[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.647


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■■ [書評]のメルマガ                2017.02.10.発行
■■                              vol.647
■■ mailmagazine of book reviews     [下司で下品ででたらめな 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<98>「大砲」の使いみち、のお話し

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→80 カラフルな色の世界

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第98回 すもうがすきなのに・・・(仮題)

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→平成版の“男の作法”?

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 パレードブックスの御担当下牧しゅう様より、下記の書籍を献本いただきま
した。ありがとうございます!

 『追憶 下弦の月』
  尾原重男
  四六判・362頁(ハードカバー)
  ISBN 978-4-434-23989-2
  2017年11月発行
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<98>「大砲」の使いみち、のお話し

 昔、書店をやってたとき、当時やたらと信者を増やしていた新興宗教があっ
た。
 この宗教団体は出版部門も持っていて、その書籍を「ぜひとも置いてくれ」
と、ほぼ毎日のように「営業」にやってくる20代らしい男性信者に、やや辟易
した経験がある。

 ンな胡散臭い本を置くつもりもなかったので、いつも適当にあしらってお帰
りいただいていたのだけど、懲りずに毎日やってきては、教祖の「素晴らしい
教え」が満載の本のことや、自分がこれを読み、この教団に入って「いかに救
われたか」を、得々と語るのであった。

 そんなとき、ある週刊誌がこの教団の教祖のスキャンダルを掲載し、これに
憤った信者たちが徒党を組み、出版社に抗議に押しかける、という事件が起こ
った。
 信者たちの先頭に立って抗議行動を起こしていたのが、有名作家と女優とい
う著名人だったこともあって、当時のテレビや新聞でも盛んに報道された。
 それからしばらくは、この宗教団体と出版社は全面対決の様相となり、かな
り長く訴訟合戦が続いたと記憶する。

 そんな時に、またぞろやって来た件の営業クンは、この週刊誌がいかにでた
らめで嘘八百並べているか、さらに掲載された記事は悪意でもって捏造された
ものだ、と滔々と述べ立ててから、

「こんな下司で下品ででたらめな雑誌を置いていると、お店の品位を落とすば
かりだ。ぜひともお宅の店頭から除くことをお勧めします」

 と力説する。
 教団は、抗議活動と裁判と同時に、信者を使ってこの雑誌と出版社の不買運
動も進めていたのであった。

 申し出は、もちろん断った。
 何を置いてなにを置かないかを、他人に口出しされる覚えはないし、なによ
り雑誌ジャーナリズムというのは、「雑(あれこれ)誌(しるす)」の字義の
とおり、下世話な話題から政治経済国際問題芸術エンターテインメント及びス
ポーツまで、あまねくネタを拾い上げ、さらに対象に正面から切り込む新聞・
テレビなどとは違う「ナナメ下方35度」の角度から、やらしく粘着質にえぐり
こむのがその役目だと、これは当時から思っていて、営業クンにもそう伝える
と、翌日から彼はぴたりと来なくなったのだった。

 今も「雑誌」に対するこの考えは変わってないのだけど、しかし昨今、こと
に週刊誌など見てると、「下世話」方面にベクトルが傾き過ぎているキライが
ある、と思う。

 誰と誰が密会しようが不倫であろうが、どうぞご勝手に、である。
 ついでに言えば、芸能人などが不倫関係暴き立てられた末の「謝罪会見」と
いうのも、非常に不愉快だ。
 「ごめんなさい」は、当事者同士でやりあってればいい話で、世間に対して
「謝罪」する必要性がどこにあるのか、どうにもよくわからない。
 だいたいからして、当事者同士意外には、誰にも迷惑はかかってないはずな
のに、誰に対して、なにを「謝罪」せいというのだ?

 「〇〇の娘」や「××の息子」が、なんらの事件を起こしたに際して、わざ
わざその親が出て来ての「謝罪会見」もまた、非常に不愉快だ。
 江戸時代の「縁座」じゃあるまいし、成人した男女が起こした事件に対して、
その親を糾弾し「謝罪」に引きずり出すのは、行き過ぎどころか、とても危険
な行為だと思う。

 最近で言えば、秋篠宮家の婚儀に関して、長女・真子さんの婚約者の家庭問
題が、根掘り葉掘りあれこれ暴露されているようで、これは、この婚約をよろ
しく思わない現政権の某所が、陰で動いているとの説もあるそうだが、そうな
ると、大正時代の「宮中某重大事件」の再現ではないか。
 誰だ? 平成の山縣有朋は? 同じ「長州閥」のアベちゃんその人か?

 上はあくまで「噂」ではあるが、しかし、このところの雑誌ジャーナリズム
には、「政権寄り」の記事が目に余る、と思うのはわしだけだろうか?

 ナンタラ砲とか言われてるそうだが、政権に阿り、「弱い者いじめ」の暴露
記事にばかり、その「砲」の照準が向けられるのなら、そんなメディアは百害
あって一利なし、即刻廃刊していただきたい。

 政権とは一線を画し、あくまで「反権力」に立地して「雑(あれこれ)」を
暴いていくのが、正しい雑誌の在り方だと思うのは、過剰な期待だろうか?
 せっかくの「砲」ならば、その照準はもっと大きなものにこそ、向けていた
だきたい、と思うのである。

 …と、今回は、前振りだけにしとこうと思った話題が、ことのほか字数を食
ってしまったので、漫画の話題はなんもなし。
 今回書こうと思った漫画の話は、次回のココロ、なのだった。

太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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80 カラフルな色の世界

 今年は各地で雪のニュースが続いています。
 日常生活が可能な限り早くもどりますように。
 早くもどすために尽力くださっている方々に感謝します。
 
 会津でも白い空、白い地面の世界が例年以上に長いです。気温も低くあまり
とけないからでしょうか。色のある世界が恋しくなります。

 なので今回はカラフルな色を楽しむ絵本を中心にご紹介します。

 『クレヨンで描いたおいしい魚図鑑』
  加藤 休ミ 晶文社

 『きょうのごはん』『おさなかないちば』など、既においしい食べ物を描い
た絵本をつくってきた加藤さんですが、今回は鮭の塩焼き、焼きたらこ、金目
鯛の煮付けなどなど、料理となった魚たちの図鑑です。

 クレヨン、クレパスで描かれている魚たちの美味しそうなことったらありま
せん。「シズル感」たっぷりです。小学校の図工で使っていたクレヨンでこれ
だけ美味しい絵が描けるなんてすごい。

 また図鑑なので魚の知識ももりこまれています。系統樹として魚料理の種類
を「仲間」としているものでは、太陽と塩の時代、しょうゆ時代、冷蔵庫時代
と、それぞれの時代の魚料理が分けられていて興味をひきます。

 およそ1800年前の邪馬台国では、なんと既に干物と塩焼き、汁ものがあった
そうで、初めて知りました。いたみやすい魚を日持ちさせるための知恵はずい
ぶん前からあったのですね。

 描かれている魚料理は17種類。ししゃもの一夜干しは本当にリアルで、紙の
上から何度もさわってしまいました。金目鯛の煮付けは、特においしい目の玉
あたりをクローズアップしていて、食欲をそそります。

 親バカ(?)ですが、魚料理が大好きで魚の食べ方がものすごくきれい(つ
まりほとんど残さない)な高校生の娘も、この絵本をみて「おなかすくね、魚
食べたくなるね、目の玉おいしいんだよね」とうっとり眺めていました。

 クレヨンでおいしく描かれた魚料理は一見の価値があります。ぜひ。


 『ネルソンせんせいがきえちゃった!』
  ハリー・アラード 文 ジェイムズ・マーシャル 絵
  もりうちすみこ訳 朔北社

 書影をネットでみた瞬間、「これはおもしろい絵本!」とアンテナにひっか
かりました。
 もちろんその時はまだ中身をまったく知りません。
 ただ表紙に描かれた子ども達の教室の雰囲気にひかれたのです。

 ネルソン先生の生徒たちは、いつもしゃべったり、動いたり、うるさくして
ばかり。先生の注意など聞く耳を持ちません。とうとう先生は学校に来なくな
りました。それでも生徒たちは、これ幸いとばかりに遊ぼうとするのですが、
代わりにきたスワンプ先生の怖さに震えます。そこでネルソン先生にもどって
きてもらおうと策を練りはじめるのですが……。

 子どもたちの表情は小悪魔のようだったり、天使のようだったり、どちらも
かわいく、気持ちが素直に表情にでているのが楽しめます。

 子どもたちに読み聞かせすれば、やさしいネルソン先生ときびしいスワンプ
先生の対応を楽しんでくれるに違いありません。

 本書は1977年にアメリカで刊行され、いまもロングセラーを続けているそう
です。ユーモアな文章と洒落た雰囲気の絵は飽きのこない何度も読みたくなる
魅力があります。 


 『ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし』
   ジョン・キラカ 作 さくま ゆみこ 訳 西村書店

 タンザニアの南西に住むフィパという人たちに伝わる昔話を、画家のキラカ
さんが語り部を見つけて聞き取りをしたものです。

 昔々、日照りが長く続き作物がとれない時期がありました。動物たちは腹ぺ
こです。乾いた大地に不思議な木が一本生えていました。その木はおいしそう
な実がいっぱいなっています。しかし、ゆすってもたたいても実はとれません。
どうやったら実がとれるのか、からだの大きなゾウとスイギュウが賢いカメに
相談に行くと……。

 訳者さくまさんのあとがきによると、アフリカにはまだ農業が天気に左右さ
れているため、日照りで飢える人もでる地域があるそうです。この昔話にでて
くる「ごちそうの木」は日照りの時にあってほしい願いのようなものなのでし
ょうか。

 キラカさんの絵は、濃くはっきりした色調が鮮やかなポップアート。白い雪
の日が続いているときに、この絵本を開くと、うれしい気持ちになれます。

 実をとるための動物たちの試行錯誤も愉快で、おいしい実の味を想像しなが
ら読みました。

 訳者のさくまさんは「アフリカ子どもの本プロジェクト」の活動をされてお
り、この絵本もそのプロジェクトが関わっています。

 サイトはこちら http://africa-kodomo.com/

 このプロジェクトは3つの目的があり、

1)アフリカに設立したドリーム・ライブラリー(現在2館)を継続的に支え
  る。
2)識字や楽しみのための本を必要としているアフリカの子どもたちがいれば、
  そこに本を届ける。
3)日本の子どもたちに、アフリカの文化やアフリカの子どもたちのことを伝
  える。

 『ごちそうの木』の作者キラカさんが昨年来日したときも、このプロジェク
トで講演会やワークショップを開催されました。

 それでは最後にご紹介する本も目をひく表紙です。

 『マルコとパパ ダウン症にあるむすことぼくのスケッチブック』
   グスティ 作 宇野和美 訳 偕成社

 作者グスティはアルゼンチン出身のイラストレーター。ダウン症のある息子
マルコとの日々をスケッチしたものが本書です。

 グスティはマルコが生まれてきたとき、最初はダウン症であることを、
「こんなのうけいれられない」と率直に表明し、その時の困惑ぶりを描きます。
母親のアンヌはなんのこだわりもなく受け入れたことも、女性から学ぶことが
たくさんあると、アンヌとのやりとりを細かく書いています。

 「いいんだ! この子はこのままで!」

 マルコをマルコのまま受け入れたグスティの描く絵は、子どもへの愛しさが
たっぷりです。ペンでざっくり描いたもの、水彩で色をのせたもの、詳細に描
写されたもの、家族の生活が目の前で繰り広げられ、読んでいるとどんどんマ
ルコが身近にいるように感じられてきます。

 マルコにはテオというお兄さんもいるのですが、テオもマルコを「せかいい
ちのおとうと」とかわいがります。父親のグスティはテオから学んだことも多
いのです。

 遊びや学校生活、日常生活をしやするための手術も描かれ、それらは障害の
ある子どもとの暮らし――「受け入れる」とはを見せてくれます。

 さて、様々な本には最後に作者による謝辞が書かれています。
 この本には「ありがとう」というページにたくさんの人がでてきます。
 私はたいてい謝辞は読み飛ばすことが多いのですが、
 「ありがとう」は熟読し、何度も読み返しもしました。
 グスティの声が聞こえてくるようだったからです。

 今月、来月と刊行記念トークイベントも開催されるので、お近くの方は足を
運ばれてはいかがでしょう。

 ★刊行記念トークイベント開催予定★

 ○2月27日(火)19:30〜BOOKS 青いカバ(駒込)
 「日本語版『マルコとパパ』ができるまで〜翻訳とデザインと」
  宇野和美さん(翻訳家)x 鳥井和昌さん(デザイナー)
 https://www.kaiseisha.co.jp/news/24156

 ○3月20日(火)18:30〜ブックハウスカフェ(神保町)
 世界ダウン症の日記念トークイベント
 宇野和美さん(翻訳家) x 関口英子さん(翻訳家)
 https://goo.gl/xuF86A

 
(林さかな)
会津若松在住
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第98回 すもうがすきなのに・・・(仮題)

 角界が喧しい。
 問題点としては2点ある。

 ひとつは、土俵上の取り組みに対する批評ではなく、大相撲を主催している
公益財団法人日本相撲協会に対しての批判や意見である。それらが世間に入り
乱れている。その運営方法や管理能力に対して、さまざまな人たちがさまざま
な意見を吐き散らかしている、という印象。そのような外からのたくさんの批
判や意見に対して、日本相撲協会はしっかりそれらに向き合っている、という
印象はない。はぐらかしている、とまでは云わないが、黙っていればそのうち
収まる、と考えているのではないか、という態度のような感じ。それから、素
人が伝統ある大相撲のことにとやかく口を出すな、という上から目線の横柄な
態度も隠しているような気になってしまうのは、私だけではないはずだ。

 もうひとつは、関取たちに直接、投げかけたい事柄。弱い横綱。強すぎてオ
レ様になっている横綱。故障を押して出場するから、さらに悪化させ故障が長
引いてしまう関取たち。そもそも関取たちに故障者が多すぎること。・・・そ
ういう関取たちに対する物言いもたくさん噴出している。
 とにかく、長年の相撲ファンとしては、この処のおすもうを巡るごたごたが
もどかしくて歯がゆくて仕方ない。

『のこった −もう、相撲ファンを引退しない−』(星野智幸 著)
(発行:ころから)(2017年11月17日発行)

 著者の星野智幸氏は、日本を代表する小説家である。今回、本書が刊行する
にあたり新聞に載ったその紹介記事には、星野智幸氏は幼少時より熱烈な大相
撲ファンであり、2003年に貴乃花が引退したときに、一度はきっぱりと大相撲
を観なくなった。と書いてある。そして約10年のブランクを経て、2014年に久
しぶりに大相撲を観始めたら、相撲の会場も相撲を観ている世間も10年前とは
様変わりしており、様子が違っていることに著者は驚き、憤慨している。

 本書は、星野智幸氏がどういう経緯で大相撲を観ることを止めたか、また再
びどうして観始めることになったか、そして古くからの大相撲ファンである星
野智幸氏が大相撲を巡る現状をどう考えているか、が丁寧に書かれているエッ
セーである。本書の最後に星野智幸氏の最初の小説(相撲小説)が掲載されて
いる。この作品は氏が始めて文学賞に応募した作品であり、落選している小説
である。まさにおまけとして楽しく読める作品である。

 相撲は国技だ。と云われている。が、「国技」ってなんだろう。「国技」と
いう言葉が大相撲を観戦するときに不必要なナショナリズムを煽っているので
はないか。ここ10年以上に渡ってモンゴル人力士が大相撲の土俵を席巻してい
る。日本人関取による幕内優勝が望まれ続け、ついに三年前(2015年)の初場
所で琴奨菊が優勝した。これにより、大相撲におけるナショナリズムは最高潮
に盛り上がり、以後、場所中の雰囲気は、日本人力士を過度にたたえ、たくさ
んの声援を送り、反対に外国人力士(主にモンゴル人力士)には、声援を送ら
ない(実際に執筆子は彼らに対して歓声が極端に少ない状況をたくさん目撃し
ている)のだ。

 相撲は土俵で一対一の勝負をする、孤独な競技だ。個人競技の極みと云って
よい。素晴らしい勝負、いい相撲に対する大声援ではなく、力士の出身地で声
援を区別していることがそもそもマナー違反なのだ。そのような相撲の見方は
邪道である。
 本書は、出身国によって差別せず、技や土俵での態度を観る純粋な相撲観戦
を是とし、現状を憂いている。

 そして大相撲が八百長問題や暴力事件に揺れていたとき、ひとり横綱として、
土俵に立ち続けていた白鵬を讃えている。白鵬の評価はさまざまであるが、あ
の大相撲の危機のときに、かれは大相撲を支えていたし、また数々の記録を塗
り替えた彼の相撲を同時代に観られたことを喜んでいる。

 大相撲に関してはさまざまな意見がある。本書はその中のひとつの意見であ
る。でもその意見はとても傾聴に値するいい意見だと思う。

 この原稿は、2月2日の日本相撲協会理事選挙の後に書き始めた。その後、
2月7日に民放で渦中の貴乃花親方に対する単独インタビューが放送された。
土俵の外が喧しすぎる。


多呂さ(立春を過ぎてもなお、今年は寒い日が続きます。日本は自然災害の多
い国です。豪雪地帯の皆さまにはお見舞いを申し上げます。)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える/SHOW−Z
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平成版の“男の作法”?
『男子の作法』 (SB新書) 弘兼憲史

「もし無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら?」と問われたら、僕は間違
いなく、池波正太郎の“男の作法”と答えます。何もない無人島で、男の粋に
ついて読んでどうするんだというツッコミをもらいそうですが、大人になって
から読んだ本の中で、今でも気付いたら読み返している本といえば、僕の中で
はこれなのです。

 てんぷら屋に行く時は腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げ
るそばからかぶりつく・・・とは有名な一節ですが、たとえ食べられるものが
ない状況下であっても、男の粋とは、ダンディズムとは何かについて、無人島
であれこれ妄想してみたいなと思ったりします。本気で。

 先日、会社帰りに立ち寄った駅構内の書店にて、平台にうずたかく積まれて
いた書籍の中に、今回ご紹介する“男子の作法”はありました。弘兼憲史とい
えばビジネスマンガ“島耕作”の作者として有名な方です。この本の表紙にも、
島耕作風の中年男性のイラストが描かれ、目を引きます。私自身、島耕作シリ
ーズも社長編の前半くらいまでは読んでいたこともあって興味を持ち、その場
で購入、帰りの電車内で読み始めました。

 まえがきには、「美学やダンディズムは内に秘めていたほうが格好いいが、
自分の好き嫌いや趣向を肩の力を抜いて、親しい後輩に語りかけるような気分
で書いた」と、弘兼先生の思いが綴られておりました。

 本編は食・酒、人間関係、仕事、旅・イベント、モノ・趣味、家庭、自己・
人生、と7つの章に分かれています。池波先生の話したことをそのまま文章に
してまとめた本家・男の作法は章立てに計算がないので、タイトルが似通って
いるだけで、本のイメージ自体はだいぶ異なりますね。ただ、スタートを“食
・酒”にしたのは、寿司屋の話で始まる本家に敬意を表したからなのか、それ
とも本のタイトルも含め、編集者の意図が入っているからなのか。本家を意識
しているのがわかります(笑)。

 肩の力を抜いて・・・という言葉通り、1つ1つのテーマには重めの内容も
含まれているものの、疲れを感じることもなく、サクサク読み進める事ができ
ます。さすがに本家とは書かれた時代が違うので、ワークライフバランス、プ
ラス思考、ビジョンといったワードが取り上げられるのは今風なものの、万年
筆やチップ(心付け)、女(妻)など、本家にも出てくる話題について、弘兼
先生が語っているのは嬉しくなりました。あ、このへんのテーマのチョイスも、
編集者の意図だったりして。

 そんな感じで読み進めていきますと、第3章「仕事」あたりから、ほんの少
しですが違和感を覚え始めました。僕が島耕作シリーズをある程度読んでいた
からなのか、はたまた表紙のイラストのせいなのか。言葉を発しているのが弘
兼先生ではなく、島耕作その人へと、入れ替わったような感じを受けたのです。

 弘兼先生は大学卒業後、新卒で松下電器(現在のパナソニック)に入社、3
年間の勤務の後、退職して漫画家の道に進まれました。つまり、実質的な組織
の中でのご経験って、この3年だけなんですね。

 本書では、この会社員時代にご経験されているエピソードが多く紹介されて
いて、それ自体は面白く読むことができるのですが、上司との付き合い方、仕
事でのアピールの仕方、そして派閥の考え方にまで話が及ぶと、これは社会人
3年の経験値で語れるものとは到底思えない。一方で、実はスーパーサラリー
マン・島耕作自身が語っているとしたら、、、もうこれがすんなりと、受け入
れられるんですよ。受け入れるというより、あ、これは島耕作が書いているん
だろうと錯覚してしまうような。

 その後の章では徐々に島耕作の香りも薄れていき、弘兼先生ご自身が、また
顔を出してきます。島耕作は弘兼先生が生み出したので、ある意味、先生の分
身と捉えることもできるのでしょうが、これだけ有名なキャラクターですので、
読者からすれば人格は別物。その辺の線引きが明確にあれば、読みやすさの中
にもっと説得力のあるエッセイになったのかなと思うんですよね。40代前後の
サラリーマンには興味深い話題が多いだけに、少し残念な感が残ったのでし
た。

 あと本書の中で「20代の女性が50代の男を恋愛対象にするか否か」「相手に
依存しない自立した恋愛とは」について語られるところが出てくるのですが、
この手の話題こそ、弘兼先生ではなく、島耕作の十八番ネタ(笑)。色魔とし
ても有名で、読者からも賛否両論ある島耕作の考えを、ぜひ読んでみたかった
ところです。もちろん実際の書き手である「中の人」は、弘兼先生で構わない
んですけどね。

show-z
某IT企業で人事担当者として勤務。千葉県在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『追憶 下弦の月』(パレードブックス)
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 最近、これまで読まなかったような本を読む機会が多くなっています。知ら
なかった世界を知るのは楽しいですね。

 人から勧められて、ということが多いのですが、もちろん、流行の本などで
はなく、人知れずロングセラーな本ばかり。

 本が売れない時代ではありますが、なんとかこういう良い本を後世に継いで
いって欲しいと思います。(あ)

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[書評]のメルマガ vol.646

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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『うたのしくみ』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 今回はお休みです

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#91『うたのしくみ』

 いつの間にか、ボイストレーニングを受け始めて、今年で7年になる。

 歌い手にとっては、自分の体が楽器なのだが、同時にギタリストでもあるせ
いか、あまりそういう感覚がなかった。声の出し方、響かせ方を、ことさら意
識したこともなかった。せいぜい音程とリズムを正確にしようと気を遣うくら
い。

 ボイストレーニングを受けて、一番変わったのは、そこだと思う。
 自分の体を楽器として認識すること。声の出し方、響かせ方に意識を向ける
こと。

 でも、まだまだ甘いというか、もっともっと細かく「声」に着目し、深く分
析する人がいるんだなあ、と感心したのが本書である。これに比べたら、自分
など、ごく大雑把な意識の仕方に留まっているんだ、と目を開かれた。特に印
象に残ったのが、かの有名な荒井由実の『やさしさに包まれたなら』を分析し
た章だった。

 この曲の歌い出しの歌詞は「小さい頃は神様がいて」である。
 著者は、この「小さい」に与えられたメロディに注目する。

 普通「ちいさい」と歌う時は、「ちーさい」と歌っている。
 例えば『小さい秋みつけた』が、その典型だ。メロディは、「ち」と「い」
で同じ音程である。だから、人は「ち」と「い」に分けるのではなく、「ちー」
とひとつの塊として発音している。

 しかるに、『やさしさに包まれたなら』は、どうか?

