[書評]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
[書評]のメルマガ vol.703

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.06.20.発行
■■                              vol.703
■■ mailmagazine of book reviews       [愛し合ってるか〜い 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #119『十年ゴム消し』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『熱源』川越宗一 文芸春秋

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『現代アートを買おう!』(宮津大輔・著 集英社新書)

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#119『十年ゴム消し』

 みんな〜、愛し合ってるか〜い?

 今回は忌野清志郎の文体(話体?)模写でお届けするぜ。
 だってこの『十年ゴム消し』は、清志郎の本なんだからな。

 あいつがRCサクセションでデビューしたものの、ろくに仕事もなく、国立
のアパートでただただ暇を持て余していた時期。当てもなく書き散らした詩や
ら日記やらのノートを、そのまま編集もせずに本にしたっていう、いい加減な
シロモノさ。

 ヒマだった裏っかわには、何だかどろどろした事情があるらしいけど、俺は
よく知らねぇし、まあ、ここでは関係ねぇ。
 それよりも、その結果、ほぼ引きこもり状態になった清志郎の鬱屈が綴った
言葉たちが、コロナ・ファッキン・ヴァイルスのせいで、緊急事態制限の外出
自粛のという憂鬱な日々にシンクロして、ぐさぐさ刺さるってことを言いてぇ
のさ。
 これはこれで、清志郎という類稀れなブルースマンが創った、ひとつのブル
ースなのさ。

 例えば、こんな詩がある。

  一日二十四時間を
  眠って
  食べて
  ピアノを弾いて
  ギターをかかえて
  字を書いて
  ほとんどそれで
  おしまいだ。

 おお! まるで俺のいまの生活じゃねぇか! ピアノ以外はな。
 
 けど、この詩で清志郎は、そういう日々を決して嫌がってはいないのだ。
 嫌悪を表明はしないのだ。
 だから最後は、こうだ。

  ぼくの部屋の中には
  歌が
  とび散っているから
  満たされた毎日を
  ぼくは この中だけで
  暮したい。

 こんな日もあった。

  今日は一日
  本を読んで暮した
  とても冷える日だった

 これが記されたのは、六月一日だ。
 六月に、そんな冷えたのか?
 そういや、今年の五月も天候不順で、ゴールデン・ウイークが明けってのに
、まだうすら寒い日があった。一方で七月並みの夏日があったりもしたが、清
志郎が引きこもったこの時も、やっぱり天気までブルースだったのだろうか。
 あるいは、この一行には清志郎の心の寒さが映り込んでいるのかも知れない。

 と言うのも、こうした日々を嫌悪していない、と書いたが、それ以外の詩に
は、やっぱそんな訳ねぇよなって言葉がたくさんあるからだ。

 例えば、

  このあいだ 二、三日の間
  外にも出ずに
  本を読んだり 日記をつけたり
  歌を作ったりして過ごしたら
  少し 頭がおかしくなりました。

  電車に乗ったのです
  新宿駅のかがみで
  ぼくを見ると
  その目つきにびっくりしました。
  一人で 何日も 放置されてることは
  大変 キケンなことだと
  つくづく思いました、

 あるいは、

  別に意味もなく
  わけもなく
  ひとを恨んで暮しています。

  黒メガネをして
  かくしていますが
  ものすごい にくしみの目で
  にらみつけています。
  すぐにこれらの恨みつらみを
  ぼっ起させます。

 歌を作って満ち足りてたんじゃねぇのかって?
 そりゃあ、そういう日もあったろう。
 けど、こんな気持ちになる日だってある。

「ぼくはなぜ、これ以上まだ歌を作ろうとするんだろう? なぜ、そんな必要
があるんだろう? 作曲家でもないのに。
 こんな事じゃだめだ。いつまでも同じなんだ。
 スタジオが自由に使えたら、いいんだが。気に入ってる曲を全部レコーディ
ングしたら、もう、曲なんか作らないだろう。
 そして、何も思い残すことはないんだ。あのやっかいな、コンサートになん
か、もう出なくていいんだ。
 この仔猫と遊んでいられたら、幸せだろうな。梅毒なんかに脳をやられて。」
(七月十一日(木))

 創造は、心を癒す時もあるけど、虚しい気分に落ち込ませる時もある。
 こんなもん創って、何の意味があるんだって思ったりする。
 それは、余計なことをいろいろ考えてしまうからだ。
 考えてしまうってのは、人間の、本当にいいところでもあり、本当に苦しい
ところでもある。
 だから、梅毒なんかに脳をやられたいって思うのさ。
 考えることを止められれば、どんなに楽だろうってことさ。
 俺も時々そう思うから、よくわかる。

 そんな清志郎の毎日に、二人の女性がいる。
 一人は「みかん」。彼女の名前は名曲『スローバラード』の共作者としてク
レジットされているから、市営グランドの駐車場で二人毛布にくるまってカー
ラジオから流れるスローバラードを聴いたあの子なのかも知れない。
 もう一人は「こけし」。断片的な記述からははっきりしないが、この本の清
志郎は大体、彼女と付き合っているようだ。
 清志郎のささくれを受け止めながら、彼女たちもこの本の日々を暮している。

 暮す、という言葉が、ほんとによく出て来るんだぜ。
 でも、それは当たり前だ。
 アーティストは生活感がないなんて、思ってねぇだろうな?
 ブルースは生活だ。人生だ。暮しなんだ。だから、ブルース・マンである清
志郎が「暮し」を語るのは当たり前なんだ。

 そんな鬱屈した「暮し」は、結局百二十日で終わったらしい。
 こんな詩がある。

  のり切らねば ならなかった
  百二十日もの間、
  待っていて その間
  きっと 何の進展も これといってなくて
  ただ そのことに
  とらわれながら
  待っているのでは
  他には 大した進展は
  見られなかっただろう。

  ただ のり切らねば
  ならなかったので
  ぼくらは のり切った。

 まるで、緊急事態宣言解除までのことを書いているようだぜ。目に見えない
ウイルスにやられて萎縮したブルーな生活を、ウイルスに囚われながらじっと
待っていて、そうして一旦は乗り切ったんだが、でも大して進展は見られなか
った。ただ乗り切らなきゃいけないから乗り切っただけだ。

 乗り切ったけど、進展は見られなかったということが、具体的にどういう状
況なのか、この本からはわからない。
 この詩の後の文章を読んでも、あまり乗り切った感じはしない。
 相変わらず清志郎は、鬱屈したり、歌を作ったりしている。
 こけしにピアニカを吹かせて一緒に歌を作ることもあり、その時の清志郎は
楽しそうだ。
 ああ、やっぱり、何かを創るしかないのかな。
 虚しくなっても、一人で、二人で、何かを創ることが、暮していくことなの
かな。

 その内に、こんな風に思える日もある。
「きのうは、本当にいい、お休みだった。」(七月十六日(火))
 清志郎はこけしと、国立の街をぶらつく。
「大学通りの牛乳屋の前のベンチにしばらくすわっていた。あの辺は、とても
不思議な場所で、今日もさっかくにおちいりそうになった。
(あの辺は、時々、まったくちがう場所になってしまう。国立駅もそうだ。上
りが下りで、下りが上りになって、北口と南口がさかさまになると、とても、
みりょく的な街になる。そんな日は、ぼくは南口におりて、まごつきながら、
坂のあたりでやっと北口をとりもどした。――そんなさっかくにおちいりそう
になった。もう少し、十メートルほど歩けば、おちいれたかもしれない。する
と、とてもいいけしきなんだ。童話のさし絵で見たような街になる。)

 学生の頃、バンド仲間がみんな国立にいたから、俺もあの街にはよく行った
ぜ。
 清志郎はその頃、もう国立にはいなかっただろう。見かけたことはなかった。
 ただ、チャーが、まだちっちゃいジェシーと奥さんらしき女性と、いかにも
当時のニュー・ファミリーな感じで、駅前のロータリーを散歩していたのを見
かけただけだ。

 清志郎が国立にいなかったのは、RCが売れたからだ。
 スターになった清志郎は、でも、この本の頃、まだ自分がスターになること
を知らない。
 明日が見えないこと。それが人間の根源的なブルースだ。
 そしていま、俺たちも明日が見えない。
 いろんなやつがアフター・コロナを語っているが、いろんなやつがいろんな
ことを言っているそのことが、誰にも何にもわかっちゃいねぇってことの証さ。

 それでも、結局俺たちは、「暮し」ていく他、ねぇんだけどな。

 清志郎はあとがきに書いている。
「こいつは、俺が、十年以上も前に書いたノートだ。みんなに見せびらかしな
がら、そのうち本にでもして出版するんだと言いふらしながら、二、三カ月で
書いたものだ。当時、たくさんの友達がこれを読んで、あきれたものさ。泣い
た女もいたぜ。自分の名前を入れて欲しいと思う奴もいたかも知れない。
 しかしあの頃はほんとに、ヒマだったんだな。こんなにたくさん字を書くな
んて、ほんとにやる事がなかったんだと思うよ。
 でも、それも今じゃみんなチョー消しさ。十年や二十年なんて、ゴム消しさ。」
(encore)

 コロナが完全に解決するまで、五年かかるとか、十年かかるとか言っている。
 けど、そんな五年も、十年も、ゴム消しさ。


忌野清志郎
『十年ゴム消し』
二〇〇〇年二月二五日 初版印刷
二〇〇〇年三月三日 初版発行
河出文庫

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
緊急事態が解除になって、国は「新しい日常」と言いました。経済のためには
「日常」に戻ってお金使ってほしいけど、その結果感染爆発したら責任問題に
なるから、「これまで通りの日常が戻る」とは間違っても言えない。いろんな
やつがいろんなことを言い、収拾つかなくなってどうしようどうしましょうで
三日三晩徹夜。侃侃諤諤の末やっとこ生み出された官僚的作文が「新しい日常」。
なんじゃないかな。作文と言えば、カルチャースクールで作文を教えてますが、
3月以来休講になっており、それが7月、再開するかも知れません。でも、マ
スク着用とかいろいろ新ルールがあって、まさに「新しい日常」って、あれ、
案外これ、言い得てるぞ。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『熱源』川越宗一 文芸春秋

 第162回直木賞受賞作。所用で2月に大阪駅横のグランフロント大阪に行っ
た時に寄った紀伊国屋で山積みになっていたサイン本を買って、4ヶ月後の今
読んだ。暑くなると寒いところが舞台になる小説を読みたくなるというのは、
字数稼ぎの冗談である。
    
 で、この作品、小説としても大変面白いが、それ以上に勉強になる。明治時
代にアイヌが日本やロシアからどんな扱いをされていたか。樺太にポーランド
独立の英雄(にして独裁者)の兄貴がいてアイヌ研究に大きな役割を果たすと
同時に、ポーランド独立運動の工作員まがいのことをしていたとか、この作品
を読んで初めて知った。

 アレクサンドル・イリイチ・ウリヤノフ(レーニンの兄)や金田一京助、大
隈重信、白瀬矗など実際にいた人がたくさん出てくるので、ノンフィクション
ノベルかと見まがうが、おそらくは史実を押さえた上で作者の想像力でーを駆
使して書かれているのだろう。

 序章に出てくるのは、第二次大戦末期、レニングラード出身の女伍長アレク
サンドラ・ヤーコヴレヴナ・クルニコワが極東戦線に派遣されたところから始
まる。レニングラード大学で民族学を学んでいたクルニコワはドイツ軍に包囲
されたレニングラードで戦線に赴いた恋人を亡くした。

 軍に志願し、ナチスドイツと追いつめベルリンにやってきた時、ドイツ女を
強姦していた政治将校を射殺した廉で極東戦線に飛ばされてきた。クルニコワ
は、戦うことしか知らない女になっていた。そんな伍長は、かつて大学で聞い
たことのある樺太の五弦琴の音楽を思い出していた。録音していたのはブロニ
スラフ・ピルスドスキー。当時のポーランドの指導者にして独裁者と同じ姓の
民族学者だった・・・。

 そこから話は60年ほどさかのぼり、ブロニスラフ・ピルスドスキー(ブロニ
スワフ・ピウスツキ)と樺太に住むことになったアイヌの3人、ヤヨマネフク、
シシラトカ、千徳太郎治(アイヌと日本人の混血で後にアイヌ最初の著作者と
なる)の物語に移る。もっともメインはブロニスラフとヤヨマネフクになる。

 ポーランド(と言うよりリトアニア)の人で、ロシアからの独立運動に燃え
ていたブロニスラフは1887年、皇帝暗殺に与した罪で樺太流刑になり、絶望的
な日々を送っていた。しかし、樺太にいたギリヤーク(民族名)と出会い、そ
の生き様に感銘を受けて彼らの研究を始める。

 この研究が植民地開拓のノウハウとして欧州で関心が高まっていた民族学界
隈に認められて、ブロニスラフは反皇帝の政治犯にして民族学者として知られ
るようになる。同時に、ギリヤークをはじめとした先住民族を文明から取り残
された劣等民族として教化の対象にしているのに反発し、ロシア語を教えよう
としたり、ギリヤークの俊英インディンを留学させるなどしていた。

 対するヤヨマネフクは元々樺太生まれだが養父に連れられて北海道の石狩郡
対雁(現当別町)に移住していた。同地のアイヌの統領であるチコピローにも
かわいがられていたが、アイヌ差別の現場にもいた。先進国の我々が未開の民
族を教科指導するとする差別である。

 西郷隆盛の弟、西郷従道が視察に来た時の歓迎会もアイヌ差別の現場だった。
ここでヤヨマネフクは突っ張ったことで、アイヌ随一の美女で五弦琴の名手キ
サラスイを娶ることになるが、コレラでキサラスイを亡くしてしまう。

 キサラスイも樺太の出身で、「帰りたい」と言っていた・・・ヤヨマネフク
は五弦琴とキサラスイの遺した息子と共に樺太に戻った。

 樺太に集った彼らは、民族差別にあらがうために学校を作ろうとする。ロシ
アや日本に対抗するには知識が必要なのだ。しかし学校建設のためのカネ集め
は苦難の連続だったが、なんとか開校のめどがついた。

 ブロニスラフの元には、弟からの伝言を預かってきたヴァツア・コヴァスル
キがやってきてポーランド独立闘争のために早く戻ってきてくれとせかす。

 そんな中に起こった日露戦争は、再び彼らの運命を変えていく・・・最後は
序章に出てくるクルニコワ伍長が決着をつける。個人的には、ここで出てくる
小数民族オロッコ出身の源田一等兵と日本人嵯峨少尉の最後の戦いに涙した。

 それにしてもゴールデンカムイといい、この小説といい、近年アイヌを舞台
にした作品が出てくる理由はよくわからないが、こうしたあまり知られていな
い舞台を描く小説が増えてくると、勉強にもなってうれしい。

 書く方は、調べモノに苦労することになるので地獄かもしれないけどw

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
サラリーマンが現代アートのコレクターになる話
『現代アートを買おう!』
(宮津大輔・著 集英社新書)

 お国から一律10万円がいただけると聞いて、「何に使おうかな」とあれこれ
考えたけれど、結局、日々の暮らしの費えに紛れて終わりになりそうな労働者
諸君!(「男はつらいよ」より)でも、一瞬でも10万円でも、思わぬ収入の使
い途を考えるのは楽しいですね。

 おばちゃま、もし大金持ちなら何にお金を使うだろうと空想することがとき
どきありました。若い芸術家のパトロンになるとか、稀覯本のコレクターにな
る・・・というのがこれまでのプランでございました。

 ところが、大金持ちではないのに、現代アートのコレクターとしてその分野
で名を知られるようになった人がいて、その顛末を書いた本がこれ、「現代ア
ートを買おう!」でございます。

 著者は普通のサラリーマンです。(とは言っても文中から察するになかなか
いいお給料をもらっている感じではありました)。

 それがアンディ・ウオーホールとの出会いによって現代アートに目覚めます。
大学生のときに草間彌生作品のとりこになり、社会人になってからとうとうギ
ャラリーに行き、作品を購入します。A4サイズの白地に黒いドットのドロー
イングで約50万円。これをボーナス2回払いでやっとの思いで購入します。こ
の最初のドキドキ感は読んでいてとても素敵で、天からのメッセージみたいな
ものがこの人に降りかかったんだなと感じさせられて読んでるこちらもテンシ
ョンが高まります。

(でも1953年の草間彌生作品ですから、今だったら50万円ではとてもとても・
・・・ですよね。いや、やらしい話)。

 これをきっかけに、現代アートコレクターとしての活動が始まるのですが、
家族のいるリーマンの身、金額には限度があります。しかし、どうしても欲し
いという欲望には勝てず、結局、妻や母や祖母に無心して購入するんですね。
特に、著者の祖母という方はいわゆるお金をお持ちの好事家のようで、かわい
い孫のために資金を用立ててくださいます。いいな、いいな。

 著者は素人のコレクターとして徐々に活動を広げていき、海外の有名コレク
ターの家でのパーティに招かれるようになるのですが、ここぞというときには
コム・デ・ギャルソンのジャケットに日本の若手デザイナーのシャツやパンツ
(予算のないときはユニクロ)というコーデ、または父の形見の和服で参加す
るそう。

「素敵なジャケットね。それはコムデギャルソン?」と必ず数人に話しかけら
れるそう。「コム・デ・ギャルソン・オム・プリュスの服は和服と同様の効果
を持っている」と著者は言います。

 なんだかギャルソンの服が欲しくなってしまいました。

 あと、子供用の絞りの帯揚げをマフラーにしていって、帰国後に、ほめても
らったアーティストやギャラリー・オーナーに鳩居堂または榛原の千代紙の文
箱に入れてサンクスレターとともに送るといいます。こういうとこもとても素
敵! 

 著者はしまいには現代アートを収納するためのアーティスティックな家を建
てるまでになるのですが、ほんとうらやましい。
 私には、「ああ、私はこんな人になりたかったけれどなれなかったんだな」
と思う人が数人います。そのリストに宮津大輔という人が加わったようです。

 憧れとともに人は生きる。憧れをもって生きることはとても素敵と思わせて
くれた一冊でした。興味がある方は本の最後に現代アートのギャラリーがリス
トアップされているのでぜひ!

 現代アートは大好きですが、エナジー、時間、力量などなど、いろんなもの
が足りないおばちゃまは、数年前に青森の美術館のミュージアムショップで購
入した奈良美智の貯金箱を毎日眺める、身の丈に合った愛好度で楽しもうと思
います。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 良いことだとは思うのですが、ある有名なNGOから玄関にポスティングがあり、
最大10万円で途上国の人がこれだけ救える、と寄付の呼びかけがありました。

 良いことだとは思うのですが、なんだかな、という気がしました。

 今回は、良いことなので良いですが、悪いことを考えている人も動き出して
居そうですね。気をつけましょう。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2992部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 10:44 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.702


■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.06.10.発行
■■                              vol.702
■■ mailmagazine of book reviews      [マスク、嫌いなんです 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→107 美しい絵本、考える自然科学の本

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<125>少女漫画の時代が、あった

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第123回 村上春樹と彼の父親のこと

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
107 美しい絵本、考える自然科学の本

 今年の時間の過ぎ方はいままでにない独特なものですが、それもまた慣れる
もので、晴れた日は庭でラジオ体操をして、ベンチブランコで本を読んでいま
した。自分の家に庭がなくても、緑や土のあるところを野生の庭といったのは、
フランスの庭師ジル・クレマンです。そう、きっとどこにでも庭はあるのです。

 さて、今回最初にご紹介する絵本は、クラウドファンディングで刊行された
ものです。訳者の横山さんはとびっきりの目利きで、刊行されている訳書のほ
とんどが「ひとめぼれ」して持ちこんだ作品です。

 本書はご自身で主催してクラウドファンディングをたちあげ、
 日々、SNSで情報を発信し、見事に目標を達成しての刊行です。

 『ジュリアンはマーメイド』
       ジェシカ・ラブ作 横山和江 訳 サウザンブックス

 ジュリアンはおばあちゃんとスイミングに行きました。
 2人で帰る電車の中で、マーメイド姿のきれいなお姉さん達が乗り込んでき
ました。

 「きれいだなあ」とみとれるジュリアン。
 空想します。自分もあんな風に、髪の毛をのばして、きれいなドレスを着た
いなあと。

 帰宅したジュリアンは、空想を現実にしてみようと、衣装を身につけている
と、おばあちゃんがまたもお出かけに誘ってくれます。どこへ行くのでしょう。

 表情豊かなのびやかな絵に魅せられます。

 ジュリアンはもちろん素敵なのですが、私自身の年頃と近くなりつつあるお
ばあちゃんのキュートさにも目が離せません。

 版元サイトの紹介文によると、「本作は、50代になってからトランス移行さ
れた友人との会話をきっかけに生まれた」とあります。

 ジュリアンがきれいなマーメイドのようになりたいという願いを、おばあち
ゃんが軽やかに受け止め、ジュリアンの望む姿が美しく描かれ、何度も読み返
したくなる絵本です。


 次にご紹介するのもとても美しい絵本。

 『中国の昔話 九色のしか』
           リン・シュウスイ 文 リャオ・ジャンホン 絵 
                   宝迫典子 訳 廣済堂あかつき

 薬草とりは王妃の命令で森へ「美しくなれる薬草」を探しに出かけます。
 森でいっしょうけんめい薬草を探しているとき、鳥たちの話が耳に入りまし
た。「美しい九色のしか」が森に住んでいるというのです。

 薬草とりは九色のしかを見つけ、うっとりと眺めました。と、その時にあら
われたクマに気をとられ、池に落ちてしまいます。九色のしかはそれを見て、
薬草とりを助けます。命を助けてくれたことに深く感謝する薬草とりに、しか
は自分のことは誰にもいわないよう口止めします……。

 昔話らしい、さっぱりとしたリズムのいい語り口に、影絵にみえるようなタ
ッチで黒を基調にして描かれた絵は相性ぴったりです。

 話の筋は恩のあるしかに対して、薬草とりがどんなことをしたかというもの
ですが、元は敦煌の壁画に描かれた物語。絵本の形になったおかげで、遠くに
いかずとも、自分に近づけてじっくり絵を楽しめます。

 創作にかけた時間は実に3年間。
 作家あとがきによると、何度も推敲しながら創作するその過程は一種の修行
のように思われると書いています。
 よりよいものをつくるために、満足いく形に仕上げていった、それがよく伝
わる贅沢な絵本です。


