな黄色の表紙絵にいるのは、ライオンとキリン。
 真っ赤な色をした屋根の家、そこに「きちいごジュース」とかかれた木札。
 ライオンとキリンはだれが住んでいのだろうかと訪ねることにします。

 ドアベルをならし、誰なのかたずねても、「ぼくは〈きいちごジュース〉」
とこたえるばかり。そこでドアが開くまで待っていると、ぴょんと飛び出して
きたのは……。

 1970年に出版された原書はイスラエルのロングセラー。鮮やかで魅力的な色
彩は目を見張る美しさ! のびやかに描かれる動物たちはいきいきしています。

 真夏のじりじりするような暑さの中、この絵本を読みながら「あみん」で飲
んだジュースを思い出しました。
 

 次にご紹介する絵本は「いたばし国際絵本翻訳大賞」受賞作です。
 板橋区では、1994年より外国語絵本の翻訳コンテストを行っており、受賞し
た作品をきじとら出版さんが刊行されています。

 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)で最優秀翻訳大賞を受賞した
翻訳作品がこちらです。

 『てつだってあげるねママ!』
      ジェーン・ゴドウィン&ダヴィーナ・ベル さく 
      フレヤ・ブラックウッド え  小八重 祥子 やく

 パパのお誕生日の準備で、ママは朝から大忙し。
 お姉ちゃんのハティもママのお手伝い。
 ところが、昼寝をしたママが起きないので、
 疲れているからママは寝ているんだろうと、そのまま起こさずに
 ハティはひとりで誕生日パーティの準備をはじめます。

 ママがパーティに必要なことを口にしていたのを思い出しながら、
 せっせと準備していくハティのはたらきのすばらしいこと!
 
 わたしの好きなシーンは、家の中をお花で飾るところ。
 花を飾るといえば、花瓶に生けることしか思いつかないのは大人の頭でしょ
うか。ハティが飾る場所のそれぞれセンスがよく感心してしまいます。
 ぜひ絵本をひらいて、みてみてください。
 
 この絵本では小さいお姉ちゃんが手伝いしてくれていますが、
 どこの家でも子どもが手伝ってくれると、うれしいものですよね。
 疲れきってソファで眠ってしまったとき、高校生の娘が受験勉強の手を休め
て洗濯物を干してくれたときはうれしかったなあ。


 最後にご紹介するのは、物語。
 夏休みのような長い休みのとき、図書室でたくさん本を貸りるのが何よりの
楽しみだったことを思い出しました。

 『貸出禁止の本をすくえ!』
      アラン・グラッツ 作 ないとうふみこ 訳 ほるぷ出版

 主人公、エイミーアンは9歳。家では小さい妹たちがうるさいので、好きな
本をゆっくり読める図書室が憩いの場所です。

 ある日、自分のお気に入り本が図書室から消えていてびっくりします。

 保護者数人が小学校の図書室にふさわしくないと判断した本に対し、教育委
員会も同意したため、その本が貸し出されなくなったのです。

 エイミー・アンは引っ込み思案で、自分の気持ちを家族にすらなかなか伝え
られないのですが、大好きな本が読めなくなることに対して、立ち上がります。

 エイミー・アンがいいたいことをいえない描写が続くので、もどかしく、い
つ言葉にしていくのだろうと、貸出禁止の本の行方以上にハラハラしました。

 本では、声に出していない心の声を知ることができるので、よけいもどかしさ
が募ります。けれど、「声に出せばいいじゃない」と簡単に思いがちなことを実
行にうつす難しさがリアルに描かれているので、エイミー・アンに気持ちが近づ
き、がんばれ!と応援したくなるのです。

 それにしても、この物語に出てくる禁止本は、過去30年間にアメリカの図書館
で少なくとも1度は実際に異議申し立てや貸出禁止措置を受けたことのある本だ
ということには驚きです。

 世の中にはさまざまな価値観の人がいるからこそ、意見の違うことについて、
自分の頭で考えて話をしていく必要性が多くあります。
 
 内気なエイミー・アンが大好きな本を守るためにとった行動は、意志を自分の
言葉で伝える強さが大事なことを教えてくれるのです。

 エイミー・アン、ありがとう。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/
----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第115回 平成という時代、この30年間のこと

 令和の時代になって3ヶ月が過ぎた。
 時間は一定に流れている。しかしその一定に流れる時間の中で、日本人は元
号というしくみを作り、それを制度として千年以上続けている。特に約150
年前の明治から、天皇陛下の代替わりに伴い、元号も改まるという制度になっ
てからは、はっきりと元号が時代を表わすことばになっていく。明治時代、大
正時代、昭和時代・・・と続き、ついに元号が令和になった途端、いよいよ平
成時代が一括りで誕生した。平成元年(1989年)〜平成31年(2019年)。この
30年間のひとつの時代は、未来においてどんな時代だったか、と総括されるの
だろうか。30年間という長さはひとつの時代としてみた場合、長いと感じる人
もいれば短いと感じる人もいるだろう。

 振り返るには近すぎる。
 また、振り返るにはまだ熱すぎる。
 さらに、振り返るには生々しすぎる。
 いずれにしても今、わたしたちはこの平成時代を生き抜いたわけだ。
 そして、早くも平成という時代を総括しようという動きが見えだした。

『街場の平成論』(内田 樹編)(晶文社)(2019年1月30日)

 編者の内田樹氏を含めて、9人の執筆者による平成時代への思いの書。登場
順に、内田樹(フランス文学者・哲学者)、平田オリザ(劇作家)、ブレイデ
ィみかこ(保育士・ライター・コラムニスト)、白井聡(思想史家・政治学者)、
平川克美(実業家・文筆家)、小田嶋隆(コラムニスト・テクニカルライター)、
仲野徹(病理学者)、釈撤宗(宗教学者・浄土真宗住職)、鷲田清一(哲学者)。
現在のこの国において、どちらかというと野党的立場の論客たちのエッセイ集
と思えばよいか。それぞれの専門分野でわかりやすく、それぞれの“平成”を
振り返っている。

 はしがきで内田樹氏は、1989年の時点で感じていた不安や期待やときめきを
思い出し、そして30年経った今の現実の世界を並べてみてほしい、と云う。30
年前の予測が劇的に外れてしまったことについて考えよう、と云う。

 そして引き続き、内田氏は自己の文章で、戦後史五段階区分説を展開し、こ
の日本という国が衰退していることを証明してみせる。アメリカと対等になれ
そうでなれなかった。アメリカから真の独立を勝ち取ろうとして負けた、と云
う。いまはもう涅槃の時になっている。もう何も語らない。日本は衰退してい
る。

 続く平田オリザ氏は、この30年間の日韓関係を解説する。両国の関係は、ま
るでジェットコースターのようだ。従軍慰安婦問題、サッカーワールドカップ
共催、韓流ブーム、靖国&竹島問題、K−POP、そして徴用工問題。この微
妙な両国の問題はどこにあるか。日本はアジア唯一の先進国の座から滑り落ち
たことを認めたがらず、韓国は先進国入りしたことにまだ慣れていない、と云
うところに帰着する、と平田氏は看過する。

 三番目のブレイディみかこ氏は、この30年間の男女の関係を“セクハラに始
まり、セクハラに終わる”と見なした。現在の日本において最も怒りを多く持
っているのは女性であろう、と云う。“ガールズパワー”は、女性が自分で道
を切り開くそのエネルギーを指すが、“女子力”となると男性に気を配る女性
の作法、になってしまう。みかこ氏はこのジェンダーギャップの差が大きい日
本で女性たちよ、もっと頑張れ、と吠えるのである。

 次の白井聡氏は、『永続敗戦論』や『国体論』の著者であり、本書でも持論
を存分に展開している。平成が始まったとともに三つの終わりがあった。1昭
和の終わり 2東西冷戦の終わり 3戦後日本の高度成長の終わり。そして時
代はポストヒストリー時代となり、人々は歴史的な方向感覚を見失った、と看
過する。また「成熟の拒否」=感情が成熟せずに単純化する、と云う。白井氏
は平成という時代を極めて学者的に見事に分析してみせる。

 さて、平川克美氏は、昭和の終わりのころ(昭和63年の秋以降)を描写し、
あの雰囲気を読者に思い起こさせる。自粛のご時勢だった。そして東日本大震
災。平川氏はこのふたつをみた後、消費者の観点から平成を見直した。市場原
理に忠実な消費者としての個人は、まったく自由がきかない。結婚年齢が30年
間で7歳も上がったことがその大きな証明となる。本当の個人へと脱皮しない
とこのほつれは解けないと平川氏は云う。

 小田嶋隆氏の論はとてもわかりやすい。インターネットという別の脳を持っ
たゆえに、みな互いに手の内を知ってしまった。そして人との違いを何に求め
るかと云えば、偏見と独断こそが武器になる、と云う。さらにSNSにより、
人は自分が何をしたいのか、何を欲しているのか、という問いよりも、人にど
う見られているか、どう見られたいか、人は自分に何を期待しているか、を真
っ先に考えるようになってしまった、と云う。群れの中でしか生きられない。
小田嶋氏は人のいわし化が始まった、と総括した。

 病理学者の仲野徹氏は、この30年間の生命科学の進歩を総括する。人のゲノ
ムが予想以上に早く解析された。ヒトゲノムは解析され、遺伝子改変は容易に
できるようになり、核移植クローンは霊長類でも成功してしまった。生命科学
の分野ではこの30年間に進歩しかなかった。しかし、まもなく、生命科学も他
の分野と同じく進歩が止まることになるに違いない、と仲野氏は予言する。

 釈撤宗氏は宗教についての30年間を振り返る。云うまでもなくオウム真理教
とイスラムの波が二大事件であった。「排他主義」がキーワードになろうか。
そこに暴力が存在するのである。そして宗教の問題はそれによって、まったく
他人事ではなく、無関係でも傍観者ではいられなくなる。そこに難しさがある。
伝統宗教は何千年かという時間を掛けて鍛錬に鍛錬を重ねてきた。その伝統宗
教はこの事態に対して何かをなさなければならないだろうと釈氏は結ぶ。

 最後に哲学者の鷲田清一氏は、この30年でふつうの人の所在が不明になった、
と云う。ひとつの行動規範、「常識=コモンセンス」がなくなり、当たり前が
そうでなくなる。そういう当たり前のことをしていたふつうの人がいなくなっ
たのだ。やはりここは人に頑張ってもらい、自分で考えないといけないだろう。

 総じて、平成の30年間で人は皆、考えなくなった。わかりやすい方、耳に心
地のよい方を簡単に選び、調べることはインターネットに任せてきた。それが
進化なのか、どうかは執筆子にはわからないが、それが進化ならそんな進化は
お断りだ。

 そして本書を読んで、感じたことはタフな頭でタフに考えないと令和の御代
は乗り切れない、ということだ。滅びるか生き延びるかは、まさに考えるか考
えないか、それにかかっている。


多呂さ(連日の猛暑、酷暑、炎暑。ご自愛ください)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 発行が遅れました。まさにお盆まっさい中ですね。
 
 台風も心配ですね。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3012部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 20:50 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.682

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.07.20.発行
■■                              vol.682
■■ mailmagazine of book reviews       [相当なプレッシャー 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #108『桃山ビートトライブ』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『アンゴルモア 元寇合戦記』むたかぎ七彦 角川書店

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 今回はお休みです

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#108『桃山ビートトライブ』

 音楽をテーマやモチーフにした小説は、音楽ミステリー、音楽SFを何度か
取り上げてきたが、音楽時代小説というのはなかなかない。

 以前紹介した、夢枕獏の『陰陽師』シリーズから生まれたCDブック、『蝉
丸 陰陽師の音』に収められた短編「蝉丸」ぐらいだろうか。

 本書は、その希な例であり、しかも短編ではなく堂々たる長編である。少し
前の作品だが、極めて貴重な一冊なので、ご紹介したい。

 タイトルは『桃山ビートトライブ』。桃山と言えば安土桃山時代。そこから
辛うじて歴史ものとわかるが、後半はカタカナ。しかも耳慣れない「トライブ」
なんて言葉が出て来る。

 一見正体不明のこの小説、天野純希が小説すばる新人賞を受賞したデビュー
作である。

 トライブは「部族」という意味だから、ビートトライブは「ビート族」と言
うことになる。一瞬、アレン・ギンズバーグやらジャック・ケルアックやら、
ビート派詩人を連想してしまうが、それとは何の関係もない。

 第一、桃山時代は豊臣秀吉が天下を取った時代。無論、当時の音楽にビート
なんて概念はない。

 しかし、激しいリズムの音楽はあったかも知れない。そしてそれは、後のビ
ートに近いものであり得たかも知れない。

 そんな大胆極まる空想を手がかりに、その時代の音楽にまつわる史実を巧み
にちりばめることで、著者は説得力に満ちた架空のビート・ミュージックを言
葉で紡ぎ出すことに成功している。

 演奏する「ビート族」は、こんな面々だ。

 まず、藤次郎。人様の物を盗むことで、辛うじて生き延びてきた孤児である。
それがひょんなことから、三味線を手に入れた。その頃時代の最先端だったこ
の楽器にはまった彼は、日本一の三味線弾きを目指す。

 次いで、小平太。父親は笛をつくる職人だったが、自分は笛を吹く笛役者を
目指し、家を出奔。出雲のお国の一座に入る。お国のモデルは、もちろん、実
在の人物であり、歌舞伎踊りの創始者とされる、出雲の阿国だ。