 最初の「ち」に対して、次の「い」は、同じ音程どころか、1オクターブも
高くなっている。
 こうしたメロディの跳躍は、通常サビのように盛り上がるところに来る。し
かし、この曲では冒頭いきなりなのだ。
 そのため、歌い手は「ちー」とは歌えない。はっきりと2音に区切って「ち」
「い」と歌う。いやそれどころか、1オクターブという大きな跳躍のために、
「い」の前に「っ」を助走として挟まなければならない。
 実際、よく聴いてみれば、ユーミンもこの歌い出しを「ちっいさい」と歌っ
ている。

 さらに著者は、後半の「さい」にも注目する。

 ここでユーミンは、少し早いタイミングで「さ」を歌っている。音楽用語で
「食う」と言うのだが、本来の楽譜通りのタイミングより、気持ち早く歌いだ
すことで、そこにアクセントを乗せるのだ。

 なぜ、「さ」を、そんな風に強調するかというと、実は日本語におけるサ行
が、特別な音だからだ。

 日本語は、ローマ字を見ればわかるように、母音のみのア行と「ん」を除け
ば、すべて母音+子音で出来ている。だから、長く伸ばすと、母音に変わって
しまう。
 例えば、「く」を伸ばしてみると、「くーーーーうっ」と途中で「う」にな
っていることに気づくだろう。
 ところが、サ行だけは、母音にならず、子音shのまま、息が続く限り伸ばせ
るのだ。

 この特性があるために、サ行は耳に特徴的に響く。

 ぼくも若い頃、作詞のアルバイトをしていたことがあって、サ行は、イコラ
イザーが乗りやすい、と教わった。だから、音を伸ばす箇所で歌詞がサ行だと、
レコーディングの時、ここに印象的な効果をつけることができるのだ、と。

 そう思うと、忌野清志郎の歌詞は、語尾を伸ばすところに「さ」とか「ぜ」
が来るような気がする。
♪甲州街道はもう秋なのさー
とか
♪とんでもないぜーっ
とか。
 サディスティック・ミカ・バンドの『タイムマシンにお願い』は
♪さあーっ! 不思議な夢と
と「さ」のロングトーンから始まる。しかも敢えてブレイクを1拍置いて、2
拍目にアクセントが来る変則的な歌い出しだ。

 『やさしさに包まれたなら』の「ちいさい」に登場する「さ」は、このふた
つの例と並べれば、もっとずっとささやかな「さ」ではある。しかし、そのこ
との意味は大きく、作者であるユーミンは、十分自覚的に「さ」を用いている。
 なぜなら、「小さい頃は」と歌ったすぐ後に、またもや「さ」が現れるから
だ。

「かぁみっさまがいてぇ」
 この「み」と「さ」の間も、メロディは1オクターブではないが、少しジャ
ンプしている。だから「っ」が入る。そして「ちいさい」の「さ」と同様 に、
ユーミンはほんの少し「食う」タイミングで、「かみさま」の「さ」を歌う。

 さらに、「ふしぎに夢をかなえてくれた」には「し」、「やさしい気持ちで
目覚めた朝は」には「さ」と「し」。
 その後の歌詞にも要所要所でサ行が使われている。

 止めはラストだ。
 もともとこの曲はCMソングとして書かれていて、その時点では「目に映る
すべてのことは きみのもの」だったそうだ。
 それが自分のオリジナル曲としてレコーディングされた時には、「きみのも
の」がこう変わった。

「メッセージ」

 原詞にはなかった、サ行の「セ」が加わっているのである。

 こうした、発音へのこだわりが、優れた歌には仕組まれている、と著者は指
摘する。
 なるほどー!と唸ってしまう。

 しかし、歌う時以上に、日本語の発音に意識的になる場合がある。
 コンピューターに歌わせる時だ。

 著者は別の章で、初音ミクを取り上げ、この問題を掘り下げている。

 合成音声で歌う初音ミクだが、元となっているのは人間の声である。しかし、
より自然な発音にするためには、多様なパラメーターを設定して、ユーザー一
人一人が自分なりのミクの声を創造しなければならない。
 だから、著者はこう言う。
「「初音ミク」は、「歌」を育てるソフトだ、と思う」と。

 ここで著者が「歌」を育てる、とし、「声」を育てる、としなかったのは、
あくまで歌う声としての育成であるからだ。

 それでも、ミクの歌声は、やはり人間の歌声とは違う。
 人間が無意識にやっている発音が、途方もない量のデータ処理作業だからで
ある。

 人間がこのことに気づいたのは、初音ミクが現れたからこそだ。それ以前に
は、あまりに無意識に話しているために、言葉を発音する行為の複雑さに誰も
思い至らなかった。

 今後、人間の歌い手に、初音ミクの歌声を「育て」るノウハウを応用するこ
とで、これまでにない新しい表現が獲得されていくかもしれない……著者の指
摘に感心している内に、そんな妄想を抱いた。
 テクノロジーが人間に追いつこうとする。だが、まるでそれをかわすように、
人間もまた変質していく。
 そんなSF的な事態が、ここでも起ころうとしているのかもしれない。

 もちろん本書は、声のみにまつわる本ではない。
 例えばビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・
バンド』が初期ジャズの名曲『アレクサンダーズ・ラグタイム・バンド』の遠
い子孫であると見抜いたり、ブルースが最初の歌詞を2回繰り返す理由を解き
明かしたり、チャック・ベリーの有名なダック・ウォークが音楽のグルーヴに
影響していることを検証したり。実に多彩な切り口で、歌の仕組みについて考
えを巡らしている。

 そんな本書のタイトルは、そのままズバリ、『うたのしくみ』。
 著者は、細馬宏通といって、滋賀県立大学の教授だそうだ。

 1年通じてジャズ本縛りになってしまったので取り上げなかったが、実は去
年手に入れた音楽本の中で一番の収穫だった本書を、今年最初にご紹介します。

 本年もいい本を楽しみましょう。よろしくお願いします!


細馬宏通
『うたのしくみ』
2014年4月1日 初版発行
ぴあ株式会社関西支社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
正月から北朝鮮絡みが騒がしいですが、個人的には今年、ちょっと新しい展開
がありそうで楽しみです。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』織田一朗 講談社ブルーバックス

 私が大学進学を意識した頃、高校の勉強で得意科目も苦手科目もなかった。
文系を選ぶか理系を選ぶかでまず困ったのだが、そんな頃に出できたのがセイ
コーのテレビウォッチだった。

 ウルトラセブンでウルトラ警備隊が使っていた「ビデオシーバー」という腕
時計テレビを見て育った者としては、そんなSF世界のモノが自分の生きてい
る間にできるとは思っていなくて驚いた。それで「こんな進化の早い世界には
ついて行けない」と絶望して文系を選択したのだった。

https://www.youtube.com/watch?v=4nKhimBiLLA
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/14/news002.html

 そんな時計の世界は、今や Apple Watch に代表されるスマートウォッチに
まで進化しているわけだが、そんな時計の歴史をコンパクトにまとめた本であ
る。

 最初の前書きでまずびっくりするのは、クオーツ出現前の時計事情である。
機械式時計はまだ精度が悪く、高級品をのぞけば1日15秒から20秒の誤差が出
るのは当たり前だった(実は今でも仕様上はそうなってるが、今の機械式時計
はそんなに狂わない)。そのため数日時間合わせしてないと分単位で狂う。そ
んな事情を誰もが知っていたので、遅刻の言い訳に「時計が遅れていたので電
車に乗り遅れてまして・・・」が通用していた。

 腕時計よりひどかったのは目覚まし時計で、目覚まし時間の誤差が30分くら
いあるのが普通だった。もっとコストをかければいいものは作れたが、当時の
消費者は1000円くらいの安物しか買わず、精度の良い3000円くらいの時計は見
向きもされないのでメーカーも困っていたそうな。今では遅刻の理由を時計に
求めたりしたら「馬鹿野郎」で終わってしまう。

 そんな出だしから、古代の日時計から現代の原子時計までの歴史を概観して
いくのだが、まだ機械式時計が出現していない古い時代、日時計や水時計だけ
でなく砂時計や線香までも時計に使われていたという。そして今なおローテク
の時計として花時計があるとか。

 ここで言う花時計とは、観光地にある花で文字盤をあしらった時計のことで
はない。開花時間が花によって朝6時とか9時とか違うことを利用して、どの
花が開花したかを見ることで時間を見る時計なのだ。

 そしておなじみの機械式時計の技術の進化に入っていくのだが、個人的には
クオーツ時計の黎明期の話がとても興味深かった。

 機械式時計にかわる電気仕立ての時計はブローバが開発した音叉時計から始
まったが、ライセンスを同社が出さず自社で独占しようとした。そのため日本
やスイスなどの他のメーカーはクオーツに目を向け、いち早く商品化したセイ
コーは他メーカーにクオーツを供給して「味方づくり」を行って市場を奪って
いった・・・IBMがPC互換機を認めてパソコン市場をアップルから奪い取
ったやり方は、その20年以上前にセイコーのやったことの真似に過ぎないので
ある。

 とはいえ、クオーツの開発は省電力との戦いであった。今のスマートウォッ
チのバッテリーは一日持てばいいくらいでしかないが、1960年代の時計にはそ
んなことは許されなかった。懸命に省電力化に取り組んだものの、どうしても
1.5Vのボタン電池で三ヶ月以上は動かせなかったのである。

 そこでひらめいたのは、ステップ運針だ。ステップ運針というのは秒針が動
いて止まり、まだ動いては止まるクオーツ時計に見られる機構で、機械式時計
のように滑らかに秒針が止まらず回るのをスイープ運針という。

 スイープ運針させるだけのエネルギーがどうしても確保できないので、針を
動かすモーターを一瞬動かして休ませ、また一瞬動かして休めることで省電力
化を図ったのである。

 しかし、アイディアは良かったが現実にステップ運針をさせようとするとま
た難題が持ち上がり・・・プロジェクトXでクオーツ開発のテーマで番組やっ
てたのか知らないが、出てきても不思議のない困難をいくつもくぐり抜けてク
オーツ時計は発売された。クオーツ時計は瞬く間に世界に普及し、時計の遅れ
を遅刻の理由にはできなくなった。

 その後もソーラー時計や人間の体温で発電する機構など、バッテリー関係と
GPSや標準電波を受信して時刻修正するほとんど狂わない電波時計など開発は
進んでいく。原子時計は300億年に一秒の誤差になっているそうだ。

 残念なところは昨年12月出版なのにスマートウォッチについて触れられてい
ないこと。もっともアレは時計じゃないと言われたらそれまでのような気もす
るし、進化も早いから書くと本がすぐ古くなるので避けたのかも知れない。

 ともあれ安いモノなら100円で買える正確無比な時計が誰にでも手に入るよ
うになるまでに、人類は5000年の時を費やした。ケータイ電話が出てきだした
頃からケータイやスマホを時計代わりにして腕時計をつけないような人も増え
ている。そんな時代に、人と時計の5000年に思いをはせるのもいいかもしれな
い・・・実際は時計の好きな人しか読まないだろうけどw


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
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 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 発行が遅れている間に関東は大雪になってしまいました。おかげで発行時間
が確保できました。

 今年最初の20日号です。今年もよろしくお願いします。(あ)

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[書評]のメルマガ vol.645


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■■ mailmagazine of book reviews       [皇居を京都に戻して 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<97>天皇陛下はアマンドピンク

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→79 共に生活する楽しみ

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第97回 二人の巨匠の対談(黒澤明と宮崎駿)

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<97>天皇陛下はアマンドピンク

 皆様、明けましておめでとうございます。

 「平成カウントダウン」な今年ですが、本年もまた相変わらずのダボラ話に
お付き合いのほどを、よろしくお願い申し上げます。

 しかし、その「平成」、来年4月で終了と決まったそうですが、この元号っ
ての、そろそろ「やめ」にしてもいいんじゃないでしょうか。
 いや、別にあってもいいんだけど、あくまで「裏」…というか副次的に使っ
ていただいて、公的にこれを使うのはやめていただきたい、と、これはつとに
そう思ってた。

 わしの免許証には、「平成32年の誕生日まで有効」と書いてあるんです。
 でも、その「平成32年」は、もう絶対に訪れることのない「架空の年」なの
だ。
 公文書に架空の年、あるいは「空想上の年代」が使われるのって「如何なも
のか」と思うのだけど、どうだろうか?

 少なくとも公文書は、西暦表示か併記にしてほしいと思う。

 だいたいが、ですね、「昭和53年」とか「昭和31年」と言われて、それが何
年前だか、とっさに答えられます? 
 ちなみに「昭和31年」は、わしの生まれた年ですが、さて、わしは現在何歳
でしょうか? わしも、わかりません。
 生年月日を元号で覚えてる限り、自分の年齢だってあやふやになってくる。

 昭和の頃にはまだ「元号が変わる」というのが現実として想像できなかった
ので、「昭和75年完成予定」なんて表記も、全然気にならなかったんだけどね。

 と、正月2日の皇居一般参賀のニュースを見ながら、そんなこんなに思いを
馳せていたお正月。
 あ、そうそう、その一般参賀のニュースの中で、小学生らしき男の子が参賀
の感想を訊かれていたのだが、その答えに、いささかたまげた。

「天皇陛下のお言葉を聞いて、ぼくも頑張ろうという気持ちになりました」

 と、まあ、概略そういうようなことを言ってたのだけど、「天皇陛下」「お
言葉」という言葉は、間違いなく口にしていた。
 昭和戦前の、大日本帝国の、「陛下の赤子たる」汝臣民少国民か、君は!? 
それとも産〇新聞の回し者か!?

 と、思わずテレビに向かって毒づいてしまったですよ。

 小学生までが、「天皇陛下」なんて呼び方をする社会、あるいは、そういう
呼称を強要する教育てのは、間違いなく不健全だと思う。
 皇室関連の話題になると途端にトーンが変わり、大仰な尊称と敬語を乱発す
る(〇経新聞を筆頭とする)メディアの責任も大だと思う。
 えーかげんにしとかんと、えらいことになりまっせ、正味。

 その昔…っても80年代ころ…田辺聖子は、エッセイの中で「天皇はん」と呼
んでいたのだけど、それくらいのスタンスが「ちょうどいい」と思う。
 それより前には、テレビでも、ワイドショーだったと思うけど、「天皇さん」
という呼称を、ごく親しみを込めた形で使っているのを、確かに聞いた覚えが
ある。
 あんまり関係ないかもしれんが、今年86歳になる我が老母もまた、いつも
「天皇はんと美智子はん」という呼び方をする。

 70年代ころには天皇を指して「天ちゃん」という呼称も、割と一般的だった。
 これもまた、若干揶揄する気配もなきにしろ非ずだったけど、親しみを込め
た呼び方だったことは間違いない。

 そもそも江戸時代ころの京都では、もっぱら「みかどはん」とか「御所はん」
と呼ばれていたはずなのだ。
 江戸をはじめ、京阪圏以外の人々には、その存在すら忘れ去られていたのが
「天皇」なのだ。

 それが「尊王攘夷」で政治利用されるようになってから、雲行きが怪しくな
り、あれよあれよと「陛下」になって、「畏くも」で「汝臣民」で直立不動強
要で教育勅語で、「陛下」を神輿にかついで侵略戦争に突き進んでしまって、
挙句の果てが原爆投下と全国的焦土で『この世界の片隅に』で『火垂るの墓』
なのだ。

 今の「象徴」という天皇の位置は、江戸時代のそれにごく近いんじゃないか
と思う。
 それを、最近の風潮…テレビのニュースやら、天皇や皇室関連の話題に関す
るネットの反応、あるいはアベちゃんの言動等々…を見ていると、天皇を「象
徴」から明治〜昭和戦前の「現人神」に戻そうとしているように思えてならな
い。

 そういう風潮を危うく思ったがゆえに、現天皇は「生前退位」を選び、記者
会見などでも、ことさらに「象徴」という言葉を使い、それを強調しているの
では? と思えてならない。

 わしが記憶する限り、昭和天皇は、その在位中に「象徴」という言葉を、こ
とさらに発することはなかった。
 なぜなら、それは「当たり前」で、ことさら口にする必要がなかったから。

 その昭和の末期、バブルも真っ盛りの80年代末、赤星たみこ・作になる『恋
はいつもアマンドピンク』(単行本は双葉社刊)という漫画があった。
 映画化、TVドラマ化もされたヒット作だ。
 ちなみに、映画版は樋口可南子が主演した。

 当時の、バブルに浮かれた社会を背景に、20代の男女の「恋愛至上主義」的
な日常を描いた漫画で、言うたらまあ、漫画版の『男女7人夏物語』かな?

 この中に、愛を求めて都会の夜をさすらう主人公のOLと、なんだかんだが
あった後、結婚することになる男性キャラクターが登場する。
 主人公OLの周囲にいる、常に最先端の流行を追いかけ、ファッションも遊
びも「イケてる」男たちに比べて、流行に疎く洋服もダサいけど、育ちの良さ
を感じさせる物腰と、深い教養を備えている…のだが、しかし、空気を読むこ
とを知らず、いつも周囲から浮いている、そんなキャラクターで、その名も
「広野宮彦」。

 「昭和」な方なら、「ヒロノミヤヒコ」という名前で「ぴん」ときたと思う
のだが、そのキャラクターは、ただ今の皇太子、当時の浩宮徳仁親王、その人
そっくりに造形されていたのだった。
 映画版では、川野太郎が「広野宮彦」を演じた。
 そうです、映画でも、またドラマでも、「広野宮彦」という役名は、そのま
ま使われたのです。

 これ、今やるとおそらく「大炎上」必至だと思う。
 産〇新聞とか〇賣新聞が大騒ぎするのが、目に見えそうだ。

 そのころ…って、『恋はいつもアマンドピンク』が連載された時代、あたり
までだろうか? 皇室や天皇が、ギャグやパロディの「ネタ」になり得ていた
のは。

 昭和天皇の独特な抑揚での喋りようは、物まねやパロディのネタになってた
し、いつだか忘れたが、テレビ(ラジオだったかも知れない)で天皇のモノマネ
を見て(聞いて、かな?)大笑いしていた覚えが、確かにある。

 現天皇もまた、自らがギャグやパロディのネタとしてさらされても、笑いこ
そすれ、決して怒ることはないと思う。
 「笑い」のネタにできるというのは、天皇と皇室が決して政治利用されない
という平和の「象徴」だ。
 それが許されない空気のある現在は、とても危険な領域に差し掛かっている
と思う。

 さきに引いた田辺聖子の「天皇はん」のエッセイは、首都機能の移転や分散
化が謂われたころのもので、「ならばいっそ、天皇はんと皇居を京都に戻して
やって」という文脈だった。

 今こそ、それが必要かも、と思う。
 皇居と天皇を政治の中心たる東京から切り離し、距離を置くことで、江戸時
代同様に「象徴」の位置が保たれるのでは? と思ってしまった新年なのだっ
た。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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79 共に生活する楽しみ

 2018年が始まりました。
 年末年始のハレの日が過ぎ、日常が戻っているころでしょうか。
 

 さて今年最初にご紹介するのはシリーズ2作。

『モルモット オルガの物語』
『オルガとボリスとなかまたち』

 マイケル・ボンド 作 おおつかのりこ 訳 いたやさとし 絵 PHP研究所

 作者は「くまのパディントン」シリーズを書かれたマイケル・ボンドさん。
さみしいことに昨年亡くなられ、日本語に訳された本はみていただくことは叶
わなかったそうです。

 本書は娘のカレンさんが飼っていたモルモットをモデルに、空想力ゆたかな
オルガが愉快に動き回る物語。

 表紙のモルモットたちの愛らしさにまず惹かれ、
 一巻目の冒頭からこれはおもしろそうだとわかりました。
 
 ――オルガ・ダ・ポルがはまちがいなく、とくべつなモルモットです。

 とくべつなモルモットの話!