 『シェルパのポルパ エベレストにのぼる』
                石川直樹 文 梨木 羊 絵 岩波書店

 写真家の石川直樹さんが文章を書いた絵本。絵を描かれた梨木さんにとって
は本書が初絵本作品です。

 主人公のシェルパのポルパはヒマラヤ育ち。小さいときからヒマラヤの山を
眺めて暮らしてきました。いつか、シェルパとなって山に登る、それがポルパ
の夢でした。

 体力がついてきたことを認められ、おじさんからシェルパへの手ほどきを受
けるようになります。

 梨木さんの発色のきれいな絵は、ポルパの表情、ヒマラヤの山を臨場感をも
って伝えてくれます。大きく全体を描いた見開きの絵もすてきですし、私がも
っとも好きなのは、山の道具をもった手がズームアップされている絵です。
これらの道具で山へ登るんだという意志が感じられる手が描かれます。

 この絵本はシリーズとなっており、『冬虫夏草とおおきなヤク』(2020年秋
刊行予定)、『火星の山にのぼる』(2021年春刊行予定)となっています。

 本書で初めて荷物を運んでベースキャンプを往復したシェルパ。次はどんな
旅にでるのでしょうか。

 この絵本と一緒に読むのにおすすめは、福音館書店の月刊たくさんのふしぎ
「アラスカで一番高い山 デナリに登る」(2020年4月号)です。

 石川直樹さんが写真と文章のいずれもを担当されたもので、アラスカで一番
高い山、デナリの厳しく美しい山と登山の様子を知ることができます。
 ぜひあわせて手にとってみてください。


 最後に岩波少年文庫の『チョウはなぜとぶか』(日高敏隆)をご紹介します。

 本書は1975年に岩波科学の本として刊行され、その後1998年、高校生に贈る
生物学として刊行され、今回はこちらが底本とされています。

 著者が小学生の頃にアゲハチョウは何故、同じ道を飛ぶのだろうとという疑
問をもち、その疑問をずっと忘れずに持ちつづけ、後に動物行動学者となり、
探求し続けたことを書いています。

 我が家の庭にもモンシロチョウが毎日飛んできますが、どういう道を飛んで
くるのか疑問に思ったことはありませんでした。なにげないチョウの生態を深
く深く追求する様子に感嘆します。

 実験や観察がどれほど時間と手間をかけて行われてきたかが、つぶさに書か
れ、それまでチョウに興味をもっていなかった私も一気に引き込まれました。

 自分の見えている世界を深く追求していくおもしろさが本から熱く伝わって
きます。今年はコロナ禍でいつもの夏休みがあるのかどうかも、いまはまだわ
かりませんが、自由研究の参考にもなると思います。

(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<125>少女漫画の時代が、あった

 新型コロナは、これからもずっと、ほぼ未来永劫、付き合っていくしかない
ウィルスとなったみたいな今日この頃。
 ぼちぼち、恐る恐る、という感じで、社会活動及び経済活動も再開され始め
ている。

 関係先の学校と大学では、各校の対応にやや差があって、あくまで「遠隔」
主体で当面は様子を見よう、というところや、6月初めから一気に、従来通り
の対面授業を始めるところ、対面・遠隔それぞれにおよそ「半々」で始めると
ころ、と様々。

 しかし、「対面」の授業でも、学生と講師の間にはアクリルのパーテーショ
ンが設置されたり、座席が大幅に減らされて「ソーシャルディスタンス」が考
慮されていたりと、かなり慎重だ。
 教室では、講師も学生も「マスク着用」が、絶対原則で、これが、わしには
鬱陶しい。

 わし、マスク、嫌いなんです。息苦しいし。
 ことに、これからますます暑くなるし、マスクなんてしてられませんって…
と言うて、してないと、なんだか白い目で見られてしまうし。
 なので、教室では一応マスクはするのだが、一歩外に出ると、即座に外す。
 街でも、電車に乗ったり店に入るときにはマスクをするが、外に出たらば速
攻外す、という対応で済ませている。

 マスクについては、こんないい加減な対応だが、その代わり…というか、手
は、やたらこまめに洗うようになった。
 トイレに入った後、石鹸で手を洗うなど、以前にはまったくしなかったのだ
が、今は、せっせと洗ってます。
 以前は、「小」では、まったく手は洗わずに「スルー」で、「大」のときに、
水で「ちょろっ」と流す程度、だったんですが、とてもこまめできれい好きに
変身しました、はい。

 皆が皆マスクをしていて困ることがひとつ。
 新年度となり、どの学校でも新しい生徒や学生と接することになるのだが、
これが全員マスクをしているので、顔が覚えられない。
 出席を取るにしても、「はい」と声だけでは、どこから聞こえてくるのかわ
からない。
 なので、手を挙げてもらうようにしてるのだが、顔は、依然判別がつかない。
 今年、ずっとこれだと、とても困ったことになるぞ、と危惧しながらの2か
月遅れの新年度なのだ。

 4月、5月のコロナ「自粛」の日々、徒然なるままに本棚の整理などをして
いたのだが、「あれ、こんなのあったっけ?」とか、以前探して見つからなか
った本が意外なところから出てきたり、買った覚えも読んだ覚えもない本が出
てきたり、懐かしい本が出てきたり、が、やたらとあって、それら…買ったは
いいが読んでなかった本を読んでみたり、以前読んだがすっかり内容を忘れて
いた本を再読したり、の二か月間なのだった。

 W.P.キンセラ『シューレス・ジョー』( 永井淳・訳:文春文庫)なんて、久々
に読んだら映画も観たくなって、だいぶ前に買ったDVDの『フィールド・オブ・
ドリームス』を探し出しては、観てしまった。
 再度原作読み込んでから映画を見ると、こちらにも、新たな発見が多々あり
ますね。

 そんな再読本のひとつが、ちくま文庫版の米沢嘉博『戦後少女マンガ史』。
 これ、改めて読んでみたけど、戦後の少女漫画の歴史を、緻密に詳細に体系
的に網羅していて、まことに名著…いや、ただ「名著」なんて言葉では言い表
せないほどの労作であり、貴重な資料となり得ている。

 そして、これのあとに、やはり再読したのが、姫野カオルコ『部長と池袋』
なのだった。
 『部長と池袋』は短編集で、著者・姫野氏の少女時代から現在に至るまでの、
おそらくは体験に基づくと思われる作品が、多く収録されている。

 姫野氏は、その著書『昭和の犬』にも描かれているが、かなり特異な少女時
代を送った作家だ。
 父親が絶対君主として君臨する家庭で、母親もまたその父親に従順で、毎日
の生活は、この父親の抑圧の下、そこここ裕福であったにかかわらず、清貧的
ストイックな生活を強いられたらしい。

 そんな抑圧された少女時代に、あれこれ空想の世界に遊ぶしか楽しみのなか
った生活が、あの『ツ・イ・ラ・ク』における、女子中学生と若い教師との、
あり得ないほどに凄まじく赤裸々で生々しい性行為の描写に結実したのだ、と
思う。
 そして、その想像力の源となったのが、どうやら少女漫画であるらしい。

 姫野氏には、『ああ、懐かしの少女漫画』という著書もあるとおり、少女漫
画にはかなりの造詣があるようで、この短編集の中にも、少女時代に読んだ少
女漫画、あるいはそれらが掲載されていた雑誌をモチーフにしたものが何篇か
ある。

 姫野氏の厳格な父親にとって、少女漫画に限らず、漫画などは、教育上「よ
ろしくない」悪書に相違なく、ことに「少女フレンド」は、「不良が読む雑誌」
と決めつけて、一切買ってもらえなかったらしい。
 が、昭和30年代から40年代、たとえ買ってもらえなくとも、それを読む方法
は、いくらでもあったのである。
 友達に借りる、本屋で立ち読みをする、の他に、姫野氏にとって一番確実に
漫画雑誌を読む手段は、「散髪屋」だった。

 これ、同世代なので、よくわかる。
 当時の散髪屋さんはどこでも、順番待ちの客のために、少年サンデーやマガ
ジン、少女フレンドやマーガレットといった漫画雑誌を毎号買っては、待合の
椅子横に置いてくれていたのだ。
 わしもまた、小学生時代には、漫画は「悪」と決めつけられていて、唯一、
小学館の学年誌だけは買ってもらえたのだが、「サンデー」や「マガジン」は、
もっぱら散髪屋さんで読んでいた。

 散髪をしなくとも、「おっちゃん、漫画読ませてな」と断って、おとなしく
座って読んでいる分には、別段文句も言われなかった。
 姫野氏もまた、同様にして、滋賀県の片隅にある散髪屋さんの椅子で、毎週
のように少女雑誌を貪り読んでいたようだ。

 我が家では、わしが中学生のころには、漫画に対する考えもやや軟化してい
て、当時小学生だった妹などは、時々「少女フレンド」や「マーガレット」を
買ってもらっていた。

 これを、こっそり盗み読むのも、実はひそかな楽しみであった。

 散髪屋さん時代にも、人の眼を盗んでは、こっそり「少女フレンド」などを
読んでいたのだが、友達と一緒のときには、絶対にやらなかった。
 男が少女漫画を読むのは、とても恥ずかしいことでもあったのだ。

 ゴツゴツ武骨で荒っぽい少年漫画に比べて、華やかできれいな画面は、現実
離れしていて、結構のめり込んでいた。
 「ステディー」とか「ジンジャーエール」とか意味はわからずとも、なにや
らハイカラでおしゃれな雰囲気も楽しかった。

 『ベルサイユのばら』が宝塚で舞台化される、というニュースが衝撃をもっ
て伝えられたのが1974年。
 ちなみに、このときマスコミ各社は、「宝塚が劇画を舞台化」と報道したの
だが、当時、ストーリーのある長編マンガは、すべて「劇画」と括られていた
のである。

 漫画の中でも「傍系」でしかなかった少女漫画は、東京オリンピックを契機
とした「スポ根」もののヒットで、徐々に認知度を高めていたのだが、『ベル
ばら』の舞台化とヒットで、一気に中央に躍り出た。
 そして、その後の「花の24年組」の登場で、少女漫画は全盛期を迎えて、男
性の読者も徐々に獲得していく。
 80年代に入ると、もはや男が少女漫画を読んでいても、誰も違和感を覚えず、
それは、ごく普通、当たり前の光景となっていた。

 そんな少女漫画が、現在は徐々に萎みつつある。
 あれほど全盛を誇った少女マンガ誌も、今や数えるほどしか残っていない。
 ただいまの学生たちに、「かつて少女漫画は、3誌が週刊で発行されていた」
と言うと、一様に「信じられない」という顔をする。

 しかし、少女漫画の描き手たちは、今や少年漫画、青年漫画に進出し、かつ
ての少女漫画テイスト…緻密で奥深い心理描写や繊細でスタイリッシュな線…
を、青年漫画、少年漫画の世界に持ち込んで、独特の世界観の構築に成功して
いる。

 思うに、これからの漫画は、「少年」だの「青年」だとか「少女」だのとい
う区分けを取っ払い、ボーダーレスになっていくんじゃないか…いや、そうな
らないと、今後の漫画の発展は、とても望めないんじゃないか、なんだかそん
な気がする、6月ようやく年度初めの日々なのだった。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第123回 村上春樹と彼の父親のこと

 今月は村上春樹。たぶんとても売れている本なんだろうな、と思う。コアな
ファンが買っていると思う。
 わたしたちは、村上春樹、個人については、結構よく知っている。若い時に
何をしていたのか。何を考えていたのか、よく知っている。彼はいろいろな処
に自分自身のことを綴ったエッセーを書いているし、わたしたちは、それを読
む機会がたくさんある。村上春樹の家族のことはあまり知らない。

 そんな中、彼の父親のことを書いた本が出版された。

『猫を捨てる  父親について語るとき』(村上春樹 著)(文藝春秋)
(2020年4月25日)

 新型コロナウイルス感染症蔓延の真っただ中の出版である。
 本書は「文芸春秋」2019年6月号に載った記事を単行本にしている。月刊誌
に載せる長めのエッセーを単行本にしたわけだ。

 それにしても、本書の体裁。内容はともかく、一冊の本としての量が少ない
から大きさを新書版にして、紙も画用紙なみの厚紙を使っている。そして本文
中ところどころに高妍(ガオイェン)という台湾の若いイラストレーターの挿
絵が入っている。むろん文字は大きめ。上製本に巻きカバー付き。さすが天下
の村上春樹。村上春樹の文章だけでも充分であるが、さすがにそれだけだと色
気というか、ユーモアというか、そういうものが感じられず、村上春樹で一儲
けしたい、という出版社の強欲さが前面に出てしまう、残念な本になってしま
うのだが、これにイラストをつけることによって本書の価値がグーンと上がっ
たことは間違いない。この台湾の若いイラストレーターによるイラストが村上
春樹の孤独を表わしているようで、本の内容によく合っている。・・・気がす
る。本書の出版はひとえに編集者の勝利であろう。

 本書のハイライトは、お父さんの従軍経験の記述部分である。1917年(大正
6年)生まれのお父上は、ばっちり従軍体験者である。従軍したことによるさ
まざまな体験をこのお父上もあまり周囲に語らなかった。したがって、息子の
春樹さんは少ない情報から、お父上の軍歴を調べた。お父上は三度招集されて
おり、三度ともほんのちょっとしたきっかけで命拾いをしていた。特に二度目
の招集は、太平洋戦争直前の昭和16年(1941年)9月に招集されているが、わ
ずか2か月後の11月に招集解除になった。これはいまも大きな謎だという。村
上家の謎。お父上が招集解除にならず、そのまま従軍していたら、お父上の部
隊はフィリピン攻略隊としてマニラ方面へ派遣され、最終的には部隊壊滅して
いたという。そして三度目の招集は昭和20年(1945年)6月12日。この頃にな
ると既に日本軍は船も飛行機も戦車もないので、内地での勤務になり、終戦後
の10月に除隊となっている。

 詳細を語ることがなかった父親の足取りを息子は父親の死後、追体験をする
ように調査して記録した。

 息子の春樹氏は、“・・・かつての仲間の兵隊たちが遠くの南方の戦場で空
しく命を落としていったことは、父にとって大きな心の痛みとなり、切実な負
い目となったはずだ。・・・”と表現している。仲間を見捨てた人。一緒に死
ねなかった人。死に損なった人。生き永らえてしまった人。戦後の日本は、そ
んな帰還兵に満ち溢れてたのだ。

 こうして戦後となり、お父上は結婚し、春樹氏が生まれた。春樹氏は18歳ま
で関西で両親と一緒に過ごす。成長し大人になった春樹氏は、そこで父との諍
いがあったようだ。“心理的軋轢”と表現している。

 実はそのことを読者は一番知りたいと思っている。しかし、本書はそのこと
には触れていない。若い息子と軍歴のある頑固な父親がコミュニケーションを
欠き、引くに引けないほど険悪な状況になっていった、と想像するしかない。

 それでも命は父から子へ受け継がれ、連綿と続いている。“名もなき一滴”。
それでも“一滴なりの思いがあり、一滴の雨水の歴史があり、それを受け継い
でいくという責務がある”。
 結局、父親について考えた末に村上春樹氏は自己を大自然の中の一滴に例え
た。大きな何かと小さな自分自身を対比させたわけだ。


多呂さ(ひとりひとりがそれぞれコックピットにいるようなイメージ。距離が
近いのか遠いのか、よくわからず、でも一つ云えるのは、スキンシップはまっ
たくなくなりました)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 今回は発行日に発行しました!

 決して自慢出来ることではありませんがwww(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2993部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 20:17 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.701

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.05.20.発行
■■                              vol.701
■■ mailmagazine of book reviews    [民主主義に踏み留まるのか 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #118『愛と幻想のファシズム』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『農家はつらいよ――零細メロン農家・年商1億までの奮闘記』 (DOBOOKS)

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『生き物の死にざま』(稲垣栄洋・著 草思社・刊)

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#118『愛と幻想のファシズム』

 ポスト・コロナ時代がどんな世界になるか、多くの人が自身の考えを発信し
ている。
 その中で、ひとつ確かだと思ったのは、民主主義かファシズムか、という選
択を迫られるだろうということだ。

 自粛警察という奇態な言葉が生まれたように、自粛しない人たち、もしくは
自粛していないと思われた人たちに対するバッシングが激しい。
 なぜ、彼らは自粛しないのか。それは、日本が欧米諸国のような罰則を伴う
強権的外出「禁止」が法的に出来ず、あくまで自粛の「要請」に留まらざるを
得ないからだ。
 ならば、法を変えるべき、と、そう思っている人は多いのではないか。
 具体的には、国民の基本的人権を保障した法律、すなわち日本国憲法の変更
である。

 もちろん、今回のような「緊急事態に限る」という制限は付ける。その上で、
公益のために一部の人間のわがままを抑えるのだから、これをファシズムと呼
ぶのは不当だという考え方に立つだろう。

 しかし、「緊急事態」の定義は、言葉による以上、不透明さがつきまとう。
解釈の幅がどうしても出来る。
 その時権力を握っているのがどんな人物か、現時点では予測がつかない。

 だがそれよりも、根底にある国民観が、「同じ日本人だからと言って、誰も
が信用できる訳ではない」というものであることになる。
 一部のわがままを抑える、というのだから、一定数の勝手な人間がいること
が前提だからだ。

 一方、民主主義の前提は「国民への信頼」だろう。
 信頼できないものを「主」にするはずはない。
 日本がこの民主主義を選び取った背景には、大日本帝国時代、国家や軍部が
主導した戦争で世界に悲劇をもたらした歴史への反省がある。
 つまり、国家よりも、国民を信ずる、という決意と思想が込められた民主主
義だ。
 さらに言うなら、われわれ自身が一人の国民であるのだから、それは「互い
を信じ合う」ことに他ならない。

 そんなこと言っても、実際勝手な奴がいるのだから、信頼できなくてもしょ
うがないだろう、という反論も想定できる。
 だから、国家によって強権的に規制しないとダメだ。いくら民主国家でも犯
罪は国が取り締まるではないか。殺人などの重罪には死刑だってあり得る。人
間の集団には、そういう暴力的な装置も時に必要なのだ、と。

 この場合は、国民同士の相互信頼よりも、国家の方が信用できる、というこ
とになる。

 国民か、国家か。
 われわれは、一体どちらを信じて生きていくのか。

 コロナ以降の日本で、恐らく改憲論議としてこの選択が迫られる日が来ると
いうのは、十分予想されるシナリオだと思った。

 国家を信用する考え方を、民主主義に対応するうまい言い方が他にないので、
便宜上ファシズムと呼ぶならば、村上龍の『愛と幻想のファシズム』には、優
れて今日的なテーマが描かれていることになる。

 本書が刊行された当時は、村上龍が「経済」の勉強を始めた、と話題になっ
た記憶がある。初版を買って読んだのも、ちょうどそのころ就職して企業戦士
の一人になったばかり、これから自分が参入する「経済」という世界に文学が
どう切り込むのか、関心があったからだと思う。

 しかし、これは「政治」の物語でもある。

 主人公の鈴原冬二は若いハンターだ。彼は弱肉強食、適者生存こそが、自然
なあり方だと考えている。
 しかし、人類はヒューマニズムという胡散臭い思想に毒され、弱者を「食う」
のではなく、「救う」社会を築いた。その結果、昔なら幼少期に死んでいた人
間も生き延びるようになり、人口は爆発。民主主義、平等主義が、弱者の発言
権を容認したために、世界は現実から目を逸らし、安逸に流される愚民の群れ
に動かされ、結果ひたすら破局へと驀進することになった、というのが彼の立
場だ。

 これを解決するには、もう一度狩猟時代に戻って、強者と弱者の選別、淘汰
を行う以外にない。

 そのためには、現在の世界システムをひっくり返す必要がある。
 かくて鈴原冬二は、狩猟社なる政治結社を立ち上げ、仲間を集めて世界シス
テムを動かすエンジン、「経済」の転覆を志す。

 彼の具体的な戦術は暴力だ。
 都合の悪い人物を暗殺したり、失脚させたり。自衛隊にシンパをつくりクー
データーを起こさせたり。
 後半では、ハッカー集団を使って、さまざまな偽の情報をマス・メディアに
流させる。重要人物の映像をCG加工して、言ってもいないことを言ったよう
に見せかけてしまう。世界はその誤情報に右往左往し、恐慌が起こり、内戦や
紛争が勃発する。

 1987年に上梓された本なので、まだ「フェイク・ニュース」という言葉はな
い。インターネットも情報流通の経路としては一般化していない。もっぱらテ
レビや新聞によって、ニュースは世界を駆け巡っている。
 しかし、それだけにこの謀略の先見性には驚く他ない。いくら経済の勉強を
したとはいえ、作家の想像力がここまで時代を先取りするものだろうか。
 最後の方には、ほぼ言葉だけだが「AI」すら登場するのである。

 逆に言えば、当時は途方もない物語に思われた『愛と幻想のファシズム』が、
世紀を跨いでようやく現実味を帯びて来たのである。

 鈴原冬二率いる狩猟社は、終盤、自分たちの存在を誇示するために、ビッグ
・イベントを企画する。反対勢力からは、まさにヒットラーのナチス党大会だ
と揶揄されるが、あくまで一政治結社の主催するイベントに過ぎない。
 しかし、多くの国は出席者として大使を送り、まるでオリンピックや万博の
ような日本の国家的イベントへと肥大していく。

 このイベントのテーマ曲を、狩猟社がドイツの現代音楽作曲家キルシェに依
頼するところが、音楽本としての注目点だ。

 鈴原冬二はロック嫌いで、音楽はクラシックしか聴かない。ことにお気に入
りはモーツァルトである。
 残念ながら、あまりモーツァルトを聴いたことがないので、この作曲家を主
人公の好みに設定した村上龍の意図はよくわからない。
 しかし、鈴原がドイツ人の「現代音楽作曲家」を選ぶ点のは非常に面白い。

 まず、単純にドイツということで、ナチスを連想する。
 しかし、より重要なのは、キルシェが「現代音楽」の作曲家であることだ。

 ポップスの場合、作曲家は英語でソングライターだが、クラシックでは、コ
ンポーザーと呼ばれる。
 コンポーズは本来、「構成する」という意味だ。人は作曲家というと、天啓
を得て閃いたメロディを楽譜に定着する人だと思うし、ロマン派ぐらいまでは
実際そうであっただろう。だが、20世紀に入ると、より「構成する」ことが重
要になってくる。もはや自らメロディをつくらないのも当たり前だ。
 