 そして、弥助。この男、和名だが、なんとアフリカ人である。モザンビーク
の漁村に生まれたが奴隷商人に捕まり、インドへ。そこで宣教師に買われ、日
本にまで辿り着いた。新し物好きの織田信長に引き取られたが、本能寺の変以
後、堺商人の下で通詞として働く。その時、やはりはるばるアフリカから流れ
着いた太鼓を手に入れ、子供の頃に習い覚えた本場仕込みのパーカッション・
プレイを聴かせるようになる。

 最後に、ちほ。童女の頃に出雲のお国を見て、自らも独学の踊りを始める。
また、喧嘩の達人でもあり、パンチとキックで男といえども簡単になぎ倒す。
十代になってある一座で踊るようになるが、当時の踊り子は娼婦でもあり、庇
護する武士や金持ちの夜伽を申し付けられて、大暴れ。一座を飛び出してしま
う。

 この四人が出会い、ビートトライブ、つまり、バンドを結成するのだ。

 しかも、いまで言うなら、フリー・インプロのジャム・バンドなのである。
フリー、すなわち自由。インプロ、すなわち即興。ジャム・セッションのよう
に決め事は何もなく、その場でひらめいたフレーズを応酬することで、ひとつ
の音楽を創り上げるスタイルだ。

 弥助の叩き出す強靭なアフリカン・リズムの上に、藤次郎の激しい三味線の
低音リフが絡み、小平太の笛が高い音域で奔放に跳ね回ると、そのサウンドに
合わせてちほが狂ったように踊る。

 この、画期的な音楽は、たちまち評判を呼ぶのだが……

 さて、物語にはふたつの対抗軸がある。

 ひとつは、ビートトライブ内の葛藤。それは笛役者の小平太と、残り三人の
対立である。

 小平太は家出などした割には小心な性格で、きちんと決められた譜面通りに
演奏することを好む。

 だから、始まったらどんな曲になるか、ミュージシャン自身にもわからない
自由な即興には居心地の悪さを覚えるのだ。

 これは著者が実際に音楽をやっているからこそ生まれた発想だろう。

 確かにミュージシャンは、自由に演奏したいと思いながらも、完全に自由だ
と不安になるものだ。

 不自由な音楽の典型はクラシックである。ほぼすべての音があらかじめ作曲
家によって決められている。それでも、同じ曲をポリーニとアルゲリッチとル
ビンシュタインが演奏すれば、それぞれ個性があるように、解釈の余地は存在
する。その微妙な差の創出に、音楽家生命を賭ける人たちがいる。

 一方、オーネット・コールマンが創始したフリー・ジャズのように、極力決
め事を排し、自由な、その場限りの即興にすべてを賭ける人たちもいる。

 もちろん、その両方の要素を持ち、不自由さと自由さの間を振り子のように
揺れながら、自分の音楽を創るミュージシャンが一番多いのだが。

 ともあれ、音楽的葛藤はバンド物の小説につきもので、『桃山ビートトライ
ブ』もまた、そのセオリーをきちんと踏襲しているわけだ。

 もうひとつの対抗軸は、彼らミュージシャンと、権力者との対立である。

 これは、時代小説ならではの葛藤と言っていい。

 悪役は石田三成。豊臣方の武将であり、戦よりも権謀術数に長けた能吏とし
て描かれている。

 秀吉が天下を取り、ようやく戦国の世が終わって平和が訪れたのはいいのだ
が、新政権は検地を行って農民を土地に縛り付け、刀狩りで抵抗の手段を奪い、
重税によって庶民を苦しめた。

 そうした政策の実行者が、石田三成だった。

 彼は戦乱の混沌から決別し、下克上のような無法が二度と起こらない、管理
され統制された社会を目指した。その一環として、ミュージシャンを忌み嫌っ
たのである。

 当時、音楽や芸能を生業とする人々は河原者と呼ばれたが、それは京都であ
れば鴨川の河原に小屋を掛けて、芸を披露し金を稼いでいたからだ。そしてそ
の河原という場所は、誰の所有地でもなく、時の支配者の権力すら及ばない治
外法権であった。

 当然、河原者は税を払わない。賦役にも応じない。戦があっても参加しない。

 そのような連中がはびこっているのが、三成にとっては目障りだったのであ
る。

 かくして三成が代表する豊臣家と、河原者たちの対立が生まれる。

 物語はふたつの葛藤を絡めながら、ビートトライブたちの運命を描いていく。

 しかし、こうして見ると、ふたつの葛藤は、結局「自由」をめぐる葛藤なの
だ、ということに気がつく。

 音楽における「自由」をめぐる、小平太vs.藤次郎、弥助、ちほの対立。

 そして、体制による支配からの「自由」をめぐる、豊臣家vs.河原者の対立。

 自由になりたい。

 訊かれれば、誰しもそう答えるだろう。

 不自由より、自由がいいに決まってる。

 しかし、自由は時として孤独を意味することもある。

 すべての責任が、我が身に降りかかってくることでもある。

 それは甘い幻想のような柔らかいものではなく、ひりひりするような苛烈さ
と厳しさを人に要求する。

 社会に守られることなく、野垂れ死ぬ自由もまた自由なのだ。

 それでも、そのようにしか生きられない人たちがいる。

 そんな彼らの名こそが、「河原者」であり、「ビートトライブ」なのである。

天野純希
『桃山ビートトライブ』
集英社文庫
2010年9月

おかじまたか佳

素人書評家&アマチュア・ミュージシャン

自由。そう言えば、現在の政権与党も、党名にこの言葉を掲げていますね。そ
の後に「民主」と続く以上、決して「自分たちの好き勝手に政治をする」とい
う自由ではないはずだが、どうも怪しい気がする。この号が出る頃は参院選。
あなた、投票に行きましたか?

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『アンゴルモア 元寇合戦記』むたかぎ七彦 角川書店

 日本のコミックの豊饒さは前から何度も指摘しているけども、これもその一
つと言えるだろう。文永の役を描いているのも異色なら、戦いの舞台が対馬な
のもこれまた異色である。今も続いている続編では、北九州が舞台になってい
るが、対馬の分の10巻だけで完結しても全く問題がない。

 元の軍隊は福岡に上陸する前に壱岐、対馬を襲っている。記録が残されてい
るのは、地頭の宗助国が討ち取られたということと、主人公の朽井迅三郎の由
来になっている人物がいたというだけで、あとは全て作者の創作らしい。

 スタートは玄界灘の嵐の中を行く囚人移送船。移送されているのは対馬に島
流しになった囚人たちだ。嵐に翻弄され、今にも転覆しそうな移送船の囚人た
ちは手を縛られている。このまま転覆したら助からないと役人に手枷を外して
ほしいと懇願する囚人たち。

 迷った末、役人は囚人の手枷を解いた。囚人の一人、朽井迅三郎は「オレな
ら外さない」とつぶやく。手枷足枷を外された囚人は、すぐさま反乱を起こし
て役人を海に放り出して逃げようとした。

 嵐が過ぎ、対馬に着くと、意外にも領主の娘、輝日姫がやってきて歓迎して
くれる。いったいなぜ歓迎されるかと訝る囚人たちは、間もなく対馬に蒙古が
やって来ることを知らされる。要は戦うために彼らは派遣されてきたのだった。

 とはいえ、犯罪者数十人程度では屁の突っ張りにもならない。対馬の領主と
その家来たちも、囚人たちなどたいした役には立たないと思っていた。そんな
夜に、密かに対馬に入っていた蒙古の先遣隊が輝姫を襲う。朽井は蒙古先遣隊
を撃退するが、先遣隊リーダーは「義経流」の使い手だった。朽井も義経流の
使い手である。

「なぜ蒙古に義経流の使い手がいるのか」そんな謎を残しつつ、物語は進んで
いく。対馬の様子を見にきていた福岡太宰府の主の息子少弐景資は、7日で援
軍を連れて戻ってくるから、朽井になんとか7日間、この島を守ってほしいと
依頼し、対馬を後にした。

 とはいえ、元の軍隊は強大で、対馬の手勢は200人もいない。勝てっこない。
そのため、いかに元の軍隊の侵攻を遅らせるか、彼らが日本本土侵攻に向かう
日まで持ちこたえることが戦略目的となる。地頭の家来たちと囚人たち、そし
て刀伊祓と呼ばれる防人の末裔たちの「一所懸命」の戦いが続く。

 そう、このコミックのテーマは、「一所懸命」なのである。対馬は島だから、
どこにも逃げ道はない。自分の居場所を守るために、今、生きているこの場所
を守るために全力を尽くす。このテーマがストーリーを貫いているから、誰も
かれもが死んでいく負け戦の陰惨な物語を最後まで読ませるのである。

 そんなことを書いていて、ふと思い出したのは、ハンニバル戦争である(紀
元前219年から紀元前201年)。ハンニバル戦争とも呼ばれる第二次ポエニ戦争
で、アルプスを越えてやってきたハンニバルはトレビアの戦い、トラシメヌス
湖畔の戦い、そしてカンネーの戦いで大勝利を収めた。共和政ローマは。とど
めを刺されたも同然となった。特にカンネーの戦いの敗北はひどいもので、こ
の戦いで多くの若者が殺されてローマに青年がほとんどいなくなった。

 そんな中でも、ローマは降伏しなかった。青年男子がいないなら奴隷を兵士
にして対抗する。年寄りだって女だって剣を持つ。それほど士気は高かった。
百戦錬磨のハンニバルの軍隊がローマの郊外までやってきてもそうだった。

 ハンニバルがこのタイミングでローマ市内を攻めていたらローマは滅んでい
たと言われる。ハンニバルもそれは分かっていただろう。しかしハンニバルは
ローマ市内を攻めることなく転戦していく。このときのハンニバルの判断ミス
が第二次ポエニ戦争の趨勢を決めたと言われる。

 なぜこのとき、ハンニバルがローマ市内を攻めなかったのかは謎に包まれて
いるが、強烈な抵抗を予想していたのは疑いない。一所懸命に畏れをなしたの
かもしれない・・・

 いや、待てよ。元とハンニバルを入れ替えたら、元寇合戦記は、日本のハン
ニバル戦争記みたいなものだとも言えるじゃないかと気がついた。

 文永の役(1274)というと、日本はやられ放題で神風に救われたと言われて
いるが、近年の研究では。実際は相当頑強に抵抗していたらしい。第二次元寇
となる弘安の役(1281)では、当時世界最大の艦隊が日本を襲ったが。日本側
の防備が堅かったため、ちょっとやそっとのことでは上陸できなかった。

 作者がどう思っていらっしゃるのかは知らないけども、そういう史実を鑑み
れば、「アンゴルモア 元寇合戦記」が、本当に日本版ハンニバル戦争記に見
えてくる。

 ハンニバル戦争を描いたリウィウスやポリピオスに匹敵する作品が日本で、
コミックとして生まれるかも知れない・・・・作者がこれ読んでたら、相当な
プレッシャーをかけるかもしれないが、そう思っているのだから仕方がない。
いや。圧力かけようと思ってるわけじゃないけどもw

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 参議院選挙、終わりました。何が変わって何が変わんなかったのでしょうか。
とりあえず消費税は上がるんでしょうね。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3018部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 17:24 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.680

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.07.10.発行
■■                              vol.680
■■ mailmagazine of book reviews      [いちいち説明しないと 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<114>鉄と漫画と遠い昭和と

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→96 生きていくために見つけなくはいけないもの

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第114回 日本の歴史では、何が勝者を決めるのか

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<114>鉄と漫画と遠い昭和と

 いしいひさいちの漫画に時たま登場する「セキカワ先生」をご存知だろうか。

 大学の先生であるセキカワ先生は、稚気と無邪気な我が儘に溢れる人で、学
会で出張するに際して、新幹線の切符どうしましょう? と尋ねてきた助手に
向かって、「席は窓際な。そして隣には、三十代半ばの人妻だ、これは絶対!」
と無理難題を押し付ける。

 そのセキカワ先生こと関川夏央の『汽車旅放浪記』(中公文庫)を、最近読ん
だ。
 既に中年を過ぎ老年に差し掛かった著者が、以前から鉄道趣味があったこと
を「含羞をこめて」告白し、小説や映画の中の「鉄道」シーンを通してその作
品を語ったり、あるいはそこへ出かけて行ったり、というエッセイ集。

 夏目漱石の「三四郎」が福岡県行橋から帝大入学のために上京するに際して、
行橋を「9時57分発」の列車に乗って、門司から連絡船で下関、「午後2時40分
発」の京都行列車で翌朝「6時25分」神戸着。
 終着の京都まで行かなかったのは、神戸始発の列車で座席を確保したいがた
めで、8時間後の「午後2時30分発」名古屋行きに乗車。
 この列車内で乗り合わせた女と、名古屋の旅館で同宿する羽目になる。その
翌朝、「あなたは余っ程度胸のない方ですね」と呆れる女と別れて東京行きの
客となり、夜の「8時02分」、ようやくに新橋に到着する。
 行橋を出てから丸々3日間の行程である。

 と、このように、夏目漱石はじめ、内田百痢太宰治、林芙美子や松本清張、
宮脇俊三などの文芸作品を、あるいは黒澤明や小津安二郎の映画を、「鉄道」
という視点で捕えて、読み解いていく。
 中でもセキカワ先生は、自らと同じく「含羞をもって」鉄道趣味を語る宮脇
俊三の視点がお好みのようで、その後の、やはり「鉄道」を軸にした著作『寝
台急行「昭和」行』(NHK出版)では、宮脇俊三その人になりきろう、としたフ
シも見える…ように思える。