 オルガは自分の名前を飼い主のカレンにどのように伝えたか。
 ネコのノエルとはどのようにわかりあったか。
 空想が紡ぐめくるめくお話。
 などなど
 
 オルガの躍動感が読み手に伝わってきて、ワクワクというか、次は何をする
のかなという楽しみが読んでいる間中続きます。

 おおつかさんの翻訳は言葉がやわらかく、詩的で、物語にとてもあっていま
す。オルガやまわりの友だちの言葉は時に深淵で哲学的でもあり、大人が読ん
でも、はっとします。

 私の好きな言葉は、ハリネズミのファンジオによるもの。

 ファンジオはオルガに自分な好きな場所“天国が原”の話をし、オルガもそ
の場所に行きたくなります。なんとか、囲いから抜け出し、ファンジオと出か
けます。しかし、“天国が原”はオルガにとってはよくわからない場所でした。

 そんなオルガにファンジオはこういいます。

「美は、みるものの目にやどる。おいらのまどからは、すてきな場所にしかみ
えないけどな」

 うんうん、ファンジオのいうこと、よくわかります。

 小学校低学年から楽しめる物語。 
 周りのお子さんにすすめてみてください。
 動物好きだとなお喜ばれるでしょう。

 訳者おおつかさんによる、オルガのブログもぜひ。
 作中に出てくる料理、その名も”あなのなかのヒキガエル”もブログで紹介
され、つくりたくなりました。
 

 「もっと もっと モルモット オルガ」
 https://olga-da-polga.muragon.com/


 もう一冊はうれしい復刊児童書

『バイバイわたしのおうち』
 ジャクリーン・ウィルソン 作 ニック・シャラット 絵 小竹由美子 訳
 童話館出版

 本書は2000年に偕成社より刊行されていたものの復刊。翻訳は全面的に見直
されています。

 刊行された当時読んでいたので、久しぶりの再読です。
 ジャクリーン・ウィルソンさんの作品は1995年に翻訳家の小竹さんが訳され
た『みそっかすなんていわせない』(偕成社)を皮切りに、日本でもファンが
広がりました。イギリスで大人気の作家、ジャクリーン・ウィルソンは複雑な
家庭環境下の子どもの気持ちをよくすいとっていて、なんでわかるの?と聞き
たくなるほどリアルです。

 私自身、中学のときに両親の離婚を経験していますが、まわりの友だちには
相談できず本にずいぶん救われました。

 ひこ・田中さんの『お引越』や今江祥智さんの『優しさごっこ』がそうでし
たが、ウィルソンさんの本を初めて読んだときは、もっと早く読みたかった!
とくやしく思ったほどです。

 さて、この物語のいちばんの魅力は語り口が湿っぽくないところです。
 親の離婚は子どもにとっては不幸なことが多いですが、だからって暗く重た
く書く必要はなく、からりと悲しさやしんどさを語ってほしいのです。

 『バイバイわたしのおうち』はパパとママとアンディーの3人で桑の木のあ
る一軒家で暮らしていたのが、両親の離婚によって、1週間事に双方の家を行
ったり来たりする暮らしを強いられるようになった物語。

 両親の仲が破綻していても、子どもとの関係は破綻していないのだから、ア
ンディーにとっては、どうにかやり直せないか、また一人っ子に戻りたいと願
うのはとっても理解できます。

 双方ともに異母兄弟がいて、落ち着く場所がなく、ストレスをため続けるア
ンディー。そんなアンディーの親友はシルバニア・ファミリーのうさぎ人形、
ラディッシュ。

 ラディッシュのおかげで、アンディーはもう一つの居場所も得ることができ
るので、そのあたりはぜひ本を手にとって読んでみてください。

 子どもの選択肢は少ないゆえに、逃げ場がなかなか見つからない。家、学校
以外の居場所は大事です。

 アンディーにラディッシュがいてよかった。

 ニック・シャラットのイラストも物語にぴったり。子どもも大人も表情がい
い、仕草がいい。みんな憎めない人物に描いています。

 ウィルソンさんの物語を必要とする子どもたちにこの本が届きますように。
 大人も読んで広めましょう!


 それでは、今年もよろしくお願いいたします。

 
(林さかな)
会津若松在住
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第97回 二人の巨匠の対談(黒澤明と宮崎駿)

 黒澤明監督の遺作となった『まあだだよ』は、1993(平成5年)4月に公開
されている。この後黒澤は、『海は見ていた』のシナリオを書き、1995年(平
成7年)に『雨あがる』のシナリオを書いている時、怪我を負い、そのまま床
に伏す生活となり1998年(平成10年)に逝去する。

 一方の宮崎は、ナウシカ(1984年)、ラピュタ(1986年)、そして1988年の
トトロ、さらに『魔女の宅急便』が1989年。1993年時点での最新作は『紅の豚』
(1992年)であり、アニメーション映画監督として、第一人者の地位を確立し
ていた。

 1910年(明治43年)生まれの黒澤は、1993年当時、83歳。そして、1941年
(昭和16年)生まれの宮崎は、52歳。ふたりの年齢差はおよそ30歳である。

 このふたりが1993年(平成5年)のとある日にテレビで対談した。今回紹介
する本は、その時の模様を文字にした対談集である。

『何が映画か −「七人の侍」と「まあだだよ」をめぐって−』
(黒澤明 宮崎駿 著)(編集発行:スタジオジブリ)(発売:徳間書店)
(1993年8月31日初版発行)

 本書は、黒澤作品の『まあだだよ』が公開された1993年の5月に宮崎駿が御
殿場にある黒澤明の別荘を訪ねて対談をする、というテレビ番組が基になって
いる。その対談を文字に起こした。そして後日、スタッフがスタジオジブリを
訪ねて宮崎駿に黒澤との対談に関しての単独インタビューをし、それも後半に
登載されている。さらに付録というかおまけとして、『七人の侍』の助監督を
務めた廣澤榮氏のエッセーが巻末を飾っている。このエッセーが爆発的に面白
い。

 順を追って確認していこう。

 黒澤明監督待望の新作『まあだだよ』が前月4月に封切られたので、対談は
この『まあだだよ』の話題が中心になる。そして宮崎駿自身が日本映画最高峰
の作品と考えている『七人の侍』についてもたくさんのページを割いている。

 対談部分の章見出しは「ちゃんとした映画を作るには・・・・・」。

 映画の監督業とは、何をしているのか、ということから解きほぐしている。
実写の映画監督とアニメーションの映画監督のやることにはたくさんの違いが
あるのだが、まずは基本として“こだわる”ことが大切なのだ、ということで
ふたりの意見は一致する。

 対談というスタイルは、互いが対等な立場で対話していく姿が正しいのだろ
うが、黒澤明と宮崎駿。このふたりが対等であるはずがない。宮崎が敬愛して
やまない巨匠・黒澤に対して教えを請う、という姿勢であるため、宮崎は質問
し、黒澤が答える、という対談の姿になっている。黒澤はほとんど宮崎には質
問をしない。宮崎はインタビュアーになっている。インタビュアーとしての宮
崎の質問がとても的を射ているので、本書は読んでいる我々としても、とても
わかりやすい黒澤映画の解説書になっているのである。

 そして写真が多い。もしかすると本文ページの半分は写真かもしれない。黒
澤映画の場面場面の写真が載っている。三船がいる。志村喬がいる。そして最
新作の『まあだだよ』の写真もふんだんに掲載され、それとともに黒澤監督か
ら場面場面の制作秘話を聞く。実に贅沢な書籍なのである。

 この二人の対談において、特に『七人の侍』と『まあだだよ』を使い、映画
の作り方の講義を受けている、と云えばよいか。・・・・・そんな内容の対談
になっている。

 対談の最後に宮崎駿は、時代劇をやってみたい。と語る。是非おやりになり
なさい、と云う黒澤。そして宮崎駿は、この対談の4年後、黒澤の死の前年に
なる1997年(平成9年)に『もののけ姫』を完成させた。だから本書は、この
『もののけ姫』も『千と千尋の神隠し』もまだ影も形もないときの内容なのだ。
宮崎駿のこの2本を黒澤明は観ていない。もし観ていたら、そして元気であっ
たなら、黒澤はどんな感想をもったのであろう。宮崎駿は、黒澤明の作品から
たくさんの示唆やヒントを得て、それらを作ったに違いない。そういうことを
考えると何か不思議な感じがしてならない。

 最後にの付録のような「『七人の侍』のしごと」という廣澤榮氏のエッセー
が抜群である。助監督による『七人の侍』の制作ノートだ。黒澤映画ファンに
はたまらない一文である。と共に映画制作を志している人たちにもいい経験談
だと思うのだ。

 全体として、本書は映画作りを志望している若い人たちにこそ読んでほしい
一冊だ。映画がどのように作られるか。・・・・・ということを考える本だ。
どのように脚本を書くか、どのようにロケ地を選ぶか、どのようにセットを作
るか、どのように道具を揃えるか、どのように撮影するか、どのように役者を
その気にさせるか、どのように編集するか・・・・・。そういう映画作りのノ
ウハウがぎっしり詰まっている本になっている。


多呂さ(毎日お寒うございます。寒中お見舞い申し上げます。今年もよろしく
お願いします。)
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 新年最初の号ですが、少し遅れました。すみません。

 本年もよろしくお願い致します。(あ)

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#90『セロニアス・モンクのいた風景』

 今年最後の一冊も、ジャズ喫茶繋がり。

 どういう繋がりかというと、本書を編集・翻訳した村上春樹が、作家になる
前は国分寺辺りでジャズ喫茶を経営していた、という繋がりだ。とはいえ、随
分昔に読んだ雑誌のインタビューでそう言っていた記憶があるだけで、確かで
はないけれど。

 で、村上春樹の、小説ではなく、編集と翻訳を手がけた本書をわざわざ選ん
だのにも理由がある。

 史上初めてのジャズ・レコードが発売されて100周年だった今年の当欄は、
1年を通じてジャズ本尽くしになったわけだが、実は先月になってようやく、
もうひとつのアニバーサリー・イヤーだったことを知った。

 セロニアス・モンクの生誕100年である。

 ご存知ない方のために解説しておくと、セロニアス・モンクはピアニスト。
モダン・ジャズのパイオニアの一人で、数多いるジャズの巨星の中でも、飛び
抜けて個性的な音楽を創造した。
 しかし、ジャズの歴史はトランペットやサックスなどのホーン・プレイヤー
が中心になることが多いため、何となくチャーリー・パーカーやマイルス・デ
イヴィスよりちょっと若い世代のような印象を持っていたのだが、なんとジャ
ズ・レコードと同い年だったのね、という驚きがあった。

 加えてぼくにとって、モンクは特に印象深いジャズメンなのである。

 前にも書いたが、若い頃、インストものがまったくダメだった。
 歌のない音楽って、どう聴いたらいいのか、どうもわからない。
 したがって、クラシックやらジャズは、ほぼスルー。声楽も、あの発声が苦
手だったので、パス。辛うじてジャズ・ヴォーカルだけは聴いていたが、どち
らかというと、メロディをあまり崩さない白人系が多かった。「ニューヨーク
のため息」と呼ばれたヘレン・メリルとか、初期ジャズのコーラス・グループ、
アンドリュース・シスターズとか。
 高校の時に、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』なら、メ
ロディアスで聴けるんじゃないかと思って試してみたが、やはり集中力が続か
ず、A面の途中で寝てしまった。

 しかし、30代の後半になって、突然「歌」というものが妙に押しつけがまし
く感じるようになったのである。むしろインストの方が聴きやすい、聴きたい
と思うようになった。
 きっかけは何もない。
 ただ、不意にそう感じたのだ。
 ある女性にその話をしたら、「抽象的になったのね」と言われた。いい年の
おっさんが何だけど、やっと大人になった気がした。

 そこで、この機会にインスト音楽という未踏の処女地を探検してみようと思
った。
 なにせ、かなり有名なものでも聴いたことがないので、見渡す限り名盤の宝
庫。聴くものには全く困らない幸せな状況となった。

 まずはクラシック。
 が、やはり長大なシンフォニーは途中で飽きてしまったので、コンパクトな
室内楽とか、自分も弾くギターもの、村治佳織とかをよく聴いていた。
 ただ、なぜかマーラーの一番だけは、最後まで飽きずに聴き通すことが出来
た。ロマン派あたりの方が、メロディも明解でとっつきがいいはずなのに、ど
うしてなのか、未だにわからない。

 そして、ジャズである。
 こちらも、アルバム1枚はなかなか聴き通せず、1曲、2曲で集中力が切れ
てしまっていたのだが、セロニアス・モンクの『ブリリアント・コーナーズ』
を買ったことで状況が変わった。このアルバムがぼくにとって「最後まで飽き
ずに聴き通すことの出来た初めてのモダン・ジャズ・レコード賞」に輝くので
ある。
 ま、大した賞ではないし、何も贈らなかったけど。
 どのみち本人死んでるし。

 だからモンクは、ぼくにとって特別なのだ。

 それにしても、どうしてこのアルバムを買ったのか、今となっては思い出せ
ない。
 かつて一度試したマイルスならわかる。ヘレン・メリルとの共演盤で有名だ
ったクリフォード・ブラウンでもわかる。けれど、唐突にモンクのアルバムに
手を出したのは……もしかするとジャケ買いだったのかもしれない。

 求道的で暗いイメージのモンク、代表曲が『ラウンド・アバウト・ミッドナ
イト』であるモンクにしては、タイトルに「ブリリアント」とあるせいか、こ
のアルバムのジャケットは白が基調となっており、やけにクリアなイメージの
ビジュアルなのである。
 写真も、白シャツを着た5人のモンクが、背中合わせにぐるっと円を描いて
いる合成もので、なかなか手がこんでいる。しかも本人、いたってにこやかに
微笑んでいるのである。

 余談だが、変な帽子に変な眼鏡、尖った顎鬚がトレードマークでありながら、
モンク自身は寡黙な人で、アルバムのジャケ写ではっちゃけるタイプとは思え
ないのだが、実際には案外コスプレしている。
『ソロ・モンク』のジャケットは、イラストではあるが昔の複葉機のパイロッ
ト姿だし、本書で村上春樹も取り上げている『アンダーグラウンド』ではレジ
スタンスの兵士に扮して、銃まで持ち、わざわざセットを組んで、凝りに凝っ
た写真を撮っている。

 しかし、『ブリリアント・コーナーズ』のジャケットが、いかにモンクらし
くない明るさに輝いていても、中身の音楽はばっちりモンク印。いきなりピア
ノの奇矯な不協和音から始まり、ホーンが入ってのテーマも、やはり独特のく
ねくねしたメロディだ。
 明らかにマイルスの『カインド・オブ・ブルー』の方が聴きやすいはずなの
だが、なぜかこのアルバムが最後までぼくの集中力を惹きつけ続けた。

 さて、前置きが長くなったが、本書『セロニアス・モンクのいた風景』は、
たぶん元ジャズ喫茶店主である村上春樹が、さまざまなジャズ雑誌やジャズ本
から、モンクに関する文章を抜粋して翻訳し、一冊に編集したものである。
 書き手には、モンクと共演したミュージシャンもいれば、ジャズ評論家もい
るし、彼のレコードを制作したプロデューサーもいる。

 本書から浮かび上がるモンクの生涯は、誤解を恐れず言うなら、その音楽の
ユニークさからするとありきたりである。
 つまり、不遇の天才ジャズメンという、ありふれた物語の1バリエーション
である、という意味だ。

 若い頃から既に自分の音楽を持っていて、チャーリー・パーカーやディジー
・ガレスピーと並んでビバップ革命に大きな貢献を果たしたが、彼の新しさを
ミュージシャン仲間すらほとんど理解できず、それでも頑固に孤高の道を歩み
続けために、経済的には恵まれなかった。妻のネリーや、数少ない理解者でモ
ダン・ジャズのパトロンとして知られるパノニカ・ド・コーニグズワーター男
爵夫人の支えで辛うじて生きてきた。
 ドラッグやアルコールの問題もあったし、遅刻の常習犯でもあった。ツアー
に出発する当日、カフス・ボタンが見つからないから行けないと言い出したり
もした。
 共演者のソロの途中でピアノの前から姿を消し、二十分帰って来ないことも
あった。
 しかし地道な活動は少しずつ理解者を増やし、そしてある時、小さなジャズ
・クラブでの連続公演が成功を収めて一気にメジャーに浮上する。

 そんなありふれた物語の中で、印象に残るのは、キャバレー・カードの問題
である。

 昔のアメリカの警察は、ミュージシャンが飲食を提供する店で演奏するため
の免許を発行していた。それがキャバレー・カードなのだが、その手数料は警
官の年金の基金に使われていた。
 また、免許の停止を種にミュージシャンを脅し、小遣い稼ぎをする輩もいた
という。
 そうした腐敗の構造に、天才モンクであってもやはり無縁ではいられなかっ
た。無実にもかかわらず薬物使用の容疑でキャバレー・カードを取り上げられ、
仕事ができなくなった時期が数年あるのだ。

 そうした時期でさえ、モンクは一人家でピアノに向かい続け、自らの音楽を
不断に進化させていた。なのに、その貴重な演奏はまったく人の耳に触れるこ
とがないままに、永遠に失われてしまった。
 これは明らかに、警察による文化への「犯罪」である。

 もうひとつは、パトロネージュの問題だ。

 先に書いた、モンクの理解者だったパノニカ男爵夫人、通称ニカは、英国ロ
スチャイルド家の生まれで、モンクに限らず、さまざまなアーティストの演奏
するジャズを愛し、彼らを物心両面で惜しみなく支えた。
 彼女は当初高級ホテルのスイートルーム住まいだったが、そこに夜な夜なミ
ュージシャンが出入りし、セッションを繰り広げたおかげで、同じようにホテ
ルに住む金持ちの御婦人方の顰蹙を買い、追い出されてしまうほどだった。
 ちなみにその様子はテープに録られ、今もロスチャイルド家に保管されてい
るという。残念ながら未だ門外不出のようだが、もし公開される日が来たら、
大変な音楽的発見になるだろう。

 それにしても、かつてヨーロッパでは、バッハが貴族の庇護によって音楽を
生み出していた、偉大な「パトロン」の時代があったわけだが、1950年代とい
うごく近い時代のアメリカにも、男爵夫人がジャズを庇護するなどという時代
錯誤なことがあったというのが、ぼくには意外だった。

 いま、パトロンというものはいない。
 80年代には、企業メセナということが言われ、企業がその役割を担うことが
期待された時期もあったが、それも景気がよければのこと。
 パトロン不在の21世紀に、時代の先を行き過ぎたミュージシャンは、どのよ
うに生活を支え、音楽を守るのだろう。
 しかも、音楽のみならず文化コンテンツの価格は軒並み暴落している。
 Youtubeを開けば、タダでいろんなものが視聴できる。
 有償サービスでも、定額聴き放題で何万曲、などと謳われている。

 正直言ってぼくもYoutubeの恩恵には預かっているのだが、こうしたコンテ
ンツの価格破壊が極限まで進行した時、どんな文化的荒野が広がるのか、恐ろ
しくもある……

 と、憂いつつ、本書を閉じれば、読者は裏表紙にセロニアス・モンクの後ろ
姿のイラストを見る。
 そこには手書きの文字で「なつかしいセロニアス・モンクの思い出 MIZU」
とあり、さらに、モンクがくわえたタバコに矢印が引かれ「ハイライト」と書
かれている。

 この絵の意味は、あとがきで村上春樹が書いている。

「MIZU」は、イラストレーター安西水丸のサインだ。彼はモンクの大ファンで、
ライブを見に行った時、なんとタバコをねだられてハイライトを一本上げたこ
とがあるらしい。
 そこで村上は、本書の表紙を安西水丸に依頼し、その時のことを描いてもら
おうと考えたのだが、その矢先に、一時代を築いたイラストレーターは急逝し
てしまった。
 
 では、本書の表紙はどうなったか。
 ちゃんと、ステージから降りたモンクが客席の日本人らしき男性からタバコ
を一本もらう場面を描いたイラストになっており、そこには「WADA」というサ
インがある。

 この「WADA」とは、かの和田誠。かなわぬ夢に終わった表紙の絵を、安西水
丸に代わって描いたという次第なのだった。

 そして、その後発見された安西水丸によるモンクの後ろ姿を裏表紙にして、
本書は成った。
 そんなエピソードも、どこかセロニアス・モンクに相応しいような気がする。


村上春樹編・訳
ロレイン・ゴードン、メアリ・ルウ・ウィリアムズ、トマス・フィッタリング、
スティーブ・レイシー、ナット・ヘントフ、デヴィッド・カスティン、ダン・
モーゲンスターン、ベン・ラトリフ、バリー・ファレル、レナード・フェザー、
オリン・キープニューズ、ジョージ・ウィーン
『セロニアス・モンクのいた風景』
2014年10月10日発行
新潮社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
ノーベル文学賞候補の常連、村上春樹。今年はまさかのカズオ・イシグロで、
なんかニアミスな感じでした。しかし、同じ日本人だからと言って、優れた人
の業績を、なぜ我がことのように喜ぶのでしょうか? 自分は何も貢献してい
ないのに。もっと言えば、そうした世界的な評価を得るまでは、ろくに作品に
触れてもいないのにね。ニカのようなパトロンにはなれずとも、一人の読者と
して支持してきた作家の受賞であれば、例え外人作家であれ、国籍なんか関係
なく、嬉しいはずだと思うんだけど。

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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人を励ます言葉を知って、励まされよう
『ペップトーク たった1分で相手をやる気にさせる話術』
(浦上大輔・著/フォレスト出版)

 溺れる者は藁をもつかむ……約1か月前、おばちゃまは、ある人と話合って
方向性を決め、励ます仕事をしないといけないことになりました。

 もうね、これだけはどうしても避けられない乾坤一擲の大勝負ですよ。

 世の中にはムダな言葉や、やくたいもない会話がアホほど飛び交っているけ
れど、これだけは真正面からやらんとしょうがないという案件だったわけです。
そして相手を納得させる自信は限りなくゼロ。

 そんなときに知ったのがこの本です。

 普通の状態なら通り過ぎる本。

 ちょっと立ち止まったとしても、
「ああ、アメリカ的な新しいやつね」で終わっていたことでしょう。
しかし。

 溺れる者は藁をもつかむ(大事なことだから2回言いました)。

 で、結論から言うとこの本は細くない藁だったのです。
 その乾坤一擲の大勝負に役立ったかどうかはわかりません。
 でも、ネガティブ思考歴半世紀以上の私には勉強になることばかりでした。
 
 ペップトークとは、人を励ます言葉のことです。
 アメリカではこれが盛んで、どうしたらやる気が出て進んで勝負に出て勝利
を収められるかリーダーたちは考えているらしい。
 たとえば、オリンピックで強敵相手にびびるチームに、「時代はお前たちの
ものだ。必ず取ってこい」
と激を飛ばすとか。
 ポイントは
 (1)ポジティブな言葉を使う (2)短い言葉を使う (3)わかりやすい言葉を使う 
(4)相手が一番言って欲しい言葉を使う (5)相手の心に火をつける本気のかか
わりですって。受容→承認→行動→激励の4ステップが大事。なるほど。日本
人の苦手なとこですなあ。

 バレーボールの大事な試合で、サーブが回ってきた。コーチから言葉が来る
「ミスするなよ」。選手の脳裏にかつてサーブでミスした場面がフラッシュバ
ックする。ミスして負ける・・・。ああ!日本人!