 例えば、バルトークはルーツであるハンガリーの民謡を素材にコンポーズし
た。
 ホルストの『組曲:惑星』中の一曲で、平原綾香が「ジュピター」としてヴ
ォーカリーズした「木星」の有名なメロディもどこかの民謡だったはずだ。
 ジョン・ケージは易の占いを用いて旋律を決定し、偶然性の音楽をコンポー
ズした。
 藤枝守は、植物の葉に流れる微弱電流のパターンを音程に変換するという手
法で、『植物文様』をコンポーズしている。

 こうした現代音楽の作曲法に基づき、キルシェも自分ではメロディをつくら
ない。
 非常に弱い動物で、なぜ進化の過程で淘汰されなかったのか、現代でも謎と
されているある動物の、遺伝子パターンを元に主題をつくるのである。
 そしてそれを冒頭で提示する時、使われる楽器は、シンセサイザーなのだ。

 いわばバイオテクノロジーから導き出された旋律を、エレクトロニクスに歌
わせる音楽なのである。

 ここで読み手は戸惑いを覚える。
 そもそも弱者の淘汰を目的に鈴原は動いてきたのではなかったか。なのに、
なぜ、弱者でありながら淘汰を免れた動物の遺伝子をモチーフにさせたのか。

 そして、狩猟時代に返る、ということは、原始に返る、ということであるは
ずなのに、素朴なアコースティック楽器ではなく、最先端の電子楽器を起用す
るのはなぜか。

 先の疑問の答えは、自然淘汰を是としながら、淘汰に打ち勝つ能力が「強さ」
だけではない、ということへの、鈴原の漠然とした気づきがあるからだと考え
られる。
 適者生存ではあっても、適者たる資質が「強さ」とは限らない。少なくとも、
「強さだけ」とは限らない。「弱さが勝つ」ということはあり得ることだ。そ
のことへの直感的な理解が、鈴原の心の底に眠っている。主人公の思想の揺ら
ぎが、物語を立体的にする。

 そして、もうひとつの疑問には、「身体観」の問題だと答えよう。

 鈴原はケミカル・ガスから自衛隊の戦車、果ては核兵器まで、さまざまな現
代技術を利用する。また、サイバー・テロを行うためにハイテクを駆使する。
 これはハンターたる彼にとって、矛盾ではない。
 なぜならハンターもまた、銃を使い、ナイフを操る。生身の肉体ひとつで猛
獣と戦う訳ではないからだ。
 その時武器は、ハンターにとって、身体の一部である。熊が爪を持ち、虎が
牙を持つように、人は武器を持つ。それは拡張された身体である。
 銃やナイフから、核兵器やハッキング技術までは、相当な開きがあるようだ
が、しかしそれが「道具」という、たったひとつの概念に括られることは、既
にスタンリー・キューブリックが映画『2001年宇宙の旅』で、類人猿の放り投
げた棍棒が宇宙船にオーヴァーラップするという衝撃的なビジュアルを通して
指摘している。

 したがって、狩猟社会に戻ろうとする人間が、ハイテクを携えていくことは
決して矛盾ではない。

 ちなみに、弱者でありながら淘汰を免れた謎の動物はディクディクと言う。
いまでは日本の動物園でも見られるらしい。

 そして、2020年。
 予期せぬパンデミックに見舞われたわれわれの目に、鈴原冬二の民主主義へ
の挑戦は、どう映るのだろう。
 幻想のファシズムは、現実のファシズムになるのか。
 それとも、民主主義に踏み留まるのか。

 ともあれ、選択するのはわれわれの世代になる。
 その選択が、これから先の世界にとって、よいものになりますように。

村上龍
『愛と幻想のファシズム』
上 一九八七年八月二〇日 第一刷発行 一九八七年九月二四日 第二刷発行
下 一九八七年八月二〇日 第一刷発行
講談社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
もともとインドア派なので、外出自粛はさほど苦になりません。むしろ外出が
必要な時、緊張で憂鬱になってしまう。世間とは逆向きのストレスです。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『農家はつらいよ――零細メロン農家・年商1億までの奮闘記』 (DOBOOKS)

新規就農したい人よりも、毒親に苦しむ人が読むべき本

 新規就農したいと言う人の中にはもともと農地を持っている農家出身の人を
うらやむ人を時折見かける。そういう人がこの本を読むと、そんな気持ちが吹
っ飛ぶだろう。隣の芝生は青く見えるかもしれないが、実際は真っ赤っかだっ
たりすることもあるのだから。

 この本の著者、寺坂祐一さんは、消費者相手の直販で大成功した農家として
以前から有名な方でした。除草剤散布事件で全国的な話題になった北海道のメ
ロン農家、寺坂さんが血を流しながら書いた自叙伝。「血を流しながら」とは、
彼の人生が毒親を克服する人生だったから。

 北海道の零細兼業農家の跡取り息子として育てられた寺坂さん、親の期待に
応えようとする素直なお子さんでした。しかし、不幸なことに彼の家庭は、世
間で言うところの毒親に支配されていました。じいちゃんばあちゃん、父さん
母さんみんなアル中だったという・・・そんな状態でも素直に育ったのはアル
中のダメじいさんではあったけど、かわいがってくれたおじいちゃんがいたか
らだったようです。

 寺坂さんの子供時代、農家であることに誇りを持っている寺坂家でしたが、
当時の基幹農業者であったおじいちゃんはアル中で、父親は水道屋さんに勤め
ていて、それなりに高い給料を得ていました。と言っても当時の水準ですと全
国レベルでは大卒30歳の平均年収くらいでしたけど・・・ま、それはともかく、
寺坂家は農業収入では食えなかったのです。

 そうした家庭事情を知らない中学生の寺坂少年は、進路として旭川の農業高
校に行きたいと思いました。地元にも農業高校はありましたが、まじめで農業
で生きていくんだと思ってましたから、勉強したい。だから、地元の農業高校
に通って狭い世界で学ぶだけではなく、もっと広い世界を見たい。地元以外の
ことも知りたいと思ったのです。

 これに親は反対しました。じいちゃん、ばあちゃん、父さん、かあさん、み
んな「毒親」だったからです。そんな親たちの言う通りにしてはダメなのです
が、中学生の寺坂少年は気がつきませんでした。素直な中学生なんだから、当
然ですよね。妹さんは、賢くて気がついておられたようで、さっさと逃亡しま
したが、最後にすばらしい活躍を見せてくれます・・・これは読んでのお楽し
み。

 話を戻して、高校卒業後、寺坂さん就農してみたら、秋が終わった時に通帳
見ると残高マイナス160万円。全然儲かってない。でも家が破産しなくて済ん
でいたのは父親が水道会社から月給を取ってきたからでした。

 農業で飯を食えていない。にもかかわらず農家であることに対し妙にプライ
ド高い寺坂家・・・時はバブル経済の時代、普通の農家ならこういう経営状態
だと親は子供に農業継げとは言いません。「農業では食べていけないから、勉
強していい学校に入って、給料のいい大企業に入れ」と子供に助言するもので
した。

 しかし、その逆を寺坂家はしていたわけですね。親の言う通り農業の道に入
った寺坂さんは絶望しかかりますが、唯一活路を教えてくれた人がいました。
北海道の農業高校では、卒業後、さらに勉強したい人のために農業専攻科とい
う過程が用意されていたそうで、その農業専攻科の担任だった榎本先生が、寺
坂さんにメロンを作らないかと提案したのです。

 この、榎本先生の提案が今に続く寺坂さんの人生を決めました。まじめな寺
坂さんが、(アル中の)親の言う通りやっておれば未来はない。そう思って榎
本先生は、当時北海道で活況を呈しつつあったメロン栽培を勧めたのです。

 そこから寺坂さんの快進撃が・・・続かないというか始まりもしない。北海
道の全てがそうではないのですが、寺坂家の地元はアホみたいに保守的な地域
で何か新しいことをしようとすると足を引っ張りたがる人が多い地域だったよ
うです。その上親が毒親ですからもう・・・これは相当メンタルが強い人でも
負けてしまう環境です。

 実際、寺坂さんはメンタルを病みました。何度も死のうかと思いました。し
かし死ぬことも精神病院に入ることにならなかった。なぜか?

 なんとか自分の農業に役に立てたいとwebマーケティングなどを学びに行っ
た時に知りあった仲間たちも心の支えになりましたが、何よりも奥さんとカウ
ンセラーがいてくれたことがよかった。読んで行くと、奥さんとカウンセラー
がよくなかったら、この方は100%つぶれていましたね。

 血を吐く苦労をして農業やってきて、そんな中で、何者かによる除草剤散布
事件。この事件に直面した時も、寺坂さんは精神を病んでいました。そんな状
況でも踏ん張り、事件を乗り越えた後にも続く毒親問題も乗り越えて、彼が見
たものは何なのか?

 この本は、農家や新規就農したいと思う人が主な読者層になると思いますけ
ど、そんな人たちよりも毒親に今も苦しめられている人が読むべきです。

 苦しんでいるのはあなただけじゃない。それが分かるだけでも読者は救われ
ると思います。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)
----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
メメント・モリ。セミもサケもヒトも生きて死ぬ

『生き物の死にざま』
(稲垣栄洋・著 草思社・刊)

 長い間、書店が閉まっていて、本を買うのは巨大通販サイトのみ・・・。そ
れで間に合うっちゃあ間に合うんですが、やっぱりね、書店をぶらりと覗いて
気になる本をパラパラ立ち読み、おもむろにレジに向かって購入・・・そんな
生活がしたいよね、と思ってから2か月。

 やっとその欲求がかなって昨日、書店に行って購入した本がこの本です。地
味めな本なのでなかなか書評とか広告には出てこないから、ア〇ゾンでは探せ
ないタイプの本です。

 これはタイトルにある通り、「生き物の死にざま」を描いた本です。そのま
んまなんですよ。著者は大学の先生で専門は雑草生態学。セミやらシャケやら
はちょっと専門外みたいですね。

 内容は、「生き物の死にざま」を描いてあります(説明が下手ですみません
が、そのまんまなんで、ある意味、このタイトルが秀逸ということです)。

 引用しますね。

 「セミは必ず上を向いて死ぬ。昆虫は硬直すると脚が縮まり関節が曲がる。
(中略)彼らの目に映るものは何だろう。澄み切った空だろうか。夏の終わり
の入道雲だろうか。それとも、木々から漏れる太陽の光だろうか。

 ただ、仰向けとは言っても、セミの目は体の背中側についているから、空を
見ているわけではない。昆虫の目は小さな目が集まってできた複眼で広い範囲
を見渡すことができるが、仰向けになれば彼らの視野の多いは地面を向くこと
になる。

 もっとも彼らにとっては、その地面こそが幼少期を過ごしたなつかしい場所
でもある。」(セミ「空が見えない最期」)より。

 ね、続きを読みたくなったんじゃありませんか。

 この感じでシャケやカマキリやカゲロウなんかのことが書いてあります。
 文章は声でいえば低音ボイス。抑えた感じの派手なところがまったくない文
章で淡々と生き物の最期を描いています。

 シャケなんてね、もう卵を産むまでに障害(自然の障害とニンゲンが作った
障害と両方です)がありすぎてそこをケナゲに泳ぐとこなんて読んでるとせつ
なくて泣けてきますよ。

 ただ、思ったのは生物に感情移入しすぎてもいけないのかなということ。
 生物はなんのために生きているのかというと、親子の情愛とか、遺伝子を残
そうという強い意志で生きているのではないのです。筆者が文中で何度も述べ
ているように、サケが生まれ故郷の川をめざして泳ぐのも、ハサミムシが自ら
の体を子に食べさせて死んでいくのも、意志の力ではなくすべて遺伝子に組み
込まれた生物としての本能に因るものということがわかります。

 生物を擬人化して書いてあって感情移入しやすいけれどそれは便宜上のこと
であって、地球上の生き物はみな本能の波のまにまに生きているんですね。
 それでヒトですよ。ヒトももちろん生物なんで本能に従って生きてるんです
ね。サケと同じ。
 この本が身に染みて感じるのは、年齢を重ねたこともあるけれど、パンデミ
ックがやってきていつもよりも死が身近になったせいでもあると感じています。
生物はみな生きて死ぬ。メメント・モリ!
 だからジタバタしないで淡々と流れにそって生きていけばいいんだとちょっ
と思いました。
 もうね、検察長官が賭け麻雀したとか、沖縄でゴルフした芸能人はけしから
んとか、お上からマスクが届かないなんてどうでもいいことだとこの本を読ん
で思いました。(給付金はもらいます)。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 5月20日号です。遅くなりましてすみません。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2994部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 20:13 | comments(0) | -
[本]のメルマガ vol.755

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■------------------------------------------------------------------
■■ [本]のメルマガ                 2020.06.05.発行
■■                              vol.755
■■  mailmagazine of books     [行き詰ったときに間食をする 号]
■■------------------------------------------------------------------
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★PR★ 原 書 房 新刊 ★ http://harashobo.co.jp/

『まとまりがない動物たち:個性と進化の謎を解く』

ジョン・A・シヴィック著 染田屋茂・鍋倉僚介共訳
四六判 272ページ 本体2,400円+税 ISBN: 9784562057641

クールなネコもいれば愛嬌たっぷりのネコもいる。当たり前に思うけど考えて
みれば不思議。なぜ動物はみんな性格が違う? ていうか個性ってなに?
近年注目される動物の性格研究。動物の個性と進化の驚きの関係に迫る!


■CONTENTS------------------------------------------------------------

★トピックス
→ トピックスをお寄せください

★「[本]マガ★著者インタビュー」
→ 『ハンナのいない10月は』著者、相川英輔さんへのインタビューです。

★味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
→ その48「海の底でお食事を」

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 今回はお休みです。

★ホンの小さな出来事に / 原口aguni
→ 今回はお休みです。

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■トピックスをお寄せください
└──────────────────────────────────

 出版社の皆様、あるいは出版業界の皆様より、出版関係に関わるトピックス
(イベント、セミナー、サイン会、シンポジウム、雑誌創刊、新シリーズ刊行
など)の情報を、広く募集しております。

 情報の提供は、5日号編集同人「aguni」hon@aguni.com まで。

----------------------------------------------------------------------
■「[本]マガ★著者インタビュー」:
----------------------------------------------------------------------

 今回は、『ハンナのいない10月は』(河出書房新社)の著者、相川英輔さん
へのインタビューです。

『ハンナのいない10月は』
相川英輔 著
単行本 46 ● 272ページ
ISBN:978-4-309-02886-6 ● Cコード:0093
発売日:2020.05.27

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028866/

イベント情報
https://aikawaeisuke-booktalk.peatix.com/view
----------------------------------------------------------------------

−この本が誕生したきっかけを教えて下さい。

 僕の場合、頭の中には常に1,000個くらいのアイディアの断片がふわふわと
浮遊しているのですが、ときどきそれらが連鎖していって物語の原型が生まれ
ます。「テトリス」とか「ぷよぷよ」といったパズルゲームをプレイしたこと
はありますか? ああいったゲームではパズルが1つ繋がると、どんどん連鎖
していく場面があるのですが、感覚的にはそれに近いです。
 『ハンナのいない10月は』も、ある日、大学・猫・定食屋などいくつかのキ
ーワードが次々に結びついていき、舞台となる正徳大学のキャンパスや登場人
物たちが目の前に浮かび上がってきました。彼らの行動を「記録」していき、
気がつくと物語が完成していました。

−なぜこの出版社に決まったのですか?

 僕は兼業小説家で、日中はサラリーマンとして働いています。どうしても時
間的な制約があるので、アップルシード・エージェンシーというエージェント
会社と契約を結び、営業や広報などをお願いし、僕自身はできるだけ執筆に集
中するようにしています。
 担当のエージェントさんが河出書房新社とお話ししてくださり、出版が決ま
りました。新人の自分が河出書房新社のような歴史ある出版社から刊行できる
なんて夢のようです。エージェントさんはいつも僕のことを気にかけてくださ
り、すごく助けられています。

−編集の担当の方に一言!

 本当に感謝しています!
 作品がより良くなるためのアイディアを沢山いただき、『ハンナのいない10
月は』を一緒にブラッシュアップしてくださいました。
 また、いただくメールはいつも心が温かくなるような内容で、コロナ禍の中
でも穏やかな気持ちになることができました。

−書籍を形にするまでにいちばん苦労したことは?

 物語を紡いでいく中で、行き詰ったときに間食をする癖がついてしまい、体
重が5キロも増えてしまいました(笑)。いや、笑えないです。今、懸命にダ
イエット中です。

−書籍を出版していちばんうれしかったことを教えてください。

 自分の書いた物語が本の形になるのは、小さな奇跡のようなものだと思って
います。見本本が届いたときは本当に感無量で、体が宙に浮かんでいるんじゃ
ないかと感じるほど嬉しかったです。

−これから本を出したいんだけど、という方にアドバイスを!

 僕は二十代半ばで文学賞をいただき、大手文芸誌にも載りましたが、そこか
ら単著を出すまで十年以上かかっています。その間、気持ちを切らすことなく
ずっと書き続けてきました。今回二作目を刊行でき、さらなる未来も拓けてき
ました。
 夢を叶えるためには書き続けないといけません。仕事や学生生活、日々のい
ろいろで気持ちが萎えることがあるかもしれませんが、自分を信じて書き続け
ましょう!

−最後に書籍の宣伝をどうぞ!

 『ハンナのいない10月は』は、大学を舞台としてさまざまな出来事が起きる
物語です。いくつもの要素が含まれているので、特定のジャンルに区分するこ
とはできないかもしれません。青春小説であり、ミステリであり、お仕事小説
でもあります。小さいともし火でもいいので、読んだ方の心に確かな火が灯れ
ば嬉しいです。ぜひ手にとって新しい物語を楽しんでください。

−ありがとうございました。

----------------------------------------------------------------------

 メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。
 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。
 5日号編集同人「aguni」まで gucci@honmaga.net

----------------------------------------------------------------------
■味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
----------------------------------------------------------------------
その48「海の底でお食事を」

 今回は皆様をお誘いし、贅を尽くした豪華な食堂で、お食事を共にしたいと
思っている。

でも、その場所は海の底。

ジュール・ヴェルヌ著『海底二万海里』の世界なのだ。

 物語は、一角獣のような海の怪物に船が襲われるという事件が相次いで起き
たところから始まる。ついにはアメリカ海軍の軍艦が調査に向かうことになり、
生物学者のアロナックス教授も請われて船に乗り込むことになる。軍艦は怪物
を追い詰めるのだが、教授は船から投げ出され、助手のコンセイユと共に海を
漂うことになる。やがて二人は潜水艦の上に辿り着く。そこには怪物を捕まえ
ようと海に飛び込んで潜水艦に飛び乗った銛打ちの漁師ネッドもいて、やがて
現れた物言わぬ乗組員たちによって、潜水艦の中に連れ込まれるのだ。

 三人は船室に連れていかれ、着替えの衣服をあたえられる。その間に食事が
準備されるのだが、その様子は、

「銀の覆いをかけた皿がテーブルクロスの上にきちんと並べられた」

とあり、リヴァプールのアデルフィ・ホテルかパリのグランド・ホテルにいる
ようだとある。かなり格式に沿ったテーブルセッティングだったのだろう。こ
の二つのホテルはともに、その時代の最先端のホテルだったようで、アデルフ
ィ・ホテルの建物は建て替えられたようだが、二つとも現存する。ぜひその豪
華さを映像で見てみて欲しい。

 そして、教授はMobilis in mobiliとNと銘打たれた食器に感動するのだ。
「動中の動」とか「流れ動くものの中での動体」と翻訳され、まさしく海中で
の潜水艦を表す言葉だと教授は感動している。でも、反射的にアリストテレス
の「不動の動者」(Motore immobile))を思い浮かべてしまうこの銘が、本当
に意味するものはいったい何なのだろうか?
 ノーチラス号こそが海の中の神であると、語っているのではないだろうか?