 『汽車旅放浪記』でも触れていて、同じセキカワ先生の他の著作でも触れら
れていたのが、松本清張原作になる1958年の松竹映画『張込み』(野村芳太郎
監督)だ。

 指名手配の殺人犯が立ち回るはずの、彼の故郷に先回りして待ち伏せの張込
みに向かうべく、夜の横浜駅ホームに駆け上がってきた刑事二人が、すでに動
き始めている九州行きの列車に飛び乗る。
 警視庁の刑事二人が、始発の東京駅ではなく、わざわざ横浜から乗車したの
は、新聞記者たちの目をそらすためで、まんまと作戦は成功したが、途中駅か
らの乗車では、すでに座席は満席で、二人は、流れる汗をぬぐいながら、満員
の列車で座席と座席の間の通路に座り込み、揺れる車内の蒸し暑い一夜を過ご
す。
 夜が明けて、京都付近でようやく座席が空いて、刑事二人はほっと息をつく
のだが、まだまだ先は長い。
 列車は、山陽路をひた走り、関門トンネルを抜け、夜も遅くにようやく、目
的地の佐賀に到着する。

 この丸一昼夜の行程が、映画の冒頭、しかもタイトル前に、かなりの時間
(10分以上はあったと思う)を割いて延々と描写されるのだ。
 もちろん当時のこと、列車に冷房などはなく、二人の刑事も周りの乗客も男
性は皆、上着はおろかワイシャツまで脱いでランニングシャツ一枚となり、パ
タパタと扇子を煽いでは、暑さに耐える。乗客の中には、ズボンまで脱ぎ捨て
てステテコ一枚の親父も混じっている。
 天井の扇風機が、そんな車内の空気を気怠く掻きまわしては、長旅の憂鬱を
募らせる。

 この映画の、その冒頭シーンは、わしも30年くらい前のテレビ深夜映画で初
めて見て、強く記憶に残っていた。
 1950年代、東京から九州までの移動が、『三四郎』の時代ほどではなかった
にしろ、まだまだ大仕事だったことを実感させるシーンで、このシーンがある
ので、その後の「張込み」シーンもまた、強烈なリアリティを持ってくる。

 90年代に、この映画がTVドラマにリメイクされたものを見たのだが、そちら
は、九州佐賀ではなく、張込み先は栃木県に変更されていて、東京からやって
きた刑事二人は、東武電車で張込み先の町に降り立つのだ。
 思わず、「ダメでしょ、それじゃ…」とつぶやいてしまった。

 セキカワ先生の指摘を待つまでもなく、小説や映画では、「鉄道」や「列車」、
あるいは「駅」が、それ自体がテーマではなくとも、重要な役割を果たしたり、
象徴的なシーンとして描かれることが多い。
 翻って、漫画では、どうだろうか? というのが、今回の主旨。

 漫画と鉄道…と考えて、今回真っ先に思い出したのは、『クッキングパパ』
だった。
 1985年の連載開始当初、荒岩パパは、料理の腕前を会社ではひた隠しにして
いて、自分で作って持ってくる弁当も、「うちの奴」のお手製だとごまかして
いたのは、男子が厨房に入ることを潔しとしない九州男児のDNAか、はたま
たセキカワ先生や宮脇俊三の鉄道趣味と同じ「含羞」からか。

 荒岩パパがその料理趣味を周囲にカミングアウトして以降は、漫画の路線も
がらりと変わっていくのだが、まだそれを隠していた時期、荒岩パパは、勤め
先の「金丸産業」東京支社へ出張に赴く。
 飛行機が苦手な荒岩は、博多から東京まで、敢えて新幹線で向かうのだが、
この延々6時間に及ぶ車内での様子が、結構なページ数を割いて描かれていて、
やや疲労感をにじませながら、ようやくたどり着いた東京駅で安堵のため息を
漏らす荒岩に、ふと前述の映画『張込み』を彷彿したりも、したのだった。

 東京支社では、そんな荒岩の来訪を社員一同待ちかねていて、支社に到着し
た荒岩は、早速に「厨房をお借りします」と断ると、車内の湯沸かし室にこも
り、予て用意の博多豚骨ラーメンを手早く調理して、故郷の味に飢えていた支
社の皆に振る舞うのだ。
 この時にも確か、持参した半調理済みのラーメンは「女房が用意してくれた」
とわざわざ断りを入れていたと記憶する。

 このシーンもやはり、延々6時間かけてわざわざ、という描写がまずあった
ればこそ、ラーメンのシーンが引き立つのである。

 谷口ジロー『遥かな町へ』では、冒頭、二日酔いの主人公が、京都駅で東京
へ帰る新幹線と倉吉行きの特急を乗り間違えたことから、運命の歯車が回り出
す。
 いくら二日酔いで「ぼーっ」としていても、高架のホームから出る新幹線と、
古びた平面のホームから発車するディーゼル特急を乗り間違えることは、「ま
ずない」とも思えるが、それを不自然に感じさせずにすんなり読ませてしまう
のは、やはり谷口ジローの画力と構成力に負うところ大、と思う。

 つげ義春の漫画でも、鉄道は、印象的なシーンに描かれる。
 『ねじ式』の、漁村の狭い路地を「ゴッゴゴゴ」と突き進む機関車は、あま
りにも有名なシーンだ。

 『やなぎ屋主人』では、作者本人と思しき主人公は、新宿のヌードスタジオ
を出た直後、夜の街に流れていた高倉健の「網走番外地」に触発され、「房総
行の列車に飛び乗って」しまうのだ。
 あてもなく降り立った漁村の駅で紹介された寂れた旅館の、戦争未亡人であ
る女将を犯す妄想に耽った挙句、翌朝早くに旅館を出るのだが、その一年後、
この旅館を再訪し、彼のことなど覚えてもいない女将と言葉を交わした後、海
岸で猫と戯れる…というだけの物語だが、夜を行く車窓から見る黒い海や、通
過する小さな駅の木造駅舎の明かり、たどり着いた漁村の駅のすがれた風情、
海沿いの線路を轟音立てて行くディーゼル列車、等々が細密なペンタッチで効
果的に配されて、主人公のあてどなく行き場のない心情を暗喩する。

 実はこの漫画を読むまで、房総行きの列車が新宿から出る、ということを知
らなくて、その後東京に住み始めたころ、新宿駅のホームに、既に電車になっ
てはいたが、「館山行」急行列車がひっそりと佇んでいるのを偶然に見かけて、
「あ、これかァ!」と一人カンゲキに耽ったのだった。

 房総といえば、安西水丸がその少年時代をモチーフとした「千倉」シリーズ
でも、海の見える草原の向こうを驀進する列車が、象徴的に描かれていた。

 で、その他に…と考えてみたのだが、思いつかない。
 鉄道そのものをテーマにした漫画はあるのだが、そうじゃなくて、となると、
おそらくはあるのだろうけど、その数は極端に少ないのは、確か。
 映画や小説、あるいは歌謡曲なら、即座に思い浮かぶのだけどね。

 ちなみに、ちあきなおみの歌う「喝采」の一節、「動き始めた汽車に一人飛
び乗った」という部分。
 あれ、今の若い人の感覚では、動き始めた列車を、なんらかの方法で止めて、
車掌にドアを開けさせた上で「飛び乗った」と解釈するみたい。
 そもそも「機関車の曳く客車」が今やレアだし、「ドア開けっ放しのデッキ」
など見たこともないから、そうとしか解釈できないんだろうな。

 歌謡曲では、ザ・ピーナッツの「ふりむかないで」の「今ね、靴下直してる
のよ」というのも、ここでの「靴下」は「ストッキング」のことで、バックシ
ームがずれてるのを、スカートをちょっとたくし上げて直してる、といちいち
説明しないと分からないのだ。

 わしらの昭和は、加速を続ける列車の後方彼方に、ずんずんと置き去りにさ
れていってるのですね。

太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
96 生きていくために見つけなくはいけないもの

『ヒキガエルがいく』
申 明浩/広松由希子 訳 岩波書店

 力強い画風の絵本作家、伊藤秀男さんが題字を書かれている。
 文字からも気迫が伝わり、主人公(?)のヒキガエルは表紙にでんといて、
読者をじっとみている。強烈な表紙だ。
 
 本文の言葉はただ太鼓の音だけ。

 訳者の説明書きによると、韓国の仏教では、鐘は人間のため、太鼓は動物の
ため、木魚は昆虫のために鳴らすといわれているそう。

 カエルのための太鼓の音は、タン タタン だったり、トントントントン
だったり、ドンドン ダンダンだったり。音が腹に響く感じ。何匹ものヒキガ
エルが絵本の中で蠢いている。

 生の実感ある絵が続くので、緊張感がある。

 カエルといえば、我が家の前に広がる田んぼにもカエルがいっぱいいて、い
すぎて、3人の子どもたちは皆、苦手になってしまった。

 田んぼに水が入った日のカエルの鳴き声は毎年聞いても、驚くほどに厚みが
あり飽きることがない。昨日までどこにいたのだろう思うほどの賑やかさなの
だ。カエル嫌いの娘ですら、確かにすごいと聞いている。あの声には、生きて
いるエネルギーがあり、聞いているだけでも強く感じるものがある。

 この絵本は、そういうエネルギーのライブ感に満ちている。
 音や振動が聞こえてきそうで、ぜひ読んで感じてほしい。

 次に紹介するYA小説も強烈。

『ゴースト』
ジェイソン・レイノルズ ないとうふみこ訳 小峰書店

 帯文は「銃声がきこえたら、走れ!」

 ゴーストは走るのが得意な中学生。バスケをやろうと思っていたが、陸上チ
ームのコーチに誘われ、走りを選ぶ。

 もともと走るが速いのだ。
 特別な練習をしているわけではない。トレーナーについてもいない。
 しいていえば、こわい人のせいだとゴーストは思っている。
 こわい人から逃げるために走った3年前から、自分が早く走れることを自覚
した。

 チームの新人食事会には伝統がある。チームメートが知らない自分の秘密を
話すのだ。それぞれ、重ための秘密を抱え吐露することで、いい距離感がうま
れる。

 秘密は口に出すことで、相手との距離を縮めることがある。
 そうやって人と近づき、信頼がうまれるのはうれしいもの。

 厄介事をいろいろ抱えるゴーストが、走ることで、変化していく。

 大人目線ではコーチもかっこいい。
 いい大人が出てくる小説は、大人もたっぷり楽しめる。

 そして、次の紹介本、すずき出版の児童文学シリーズ「この地球を生きる子
どもたち」の新刊は安定の読ませる力をもっている。

『11番目の取引』
アリッサ・ホリングスワース作 もりうちすみこ訳 みうらし〜まる装画

 アフガニスタン難民のサミの物語。
 サミが難民になった背景として描かれるのは18年前の9・11の事件、家族の
中で生き残ったのは、サミと祖父の2人だけ。祖父はサミと共に、アメリカの
ボストンに渡る。

 祖父は有名なルバーブ奏者だったが、アメリカでは路上で演奏することしか
できない。演奏で得る金もアフガニスタンで得ていたものには比べることもで
きないくらいほんの少しだ。

 そんな経済と心の拠り所のルバーブが、ある日盗まれてしまい、祖父は慣れ
ない仕事をすることになる。サミはなんとかルバーブを取り返そうと、探し出
したものの、ギター店に売り出され700ドル稼がないと手元に戻ってこない。

 ついていないことだらけのサミだが、何かを失うときは、何かを得ること。
サッカー上手のサミに、友だちができ、彼らの助けをかりながら700ドルを目
標に動き始める。

 サミと祖父にとって何より大事なルバーブが手元にもどってくるのか、700
ドルもの大金が果たして一か月でつくれるのか。

 友人らの協力は現実的で、ネットの使い方もうまく、徐々に目標額に近づい
き、友情も深まっていく。

 作者はアフタニスタンに行き、自らの感じたこと、出会った人を物語に投影
した。翻訳されたことで、私たちが出会える世界があることに感謝したい。

 最後にご紹介するのは、季節の行事を楽しめる日本の物語。

 『とねりこ通り三丁目 ねこのこふじさん』
 山本和子 作 石川えりこ 絵 アリス館

 ねこのこふじさんは、職場でのイジメで心が疲れ、部屋でひきこもり。こふ
じさんのおばあさんは、自分の研究で世界一周に出かけるのを機に、留守番が
てら、こふじさんを住まわせることに。家賃は「月に一度、その月らしい行事
をすること」

 いっぴき暮らしを楽しもうとしていたこふじさんに、既にネズモリというネ
ズミさんも戸だなの中で暮らしていて、なんとなく同居暮らしがはじまる。

 4月のお花見にはじまり、七夕、花火……。よく知っている年中行事に、ネ
ズモリさんの豆歳時記コラムがおもしろくて、季節をあらためて見直してしま
う。

 四季を楽しめる生活の豊かさ、毎日仕事に追われていると、それは夢物語に
も思えてしまうけれど、疲れているときは、立ち止まって周りを見渡すことも
大事と素直に思える。

 さっぱりした甘くない絵も、物語にぴったりで、ねこのこふじさんという知
り合いができて楽しい気分になる。つかれている時に読みたくなる物語だ。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第114回 日本の歴史では、何が勝者を決めるのか

 今月も先月に引き続き、歴史の解説書、入門書をお届けする。

 日本の歴史を戦い、争い=価値観の衝突、利益の相反。という部分でみてい
く面白い入門書がある。

 そもそも日本の戦いの名称はおかしな名前が多い。「○○の戦い」や「□□
の乱」ならわかるが、「△△の変」「●●の役」となるとおかしくなってくる。
小学生のときから日本の歴史は勉強していて、子どものときは疑問も持たずに
教えてもらったことをそのまま鵜呑みするから、そのような呼び名でも特段に
おかしい、変だ、とは思わなかった。そしてそのような不思議な名称でも云い
慣れてしまい、使い慣れてしまうと疑問にも思わなくなる。あえて云えば、人
の名前のようなものだ。疑問に思わない。しかし、この名称をあらためて思っ
たとき、それらはなんと不思議な名称なのだろう、と考え始めた。本書のタイ
トルを目にしたとき、そんなことを思ったわけだ。