 そこは、

「大丈夫。丁寧にいけ」とか「思い切っていけ」とかいうのがいいんでしょう。

 そして、何かでへこんでいる人には励ます前に、「たいへんだったでしょう。」
と一度、相手の心情まで自分の心の眼線を下げて言葉をかけるなども大事です。

 この手の人をプラス志向にもっていく本は、ある意味、うさん臭さがあるも
のですが、読んでいてすんなり納得できたのは、著者のパーソナリティのせい
かもしれません。

 彼が実際に経験したことを書いているし、そのエピソードがいいんですよ。

 北海道でもう一度メロンが作りたくてリハビリに励む女性とか、病気になっ
ても前向きな女性とかとのかかわり方がリアルで、心情に満ち溢れています。

 このエピソードが作為的ではないと感じられたからこそ、ネガティブ思考&
斜目線でものを見る癖半世紀以上の私が最後まで読めたのかもしれません。

 なんかね、ときどき泣けてきた部分もある。

 浅田真央さんのソチのフリーの前に佐藤信夫コーチがこう言う。
 「何かあれば先生がリンクに入って助けに行く」

 この話、もう何回も聞いて知っている話。そして、リンクに入ったらルール
違反でアウトと皆知っている。でも聞くだけで感動してしまいます。
(これがヘップトークなのかと言われれば違うような気もするけどね。)

 ペップトークの基本は本気で人とかかわることと書いてありますが、それは
わかります。
 人を励ます言葉の本を読んで、励まされた気がします。

 今は師走だというのに実はおばちゃま、にっちもさっちもいかない仕事の迷
路にはまりまくっている状態。でも、人を励まし自分も励ましてがんばろうと
思えました。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したのか』鴻上尚史 講談社現代新書

 『永遠の0』というベストセラー小説がある。特攻で死ぬことに抗った戦闘
機乗りの話だが、実際にはこんな人はいなかったろうなと思った。ところが、
実際には「こんな人」がたくさんいたとは知らなかった。

 この本は九回特攻で出撃しながら生きて戻ってきた佐々木友次氏を描くノン
フィクション。鴻上尚史氏は、佐々木氏を取材して小説をモノにして、それだ
けでは足りない。本当にこんな人がいたのだと言うことを多くの人に知って欲
しいと思って、新たにノンフィクションを書き下ろしたのだという。

 最初に出てくるのが、振武寮という福岡にあったという、生還した特攻隊員
が集められた寮の話。ミュージシャンでる大貫妙子の父親で、実際に振武寮に
入れられた大貫健一郎氏の体験談だ。

 振武寮では「なぜ生きて戻ってきたのか!」「死んでいった仲間に恥ずかし
くないのか!」と責められるのである。その体験談の中に佐々木友次という名
前が出てきて鴻上氏は佐々木氏を知ることになる。

 特攻隊は海軍から始まったが、佐々木氏は陸軍最初の特攻隊万朶隊に参加し
ていた。特攻の初期は、必ず成果を上げなければならないと言うことで、メン
バーは精鋭を選んでいた。陸軍においても同様で、精鋭だからこそ佐々木氏も
選ばれた。

 隊長に任命したのは岩本益臣大尉。この人は操縦と爆撃の名手として知られ、
特攻隊長に任命される前には「跳飛爆撃」の第一人者だった。跳飛爆撃とは、
爆弾を敵艦船に命中させるのではなく、直前のところで落として跳ねさせて当
てる爆撃法。平たい石を低角度で投げて跳ねさせるのを爆撃に応用した方法だ。

 なぜこういう方法を採るのかというと、艦船を爆撃するのは大変難しいから
である。飛行機は速い。艦船は遅い。当てようとすると艦船は細長いので前方
ないしは後方から狙いをつけて爆弾を落とさなければならないが、当然敵艦船
は攻撃してくる上にジクザグに進路をとって前後ろをとられないようにする。

 跳飛爆撃だとジクザグに逃げる手を封じられるだけでなく、艦船の低いとこ
ろに爆弾を当てることになるから上から攻撃するよりダメージが大きく撃沈も
しやすくなる。

 そう考えて、攻撃ノウハウを訓練によって一生懸命作り上げてきて、ようや
く完成の域に達し、これから多の戦闘機乗りにノウハウを教えようとしていた
凄腕の戦闘機乗り。そんな人を陸軍は無駄に死なせようとしていた。

 これには、ほかならぬ岩本大尉も怒った。自分もいつ死ぬかもわからないが、
生きていれば何隻も敵艦船を沈められる自信があった。そのために厳しい訓練
を重ねて新しい爆撃法を開発したのだ。それが一隻しか沈められない特攻をや
れと言われりゃ、そりゃ怒る。

 かといって軍隊であるから上官の命令には逆らえない。そんな中、岩本大尉
に情報がもたらされる。爆弾を外せなくしてあった特攻用の機体から爆弾を落
とせる方法を岩本大尉に教える人がいたのだ。

 それで岩本大尉もなんとか優秀な乗員を殺さなくて済むと思っていたところ
に、上官から呼び出された。司令部に行く飛行機が米軍の餌食となって岩本大
尉以下将校クラスが全員戦死してしまった。万朶隊は出撃前に上官を失ったの
である。

 この岩本大尉に佐々木氏は感銘を受け、できるだけ生き残って多くの艦船を
沈めようとする。そのため何度も帰ってくるのだが、特攻で出撃した人にはす
でに戦士報告がされていて、彼の出身地である北海道の当別町では二度葬式が
出たという。

 軍神扱いされている人が生きていては困ると戦果を挙げて帰ってきても「死
んでこい」なのである。そうした上からの圧力には抗しがたく、多くの人が海
に散っていった。しかし、佐々木氏は上から圧力に負けなかったのである。

 それはなぜだったのか?それがこの本のテーマだ。それは読んでのお楽しみ
にしておくが、読んでいて胸くそ悪かったのがダメな組織はここまでダメにな
るのかという絶望感だ。

 もともと特攻で大戦果は挙げられないとわかっていた。戦艦や空母を陸軍の
爆弾で沈めることは難しかった。特攻で相手を震い上がらせて講和に持ち込む
というシナリオがあったようだが、それもよしとしよう。発案者の大西瀧治郎
は自分が何をやっていたのかよくわかっていた。自分の責任を自覚していたか
らこそ終戦時に自決したのだろう。

 しかし実際に飛行兵に命令を出していた連中のなんと醜悪なことか。そして
その姿は、非正規雇用を使い捨てにしたり、正規でもブラックな職場で社員を
潰していくことをなんとも思わないブラック企業が跋扈する今に通じているの
だろう。

 もはや先の戦争に参加した経験のある人は90歳前後。経験者が日本からいな
くなる日は間もなくやってくる。しかし特攻を生んだ、唾棄すべき体質を持つ
組織は、今なお日本に生き続けている。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
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6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 発行が遅れに遅れて、とうとう大晦日になってしまいました。個人的には今
年は喪中ですので年末年始はがっつり仕事しようと思っています。

 皆様も素敵な2018年をお迎えください。(あ)

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[書評]のメルマガ vol.643

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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<96>極私的「立ち読み」風景今昔

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→78 ユーモアは明日の活力

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第96回 交通災害慰霊の聖地となった御巣鷹の尾根

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<96>極私的「立ち読み」風景今昔

 前回、「週刊プレイボーイ」をネタにしてから、コンビニの雑誌売り場を、
改めて眺めてみる機会が多くなった。
 で、気がついたのだが、コンビニの雑誌売り場、なんだか以前に比べて小さ
くなってません?

 以前…って、10年以上前にはコンビニはどこも、表に面したガラス窓のある
一面に目いっぱい、雑誌売り場のスペースが取ってあった筈だ。
 外から見えやすいここに雑誌売り場を置くのは、夜中でもここに立ち読み客
がいれば、他の客が安心して入れるとの配慮と、来店客の動線を誘導する戦略
的な配置、と聞いたことがある。
 つまり、コンビニにとって「雑誌」というのは、経営戦略上かなり重要なア
イテムであった、ということなんだろうけど、今やその役割は他のアイテムに
取って代わられている、ということか、どの店を見ても雑誌売り場は以前の半
分ほどで、場所だって、入ってすぐの表に面した「一等地」から、一番目立た
ない隅っこに追いやられている店も少なくない。

 その小さくなった売り場を見ると、アイテム数もまた、以前と比べて格段に
少なくなっている。
 中でも漫画誌が減っているように見える。
 以前は、週刊・隔週・月刊誌のほぼ全てがコンビニで手に入ったと思うのだ
が、今や、週刊・隔週の少年誌・青年誌くらいで、月刊誌はまず見なくなって
しまった。

 コンビニチェーンのどこだっけかは、近くアダルト誌の売り場を撤去するら
しいが、このアダルト誌の売り場が、これまた以前とは比べ物にならんくらい
小さい。
 ただでさえ小さな雑誌売り場の隅っこに、肩身狭そうに「ちんまり」と隠れ
ている。
 その内容も、「熟女」モノや「人妻」モノが殆どで、購買層の高齢化がうか
がえる。
 東京オリンピックを契機として、風紀上好ましくない売り場を撤去する、と
いうことらしいが、コンビニ側としてはオリンピックにかこつけて、この際、
コスパの悪い売り場を切り捨てよう、ということなのだと思う。
 「スケベ」は、今や完全に紙媒体からwebや電子に比重が移ってますしね。

 客引きのための立ち読みもまた、もはや不要ということなのか、全ての雑誌
をフィルム掛けや紐掛けにして、立ち読みができないようにしている店も少な
くない。

 昨今は、コンビニだけでなく、街の本屋の店頭でも、雑誌の立ち読みをする
姿というのがめっきりと減ったようだが、わしら世代の中学高校時代…という
のは1960年代から70年代なのだが、同世代の諸兄なら、学校の帰り道に書店に
立ち寄っては、長時間にわたって、店頭で雑誌を立ち読みしたという経験がお
ありかと思う。

 小学生の頃には、うちは田舎で本屋さんがなかったので…というか、同世代
の都会の子供たちは、この時期に皆さん「貸本屋」を経験してるらしいのだが、
わしらには、それもなかった。
 以前、同い年の漫画家、うらたじゅんさんと昔の話になったとき、「え〜〜
っ、貸本屋さん、なかったの? あ、田舎やったからや!」と笑われて、とて
も口惜しかった……

 なので中学生になって、学校地元の三田の町や、通学途中の乗換駅にある本
屋で立ち読みができるようになると、時間が空けば本屋に立ち寄っては、店頭
の漫画雑誌を片っ端から読むのが、日課…ではないが、週に3度くらいはやっ
ていましたっけ。

 1回あたりの滞在時間も、かなり長かった。
 たいていは、当時出ていた少年5誌のうち、「サンデー」「マガジン」はほ
ぼ全ページ、「チャンピオン」「キング」「ジャンプ」は、めぼしいものだけ、
を店頭ですべて立ち読みした。
 わしだけでなく、雑誌売り場には同じような中高生が群れていて、それこそ
「ダークダックス」状態で店頭に並んでいたものです。
 時々は、漫画だけでなく、「週刊プレイボーイ」や「平凡パンチ」のヌード
グラビアを盗み見て、股間を熱くしたりも、していたチュー坊のころ。

 そのころの、「パンチ」だったか「プレイボーイ」だったかどちらかの巻頭
グラビアで、当時のアイドル歌手だった、いしだあゆみと小川知子の二人が、
オールヌードで並んだ「ペアヌード」というのがあった…とわしは記憶するの
だが、その方面に造詣の深い神戸・元町の古本屋「ちんき堂」主人の戸川昌士
さんに、「ありましたよね?」と訊くと、「ンなもん、あるはずないやないか。
そら絶対に、あんたの記憶違いや!」と、言下に否定されてしまったのだが…
 確かに、あったんだがなあ…

 …話を立ち読みに戻すが、どれほど長く店頭で立ち読みしていても、少なく
ともわしが中学高校の頃では、それで店から文句を言われた、という記憶は皆
無だ。
 寛容だったのか、そもそも諦めていたのか…いずれにしても、当時の、三田
のあかね書房さん、奥書店さん、鈴蘭台のスター商会さん、かもめ書房さん、
感謝してます。ありがとうございました。
 中学生の当時、「少年サンデー」は時々買っていたのだが、それも毎週買う
ことはできず、増してすべての漫画雑誌を買うなど到底できなかったのだが、
立ち読みのお陰で、ほぼすべての漫画雑誌の連載を追うことができたのだった。

 高校生になったころには、「ガロ」「ビッグコミック」「ヤングコミック」
を毎号買いながら、相変わらず、「マガジン」「サンデー」以下の少年誌は、
立ち読みでほぼ毎号読んでいたのだった。

 そして大学生の頃には、これは以前にも書いたことがあるけど、下宿近くの
喫茶店を数軒はしごすれば、ほぼすべての漫画雑誌を毎号読むことができて、
もっぱらそこで読んでいた。

 90年代ころから、書店の店頭の立ち読みというのが徐々に姿を消し、その光
景はコンビニの店頭に移っていった。
 そして、そのコンビニもまた、雑誌の売り場が縮小され、その小さくなった
売り場は立ち読みもできないシステムになっていて、さらに雑誌を置く喫茶店
も少なくなって、というよりも喫茶店自体がもはや絶滅危惧種でもあり、とな
ると、雑誌を読もうとすれば買って読むしか手はなくて、それが、雑誌の売り
上げ減退の一因にもなっているのでは? と思えてきた。

 たとえタダ読みであっても、それが単行本の購買に繋がったり、次号を買っ
てみようという購買の動機になったり、少なくとも、その雑誌を認知するきっ
かけにはなっていたと思う。
 「購読」以外の方法で、雑誌を読む機会が減っているというのが、雑誌を、
ますます遠い存在にしてしまっているのではないか、と思えてならない。

 近頃では「立ち読み」と言えば、すなわち電子書籍の「試し読み」のことと
思っている人も、決して少なくないと思う。
 あれはあれでとても便利で、わしなんか、書評等で知った、あるいは人から
「おもしろいよ」と聞いた漫画などを、まずは電子版の「試し読み」で読んで
から、買うかどうか決めることが、昨今とても多くなってきた。(もっとも、
「買う」のはもっぱら紙版なのだけど)
 以前当欄で取り上げた漫画も、そうやって読んだものも少なくない。

 また一部の漫画雑誌では、新連載の「第一回」をウェブサイトで全ページ無
料公開する、ということもやっているようだ。
 あれを既存の連載にも広げて、「全ページ」とは言わんが、単行本の試し読
みのように、冒頭だけでも「立ち読み」できるシステムにしてくれたら、読者
層を広げることにもなるのでは、と思うんだがな。

 ウェブマガジンの「トーチ」や「最前線」では、連載作品は基本的に無料で
読むことが出来て、それが単行本化されると閲覧ができなくなる、というシス
テムを採っている。
 これが、現在においては、かつての「本屋の立ち読み」なのかな? と、久
しぶりに意志強ナツ子の漫画を読もうと「トーチ」を覗いてみたら、すでに単
行本化されていると知って、「買わねば!」と焦っている師走なのであった。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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78 ユーモアは明日の活力

 12月になりました。
 今年も残りわずか。あと何冊読めるかなと思っているとき、
 最高におもしろい本を読みました!

 『口ひげが世界をすいくう?!』
                  ザラ・ミヒャエラ・オルロフスキー作
                  ミヒャエル・ローハー絵 若松宣子訳
                               岩波書店

 ヨーヨーの大好きなおばあちゃんが亡くなってしまいました。おじいちゃん
はとても悲しみ、出かけることもなく、新聞ばかり読んでいます。しかし、ヨ
ーヨーの心配をよそに、なんと、おじいちゃんは「ひげの世界チャンピオン」
になる準備をはじめたのです。

 ヨーヨーはおじいちゃんを応援し、ひげコンテストのアシスタントとして、
大会にも一緒に行き、おじいちゃんをしっかり支えます。

 イラストたっぷり、ルビつきなので、小学校低学年から楽しめます。

 世界ひげ大会に出るためにひげの手入れに必要な道具は見開きいっぱいに描
かれ、興味をそそられました。各章にもひげがマークになっており、遊び心が
あちこちにちりばめられてます。

 さあ、どんなひげでおじいちゃんは大会に挑むのでしょうか!

 そのひげは、それはそれは素晴らしくキュート!
 とにかく見て!としか言えません。

 ひげが鍵となる物語なので、本書には複数種類の帯が用意されており、版元
サイトで全種類みることができますので、ぜひ。

 https://www.iwanami.co.jp/book/b325123.html

 ユーモアいっぱいの本書は、年末の忙しさでつかれているときに心をほぐし
てくれます。ぜひ手にとってください。


 『しずかにあみものさせとくれー!』
        ベラ・ブロスゴル さく おびか ゆうこ 訳 ほるぷ出版

 2017年コールデコット賞オナー作品。
 
 大勢の孫に囲まれてくらすおばあさん。冬がくるまえに編み物仕事をしたい
にも関わらず、子どもたちがにぎやかで、集中させてもらえません。そこで、
静かに編み物をできる場所を求めて家を出ることにしました――。

 あちこちさまよいながら、求めていた場所は意外なところ。そこで一仕事し
たおばあさんは次にどうするか。

 作者ベラ・ブロスゴルはロシアのモスクワ生まれ。5歳のときにアメリカに
移住。2011年にコミック作家としてデビュー。本書は著者のはじめての絵本作
品。

 コミカルにリズムよく、画面の空白づかいがとてもおもしろい作品。

 旅路の最後まで、どうぞお楽しみにください。


 それでは、今年最後にご紹介する絵本は、時季にちなんでクリスマス絵本。

 『テオのふしぎなクリスマス』
           キャサリン・ランデル 文 エミリー・サットン 絵
                      越智典子 訳 ゴブリン書房

 テオはクリスマスをとても楽しみにしている男の子。でも、おとうさんもお
かあさんも仕事でいそがしく、クリスマスイブでも、早く帰ってくるからねと
言いつつ、後のことはベビーシッターさんまかせ。
 テオは願います。
 心臓のすみからすみまで、ぜんぶをこめて、ひとりぼっちでないことがいい
と。

 クリスマスの奇跡がここからはじまります。つよく願うことと、それがかな
う日なのですから。

 キャサリン・ランデルは『オオカミよ森へ』(原田勝訳 小峰書店)で骨太
の動物物語を書いている作家。本書では、少年の強い気持ちを丁寧に描いてい
ます。

 エミリー・サットンの絵は、華やかで瀟洒にクリスマスの雰囲気を見事に描
き、どのページも美しいのひとこと。思わず何度か絵をなでてしまったほどで
す。

 テオのクリスマスの願いごとがどのようにかなうのでしょう。

 ラストのゴージャスさは、すごーい!と感嘆しました。


 さあ、みなさまの願い事もかないますように。
 メリークリスマス! 
 そしてすこし早いですがよいお年をお迎えください。

 
(林さかな)
会津若松在住。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第96回 交通災害慰霊の聖地となった御巣鷹の尾根

 1985年(昭和60年)8月12日午後6時54分。羽田発伊丹行の日航123便の
機影はレーダーから消えた。日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故である。 520人
が事故に巻き込まれ、命を落とした。このときから残された家族の戦いと慰霊
が始まる。事故の遺族は関係者ではない、という理由で事故調査から締め出さ
れた。残された家族は、「8・12連絡会」を結成し、連帯した。この会は遺
族会という名の補償交渉の窓口ではない。遺族同士の絆で互いに支え合うこと
が会の目的となっている。そして政府や日航には事故原因を明らかにして再発
防止に努めることを要求していく会となっている。

 この「8・12連絡会」の事務局長である美谷島邦子さんは、仲間とともに
社会に向けて事故の原因究明と空の安全対策の実施を広く訴え続け、少しずつ
ではあるが、社会を動かし、航空会社や政府の考え方を修正させていき、遺族
に寄り添った政策がひとつずつ実現してきた、その原動力になって動いてきた
人だ。

『御巣鷹山と生きる −日航機墜落事故遺族の25年−』(美谷島邦子著)
(新潮社)(2010年6月25日初版発行)

 本書は、美谷島邦子さんが事故を風化させたくない、という一点によって書
かれた書籍である。今年は2017年。そして事故が起きたのは1985年。もう32年
も前になる。 520人という大勢の人が一瞬にして命を喪った。東京と大阪を結
ぶ夕方の便ということでビジネス客が大勢搭乗していた。夫や妻、父や母、子
を喪った家族の苦悩は計り知れない。著者の美谷島さんは9歳の息子さんを亡
くした。この事故はいくつかの物語として紡がれている。山崎豊子さんの『沈
まぬ太陽』や、横山秀夫さんの『クライマーズ・ハイ』は映画化もされている。
映画では、お母さんが息子さんの手を引いて搭乗口まで一緒に来て、航空会社
の地上勤務の女性にその子を託して、手を振って「いってらっしゃい」「いっ
てきます」と別れるシーンがあるが、そのシーンのモデルが美谷島さん親子で
ある。息子さんの名前は健ちゃんという。

 事故の後の状況は経験した者でないとわからない。でも想像することはでき
る。一緒に寄り添うための指針にもなる。本書は苦しむ人たちに対して、私は
何ができるのだろう、という最初の疑問を提示してくれる。

 さらに本書は安全対策や慰霊の問題、責任の所在、遺族の心のケアなどのさ
まざまな問題を読者に対して提示し、「8・12連絡会」の25年間の歴史資料
でもある。
 本書を読み、ご遺族のみなさんや関係者のさまざまな努力に敬意を表すると
ともにその行動力に脱帽するのだ。

 美谷島さんの不思議な経験が書かれている部分がある。ある日突然“私の心
の中にストーンと健が入ってきた”と書かれている。2階建ての新幹線をみて、
健ちゃんの知らない車両だ、と美谷島さんは思った途端に、その経験をした。
それは他の人にはわからないことかもしれないが、美谷島さんは“その日から、
健は私といつも一緒にいる、心の中で生きている”と思うようになっていった。
という。美谷島さんが一歩前に進むことができた瞬間なのだろう。このような
経験は実は、それぞれの人がさまざまな形で経験していることであり、それを
意識しているか、していないか。あるいは、そのような潮の変わり目を覚えて
いるかいないか、という差なのかもしれない。むろん最愛の息子さんを亡くさ
れた美谷島さんの深い悲しみには及ぶことはできないが、それぞれの人は一生
の間に家族を亡くしていく。あるいは若かったら大失恋もあるし、就職や受験
に失敗して失意の内に日々を過ごしている人は大勢いる。そういう人たちもこ
の美谷島さんの経験、この潮の変わり目に遭遇しているのではないか、この経
験をして人は前に進む気力を得て、そして一皮むけるのではないか、と思うの
だ。忘れ去るのではなく、自己の体の中、心の中にそれらを吸収してしまうの
だ。もしかするとそのように吸収してしまうことが忘れる、ということなのか
もしれない。
 というふうに思ったのであるが、本書の最後に美谷島さんはこんなことを書
いている。