さて、いわば捕虜に近いこの三人に与えられた最初の食事は、こんな具合だ。

水。
おいしく調理された魚料理が数皿。
それと、
「ことのほかおいしい料理は、どういうものか私には言うことができなかった。
その材料が植物なのか、動物なのかさえわからなかった」という料理。

 とにかく、三人はおなか一杯食べて、寝てしまう。ところがその後、目が覚
めても何時間も放っておかれ、三人は空腹に苦しむことになる。空腹のあまり
怒り狂ったネッドは、やっとやって来たボーイに襲いかかってしまう。

 その時初めて、この潜水艦の持ち主ネモ艦長が現れ、教授を食堂に招待する
のだ。

 豪華な家具や陶器類が飾られたその部屋で、一杯に並べられたごちそうを食
べる教授。でも、やはり食べながら、その料理の材料が何かわからなくて首を
かしげる。そこで、ネモ艦長がこう説明する。

「私は、陸上動物の肉はまったく使ってないのですよ」

牛肉と思えたものは、海ガメのひれ肉
ポーク・シチュウはイルカのレバー

そして、

ナマコのつけ物
大ヒバマタという海藻からつくった砂糖
イソギンチャクのジャム
鯨の乳のクリーム

を食べるように、勧めるのだ。

 そんなことあるのかな?と思うのだけれど、精進料理のいくつかを思い浮か
べると、納得がいく気もする。茄子で作ったウナギの蒲焼もどきとか、豆腐で
作った鶏の唐揚げとか、違う材料で、あたかも肉料理のようなものを作るとい
う技術は存在する。

 けれど、このうち最後の三つはとても怪しい。

 大ヒバマタという海草は、珍しく日本人は食べないのにヨーロッパ北部では
香辛料やハーブティ等に使用されてきた海草なのだが、糖分は全然含まない。
イソギンチャクは、九州の柳川では食べる習慣があるらしい。唐揚げや味噌煮
にして食べ、その味は貝のようだという。あの触手からヴェルヌは花を連想し
たのだろうけれど、これは植物ではないのでジャムはあり得ない。最後の鯨の
乳だけれど、これは水族館などの研究によると、とても油成分が濃いもので、
乳糖もなく、おいしく飲めるものではないようだ。物語の第二部でマッコウク
ジラを殺し、その新鮮な乳を勧められて教授が飲む場面があるのだが、牛乳の
十倍もの油分が含まれているというから、きっとまずかったと思う。ただ、そ
の乳からチーズやバターを作るという記述が続くのは、ありえなくもないこと
だと思う。

 さて、その後、教授は自分の部屋で、コンセイユとネッドは一緒の船室で食
事をする習慣になったようで、ある日の教授の食事の内容が書かれている。用
意されていたのは、

最上等の青ウミガメでつくったスープ
薄くはがれるホウボウの白身
美味しく調理されたホウボウの肝
鯛の王様であるマダイの切り身

 そして教授は、この味はサケなどよりまさっていると思うのだ。

 私もだよ、教授。鯛は王様だ。

 さて、最後に艦長と会食する場面があるのは、海底への散歩の前だ。潜水服
を着て歩くこの散歩はかなり長くかかるので、たっぷり食べるように言われて
御馳走されたのは、

魚数品
おいしいナマコのさしみ
ポルフィリア・ラキニアタやラウレンティア・プリマフェティーグ
といったひじょうに食欲を高める海草料理
リキュールを数滴入れた水。

 このリキュールは、《ロドメニイ・パルメ》という名で知られている藻を、
カムチャッカ風に発酵させて作ったものだという。

 まあ、海草料理のおいしさを十分知っている身としては、納得のいく献立だ。
例えば、ワカメのごま油炒めとか、昆布の佃煮だけでも、十分おいしくご飯が
食べられる。ただ、やはり炭水化物、パンとかコメとか麦や粟でもいい、穀類
について何も書かれていないのは気にかかる。

 そして、教授が変わった味付けと感じるのは、ネモ艦長の出自がインドであ
ることが関係しているのではないかとも思うのだ。

 海から獲れるものだけを食べて、大変健康だというノーチラス号の乗組員。
教授たちも病気一つしないのだが、ネッドはパンと肉と葡萄酒がないのが辛い
と言い続けている。

 ネッドは漁師でありながら肉が大好きで、島に上陸できる機会を逃さず、パ
ンの実やサゴヤシ、マンゴーやバナナなどの果物を採り、鳥やイノシシを狩っ
て、その肉を食べて大喜びする。

 ネモ艦長は平和な海の底の支配者という風を装っているが、動物性のたんぱ
く質として南極でペンギンや海牛(ジュゴン)を大量に捕獲して食料にしたり
する。乗組員たちがネッドも一緒にマナティを狩る場面は、今の感覚では、な
かなか残虐な感じもするし、マッコウクジラを歯があるからといって海の殺略
者扱いをして、潜水艦の衝角で切り裂いて大量虐殺する場面は実に残酷だ。ど
うも、ヴェルヌはマッコウクジラをシャチと間違えたらしいのだが、いずれに
しろ凄まじい。

 そんなネモ艦長が海の生きもので何を恐れるかといえば、それはタコのよう
なのだ。巨大なタコの群れに囲まれ、スクリューにくちばしが絡んで動けなく
なり、大騒ぎでタコと戦う場面がある。船員がタコの足に絡みつけられてさら
われる場面を初めて読んだ時には怖かったのだが、大人になってから読むと、
タコは人間なんか食べない気がして、もう一つしっくりこない。

 怖ろし気に描かれている海底にすむ巨大な蟹やシャコガイも同様だ。確かに、
何かの拍子に足とか挟まれて逃げられなくなると危険だけれど、恐怖を感じる
対象ではない気がする。

 それより、なにより……。

 食欲を感じませんか?

 私たちはやはり海に囲まれ海産物を食べて生きて来た民だから、どうもいけ
ませんね。きゃあこわい、と思うより先に、タコの酢のものとか、里芋の煮物
とかにこの巨大タコの足一本あれば素敵なのにと感じてしまう。

 蟹に至っては、もう、大きければ大きいほどありがたい。クモガニのおぞま
しい姿とか書かれても、タカアシガニだあ!と喜んでしまう身にとっては、怖
くもなんともない。

 さて、そういうわけで、長くなりましたが、こんなメニュウをご用意しまし
たので、そろそろテーブルのお席にお付きください。
 
 メニュウは以下のようなものです。

 前菜  :エビのカクテル
 スープ :青海亀のコンソメ    
 サラダ :海草三種
 魚料理 :真鯛の刺身、または蟹のグラタン
 肉料理 :鯨のステーキ
 デザート:鯨のミルクのアイスクリーム
 
 あちらのテーブルには、蟹を丸々一匹蒸したものも幾つかご用意しました。
毛ガニ、花咲ガニ、タラバ、タカアシガニ。どれでもお好きなものをどうぞ。
あ、ネモ艦長が顔をしかめてますが、他にタコとワカメとシラスの酢のものや
タコのアヒージョ、そしてタコ焼きなどもご用意させていただきました。

 なんだかネモ艦長の座っているテーブルから、誰もいなくなる気もしますが、
まずは、おいしく召し上がっていただければ幸いです。

----------------------------------------------------------------------

『海底二万海里』ジュール・ヴェルヌ著 清水正和訳  福音館書店

----------------------------------------------------------------------

高山あつひこ:ライター(主に書評)。好きなものは、幻想文学と本の中に書
かれている食物。なので、幻想文学食物派と名乗っています。著書に『みちの
く怪談コンテスト傑作選 2011』『てのひら怪談庚寅』等

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 なんと!というほどでもないですが、今回は無事にほぼ日付通りに配信出来
ました。(aguni原口)

----------------------------------------------------------------------
■広告募集のお知らせ:当メルマガは現在4064名の読者の皆さんに配信して
おり、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
----------------------------------------------------------------------
■ 電子メールマガジン「[本]のメルマガ 」(毎月5・15・25日発行)
■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会
■ 掲載された内容を小会の許可無く転載することはご遠慮ください。
■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ 今号のご意見・ご質問は5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com
■ トピックスの情報提供もよろしくお願いします。
  なお、当メルマガは配信日によって、情報の提供先が変わります。
  ・5日号:aguni原口 gucci@honmaga.net
  ・15日号:畠中理恵子 hatanaka3floor@jcom.home.ne.jp
  ・25日号:朝日山 asahi_yama@nifty.com
  ただし、掲載の可否については編集同人が判断します。
■ 広告掲載につきましては、下記までお問い合わせください。
  事務局担当:aguni gucci@honmaga.net
■ HPアドレス http://www.honmaga.net/
■ このメルマガは『まぐまぐ』を通じて発行しています。
■ メールマガジンIDナンバー:0000013315
■ 購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行えます。
---------------------------------------------------------------------

| バックナンバー | 10:59 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.700


■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.05.10.発行
■■                              vol.700
■■ mailmagazine of book reviews  [カルボナーラとペペロンチーニ 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<124>『牛乳配達DIARY』、日常生活は滑稽に満ちている

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第122回 福島県双葉郡の消防士たち

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→106 世界は広く、時々小さく

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→テレワークの普及がもたらすコロナ後のキャリアを考えてみた。

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■ネクスト・ソサエティ・フォーラム2020 in zoom
 「 What's Next?-危機の時代とドラッカー-」
└──────────────────────────────────
 ――すでに起こった未来と「コロナ後」の世界

この全地球レベルの危機をどう乗り越え、次なる展開に利することができるか。
さまざまな領域のプロフェッショナルに参集いただき、ネクスト・ソサエティ
創造、そしてそれぞれの第二の人生展開の作法を有意義にシェアできる場にし
たいと思います。長丁場となりますが、ぜひお集まりください。
(*入退出自由)

【日時】2020年5月16日(土) 10:00〜18:00 (開場9:30〜)
 
【オンライン開催】 Zoomアカウントを利用 
 *当日は、チケット購入時のメールに記載されている「イベント視聴ページ」
  よりご覧いただけます。

【参加資格】主催団体会員および紹介者(「一般」で参加できます)

【参加費】無料

【プログラム(予定)】
 https://nsf2020inzoom.peatix.com/

----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<124>『牛乳配達DIARY』、日常生活は滑稽に満ちている

 世間では、コロナコロナで何もかもが「お休み」となり、ドラッグストアの
棚からマスクが消えた…と思っていたら、いつの間にかスーパーの棚から、パ
スタとパスタソースも消えていた。
 どうやら、家族が連日家に居るようになって、しかもおいそれと外には行け
ない現状から、家庭で手軽に作れて日持ちもする乾麺とレトルトのソースを、
皆さんが大量に買い込んでいくせいらしい。

 我が家では、「1.6ミリ」の麺と、ソースは、オーマイの「まぜて絶品コク
旨ガーリックトマト」並びに「濃厚カルボナーラ」を愛用していたのだが、今
やこれがどこにもない。
 「1.6ミリ」の麺は、どうやら一番人気でもあったようで、これが真っ先に
店から消えた。
 仕方なく、麺はもう太さに贅沢は言わず、とりあえずはあるものを買ってく
ることにした。なので、ただいま台所に常備されているパスタは、「1.4ミリ」
と「1.7ミリ」が混在している。

 ソースもまた、我が家愛用のオーマイ製品はとりわけ、1袋に2人前という
リーズナブル、かつまた結構旨い、というのが災いしたか、真っ先に棚から消
えていた。
 ところが、やはり1袋に2人前入りで、我が家ではオーマイのが売り切れて
る時の次善品と決めている「キューピーあえるパスタソース カルボナ−ラ」
は、どこのお店でも結構残っていて、これは助かっている。
 他社製品でも、トマト系のソースは売り切れが多いのだが、なぜかペペロン
チーニとカルボナーラは、どこでも結構残っているのが、不思議。
 みんな、そんなに嫌いなのか? カルボナーラとペペロンチーニ。
 というか、おそらくは、パスタやパスタソースは、主に学校が休みの子供の
お昼として買われているんだろうから、お子さん方の好みではない、てことな
んでしょうね。

 街へ出てみると、車の通りと人通りのめっきり少なくなった、というよりも
殆ど人の見当たらない町中を、Uber Eatsの自転車やバイクが忙しく駆け回っ
ている。

 まったく、こんな状態がいつまで続くねん? とため息つきながらネットを
逍遥してたら、webマガジン「トーチ」で、第1回となる新人漫画賞の大賞が
発表されていて、その受賞作の一部が掲載されていた。
 「!」と衝撃を受けた。
 これは、買わねば、ぜひとも買わねば、と、4月に早速単行本になって発売
されるという、受賞作『牛乳配達DIARY』を取り寄せた。

 さらに、最近は漫画は電子書籍で済ますことが多いのだけど、これは、この
作品は、ぜひとも「紙で読みたい」と思って紙版を取り寄せた。
 が、後で知ったのだが、この作品は電子版では発売されてなかった。
 リイド社、えらい!
 これは、電子ではなく、是非ともに紙で読んでほしい漫画だと、わしも思う。
 「大賞」受賞に際しては、審査員全員一致で「これ!」と即決したそうだが、
それも大いに納得だ。
 漫画界は、またもや新しい才能を手に入れた。

 作者のINAさんは、愛知県瀬戸市でつい最近まで牛乳配達の仕事に就いてい
て、受賞作は、そのころの日常を、ほぼそのままに描いた作品。
 牛乳配達の日々の中で、ふと「これを漫画にしたら面白いんじゃ…」と思い
つき、とりあえずは見様見真似で漫画に仕立て、自費出版で本にしたものを、
「トーチ」に応募作として送ったらしい。

 牛乳配達に限らず、仕事を持っている人なら誰もが、ふと感じたことがある
だろう鬱屈や屈託、あるいは倦怠や焦燥が、小市民的かつとてもいじましくも
切なくつつましい日常の中に「ひょい」と不意打ちに顔を出すさまが、「リア
リズム」でもって描かれている。

 そう、「リアリズム」なのだ。それも、つげ義春の言う「リアリズム」。
 この「牛乳配達DIARY」を読み進むうち、つげ義春の『大場電機鍍金工業所』
とか『義男の青春』あるいは『下宿のころ』といった、自身の体験をもとに作
られた一連の「リアリズム」作品を読み返したくなってきた。
 で、記憶の中でこのINAさんのリアリズムに一番近いつげ作品は、単行本
『隣の女』に収められた数編だと思い出し、探したのだが見つからない。
 見つからないとなると俄然読みたくなってきて、これまたアマゾンで注文し
てしまいました。

 つげ式「リアリズム」作品とINAリアリズム、どちらも自身の体験をベース
に描かれている、というだけでなく、描かれるエピソードそれ自体は、悲惨だ
ったり惨めだったりいじましかったり、イタかったり、とてつもなくうら寂し
く物悲しかったりするにも関わらず、作品全体に漂う空気は、奇妙に明るくて
笑ってしまうような可笑しみに満ちている、というところも共通している。
 絵柄はまったく違うとはいえ、背景がこちらに何かを語りかけてくるところ
も共通だ。

 単行本中には、おそらくはINAさん自身が牛乳配達の途中で、配達に使う軽
バンから撮ったであろう写真が何葉か挿入されているのだが、この写真もまた、
見事に「つげ的」風景が切り取られている。

 と、ここまで書いて、改めて『牛乳配達DIARY』をぱらぱらとめくっている
と…
 巻末の著者紹介欄に、「24歳の頃、友人から借りた『無能の人・日の戯れ』
に衝撃を受ける」とあるではないか。

 「あ、やっぱり…」と思うと同時に、なんだか独り相撲を取っていたような
恥ずかしさにも襲われたのではあるが、しかし、INAさんには、「つげ式リア
リズム」の後継作家として、今後の活躍を勝手に、大いに期待してしまうので
ある。

 実際、すでに「トーチweb」誌上にて、『牛乳配達DIARY』の“後日譚”とも
言える『つつがない生活』の連載が始まっていて、こちらは、いじましくもつ
ましい日常の中に、「ペーソス」などと横文字で表現したくない、なんとも言
えない可笑しみが滲み出ていて、INA版『無能の人』とも言える作品になるん
じゃ、とひそかに期待しているのです。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第122回 福島県双葉郡の消防士たち

 今月は震災関連本を紹介する。あれから9年以上経ったので、だいぶ色褪せ
て聞こえるかもしれないし、いまさら感も否めない。そういう気持ちが“風化”
と云えるわけで、それはそれで仕方ないことと思うが、それでも今回紹介する
本がもう5年早く出版されていれば、この本はもっともっと話題になり、部数
もいったであろうことは、すぐに想像できる。
 なぜ、9年も経ってからの出版だったのか、それは本書を読めばすぐ氷解す
るわけで、実際にこの本を手に取って、本書を読んでこの9年間のブランクを
理解してほしい。

『孤塁 −双葉郡消防士たちの3・11−』(吉田千亜 著)(岩波書店)
(2020年1月29日)

 本書は東日本大震災時に福島第一原子力発電所が立地している福島県双葉郡
をその管轄とする双葉消防本部のドキュメントであり、本書の執筆者は当事者
から綿密に話を聞いてそれを構成した若いライターである。かなりレベルの高
いノンフィクションだと思う。主に地震発生の3月11日から3月いっぱいの記
録であり、そして終章に双葉郡の消防士たちのその後が書かれている。

 いままで、たくさんの震災関連本を読んできた。震災発生時からその後のこ
とをさまざまな場面や職業から読書を通して、東日本大震災を追体験してきた。
その中で一種の真空地帯(関連する書物がなかなか見当たらない地域や事象)
ともいうべき場所がある。それが双葉郡であろう。また、もっと細かく云えば
双葉郡に住んでいた人たちを記録した書籍は極端に少ない。それは仕方がない
ことだと思う。住んでいた所を追われた。そしてもうその場所にはたぶん住め
ない。居住地を失い、同時にふるさとを喪失した悲しみと苦しみはなかなか表
現できない。そこに他人が介在することは難しい。その苦しみ・・・・・。

 しかしながら、仕事なら表現できるかもしれない。原発事故の下、命をかけ
て遂行した仕事について語っている本書は、双葉郡の消防士たちが、東日本大
震災にどう立ち向かったか、消防士たちの物語となっている。一層貴重な物語
なのだ。
 福島第一原発が立地している場所は、津波被害の直後から避難命令が出され、
住民たちは右往左往しながら取るものも取りあえず避難した。消防士は避難を
誘導する係として粉骨砕身、地元住民のために仕事をした。しかし普通の避難
ではない。放射能汚染からの避難なので、避難を誘導する彼ら消防士だって生
命の危険が及んでいる。
 地域の住民。飼われていた牛馬や他の家畜たち。そして福島第一原発で働く
人たち。・・・・・彼らには光があたる。しかし消防士たちは黙々と仕事を遂
行するのみで光があたっていない。光があたる、ということはマスコミの取材
がある、ということだ。つまり彼ら双葉郡の消防士たちにはマスコミの取材が
なかった。そのことを踏まえれば、本書はまさに貴重な資料と云える。今の世
はマスコミに伝わらなければ、貴重な記録は埋もれてしまうだけだ。もしも記
録を取っていれば、の話である。

 彼らはその後、各地に避難した。そして双葉郡から避難している人たちと同
じように差別を経験している。むしろ消防士という職業ゆえ、最後まで高濃度
の放射線量にさらされていた分、一層ひどい差別に耐えなければならなかった。
 本書の執筆者は消防署員全員から取材したかったであろう。しかしそれはで
きなかった。消防士という仕事から離れてしまった元隊員も存在する。元の身
分を隠して別の場所で生活している人もいる。
 それでも口を開いて取材に応じた、隊員たちとその家族に大きな拍手を送り
たい。彼らの存在を誇りと思いたい。すばらしい。

 本書のクライマックスは、原発内で発生したとされる、建物の一般火災の消
火のために緊急出動するくだりである。そのときの様子が本書の表紙の写真と
なって、読者である我々に迫ってくる。完全防備なので、出動する隊員たちの
表情はわからない。しかし本書を読んでこの表紙の写真を見れば、その覚悟と
悲壮感は読者に迫ってくる。本書の帯にはこうある。“きっと特攻隊はこうだ
ったんだろうと思った”。と。

 消防士たちを大いに不安にさせたのは、事故後、情報がほとんど伝わらなか
ったことだった。どこがどのように放射能汚染されているか、隊員たちはまる
でわからなかった、という。自分の命を張って地域住民の避難をしている彼ら
には、放射線量の情報は一切伝わっていなかった。不安と恐怖の中で救急搬送
をしなければならなかった。彼らは、まさに取り残された人たち、なのであっ
た。また、双葉郡の住民たちの避難が完了し、自分たちもようやく避難するこ
とになり、それぞれ何十日ぶりかで家族と再会して、避難先に落ち着いたとき、
彼らはその異常と普通の乖離の激しさを最初に感じたという。災害の真っ只中
の非日常が続く双葉郡と避難先の日常の差の激しさに驚いた。

 本書の題名は「孤塁」。まさに“孤独に自分自身の持ち場を離れず守る”。
地元の消防署員はその気持ちに尽きているのである。素晴らしい。

 大地震と津波、そしてそれに続いた原発事故。双葉郡では非日常が続いてい
るがそれが日常化してしまう。そのことが“災害の風化”なのである。本書の
ような素晴らしい記録の物語は災害を他人事にせず、自分のこととあらためて
考えさせる、素晴らしい書物である。

多呂さ(人との距離が劇的に変化しています。日常が大きく変化しました。こ
の日常がもしかすると、程度の差はあれずっと続くかもしれません)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
106 世界は広く、時々小さく

 いまは、明日がどうなっているのかよくわからない、不思議な時間が流れて
いる感覚が続いています。ひとまず、という気持ちで毎日ご飯を食べて、よく
眠り、本を読み、映画を観て、庭の野の花を愛で、散歩して、仕事をします。
 深く息をすることを意識しています。

 最初にご紹介する本はパキスタンを舞台にした物語。

 『囚われのアマル』
 アイシャー・サイード 作 相良倫子 訳 さ・え・ら書房

 12歳の少女アマルは、勉強好きで、将来は教師を夢見ています。住んでいる
村は大地主一家が牛耳り、村人の多くはその地主さんから借金しています。

 アマルは自分の家はそこまでの借金があることを知らなかったのですが、大
勢の人前で、地主さんの息子、ジャワッド氏にたてついてしまったため、借金
の肩代わりすることになってしまいます。まだ12歳だというのに。

 そうなると学校へも行けません。住み込みでの女中として働かなくてはいけ
なくなったからです。

 アマルの今までの生活が一変し、ただ働くだけの日々を読んでいると、『小
公女』を読んでいるかのように思われたのですが、これは「現代」のパキスタ
ンのことなのです。

 物語はノンフィクションですが、描かれている強制労働は国際的な問題とさ
れているにも関わらず、なかなか改善されていません。

 アマルが強制労働させられるきっかけは、自分の気持ちを恐れずに地主の息
子に伝えことでした。けれど、その勇気ある行動ができたからこそ、それから
のアマルの運命も変えていくのです。

 児童文学の王道のストーリー展開に引き込まれ、アマルがどうなるのか一時
も目が離せない臨場感が最後まで続きます。

 広い世界では知らないできごとが起きている。いや、狭い世界でも知らない
ことは多々ありますが。本を読むということは、そのどちらにも気づかされま
す。

 『城跡の謎』
 『地主館の罠』
 アストリッド・リンドグレーン作 菱木晃子訳 平澤朋子絵 岩波書店

 以前のリンドグレーン全集より、大きさはひとまわりほど小さくなり、大人
にも読みやすいサイズ、新たな訳と装丁で、より魅力的になったリンドグレー
ン・コレクション。

 読み始めたら止まりません!

 最新刊は名探偵カッレシリーズ第二弾。『地主館の罠』(菱木晃子訳 平澤
朋子絵 岩波書店)。

 邦訳されたときは『カッレくんの冒険』(尾崎義訳)として刊行され、今回
はタイトルも改められています。

 ちなみにシリーズ1作目は『名探偵カッレ 城跡の謎』(旧訳:名探偵カッ
レくん』(尾崎義訳))は昨年9月に刊行。

 シリーズ3作目が刊行されたタイミングで続けて読もうと思っていたのです
が、家にいる時間がたっぷりとれるいま、手にとったらやめられなくなりまし
た!

 訳者あとがきによると、リンドグレーンは、犯罪学の権威で、のちに国立犯
罪技術研究所を設立するハリー・セーデルマンの秘書をしていたことがあり、
その時の知識がこのシリーズに生かされているとあります。読み終わったらし
ごく納得。

 名探偵カッレの仕事ぶりはとても緻密で、また推理していく筋道がとてもわ
かりやすく描かれています。また犯人を追うばかりでなく、夏休みにたっぷり
と遊びまくるカッレたちの描写はのびのびと楽しんでいる様子が幸福感に満ち
ていて、自分の中の子ども心がくすぐられます。

 遊びの描写には、事件の伏線が隠されているのですが、読んでいる間はただ
ただ子どもたちの「バラ戦争ごっこ」の本格的さにおもしろがっているだけで、
後半の推理で、へぇ、あれが、なんとまぁとなるのです。

 リンドグレーンの他の作品でもそうなのですが、登場する子どもたちの遊び
は大人目線からすると「やめなさい!」と言いたくなるものばかり。

 例えば、『地主館の罠』の1シーン。

 小川にかかる橋は、いつも子どもたちを誘惑する。(中略)幅の狭い手すり
がついている。この手すりの上を、平均台みたいにバランスをとって歩くのが、
おなかの底がくすぐったくなるほどスリルがあって、気もちがいいのだ。

 おなかの底がくすぐったくなるほどのスリル!