 天下分け目は「関ヶ原の戦い」であり、室町時代の内乱は「応仁の乱」。織
田信長が殺されたのは「本能寺の変」であり、奥州での争いは「前九年の役・
後三年の役」という名称になっている。いったい、その差はなにか、戦いの規
模か、それとも後世への影響力の大きさか。

 今回紹介する書物は、このような日本史上の戦いの名称に対する疑問から始
まり、その戦いが日本史のターニングポイントになったのではないか、という
ものを選んで、その戦いを俯瞰した上で、歴史上の影響をみていく、という作
業している。

『乱と変の日本史』(本郷和人 著)(祥伝社)(祥伝社新書)
(2019年1月30日)

 著者は、気鋭の中世史の研究者。その著者、本郷和人さんに因れば、本来戦
いの分類は厳密に学術的に行えばよかったが、そうはなされず、多分に感覚的
になっている、という。執筆子もそのとおりだと考える。そして、本郷さんの
感覚では、戦いの規模で、名称を分類するのならば、「戦争」→「役」→「乱」
→「変」→「戦い」の順番で規模が小さくなっていくようだ、と云っている。

 本書では、日本史上の代表的な戦いの名称である「乱」と「変」の名称の付
く、戦いを考察して、それが日本史上にどのような影響を及ぼしたかをみてい
く。
 紹介している戦いは以下の10こ。
 「平将門の乱」「保元の乱、平治の乱」「治承・寿永の乱」「承久の乱」
「足利尊氏の反乱」「観応の擾乱」「明徳の乱」「応仁の乱」「本能寺の変」
「島原の乱」。

 それぞれに特徴があり、その戦いが起こった理由、そしてその戦い後の様子
をみて、日本の歴史がどのような道をたどったかを考えている。将門の乱で律
令制が崩れ、武士の勢力を無視することが困難となり、保元平治、で武士が主
役の時代が始まり、治承寿永で政権は都以外に置かれることになった。尊氏は
政権を都に戻したが、権力が分散していたため政権が不安定であり、政権に権
威と統率力がないため、室町期を通じて様々な戦いが行われる。最大の内乱で
ある応仁の乱後は土地の排他的所有という概念が生まれた。天下統一を目指し
た信長は人の持つ土着性や郷土愛を蹂躙したので暗殺された。島原の乱はキリ
シタン一揆というよりも、平和と平等の争いであり、平和を求める人々の思い
が平等を求めた一揆側を凌いだ、ということだという。

 こうしてみると、日本史上の戦いは、その時、その時代において、社会的に
より高い利益を生むと思われる側が勝利している。武士の時代が到来したその
ときには平清盛は輝いていたが、平家は守旧派の朝廷に同化して、武士の利益
を代弁しなくなった時点で歴史の表舞台から退場した。揺れ戻しは不可能とい
うことが自覚され(承久の乱)、その後の300年くらいは互いに権力闘争によ
り不安定期となる。どちらが時流に乗っているかはわからないくらい混沌とし
た時代が長く続いた。それでもずっと武士の時代は変わらなかった。統一政権
後の混乱を収め、武士の時代は続くが、その武士の時代を終わらせたのは、
1877年(明治10年)の西南戦争、ということになる。

 歴史では、必要とされた者が勝ち、用済みの者が負ける。それが歴史の必然
なのだ。
 あざやかなタッチでぐいぐいと読者を日本史の世界に引きずり込んでいく。
とにかく面白かった。一気に読める。

 日本の歴史は、この国の国土が豊かで外敵の侵入がすくないため、穏やかに
ゆっくりと進む、と云う。天皇制は1000年以上前から不変だ。それでも、国内
でこれだけの戦いが繰り広げられている。
 歴史はとてもおもしろい。


多呂さ(参議院選挙。皆さん投票はしましょう)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 歳を取ると時の流れが速くなると言いますが、最近は、速くなりすぎて追い
越されてる感が満載です。もう、びゅんびゅんです。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3017部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 09:51 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.680

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.06.20.発行
■■                              vol.680
■■ mailmagazine of book reviews [「マジで恋する5秒前」は正しい 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #107『ひとり』

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『恋愛達人の世界史』(中央公論ラクレ新書 上村くにこ・著)

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子 文芸春秋

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#107『ひとり』

 前回の小説『ソロ』に続き、今月は『ひとり ALTOGETHER ALONE』。

 一人つながりではあるが、でも、小説ではない。一風変わったディスク・ガ
イドである。

 帯にこう書いてある。

「ひとりでつくられたおんがく

 ひとりのふんいきをもつおんがく

 さらにはひとりとは?をといかけるおんがくのほん」

 編・著はGAZETTE4。かつて「あまりの行き過ぎに世の中から無視された音楽!
アーティストの思い入れが強すぎて、既成のジャンルからはみ出した音楽!」
(チラシ・コピーより引用)を<モンド・ミュージック>と括って紹介し、こ
の言葉を音楽好きの間に定着させたチームである。

 それがここでは、「ひとり」をテーマにディスクを選び、短いコメントをつ
けて一冊の書物をつくった。

 さほど大きな本ではないのに、1ページに4枚もディスクを詰め込んでいる
から、コメントは本当に短い。しかも、ストレートに音楽の内容を紹介してい
る文章ばかりではない。

 例えば、

「父さん窓の補強に余念がない台風上陸1時間前。突然の停電で真っ暗闇。用
意しておいたロウソクに火を灯してじっとする。バタンバタン。外では何やら
エライことになってるらしいけど、ここだけは安全。キャッキャとハシャぐ子
どもたち。揺らめく影絵。ふと気付けば台風通過。ふと気付けば父さん、焼酎
片手にベロンベロン。」

 これがTHE BLACK HEART PROCESSIONというミュージシャンの『2』というア
ルバムのコメント全文である。

 どんな音楽なのか、まるでわからない。「ひとり」とも関係ないようだ。だ
って家族と一緒だし。

 しかし、こういう台風の夜、妙に心が躍った経験は誰しもある。いや、昭和
世代だけ? ま、ともあれ、その時のことを思い出すと、あれはやはり世界か
ら隔絶された「孤立」の経験だったなぁ、と思う。

 ポイントは、「外では何やらエライことになってるらしいけど、ここだけは
安全。」という一文にある。家の中に閉じこもることで、世界を切り離してし
まう。しかしそれは決して恐ろしいことでも、寂しいことでもなく、むしろ何
やら楽しい。ワクワクする。だから子どもたちはハシャぎ、父さんはベロンベ
ロン。

 「ひとり」には確かにそういう一面もあり、この、日本語で「黒い心の行列」
という名のバンドらしき人たちの音楽には、まさにそんな、ときめく孤立の感
覚があるのだろう。

 あるいは、

「打ち捨てられた廃屋。そっと忍び込むと、そこにはチューニングの狂ったア
ップライト・ピアノが1台。フワフワと浮かぶ埃は、外から入ってくる陽の光
に切り取られる。掛かっているカレンダーは去年の物。そこには誰もいない。
無音。耳鳴り。そのままじっとしていると聴こえてくる歌がある。それはこん
なレコードかもしれない。」

 こちらはぐっとわかりやすい。なぜなら、ここに描写された廃屋の情景は、
ジャケット写真を言葉にしたものだから。最後の一文で、音楽の中身にも一応
着地している。

 ひとり忍び込んだ廃屋。誰もいない無人の空間。でも、かつてそこに人が暮
らしていた気配だけが、未練がましく漂っている。

 そんな廃屋の空気は、どういうわけか、ひんやりしているイメージがある。
熱帯の国にも廃屋はあるはずなのに。

 廃屋マニアなら、このディスク、ぜひ聴いてみたいと思うだろう。

 ちなみに、THYMME JHONESの『CAREER MOVE』というアルバムである。

 ひとり論に終始して、直接そのディスクの音楽的内容に触れていないコメン
トもある。

「他人が一生懸命、自分について歌ったものを聴いて「何が面白いんだ」と言
うひとが本当にいる。それは、そうかもしれない。けれど寂しいひとだ。他人
の人生を自分の人生に照らしあわせて「ひとりではない、ああ、みんなひとり
なのだ」と思うことで、少しでもやってゆけるのに。センスある生き方だ。そ
れを知っているひとは…。」

 ひとり論と書いたが、これはリスニング論でもある。音楽の聴き方に関する
ひとつの考察という意味で。

「「何が面白いんだ」と言うひとが本当にいる。」

 この「本当に」が、いい。自分とは音楽の聴き方がまるで違う人がいること
を知った、驚きがある。

 それでも、このコメントが添えられたNATALIE MERCHANTの『OPHELIA』とい
うアルバムが、「自分について歌ったもの」であることは十分伝わる。そして
「センスある生き方」を知る人は、これを読めばこのアルバムに心惹かれるだ
ろう。

 全体は3部に分かれている。

 SWEET,MILD,BITTER

 ひとりの「甘さ」と「柔らかさ」と「苦さ」をテーマに、ディスクが分類さ
れている。

 USA、カナダ、ブラジル、フランス、ドイツ、そして日本。主にはそんな国々
のディスクたち。

 聴いたことのないミュージシャンから、シカゴとかビートルズとか、メジャ
ーなアーティストまで。

 一気に通読する本ではない。

 毎日、2、3ページずつ、ちびちびと読む。

 たまに、持っているディスクが登場すると、棚から引っ張り出して、聴いて
みたりする。

 大半の、持っていないディスクの音は、想像する。

 どうしても気になったら、Youtubeで探したりする。

 すると、「ひとり」の多面性が、少しずつ少しずつ、心に浸透していく。

 

GAZETTE4編・著
『ひとり ALONE TOGETHER』
1999年12月15日 第1版第1刷発行
アスペクト

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン

カンニングをしてしまいました! と言っても、いまさら大学受験をしたわけ
ではなく。またもや月光グリーンの話題で恐縮ですが、彼らの『夢の粒』とい
う曲がやりたくてCDを繰り返し聴いたのに、どうしても一部のコードがわか
らず、適当に合うやつで誤魔化そうか、とも思ったけど、ライブに行った時本
人たちにダメもとで訊いてみたら、いやいやそれは企業秘密だから、と断られ
るかと思えば、懇切丁寧にばっちり教えてくれたというお話。

----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
妻子ってそんなに偉いの?と思ったときに読みたい
『恋愛達人の世界史』(中央公論ラクレ新書 上村くにこ・著)

 最近、テレビを見る時間が少なくなっているおばちゃまですが、それでもチ
ラ見すると、不倫疑惑?っていうの? 二股っていうの? そういう、家庭が
ありながらほかの異性と関係を持つ有名人を糾弾するワイドショーが目につき
ますね。

 なんか、大の大人が泣きながら謝って「妻子に悪いことをした」って言って
るの。まあね、貞節は結婚の条件ですから悪いことは悪いのは間違いない。

 でも、ごめんなさいごめんなさいって泣いて謝っている姿を見ると思うのよ、
妻子ってそんなに偉いの?って。おばちゃまも妻だったり子だったりするから
パートナーや親が不倫したら怒るとは思うけれど、こんなに河原に引き出され
て世間から石つぶてを投げられるような仕打ちを受けないといけないの?って
思います。

 で、思い出したのがこの本『恋愛達人の世界史』です。実は私もかかわって
たので今回はPRになるけれども、2006年発刊の古い本だから許してね。

 この本の中の4章に「ロマンチックラブ誕生」という章があります。18世紀
のヨーロッパで誕生した、小説の中で展開される理想主義的な恋愛=ロマンチ
ックラブは、変遷して「恋愛とセックス、結婚は一致しなくてはいけない」と
いうルールとともに確立され、20世紀には人としてあたりまえのパターンにな
りました。今は、形骸化しているとはいえ、しっかりインプットされているの
です。

(私が思うに、恋愛とセックス、結婚の三位一体に加えて、結婚を由来とする
出産とか育児も一体化しているからさらにややこしくて、タイトに人を縛るよ
ね)。

 このロマンチックラブの成立をもって、結婚するには恋愛が必要で政略結婚
などはもってのほか。セックスは恋愛したカップルにのみ許されそして恋愛し
たらそのゴールは結婚でなくてはいけないというルールが確立したわけです。

 この思想はアメリカに渡って恋愛した2人が障害を乗り越えて結婚するハリ
ウッド映画になり、日本のカップルは、「自分と排他的にデートして持続的に
セックスしひょっとしたら結婚を視野に入れてほしい」という意味で告白して
つき合うスタイルを維持するわけです。(だから恋人ひいては夫や妻が浮気す
ると死ぬほど怒るってか、怒る権利があるんですね)。

 そもそも恋愛とは、スタンダールに言わせると「崖に咲いている花を摘み取
ろうとする命がけの行為」であって日常生活とは相いれないものです。

 著者は別の本で、恋愛の最高潮は最初にキスする直前で、それ以降はだらだ
らと日常に下りていくだけと言っています。つまり、門限の5秒前にキスする
カップルを描いた広末涼子の「マジで恋する5秒前」は正しい恋愛のあり方と
いうわけ。竹内まりあ、わかってますね。

 著者(上村くにこさん)は言います。

「恋愛を家庭の中に持ち込み、家庭の要とし、人が永遠に家庭で日常生活を営
みながら恋愛を持続する理念を考え出したのが恋愛結婚です。一瞬の命がけの
行為と日常生活を両立させようとする試みですから、それはまるで氷を油で揚
げようとするようなものです」