 「私は、悲しみは乗り超えるのではないと思っている。亡き人を思う苦しみ
が、かき消せない炎のようにあるからこそ、亡きとともに生きていけるのだと
思う。」

 ここまで読み進めて、上記のこと、潮の変わり目とか、吸収することが忘れ
ることなどと思ったことが実は間違いであったことにようやく気づいた。忘れ
ることはできない。吸収してもそれは忘れることではない。共に歩んでいくこ
となのだ。そうやって美谷島さんはじめご遺族は今も歩まれている。そのこと
を理解できたことが本書の読後、最大の収穫と云えるだろう。

 御巣鷹の尾根は、現在、運輸交通災害の聖地になりつつあるという。信楽鐵
道列車衝突事故(1991年)、名古屋空港での中華航空墜落事故(1994年)、福
知山線脱線事故(2005年)、竹ノ塚駅踏切事故(2005年)、さらにシンドラー
社エレベータ事故(2006年)などのご遺族が毎年、御巣鷹の尾根に集うという。
慰霊は記憶だ。慰霊することで、ご遺族は亡くなった方々と共にいることを確
認する。そして、われわれは事故を思い出し、事故を風化させず、安全対策を
怠らないことを誓うのだ。そのために慰霊がある。慰霊はご遺族だけのもので
はない。私たちこそ、慰霊という行為が必要だと思う。

 大災害には、慰霊のためのしくみが必要だ。ご遺族の心を癒やし、再発防止
や安全対策を考える拠り所となる。過去の慰霊場所は、たとえば原爆ドームが
真っ先に思い浮かぶ。関東大震災では、最大の死傷者が出た被服工廠跡地に東
京都の慰霊堂が建つ。その流れで云えば、建築物や被災遺構の保存という方法
ではないものの、この御巣鷹の尾根は充分に慰霊のしくみになっているのでは
ないだろうか。かなり深い山の中にあるので、巡礼者は一歩一歩時間を掛けて
進むことがすなわち慰霊の行為になっているのだろうと推測される。

 東日本大震災でも慰霊のしくみが必要なのだが、6年と10ヶ月経った今、は
っきりとしたものがまだない。
 美谷島さんは、東日本大震災のとき、児童と教師の74名が津波に呑まれて亡
くなった事故の「事故検証委員会」のメンバーに選ばれている。まさに原因究
明と安全対策、そして慰霊のしくみを考え、社会を動かした人たちの代表とし
てそこに名を連ねているのだろうと思った。
 悲惨な事故と事件を忘れないために私たち、生きている者がやらなければな
らないことは多い。

多呂さ(与党が野党と質問時間を同じにしろ、と要求し、ある程度与党の質問
時間が長くなったという信じられないニュースがありましたが、すでに特別国
会は閉会しており、年明けに通常国会が始まります。どういうことでしょうか? 
とても憤りをおぼえます)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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 前回の号数が間違っていました。すみません。正しくは642号でした。

 先日、コンビニのコピー機で写真プリントを大量にしたのですが、待ち時間
に雑誌でも読もうかと思ったのですが、読むものが無くて苦労しました。とい
うか、雑誌というより安っぽい単行本みたいなものばかりでした。

 雑誌というメディアにも独特の魅力があると思うのですが、その強みを活か
す方法がわからなくなっているのかな、そんな印象を持ちました。(あ)

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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『核DNA解析でたどる 日本人の源流』(斎藤成也著・河出書房新社)

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『ジャズ喫茶四谷「いーぐる」の100枚』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『マスペディア1000』リチャード・エルフィス

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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おにぎりをきっかけに読んだ本
『核DNA解析でたどる 日本人の源流』(斎藤成也著・河出書房新社)

 この本を読んだきっかけ、それは夏に青森に旅行して三内丸山遺跡のレスト
ランで、「縄文古代米おにぎり(200円)」を食べたこと。栗、山菜、赤米な
どが入ったおにぎりは噛み応えがあってしみじみとおいしく、縄文時代を生き
た先祖が私を呼ぶ声を確かに感じました。日本文化というと、一般的には茶道、
華道、能狂言などの伝統的アートや芸能を指すことが多く、その集積地である
京都が日本らしさのシンボルと言われることが多いじゃないですか。「京都は
日本らしさそのものどすええ」と京都の人は鼻を高くするけども、縄文おにぎ
りを食べて以降、「ちがうだろ〜」と思うようになりました。京都で花開いた
文化は比較的新しいものでそれ以前に日本には固有の文化があったのではない
か、日本人でどうやって今の形になったのさ、とつらつら考えていたわけです。

 そんなときに書店で遭遇したのがこの本。この書評始まって以来の理系本で
すよ。大丈夫か、私。自分を励ましながら読み始めました。

 結論から言うと数学3から上は取ったことのないおばちゃまでもまったく読
みやすい本でした。知識ゼロの人のために、第1章と第2章で、ヒトがチンパ
ンジーから分かれて新人が誕生するまでをていねいに書いてくれていますし、
第2章でもアフリカから出た人類が世界中に広がる様子をアホでもわかるやさ
しさで述べています。

 3章からが日本人の起源についての詳細です。

 これまでいろいろな学説が繰り広げられてきましたが、今は科学が進んでい
るから「核DNA解析」で日本人の源流がわかってしまうんですよね。

 もう結論から言ってしまうと、
               
「日本列島に旧石器時代に移住して住み着いた人々は、東南アジアに住んでい
た古いタイプの人々の子孫であり、彼らがその後縄文人を形成した。弥生時代
になるころ、北東アジアに住んでいた人々の1系統が日本列島に渡来してきた」
「この新しいタイプの人々は日本列島に水田稲作農業を導入し、北部九州から
中央全域に移住し、縄文人との混血を繰り返した。これが現在日本列島に居住
する多数派である」(76ページ)。

で、このときに北と南に住んでいる沖縄と北海道のアイヌの人たちは比較的、
混血の機会がなかったため、北海道と沖縄の人のゲノムは似ているんだそうで
す。おもしろ〜い!

 そのほか、実験には空中の微生物が混入してしまうと違うDNAが混じって
研究結果に誤差が出るから実験の部屋は厳密に仕切る話とか研究の予算は何を
使ったかとか、エピソードも興味深い。

 日本人はどこから来たかというテーマって、純粋に人類学的な研究を飛び越
えて、今でいうと皇室がどうたらとか対韓問題とか政治的な思惑が絡む場合が
あるから、文系分野で考えるとかなりややこし感が入ってきます。

 でも、こうやってDNAとかゲノムで研究するとスッキリハッキリして心地
よいものがありますね。

◎「砂の器」でわかる言葉とDNA

 あとおもしろかったのは、出雲地方の人々のDNAを解析した話。予想は地
理的にも歴史的にも(「古事記」の国譲り神話とか)、韓国朝鮮の大陸に近い
ゲノム解析結果が出るかと思っていたけれど、結果、東北人に近かったそう。
そのとき著者はすぐに「砂の器」を想起したといいます。

 おばちゃまも読んでてすぐに松本清張の名作「砂の器」を思い出したわ。

「砂の器」は、犯人が東北弁をしゃべっていたことを手がかりに捜査を進めて
暗礁に乗り上げるのですが、実は出雲弁と東北弁は似ていることから出雲地方
を捜査して解決する話。DNAと方言の近似は関係があるかどうかは現在は不
明ですが、実におもしろい。

 著者の斎藤成也氏は1957年生まれでおばちゃまと同世代。ということはもし、
若いころ「砂の器」を映画で見たならば、きっと加藤剛主演で見たんでしょう
ね。どうでもいいが、あの映画で新人刑事役をやっていた新人俳優・森田健作
は今や知事! そんなことも思いながら楽しく読ませていただきました。

 多くの方に読んでいただきたい一冊です。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#89『ジャズ喫茶四谷「いーぐる」の100枚』

 若き日の中上健次がジャズ喫茶に入り浸っていた新宿からほど近い四谷にも、
その少し後、1967年に開店したジャズ喫茶がある。
 たまたま空いたスペースを使って、大学生だった本書の著者が始めた「いー
ぐる」である。
 そのスタートのきっかけは、以前紹介した新宿ピットインにちょっと似てい
て、あの時代らしい偶然性を感じる。

 ジャズ喫茶はいまや絶滅危惧種であるが、四谷駅前の「いーぐる」は尚健在。
今年はちょうど50周年に当たるはずだ。
 そして10年前、つまり40周年に当たる2007年、店主の後藤雅洋がディスク・
ガイドの体裁を取って、その歴史を綴った本書が出た。『ジャズ喫茶四谷「い
ーぐる」の100枚』である。

 ジャズ喫茶というのは特殊な空間だ。そしてそれは、どうやら日本に固有の
ものらしい。
 それが、ひとつの音楽シーンとして成立していたことは、日本のジャズ受容
史において極めて重要なんじゃないだろうか。

 小西甚一という人の書いた、全6巻だったかの、長大な『日本文藝史』とい
うのを読んだことがあるが、その中でも日本文化の特質のひとつに、外国文化
の巧みな受容が挙げられると、繰り返し強調されていた印象がある。

 極東の果てに位置する島国という地理的条件もあるだろうが、とにかく異文
化を積極的に取り入れ、オリジナルとは違う形で自分のものにしてしまうのは
日本のお家芸。例えば、かつて必須教養とされた漢詩に、独特な節をつけて語
る詩吟というものがあるが、数年前に芸人のネタとして一瞬注目を浴びたあの
芸能も、日本独自の文化であって本場中国にはないらしい。

 音楽も事情は変わらない。

 いろいろな音楽が海の向こうから入ってきて、この国の何でも取り込み、消
化してしまう「和」の胃袋によって本家とは違う発展を遂げている。

 文化史を見る時、どうしてもわれわれは作り手に着目するわけだが、受け手
があってこその文化である以上、「受容史」もそれに劣らず重要だ。特に日本
においては、本場の文化をどのように受け入れ咀嚼したかによって、その後の
日本発のオリジナリティが決定されているような気がする。

 初期の段階で、誰が、どのようなものを優れていると評価し、学ぶべきもの
としたかで、その後の基礎となる価値観が構築されるからだ。

 一人の優れたリーダーが、受容の方向性を決定づけることもあったのだろう
が、日本の場合はそれよりも、ある「場」があって、そこに集うさまざまな人
が意見を交わし合いながら、全体として方向が何となく定まっていくことが多
いような気がする。

 それは多くのビジネス書で指摘される、この国の合議制による決定の「癖」
(池田晶子風に「へき」と読んでください)と重なっていると思う。

 ジャズにおけるジャズ喫茶も、まさにそんな「場」として機能していたので
あり、だから本書は、ジャズの受容史を語る上で、今後欠かせない一冊になる
だろう。

 ぼくはジャズを聴き始めたのが極端に遅く、齢四十の手前、90年代の後半か
らなので、勢いモダン・ジャズに関しては、後からジャズ史を通して名作とさ
れるものをランダムに聴くしかなかった。そのため、リアルタイムのモダン・
ジャズ体験がない。

 ジョン・コルトレーンで言うなら、ビ・バップの延長線上にあるデビュー作
『ジャイアント・ステップス』が「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれて有名
だと知ってまずこれを聴き、その後フリー・ジャズへと進化して行ったと知っ
て、後期の名盤『至上の愛』を聴いたものの、その間にもいろいろなアルバム
があるにも関わらず、一切をかっ飛ばしてまるで知らなかったりするわけだ。

 しかし、本書には、コルトレーンと言えば、一時期『クル・セ・ママ』とい
うアルバムが、あらゆるジャズ喫茶で日がな一日かかりまくっていた、などと
いう記述がある。

 実は前回紹介した中上健次の『路上のジャズ』でも、このことは言及されて
いたのだが、にもかかわらず、いわゆるジャズ史にはこのアルバムがほとんど
登場しない。

 その理由を、著者はこう書いている。
「要するに、ハズカシイのだと思う」と。

 『クル・セ・ママ』は、コルトレーンの作品の中でも、とりわけ熱くて、し
つこくて、狂信的で、真夏に大音量で聴くと暑さとも相まって怪しい脳内物質
が分泌し、わけもなくコルトレーン信者になってしまう、そんな音楽なのであ
る。そのおかげで、理解もしていないくせにこのアルバムに夢中になってしま
った昔の自分が、冷静に振り返ってみるとこっ恥ずかしいから、誰もが口を閉
ざすのだ、と本書にはある。

 この辺り、まさに現場を知らないと書けない、貴重な証言と言えよう。

 また、ジャズ喫茶同士の競争という点も、面白い視点である。
 いまではとても想像できないが、狭い地域にジャズ喫茶が軒を連ねていれば、
確かに競争になるだろう。そこで店の独自のカラーを出すべく選曲に努力する。
よその店に偵察にも行く。
 ことに著者は、ろくにジャズを知らない学生の時に店を始めているから、余
計に周りから学ぶ必要があったという。

 逆に、土地柄と言おうか、来る客層によって、店のカラーが決まってくる側
面もある。
 「いーぐる」の場合、何と言っても上智大学の存在が大きい。これは新宿に
多かった早稲田系のバンカラ文化とは一線を画す、慶応系に通じるハイソな学
生文化であり、それがリクエストにも反映する。

 ジャンル的にも、上智には「ニュースイングジャズオーケストラ」があり、
そのメンバーが訪れるので、ビッグ・バンドがよくかかる、という特色も生ま
れた。

 そして、やはり時代である。

 中上健次が体験した新宿騒乱よりは数年後ではあるが、それでもジャズ喫茶
には学生活動家のたまり場という性格も残っており、街頭デモに出撃する時の
集合場所であったそうだ。
 学生ゲリラが小学校の遠足よろしく、一旦「集合」してからデモに繰り出す
というのも、なんだかゲリラっぽくなくて微笑ましい気がするが、実際にすぐ
傍で火炎瓶が爆発したらそんなことは言っていられまい。

 もちろん著者も、店の目の前で火炎瓶が投擲されるのを目撃している。

 そうした緊迫感の中で、モダン・ジャズの、ひりひりするような緊張に満ち
た激しいアドリブの嵐を聴くことは、やはり静かな自室のオーディオで一人ゆ
ったり聴くのとでは、まったく異なる音楽体験だったはずだ。

 新宿ピットインで繰り広げられた日本人ジャズメンの生演奏と、四谷いーぐ
るのスピーカーから溢れ出た海外ジャズメンのレコードが、あの時代の夜の空
気を同時に震わせていた。

 その混沌を経験し損なったのは、やはり何とも残念である。

後藤雅洋
『ジャズ喫茶 四谷「いーぐる」の100枚』
2007年12月19日 第一刷発行
集英社新書

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
今月はまたもや札幌へ。もちろん月光グリーンのライブを聴くためです。今回
のハコは、有名な繁華街すすきのにありました。ラブホが並ぶ一角に、なぜか
お笑いライブの店と同じビルの最上階、という、ちょっと変わったロケーショ
ン。しかし、すすきのの猥雑感とロックは合いますな。ファン層も、心なしか
東京ライブより大分若い気がします。そりゃそうだよね、若者が東京までライ
ブを見に行く余裕はないでしょう。追っかけは、大人の特権でございます。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『マスペディア1000』リチャード・エルフィス
(ディスカヴァー・トウェンティワン)

 その昔、日本の多くの家には百科事典があった。だいたい客間とか応接間の
リビングボードの中に鎮座していて、その多くが読まれることなく飾りとして
置いてあった。

 インテリアとして買われたからだろう。全10巻〜20巻を揃えると10万以上は
していたと思うが、飛ぶように売れて出版社はホクホクだったと、昔何かで読
んだ記憶がある。

 現代のリビングには百科事典はまず置いていない。それ以前に本自体置いて
ないのが実情だろう。でもインテリアとしての本の需要は、今は全くないのだ
ろうか?

 「マスペディア1000」は、1000の項目について書いてある数学辞典である。
数学に関心がない人は普通買わないと思うが、ネットで表紙を一目見て、ただ
ならぬ雰囲気を感じて不見転で注文してしまった。もっとも、かなり高価であ
る。

 http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799320204

 注文した本がやってきて、実際に本を手に取ると、自分のカンは当たってい
た。豪華ではないが、美しく作ってある。ちなみにこの本はシリーズ化されて
いるようで、この本は第二弾。最初の本は「サイエンスペディア」で“世にも
美しい事典”と言われていたそうだ。

 読む数学辞典と帯にあるように、図版は数学辞典として相応にあるけれど、
基本は見る本ではなく読む本だ。だが、本の装幀が魅せる。

 黒を基調に金属を想起させるバーコードっぽいデザインが何段も重ねられ、
中にアクセントとしてブルーが入る。各バーコードの右には大項目の英語タブ。
要するにバーコードの段数はイコール大項目の数なのだ。

 本文の紙も単なる白だけではなく藤色や淡いグリーンも使われている。それ
もデザイン重視で本を手に持った時に紙の束の側面にきれいなストライプが見
えるように計算して“白→グリーン→藤色→グリーン→白”という配置になっ
ていて、中心となる藤色のストライプは4本走っている。だから小口や天地か
ら本を見ると真っ白ではなく、藤色を主体としたストライプが見える。しかも、
どういう名前の紙なのか知らないが、裁断面が多少の光沢を出す紙を使ってい
るから、高級感を感じる。

 そう、この本は内容を云々する前に、所有する満足感を得られるアクセサリ
ーとしての造本設計にとても力を入れている。電子書籍も出ているが、電子書
籍を買うか、紙の本を買うかは、紙の本の実物を見てから決めるべきだと思う。
おそらく、紙書籍の方が買ったあとの満足感は高いはずだ。

 内容はと言うと、大分類で、数、幾何学、代数学、離散数学、解析学、論理
学、超数学、確率論と統計学、数理物理学、ゲームとレクリエーションの10項
目。もうこの段階で挫折しそうである。

 実際、ぱらぱらめくってみても、初めて聞くような用語の解説がたくさんあ
る。「図書館員の悪夢の定理」とか「超準解析」とか、わけわからんw 現実
に読みこなすには、おそらくは大学で数学を専門にしたような人でないと難し
いのではないか。

 しかし、そんなことはどうでもよいのだ。いつかわかるようになればいい。

 たとえば、古典の名著など、中高生の時に読んでもさっぱり分からなかった
と言う人は少なくないだろう。そんな本でも20代や30代になった頃に読めば、
すんなり理解できることも多い。また、20代に読んだ本を40代に読んだら印象
が変わったり、もっと深いところまで読みこなせることもある。「ああ、この
文章は、ホントはこういう意味だったんだ・・・」とかね。

 わからない本だから買わないのではなく、いつかわかるようになるために買
う。そういう本の買い方があってもいいでしょう?

 もともとこの本は事典であるから、600ページ近い内容を最初から通読する
人はそういないだろう。興味のある、自分のわかるところから拾い読みしてし
ばし放置し、また何かのきっかけでどこかを読むと言うのが、たぶん一番多い
読み方だろうと思う。それゆえ長期間手元にある本なのだから美しいにこした
ことはない。

 百科事典より読まれる本ではあるだろうし・・・ねw

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 いよいよ寒くなってきましたが、天気が良いと青空がどこまでも高くて気持
ちが良いですね。

 空気が乾燥して、風邪もかなり流行っているようです。皆様もお気をつけく
ださい。(あ)

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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→週刊プレイボーイと漫画についての一考察

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→帝都防衛の変遷をみる・・・大規模自然災害対策に活かせるか?

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→知らないことを知る

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 まころんさんに、『脳疲労が消える最高の休息法 CDブック』(ダイヤモン
ド社)の書評を書いていただきました。

「慣れるとすっきり!」

これまでとは違う組織体制や役割になったこともあって、今までとは違う脳の
使い方をしているのか、いつも頭がしびれたような疲労感がありました。眠り
も浅く、会社の中でも外でもイライラしていたため、ストレスで倒れる前にこ
の本とCDを試してみようと思いました。瞑想も試してみましたが、続かなか
ったので……

はじめのうちは緊張していたみたいで、まったくリラックスできませんでした。
ナレーションも、何度も同じことを聞かなければならない(特に最初のほう)
のが苦痛で、実は少しの間投げ出していました。ただ、ナレーターの声や話し
方は耳に心地よく、聞いた後には思い出せないくらいの癖のなさなので、野球
のドラフト会議のナレーションみたいだったら嫌だな、という心配は解消され
ていました。

(続きはこちらで…)
 https://www.amazon.co.jp/gp/review/R167NJEJ8Z4HB4/

 ありがとうございます!

 読者書評はまだまだ募集中です。

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<95>週刊プレイボーイと漫画についての一考察

 「松本清」という太ゴシックの三文字が、デカデカと表示されたパネルが目
についたのは、京都の四条通だった。
 ドラッグストアの店頭に掲げられたそのパネルは、「マツモトキヨシ」の中
国語表記…であるらしいと知れたが、しかし…

 店側は中国語表記のつもりでも、中国の人がこれを「マツモトキヨシ」と読
めるか?
 という疑問が、ふと湧いた。
 多分、「ソンペンチン」と読んでしまうのではないだろうか?