 でも、子どもたちが手すりを渡っているのをみたら、情けなくも私は止めて
しまいそうです。見守れるくらいの度量が欲しい。
 リンドグレーンの物語に出てくる子どもたちはカッレだけでなく、皆、本気
でとことん遊び、いたずらをするので、そのたびに受け止める力を試されるよ
うな気持ちになります。

 さて、おなかがくすぐったくなるほどのこのシーン、
 ひとりの大人はカッレたちの行為に立ち会い、つぶやくセリフも唸ります。

 遊びの中でのスリルやぞくぞくする気持ちは、子ども時代ならでは。
 
 謎ときがおもしろいので、筋は詳しく伝えられませんが、
 読んだら、原っぱをかけまわったような爽快感があります。
 
 最後に新装版の挿絵について。北欧という外国の雰囲気、子どもたちの表情、
探偵小説ののスリル感、そのどれもを併せ持った絵が平澤朋子さんによって描
かれています。

 シリーズ最終巻『名探偵カッレとスパイ団』の刊行(今秋予定)が待ち遠し
い!

(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
----------------------------------------------------------------------
テレワークの普及がもたらすコロナ後のキャリアを考えてみた。

『キャリアノートで会社を辞めても一生困らない人になる』
野津卓也著 東洋経済新報社(2010/8/27)

 政府が緊急事態宣言を5月一杯まで延長しました。それに伴い、仕事は自宅
でテレワークになったという方が先月よりさらに増えているのではと思います。

 この間、ネット上では「STAY HOME」「お家にいよう」「巣ごもり」といっ
たキーワードが登場し、家の中でどうやって時間をつぶそうか?みたいな記事
が多く目に飛び込んでくるようになりました。仕事がテレワークになると、こ
れまで通勤に使っていた時間がまるまるなくなりますし、休日は外出自粛の流
れが続いていますので、やはり時間を持て余す方が一定数いる影響なのではと
思います。

 勿論、時間の使い方は人それぞれで良いと思うのですが、せっかく自宅で自
由に使える時間が増えたのであれば、1つお勧めしたいことがあります。それ
は自身の職務経歴を振り返り、棚卸しをしてみることです。

 テレワークの普及は働き方だけではなく、組織やキャリアにも大きな影響を
もたらすことが想定されます。

 もう10年以上前から、日本の終身雇用制は徐々に崩れ、欧米のように「何が
できるか」で報酬やポジションが変わる、実力成果主義的な雇用へ変化してい
くと言われておりました。しかし、人事制度上では成果主義を導入したとして
も、実状として終身雇用、年功序列を引きずっている会社はまだ多数。それが
今回を契機とし、変化が進む可能性が高まっているのです。

 終身雇用制の下では、労働時間が長い人、会社に遅くまで残っている人が評
価されやすい風潮がありました。しかし、必ずしも出勤を必要としないテレワ
ークが主流になると、仕事の評価は、純粋なアウトプット量と質が最重視され
るようになります。労働時間の長さが評価になりにくいのは勿論、単に会社に
行っていればいいという働き方は許容されなくなっていきます。

 また、仕事のために会社に行く必要がなくなれば、地方に住みながら都心の
企業に採用されて仕事をするような事例も出てくるでしょうし、すでに副業を
容認する企業の増加も予想されます。

 結局のところ、これからはキャリアを会社に依存する時代は終わり、自律的
に形成していくことが本格的に求められるようになる、と。そのためにも、ま
ずはこれまでのキャリアの棚卸しを実施し、自身の事を振り返ってみることを
お勧めしたいなぁと思うのです。

 今回、数多あるキャリア関連本の中から本書を取り上げたいと思ったのは、
PI(パーソナルアイデンティティ)という考え方に基づき、自分らしさを活か
したキャリア形成を勧めている点にあります。

 本書の中でPIとは「『自分は何者なのか』ということを、他者との比較、社
会の中で位置づけることにより、明確な自己像として統一していること」と定
義されています。

 仮に会社の肩書を外しても、他人に自分が何者なのかを語ることができる。
会社に頼らなくても一生困らないキャリアを構築するためには、まずこのよう
な自己基盤を確立することが重要と説いているのです。

 本書の一番の特長は、合計30種類にも及ぶワークの豊富さです。まずPIを
発見、再認識するためのワークとして、幼少期から現在までの自分史作成、強
み・弱みの分析、価値観の確認。ここまでで自己分析を固めてから、職業人生
の振り返り、今後のキャリア目標策定へと進んでいきます。

 その途中途中では、自身がどのような職業に興味関心を抱くかのテストや、
自身の目標と会社のビジョンとの整合性チェックなど、企業人がキャリアを考
えるうえで必要な要素がしっかり抑えられています。すごく使いやすいし、理
にかなっているので、キャリア研修の元ネタに使う研修講師もいるんだろうな
と勘ぐってみたりもして。

 これ、しっかりやってみようと思うと、とても1日、2日で終わる内容では
ないんですね。ある程度まとまった時間を確保して、じっくりと自分に向き合
いながら進めていく必要があります。その意味でも、テレワークや外出自粛で
行動が制約されることで、自由な時間がある今の状況を利用するのが一番だと
感じるのです。

 この本が発売された2010年は、リーマンショック後の経済の冷え込みにより、
日本企業の人材採用が冷え込んでいた時期でした。今回の新型コロナウィルス
騒動、一部の識者にはそれを超える経済危機になるとの見方もあります。

 「会社に依存しないキャリア形成」とはその時も、いやその前から言われ続
けていたことですが、今回ついにメジャーな考え方になるのではないかと、期
待と不安の両方を感じながら、推移をみていきたいと思っています。」


show-z
都内企業に勤務する人事担当者。
テレワークになり、思いのほか仕事が捗るので、実は社内でのコミュニケーシ
ョンが苦手だったのではと気づいた今日この頃。うーん。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 今回は5日遅れで発行。ちょっとリカバリ中?(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2994部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 07:49 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.699

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.04.20.発行
■■                              vol.699
■■ mailmagazine of book reviews    [ドイツの株が上がっている 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #117『現代ドイツ幻想小説』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『青野くんに触りたいから死にたい』椎名うみ コミックアフタヌーン

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 小説『安楽死特区』長尾和宏・著(ブックマン社)

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#117『現代ドイツ幻想小説』

 ドイツの株が上がっているようだ。

 EUのおっかさんメルケル首相のメッセージは説得力がある。

 医療が崩壊せず、致死率が隣国フランスの十分の一という低さである。

 それは国が、緊急ではない治療や手術を延期してベッドを明けた病院に一日
約6万円、人工呼吸器を新たに設置した病院に1台当たり約500万円という補
助金の支給を、いち早く1月だか2月だかにもう始めていた成果である。

 そんなことを知ってしまうと、日本人とドイツ人は勤勉さ、真面目さで近し
い民族性のはずなのに、彼我の差にがっかりして、いっそドイツ人に生まれれ
ばよかったという気にさえなってしまう。

 そんな目で書棚を眺めていたせいか、「ドイツ」という単語につい反応し、
久しぶりに手に取ったのが、本書『現代ドイツ幻想小説』だった。

 種村季弘が編集したアンソロジーである。

 いわゆるドイツ文学史に正史があるとするなら、その裏面史に埋没している
ような作家の、幻想的な短編小説が集められている。だからここには、ゲーテ
やらトーマス・マンやらの名前はない。フランツ・カフカは別格としても、オ
スカル・パニッツァ、パウル・シューアバルト、ローベルト・ムージルと、聞
いたこともない名前ばかりだ。もしかすると、怪奇小説好きなら記憶の隅にあ
るかも知れない、『ゴーレム』の作者グスタフ・マイリンクも、このラインナ
ップの中ではメジャーに見えるくらいの、渋いチョイスである。

 この中に、ローベルト・ヴァルザーという作家の、極めて短い小品が2篇収
められていて、その内の「拍手喝采」が、このご時勢に相応しい逸品だ。

「親愛なる読者よ、それがどんなにすばらしいか想像してみてくれたまえ」

 単行本の見開き2ページ分しかない、本当に短いこの冒頭の一文で、ヴァル
ザーは読み手を、たったいま素晴らしい舞台が終わったばかりの劇場へ一気に
連れ込んでしまう。

 カーテンコールである。ここでは演劇であるか、オペラであるか、バレエで
あるかは特定されない。しかし、万雷の拍手を浴びているのは一人の少女であ
る。女優か、プリマドンナか、バレリーナたる、少女である。

 彼女は「観客に、まるで小さな、愛らしい、おとなしい子供を相手にしてい
るように、キスを投げかけ、感謝のしぐさをみせ」る。すると観客もまた子供
になって、「この優美なしぐさにうっとり」する。
 この時の、観客の心に満たされる喜びは、「まさしく子供のみが享受しうる
よろこびなのだ」

 だからこそ、舞台のかぶりつきに陣取って熱狂した男爵が、少女の魅惑的な
足もとに千マルク紙幣を一枚差し出すかも知れない、とヴァルザーは書く。し
かし、その紙幣は少女の手で投げかえされるだろう、と。
 この時彼女が口にするたしなめの言葉は、確かに子供に言い聞かせるお姉さ
んの言葉だ。

「おばかさんねえ、お金はたいせつにしまっておおきなさい」

 恥ずかしさのあまり消え入りそうになる貴族は、もちろん少女より大人であ
る。しかし演技にせよ、音楽にせよ、舞踏にせよ、卓越した技術を習得し、観
衆を酔わせる特権的な地位にいる少女から見れば、彼は幼い弟に過ぎない。
 逆に言うなら、世俗の権威やら身分やら財力やらのすべてを脱ぎ棄て、一人
の頑是ない子供に還って一心不乱に熱狂し、讃え、感激に身を任せることが出
来る忘我の場所こそ劇場なのである。
 その芸能の神髄が、この小品には明確に表現されている。

 そしてヴァルザーは読み手に再び呼び掛ける。

「あれやこれやのことを、とりわけオーケストラのひびきを、ありありと思い
浮かべてくれたまえ、親愛なる読者よ、拍手喝采がすばらしいものであること
はみとめないわけにはいくまい」と。

 それは舞台にいる少女だけが味わう愉悦ではなく、劇場全体が共通の感動に
結ばれてひとつになった喜び、世界と自分がまだ未分化である子供の喜びに他
ならない。
 そういう喝采の瞬間を体感する度に、人は世界と和解し、生きることの恵み
を知るのである。

 だがいま、21世紀のこの世界で、その喜びは奪われている。
 奪われてみて、改めて、喝采の喜びの大きさを思い知らされている。

 いずれ明ける夜ではあるだろう。
 しかし夜明けまで耐えきれるだろうか。
 観客はじっと待つのみだが、この「少女」は、この「オーケストラ」は、こ
の「劇場」は、いま仕事を失い、苦境に立っている。

 シュテファン・ツヴァイクが「完全無欠の散文、そのいずれをとっても純粋
と円熟の詩」と激賞したローベルト・ヴァルザーの「拍手喝采」を読み、この
ような事態を一年前には想像すらしなかったことに、途方に暮れる思いがした。


種村季弘編
『現代ドイツ幻想小説』
(ローベルト・ヴァルザー「拍手喝采」)
一九七〇年一〇月五日 印刷
一九七〇年一〇月一三日 発行
白水社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
札幌の老舗ライブハウスCOLONYが閉店に……

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『青野くんに触りたいから死にたい』椎名うみ コミックアフタヌーン

 ツイッターの広告で知った作品。
「幽霊と人間。絶対に結ばれないし、どんなに願っても触れ合えないふたりの、
かわいくて切なくて一途すぎるラブ・ストーリー」

 主人公は、かわいらしいく純情だけど孤独な女子高生、刈谷優里。この優里、
ふとしたことがきっかけで、同級生の青野くんが好きになり、顔を真っ赤にし
て告白したのが幸いして、青野くんの彼女になれた。

 このまま幸せな学校生活が続くと思われたが、青野くんと付き合うようにな
った2週間後、彼が交通事故で亡くなってしまう。ショックを受けた優里は家
に戻ると後追い自殺をしようと、カッターナイフでリストカットしかけたとこ
ろに、青野の幽霊が現われて優里を止める。

 お互い相手を抱きしめようとするが、幽霊と生きている人は抱きあえない。
すり抜けてしまう。だったらと、優里は再び死のうとするのを青野が止めるが、
優里は反論する

「青野くんは幽霊で、わたしは生きているからキミに触れないんでしょう!?
だったら私が死ぬしかないじゃない。君は生き返れないんだから!?」

 そういって、わぁと泣き崩れる優里に青野は、ずっと側にいることを約束し、
優里に枕を立てることを指示する。幽霊を物理的に抱きしめることはできない
けど、枕ならできる。枕に乗り移っている青野を優里は抱きしめる。

 優里は幽霊となった青野くんと再び付き合いことになった。

・・・と、ここまでが最初の1話の半分くらいまでのあらすじになる。なるほ
どかわいくて切ないラブストーリーなんだなと思って読み進めていくと、おい
おい、話が違うぞ。

 可愛い絵柄にだまされた!これはホラーだ。ネットの書評をあさると、やっ
ぱりみなさんホラーだと思って読んでいる。ホラーだと知らないで読んでいた
のはオレだけか?

 ま、それはともかく、2人で映画のビデオを見ている時に、優里が青野に憑
依できるかと聞いた。青野はそんなことしようとしたことはないし、できるか
どうかもわからないと言うと、優里は自分で試してみたらどうかと提案する。

 その時、青野の表情が別人のように変わった(これを説明の便宜上、別人モ
ードと呼ぼう)。そして「君の中にオレを招いて欲しい」と言って優里が承諾
すると、優里の中に入った。優里の体を完全に乗っ取った青野は、乗っ取って
しまえたことに驚きながらも異変を感じた。それが何かを探る間もなく優里の
体から追い出された。

 その経緯を聞いた優里は、このまま青野くんと一緒にいたらどうなるのかと
思いつつ、優里は青野くんと一緒にいられるならどうなってもかまわないと思
った。

 しばらくして青野の友人の藤本が登場し、優里は自分には青野が見えるのに
友人の藤本には見えないことに気がついて、青野が藤本と話せるように「私の
体を好きに使って」と青野に言うと、青野は再び一瞬だが別人モードになった
・・・これが何かの伏線だと予感させる。

 そしてある日、優里は学校に出てこなくなってひきこもりになった堀江と言
うホラーマニアの女の子のところにプリントを届けに行き、そこから作品はホ
ラー色が本格的に強くなっていく・・・。

 藤本と堀江という仲間を得て、優里たちは通常モードの青野と別人モードの
青野がいるらしいと知る。別人モードの青野は「私の中に入って」というと憑
依する悪霊のようだった。

 悪霊は成仏させなければならない。悪霊でなくても成仏できない状態で青野
をおいておくのはかわいそうだ・・・。青野を成仏させるべきだと藤本は判断
したが、優里は藤本の言うことは理解できても心の中では受け入れられない。
自分の前から青野が消えてなくなって欲しくない。

 しかし、そんな感情などにお構いなしに事態は進んでいく・・・・最後はど
うなるのか、まだ完結していないのでわからないけども、作者はどうやってこ
の作品締めるのか、全く想像もできない。

 だなんて書いていて、全くこの作品の面白さを表現できていないと歯がゆく
て仕方がない。ただ優里という女の子の言動を見ていて思うのは、天真爛漫か
つ破滅的だということ。歌に例えれば、石川さゆりの「天城越え」、アン・ル
イスの「KATANA」のようなドロドロとしたモノを持っている割には、妙に、底
抜けに純朴かつ明るい。

 言い換えれば、優里がそういうキャラだから、幽霊とのラブコメだと思って
騙され、ホラーを買ってしまった私がこの作品を投げ出さずに読んでいけたわ
けだ。

 読者諸兄はどうか知らないが、私の場合、歳とってくるとホラーはだんだん
苦手になってきていて、近年は全くと言っていいほど関心がなくなってきてい
る。そんな人間に読ませるだけでも、この作品たいしたものだと思う。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)
----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
読んでぜったい損がない医療小説
小説『安楽死特区』長尾和宏・著(ブックマン社)

 2019年末に発刊されて、年末年始の書店に平積みにされていた話題作。著者
は「長尾クリニック」院長・長尾和宏氏。兵庫県尼崎市を拠点に24時間体制で
在宅医療に取り組む現役医師です。これまでに「平穏死10の条件」や「薬のや
めどき」などの著作があり、現代の医療の問題点を訴え続けてきましたが、こ
こでついに小説という形で持論を展開。自由に訴えられる小説の良さをうまく
利用して、興味深いテーマを執筆されています。

 時代は2024年の日本。オリンピックが終わって(!)財政的に困難になり、
しかも社会保険制度が崩壊しかけている、しかし消費税はこれ以上上げられず、
法人税は上げる気もない政府が状況を打破すべく、「長生きしたい人に早く死
んでもらいたい」と、安楽死希望者を募集して、「安楽死特区」を作り、安楽
死を推奨するという設定。ね、読みたくなったでしょ?

 小説はかつては流行作家だったものの今は認知症に悩む女性作家、ゴッドハ
ンドと呼ばれるが自らのアイデンテティに疑問を持つ心臓外科医、難病に罹り
安楽死を望むカメラマンと恋人、がん患者の元ホストがそれぞれの現状を語る
形で進められ、生と死のコントラストを浮き彫りにします。

 いつも通りネタバレになってしまうので多くは言えませんが、おばちゃまが
ストーリーに関係ない範囲でおもしろいと思った箇所を2つピックアップしま
すね。

 1つめは、政府が作る「安楽死特区」は「東京ギャンブル特区」の隣にある
という1文。安楽死希望者には無条件でカジノをやっていいという特例がある
そうです。認知症の人は制限があるのですが、認知症差別になるといけないの
と、認知症の人こそ頭脳活性化のためにギャンブルしていいそう。この数行だ
けで、世間が持つ価値観の矛盾と「特区」というもののうさんくささが感じら
れて、おばちゃま、クスっと笑いましたわ。

 2つめは、まるでヒッチコックの映画のように作中に著者と思われる医師が
顔を出している部分。
 ある学会で心臓外科医が補助的人工心臓について講演していると、最後に、
ぼさぼさの白髪頭の老人が「その人工心臓はいつやめたらいいんだ」と質問す
るのですね。心臓外科医がとまどっていると、「へんな質問してごめんね」と
言って去る医師こそが、長尾医師本人ではないかと推測されます。まさに、薬
や抗がん剤のやめどきについての著作がある医師らしい質問です。

 その後、講演会の主催者は心臓外科医に「あの人は雑居ビルで小さいクリニ
ックをしていて、夜中に酒を飲んでいても居酒屋から患者の家にかけつけ、前
は尼崎で開業していて医師会とよくモメていた」と告げます。長尾さん、医師
会とモメてるんですね(笑)。

 あとは読んでのお楽しみ!

 この著作の中でも大胆なことを言っている保険なのか、表紙に「小説」と大
きく書いてあるのもほほえましい!
 それにしても、世の中は何が起きるかほんとうにわかりませんね。この小説
は「オリンピックが終わった」東京が舞台ですが、みんなが当たり前と思って
いたその設定が、たった3か月でこう変化するなんて。

 ・・・・みなさま、どうぞお気をつけてお過ごしください。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 4月20日号をお送りします。

 いよいよGWですが、どこかに出かける雰囲気でもなく、皆様はどのように
過ごすのでしょうか?