 氷を油で揚げるって……言い方!(笑)

 つまり、恋愛結婚して永遠の恋を誓い、日常生活を営む中でも恋愛を継続す
るのはムリちゅうもんやと言うわけで、ある種、あったりまえのことですね。
ロマンチックラブがいかに人の本性と相反するものかがわかります。

 このように恋愛と結婚の歴史をたどっていくと、今、私たちが信じこんでい
る結婚制度とか恋愛至上主義とかの歴史が浅く、人生を賭けて守らないといけ
ないルールですらないことがわかって興味深いです。

 「妻子に申し訳ない」と泣いて謝る有名人もすごい罪悪人ではないことを伝
えるためにこの本をプレゼントしてあげたいですね。

 この本では、ギリシャ時代には恋愛は突然の災難だと受け止められていたと
か、キリスト教においては信仰の妨げ、中世ヨーロッパでは恋愛は修業と捉え
られていたとか、その修業という考え方が韓流ドラマの根底に流れていとかお
もしろい話がいっぱいですよ。恋愛に悩む人を解放してくれると思うのでご一
読くださいって…結局宣伝かい! よろしく〜。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子 文芸春秋

 内澤旬子氏とは、多少縁がある。2002年に出した拙著『農業に転職する』の
イラストレーターが、内澤氏だった。会ったことはない。

 ま、それはそれとして、後にイラストレーター、ライターとして有名になら
れるのは想定内だったのだけど、ストーカー事件の当事者になられるのは想定
外である。手記が週刊文春に連載されていたのは知っていたので、書籍化され
たと同時に買った。

 一般にストーカーと言うと、知らないうちに目をつけられて尾行され、密か
に住所や電話番号、メールアドレスなどを入手されて「あなたのことずっと見
てます」とか「今日は何色のパンティーはいてるの?」とか、姿を見せずに気
色悪いことを言う奴だと思っていたのだけども、内澤氏が対峙するストーカー
はそんなのではなかった。

 もともと付き合いがあった人が、別れ話を持ち出すとストーカーになってし
まった。それも気味悪いだけでなく、周囲の他人も巻き込むと脅すものだから、
さらに質が悪い。

 それで警察に相談するのだが、最初は痴話げんかだと見たのか、やる気が見
えなかった警察。それが、急に顔色を変えて、持って来たのがマグショット
(逮捕された時に撮られる上半身の写真。アメリカのがよく知られるが日本で
もあるらしい)。マグショットを見せられて内澤氏は、ストーカーにそれまで
偽名を使われていたことを知るのである。犯罪歴もあった。

 これは通らない。内澤氏から一方的に別れを切り出されても文句は言えない
と普通の人なら考える。しかし、ストーカーは違うのだ。とはいえ、普通は警
察が注意したら事足りる。というか、大部分はそれでストーカー行為も止まる
ものなのだが、内澤氏の場合は止まらなかった。

 それで、いったんストーカーは逮捕されるのだが、この時内澤氏は和解を希
望してしまう。実刑をくらうとストーカーは出所した時に恨みを募らせてまた
やってくる可能性があるから、恨みを買わないために「許した」のである。

 しかし、そんな努力は全く無駄だった。和解条項として付けていた条件は簡
単に破られた。そしてネット上で大量の誹謗中傷を書き込まれる。もちろん契
約違反だから賠償請求が出来るわけだが、生活保護受けているから取れないよ
とうそぶく始末。そのうえ弁護士も(面倒な)仕事がおわったと言うことで、
賠償請求もしてくれない・・・

 これ、ホントですか?と思えるほど、ひどい話である。そこから本格的に内
澤氏の戦いが始まる。読み進めていくにつれて、ストーカー対策について、制
度が追いついていないというか、まだまだ未整備なのがよくわかるようになっ
ているのは、さすがプロの仕事であるといっていい。

 もっとも、遅々としてでも整備は進んいるようで、この事件の期間中にもS
NSの書き込みもストーカー犯罪の対象にならなかったのが、なるようになっ
ている。

 しかし読んでいて気になるのは、内澤氏、なんだかんだと言っても人が優し
いのが弱点になったのではないかと私には思えた。読んでいて、あの時もう少
し丁寧に別れ話をもちかけていればとか、もう少し話し合いを丁寧していれば
こうはならなかったののではないかといった内澤氏の後悔の言葉がちょくちょ
く出てくる。

 けど、もしそんな努力がうまくできていても、こうなることは避けられなか
ったのではないかと思う。言い換えれば、優しいからつけ入られるのであって、
冷酷な人の方が、かえって自分を守れる。しかしそんなこと、冷酷な人にしか
見えないことだし、できることではない。

 メンタルに問題がある人は、私も何度かかかわったことがあるけども、丁寧
な話し合いとかしようとしても、あるいはしても無駄なことがままある。むし
ろ頭から押さえつけた方が良いケースもあった。

 しかしそれでも押さえつけることができたのは私が男で、基本「強者」だか
らであって、同じことを女の内澤氏に要求など無理である。内澤氏はできる限
りの努力をして、ベストを尽くしたように思えた。しかし、そんな努力が通用
する相手じゃないなら、努力は無駄骨に終わる。

 かくて内澤氏の戦いは続き、結局ストーカーはまた逮捕され、刑務所に入る
ことになった。そして今は刑期を終えて出所している。内澤氏は「小早川先生」
という盾を得て、現在は以前よりは精神的にラクになっている。とはいえ、ス
トーカーがまた活動を始める可能性は消えておらず、今も恐怖と折り合いをつ
けて生活していかざるを得ない。

 特に内澤氏のような知名度のある人は、ストーカーから隠れることが基本的
に難しい。住所を隠したりはできなくもないが、限度がある。一般人のように
姿を隠すことが基本できないから、たとえば読者イベントなどで姿を見せる時
には、待ちぶせされる危険性もある。

 内容が内容だけに、読後感のよい本ではない。しかし考えさせられることが
多い本である。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 恋愛とストーカーが共存する今号のメルマガは、ジューンブライドでお馴染
みの6月にお送りしております。

 そういえば、山ちゃんと蒼井優の婚約は、令和最初の衝撃でしたね。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3028部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.678

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.06.10.発行
■■                              vol.678
■■ mailmagazine of book reviews           [健全な社会 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<113>『空母いぶき』とミルクセーキ

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→96 ファンタジー世界

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第113回 歴史を理解するセンスを磨くためには・・・歴史との付き合い方

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<113>『空母いぶき』とミルクセーキ

 3月、スっ転んだ拍子に、左足甲にヒビが入った。ギプスを巻かれたので、
松葉杖生活を送っていた。
 ようやくに、あと1週間ほどでギプスも外せる、という4月下旬、松葉杖の
バランスを崩し、階段を転げ落ちた。
 「あちゃちゃ、こけちゃいましたよ」と、松葉杖を支えに、大丈夫な方の右
足で立ち上がろうとしたのだが、その右足に力が入らず、立ち上がれない。

 救急車を呼んでもらい、病院でレントゲン撮った結果が「折れてますね〜〜、
ポッキリと」だった。
 両足ギプスの有様となり、即刻入院。翌々日に、折れた右足の手術を受けた。

 入院当初は、自分のドジを呪い、絶望的な気分にも襲われたが、過ぎたこと
をクヨクヨしても始まらない。
 これもまた何かの縁と、入院生活をなんとか前向きに過ごすことにこれ努め
……とゆーても、結局は普段よりも若干多くの本を読み、普段見ないテレビを
よく見ていた、ってほどの入院生活だったのだが。

 おかげさまにて、テレビを通じて「令和」改元へのバカ騒ぎと、浮かれポン
チの皆様の行状も、あれこれと見ることが出来ました。
 安部チンゾー首相が、4月30日の「退位礼正殿の儀」において、退位する天
皇皇后に面と向かって、「早く死ね」と声高らかに申し上げるところも、つぶ
さに見ておりました。

 あれ、官邸としては「なかったこと」にしてるらしいが、「国民の代表」と
しての挨拶なのだから、きちんと訂正しておいた方が、後々のためにも「ええ
ンとちゃうン?」と老婆心ながら思ってしまう。
 映像は、そのまんまで後世に残るわけだし。

 入院してる間に、これまた総理アベチン絡みで、なにやらキナ臭い騒動が巻
き起こっていた。
 かわぐちかいじ原作になる『空母いぶき』が映画化され、その公開が迫る中、
主要キャストの一人で作中では「垂水首相」を演じる佐藤浩市のインタビュー
での発言が、「けしからん!」とプンスカ青筋立てて怒る人たちが大勢出現し、
おかげで佐藤浩市は、公開初日の舞台挨拶にも立てなかったらしい。

 どんな発言だったのだ? と退院後に当該の雑誌、ビッグコミックを買って
読んでみた。
 なんてことないインタビューである。
 佐藤は、映画の中で大きな決断を迫られる首相を演じるにあたって、「スト
レスに弱くて、すぐにお腹を下してしまう」という設定にしてもらった…とい
う、そのくだりが、実際に腸に持病を持つアベチンを彷彿させ、「現職総理を
揶揄している」と、ある種の人々の怒りを買い、主にネット上での攻撃にさら
されているらしいのだ。

 「すぐにお腹を下してしまう」設定は、現職のアベチンを念頭に置いたに違
いない、と思う。
 インタビュー時には、その同じ持病を持つ総理を、多少なりとも揶揄する気
持ちもあったと思う。

 しかし、である。
 いつから、この国では、現職の総理は「揶揄してはいけない」存在になった
のだ?
 アベチンは、もはやあの「偉大なる指導者将軍閣下」同様、不可侵の存在な
のか?

 この件で、つい思い出したのは、一昨年の「小学8年生」(小学館)炎上事
件だ。
 この中の連載漫画『まんがで読む人物伝』(藤波俊彦)が、「第4号」誌上
で「安倍晋三」を取り上げたところが、その描きようが「悪意に満ちている」
「作者の偏見が反映されている」と非難轟々、雑誌のツイッターが大炎上して
しまった、というもの。

 この時にも、「どんな漫画やったん?」と当該の第4号を、わざわざアマゾ
ンで取り寄せてみた。
 なるほど、この描きようは、間違いなく「悪意だ」と思った。
 悪意のある毒でアベチンを貶めながら、その少年時代から現在までを短くも
克明に描いている。
 しかし、きちんと最後まで読めば、悪意と毒をまぶされてはいるが、その悪
運の強さや、数々のスキャンダルにもめげず、厚顔で押し通すところなど、一
応はリスペクトもされているのがわかる。

 ご興味がある方は、「小学8年生・藤波俊彦・安倍晋三」と検索すれば、今
なお非難轟々のブログやツイッターやサイトが、沢山ヒットして、漫画の画像
も見られます。

 そもそも、悪意や毒があってこそ、漫画なのだ。
 これを批判する人たちの言に従えば、小学生向けの雑誌に、現職の総理大臣
を悪意でもって誹謗するような漫画は許されず、美辞麗句並べ立てて褒め称え
ねば「いけない」ようだが、ンな漫画、誰が読むのだ。
 小学生だって…というか小学生ならばこそ、ンなつまらん漫画にはソッポ向
くだろう。

 歴代総理は代々、それぞれの時代で風刺やパロディーやからかいの対象であ
り続けてきた。
 佐藤栄作は、赤瀬川原平『櫻画報』の中で、アメリカという鎖に繋がれてい
る、物欲しげな番犬のブルドッグに描かれた。
 及川正通…だっけな? 記憶が定かでないのだが、田中角栄は首相当時、パ
ロディー漫画の中で裸の下半身を露出して登場し、傍らに侍る半裸の妾に、尻
をぼりぼり掻きながら、卑猥な言葉を投げかけていた。

 中には、パロディーや風刺というよりも、単なるギャグ…が滑って下品に堕
ちたものも数あったが、人は、それを見て眉をひそめはしても、血相変えてそ
の作者を糾弾したり、ネットで…って当時ネットはなかったが、抗議に走った
りすることはなかった。

 総理大臣に限らず、権力は、江戸の昔からパロディーやギャグの対象とされ
てきたし、それができてこそ、健全な社会といえるのではないか。

 我がニッポンを含めて、今や世界中にポピュリズムの旋風が吹きまくってい
る。
 アベチンを揶揄することを許さないのも、この勢力だ。
 かつてヒットラーとナチスを熱狂的に迎え、軍国日本の進撃に狂喜していた
のもまた、ポピュリズム勢力だった。
 そんなポピュリズムの圧倒的な支持を得た権力が、次に繰り出したのが権力
に対する批判勢力の弾圧と言論封殺であり、そして、その後に何が起こったの
かを、我々は忘れてはならん、と思う。

 英国のポピュリズムは、EUからの「合意泣き離脱」に向かっているようだが、
今、これを声高に訴える指導者たちに、ミルクセーキをぶっかけることで、
「NO!」の意志を示す「ミルクセーキ運動」が、にわかに活発になっているそ
うだ。
 ミルクセーキ……なんともみっともなく、気弱で情けない「抵抗」ではある
が、間もなくある参院選挙(「ダブルかも」と言われてるが)では、我々もま
た、ミルクセーキを持って候補者の演説に臨むのも、一考かもしれない。

 ところで、映画『空母いぶき』だが、まだ見ていないのでなんともよう言わ
んが、原作からは、かなり改変されているとか。
 原作の漫画は、領有権を主張し、突如南西諸島への侵攻を開始した中国軍に
対して、外交交渉の決裂の後、首相が防衛出動を発令し、海上自衛隊で新造さ
れたばかりの空母「いぶき」を旗艦とする艦隊が、これを迎え撃つ……