 だがしかし、マツモトキヨシとしては、なんと読まれようとも「松本清」と
いう固有名詞を憶えてもらえれば、「それでいいのだ!」かも、と思ったのは、
昨年の、やはり京都でのことを思い出したから。

 同じ四条通だった。
 赤信号で立ち止まった交差点で、中国人観光客らしき男女4人ほどのグルー
プに道を尋ねられていたのは、サラリーマン風の男性。
 と、その男性が、隣に立ち止まったわしの方へふいに振り向き、困惑の態で
尋ねてきた。

 「あの〜〜、この人たち、なんか“ターパン”ってとこに、行きたいそうな
んですが…」
 「は? ターパン?」
 「はい…多分、店かなんかだと思うんですが……ご存じないですか?」
 と言われても、皆目見当もつかないので、そう答えた。
 「はあ、そうですか」と、サラリーマン氏は大きなキャリーバッグを抱えた
グループのリーダーらしき人に向き直り、英語で「ソーリー、わからない」と
伝えて、交番の場所を教えていた。

 「ターパン」の正体は、それから3か月後に判明した。
 たまたま見ていたテレビのニュースショーで、大阪ミナミにある、中国人観
光客に人気だというホテルを紹介していたのだ。
 で、その宿泊客の一人に、レポーターは大阪の印象尋ねていたのだが、上機
嫌でインタビューを受けている中国人のおじさんの会話の中に、やたらに「タ
ーパン」が連発されるのだ。

 で、気がついた。
 「ターパン」は、「大阪」なのだった。
 あの京都での中国人たちは、大阪への行き方を尋ねていたのだった、と、よ
うやくにわかったのであった。

 地名や人名に関しては、漢字表記を日本、中国それぞれの原音ではなく、そ
れぞれの音で読むのが、なんでか日本−中国間でのみ、慣例化されてますから
ね。
 だから、習近平は、日本では「シュウ・キンペイ」だし、安倍晋三は、中国
では「アンペイ・チンサン」だし。

 ふと気になって調べてみると、「トヨタ」「ホンダ」は中国では「豊田(豊
は簡体字)」「本田」と表記して、それぞれ「フェンティャン」「ペンティャ
ン」と読み、「マツダ」は「馬自達(馬・達は簡体字)」で「マツダ」と読ま
せているそうだ。

 マツモトキヨシもまた、「ソンペンチン」と中国人に発音しやすい名前で憶
えてもらえれば本望なんだろう。

 そんな、チントゥー…いや京都からの帰り、電車の中吊りに「週刊プレイボ
ーイ」の広告を見つけたのは、ついこないだ。
 おお、月刊の「PLAYBOY」は、とっくに休刊したというのに、こちらはまだ
頑張ってたのね、と妙な親しみと感慨を抱いてしまった。
 「週刊プレイボーイ」、ライバル誌の「平凡パンチ」とともに、中学高校の
ころには本屋の立ち読みで、ずいぶんとお世話になったものです。

 確か、わしらが高校生の頃に、「プレイボーイ」と同じ集英社から「日本版
PLAYBOY」が創刊されて、大学生になったころには、もっぱらそっちを買って…
と言っても毎号ではないけど…いたのだけど、同じ下宿で隣の部屋の、宮崎県
出身でわしより1学年上のクマダさんなどは、高校時代からの「週刊プレイボ
ーイ」愛読者で、部屋には、そこから切り取ったピンナップ(「キャンディー
ズ」と「アグネス・ラム」だっけか…?)なども壁に貼られていたりした。

 あ、そう言えば、キャンディーズもアグネス・ラムも、わしと「同級生」な
のだった…というのは、どうでもいいですね、はい。

 あのころ…というのは、わしらが「若者」だったころ、この「週刊プレイボ
ーイ」「平凡パンチ」、それから「GORO」なんてのもありましたっけ、これら
の雑誌のメインの読者層というのは、10代後半から20歳代前半の男性だった、
と思う。

 ところが、今や唯一の「生き残り」である「週刊プレイボーイ」の読者層の
メインは、なんと「30〜40歳」だ…というのを、ふと気になって調べたネット
の「媒体資料」で知って愕然とした。

 で、ただ今の「週刊プレイボーイ」、その誌面は、いったいどうなっておる
のか? と、買ってみたのは、「創刊51周年記念月間特大号 第4弾」と銘打
たれた2017年11月6日号。定価は税込480円…た、高い…

 表紙と巻頭グラビアは、「欅坂46」。おお、特大ピンナップも健在で、こ
ちらも欅坂。
 グラビア含めた誌面構成は、まず「オンナ」そして「クルマ」「スポーツ」
ときて、合間合間にエンタメと時事ネタ、社会ネタ、巻末には(きちんと)ヌー
ドグラビアも健在…で、その昔とまったく変わらない。

 昔と変わってない、のが、ただ今の読者層に若者がいない理由じゃないか、
と気がついた。

 わしが学校で接する男子学生諸君は、「(生身の)オンナ」「クルマ」「スポ
ーツ」には、まるで関心がない。
 増して、時事ネタや社会ネタは、彼らにとっては遠い異次元の出来事でしか
ない。
 ためしに、教室でこの雑誌を見せたところが、大半の学生がその存在自体を
「知らない」と言うのであった。

 「オンナ」「クルマ」「スポーツ」と並んで、かつての週刊プレイボーイの
もうひとつの柱は、「漫画」だった。
 週プレには、昔からストーリー漫画が連載されていた。
 ライバルの「平凡パンチ」には、他の一般週刊誌と同じく、ギャグのコマ漫
画こそ創刊当初から連載されていたが、ストーリー漫画が連載され始めたのは、
ようやく80年代に入ってからだった。

 今では別に珍しくもないが、一般週刊誌でストーリー漫画を連載したのは、
週プレが最初ではなかったかな?
 中でも、70年代の『修羅雪姫』(小池一夫・原作/上村一夫・画)と80年代
の『俺の空』(本宮ひろ志)は、ともに映画化もされ、大ヒット作であった。

 『修羅雪姫』は、後に、クエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』
の原案となった。
 小学校で同級生だったカズヤくんは、『俺の空』の主人公・安田一平に心酔
してたので、最近生まれた長男には「一平」と名付けた、と、1985年頃、久し
ぶりに会ったわしに、嬉しそうに話してくれた。

 漫画雑誌を買うのは、漫画を読むのが好きな人だ。
 言い換えると…言い換え過ぎて極論かもしれないが…漫画雑誌での連載漫画
は、漫画好きな読者にしか読まれない。
 だから、一般誌での連載漫画がヒットし、漫画が格段好きでもない読者に読
まれることが、漫画のすそ野を広げる一助となってきた、と思うのだ。

 が、最近の漫画で、一般誌の連載からヒットにつながった作品、というのは、
「週刊アサヒ芸能」連載の『めしばな刑事タチバナ』くらいしか思い浮かばな
い。

 漫画が、漫画雑誌という「囲いの中」に閉じこもってしまうと、ますます閉
塞し、縮小の道を歩んでしまうんじゃ…という危惧は、あながち的外れではな
いと思う。

 今回買ってきた週プレにも、やはり漫画は連載されている。
 猿渡哲也『TOUGH外伝』。
 90年代に『高校鉄拳伝タフ』として「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まり、
その後シリーズ化されて、長く同誌で連載が続いていた格闘技漫画の続編であ
る。
 かつて「ヤンジャン」誌上でこれを読んでいたであろう、ただ今の「30代〜
40代」という読者層には、ぴたりと嵌まる作品なのだろうけど、自社の他媒体
からの続編…「借りもの」でお茶を濁すというのは、あの「週プレ」らしくな
い、と思うのは、わしだけ?

 それと、今回買った「週プレ」をパラパラとめくりつつ眺めるうち、「なん
か変」な違和感が…と思ったら、広告だった。
 あるべきところに、あるべき広告が「ない」のだ。

 まず「表4」に広告がない。「表2」も広告はなく、表2から続く見開きの
グラビアは「創刊51周年記念」のTシャツプレゼントのお知らせ。
 「表3」に辛うじて「GREE」の広告が入っている。
 中のカラーページでも、広告はたいていが集英社の自社広告。

 これは、一般誌としてはあり得ない事態ではなかろうか。
 480円と、週刊誌としてはいささか高い定価も、これなら納得だ。
 納得はできても、この定価で週刊誌を買う気には、ならんだろうけど。
 ことに、わしらの頃には最大の読者層だった「20歳前後・男」は、まず買わ
ないだろう。
 さきの媒体資料によると、発行部数はおよそ22万部。全盛時でいくらあった
かは知らんが、多分、半減以下には落ちてると思う。

 出版不況の元凶は、雑誌が売れないことだ。
 雑誌が売れないから、その主たる収入源である広告が集まらないという構図
は、昨今のTV界と同じ。

 紙の雑誌の存続が、ますます難しくなっているけど、電子であれWEBであ
れ形はどうあれ、「週プレ」には、漫画を、できれば「借りもの」ではなく、
オリジナルの漫画を掲載し、新しい(若い)読者層を取り込む努力を続けてい
ただきたい、と思う。

 普段買いもしないし読んでもない外野からの、まことに勝手な言い分ではあ
るが、はるか後方の外野から、週プレに励ましのエールを送って、この稿を〆
ようと思う。

 がんばれ頑張れ、週プレ! ハダカもいいけど漫画もね!

 あ、そうだ。英語「PLAYBOY」の中国語表記は、音訳ではなく意訳で「花花
公子」なんだそうだ。

 加油! 週刊花花公子!


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第95回 帝都防衛の変遷をみる・・・大規模自然災害対策に活かせるか?

 阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)の惨状をみて、70数
年前の空襲などの戦災をイメージした人は多いと思う。すべてが焼き払われて
いる(あるいは流されている)様子は、戦争を体験していない人々でも写真を
比較してほとんど同じ状況だなぁ、という感想を持つに違いない。

 特にいま心配されている、首都直下型地震において、東京という街がどんな
様子になってしまうのかを想像する上で、過去に経験した自然災害や戦争に対
する対策と被害状況をみてみることは、すこぶる有益なことということになる。
まさに歴史を知ることは将来への対策になるのである。

 首都のことを戦前は「帝都」と云っていた。幕末・維新(1868年)から終戦
(1945年)までの東京の守り、防衛体制はどのようになっていたのかを知り、
防災対策・災害後の復興対策のヒントになるいい本がある。

『帝都防衛 −戦争・災害・テロ−』(土田宏成 著)(吉川弘文館)
(歴史文化ライブラリー452)(2017年9月1日初版発行)

 本書は、江戸幕府によるお台場構築から始まる。“街を防衛する”というこ
とについては、ペリー提督の来航までは、ずっと国内の敵から街を守る、とい
う発想しかなかったが、大砲を備えた蒸気船が太平洋を越えてはるばるやって
きたとき、人々は海からの敵から街を守らなければならない、ということに気
づいた。それで東京湾に大砲の陣地(台場)を構築していくのである。

 帝都となった東京を外敵から守るのはもっぱら、海からの備えをしていれば
よかったのは日清・日露戦争まで。第一次世界大戦のとき、飛行機が登場して
空からの敵にも備えなくてはならなくなった。

 しかし帝都の防衛は外敵だけではないのである。
 自然災害(関東大震災)と暴動(日比谷焼打事件など)とテロ・クーデター
(2.26事件など)などからも帝都を守らなければならなかった。

 実際、帝都に配備されていた軍隊は、帝都において一度も外敵と戦ったこと
はなく、帝都での動員は同じ日本人を取り締まるためのものだった。日露戦争
後の講和に対して不満を爆発させた群衆を取り締まるために軍隊が出動する
(明治38年(1905年)9月5日)。関東大震災後の無秩序な混乱の中で、朝鮮
人の大虐殺が行われ、それを阻止し秩序を回復させるために出動する(大正12
年(1923年)9月1日)。情報が不足していたこの時代。思い込み(流言や蜚
語)ほど恐ろしいものはない。朝鮮人虐殺事件はもっともっと情報があれば、
起こらなかった事件と云えるかもしれない。関東大震災のとき、日本人はまだ
ラジオを持たなかった。ラジオ放送自体が存在しなかった。実際に、執筆子の
祖母(明治25年(1892年)生まれ)は死ぬまで、朝鮮人が井戸に毒を投げ入れ
たと信じていた。この間違った考えを覆すことができなかったのは、とても残
念なのである。

 さらにクーデターも起こる。帝都防衛を任務としている第一師団の一部が反
乱を起こし、政府要人を暗殺して政府の転覆と新政府の樹立を目標としたこの
事件に対して、軍隊は同じ武力で立ち向かった(昭和11年(1936年2月26日))。

 昭和20年(1945年)8月15日の終戦後、最も心配されたのは、終戦=降伏に
反対し、徹底抗戦を叫ぶ身内の軍隊の反乱であり、そのために帝都はただなら
ぬ緊張の中にあったという。実際に、一部の兵士たちは決起しており、それを
取り締まったのも同じ帝国陸軍の兵士たちであった。
 こうしてみると、戦前は実にさまざまな出来事があり、人々は若く、体の中
に溜めたエネルギーの持って行きどころがなく、それが暴動やクーデターなど
の負の行動に出てしまったんだろう、という観察もできる。

 さて、帝都における最大の危機は、云う間でもなく戦争末期の空襲である。
敵は容赦なく民間人を殺戮した。敵との技術の差は、歴然としている。さらに
帝都東京は木と紙でできている。一夜にして10万人の人々が空襲によって命を
落としたのは、昭和20年(1945年)3月10日の未明のことだった。

 政府の方針も間違えていた。最後まで焼夷弾を消すこと(初期消火)を住民
に強いていたので、人々は避難をしたくてもできず、そこに踏みとどまり、迫
る炎に対する恐怖と戦いながら、火を消そうとする。…そんなことできるわけ
がない。
 なんということだろう。敵の理不尽な攻撃と政府の間違った方針により、何
人の人々が死ななければならなかったのか。想像するだけで怒りがこみ上げて
くる。

 その場に踏みとどまる、という発想は実は現在の防災対策でも云えるかもし
れない。東京都の方針として、人々は自分たちの力で自分たちを守るように云
っている。被害が大きすぎて、公的な救助はお手上げ状態。ならば住民同士で
命を守り、命を繋いで行こう、ということだ。それはそれで仕方がないし、快
適に過ごすためにさまざまな装置が隈なく身の回りに張り巡らされた私たちの
生活では、生存への強い行動は起こせなくなっている。現代の都民は、寝床と
餌を与えられなければ何もできないペットのようだ。ここで生きる力を取り戻
そうとするためには、あらためて身の回りを振り返り、いざと云うときのため
に備えなくてはいけない。

 そのためにあの時代。あの空襲の時代をもっと研究しなくてはいけないし、
経験者の話を聞かなければいけないと思うのである。

 首都を何から守るのだろう? 外敵や自然災害、そして群衆。さらに病原菌
からも守らなくてはならないことになるのかもしれない。
 いつの世もたいへんなのだ。自分の身は自分で守らなければいけない。その
ために我々は歴史を学ぶのだ。


多呂さ(身近な問題として殺人鬼からも身を守らなければならないのです)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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77 知らないことを知る

 10月に入ってからの台風、被害にあわれた地域の方々にお見舞い申し上げま
す。

 毎年、いままでにない気象が起こり、各地で日常が突然奪われてしまう。
 さまざまな状況の中でできるだけ冷静に対処し、明るく過ごす事の大事さを
思います。

 こういう時はじっくり本を読む。
 読んでいろいろ考える。

 今月はじっくり時間をかけて読む、長編作品をご紹介します。

 『灰色の地平線のかなたに』 
 『凍てつく海のむこうに』
 ルータ・セペティス作 野沢佳織 訳 岩波書店

 今年2017年カーネギー賞を受賞したのは『凍てつく海のむこうに』

 イギリスの図書館協会が年に1度、児童・ヤングアダルト向けのすぐれた
作品に贈る賞です。

 ルータ・セペティスの作品は2012年に『灰色の地平線のかなたに』が翻訳さ
れています。
 2冊続けて読んでみました。

 『灰色の地平線のかなたに』

 第二次世界大戦中のリトアニアで、15歳のリナはソ連の秘密警察につかまり
シベリアの強制労働収容所に送られてしまいます。
 父親は別の場所に連れていかれ、母親とリナ、弟のヨーナスの3人は、集団
農場(コルホーズ)で働かされることになりました。
 つらい長旅のあと、厳しい農作業の労働を強いられる中、リナはいつか父親
と再会し、画家を再び目指せることを未来に描き、現実を耐え抜きます。

 文字を読みながら映像をみているかのような描写に、息をつめて読んでいる
自分がいました。

 過酷な環境の中、自分を守ることで精一杯になりがちな場においてリナの母
親が常に他者に対しての思いやりをもっている姿も心を揺さぶられました。
 
 作者、ルータ・セペティスは歴史上であまり語られていなかったできごとを
物語にして差し出します。

 ナチスのユダヤ人虐殺は多く語られてきている一方、同時期にスターリンが
率いるソ連がバルト諸国のみならず自国の市民も逮捕し、シベリアに追放して
きたことはそれほど知られておらず、これに光をあてて書いたのが本作です。

 生き延びたいという強い気持ちをもつリナの生き方に圧倒され、ここまで追
い詰める戦争の罪深さを忘れてはならないと強く思いました。

 続けて
 『凍てつく海のむこうに』を読みました。

 リナの従兄弟ヨアーナが主人公です。

 『灰色の〜』でもヨアーナについて語られることはあっても、本人は登場し
ていません。ヨアーナもまた、リナと同じように強い少女でした。

 第二次世界大戦末期、ソ連軍の侵攻がはじまるなか、ナチス・ドイツ政府は
孤立した東プロイセンから、バルト海を経由して住民を避難させる「ハンニバ
ル作戦」をとります。

 その史実を背景に、作者は海運史上最大の惨事とよばれる〈ヴィルヘルム・
グストロフ〉号のことをヨアーナ含む4人の若者たちの視点でフィクションを
紡ぎました。

 大人がしている戦争に巻き込まれるこどもたちが、どんな思いを抱いていた
のか、物語を読むことで、私たちは想像し、そうでない未来をつくっていかな
くてはと意識するようになるのでは。

 知らなくてはいけないことを知ること。
 意識していないと、知っている世界はごく狭いものになってしまう。
 知ろうと意識すること、
 物語の世界は、それをみせてくれます。

 2冊あわせて6センチ近い厚みをもつ物語は、読むのにちょっとひるんでし
まうかもしれませんが、読み始めるとあっというまに歴史の世界へ誘います。
 ぜひ読んでください。

 
(林さかな)
会津若松在住。
http://1day1book.strikingly.com/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
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・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

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・希望の書籍名:
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6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 11月になり、今年も残すところ2か月となりました。早いもんです。

 と、師走の影がちらついてきたせいか、何やら急激に忙しくなって参りまし
た。

 このまま年明けまで突っ走りたいと思います。(あ)

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#88『路上のジャズ』

 中上健次は、苦手である。

 いま、某カルチャースクールで文章教室の講師をしているのだが、もし中上
健次が生徒で、その文章を添削したら、真っ赤になるだろう。

 じっくり読んでいると、あちこちで躓く。意味不明な箇所すら、ある。だか
ら、転ばないように、適度なスピードで読み流す。すると中身が頭に残らない。

 本書には、自身が書いた詩の一部が引用されたり、詩的な断章からなる一文
があったりするが、イメージも湧かないし、意味もよくわからない。いずれも
青春特有の自意識の塊のようなこっぱずかしさしか感じない。まあ、ぼくはそ
もそも詩がわからないし、ごく少数の詩しかいいと思ったことがないので、評
価する資格はないのだが。

 だから、本書『路上のジャズ』を、中上文学の一冊としてではなく、紀州か
ら上京してきたばかりの、ある無名の若者の目から見た、新宿騒乱前後のあの
時代、1960年代半ばの、一断面を切り取った「記録」として、ぼくは読む。
 そしてそこに、ジャズというものが、ある種の人々が送っていた生活の中に、
リアルに存在していたことを知るのである。

 前回取り上げた、建築家、石井和紘に関する本、『ジャズィな手法』に入っ
ている相倉久人の論考には、「ジャズ」という言葉が音楽用語を超えて、時代
の象徴となったことが歴史上、二回あり、一回目は1920年代のジャズ・エイジ
だったが、二回目は1960年代の先進国に起こった文化的・政治的混乱の季節だ
ったと書かれている。

 その二回目の渦中に、18歳の中上健次は、いた。

 先輩に連れられて新宿に足を踏み入れ、以来、五年間にわたってこの街の底
辺をさまよった。
 そこでどっぷりと浸ったのが、さまざまなクスリとジャズだった。

 当時のジャズ喫茶は、行き場のない不良少年の溜まり場で、そこに通う中上
は必然的にクスリを覚えた。睡眠薬や鎮静剤である。当時は規制が緩く、かな
りの薬がスーパーで買えた。身分証明書とハンコは必要だったようだが、処方
箋は要らなかったらしい。
 ハイミナール、ドローラン、ナロン、ソーマニール。

 ぼくはアルコールがだめなので、もしかするとクスリが合う体質かもしれな
い。
 人間ドックで胃カメラを飲む時、鎮静剤を打たれると、ものすごく気持がい
い。
 そのまま寝てしまうこともしばしばだ。
 終わってからベッドでしばらく休んでいる間も、この世とあの世のあわいを
漂うような心地よさが続く。

 あの時代に青春を送っていたら、新宿でクスリにはまっていたような気がす
る。
 阿佐ヶ谷育ちのぼくには、一番近い繁華街といえば、新宿だったのだ。

 中上はクスリを水で飲まない。
 水でクスリを飲む病人は、顔を上げて、口を開いて、おてんとうさまに恥じ
ることなく、クスリを飲む。逆説的だが、健康を目指しているという点で、健
康的だと言う。
 しかし自分は、そういうクスリ飲みではない。だから水なしで、いつでもど
こでも、ばりばりと貪るのだ。

 クスリは苦い。二日酔いに似た苦しみもある。
 中上はそんなことばかり書いているが、もちろん、それだけのはずがない。
 そうでなければ、浴びるほど貪るわけがない。

 そういう意味で、18歳から23歳の中上健次は、あり得たかもしれない、もう
一人の自分だったような気もする。

 だから中上健次の文章が苦手なのだろうか。
 一種の近親憎悪として。

 話が逸れた。
 中上の、もうひとつの惑溺の対象、ジャズに戻ろう。

 この時代のジャズとは、モダン・ジャズとフリー・ジャズである。
 マイルス・デビス(デイビスではなくデビスと中上は書く)、ジョン・コル
トレーン、アルバート・アイラーである。

 ぼくの世代は、辛うじてジャズ喫茶の最後の頃を知っている。

 例えば渋谷の、道玄坂と文化村通りを結ぶ狭い路地に、風俗店に並んでひっ
そりとジャズ喫茶があり、友だちとあまりの寒さに転がり込んだ冬の夜。
 客は皆、沈黙の中でジャズに一心に耳を傾けるのがマナーであることは知っ
ていた。でも慣れないぼくらは、つい小声で会話をしてしまう。
 するとウエイターがすっ飛んで来て、テーブルの上に紙を置いた。
「お静かに!」
 ぼくらは首をすくめて、そそくさとコーヒーを飲み、体がある程度あったま
るや、店を出た。
 その頃、ぼくは歌のない音楽は全くダメで、ジャズなんて、どう聴いたらい
いかわからない、得体の知れないのっぺらぼうのようなものだった。