 私は例年通り、この機会に、溜まったお仕事を片付けようかなーと思ってい
ます。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2994部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 10:00 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.698


■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.04.10.発行
■■                              vol.698
■■ mailmagazine of book reviews  [というミスティフィケーション 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<123>つげ義春を探して

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→105 心を動かすこと

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→新型コロナウィルス騒ぎで、唯一「良かった」と思えた話。

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第121回 内田樹の生きてきた道

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■EMS緊急公開講義「コロナ時代をどう生き抜くか」(オンラインイベント)
└──────────────────────────────────

 登壇者は、まさに、今、話題の…というおふたり。

 ご興味あればどうぞ。テレビやSNSでは知れない、本音の話を聞くことが
できます。

 2020/4/21(火) 21:00〜2020/4/21(火) 22:30
「生物学者 池田清彦先生に新型コロナウイルスの最前線を訊く
 コロナ対応にみる失敗の本質1」池田清彦×西條剛央
 https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01advr10xgbnz.html

 2020/4/24(金) 14:00〜2020/4/24(金) 15:30
「医療崩壊を防ぐゾーニングと自己隔離の原理と方法
 コロナ対応にみる失敗の本質2」岩田健太郎×西條剛央
 https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/010tc110xghke.html

(この緊急公開講義による収益は、全額、スマートサプライによるコロナ支援
のマッチングの準備を進めている非営利団体である一般社団法人Smart Supply 
Visionに寄付させていただきます)

----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<123>つげ義春を探して

 例年、我が家の周辺はこの時期、にわかに騒がしくなる。
 選抜高校野球の歓声は、球場から約2キロ離れた我が家にも、時折風に乗っ
て飛び込んでくる。
 周辺道路には応援バスが、全国から列を連ねて連日到着する。

 加えて、このあたりには花の名所も結構多くて、週末ごとに人が押し寄せ、
昼日中からあちこちで、ブルーシート敷いた宴会が繰り広げられる。

 センバツが終われば、今度はプロ野球の開幕で、満員の電車が甲子園駅に到
着するたび、ユニフォーム姿やら選手の名前を刺繍で入れた特製ニッカボッカ
やら、思い思いの「応援服」に身を包んだ人たちが、やや目を血走らせ、我先
に球場に向かって行く。

 今や世界を覆いつくした感のある新型コロナウィルスが、そんな風景を一変
させた。
 コロナは、センバツを中止に追いやり、オリンピックを1年延期させ、プロ
野球の開幕もまた、いつになるやらわからん…ところへもってきて、とうとう
「非常事態宣言」まで発令されてしまった。
 甲子園球場周辺も、周辺の桜はそこここで満開に咲き誇っているというのに、
ほとんど人が歩いていない、という異常な状態。

 関係先の学校も、軒並み新年度の授業開始を「延期する」との連絡が3月末
から入っていたのだが、これがまた今回の非常事態宣言を受けて「再延期」と
の連絡が相次いでいる。
 日銭稼ぎの非常勤渡り鳥の身には、かなり厳しい状況と相成ってきた。

 徒然なるままに、本の整理をしてみたり…というか、この機に、部屋に溢れ
かえっている本を「なんとかせい」との厳命を、家内総理から受け、本の断捨
離を決行。
 どうしても置いときたい本だけを残して、あとは学校の図書室に寄贈するこ
とにして、主に漫画と小説を、段ボールに4箱ほども車に積んで学校へもって
いった。

 本を整理するうち、先月の当欄に書いた稲垣足穂や、その他懐かしい漫画な
ども出てきて、これらをまた、再読するのも楽しみとなった。

 そうやって「発掘」した本の中に、高野慎三『つげ義春を旅する』(ちくま
文庫)があって、これまた懐かしく再読。
 かつて青林堂「ガロ」で、つげ義春の担当編集者でもあった高野氏が、つげ
漫画に描かれた風景を追って旅をした、その記録。
 つげ義春の漫画は、自身の実体験を元とする「私漫画」や、実際に旅をした
土地が舞台になっていたり、またその土地の風景が背景に取り入れられている
ことが多く、つげ漫画の風景を追う、ということは即ち、つげ義春の半生を追
うことでもある。

 20年ほど前から、主催しているウェブサイトのために、ずっと「風景」を撮
りためている。
 たまにこれを整理してみると、わしもまた、知らず知らずのうちに、「つげ
的」風景を追いかけていることに気づかされる。
 すなわち、都会の隅に忘れられたような路地裏や、運河沿いの赤錆の浮いた
トタン葺きの倉庫、低い屋根の長屋が連なる路地、崩れかけたような小屋、そ
して旧街道筋。

 数年前、健康診断に引っ掛かり、食生活や飲酒、生活習慣などについて医師
から様々なアドバイス受けた中に、「できるだけ歩きなさい」というのがあっ
て、ある時期、時間を作っては、通勤の経路の中で、一駅、あるいは二駅を歩
く、ということをやっていた。

 これが嵩じて、週に一度京都へ通勤するに際して、朝も早よから家を出ては、
西宮から京都まで、1回につき約5〜6キロから10キロ見当、数週間かけて旧
西国街道を歩いたことがあった。

 時間にして、2〜3時間。前回の「続き」まで電車で行っては歩き始め、時
間がきたらば最寄りの駅へ行って、そこから再び電車で京都へ向かう、という
ことを繰り返して、ついに久世大橋を渡って東寺までたどり着いた時には、結
構な達成感が、あった。

 西国街道は、現在の国道171号線に沿っているのだが、轟々と車の行きかう
国道を外れて旧道に入ると、旧街道の面影とどめているところも多く、どこを
どのアングルで撮っても、いずれも「つげ的」風景になるのであった。

 これに味をしめて他日、今度は旧東海道をたどってみようと、大阪は天満橋
から京都三条大橋まで、やはり何度かに分けて歩いてもみたのだが、こちらは、
旧道がそのまま残っている個所も少なく、存外につまらなかった。

 ただ、江戸時代に始まり、昭和30年代まで「赤線」として続いた、橋本宿の
遊郭跡と、枚方からその橋本まで淀川の堤防上を行く旧道は、「つげ」はつげ
でも、弟の方の「つげ忠男」的風景だな、と茫漠と広がる河川敷を写真に収め
ながら、思ったのだった。

 頃もよし、コロナ禍がなければ、通勤の合間に時間を作って「風景狩り」に
も行けたのにな、と思う今日この頃。
 いや、コロナ禍で時間もある今こそ、その時…?なのか?
 幸いに、街にも人が少ないし。

 コロナ何するものぞと出かけるべしか、しかし、それは「蛮勇」というもの、
家に居ておとなしくしているべきか、今回「発掘」したつげ義春の文庫版で、
つげ的風景を再確認しつつ、悩ましくもある4月なのだった。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
105 心を動かすこと

 先が見えない毎日。すっきりしない心持ちの日が続いています。

 春休みが長くなっていた娘が、何年も片付いていない納戸をきれいにしてく
れました。おかげで久しぶりにみる本棚(何年も他のガラクタでみえなかった)
の本を眺められ、旧友に会った気分を味わったり、子どもたちの小さい頃の日
記帳や、読書感想文も出てきたりで、おなかを抱えて笑いながら読みました。

 長男が小学3年生の時に書いた『古事記物語』(鈴木三重吉)の読書感想文
も出てきました。――”この物語は”きぼう””わらい歌”があります。――
とはじまるので、つい今の大変な時に「希望」を感じられることが書いてある
のかと期待してしまったのですが、希望について具体的には書かれていません
でした。それでも「このお話しは大人の話しみたいでした」としめくくられて
いるのを読むと、『古事記物語』を再読したくなり、ほこりをかぶっていた本
を久しぶりに取り出しました。

 私自身も子どもの頃、「天の岩屋」が好きだったのですが、長男も感想文で
3つの話をとりあげている中の一つがこれでした。「つまりこのお話しは災い
が一どきに起こってきます」と書いていて、これまた今のことかとドキリとし
ました。(とはいえ、どんな災いかは書いていないのですけどね)
「天の岩屋」は天照大神の広い心を裏切る、やんちゃが過ぎる弟、須佐之男命
が登場します。弟は迷惑なことばかりして姉に迷惑をかけ、最終的には下界へ
おろされるのですが、話そのものはさっぱりした語り口なので、結末には気が
晴れます。

 さて、本の紹介です。

 いま、先の見えないパンデミックを前に重たい空気が充満し、9年前の今頃
に起きた震災時のような、非日常を感じます。

 あの頃は本を読んでいても、言葉が頭まで入ってこない感覚がありました。
 そんな時、すっと読めたのが『キリエル』(A・M・ジェンキンス作/宮坂
宏美訳/あかね書房)でした。宮坂さんのクリアな訳文が、気持ちをほぐして
くれたことをよく覚えています。

 その時の気持ちを覚えているからこそ、宮坂さんの翻訳新刊を読むのは楽し
みでした。

 『ソレルとおどろきの種』
 ニコラ・スキナー 作 宮坂宏美訳 ハーパー・コリンズ

 少女の頭から、黄色やオレンジなどカラフルな色の花が咲いている表紙絵か
らまず読みたい気持ちをそそられます。元気が出る色です。

 主人公はソレルは小学6年生。シングルマザーのママと2人暮らし。ママに
安心してもらえるよう、学校では優等生でいるソレル。次なる目標は、学校の
優等生コンテストで優勝すること。特典として、1週間の家族旅行がおくられ
るのです。ソレルはママと海外旅行に行ったことがありません。ふだんから優
等生でいる自分には十分チャンスがあるのではないかと考えます。

 ところが、裏庭で古びた封筒を見つけてから、ソレルが優等生で居続けるの
が難しいことがおきてきます。緑少ない町になっている理由がわかってくるか
らなのです……。

 運動場にコンクリートの建物をたて、子どもたちから土の上で走り回る環境
を奪う校長先生。その工事によって潤う建設会社。生徒が運動場を求めたら、
優等生コンテストのポイントをあげないとまでいう校長先生。

 ソレルの住んでいる町は住人が意識しないうちに、建設会社によって緑がど
んどん奪われていたのです。

 環境問題と共に、上の人が命じることに従順であることについても書かれて
います。学校でも会社でも、上の人の話にひとまず耳を傾けなくてはいけませ
ん。けれど、ソレルの行動は、自分の頭で考えることを忘れてはいけないんだ
と気づかせてくれます。

 ファンタジックな要素をからめながら、テンポよく展開していくリアリティ
ある話は一気読みでした。おすすめです。

 『コピーボーイ』
 ヴィンス・ヴォーター作 原田勝訳 岩波書店

 前作『ペーパーボーイ』6年後の物語。
 主人公のヴィクターは17歳になりました。

 前作を読んでいなくても、読んでいてすっかり忘れていても大丈夫。
 どちらの立場でも楽しめます。

 夏のアルバイトで新聞社のコピーボーイ(雑用係)として働いているヴィク
ターは、大学進学を間近に控えています。仕事をしている時、6年前に出会っ
た大切な存在であるスピロさんの訃報を知ります。亡くなったスピロさんとヴ
ィクターはある約束を交わしており、それを果たすために、17歳のヴィクター
はミシシッピ川の河口を目指すことになります。

 アメリカでは16歳で免許がとれるのが主流なので、ヴィクターも既に免許を
取得し自分の車ももっています。17歳といえば日本では高校2年生なので、そ
の年齢で車に乗って一人旅というスタイルに親目線で私なら送り出せるだろう
かと思ってしまいました。
 ヴィクターの両親も一人旅を応援しているわけではなく、むしろ反対の立場
だったので、ヴィクターもこっそりと出発せざるを得ません。

 一筋縄では見つからないミシシッピ河口。訳者あとがきによると、「メキシ
コ湾にむかって、いくつもに枝分かれして広がっていくミシシッピ川において、
河口をここと定めることはそう簡単ではありません」ということです。

 様々な人の力を借り、河口に近づいていくのですが、今度は大きなハリケー
ンが近づいてきて、いったいどうなるのかとハラハラがとまりません。

 自分がすべきと思った事を実行する強い気持ちを物語のそこかしこで感じ、
自分の17歳の時はどうだったろう。娘の17歳は、と読みながら自分の時間もい
ったりきたりしました。

 ヴィクターは心配事があると、好きな物語をタイプライターで打ちます。そ
れがヴィクターの気持ちを落ち着かせることで、だからこそ今回の旅のお伴は
タイプライターでした。好きなものが近くにある安心感が、丁寧に描かれ、読
み終わったあともヴィクターの存在感が消えません。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
----------------------------------------------------------------------
新型コロナウィルス騒ぎで、唯一「良かった」と思えた話。

『あなたのチームは、機能してますか?』
パトリック・レンシオーニ著 翔泳社 (2003/6/18)

 今月7日、政府が「緊急事態宣言」を発出しました。それ以降、いやその前
からも含め、テレビやネットで目にするニュースといえば、新型コロナウィル
ス関連の話題一色となっています。

 ちなみに僕が働いている会社では、今月の上旬から全社員の出勤半減(ただ
し政府が出勤7割減の要請を発表したのでまた変わる可能性あり)、それに伴
う不急業務の延期または取りやめを進めている他、テレワーク(自宅でパソコ
ンを利用した在宅勤務)の導入準備が急ピッチで進められています。

 実はテレワークの検討自体は、昨年にもあったのです。「働き方改革」とい
う言葉が昨年4月からクローズアップされはじめ、その中で政府は「ワークラ
イフバランスの実現」「人口減少時代における労働力人口の確保の観点」など
から、場所にとらわれない働き方ができるテレワークの普及促進を強く謳って
きました。

 また、何か災害が起こってオフィスに出社できないような事態となった際の
業務継続計画(いわゆるBCP)の観点からも、在宅勤務またはサテライトオフ
ィスによるテレワークは今後絶対に必要になると考え、企画まとめてお偉い方
に上申したのですが、、、うやむやになってしまった過去が。

 その時、一番問題視されたのは「セキュリティ」でした。うちはシステム開
発の会社なので、他の業種に比べれば働き方の面では導入しやすい。しかし機
密情報を扱っているので、その情報が在宅勤務によって外部に漏れてしまって
は大変だ、と。うん、それはわかる。それならば、どのように安全なシステム
環境を実現するのか、他社事例なども調べながら検討を、、、と進めていくの
かと思いきや、途中からこの話題は、徐々にトーンダウンしていくことに。

 結局のところ、セキュリティの話だけではなく、皆それ以上に深入りしたく
ないっていうのが本音だったんですね。導入してから何か起こったらどうする
んだ、そのとき誰が責任を取るんだ(自分は取らないよ)、費用面はどうする
んだ、他に優先することがあるだろう、時が来たらその時に考えればいい(今
じゃなくてもいいよね?)、、、実際には誰も何も言わないけれど、リアルに
そんな声が聞こえてきそうな空気が、全体から感じられたのでした。嗚呼。

で、今。

 日に日に感染被害の拡大が報道される中、3月下旬に差し掛かる頃からテレ
ワークの検討は再開され、あれよあれよという間に進んでいき、現在、本格利
用に向けたテスト開始の手前までこぎつけているという状況です。社内でネゴ
して合意形成にもっていくだけでも最低半年はかかりそうだなと匙を投げてい
たのですが、気づいてみればたったの2〜3週間でこの状況に。なんだ、その
気になれば動くじゃん、この会社。

 経営・組織コンサルタントとして活躍しているパトリック・レンシオーニの
著書『あなたのチームは、機能してますか?』には、危ない組織の5つの症状
として、下記の内容が記載されています。

・意見は一致してないのに議論が起きない(信頼の欠如)
・不満があっても会議で意見を言わない(衝突への恐怖)
・決定したことでもきちんと支持しない(責任感の不足)
・衝突を避けて互いの説明を求めない(説明責任の回避)
・各自の仕事にかまけて全体を見ない(結果への無責任)

 業績不振に苦しむ架空の新興企業を舞台に、チーム作りの天才とされる女性
社長が就任し、まさに上記の状態となっている取締役たちボードメンバーの意
識改革と、業績改善に向けて動いていくストーリーです。主人公の社長が、ボ
ードメンバー内でこれら5つの問題点をあぶりだし、指摘し、時にメンバーと
衝突しながらもチームが機能していく過程が描かれています。

 うちの会社でもこの5つのうち、いくつかは当てはまるんだろうという感じ
で久しぶりに読み直したのですが、、、いくつかじゃなくてほぼ全部でしたね。
まぁうちの会社に限らず、同じことが言える日本企業って、他にも結構あると
は思うのですが。

 しかし、コンサルに高額なお金を払って、組織風土改革に取り組んだわけで
もないのに、目の前のコロナという事象1つで意思決定が加速するとは。

 組織にはよく「共通の目的」が必要だと言われます。感染拡大という危機意
識が共通の目的となり、組織の機動力や意思決定力が上がったのであれば、不
謹慎ですがコロナ騒ぎが来て良かったとも思えるのです。まぁ、ある種の「良
かった探し」ってやつですけどね。あとは、この騒ぎが落ち着いた以後、また
元の状態に戻らないことを祈りつつ。

show-z
都内企業に勤務する人事担当者。
コロナの影響で、採用でオンライン面接を取り入れる企業が増えているので
リアルでやるのとどのくらい結果に差が出るのか、どこかで実験を画策中。

----------------------------------------------------------------------
■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
----------------------------------------------------------------------
第121回 内田樹の生きてきた道

 内田樹(うちだたつる)さん。最近は“武道家”という肩書なのであるが、
少し前まで大学の先生であり、フランス文学者であり、たくさんの著作物のあ
る思想家である。また人との対談も多く、執筆子としてはこの内田先生は対談
集の方が単著の著作物よりも多いのではないか、という印象を持っている。対
談集の多い人っていうのは、これも印象なのだけれど、友だちとか仲間の多い
人、っていう感じ。実際に写真で見る内田先生はとても人懐っこいイメージが
するのである。

 そんな内田先生が、半生を振り返った自叙伝的なものを出版した、と聞いた
とき、随分と早いな、まだお若いのに、と思った。しかしながら、内田先生。
1950年(昭和25年)生まれなので、今年もう70歳の古希を迎えられる年齢だっ
た。半生記を執筆するにけっして遅くはない。

『そのうちなんとかなるだろう』(内田樹 著)
(マガジンハウス)(2019年7月31日)

 題名がすごい。ぜんぶひらがな。そしてこの超楽観主義的なこのタイトルフ
レーズは、せりふ以外のなにものでもない。読み終わってみると、内田先生の
独白だった、という印象。そしてたしかに内田先生は、なんとかなったんだな、
ということがよくわかる。

 大田区の下丸子という街で少年期を過ごした内田先生は、子どもの頃から破
天荒であったようだ。問題児は問題児でも、その行動は悪い方向に向かわなか
ったのは、やはりご両親やお兄さんがいて、樹くんを支えていたからだろうし、
仲間=友人たちに恵まれていたからだろう。むろん頭脳明晰で子どものころか
ら“世の中の仕組み”みたいなものを子どもなりに理解していたようだ。自分
の行動範囲の限界はどこか、ということをいつも考えながら行動=生活してい
た感じ。むろん当時の内田少年はそんなことを露とも思わず、これは後付けの
第三者による理屈に過ぎないが、“あの柵までが僕が行っていい範囲であり、
あの柵が僕の限界。そこから先は云ってはいけない”と思っていたのだろう。

 そのことは時代の要請、というか時代の流れもあった。1970年代に10代を過
ごした人たち(おそらくいわゆる団塊の世代と重なる)は、その後のどんな世
代(むろんこの執筆子の世代も含まれる)よりも早熟であり早い段階から世間
智に長けている人々が集団を構成していた。その世代がちゃっかりしているの
は、若さを武器にある意味で“甘え”ながら行動していることであり、大人の
庇護と大人の同情的な無視により、今に比べるととても破天荒なことができた
世代だった。世の中は成長している時代だった。一方で、行動範囲の狭くなり、
窮屈になった(新型コロナウィルス感染症蔓延以前のつい3ヶ月前の世界を云
っている)この現在を見よ! 現代の若者たちが不憫でならない。

 閑話休題。

 それでも、内田先生のさまざまな経験は時間を超えて現代の若者に素晴らし
い示唆を与えてくれるように思える。本書は、現代のこの窮屈な世の中でも、
自分自身を活かして充実させた人生を送るための指南書という側面を持ってい
る。

 例えば、労働=働く、ということについて、内田先生はこんなふうに云って
いる。曰く“人間を疲れさせるのは労働そのものではなく、労働をする「シス
テム」を設計したり、管理したり、合理化したりすることだ・・・”。

 執筆子はこのくだりで思った。現在行われている“働き方改革”について。
この改革はいわゆる“ブラック企業”を摘発し、長時間労働を強いる世の中を
改革するためのものであり、一定の成果はそれなりに上がっている様子である。
だがしかし、この改革によりひとりひとりの労働に対する意欲、というかモチ
ベーションが下がってしまっていることを強烈に思わずにはいられない。職場
のPCを完全に総務部にモニタリングされ、労働時間外に仕事をしたかったら、
時間外労働の申請をしなさい、しかしそれはむやみに出さない。労務費が増え
てしまうことは企業の収支決算から云えば最悪。だから仕事が途中でもPC切
って帰りなさい。・・・・・人は給料のためだけに労働をするのではない。や
りがい、達成感、意欲など数値化できないものが労働の理由になっていた。そ
れをこの“働き方改革”はぶっ壊してしまう。頑張る、というモチベーション
は長時間労働と対になっている。執筆子は従業員から頑張る、という気持ちを
奪ってしまうこの“働き方改革”に断固反対するのだ。で、内田先生の先の言
葉にもどる。

 先生は労働をする「システム」を設計したり、管理したり、合理化すること
が、なによりも人を疲れさせる、と云っている。まさにこのことが喫緊の問題
なのだ。労働者はみんなこの“働き方改革”という得体の知れないシステムに
疲弊している。悪いことに、依然としてこの国が進めている“働き方改革”は
悪いことではない、とほとんどの人が思っている。人をして、意欲を奪い疲れ
させしめるこのシステムは、おそらく何年後かに、この国をすっかり疲弊させ
てしまうに違いない。

 再度、閑話休題。

 内田先生の生き方は、日比谷高校での過ごし方に拠っている。スマートな生
き方。シティボーイである日比谷高校生。“「ミスティフィケーションしてい
ないふりをする」というミスティフィケーション”。空気に合わせて気楽に生
きているように見せかける。・・・・・そんな生き方。そして先生は言い放つ。
曰く“決断とか選択ということはできるだけしないほうがいいと思う。右に行
くか左に行くか選択に悩むということは、すでにそれまでにたくさんの選択ミ
スを犯してきたことの帰結。”と。・・・・・そんなことは凡人にはできない。
凡人はいつもいつも日常普通に右か左かで悩み、そして選んだものが違ってい
たことに対して傷つき、後悔し反省している。後悔と反省のない人生など、考
えられないのに、内田先生は“ふつうに自然な流れに従って道を歩いていたら
「どちらに行こうか」と悩むことは起きない。”と云い、悩む人生を送ってい
ない。まさに「そのうちなんとかるだろう」なのである。

 本書のあとがきに書かれている言葉。スティーブ・ジョブスの言葉。内田先
生はこの言葉に100%同意する、と云っている。

「And most important,have the courage to follow your heart and 
intuition.
They somehow already know what you truly want to become.」

「いちばん大切なことは、あなたの心と直感に従う勇気をもつこと。
あなたの心と直感は、あなたが本当はなにものになりたいのかをなぜか知って
いるから。」

 一番大切なことは勇気なのだ、という内田先生の意見に皆さんは賛成できる
でしょうか。


多呂さ(このいまの事態は、終わりの始まりなのでしょうか。それとも新しい
時代の始まりなのでしょうか。絶望感にうちひしがれそうになりますが、みん
なで乗り切りましょう。・・・・・というふうに結ぶのが正しいことなのか、
正直わかりません)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 続いて10日号をお送りします。

 しかしこうなると、日付ではなく、1号2号とかだけの方が良いかもですね。

 ほぼ不定期配信になってますが、コロナの間にリカバリするぞ!と、思って
おります。はい。

 すべての業務やイベントがオンライン化していますが、私が関わっているイ
ベントを、告知欄で紹介させていただきました。

 「原口の紹介」で、各回1,000円で参加可能です。

 御時間と御興味があれば、是非。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2999部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 12:00 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.697

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.03.20.発行
■■                              vol.697
■■ mailmagazine of book reviews [SFの世界に、我々が生きる時代 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #116『象徴としてのフリーウエイ』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『クリーンミート 培養肉が世界を変える』ポール・シャピロ 日経BP

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 今村夏子作品を2つ読みました『あひる』『星の子』

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#116『象徴としてのフリーウエイ』

 前回は、村上春樹の短編における音楽の扱い方を見たが、文末で荒井由実に
触れた。

 70年代前半に現れたユーミンは、やはりぼくらの世代にとって、大きな存在
だ。

 今回は、そんな彼女の初期アルバム『ひこうき雲』『コバルトアワー』『流
線形’80』収録楽曲の歌詞分析を行った、笠井潔『象徴としてのフリーウエイ』
をご紹介しよう。

 まず著者について。

 笠井潔は21歳の時、左翼系の政治思想評論家としてデビュー、その後31歳で
推理小説『バイバイ、エンジェル』を上梓し、作家としてのキャリアをスター
トしている。

 ちなみに、この『バイバイ、エンジェル』は現代思想とミステリーの融合と
いう斬新な発想で書かれた大傑作で、夢中になって読んだものだ。

『象徴としてのフリーウエイ』は、しかしそのどちらでもなく、著者自身あと
がきで、「本書は、私にとって初めてのエッセイ集」と書いている。マルクス
がどうの、革命がどうの、という評論からも、ミステリーやSFなどの小説か
らもはみ出た文章を集めた本だ。

 その冒頭に置かれているのが、書名と同じタイトルのエッセイ「象徴として
のフリーウエイ」である。

 エッセイとは言いながら、身辺雑記的な軽い読み物ではない。

 もっともエッセイという言葉はそもそも「試み」という意味で、そこから
「試論」というジャンルを指すようになった。その嚆矢は、言うまでもなくモ
ンテーニュの『エセー』である。

「象徴としてのフリーウエイ」は、荒井由実の書いた歌詞を錬金術の概念など
を用いて分析、思想的な読み解きを試みているという意味で、まさに本来のエ
ッセイと言える。

 著者の分析の旅は、まず、デビュー・アルバムのタイトル曲「ひこうき雲」
から始まり、3作目のタイトル曲「コバルトアワー」を経て、松任谷由実と改
姓して最初のアルバム『流線形’80』収録の「中央フリーウェイ」に至る。

 このエッセイもそうだが、この種の文学読解はある種の謎解きであって、そ
の過程に生まれるスリリングな興奮はミステリーにも通底する。

『バイバイ、エンジェル』の作者にふさわしい論理の手さばきで、著者は荒井
由実の初期の名曲を見事に解釈している。

「ひこうき雲」の解析の中で、あっと思ったのは、「空」という言葉がこのデ
ビュー・アルバムの名曲群に頻出している、という指摘である。

空にあこがれて 空をかけていく (ひこうき雲)

空がとっても低い 天使が降りてきそうなほど (ベルベット・イースター)

きのうは曇り空 きっとそのせいかしら (曇り空)

夜明けの空はミルク色 (雨の街を)

屋根にのぼれば 空は近いよ (紙ヒコーキ)

 確かに!