 という内容なので、「9条改憲派」などには歓迎を持って迎える向きもある
らしい。
 しかし、作中の「垂水首相」、映画では佐藤浩市が演じているその首相は、
アベチンと違って、「改憲」のカの字も口にしない。
 あくまでも現行憲法の下で、専守防衛に徹して、戦いを進めようとする、そ
の姿勢は、現場の自衛官たちにも共通で、すなわちこれは、「護憲」漫画でも
あるのだ。

 かわぐちかいじは、デビュー以来、数々の作品の中で「日本と日本人」をテ
ーマとする作品を、多く手掛けてきた。
 初期のころの『血染めの紋章』や『黒い太陽』から、近年話題になった『沈
黙の艦隊』や『ジパング』に至るまで、その歴史観と政治的スタンスは、一貫
して変わることがなかった。
 『空母いぶき』は、そんなかわぐち史観と、日本及び日本人論の、集大成と
なる漫画になる、はずだと確信する。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
96 ファンタジー世界

 朽木祥さんは追いかけている作家のひとり。
 2年ぶりの書き下ろし作品とくれば飛びついてしまうのは私だけではないは
ず。

 『月白青船山(つきしろ あおふねやま)』(岩波書店)

 予定していた海外旅行がフイになり、兄弟ふたりで鎌倉の大叔父の屋敷で過
ごすことになるのだが、まずは、時をさかのぼる1188年のプロローグ。
 瑠璃の石を白猫に預ける若者について語られる。当然、深い事情が読み取れ
る。そして時は現代の鎌倉にうつり、主税(ちから)と兄の兵吾、そして大叔
父さんの近所に住む少女、静音の3人が一夏の異世界に足を踏み入れていく。

 端正な文章で、現代とプロローグの時代をいったりきたりするのだが、ごく
自然に過去と現代がつながり、それはまるで”時”を串にすっと刺してたかの
ようにすっきりしている。

 夏休みという子どもにとっての非日常に、瑠璃の謎というミステリ的要素も
あり、謎ときの冒険物語でもある。

 君野可代子さんの装画・さし絵もすばらしく、物語舞台の大事なシーンをよ
り印象づける。特に、枝垂れ桜の絵はハッとさせられた。

 現代に書かれた王道の児童文学なのだが、朽木さんの文章は古典のような落
ち着きがあるからか、大人の読み手にとっても、読みごたえがある。これから
の夏の季節に読むのもぴったりだ。

 さて、次に紹介するのはノンフィクション絵本。

 『ドーナツのあなのはなし』
 パット・ミラー 文 ヴィンセント・X・キルシュ 絵 金原瑞人 訳
 廣済堂あかつき

 ドーナツのあなはどうしてできたのか?
 これは、ドーナツのあなを発見した人のお話なのだ。

 ドーナツはあまりにも身近なおやつなので、最初から穴があるものかと思っ
ている人の方が多いのではないだろうか。

 私もこの絵本を読んで、初めてドーナツの穴のことを知ったひとり。

 1844年、13歳だったハンソン・グレゴリーが海で働くところから話ははじま
る。彼は16歳のときには船でコックの助手をしていた。船の朝食に出るのは、
毎日同じ。パン生地をまるめて、ラードであげたもの。それはいつも、なかの
方は生のままでベトベトしていて、水夫たちにとって美味しいとはいえないし
ろものだった。そこで、ハンソンは考えたのだ……。

 絵本では、おもしろい話が好きな水夫たちがつくったドーナツ発明話もいく
つか紹介され、ドーナツのうんちくを蓄え(!?)られる。

 また、巻末にある「その後のドーナツとグレゴリー船長」もへぇと唸る逸話
が書かれていて、最後の最後まで読ませる内容となっている。

 もちろん、読んだあとはドーナツが食べたくなることも必須だ。

 最後にご紹介するのはおフランスからのユニーク絵本。

 『はなくそ だいピンチ!』
 『はなくそ ゆうかいじけん』
 マルジック&モリー さく・え ふしみみさを やく 汐文社

 「とびだせ はなくそ!」シリーズで2冊まで刊行されていて、タイトルを
読んだだけで、え、はなくそってアノはなくそ?って頭に疑問符が。
 そう、まさにその「はなくそ」絵本。

 どの人の鼻にもあるものを、ユニークにデフォルメし、擬人化されたはなく
そたちが事件を起こす。

 小さい子どもたちが特に喜んで大笑いしそうなストーリーと、おまけについ
ているのは、はなくそ指人形や、「指」の指人形など、すみずみまでニヤニヤ
してしまう。

 なにより、一度読むと、はなくその存在感がとても強くて忘れられなくなる
絵本なのだ。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第113回 歴史を理解するセンスを磨くためには・・・歴史との付き合い方

 改元は新しい歴史の始まり、という気持ちがふつうに暮らす日本人の率直な
気持ちであろう。先々月から始まった天皇の退位と即位とそれに伴う改元、と
いう一連の流れは、日本人にとってかつて経験したことがないほどの祝祭に彩
られた日々であったと思う。その中にどっぷりと浸かり、あるときはこの騒動
に呑み込まれ、皆と浮かれはしゃぐ。またあるときは一歩も二歩も外に出て、
この騒動を客観的に批判的に眺めている。そんな狂騒と嫌悪の2ヶ月間が過ぎ、
6月となる。どんなに盛り上がっても落ち込んでも時間は、時の刻みはあまね
くすべての存在に平等に与えられ、同じ速さで流れている。・・・・・こうし
て時が経ち、未来は今になり、今は過去になる。そして過去は歴史となってい
く。

 その歴史の見方、考え方を示す、ひとつの指標、しるべとなるような本が新
書として発刊されている。

『歴史という教養』(片山杜秀 著)(河出書房新社)(河出新書)
(2019年1月30日)

 「歴史」とはなんだろう? いつもそれを思っていた。歴史とは、単なる過
去の出来事だけではない、ということは理解できる。歴史とは、ほぼ無限に存
在しているクロニクルだけではないはずだ。それが証拠に、よく耳にし目にす
る言葉で「○○史観」、という表現がある。いろいろな考え、見方によって、
さまざまな歴史がある。むろんそれは、はるか昔の学生時代のときから理解し
ていたことではあるが、あらためて歴史における考え方の違いとはなんだろう、
と思ったのは、本書を書店で手に取ったときだった。

 本書の目次には、最初にこうある。「序章 「歴史」が足りない人は野蛮で
ある」。・・・・・なんとも挑発的なことばだ。本書の著者は、冒頭に20世紀
のドイツの哲学者テオドール・アドルノの箴言を載せている。アドルノ曰く、
“アウシュビッツ以後、詩作は野蛮である”。

 著者の片山杜秀氏は、“アウシュビッツを反芻しない脳天気な文化芸術上の
創作は、自らが野蛮人になりうる恐ろしさを、忘却し、うぬぼれているのだか
ら、それはもう「野蛮人の証明」である。”と、アドルノのこのことばを解説
した。・・・・・このあたりが本書の主題であり、著者が読者に考えてほしい
問題なのだろう。歴史を理解するには、苦しまなければならないのだ。歴史を
意識すればするほど、苦しむし、重たいし、つらい。しかしそれに耐えなけれ
ばならない。それに耐える力がない人は歴史を語る資格がない。ホロコースト
(アウシュビッツ)に目を背けていては、歴史を理解できない。徹底的に向き
合わなければ、歴史はわからないのだ。さしづめ、現在の日本ならば、「福島
第一原発」であろうか。福島第一原発に向き合わない文化芸術活動は野蛮人の
証明であろう。それはむろん文化芸術活動に留まらない。人間の活動すべてに
関わってくる。日本人なら「福島第一原発」のことを決して忘れてはいけない
のだ。歴史はそこで我々に教訓をもたらす。人類の手に負えないものに手を出
してはいけない。ところが、この国の指導者と商人たちは、性懲りもなく、教
訓を無視して原子力発電所を維持しようとしている。これを野蛮人と云わずに
なんと云うのだろうか。

 閑話休題。

 歴史を学ぶには、それに向き合うだけの体力と気力がないといけないのであ
るが、ではどのような態度で歴史に向き合えばよいのか? それが第一章の
「「温故知新主義」のすすめ」の内容となる。「温故知新」=故きを温ねて新
しきを知る。片山杜秀氏はこの「温故知新」を荻生徂徠の解釈が妥当であろう、
として論を進めている。

 歴史を学ぶ。あらゆることを知ろうとする、ということが「温故」。その上
で新しい出来事に新しい発想で対処することが「知新」である。つまり、“歴
史を学んで今を生きる力を養うこと”が大切だという。歴史を学ぶ。それを基
に今を生きる。歴史から導き出されたもので未来を予想する。進むべき道を選
ぶ。

 たぶん、道を選んでもその道は、人によって違うのであろう。歴史を学んで
もその学び方、結論によって解釈が違う。だから選んだ道が違う。そしてそれ
がこそが、その選び方が「○○史観」、あるいは歴史の「○○主義」となるの
であろう。

 第二章以下は、この歴史の解釈の違いに注目する。歴史の解釈はさまざまあ
ることを紹介している。「保守主義」「復古主義」「ロマン主義」「啓蒙主義」
「ファシスト」「反復主義」「ユートピア主義」・・・・・。

 著者はそれぞれを端的なことばで云い表す。「保守主義」=石橋を叩いて漸
進する。「啓蒙主義」=考える理性の進歩。「復古主義」=失われた過去に懸
ける情熱。「ロマン主義」=いろいろな過去を懐かしんではため息をつくぬる
い態度。「ファシスト」=今の固有性に賭けて過去も未来も忘れてしまう熱狂。
「反復主義」=古いことも新しいことも何もない。・・・等々。

 それらの歴史の見方の違い、それぞれの主義者の考えも理解した上で、著者
は「温故知新主義」を掲げる。「温故知新主義」とは、“歴史の一回一回の独
自性に学んで不断に「知新」を積み重ねていく姿勢”という。謙虚さが大切だ
し、感受性と想像力が大事なのだ。心が動かない歴史は歴史とは云えない。そ
してここで読者は、本書の最初の箴言を思い起こす。
 “アウシュビッツ以後、詩作は野蛮である”。

 最後に著者は、その「温故知新主義」を実践するための6つのヒントを紹介
している。1.歴史の道は似たもの探し・・・「既視感」が大切。2.歴史小説は
愛しても信じない・・・「似たもの」に喜んではいけない。3.「偉人」を主語
にしてはいけない・・・歴史のカメラがピンぼけする。4.ものさし変えれば意
味変わる・・・歴史は複眼でみなければいけない。5.歴史を語る汝が何者であ
るかを知れ・・・自分が歴史のなかにどういう願望を投影しているか、それを
自覚すること。6.歴史は「炭坑のカナリア」である・・・歴史を学び参照項を
増やしてリスクを回避する。・・・・・このヒントはとてもわかりやすいと思
う。大切なことは、人のことばをすぐに信じてしまわずに自分で考えることな
のだ。

 歴史から自由にはなれない。歴史に縛られている。だからと云って不自由な
のか、と云えばそうではない。歴史は運命や宿命ではない。歴史は偶然性であ
る。歴史は偶然だから自由なのだ。・・・・・本書はそう云って論を終わりに
している。

 新書版なのに、読み応えのありすぎる書物だった。

多呂さ(梅雨に入りました。今年はどんな災害がどこに発生するのでしょう)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 梅雨が始まりましたー。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3021部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 13:31 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.678

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.05.20.発行
■■                              vol.678
■■ mailmagazine of book reviews [世の中には2種類の男しかいない 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #106『ソロ』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『脱税の世界史』大村大次郎 宝島社

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『俺か、俺以外か ローランドという生き方』

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#106『ソロ』

 ブルガリアから連想するものは、なんですか?

 ヨーグルト。
 ……
 あ、あと、随分昔、『ブルガリアン・ヴォイス』というCDが話題になったっ
け。ブルガリアの民族音楽で、女性ばかりのコーラス。これが西欧的な和声と
はまるで異質な、野性味溢れる不協和なハーモニーで、新鮮だった。
 それから
 ……


 ぼくにとって、ブルガリアから出てくるのはこれだけ。
 大多数の日本人にとっても、そんなに変わらないのでは?