 あるいは、大学の傍にあったジャズ喫茶。JBLだったか、大きなスピーカ
ーがデンとあった。しかしそこはもっぱらランチを食べに行く場所で、その時
間帯だけなのか、特に沈黙も強制されなかった。

 ぼくは、共通一次試験というものが始まった年に受験して学生になったのだ
が、あの全方位型で、広く浅く知識を問うタイプの試験では、一般に男子より
も真面目な女子に有利で、僕の通った大学も、それまでは一癖も二癖もある、
変わり物の男子学生が多かったのに、共通一次を挟んでがらっと変わり、華や
かな女子大生が急増した。

 だから、あの大学前のジャズ喫茶も、営業方針を変えざるを得なかったのか
もしれない。女子大生に沈黙を強制するのは、ライオンにお手をさせるより難
しかっただろうから。

 だが、中上健次のジャズ喫茶は、まるで違う世界だ。
 不良少年、非行少年の溜まり場だったと言うから、決して沈黙の世界だった
とは思えない。ジャズの流れる中、オイチョカブなどの賭け事に興じ、その一
方で、真剣にジャズを聴き、ジャズを論じてもいたようである。

 そして、常にクスリでふらふらだった。クスリがあったからこその、あのジ
ャズ体験だったようにも思える。

 いや、ジャズに限らず、当時の音楽はドラッグと密接な関係を持っていた。
ロックが、ロックンロールから出発し、ロックとして完成されるために、マリ
ファナを始め、コカイン、ヘロイン、LSDといったドラッグは欠かせない存
在だった。ドラッグ抜きで、サージェント・ペッパーズはあり得なかった。ボ
ブ・マーリィがレゲエを生み出す上でも、きっとガンジャは必須だった。

 ところで、中上健次がはまった音楽がロックでなかったのは示唆的だ。

 というのも、いまの感覚だと、ロックは若者一般の音楽で、ジャズはインテ
リ好みというイメージだが、本書を読んで、当時は逆だったのではないか、と
いう印象を持ったからだ。

 ジャズ喫茶に集まる若者たちには学生もいたようだが、中上の周辺にいた連
中はそうではない。プー太郎や家出少女、落ちこぼれの若者たちだ。もちろん、
予備校からドロップアウトした中上自身も含んで。

 そうした彼らが、アルバート・アイラーのフリー・ジャズを認める認めない
で喧々囂々の議論をしていた。
 そこで聴かれていたジャズは、インテリの部屋の中で厳かに流れる、抽象的
な欲求に応える抽象音楽としてのジャズではなく、路上でリアルに咆吼する、
生活のサウンドトラックとしてのジャズであった。

 だが、それは、あの時代、あの場所だったからこそ聴くことが出来たサウン
ドだった。

 新宿通いから足を洗った中上健次は、日野自動車の工場へ行き、期間工とし
て肉体労働に従事。そうして貯めた金で、ステレオを買う。
 しかし、それで聴くジャズは、もはやあの路上のジャズではなかったと言う。
 ジャズは何かを失い、そしてそれは二度と中上に戻っては来なかったのであ
る。

 本書は3部からなっている。

 第1部は、新宿時代の回想記。
 第2部は、その体験をベースに書かれた中篇小説。
 第3部は、雑誌に連載されたシリーズ・エッセイで、毎回ジャズの曲を1曲
ずつタイトルにしている。この中では最も音楽評論に近いが、もちろん中上自
身の体験も語られている。新宿時代のことも出てくるが、それよりも芥川賞を
取って作家になってから、ニューヨークに一ヶ月ほど滞在した時の話が多い。

 中上健次にとってのジャズは、音楽として独立したものではなく、自分自身
の人生や生活に密着したものであって、切り離しては語れないものなのだろう。


中上健次
『路上のジャズ』
2016年7月25日 初版発行
中公文庫

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
サザエさんの当時、サラリーマンは55歳定年が一般的。波平さんは定年まで後
1年という設定だそうですから、54歳ということになります。ちなみに舟さん
は48歳。石田ゆり子と同い年です。そういう話を最近聞いて、何か途方に暮れ
るような気分になりました。

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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私たちが飢えていたのは「友情」だった
『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の1年」』
(講談社刊)

 もうね、(書評のメルマガやっているのにすみませんが)、本はあまり買わ
ないようにしているおばちゃま。ベストセラーと呼ばれるものは特に敬遠する
傾向。でも、思わず買ってしまった本がこちらです。

 本の内容ですか? それは以下です。

「2010年、雑誌の対談で初めて出会った二人は急速に仲良くなり、やがて親友
と呼べる関係になった。出会ったときはすでに40半ばを過ぎ、二人とも超のつ
く有名人。でも、そんなことは一切関係なく、ただ気のあう男同士として酒を
酌み交わし、家族ぐるみで食事を重ねた。こんな関係がずっと続けばいいーー。
お互い口に出さずともそう思っていた矢先、友・平尾誠二に癌が宣告される。
山中伸弥は医師として治療法や病院探しに奔走。体調は一進一退を繰り返すが、
どんなときも平尾は「先生を信じると決めたんや」と語る。そして、永遠の別
れ。山中は「助けてあげられなくてごめんなさい」と涙を流した。大人の男た
ちの間に生まれた、知られざる友情の物語。」

 はい、アマゾンの紹介文をそのままコピペしました。うまいよねえ。おばち
ゃまはこれを読んだだけで涙が出そうになって、本を持ってレジに向かったの
でありました。

 詠んだら当然、上記のようなことが書いてあったわけですが、読み終わって
思ったこと、それは「私たちが最近、求めていたのは友情だったんだ」ってこ
とでした。

 言わずとしれた『少年ジャンプ』の編集コンセプトは「努力、勝利、友情」
です。この中の努力や勝利へのスキルはいろんなとこで言われていて、愛情と
いうテーゼも巷に溢れています。しかし昨今、友情って聞いてなかったなあと。

 コミュニケーションとか、アピール力とか信頼感とかの言葉はイヤというほ
ど聞くけれど、それらの言葉にはどこか打算めいた戦略があり、現代人の人見
知りを浮き上がらせているのに対し、「友情」という言葉にあるのは、懐かし
くて気恥ずかしくて、微笑ましい子どもっぽいじゃれ合いやなれ合いのイメー
ジ。そしてたまらないウキウキ感は恋愛にも似ています。私たちは昨今、「友
情」に飢えていたんでした!

 印象的だったのが山中さんと平尾さんがパスするシーン。あるBBQの席上で、
平尾氏がラグビーを始めたばかりの少年とパスをしているのを見ていた山中さ
んが、我慢できなくなってパスの輪に入れてもらう。3回パスが回る。夢心地
の山中さんに平尾氏が言う。「先生、ヘタやな」。ばれたかと思う山中氏。で
も嬉しい。・・・え?なにこれ?恋愛?

 山中先生は平尾氏を偲び、「(平尾さんは)ラグビーボールが楕円なのは、
世の中というものは予測不可能で理不尽なものだから、その現実を受け入れ、
その中に面白味や希望を見出し、困難な状況を克服することのたいせつさ、す
ばらしさを教えるためではないだろうかーーと述べています」と言っているん
ですね。運動というものを一切せず、ウオーキングでさえここ3週間さぼって
いるおばちゃまの心にも沁み込んだ言葉でした。

 そして思います。この本が心に沁みるのは、日ごろの両氏の言動を知ってい
る読者がこの本に盛った部分や裏がないことをなんとなくわかっているからか
もしれません。(日ごろの言動は大事よね)。

 昨今、心のどこかにコケが生えているような気がしている、ひねくれ者のお
ばちゃまにもストレートに伝わったいい本でした。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『生命保険のカラクリ』岩瀬大輔 文春新書

 ネット保険会社の社長が自分の本業について書いた本。私自身は友人に保険
関係者がままいるので、プロには及ばないが普通の人よりはそこそこ知識があ
る。とはいえ、多くの人と同じようにセールスのいいなりになって勧められた
通りの保険に入っていたわけである。

 近年は子供も大きくなってきて、その関係で保険のことで奥さんにせっつか
れているので購入。私が保険に入っていた頃とは状況も変わってきているのは
知っていたので再勉強する必要があったのだ。

 生命保険は、多くの人にとって人生2番目に多い出費になる。月1万円の保
険料でも30年払えば360万円。月三万払っている人は1000万円を超える出費に
なる。家庭一世帯が払う保険料の平均は45万円。それにもかからわらず、これ
ほど鈍感に買われる商品もない。

 保険は日本のGDP550兆円のうち40兆円を占める。小売業の1/3、新車の自動
車販売の四倍近いほど巨大なカネが流れ込んでいる業界だ。日本人が生命保険
に払う金額も補償額も世界トップクラス。とはいえ、1970年以前は他の国の保
険とそう変わりはなかった。

 これが40年以上経ってこれだけ補償額が大型化したのは、一つには核家族化
の進行で高額の死亡保障のニーズが増えたのが背景にあるが、岩瀬氏はむしろ
供給サイドの事情によるという。

 バブルの時期までよく売っていた養老保険と呼ばれる貯蓄性保険の契約数が
頭打ちになり、死亡保障にシフトした保険を売る必要に迫られ。いわゆる「定
期付き終身保険」が生まれた。こちらの方が手数料も多く、旨味があるからだ。

 定期付き終身保険は10年といった「定期」の間には比較的少額で大きな保障
が得られるが貯蓄性の部分が少ない。そして10年経つと定期期間が終わると契
約者は10年歳をとっているから同じ保障を得ようとすればより高い保険料を取
られることになる。

 その上、バブル時の高金利の時に高い利率で募集した貯蓄性の高い保険契約
を持っていると、今の低金利では逆ざやとなって契約者が多いほど赤字になる。
そのため保険会社は、死差益と呼ばれる想定していた死亡率と実際の死亡率と
の差益を多くして得た資金や、客を言いくるめて、不利な保険への切り替えを
進めてこれに対処した。投資でなんとかしようとして破綻したところもある。

 また、他の国では普通に窓口で売っているのに、日本独特の女性セールスに
よる販売活動が高コスト体質なのも否めない。そのため日本の生命保険は相当
に高くつくものになっている。

 このあたりまで読めば、なるほど、そういうわけでこの人はネット保険会社
を作ったんだなとわかるだろう。ここまでは過去の話。

 問題はここからだ。今、多くの保険会社は契約に特約をつけたがっている。
従来なら一週間までの入院だったら出なかったお金が1日目から出ると言った
類の特約である。あるいは、新しく入る保険なら医療保険という商品になる。

 背景にあるのは、近年病院のベッド不足で、多くの人が長期入院をさせても
らえず、さっさと家に帰されてしまうようになってきていることがある。長く
ても一ヶ月や二ヶ月で帰されてしまうなら、最初の一週間も払ってもらいたい
というニーズがあるとして保険会社はバンバン電話をかけてくるのだが、岩瀬
氏はそういう契約に入る前にじっくりと考えろというのである。

 なぜなら、特約を契約することで増えることになる保険料と実際に支払われ
る保険料を考えると、むしろ保険に払うより貯蓄の方がいいケースが相当ある
のではないかというのである。

 岩瀬氏はネット生命保険会社の社長である。ネットの他の人の書評を見ると、
お前とこの保険にもそういうのあるじゃないかと突っ込む人もいたりする。だ
が、保険会社の社長の立場で、こんなことが書くというのは、この本が単なる
宣伝本ではないことを意味しているのだろうと思う。

 本によれば、彼の会社は生保業界の一部には大変好評らしい。全体としては、
ネット証券会社が活躍することで国内生保の体質改善が進むと思っている他の
保険会社の社員がおられるようなのだ。むしろそうした目線に答えるつもり書
かれた本なのかもしれない。

 一時大きなニュースになった保険金不払いの話とか、保険会社が潰れた時に
自分の保険はどうなるのか、オススメの保険は書かないが、どういう選択をす
ればいいのかといったノウハウなど、業界の構造から保険の選び方までバラン
スよく書かれている。これ一冊で生命保険に関する素人の疑問の多くは解消さ
れるだろう。

 唯一足りないかなと思ったのは、一家の大黒柱がなくなって多額の保険が降
りた時などの対処だろうか・・・多額の宝くじに当たって身をもち崩す人がい
るのはよく知られているが、保険金によって金持ちになってしまった人も身を
持ち崩しやすい。

 実際、保険会社の人が「この人にこんな多額の保険金を一時に渡していいの
だろうか」と思うこともある。この金でマイホームのローンが完済できて多少
の貯金と子供の進学費用などが出るくらいならいいのだが、億を超える金が入
ってくると、むしろカネが遺族を滅ぼすこともあるからだ。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
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 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
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 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 ここのところ週末めがけて台風がやってきていますが、はて、台風って10月
に来るようなもんでしたっけ?

 ちなみに先週末は外出予定がばっちり大雨にぶつかり、靴中浸水。そのとき
濡れた靴がまだ乾ききっていません…。(あ)

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[書評]のメルマガ vol.639

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■■ mailmagazine of book reviews    [クマは結局どうするのかな 号]
■■------------------------------------------------------------------
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→田亀と参助、“男”漫画の復権

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→WEB上のクラブ やまねこ翻訳クラブ20周年

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→戦争から生還した人々の生きてきた道・・・米国人が聞いてみた

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→20年早かったインターネットサービス?の誕生

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 コアマガジンWeb事業部副編集長 稲野辺達也様より、下記の書籍を献本い
ただきました。

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

 ちょっとびっくりしましたが、ありがとうございます!

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<94>田亀と参助、“男”漫画の復権

 「Bromance(ブロマンス)」という言葉を、最近知った。

 アメリカで生まれた造語で、「brother」と「romance」を組み合わせたその
言葉は、友情というよりもなお濃い信頼関係で結ばれてはいるが、その関係性
は恋愛関係ではなく、したがって肉体関係もない男同士の友人、と、まあ、平
たく言うとそんな意味らしい。

 ただ今は、かつてのいわゆる「バディ・ムービー」のいくつかが、「ブロマ
ンス・ムービー」として、再定義がなされているそうだ。

 で、我がニッポン漫画の世界で、この「ブロマンス」を、ただ今もっとも熱
く体現していると評判なのが、山田参助『あれよ星屑』だ、とネットで検索を
繰り返すうち、知った。

 作家も作品も全然知らなかったので、「どんなンかなァ?」と、電子書籍の
「試し読み」で1巻の冒頭部数十ページを読んでみた。衝撃を受けた。これま
でこの作品と作家を知らなかった不明を恥じた。

 翌日、書店へ走って、エンターブレインから出ている、その1巻を即購入。

 主人公・黒田門松は、中国戦線から復員してきた、髭もじゃでクマのような
大男。
 その黒田が復員後に立ち寄った東京の闇市で、戦時中に上官だった川島と再
会。黒田は、ふとした行きがかりから、川島の闇市での商売を手伝うこととな
り、直情型で力自慢、バイタリティ溢れる黒田と、なにやら厭世的でインテリ
な川島とのコンビは、闇市やパンパン、それらを取り仕切るヤクザ組織と関わ
りながら、戦後の混乱期を逞しく生き抜いていく……という物語だと思うのだ
が、まだ2巻までしか読んでないので、物語がこの先どういう風に流れていく
のかは、わからない。

 単行本は、ただいま6巻まで出てるそうなのだが、全巻一気に読んでしまう
よりは、1巻ずつ、じっくりあじわいつつ読もうと思い、月に2巻ずつ買うこ
とに決めたのだった。

 映画『兵隊やくざ』シリーズでの、勝新と田村高廣を彷彿する(多分、この
コンビを念頭にキャラ造形したんじゃないかな?)、黒田・川島、二人の人物像
が、まず「いい!」のだ。

 このコンビを取り囲む人々の造形もまた、そのバックボーンも含めてすごく
丁寧に緻密に作りこまれている。
 さらに、人物だけでなく、彼らがその棲家とする戦後闇市の世界もまた、ま
るで見てきたようにリアルに再現されている。

 買ってきた1巻を読み進むうち、ふと、以前この欄で触れた黒岩重吾の『さ
らば星座』と、バロン吉本『昭和柔侠伝』を思い出した。
 ともに、同じ時代とモチーフだというのもあるが、バロン吉本に関しては、
よく見ると全然似てないのだけど、やたらと「昭和」な絵柄と画面全体の空気
が、妙に似通っているのだ。

 絵柄でいうと、そのバロン吉本に「かわぐちかいじ」を混ぜ込み、「つげ義
春」の風味をつけた…と言ったらイメージしてもらえる…かな?
 変形コマと裁ち切りをほとんど使わない、とても古風でオーソドックスなコ
マ割りもまた、わしら世代の漫画読みには、とても優しい。

 その古風な構成と絵柄で、主人公である黒田・川島はじめ、男たちの造形も
見事で、黒田・川島が、勝新・田村高廣とすると、戦死した彼らの戦友の兄で、
なにかと面倒見のいいヤクザの「金子」は、さしずめ成田三樹夫か松方弘樹?

 さらに、女たちの造形がまた、ひとりひとりの個性が際立っていて、すこぶ
るにいい。
 同じく昭和の銀幕スターに喩えれば、そこには、健気な倍賞千恵子がいる。
勝ち気で男勝りな京マチ子もいれば、鉄火肌な江波杏子、生意気で小悪魔な加
賀まりこ、おきゃんな松島トモ子もいて、実に多彩なのだ。

 この漫画ではまた、黒田と川島の中国戦線での出会いや、その戦中のエピソ
ードが、折に触れ回想として語られるのだが、黒田やその兵隊仲間が、外出日
に「ピー屋(慰安所)」へ行くくだりでは、片言の日本語を操る朝鮮人と思し
き慰安婦が、大挙して押しかける兵たち相手に分刻みで客を取る様もまた、臆
面もなく描かれている。

 朝鮮人慰安婦たちが相手を務める「ピー屋」に行列する兵たちの姿は、水木
しげる『総員玉砕せよ!』でも描かれていたが、『あれよ星屑』では、中国人
捕虜の虐待もまた、作中で淡々と描かれる。
 事実を事実としてありのままに描く姿勢もまた、この漫画の骨格を逞しくし
ている、と思う。

 山田参助は、1972年生まれ。大阪芸大在学中にゲイ雑誌である「さぶ」への
投稿をきっかけとして、その後「さぶ」やその他ゲイ雑誌に漫画やイラストを
描くかたわら、自主製作映画に関わったり、風俗情報誌でのレポートや、吉本
興業のチラシのイラスト、はては児童向け絵本の作画まで手掛けていたそうだ。

 今回、この山田参助がかつてゲイ雑誌に連載した作品を集めた『十代の性典』
(太田出版)も、取り寄せて読んでみた。
 この本は、かつて同じ太田出版から『若さでムンムン』というタイトルで発
売された短編集を、『あれよ星屑』のヒットを受け、これに便乗する形で、新
作を加えて復刻したものらしい。

 帯に「これは、BLなのか…!?」との惹句が踊るその漫画は、確かに男子×男
子の恋愛を扱ってはいても、女子好みのいわゆる「BL」とはほど遠い、汗臭く、
毛むくじゃらの高校生たちが、やけにリアルなペニスからほとばしるザーメン
をまき散らしながら、想いを寄せる男子をめぐって、悶えに悶える漫画だ。

 これは、山上たつひこ、70年代の名作『喜劇新思想大系』(ご存知でしょう
か? その後の『がきデカ』の原点とも言えるギャグ作品です)のゲイ版だな、
と思ったのだった。

 毛むくじゃらで「ぽっちゃり」な大男、あるいは筋骨たくましいゲイ・キャ
ラクターを、斯界では「クマ系」と呼ぶ…というのも、いろいろ調べてるうち
に、初めて知った。

 山田参助と同じく、主にゲイ雑誌で、漫画やイラストを発表してきた田亀源
五郎は、ご本人もまた、その容貌はまさに「クマ系」で、自らゲイであること
を公言しているそうだ。

 その田亀が、初めてゲイ雑誌以外の一般誌に連載した『弟の夫』(「月刊ア
クション」連載、単行本は双葉社刊で全4巻)は、立派なエンターテインメン
トでありながら、現代の日本に、ゲイの立場から問題を提起する社会派漫画で
もある。

 主人公・弥一はバツイチで10歳の娘と二人暮らしの中年男性。10年前にカナ
ダに渡り、ほとんど音信不通だった双子の弟が亡くなり、その「夫」が彼を訪
ねてくる。弟はゲイで、かの地で男同士で結婚していたのだった。

 初めて会った「弟の夫」は、むくつけき「クマ系」白人で、ゲイである彼と、
どう接したらいいのか弥一は混乱し、悩むのだが、10歳の娘は、初対面から打
ち解け、父の弟の夫、すなわち自分にとっては「叔父さん」ということも、す
んなりと、素直に理解してしまう。

 そんな娘を見るにつけ、弥一のこころも次第に打ち解け、やがて、弟がカナ
ダへ「逃避」し、その後ほとんど音信不通になったのは、弟にゲイだと打ち明
けられた後の、自分の態度にあったのではないかと思い至るようになる。

 ゲイに対する差別や偏見は、自分では「ない」つもりではあったが、しかし、
心の奥底に確かにあったと今は思える「恐れ」を、弟は敏感に察したのではな
いか、と。

 「弟の夫」である「マイク」は、かつて弟から「日本には、ゲイに対する差
別はない」と聞かされていた、と弥一に語るのだが、それを聞いて弥一は、複
雑な感情を持つ。

 井田真木子のルポルタージュ『もうひとつの青春 同性愛者たち』(文春文
庫)に、その弥一が感じた「複雑な感情」が語られている。
 確かに、欧米と違って、同性愛が宗教的タブーだったり、犯罪だったりした
歴史は、日本にはない。

 欧米では、だから同性愛者たちは、そのタブーを打ち破り、自分たちの存在
権を主張するために立ち上がり、声をあげねばならなかったのだが、日本では
ずっと「陰」の存在として認識されていて、たとえば男同士のカップルを街で
目撃しても「見なかった」ことにされ、確かにそこに存在するのに「なかった」
ことにされる、それが一番つらい、と井田さんが取材した彼らは語っていた。

 『弟の夫』作中でも、弥一の娘「夏菜」が、「大好きな叔父さん」を仲良し
の同級生たちに紹介するために彼らを自宅に招くのだが、彼がゲイであると知
ったその母親が、婉曲に招待を断ってくる、というエピソードが描かれている。

 自分の阿呆をさらしてしまうが、実は、この漫画読むまで「ホモ」というの
が、全世界的に差別用語である、ということを知らなかった。
 でも、それは、おおかたの日本人の認識でもあると思う。

 現にどっかのテレビ局が、80年代のバラエティ番組で人気だった「ホモ田ホ
モ男」とかというキャラクターを復活させて、大顰蹙を買ってるそうだが、
「差別用語」に敏感なはずのテレビ局がこうなのだから、なにをかいわん、で
ある。

 その意味で、この『弟の夫』は、LGBTに対する入門書の趣もあり、全4巻読
んでみて、わしも少しは利口になったと思う。

 いずれにしても、田亀源五郎と山田参助、ちかごろずっと「女性勢力」に押
され気味だった漫画界に、久々に「男、おとこ」した作風、しかも妙に70年代
チックな画風の漫画が登場し、わし的にはとても嬉しい。

 この二人がともに、ゲイ雑誌から出現してきた、というのも決して偶然では
ないと思う。

 80年代、漫画専門誌ではないエロ雑誌から、新しい表現を切り開く才能が次
々と出現し、漫画に新風を吹き込んでくれた。
 あのときと同じような風が、今度はゲイ雑誌から吹き始めているのかもしれ
ない、と、妙にワクワクする今日この頃です。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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76 WEB上のクラブ やまねこ翻訳クラブ20周年

 WEB上で活動している、やまねこ翻訳クラブをご存知でしょうか。

 http://www.yamaneko.org/

 1997年に発足し、翻訳児童書を軸にWEB上で翻訳勉強会をしたり読書会をし
たり、メールマガジンを発行するなどの活動をしているクラブです。

 私は産休時に、このクラブの存在を知り入会。
 ニフティのフォーラム時代から参加しています。
 地方にいても子どもが小さくても、自分の好きな時間にアクセスして大好
きな本の話ができる場は夢のような場所でどっぷりはまりました(笑)。

 今年2017年、やまねこ翻訳クラブは20周年を迎えました。
 私自身、メールマガジン「月刊児童文学翻訳」の編集長も2年ほど務め、
 出版社、翻訳者の方々のインタビュー、企画をたてて記事を書くことなど、
 ただ翻訳児童書好きの(翻訳者志望ではない)私にも勉強になることばかり
でした。

 いまは時間がなかなかとれず、会員らしいことができていないのですが、 
 20周年記念に今回はやまねこ翻訳クラブ会員の訳書をご紹介します。

 一冊めは、
 翻訳者も出版社もやまねこ翻訳クラブ会員によるものです。
 絵本の帯には、やまねこ20周年のロゴと共に、会員による推薦文も掲載され
います。

 『サンドイッチをたべたの、だあれ?』
 ジュリア・サーコーン=ローチ 作 横山 和江 訳 エディション・エフ

 森にすむクマが、いいにおいに誘われて、人間が収穫した木イチゴが積まれ
ているトラックに乗ってしまいます。たらふく食べてぐっすり眠って起きた場
所は森ではなく、人間の住む街でした。

 クマにとっては初めてみるものばかりの街の中、歩き回って公園にたどりつ
き、ベンチにあったサンドイッチを発見。さてさて、サンドイッチをクマは食
べたのでしょうか!?