 全10曲中、なんと5曲に「空」が出てくるのである。

 しかも、著者はリストからこぼしているが、「恋のスーパー・パラシュータ
ー」にも「包みきれないあなたの心は きまぐれ色の海それとも空」とあり、
「空と海の輝きに向けて」でも、「呼び合う世界で空と海が出会う」とある。
「海」とセットになっていて、「空」単体ではないという理由ではずしたのか
も知れないが、これも含めるとなんと70%の「空」率ということになる。

 この「空」は、当然「地」との二項対立になる。

 しかし、タイトル曲「ひこうき雲」において、それぞれは別個にあるのでは
なく、あるひとつのものに媒介されて、つながる。

 その媒介こそ、ひこうき雲なのだ。

 すぐれて地上的なテクノロジーの産物である飛行機が、空に舞い上がり空に
描き出す航跡としてのひこうき雲。それは現代のバベルの塔であり、錬金術に
おける賢者の石だ、と著者は指摘している。

 この「空」が、『コバルトアワー』では文字通り「アワー=時間」に変換さ
れている。空間軸が時間軸にずらされ、「頭上の空」への憧れがここでは「過
去の時間」への郷愁として描かれる。

 そして、4作目、『流線形’80』の「中央フリーウェイ」になって、再び
「空」が登場するのである。

この道はまるで滑走路 夜空へ続く (中央フリーウェイ)

 だが、中央フリーウェイは、ひこうき雲のように空と地を結ぶだけではなく、
高度成長を経て誕生した「都会」と、やがて来るバブル時代を予見する恋人た
ちのリゾートである「海」とをつなぐものであり、それは時代を映した「象徴」
たり得ていると著者は語る。

 残念なことに、自ら音楽を演奏しないせいではないかと想像するのだが、著
者のエッセイは歌詞分析に留まっている。

 だが「中央フリーウェイ」には、上記の指摘を踏まえると、音楽的にも納得
できる点があるのだ。

 それは、「競馬場」と「ビール工場」である。

「右に見える競馬場 左はビール工場」

 歌詞のこの一節で、ふたつの施設を表す言葉は極めて異質な響きを持ってい
る。

 ユーミンが先鞭をつけ、当時ニューミュージックと呼ばれたJ−POPの前
身となる音楽ジャンルでは、カタカナ化・英語化が頻繁に使われる作詞法だっ
たからである。

 理由は簡単で、8ビートの頃はまだしも、16ビートの時代になると、リズム
の細かさに日本語の、常に母音を伴う重たい発音がのりきれなくなったのだ。
特に漢字が並ぶ言葉はごつごつした音で、軽快さを損なう。「中央フリーウェ
イ」もまた、高速を疾走する恋人たちのドライブ感を表現しているので、本来
なら軽い音の言葉を乗せるべきだ。

 この部分を、その方法で書くなら、例えば

「右に見えるRace course 左はBeer factory」

 とでもなるだろう。

 しかし松任谷由実は、敢えて日本語の「競馬場」と「ビール工場」を選んで
いる。

 その結果、「競馬場」はまだしも、「ビール工場」は「ビル工場」に聴こえ
た。つまり「左手にはビルや工場が並んでいる」という意味に捉えてしまい、
よもや「ビール工場」とは思わなかったのだ。「ビール」という言葉がうまく
メロディに乗っておらず、歌唱のリズムがヨレているせいだろう。

 このヨレは、ビールだけに「酔っている」というダジャレの可能性もなくは
ないが、それでは酔っぱらい運転になり、ハンドルを握っていたであろう松任
谷正隆が逮捕されてしまう。

 それでも日本語に固執した理由は、もちろんあるはずだ。

 歌の主人公であるカップルは、フリーウェイを飛ばして生活圏である「都会」
を離れ、ロマンチックな「夜空」を目指す。したがって「競馬場」も「ビール
工場」も、具体的に東京の西郊にある「府中競馬場」であり「サントリー府中
ビール工場」であって、二人がいままさに捨てようとしている「生活」なので
ある。

 その生活感、現実感を表現するために、ごつごつした日本語で歌のリズムを
わざと脱臼させ、バックのおシャレなサウンドから敢えて乖離させたのだと考
えたい。

 この歌の背景には、著者も指摘するように、高度成長があり、もっとピンポ
イントで言うななら70年代、田中角栄が主導した日本列島改造がある。

 土建屋上がりの庶民派宰相がブルドーザーで森林を破壊し、その果実として
造り出したバブル都市=東京は、いわば高度成長の可視化だった。

 そしてわれわれが失ったのは、「優しさに包まれたなら」で歌われた「神さ
まがい」た「小さい頃」であり、「雨上がり」に「くちなしの香りの」「やさ
しさに包まれ」る「庭」である。

 代わって獲得したのは、80年代キラキラ消費文明の、田中康夫なんとなくク
リスタル的なロマン主義であって、その到来を逸早く予言しているのがユーミ
ンだった、ということだ。

 こうした時代の流れが見事に結晶化されているという意味では、やはりユー
ミンは類まれな表現者だった。

 一方、いま振り返るからわかることではあるけれど、こうした時代への批評
性までは持ち得なかったことが「中央フリーウェイ」の限界でもあった。

 まだバブル時代が本格化する前の、1980年時点の作品にそこまで要求するの
は、無論酷だし、音楽がバブルの幻想性を指摘するには、ずっとずっと後、19
89年の爆風スランプ「リゾ・ラバ」を待たなければならないことを思えば、や
はりユーミンの先見性には感嘆の念を禁じ得ない。

 しかし時期以外にも、「中央フリーウェイ」の限界を設定した要素はあるよ
うに思う。

 このアルバム『流線形’80』は、松任谷由実となって最初のアルバム、と先
に書いた。

 彼女が渋谷の山手教会で派手な結婚式を挙げたことは、結婚=女の勲章的な
価値観を感じさせ、音楽活動において旧姓を使用しなかったことは、社会慣習
への従順さを感じさせ、フェミニズムの時代だった70年代にあっては、「案外
保守的」という失望があった。

 そんなのあたしの勝手でしょ、なのだが、こちらの勝手としては、そんな松
任谷由実だからこそ、「中央フリーウェイ」はともするとバブル賛歌で終わっ
たのだとも考えたくなってしまうのである。

 もっとも、もしも本人がこの文章を読んだら、あるいは笠井潔の「象徴とし
てのフリーウェイ」を読んだら、「ばっかじゃないの、考えすぎよ」と笑い飛
ばすのは間違いない。

「だって、私の音楽はBGMなんだから」

笠井潔

「象徴としてのフリーウエイ」
(『象徴としてのフリーウエイ』所収)
一九八五年六月二〇日 第一刷
スタジオ・アンビエント

おかじまたか佳

素人書評家&アマチュア・ミュージシャン

コロナ騒動で、まさかライブハウスが危険地帯になるなんて……キャンセルば
かりで、ため息の春。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『クリーンミート 培養肉が世界を変える』ポール・シャピロ 日経BP

 今、食の世界で革命を目指している人たちがいる。どんな革命かというと、
動物を殺さなくても肉をとれる技術開発だ。想定している市場はベジタリアン
ではない。ベジタリアンは肉を食べないからだ。ベジタリアンではなくて、肉
を食べている人たちに、動物を殺して肉を食べるのではなく、動物を殺さなく
ても食べられる肉を食たべて欲しいとして作られる肉だ・

 培養肉(クリーンミート)とよばれるもので、動物の筋肉ひとかけらに栄養
を与えて筋肉だけを成長させて肉を取る方法だ。これを細胞農業と言うらしい。
実験段階で、すでに肉や革の生産に成功している。現在はいかに量産し、コス
トダウンするのかと、どうやって市場に出すのかが課題だ。

 こうした開発が行われる背景には、3つの要因がある。ひとつは、バイオテ
クノロジーの進歩で、培養肉を作れる技術ができていること。培養肉は実際の
生き物を飼育するより省資源でできる上にムダがない。

 家畜の肉1キログラムを作るのに何十キロと言う穀物が必要になる。最も効
率的なニワトリでさえ、1カロリーの肉をとるのに9キロカロリーの穀物を与
えなければならない。

 また実際の生き物を屠畜すると、必要な肉だけではなく、蹄や内蔵、あるい
は革の使いものにならない部分も出てくる。しかし培養肉の場合、必要な筋肉
とか革のみを作るので劇的に必要カロリーが減るのだ。しかも糞も出さない上
に、屠畜時にサルモネラなど病原菌がつくこともない。

 ふたつめには世界の人口増がある。世界の人口が増加すると肉食が増える。
肉食が増えると穀物需要が高まる。すると農地が不足するので家畜に食わせる
大豆やトウモロコシのため熱帯雨林などがなくなっていく。これを防ぐ地峡環
境保全の意味もある。

 三つ目には、動物愛護の精神だ。家畜は劣悪な環境におかれていて残酷にも
殺される。そんな野蛮なことを続けていいのか?この本に出てくる人たちは、
そんな大志をもってクリーンミート開発に挑んでいる。

 これらの事業は、Google創業者、サーゲイ・プリンをはじめとして多くの金
持ちが支援している。成功すれば、食肉の世界を一変させる。それを彼らは期
待している。

 将来性を見込んで、多くの資源がこの分野に投入されているから、数年のう
ちに細胞農業で作られた製品が出てきても不思議ではないが、彼らが恐れてい
ることが二つある。商品が消費者から拒否される可能性があるのだ。

 いわゆるGMO(遺伝子組み換え作物)に対する風当たりの強さを、彼らは他
人事として見ていない。商品が出来ても、ヘタな方法で市場に出したら、それ
こそGMOの二の舞いだ・・・科学的に見れば明らかにクリーンミートに分があ
るが、科学的にモノを見ることができない人たちから得体のしれない危険な食
品扱いされると困る。

 もう一つは、植物由来の材料で作られた、肉もどき。いわゆるフェイクミー
トだ。昔からフェイクミートはあるし、昨年あたりからアメリカではブームに
なって、最近は日本ハムも参入した。
https://www.businessinsider.jp/post-206071

 近年のフェイクミートの味は本当に良くなっているらしい。興味深いのは、
クリーンミートの開発者たちの中には、フェイクミートが普及して従来の畜産
業がなくなるならば、クリーンミートが負けてもいいと思っている人までいる
と言うこと。
 投資家は、けしからんというかも知れないが、彼らの大志は畜産業を潰して
クリーンミートで膨大な富を得ることではなく、虐待され、塗擦される動物が
いなくなることなのだ。

 著者のポール・シャビロは、動物愛護団体の設立者でベジタリアンだ。その
ためだろう。家畜の虐待とか、一部誤解していると思える部分もある。一部に
フォアグラなど、虐待と言っていいような飼育をする分野もあるのだろうが、
すべてがそうかと言われれば、答えはノーだ。

 それと、読み出してからずっと気になっていたのだが、家畜を殺すことがな
く肉が作られるようになると、家畜そのものが不要になる。すなわち、いきつ
く先は家畜の絶滅になるはず。そうした疑問に対する答えは、最後に書いてあ
った。分量的には少ないが、かなり哲学的なところまで踏み込んでいるが、ち
ょっと踏み込みが甘いかな?

 私自身が畜産関係者であるから、「うわ〜、これからこの世界は激変する可
能性が高い」と認めざるを得ない。ただ、それ以前にクリーンミート陣営も懸
念している通り、フェイクミートがクリーンミートの市場をかっさらう可能性
の方が高いように思えた。

 肉食の問題は、基本、味の問題である。日本でも「インジェクションビーフ」
と呼ばれる、赤身の肉に何百と言う針を使って脂を注入して疑似的な霜降り牛
肉を作る技術が普及して久しいが、それで霜降り牛肉の市場が奪われたと言う
話は聞かない。

 フェイクミートが普及するのは、要するに肉を食いすぎる人が、これではい
かんと考えるものの、誘惑に負けて食ってしまうからだ。しかし肉と同様の味
がするなら植物で作られたハンバーグでもかまわない。これまでは味がイマイ
チだったのが、今は美味しいものができるとなると、また開発中のクリーンミ
ートは分が悪い。

 とはいえ、クリーンミートの技術で作られるのは肉だけではない。牛乳や卵
は有望そうだし、皮革は食品ではないのでフェイクミートのようなライバルは
いない。何のかんのと言っても、近いうちにクリーンミートの技術で作られた
製品は世に出てくる。

 SFの世界に、我々が生きる時代は、もうすぐそこに来ている。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)
----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
今村夏子作品を2つ読みました
『あひる』『星の子』

 最近、この新刊が出たら必ず読むという作家がいなかったのですが、久々に
読んでいるのが今村夏子。

 まず名前がいいよね(あくまでも個人の感想です)。

 最初に読んだのが「あひる」。

 ある家庭があって、両親と資格試験勉強中の娘とその弟の4人家族。弟が反
抗期を経て家を出て結婚して独立して静かになる。あるとき、両親があひるを
飼い始めると近隣の子供たちがやってきて、にぎやかになる。子供たちとしゃ
べったりお菓子を出したりして喜ぶ両親だけど、あるとき、あひるが病気にな
る・・・という話。ネタバレすると両親は代用のあひるを持って帰ってきてま
たにぎやかになって家が活気づくのですが・・・。

 ストーリーは単純なのに作中に低音のように流れる静かさ、不気味さ、ざわ
ざわ感が、とってもいいの! なんで小説を読むかというと、知識や情報を得
るわけじゃなく(それもあるときもあるが)、文章・文体を味わいたいから読
むのであって、今村夏子さんの著作は読んでいてじわじわと怖さが伝わります。

 で、次が「星の子」。子供の病気をきっかけに、新興宗教に入信した家族の
話で、あひる同様、怖さが伝わってきます。これ、宗教に入っているのがいい
とか悪いとかの話ではなく、どっぷりつかっている両親とそれをある程度の距
離を持ってみている次女の視点が覚めているようで覚めてなくてその感じがや
はり不気味で楽しい! これもネタバレになりますが、最後の部分で宗教の合
宿みたいのに行った家族のうち、子供だけが親とはぐれてしまうシーンがある
のですが、これもまたコワくて。

 思うに2作品とも両親、つまり1対の夫婦が出てきますが、このカップルに
は葛藤というものがまったくなくて、いつも同じ方向を見て同じ考えを持ち同
じ行動をしていてブレがない。ここ、一番コワいですね。

 どうも「星の子」は芦田愛菜主演で映画化されて今年公開らしい。ってこと
は撮影が昨年だとして愛菜ちゃんは中2。主人公と同年代ですが、この超優等
生にこの主人公ができるのかなと、おばちゃま期待と不安ハーフハーフでどき
どきしています。思わず、書店で「まなの本棚」を立ち読みしましたが、イマ
ドキの中2ではありえない優等生な読書傾向で、逆にこの「星の子」の主人公
が理解できるのかなと思いました。映画ぜったい見るぞ!

 一番肝心な芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」はただいま読書の途中。
展開が楽しみです。

 先日、今後、親しくつきあわないといけない目上の方から、「どんなご本を
お読みですか。いい本があったら教えてください」と言われて立ち往生してし
まいました。その方は、あまり本を読まないゆえに聞いていただいたのだと思
いますが、かなり逡巡。今村夏子と答えて、日頃読書しない方が読んだとして
どうなのか。あと、私は村田紗耶香も好きですが、それもどうなのか。
正解がわかりませんでした。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 旅に出て、帰ってきたらコロナな世界に対応。そしたらすっかり発行したも
のだと思ってしましました。

 ということで、一ヶ月遅れでの配信ですが、内容は古びておらず、コロナな
状況も変わってませんでした。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2999部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 05:20 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.696


■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.03.10.発行
■■                              vol.696
■■ mailmagazine of book reviews  [「コロナ」を復活させて中国で 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<122>新型コロナとタルホとオージ

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→104 毎日の積み重ね

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→今回はお休みです

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
----------------------------------------------------------------------
<122>新型コロナとタルホとオージ

 「コロナ」が猛威をふるっている。
 全国の小中高校は、政府の要請を受けて、3月早々から臨時休校となり、わ
しが関係している学校と大学でも、卒業式が中止となった。入学式も早々に
「中止」と決めたところもあるようだ。
 大相撲やプロ野球オープン戦、そして春のセンバツも「無観客開催」と決ま
った。

 全国的にマスクが品薄となり、ドラッグストアでも、どの店を見ても「品切
れ」表示が掲げられている…と思ったら、今度は、トイレットペーパーやティ
ッシュ、紙おむつなどの紙製品もまた、「原料がすべて中国製だから、生産が
滞っている」あるいは「原料がマスクに回されて生産が追い付かない」とのデ
マによって各地で買い占めや買い溜めの騒ぎが起きているという。
 その光景は、50年近く前にも、わしらは見たはずだぞ。
 人は、前例からなんら学ぶことのない動物であるようだ。

 中国政府の措置によって、中国からの観光客は激減し、他の国々からの観光
客もまた、移動の制限や自粛によってかなり減った結果、ホテルや観光バスな
どの観光業者には、大きな打撃になっている。

 そんなさなかの2月末日土曜日に、所用で京都へ行った。
 朝の10時ころ、梅田から乗った河原町行きの阪急特急は、スカスカのガラ空
きだった。以前の土曜日なら、電車が入る前からホームには長い列ができてい
たものだが、それもなかった。
 試しに覗いてみた観光名所「錦小路市場」は、以前は、いつ行っても、観光
客が狭い通路いっぱいに詰めかけて、「ちょっとそこまで」歩くのにも苦労し
たのだが、この日は、やはりガラガラ。
 おかげで、いつもは人ごみに恐れをなし、近づけなくていた店の七味唐辛子
を、楽々ゲットできたが、考えてみたら、市場に身動きとれぬほどに観光客が
押し寄せていたのが異常で、今の状態こそが、正常な姿なのかもしれない。
 この錦小路に限らず、大阪の黒門市場でも、観光客の多さに辟易して足が遠
のいた常連客も少なくないと聞いた。

 アメリカでは、コロナウィルスの流行を受けて、「コロナビール」の売り上
げが激減したそうだが、アホですね。
と言いながら、ニュースの見出しで目についた「新型コロナ」「中国」との文
言の並びを見て、トヨタが、あの「コロナ」を復活させて中国で売り出すんか? 
と思ってしまったのは、わしです。

 関係先の学校も、コロナの影響で卒業式がすべて縮小あるいは取りやめとな
った。
 本来なら卒業式に出席してたはずの一日、家に居て、“未読の山”…という
のはつまり、とりあえず買ってきた本をとりあえず積んどいたら、いつしか山
になってる、その山をゴソゴソやると、河出文庫版の稲垣足穂『彼等(They)』
が出てきた。1991年刊。
 京都のブックオフで見つけて、「100円」だったから、また読んでみようかな、
と買ったのを思い出す。

 以前に読んだのは、確か40年以上前。
 やはり古本屋で入手した現代思潮社の「タルホスコープ」シリーズで、赤い
飛行船の絵が特徴的な表紙の、A5判か菊判だったと思うのだが、大判の単行本
だった。
 あのころ…って、1960年代末から1970年代なのだけど、稲垣足穂は、長らく
忘れられた作家でいたところが、三島由紀夫の推薦による第一回文学大賞の受
賞をきっかけとして、一種のブームとなり、各社から競うようにして旧作が復
刻され、新作の出版も相次いでいたのだった。

 わしが、稲垣足穂という作家の存在を知ったのは、「ガロ」に掲載されてい
た鈴木翁二の漫画を通して、だった。
 鈴木翁二の私小説的漫画の中で「足穂」は「タルホ」と読むのだと知り、さ
らにそれは「稲垣足穂」という作家名であると知って、当時すでに文庫化され
ていた「一千一秒物語」を買ってきて読んだのは、確か18歳のころ。
 読んで、なるほど鈴木翁二が影響を受けたのが、よくわかった。