 そんな、正直縁遠いブルガリアを舞台に、ブルガリア人が主人公の小説を、
なぜかイギリス人が書いた。しかも彼は、インド人とイギリス人のハーフ、い
わゆるインド系英国人だという。
 妙にややこしく国籍アイデンティティが錯綜する小説。
 それがラーナー・ダスグプタの『ソロ』である。


 ぼくはもともと、多様性こそ豊かさのカギだと思っている。もちろん多様で
あるほど軋轢も生じる。それが戦争の原因にも、離婚の原因にもなる。しかし
それでも、多様性を捨てることは、意見を異にする人間を暴力で封じ込めるフ
ァシズムへの道なんじゃないか。
 それに、みんなが同じになってしまえば、進歩も生まれず、その集団に未来
はない以上、困難であっても多様性を、むしろ積極的に生み出していく方がい
い。


 十代の頃から、そんな考えがあって、主流から外れた、周辺に位置する音楽
文化に惹かれてきた。
 いまはポピュラー・ミュージックの王道と言えるロックも、70年代にはまだ
カウンター・カルチャーであり、周辺文化だった。矢沢永吉率いるキャロルが、
お茶の間カルチャーの象徴たるテレビに出た時など、ちょっとした事件だった
くらいである。ニューヨークで生まれたサルサという、まさに周辺的なラテン
音楽にもはまった。その影響で大学ではスペイン語を学んだ。
 要は、あまのじゃくというだけかも知れないが。


 そういうぼくにとって、「ブルガリア」「インド系」というキーワードは魅
惑的である。そこにどんな物語が語られるのか、本書を手に取らずにはいられ
なかった。


 さてこの小説、当欄で取り上げる以上、もちろん音楽本である。
 時々やるように無理矢理結びつけなくとも、音楽は重要なモチーフになって
いる。
 その証拠に、本書は2部構成になっているが、通常「第1部」と表記される
ところを「第1楽章」、「第2部」を「第2楽章」としているのである。
 もちろん、ストーリーの中でも、音楽が重要な役割を占めている。


 第1楽章の主人公はウルリッヒ。ドイツ風の名前だが、ブルガリア人だ。物
語は2001年という設定で、彼は100歳の誕生日を目前にした盲目の老人である。
 貧しく不自由な生活を耐え忍びながら、過去への追憶に浸る日々。その心象
風景に添うことで、われわれは彼の人生を辿る。
 そして、ほぼ20世紀に重なるこの物語を通して、ブルガリアの現代史をも知
ることになるのである。


 ブルガリア史にまったく疎いぼくは、まずこの国が、オスマントルコ帝国の
領土だったと知って、へーっと思う。
 ついで独立するも、今度はナチス・ドイツが占領。
 第二次大戦後は、ソ連の衛星国家として共産国に。
 そして、ソ連崩壊によって資本主義化し、今日に至るという、波乱と激動の
歴史を持つ国なのだ。


 ヨーグルトをつくって、余暇には村のおばちゃんがコーラスを楽しんでいる、
のどかで牧歌的なイメージが覆る。


 ウルリッヒは、曖昧になった記憶をランダムに追いかけながら、相次ぐ社会
の激変に呑まれ、翻弄されてきた自らの人生を思う。
 音楽に惹かれた幼いウルリッヒがジプシーの後について回る、というエピソ
ードなどは、音楽本として興味深く、また第2楽章への伏線ともなっている。


 さて、その第2楽章は、一転して群像劇となる。
 まず、最初に登場する人物がウルリッヒではない。ボリスという少年だ。舞
台も現代、すなわち21世紀である。
 さらに、第1楽章が回想録に特有の静謐で淡々とした語り口だったのに対し、
第2楽章ではストーリーの起伏が激しくなるからだろうか、文体もダイナミッ
クになる。
 一瞬、別の小説が始まったのかと思うほど、趣が変わるのだ。


 しかし、初めに登場する少年ボリスは、結局ウルリッヒの、社会的動乱によ
って生き別れになった息子だとわかってくる。
 この絆が、第1楽章と第2楽章を結ぶ唯一のリンクだ。


 ボリスはウルリッヒの血を引いたか、やはり幼い頃からジプシーの音楽に惹
かれた。ウルリッヒは父親の猛反対で音楽を諦め化学者への道を歩んだが、ボ
リスは興味の赴くままヴァイオリンを弾き始める。
 やがて社会の混乱の中で一切の係累を失い、一人孤独に暮らしながら腕を磨
く。


 そんな彼が、ニューヨークの音楽プロデューサー、プラスティック・ムナリ
に見出され、スターとなる過程が、第2楽章の主軸ではある。
 だが、それとはまったく別に、やはりソ連崩壊で混乱の極にあるグルジア
(現在のジョージア)が舞台となって、没落した上流家庭の娘ハトゥナや、彼
女の夫となるグルジア・マフィアの大ボスや、彼女の弟で詩人のイラクリなど、
魅力的な人物がそれぞれの物語を紡いでいく。
 そしてすべての登場人物は、911のテロを経たニューヨークで合流し、ひ
とつの物語に収斂するのである。


 そんな特異な構成を持つこの小説を読んで、ぼくが最も驚嘆したのは、「音
楽性」であった。


 小説で「音楽性」というのも変だが、音楽で使われる固有の手法を文学に応
用することで、新しい表現を生み出しているという意味に取ってほしい。


 第1楽章で応用される手法は、「転調」である。


 交響曲のタイトルには大体その曲の調が記されている。
 例えば有名なベートーヴェンの『第九』。これは「ニ短調」


 でも、え?と思わないだろうか。
 短調といえば、暗くもの悲しい雰囲気のはず。
 でも「第九」って、「歓びの歌」でしょ? あれってめちゃ明るくない?


 その通り。
 実は交響曲のような長い曲で、最初から最後まで同じ調ということはあり得
ない。それでは退屈で、聴衆が飽きてしまうからだ。
 それに、ロマン派の音楽は紆余曲折を経て最後にクライマックスを迎える劇
的な構成を特徴とする。その紆余曲折が、さまざまな調を経ることで表現され
るのだ。
 そのため、『第九』でいえば第1楽章だけでも、二短調→変ロ長調→ト短調
→ハ長調→ト短調→変ロ長調とめまぐるしく調が変わっている。短調と長調が
交互に出てくるところにご留意あれ。


 このように、調を変える作曲技法が転調なのだが、ぼくは、ウルリッヒの人
生を襲う体制の激変こそ、この小説における「転調」だと思うのだ。


 音楽において、調はその曲の背景となり、全体の雰囲気を支配する世界観で
ある。
 世界ががらっと変わるのが転調だとすれば、オスマントルコの帝国主義に始
まり、ナチス・ドイツのファシズム、ついで共産主義、さらにソ連崩壊による
資本主義と、国家の体制が根本から変わることは、まさに社会の「転調」と言
っていい。
 そしてウルリッヒのような個人の人生が、転調に翻弄されるメロディーであ
る。


 よく、日本もいま激動の時代にある、などと言うけれど、体制の根本が変わ
ることに比べたら、何ほどのこともない。戦後の日本は、結局同じ「調」の中
で歴史を重ねてきた。世紀の変わり目を挟むように巨大災害という「転調」は
あったものの、それは天変地異としてひとまずおく。


 とはいえ、ブルガリアが経験した、激しい「転調」は対岸の火事なのか。
 いや、日本もいつどうなるかわからない。
 実際、太平洋戦争の敗戦では、多くの日本人が「転調」を経験している。そ
れまで教えられてきたことがすべて否定され、虚構となった衝撃がいかにすさ
まじかったかは、われわれ戦後世代にとって想像の埒外にある。


 それでも、もし、再びそんな時代が来てしまってもうろたえないように、フ
ィクションを通じて世界の崩壊を疑似体験しておくことは、なにがしかの準備
になるだろう。


 一方、第2楽章は、「対位法」という手法を応用して書かれた、とぼくは思
う。


 交響曲の前、バッハの時代にはまだ主旋律という考え方は希薄だった。
 むしろ、複数のメロディを同時に重ねて、そのもつれあう様を楽しむ方法が
主流だった。
 これを対位法の音楽という。


 群像劇は、まさに対位法である。
 一人一人の登場人物がメロディーであり、彼らが重なり合い、もつれあって、
やがてひとつの物語を織り上げていくのだから。


 ではどうしてこの小説は、第2楽章で全く異なる「対位法」を選択したのか?


 その答えは、21世紀の今日、ウルリッヒの人生=ブルガリア現代史のように、
もはや一人の人生に現代史を象徴させることが出来なくなったからだと思う。
 
 複数の人生が折り重なって、初めて歴史というタペストリーが織り上がる時
代。
 それは、冒頭に書いたように、多様性の結果であり、ぼく自身はよいことだ
と考える。


 だからと言って物語自体がハッピーエンドとは限らないのだが、それでもこ
の小説を悲劇と読むかどうかは、人それぞれだろう。


 ウルリッヒには、遠い子供時代に本で知ったある日本語の、不思議な官能性
に惹かれた記憶があるのだが、言葉自体は忘れてしまっている。だがラストで、
親子の名乗りをしないまま息子ボリスの旅立ちを見送る時、不意にその言葉を
思い出すのだ。


 それは、「ソイネ(添い寝)」という日本語である。


 ここでぼくは、この小説が『ソロ』というタイトルであったことを思い起こ
す。


 ソロとは、一人という意味であり、音楽用語では独奏だ。
 ウルリッヒは離婚し、息子とも生き別れになり、年老いた両親に死なれてか
らは、孤独なソロの人生を歩んできた。
 ボリスもまた家族を亡くし、ジプシーの仲間ともはぐれて、たった一人で生
き延びながらヴァイオリンを独学、独奏で弾いてきた。
 血で繋がったふたつのソロは運命に引き裂かれ、そして運命に導かれて再会
するのだが、すぐにまた別れてしまう。作者はここで、安易な家族の再生は歌
わない。
 それでも、二人の距離感には、淡いようだが、この上ない官能性に満たされ
た深い何かが漂っている。
 それがまさに「添い寝」の感覚であるのだろう。
 
 人は独りである。そして、だからこそ独りではない。
 そのやるせないぬくもりを思いながら、ぼくはため息と共にページを閉じる。


ラーナー・ダスグプタ
西田英恵 訳
『ソロ』
二〇一七年一二月一五日 印刷
二〇一八年一月一〇日 発行
白水社


おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
壊れたラジカセ、使わなくなったプリンターとエフェクター類を、ハードオフ
に持って行きました。ラジカセは10円。プリンターは50円。エフェクター類は
スイッチが300円、VOXのアンプ・シュミレーターが900円、エレアコ用のプリ
アンプが3,000円。なんか、ちょっと嬉しい。また、行こ。(宣伝にあらず)

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『脱税の世界史』大村大次郎 宝島社

 大村大次郎というと、元国税庁で節税の専門家として多くの本を出している
方だが、こんな本も出していたとは知らなかった。

 内容はタイトル通りで、古くは古代エジプトや古代ギリシャの時代から、新
しいところではパナマ文書やGAFAまでの脱税史のトリビア本という感じである。

 多くの時代、多くの国を扱っているので、ひとつ一つのトピックを深く解説
しているわけではないものの、とても分かりやすい文体で書かれている。こう
いうところは、節税の本を大量に書いているうちに培われた能力かも知れない。

 だって節税の本を読むのはたいてい普段本を読まない人たちだろうから、そ
ういう人向けにややこしい税制のことを上手にわかりやすく説明しなければな
らないはずなので、必然的に文章も磨かれる。そんな感じがした。

 「はじめに」の冒頭には、「国家とは税金である」とある。そのココロは、
国の盛衰には必ずといっていいほど税金がからんでいるわけで、世界史に登場
する、強国・大国はどこも優れた税制を持っていたという。

 「民が疲弊しないように効率的に税を徴収し。それをまた効率的に国家建設
に生かす」これができていなければ国が興隆することはできない。逆に言えば
税制が政治腐敗や時代の変化などで劣化する時が、国家が滅びるきっかけとな
るのだと言う。

 で、脱税と言うのは、基本払う税金を減らしたいと思って細工することが多
い。これは古今東西どこでも一緒である。しかし「圧政、重税に対する抵抗と
して、民衆が結託して、課税逃れに走ると言う場合もあります。また富裕層や
貴族などが特権を活用し合法的に税を逃れるということもあります」

 「いずれにせよ、脱税がはびこる時は、社会は大きな変動が起きます。武装
蜂起、革命、国家分裂、国家崩壊などには。必ずといっていいほど『脱税』と
『税システムの機能不全』が絡んでいるのです」

 すなわち、脱税を見ていれば社会の変化、潮目が分かると言うことなのだろ
う。

 そして、「これまでとは違った立体的なイメージ」がわいてきて、「不可解
に思えていた出来事のつじつまがくっきりと見えてきたりする」のだそうだ。
早速読んでいく。

 最初に来るのは古代ギリシャと古代エジプトの税金史。古代ギリシャに税金
はなかったが、アンチドシスと言う必要な時に金持ちから寄付を募る制度かあ
った。これは指名されたら金持ちは半強制的に戦費などをカネを払わされる。
しかし、指名されていない、自分より金持ちがいたらその人を指名して自分は
指名から外れることもできた。指名された人は求められたカネを出すか、指名
してきた人と財産を交換することがどちらかを選ぶことができた。

 たとえばAという人が一番カネ持っているなら出すしかない。しかしAはB
の方が金持ちだと指名することができるのだ。Bは本当にその通りならAの代
わりに金を払う。Bが「いや、Aくん、キミの方が金持ちだろ?」と拒否すれ
ばAから財産の全交換を求められる。

 もしBの方が本当にAより金持ちなら、財産を全交換したらAは儲かる。B
の言う通りAの方が金持ちだったら、立場が逆転してBの方が金持ちになる。
要は金持ち同士の財産情報が上手に制度化・活用されて前金のように機能して
いた。

 とはいえ、基本税金を取るのは当時から簡単なことではなく、間接税や関税
をメインにせざるを得なかった。しかも、関税をごまかす者は昔からいた。

 徴税請負人と言う職業もあった。税金を徴収する仕事と引き換えに手数料を
もらう仕事である。たとえば国から100万円分の税金を集めて、そのうち20万
円をもらって80万円を国に納める。

 この方法は請負人が税金を集めるので徴収コストが安くなる反面、腐敗の温
床になってしまうことが多い。古代エジプトなど、そうした事情がよく分かっ
ていて腐敗を防ぐ優れた仕組みを持っていたが、それでも腐敗を避けることは
できなかった。

 そんなところから始まって、ユダヤ人の世界放浪はもともと重税を割けるた
めだったとか、イスラム教に改宗すると税金の割引があったとか、清教徒革命
はたった1人がたった20シリングの船舶税の支払いを拒否したのをきっかけに
始まったなどなど、古今東西の税金と脱税の興味深い話が続いていく。源泉徴
収がナチスドイツの発明だとかも、初めて知った。

 とはいえ最も量的に多いのは現代のトピックで、タックスヘイブンやGAFA、
(Google Amazon Facebook Apple)の逃税など、現在進行形の問題に多くのペ
ージが割かれている。