 18歳当時は神戸で浪人していたのだけど、その気になって「コーベブックス」
とか「イカロス書房」の棚を探すと、「稲垣足穂」の名は、そこここに散見さ
れる。
 京都の丸善では、一角にコーナーが設けられていて、そこには、銅板で装丁
した豪華本をはじめ、いずれも凝った装丁の単行本が並べられていた。

 東京で大学生になってからは、住んでいた世田谷・経堂をはじめ、界隈の古
本屋を探すと、たいていの店で「稲垣足穂」の名を見つけることができた。
 その時々のフトコロと相談しながら、前に挙げた「タルホスコープ」とか、
同じ現代思潮社の「足穂大全」の端本、その他60年代末から70年代にかけて陸
続と刊行された短編集やエッセイなどを、1冊ずつ買い求めていった。

 それらは、すべて一度は読んだはず…なのだが、今回『彼等(They)』を読
み直してみると、まるで初めてのような…いっかな記憶の奥から物語やその断
片が浮かび上がってくる気配がない。
 収録作のうち、後ろの方の「古典物語」と「明石」に至ってようやく、ああ、
これは…とおぼろに記憶が蘇ってきた。

 しかし、これ、文章がやたらと硬質な上に、難しい漢字や昭和戦前的当て字
も多用されており、40と数年前にこれを読んだわしは、いったい内容を理解し
ていたのか? という疑問が湧いてくる。
 多分、理解できないまま、文字だけを追ってたんだろうな。

 改めて思ったのは、鈴木翁二がこのタルホロジーな世界から、大きな影響を
受けていた、という事実。
 鈴木翁二は、その漫画の中に、足穂の小説中から拝借した言い回しを使った
り、文章の一節を多少のアレンジを加えてネームに転用したりもしているのだ
が、なにより、その世界観をそのまま、小説から漫画に写し取った、と言える
ような作品も少なくない。
 足穂少年が神戸の関学で中学生だったころを題材とする短編『古典物語』や
『菫とヘルメット』などでは、友人とのやり取りの場面などことに、オージ的
少年世界を彷彿させ、思わず知らず、脳内で鈴木翁二の絵に人物を変換して読
んでいた。

 鈴木翁二だけでなく、稲垣足穂は、1970年代において漫画家の多くに、大き
な影響を与えてきた。
 以前にここで取り上げたつりたくにこや、伊藤重夫なども、鈴木翁二と同じ
「直系」ともいえる漫画家かもしれない。

 そんな稲垣足穂の、他の作品も読み直してみようと思うのだが、いかんせん、
学生時代に買い集めた本は、引っ越しを繰り返すうちに、処分したり紛失した
りで、ほとんど手元に残っていない。
 文庫の2、3冊は、どこかに埋まっていると思うのだが、これを掘り出すの
もまた大儀だ。
 文庫でこつこつと、また買い集めてみるか、と思う今日この頃。

 と、さきほど今一度本棚を精査してみると、『パテェの赤い雄鶏を求めて』
が1冊だけ、残っていた。1972年、新潮社刊。
 これまた何十年ぶりかで開いてみると、裏表紙の見返りに、経堂すずらん通
りの古本屋「遠藤書店」のシールが貼ってあった。
 あの商店街に面したガラスのショーウィンドウが誇らしげだった古本屋さん
は、まだあるのかな?
 しばし、40数年前の日々に思いを馳せた、妙に生暖かい春の深夜なのだった。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

----------------------------------------------------------------------
■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
----------------------------------------------------------------------
104 毎日の積み重ね

 9年前の3月は震災で何もかもが混乱の中にありました。
 その混乱はまだすべて鎮まってはいません。

 今年の3月は疫病の混乱で息をひそめなくてはいけないような空気を感じま
す。

 大人社会がざわざわしていると、小さい人たちも時に落ち着かないときもあ
るかもしれません。大人はなにができるでしょう。

 前回も17歳の環境活動家のグレタさんについて書かれた本を紹介しましたが
引き続き、今回は絵本を紹介します。

 『わたしたちの家が火事です』
      ジャネット・ウィンター 福本友美子訳 すずき出版

 帯文で紹介されている言葉です。

 ―― スピーチを聞いて、若いグレタがわたしのいいたいことをいってくれ
たと思いました。80歳のわたしのかわりに。――

 世界じゅうの気候がおかしいことにグレタさんは授業で知りました。
 地球がどんどんあたたかくなり、南極の氷がとけて、
 動物たちの命が脅かされていると。

 グレタさんは映像でみる水にのまれている家や、家事で森が炎につつまれて
いる様子に、「わたしたちのいえが火事だ」と感じます。

 目の前の知らない人に、自分のいいたいことを伝えようと、人はよくあなた
の立場がこうだったらと語ります。
 グレタさんもまさしくそうしました。
 いま世界で起きていることが自分の家に起きたと想像してほしいと訴えたの
です。地球はわたしたちの大きな家でもあるのですが、人はなかなか自分事に
考えない、リアルな目の前のことが世界の中心になってしまいがちです。

 グレタさんとともにプラカードをかかげるたくさんの子どもたち、そしてそ
の言葉。最後は文字のみでしめくくられ、80歳の絵本作家の強い気持ちが伝わ
ってきました。

 さあ、私よ。まずはできることからしていきます。

 次にご紹介するのも絵本です。
 なんと、モーリス・センダックの新刊絵本!

 『プレストとゼスト リンボランドをいく』
 アーサー・ヨーリンクス 文 モーリス・センダック 文/絵 青山南訳
 岩波書店

 2012年に亡くなったセンダックの新刊絵本?!とびっくりしました。
 この絵本ができるまでの経緯を、ヨーリンクス自身が書かれています。

 1990年にセンダックはロンドン交響楽団によるヤナーチェクの「わらべうた」
の公演に、プロジェクションとして使う絵を依頼され、詩につける一連の絵を
描く。3年後の2000年、その絵を忘れられないヨーリンクスがセンダックに
「本にできるんじゃない?」ともちかけた。2人は即興で話をつくりあげるも、
実際に本にするまでには至らなかった。2015年、センダックのアシスタントが、
ファイルをチェックしているときに、この原稿をみつけ、そこからとんとん拍
子に形になったのが本書。

 ざっくり要約するとサトウダイコンが結婚することになり、プレストとゼスト
がプレゼントを探して結婚式でケーキを食べようというもの。

 サトウダイコンが結婚?! 即興でつくった話がベースになっているだけに、
テンポは軽やか、話は飛び跳ね、そもそも、プレストとゼストの2人の姿は描
かれていないのです。

 けれど、プレストとゼストの姿は常にみえるようで、心うきうき、ラストは
笑いがこみあげます。

 センダックの絵はユーモアとどこかに大きな意味がかくれていそうな雰囲気
たっぷりでにやにやしながらじっくり見入ってしまうのです。

 笑いながら読める絵本は最高の娯楽です。

 最後に紹介する本もワクワクします。

 『世界魔法道具の大図鑑』
  バッカラリオ/オリヴィエーリ 文 ソーマ 絵
  日本語版監修 小谷真理 山崎瑞花 訳 西村書店

 古今東西の物語に出てくる魔法道具がずらーり紹介されています。
 
『オデュッセイア』、『ギリシア神話』、『今昔物語集』、『旧約聖書』、
『千夜一夜物語』、『はてしない物語』、『ハリー・ポッターと賢者の石』、
『美女と野獣』、『不思議の国のアリス』、『指輪物語』から、アンデルセ
ン、グリム、シェイクスピア、H・G・ウェルズ・スティーブン・キング、
レイ・ブラッドベリ、H・P・ラブクラフトまでなんと合計204冊からの魔法
道具が210個、図鑑におさめられているのです。

 丘の上にたてた館に収録されている道具という体で紹介され、館の間取り、
書斎、玄関の間、応接の間と隅々にまで道具がおかれています。

 もうどのページもワクワクしかありません。

 巻末の所蔵品リストにはそれぞれの道具がどの本にあるかも記されています。
知らない道具をみたときは、原本を探して読む楽しみもあるのです。

 私はキッチンのページがとにかく好きで何度も読み返しています。
 読んだ人はどの部屋を気に入るでしょうか。
 ぜひぜひ館をのぞいてみてください。

  
(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 なんとかちょっと遅れで配信できました!(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2968部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================

| バックナンバー | 20:22 | comments(0) | -
[書評]のメルマガ vol.695

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.02.20.発行
■■                              vol.695
■■ mailmagazine of book reviews        [世の中、まだまだ 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #115『パン屋再襲撃』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『フェアトレードのおかしな真実』コナー・ウッドマン 英治出版

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 今回はお休みです

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#115『パン屋再襲撃』

 前回は、泉鏡花の「歌行燈」に、明治時代のサウンドスケープを偲んだが、
今回はぐっと時代も下って1974年のサウンドスケープ。
 
「街は変ることのないいつもの街であった。混じりあってそのひとつひとつの
本来の意味を喪失してしまった人々のざわめきや、どこからともなく次々にあ
らわれて耳をとおり抜けていくこまぎれの音楽や、ひっきりなしに点滅をくり
かえす信号とそれをあおりたてる自動車の排気音、そんな何もかもが空からこ
ぼれ落ちてくる無尽蔵のインクのように夜の街に降りかかっていた。夜の街を
歩いていると、そのようなざわめきや光や匂いや興奮の何分の一かは本当は現
実に存在しないものであるように僕には思えた。それらは昨日や一昨日や、先
週や先月からの遠いこだまなのだと。
 しかし僕にはそのこだまの中に聞き覚えのある何かを認めることはできなか
った。それはあまりにも遠く、あまりにも漠然としていた。」

 ざわめき、音楽、排気音。
 ほとんど聴覚情報だけからなる街の描写。
 それを束ねる「こだま」という言葉もまた、目ではなく耳で捉えるものだ。

 これは、村上春樹、初期の短編集『パン屋再襲撃』所収の「双子と沈んだ大
陸」に現れる70年代東京のサウンドスケープである。

 この短編は、主人公がかつて共に暮らした双子の女の子たちを、雑誌の写真
で偶然見つけ、その行方を追う物語なのだが、ここに引いたサウンドスケープ
は、主人公の生活にふと現れる都市の点描で、特に重要な箇所ではない。
 しかし今回は、敢えてこの部分に着目してみたい。

 自動車の排気音は、その前にある信号の明滅と呼応して、都市の慌ただしい
スピード感を示している。これはまあ、典型的な表現だ。
 それより問題は、ざわめきと音楽である。前者は無数の言葉が重なり合い、
互いに打ち消し合うことで、意味を失っている。後者は、とぎれとぎれにしか
聞こえないことで、断片化された結果、やはり意味を失っている。

 意味のないものは、存在感を失う。無意味は、無存在に近い。それは我々の
都市文明が、利便性という意味を金科玉条として発展した以上、当然のことだ。
 だから「そのようなざわめきや光や匂いや興奮の何分の一かは本当は現実に
存在しないものであるように」主人公の「僕」には思えたのである。
 そしてそれらの意味を失った「音」は、「こだま」と呼ばれている。それも
「昨日や一昨日や、先週や先月」という過去からのこだまだ。
 こだまは、初めに何かの音が存在し、その残響として発生する。つまり、自
立した存在としての意味を初めから持っていない。ゆえに、意味を無くしたさ
まざまな音を束ねる言葉として、これほど相応しいものはないのである。

 しかし、ここではたと立ち止まらざるを得ない。

 ざわめきは人の言葉で構成されている。誰かが誰かに発言しているのだから、
それはちゃんと聴き取ることさえ出来れば、きちんと意味を持っているはずだ。
それが錯綜し、重層化して、ひとつの塊になったために、意味を失ってしまっ
たに過ぎない。

 しかし、「どこからともなく次々にあらわれて耳をとおり抜けていくこまぎ
れの音楽」はどうだろう。
 こまぎれでなかったとしても、音楽は本来、意味のない表現行為だ。ここで
言う「意味」とは、例えば「腹が減った」とか「明日暇?」とか、我々が日常
言葉で伝えようとし、伝えてもいるような「意味」で、芸術的意義とか、そう
いう高尚なことを言っているわけではない。
 そうした実用的な意味からは初めから乖離しているのが音楽というもので、
だからそれは抽象的であり、純度の高い表現であり、さらには音響特性という
科学的な側面も備えていたので、伝統的にヨーロッパでは諸芸術の中でも特別
な地位を与えられてきた。プラトンが開いた学校アカデミアでも、美術や文学
は科目になかったが、音楽はあったのだ。

 ならば、そもそも無意味な音楽がこまぎれになることで意味を失い、遠いこ
だまとなるというのは、一体どういう事態を表しているのだろうか。

 この謎を一旦棚に上げて、次に収められている「ローマ帝国の崩壊・一八八
一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」と
いう長いタイトルの、ごく短い掌編に進もう。

 冒頭、主人公の「僕」は、「害のない音楽を聴きながら」日記をつけている。
 その後、「害のない音楽のつづきを聴きながら」コーヒーを入れる。
 日記をつけ終わると、「強風の吹き荒れる日曜日の午後にふさわしいと思え
る音楽」を選ぶ。

 ここで気づくのは、すべての音楽が、BGMとして聴かれていることである。
 害のない音楽。なぜそんなものを聴くのか。それは日記をつける行為の、伴
奏として、なくてもいいが、あっても構わないものだから許容されている。
 強風の日にふさわしい音楽を聴いている時は、ながら聴きではないけれど、
そもそも聴こうと思った動機は強風にあるので、もし風がなければ音楽を聴か
なかったかも知れないし、仮に聴いたとしても、その曲ではなかったかも知れ
ない。すわなち、ここでも音楽は強風に付随している、いわば強風のおまけで
ある。

 主人公の「僕」にとって、大切なのは「日記」と「コーヒー」と「強風」で
あって、あくまで「音楽」は、それらにふさわしい気分を盛り上げるという機
能を与えられた添え物に過ぎない。つまり、本来無意味であることで純粋な芸
術であった音楽が、生活の伴奏という「意味」を付与されて、堕落したものに
過ぎないのである。

 一方、夜の街に鳴り響く「こまぎれの音楽」もまた、音楽本来の自立性を失
って、街に賑わいをもたらし、人々の購買意欲をそそるといったような、何ら
かの機能を果たすという点で「意味のある」ものに成り下がっている。
 それがもう一度意味を失うことで「こだま」になるのだが、しかしそれ以前
には、やはり都市の伴奏としての「意味」によって汚されていたのだ。

 無意味な音楽が、こだま化して改めて無意味になる。このことが示している
のは、音楽が一度「意味化」されたという事実である。BGMという機能を与
えられて、意味を持たされた音楽の堕落を、それは照射している。

 さらに、もともとの無意味な音楽を聴くことは、機能ではなく体験である。
 体験は消費されない。純粋に音楽と向きあい、真剣に耳を傾けた後、音楽は
聴く者の魂に刻印を残す。
 先に、無意味は無存在、と書いたが、このような無意味には強烈な体験とし
ての存在感がある。それは十分にリアルだ。

 だが、機能性は消費される。一定の利便性を享受することで、人はその機能
を消費してしまい、役割を終えた後に顧みられることはない。誰が、一度鼻を
かんだティッシュの思い出を心に刻むだろう。
 同じように機能化して意味を与えられた後、こだま化した音楽の無意味さは、
無存在であり、だからこそ、夜の街を歩く「僕」は、「ざわめきや光や匂いや
興奮の何分の一かは本当は現実に存在しないものであるように」思えたのだっ
た。

 利便性を金科玉条として発展してきた都市が、消費文明の華となったのは必
然である。
 次々と消費されていく文明は、本質を蝕まれ、表層的な流行にのみ翻弄され
ていく。
 リアルというものが、確固たる本質的な何ものかであれば、それが都市にお
いて、どんどん希薄化していくのもまた当然だろう。
 機能として消費される音楽の誕生は、まさにそうした希薄な都市文明の象徴
だった。
 70年代のあの時点で、まだバーチャル・リアリティーはなかったけれど、そ
れでも既に都市は徐々に現実感を失い始めて、やがてリアリティーという言葉
そのものが歪に変質していく予兆があったのだ。
「何分の一か」と村上春樹が書いた、そのパーセンテージは、この時十分の一
程度だったかも知れない。しかしそれは徐々に上がって、いまでは三分の一? 
いや、二分の一?

 そう言えば、作家であると同時に、優れた音楽の聴き手でもある村上春樹が、
1974年にそんな予兆を捉えていた頃。音楽を発信するミュージシャンの側にも、
同じ感覚を持った新しい才能が登場していた。1972年にデビューしたそのシン
ガーソングライターは、「私の音楽はBGM」と自ら言い放っていたのである。

 彼女の名を、荒井由実、と言う。


村上春樹
「双子と沈んだ大陸」
「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーラン
ド侵入・そして強風世界」
(『パン屋再襲撃』所収)
昭和六十一年四月十日 第一刷
文藝春秋

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
新型コロナウイルスが蔓延する中、たまたまジャレド・ダイヤモンドの『銃・
病原菌・鉄』を再読していました。マヤやアステカの帝国を滅ぼしたのが、ス
ペイン人の征服者による銃の力と、天然痘などの伝染病であったこと。もはや
そこまでの被害に見舞われはしないだろうと思いつつ、人類とウイルスの果て
しない闘いに気が遠くなります。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『フェアトレードのおかしな真実』コナー・ウッドマン 英治出版

 フェアトレードは、昔からうさん臭いと思っていた。フェアトレードの最初
の試みはコーヒーだったと思うが、貧困に苦しむ生産者から相場より高い価格
で買い付けて社会貢献をするというやつ。

 なぜうさん臭いと思ったのかと言うと、コーヒー豆の原価がおそろしく低い
ことを知ってるからだ。分かりやすく説明するため。実際の市場価格とは違う
が、こういう例を挙げると分かりやすいだろう。

 コーヒー1杯分の豆の価格を10円とする。フェアトレードで取引されるコー
ヒー豆は20円で買い取られるとしよう。コーヒー農家から20円の豆を買った店
が従来300円で出していたコーヒーを、フェアトレードのラベルを付けて350円
でも売れるようになったとしたら、アラ不思議!農家は10円しか儲からないが、
買った店は40円利益が増える。農家のもうけの4倍儲かるのだ。

 要はフェアトレードとはマーケティングであって、コーヒー農家のことを考
えてないとは言わないけども、慈善をネタにしてより儲けようとすることだと
思っていたわけだ。そんなことを思っている人間としては、この本のタイトル
は刺さる。

 著者は英国のテレビキャスターでジャーナリスト。ナショナルジオグラフィ
ックの番組のホストを務める人で、世界中を回ってフェアトレードの現場を見
て回った。8ヶ所回ってきたので8章立てになる。

 最初に来るのはニカラグアのロブスター漁だ。海底にいるロブスターを取る
ために水深10メートル以上を潜る漁師たちは、先進国のダイバーが持つダイビ
ングの装備は持っていない。潮の流れによって流されて行方不明になったりす
る危険も大きい。実際、事故が多発している。
 その上潜水病の知識もないから潜水病を防ぐ減圧停止もやらない。だから事
故で死ななくても、しまいには潜水病になる。

 ロブスターは、卸売業者を経て大手の飲食業者の手に渡る。大手の飲食業者
はCSRに敏感だ。自分たちの扱っているロブスターは、漁師に危険なことをさ
せないものを選んでいると主張する。しかし、ロブスターに、危険な漁で獲ら
れたものかどうか、ロブスターを見て判別することはできない。

 仕掛け漁にすれば、こうした危険は避けられるが、仕掛け漁は漁獲量が少な
い。それがわかっていても、食っていくために漁師たちは危険を犯す。

 その次に紹介されるのは、英国のチョコレートの大企業、キンバリーがいわ
ゆるフェアトレード認証業者の認定を受けたカカオを仕入れるために仕入れ先
を変えるとした話が来る。これにより、キンバリーは倫理的に正しい企業であ
ると認められるとして喜んでいる。

 しかし、そもそもキンバリーと言う会社は100年前に奴隷制度に反対するた
め、奴隷制度のない国であるガーナからカカオを仕入れることにした。キンバ
リーの決断は、奴隷解放運動の大きな後押しになった。もともと立派な会社な
のである。今も立派な会社である。

 そんな会社でもフェアトレード認証機関の認証マークを製品に付けたいと望
むとは・・・

 そんな感じで、世界中のさまざまなフェアトレードの現場を訪ね歩いている。
中には、コンゴの章のように、もう救いようがないと言うか、本当にフェアト
レードをしたいと思っている会社ですら確認不可能なレベルのごまかしが横行
している例も紹介されていたりもする。

 しかし、そうでない例も紹介されていて、糾弾だけの本にはなっていないの
が、この本の良いところだろう。いろいろ問題があると言ってもフェアトレー
ドを進めようとする流れは悪いことではないし、現在フェアトレードにはなっ
ていないが、状況が変わればフェアトレードを推進しようとする人や企業も少
なくないようだ。

 著者も言っているが、読んでいて思うのは、中国の影響力の大きさだ。良き
につけ悪きにつけ、著者はあちこちで中国の力を目の当たりにしている。今や
世界第二位の経済大国であるから、世界中に影響力を持つのは当然なのだ。し
かし、言い方を変えれば、中国が本気になってフェアトレードを推進するなら、
世界のかなりの地域が救われることになりそうだ。

 フェアトレードの認証マークがついているモノを買って、「私はいいことし
ている」と満足するのは賢明な人の態度とは言えない。業種によっては、フェ
アトレードをやろうとしても事実上不可能なこともある。

 そんな中でも、人知れずコツコツ努力する人たちがいる。世の中、まだまだ
捨てたもんじゃない。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 続いて20日号をお送りします。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2988部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 14:24 | comments(0) | -
SEARCH
[書評]のメルマガ
本の虫の出版業界人が<徹夜した本>や<繰り返し読んだ本>、さらに新聞記者、出版編集者、プロの書評家による気鋭の書評など、書評メルマガの決定版。
発行周期発行周期:月4回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000036518

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

フリーラーニング Free-LearninG For Your Extention コーチ募集(コーチングバンク) 灰谷孝 ブレインジムラーニング 無料 コーチング 東京新都心ロータリークラブ カーディーラー経営品質向上 相続・遺言なら新都心相続サポートセンター 夢ナビ 実践写真教室 フォトスクール「橋本塾」 無料 eラーニング CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC 「付加価値型」会計アウトソーシング−株式会社サンライズ・アカウンティング・インターナショナル
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>
ARCHIVES
LINKS