 中でもプーチンについて触れているところで、ソ連が崩壊したから世界は格
差社会になったという指摘は鋭い・・・。ライバルがいなくなったから資本主
義は堕落したというわけですね。

 これは面白いと思って他の大村さんの本を調べてみると、税金関係だけでな
く「おカネの流れ」で歴史を読み解くような内容の本がいくつか見つかった。
節税本なんか読まない人でもこういう本は興味がわくだろう。税金本の著者は、
いつの間にか、お金の歴史の専門家になっていた。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)
----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
けっこういいヤツ。カリスマホストのローランド
『俺か、俺以外か ローランドという生き方』(ローランド・著 KADOK
AWA)

 今回紹介するのは『俺か、俺以外か ローランドという生き方』です。帯に
は「読めばわかる。ボクがなぜ、コイツを弟と呼ぶのか」というGACKT様
の推薦文が書いてあります。

 「前にキャバクラ嬢の本を紹介して、今回はホストかい」とおっしゃる皆さ
ま、すみません。だって本が売れないこの御時勢、売れているのはキャバ嬢と
ホストの本しかないんですもの。小説なんて実売1800部しか・・・あ、すみま
せん炎上しちゃう。(わからない方は「ネット見ろ!」BYアンジャッシュ・
渡部)

 ローランドとは、東京は新宿の歌舞伎町のホストで、1日の売り上げが300
万にもなるほどのカリスマホストです。メディアに積極的に出て、上から目線
の名言をかまし、それがちょっと笑えて、トークも芸人さん並に上手なことか
ら最近、話題になっていますね。かつて城崎仁なんて人もいて今は通販番組で
がんばっているようですが、それとはまた違うビジュアル系で女子のファンも
多いよう。おばちゃまが最初に見たのは動画でしたがたしかにオーラがありま
した。

 そのローランド様の名言を集めたのがこの本。
「無様に勝つぐらいなら美しく負ける。まあ、俺は美しく勝つんだけど(笑)」
とか、
「ローランドが下を向くときは、出勤時に靴をはくときだけさ」
 というタカビーな発言でクスリと笑える。

 でも一番有名なのが、
「世の中には2種類の男しかいない、
俺か、
俺以外か」
ですね。

 すごい!って一瞬思うんですが、よく考えてみたら、この世の人はだれでも
俺か俺以外、私か私以外ですよね。なあんだ。
 でもまあ面白いですね。このセンスはどこで培われたのかの秘密が本に書い
てあります。

 それは帝京高校サッカー部。

 バリバリの全国出場をめざすこの部にいたというからサッカーの精鋭ですね。
ここでの先輩や同級生、後輩とのやりとりからとっさにおもしろいことを言う
センスが磨かれたらしい。そう、木梨憲武を輩出した帝京サッカー部はサッカ
ー選手だけでなく、タレントもおのずと育成する養成所だったんですね。

 そして、この人のもうひとつの魅力というのが、フツーにいいヤツというこ
と。タカビー発言からちょこちょこ見え隠れするフツー感が笑える。

 それが一番顕著なのが、

「俺以上におまえを幸せにできるヤツがいる?彼氏なんて作らなくていい」
っていう章。

 これ彼女じゃなくて妹に言った言葉で、妹さんに彼ができてヤキモキしたと
いう、なんや、一般家庭の微笑ましい話やないかい!ってところがね、爆笑で
なんや、普通のええヤツやないかいと読めます。(出だしが「大好きな大好き
な妹へ」だよ。)

 これがギャップ萌えを誘導する話ならまたすごいんですが、結局、まだ20代
半ばの青少年。なんか若いのよ、したたかさが足りないのよ。

 キャバ嬢のほうは、歌舞伎町の愛沢えみりと、名古屋・錦の小川えりが引退
を発表して、すでに北新地の門りょうも引退して、今後が不透明ですので、ホ
スト界はローランド1人でがんばっていただきたい。もう2〜3人ビッグなホ
ストが出ると活気づくんだけどね。

 ちなみにこの本の印税は、カンボジアの子どもたちの育成と、東日本大震災
をはじめとする日本各地の復興のために使われるとのことです。やっぱり、い
いヤツや〜。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 配信が遅れました。っていうか月をまたいじゃいました。すみません。

 またすぐ、10日号でお会いしましょう!(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3022部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 16:22 | comments(0) | trackbacks(0)
[書評]のメルマガ vol.677

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.05.10.発行
■■                              vol.677
■■ mailmagazine of book reviews      [時代の区切りのお祭り 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。


★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→95 なんども読み返す物語

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第112回 災害と万葉集と歴史と日本人

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→今回はお休みです

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
95 なんども読み返す物語

 誰もが有限の時間で生活している。
 このあたりまえすぎることを、年を重ねるごとに思う。
 生活のために働く時間が一日の大半なため、本を読む時間を捻出するのが、
ことのほか難しい。時間だけでなく、加齢で体力も落ちているのも原因のひと
つ。

 時間がないので、読み返したいと思っても、いままで読んだことのない本を
読みたい欲望が勝ってしまう。

 そんななかでも、タイミングよく再読しているのが『オズの魔法使い』。

 早川文庫から出ている「オズの魔法使い」シリーズは高校生の時に少しずつ
買いそろえて楽しんでいた。それがひょんなことから、仕事にもつながり(復
刊ドットコムからオズシリーズ全15巻の編集)、なんども深く読み返すことに
なる。仕事の参考にと、複数の訳も読み比べもした。どの訳もすばらしく、読

たびに新鮮に面白さく夢中になってしまう。

 そしてまたあらたに訳された本が出たのはうれしい限り。

 『すばらしいオズの魔法使い』
 L・F・ボーム 作 R・イングペン 絵 杉田七重 訳 西村書店

 西村書店のカラー新訳豪華版は、本当に豪華で読みごたえがある。
 既刊の『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』『楽しい川辺』もイング
ペンの挿絵と杉田七重さんの訳で楽んだ。本書も同コンビなので、期待が膨ら
む。
 
 たくさん出ているオズの本の面白さは訳文と共に挿絵の存在も大きい。
 どの本の挿絵も、画家のイマジネーションに唸らされ、ページをぐいぐい繰
る楽しみがある。

 イングペンの絵は、人間味あるドロシーや仲間たちを描き、引きこまれる。
目立って特徴的に描くのではなく、どちらかというと個性をおさえて、存在だ
けを強調する、とでもいおうか。写実的に描かれたドロシーたちは、ファンタ
ジー世界の住人というより、ご近所さんの雰囲気を感じるほどだ。

 杉田さんの訳も質のいい文章で、声に出して読んでも黙読でも、ストーリー
を豊かにイメージできる。

 作者ボームが「ただ面白さを求めて物語を読めばいい」と物語のはじめに書
いているとおり、そして訳者の杉田さんが『すばらしいオズの魔法使い』を読
む体験は「面白さいの極み」とあとがきに書かれているとおり、ふたりの言葉
に大きくうなずく。

 オズシリーズを読んだ人であれば、ぜひとも本書でオズの仲間たちと再会し
て欲しい。

 さて、1900年に書かれた古典ファンタジーを楽しんだあとは、
 現代に描かれた絵本を紹介する。

 『ひみつのビクビク』
 フランチェスカ・サンナ 作 なかがわちひろ 訳 あかつき

 作者のデビュー作『ジャーニー 国境をこえて』(きじとら出版)もこのメ
ルマガで紹介しているが、2作目にあたる本作もよい。

 「わたし」のひみつのともだちビクビクは、いつも「わたし」を守ってくれ
ている。守ってくれているから安心、心地よい、、はず??
 最初は小さかったビクビクが「わたし」を守ってくれるたびに、大きくなっ
ていき、身動きがとれなくなってしまう。
 そんな時、別の子のビクビクと出会い……。

 どの子も心にもっている心配が形になったビクビク。新しい環境では誰もが
抱く気持ちを視覚化し、大丈夫だよと背中を押してくれる存在になっていく様
子が丁寧にやさしく描かれている。

 4月から新しい学校生活がはじまった子どもたちに、寄り添ってくれる絵本。
 

 最後に紹介する絵本はまた古典にもどり、アンデルセンの「おやゆびひめ」。
 松井るり子さんによる再話ですべてひらがなで書かれている。

 『おやゆびひめ』
 アンデルセン 作 カンタン・グレバン 絵 松井るり子 再話
 岩波書店

 カンタン・グレバンの絵はやわらかく雄大。
おやゆびひめの低い視点で描かれていたり、高いところから俯瞰するように描
かれていたりと、視点の動きがダイナミックで面白さい。

 松井さんのやわらかな語り口は、おやゆびひめの、はかない可愛さと、運命
のいたずらで起こるできごとに引きこませ、なんども読みたくなる。

 そう、絵本はなんども読んでこそ面白さいのだ。
 短い時間で豊かに楽しめる絵本は、大人にもオススメ。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第112回 災害と万葉集と歴史と日本人

 新元号が発表された4月1日以降、平成最後の日々であった4月中にすっか
り時の人となった万葉集学者の中西進先生。そして、改元騒動お祭りだったこ
の10連休中、メディアに引っ張りだこだった歴史学者の磯田道史先生。このお
ふたりの対談を新書化した本が本屋で平積みになっていた。

『災害と生きる日本人』(中西進・磯田道史 著)(潮出版)(潮新書)
(2019年3月20日)

 タイトルをみて本書を買ってしまった。執筆子にとっては、まさにこのタイ
トルが8年前からのテーマと云える。さまざまな災害に遭いながらこの島国で
生きていく日本人。災害と隣り合わせに一緒に行き続けなければならない運命
にある日本人。それこそ、わたしたち日本人の特色だと思っている。

 そして話題のふたり。新元号 令和を提案したとされる中西さん。天皇の退位、
平成の終焉、令和の到来、新天皇の即位。この祝祭の日々においてメディアに
出ずっぱりだった磯田さん。このふたりが日本や日本人、日本の歴史について
それぞれの薀蓄を披露し、語り合う。相当にタイムリーな本だと思った。

 さらに、売り方がうまい。本書のタイトルをテーマにおふたりが対談するの
は第1章のみ。2章以降は災害がテーマではない。本書はこの国の歴史をひも
解いて、その中で日本人のものの考え方や行動様式をさぐっている。どうやら
それがテーマなのだが、タイトルは災害に特化している。「災害と生きる日本
人」。このタイトルでは、災害や防災に関心のある人へのアピールとなるし、
話題のふたりの対談本なので、歴史に興味のある人へのセールにもなる。

 第1章「天災と人災の中で」。大地震が起こる。そのあと人々は、震災の後
だから、そのときを震災後、という。しかしこの日本列島に住む私たちは、実
は震災後ではない。地震をはじめあらゆる災害が頻発するこの土地では、災害
後という概念で考えてはいけない。何も起こらず、災害がないときでも実は災
害と災害の間を過ごしている。私たちはそんな「災間」を生きているのだ。こ
のことは肝に命じておかないといけない。またどこかで何かが起こる。今年も
今年も梅雨が始まる。日本列島は6月から10月いっぱいは水害のシーズン。ど
こでどんな形で大雨が降り続くかわからない。土地土地に伝承されたもの、石
碑などがあればそれを大事にして、過去の被害を教訓に対策を立てなければい
けない。

 第2章以降は、災害がテーマではないが、とても興味深い内容となっている。
万葉集で詠われたたくさんの詩から当時の人々の生命感人生観をあぶり出す。
恋と死と生命が主題であり、それが現代の我々とどうつながっているか、また
断絶したものはなにかをさぐる。しかし、話は万葉集だけでは終わらない。古
典と歴史の専門家は日本の歴史を俯瞰していく。

 中西先生によると、日本の歴史を大きく三つに分けて考えるとわかりやすく
なるという。三つの分岐点。第一の切れ目は5世紀。大陸から新しい思想(儒
教)が入ってきた時代。第二は12世紀。武家政権(鎌倉時代)の始まりであり、
日本の仏教が完成したとき。そして三番目の分岐点は近代が始まった19世紀。
19世紀になってやっと、日本にキリスト教が入ることができた。

 本書は歴史を学ぶ手がかりになる。歴史を学ぶためのさまざまな手段を開陳
してくれる。それは宗教や思想、経済問題など多岐にわたる。
 本書は歴史を考えていくためのいいヒントがたくさん詰まった素晴らしい小
品である。

多呂さ(時代の区切りのお祭りは終わりました。新しい時代の新鮮な空気が漂
っているうちに自分の居場所を確保したいと思っています)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 10連休明け、なぜか体調を崩されている方が多いような印象です。休むのに
疲れたのか、働きたくなくなったのか…。

 お子さんたちには素敵なお休みになったことと思います。

 というわけでもないんですが、執筆陣も2人お休みでちょっと寂しい今号と
なりました。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3022部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 13:04 | comments(0) | trackbacks(0)
SEARCH
[書評]のメルマガ
本の虫の出版業界人が<徹夜した本>や<繰り返し読んだ本>、さらに新聞記者、出版編集者、プロの書評家による気鋭の書評など、書評メルマガの決定版。
発行周期発行周期:月4回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000036518

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

フリーラーニング Free-LearninG For Your Extention コーチ募集(コーチングバンク) 灰谷孝 ブレインジムラーニング 無料 コーチング 東京新都心ロータリークラブ カーディーラー経営品質向上 相続・遺言なら新都心相続サポートセンター 夢ナビ 実践写真教室 フォトスクール「橋本塾」 無料 eラーニング CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC 「付加価値型」会計アウトソーシング−株式会社サンライズ・アカウンティング・インターナショナル
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>
ARCHIVES
LINKS