 描かれるタッチはおてんとさまの陽射しを感じるようなあたたかさがありま
す。

 クマは結局どうするのかなと思って読んでいくと、へえ!と思うラストに、
まさにタイトルどおりと納得です。このひねり具合は、にやりとしますよ。

 さあ、はたして食べたのは誰でしょう!?

 絵も文章もアメリカ、ニューヨーク在住のジュリア・サーコーン=ローチが
描いています。学生時代はアニメーションを学び、その後絵本作家としてデビ
ュー。本書は4作目にあたり、2016年絵本作家に贈られるエズラ・ジャック・
キーツ賞の次点に選ばれています。

 訳者の横山和江さんは山形在住。読み物も絵本の訳書も出されていますが、
目利きの横山さんが刊行されるものはどれも読ませます。やまねこ翻訳クラブ
会員歴も長く、翻訳のほか、読み聞かせの活動もされています。

 刊行したエディション・エフは京都にあるひとり出版社。「手と心の記憶に
残る本づくり」をされていて、HPの会社概要は一読の価値あり。
 http://editionf.jp/about/
 
 二冊めは、

 『発明家になった女の子マッティ』
 エミリー・アーノルド・マッカリー 作 宮坂 宏美 訳 光村教育図書

 ノンフィクション絵本です。
 19世紀末のアメリカで活躍した女性発明家、マーガレット・E・ナイトを描
いたものです。

 マッティ(マーガレットの愛称)は、子どもの頃からの発明好きでした。
 2人のお兄さんのために、おもちゃや凧、そりをつくり、
 お母さんのためには、足をあたためる道具をつくりました。

 家は貧しく、マッティは小学校の教育しか受けていませんが、発明に必要な
力量を備えていたので、働きながら最終的にはプロの発明家として、22の特許
を取得し、90を超える独創的な発明を行ったそうです。

 作者は、聡明な彼女を繊細な線画で表現し、彼女の発明したものの図面も描
いています。

 女性であることの偏見をはねのけ、発明家として自立していく姿は、子ども
たちに、未来を切り開いていく具体的な力を見せてくれます。

 訳者の宮坂さんは、やまねこ翻訳クラブ創立メンバーのひとりです。マッテ
ィのように、とことん調べ物をし、やらなければならない事を的確に迅速にこ
なし、見事、翻訳家になりました。

 三冊めは、

 『クリスマスを救った女の子』
 マット・ヘイグ 文 クリス・モルド 絵 杉本 詠美訳 西村書店

 昨年のクリスマスにご紹介した
 『クリスマスとよばれた男の子』シリーズ第2弾です。

 杉本さんの訳文はとてもふくよかです。言葉がやわらかく、読みやすく、杉
本さんが訳したものは物語の中にすっと入り込めます。なので、こういう魔法
の話はぴったりかもしれません。

 さて、物語です。
 サンタクロース(ファーザー・クリスマス)が誕生して、人間界の子どもた
ちにプレゼントを配ってから1年がたち、またクリスマスの季節がやってきま
した。

 一番最初にサンタを信じた少女アメリアは絶対に叶えてほしいクリスマスの
願い事をしてサンタクロースを待っていました。しかし、その年、サンタは誰
のところにも来なかったのです。
 サンタに大変なことが起きてしまったために……。

 クリス・モルドの挿絵は甘くなく、厳しい現実やつらい出来事も、いじわる
な人もリアルに描き、トロルやエルフまでもが絵空事ではない雰囲気を出して
います。

 マット・ヘイグのクリスマス物語は、決して型にはまったものではなく、願
うこと、望むこと、その気持ちが魔法を生む力になるというメッセージがまっ
すぐ伝わってきます。

 つらいことばかりが続くと、未来に対して前向きになるのがしんどくなりま
すが、アメリアやサンタクロースの逆境をはねのけていく姿から、願うことは
魔法の力につながると思えてくるのです。
 
「幸福。それに笑い。遊び。この三つは、人生をつくるのになくてはならない
ものだ」とサンタクロースはいいます。

 12月には少し早いですが、
 この三つを忘れずに、今年のクリスマスにはすてきな贈り物がみなさんに届
きますように!
 
(林さかな)
会津若松在住。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第94回 戦争から生還した人々の生きてきた道・・・米国人が聞いてみた

 戦後72年。戦争を経験した人々はどんどん減っている。直接の語り部が消滅
しかけている。それならば、今後は若い人がその代わりを務めなければならな
い。戦争体験者から直接聞くことは不可能でも、それを直接聞いた人から話を
聞くことは今後も可能だ。むろんその場合、聞いた人の考えや感情が入り込む。
しかしそれもよし、としなければならない。年月は容赦なく過ぎていき、すべ
ての出来事が歴史の遠い遠い彼方に去ってしまう。戦争とか災害とかそういう
ことは、忘れてしまってはいけないのだ。我々は常に戦争の惨状、災害の惨禍
を語り継ぎ、教訓にしていかなければいけない。

 そういう意味で、今回取り上げる書物はとても興味深いものである。なにし
ろ戦争体験者から聞いているのは、米国人なのだから。聞き役が勝利者の米国
人という処がとてもおもしろい。

『知らなかった、ぼくらの戦争』(アーサー・ビナード 編著)(小学館)
(2017年4月2日初版発行)

 本書は、ラジオの文化放送の番組「アーサー・ビナード『探してます』」の
うち、23名の戦争体験談を採録し、加筆・修正をして再構成したものであり、
聞き手はアーサー・ビナード氏。

 アーサー・ビナード氏は、1967年にミシガン州で生まれた。大学の時に日本
語と出会い、1990年23歳のときに単身、来日。以来27年間、日本に住み続け、
日本語で本も書いている詩人だ。

 本書には23名の“体験者”=“語り部”が登場する。全員、ビナード氏がイ
ンタビューをしている。
 軍国少女、真珠湾攻撃時の飛行士、日系米国人、北方領土在住者、兵器工場
勤労動員、BC級戦犯、戦艦武蔵の生き残り、硫黄島生き残り、海軍特別少年
兵、満州在住者、沖縄出身者、疎開せずに東京にいた噺家、広島生存者、長崎
生存者、空襲の語り部、GHQ在籍者・・・・・。

 登場するすべての人たちが、まさに輝かしい経歴を持っている。そしてこの
人たちを選んだビナード氏や関係者に敬意を表する。インタビューはおよそ2
年前の2015年に行われたものであるが、2017年9月現在、この中でもかなりの
方が鬼籍に入られた。

 ビナード氏の揺るぎない視点は、真珠湾攻撃が米国の策略で実行された、と
いうものだ。米国が連合国として第二次世界大戦に参戦するためには、米国市
民が犠牲となる何かしらの事件がなくてはならないと、米国政府は考えていた。
そしてそのために対日交渉を途中で打ち切り、日本が米国へ攻撃を仕掛けるよ
うに仕向け、実際にその試みは成功した、という視点。ビナード氏はかたくこ
の考えを信じている。そしてその意見を補完するように真珠湾攻撃に参加した
元戦闘機乗りにインタビューをして次の台詞を引き出した。曰く「空母は何隻
いたのか?」

 日本は米国太平洋艦隊の本拠地である真珠湾への奇襲攻撃を食わらしたが、
そこには戦艦が数隻しか停泊しておらず、航空母艦は一隻もなかった。もし本
当に不意打ちの奇襲攻撃だったなら、空母は必ず停泊していたはずだ、という。
米国政府は日本の攻撃を事前に察知していて、空母をすべて出港させていた。
偽装の奇襲において、さすがに空母を犠牲にするわけにはいかない、というこ
とだ。しかし、それは本当にそうなのか? 米国が参戦するために自国民を何
千人も犠牲にするのか。自国民をそんなに簡単に裏切ることができるのだろう
か。

 確かに、以後日本憎しの世論が形成され、米国民は一丸となって戦争への道
を歩み、圧倒的な物量で枢軸国に圧勝した。広島長崎も一般市民を標的にした
度重なる都市への空襲も卑怯な日本人に鉄槌を下す、という乱暴な論法で正当
化ししているし、米国に住み、米国市民権を持っている日系人を収容所に入れ
る蛮行、さらに占領した日本に対する態度など、もしかしたらすべてが米国政
府のシナリオどおりなのかもしれない。しかしそれではあまりにも悲しすぎる
し、第一に歴史を一面しか見ていないような気がするのである。

 本書はビナード氏が生存者にインタビューをして、そしてそれぞれのインタ
ビュー掲載後に彼の考えを述べているものであるが、この米国政府陰謀説をバ
ックボーンにして解釈しているのに、やっぱいすこし違和感を覚えるのだ。

 そうは云いつつも、さすがにビナード氏は詩人だけあって、ことばに対する
鋭さが違うのである。彼らの吐いた何気ないことばに反応し、それを手がかり
に想像力を働かせて戦争を表現しているのはさすがなのだ。一例を挙げる。

 BC級戦犯としてスガモプリズンに収容されていた元兵士にインタビューを
した時、ビナード氏は彼から「君は「狭間」ということばを知っているか?」
と聞かれた。そしてビナード氏は次のように応えた。

「国家がいっていることとやっていることがかみ合わない中で、自分が国を愛
してやったことが、犯罪として裁かれる。とんでもない話だと思います。責任
者の国家が責任回避に明け暮れて、飯田さん(元兵士)は個人として責任を背
負わされた。そしてそれを果たしつづけてきたんですね。」・・・・・この部
分で執筆子のわたしは泣いた。

 日本では「戦後」ということばは、1945年以降を指すことばであるが、米国
では「postwar」は必ずしも第二次世界大戦が終わってから後のことを指すわ
けではない。なぜかと云えば、その後も米国は世界中のあちこちで戦争をして
いるからだ。ビナード氏は日本に来てはじめて日本語の「戦後」に遭遇した。
米国は「戦後のない国」だから。そしてビナード氏は、この戦争体験の話がそ
の枠に収まらず、戦後をつくることにつながっていることに気づき、そして実
は彼自身の生き方にも多大な影響を与えていると、あとがきで正直に吐露して
いる。

 翻って、我が身に置き換える。戦争を知っている身内がどんどんいなくなっ
ているが、それでも若い時に祖母や伯父伯母、そして両親からさまざまな戦争
の話を聞いてきた。主に東京での戦争体験であるが、父の経験した3月10日の
東京大空襲の体験記は今思い出しても鳥肌が立つ。父が生き残ってくれたお蔭
でこの身がいまここに存在するわけで、社会の中に居場所を得て、こうして人
々に囲まれて生きているのである。そういうことに思い至ったとき、これが自
分の戦後なのか、と思わざるを得なかった。


多呂さ(総選挙ですよ。びっくり。なにが国難突破解散なんでしょうか)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える/show-z
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20年早かったインターネットサービス?の誕生

『社長失格  僕の会社がつぶれた理由』
板倉雄一郎著 日経BP社 1998年11月

「世界の広告市場は今年、ネット広告がテレビ広告を抜く見込み」というニュ
ースが、先月の日本経済新聞朝刊に掲載されていました。なんでも、電通など
大手広告代理店が、デジタル媒体へのシフトに手間取っている間に、サイバー
エージェントをはじめとするインターネットベンチャーが力をつけ始め、、、
といった内容でした。

長らく広告といえば、テレビがその主役にありました。この10年ほどで、紙媒
体の広告なんかは、だいぶネットに置き換わってきた印象があるのですが、年
間の市場規模が2兆円(!)あるというテレビ広告にも、遂にネットが肩を並
べる時代になるとは。。。

日本におけるインターネットは、1995年に発表されたウィンドウズ95、そして
その3年後のウィンドウズ98により、急速に広まっていきました。

その当時、大学生になりたてだった僕も、自宅にパソコンが欲しくてしょうが
なかったのですが、1台20万円程度するパソコンは、時給900円のアルバイト
学生にとって高嶺の花。そこで授業の空き時間があると、大学内に1つだけあ
ったパソコンルームへとせっせと通い、パソコンをいじる日々を過ごしていま
した。

そういえば当時のインターネットって、まだ接続するのにダイヤルアップ回線
を使っていた時代です。今じゃギガなんて単位が普通に使われていますが、そ
れどころかメガにすらなっていない、キロの時代。接続クリックをすると、ま
ずパソコンから電話番号のプッシュ音が鳴って、その後に、ガガガ・・・ピー
ーって接続音がして。それが鳴りやんでから、無事につながってくれるのを、
画面を見ながらじっと待ったものです。

そんなインターネット草創期、国の規制緩和をはじめとするベンチャー優遇政
策が次々と打ち出され、日本では多くのネットベンチャー企業が生まれました。
“第三次ベンチャーブーム”として、括られる時代です。

本書は、そんなベンチャーブームが沸き起こる中で誕生した、ちょっと異色な
企業の末路までを描いたノンフィクション。ベストセラーとなった本ですので、
ご記憶に残っている方も多くいらっしゃるのではと思います。

著者であり、この物語の主人公でもある板倉氏は、1991年に株式会社ハイパー
ネットを創業。はじめは電話を利用した通信ビジネスなどを手掛けていたもの
の、95年9月“ハイパーシステム”というまったく新しい事業の構想に至りま
す。

ハイパーシステムは、ネット広告を活用した無料のインターネットプロバイダ
ー事業でした。会員ユーザーがこのサービスを使ってインターネットに接続し
ている間は、メインのブラウザとは別のところに小窓が出て、自動的に広告を
配信するシステムです。企業から1件あたりいくらの広告料を取ることで、会
員ユーザーはプロバイダーを無料で利用できるーーーそんなビジネスモデルが
脚光を浴び、96年10月には“ニュービジネス大賞”を受賞しています。

しかし日本を飛び越え、一気に米国ナスダックでの上場まで目指していたハイ
パーネットは、銀行の無担保過剰融資、その後のBIS規制による貸し渋りな
ど、当時の世相の影響をモロに受けることで、翌97年末には37億の負債を出し
て破産、板倉氏自身も自己破産に至ります。

創業者社長の視点で、事業構想の経緯、資金のやりくり、その調達先である銀
行やVCとの生々しいやりとり、そして著者の元を離れていく社員の話などが、
小説と見まがうほどリアルに描写されているのが本書最大の特長です(しかも
企業名、個人名ともにすべて実名なのがすごい・・・)。今回、久しぶりに手
に取ってみたのですが、話の展開に引き込まれ、2日間ほどで一気に読み進め
てしまいました。

で、読み終えて思ったのは、、、インターネット広告がようやくテレビ広告を
抜くほどの規模感となった今の状況を、著者はどう受け止めているんだろうか、
ということです。

ハイパーシステムが稼働し始めた96年は、インターネット広告自体、まだ黎明
期。Yahoo! JAPANが始まったのが同年のことですし、グーグルが創業するのは、
それからさらに2年後のことです(日本への進出はさらにその先)。当時多く
の起業家が、インターネットは間違いなく新しいメディアになると確信し、熱
に浮かされるような形で様々な企業、そしてサービスが生み出されたものと思
います。しかしその中で、どのくらいのスピードでインターネットが普及し、
どのくらいの規模のビジネス市場が生まれるかを、冷静に予測した起業家は皆
無だったのではないかと。

世の中でネット広告という市場自体が、これから形成されていくという時期に、
さらにそこにプロバイダーを組み合わせ、他より一歩先を行く事業を展開しよ
うとしたことは、ビジネスとして、あまりに早すぎたと言わざるを得ません。
結果的に、ネットがテレビに追いつくまでには20年かかったという事実を、
当時の起業家としてどう感じるか、気になるところです。

ただ、インターネット広告市場が成熟した現時点においても、ハイパーネット
と類似したビジネスモデルって見あたらないんですよね。ということは、市場
規模の拡大スピードを正確に予測できたとしても、ハイパーシステムは成功し
なかったかも・・・?勿論、ビジネスにタラレバの話はナンセンスではあるも
のの、事業構想とは、本当に難しいものと感じます。


show-z
某IT企業で人事担当者として勤務。千葉県在住。

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 10月になりましたが、暑い日も涼しい日もあり、初秋の趣です。今年もあと
3カ月、早いものです。(あ)

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★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『ジャズィな手法』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『バッタを倒しにアフリカへ』前野 ウルド 浩太郎 光文社新書

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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■トピックス
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#87『ジャズィな手法』

 建築に、さほどの興味はない。

 本格ミステリによくある、館もの。そこでは、恐らくポーの『アッシャー家』
の影響だろう、ゴシック様式の広壮な大邸宅が決まって惨劇の舞台となるが、
そのゴシック様式なるものも、漠然としか知らない。

 それにしても、なぜ本格ミステリでは、あんなに館が頻出するのか。
 事件現場を広範囲に渡らせない方が、純然たる推理で犯人を絞り込むのに都
合がいいが、かと言ってあまりにも狭いと連続殺人が起きる余地がない。その
点、だだっ広い屋敷なら、限られた世界でありながら、適度な複雑さがあり、
周辺の森も含めて、殺人現場は選り取りみどりだからかもしれない。

 島田荘司の『斜め屋敷の犯罪』は、タイトル通りわざと斜めに傾けて建てら
れた屋敷が舞台で、しかもその屋敷自体がひとつの大トリックを形成する。
 綾辻行人などは、ある架空の建築家が遺したさまざまな屋敷がひとつずつ登
場し、それぞれで殺人事件が起きるというシリーズものまで書いている。

 まあ、それはさておき建築だ。

 建築と音楽にも特に関係はないようだが、しかし、とある建築家が自らの手
法を「ジャズィ」と呼んでいると知れば、好奇心はそそられる。

 その建築家は日本人。名を、石井和絋という。

 丸善が出している「日本の建築家」というシリーズがある。巻末の発刊の辞
によれば、「各建築家の作品の底を流れる思想と作品を支える手法を解明しよ
うとするもの」だそうだ。
 そして、石井和絋という建築家を取り上げた第2弾のサブタイトルが『ジャ
ズィな手法』なのである。

 数人の書き手が寄せた石井論と、本人とグラフィック・デザイナー奥村靫正
の対談、そして田中宏明による写真などから構成されている。

 音楽本書評として見逃せないのは、冒頭の石井論の書き手が、音楽評論家の
相倉久人である点だ。

 相倉はジャズ評論から出発したが、ディープ・パープルの来日公演に衝撃を
受け、ロック評論に転じた。ちょうどぼくが中学から高校の頃、読み漁ってい
た音楽雑誌に健筆を揮っていたから、その名前は懐かしい。

 では、なぜ建築家について、音楽評論家が書くことになったのか。

 相倉は、「ジャズ」という言葉が、音楽用語を離れて、社会的なキーワード、
時代の季語として使われたことが、過去に二度あるという。
 初めは今年の当欄でもよく取り上げている、1920年代。いわゆる「ジャズ・
エイジ」だ。もうひとつは、先進国に大きな嵐が吹いた1960年代である。
 どちらの時代も、それまでの価値観が崩壊し、新しい何かが起こって社会が
混乱した時代。その新しい何かを象徴する言葉として、「ジャズ」があった。
 そして、本書が上梓された1985年もまた、ポスト・モダンが流行り言葉とな
り、やはりそれまでの「重厚長大」な文化が、一転して「軽薄短小」をもては
やすようになる大きな価値観の転倒期であった。

 しかし、退廃の色濃い20年代の「ジャズ」でも、第三世界に代表される勃興
する力を象徴した「ジャズ」でも、この新たな混乱は捉えきれなかった。
 そこで、「ジャズィ」という言葉がキーワードとして提唱されるのだ。

 したがって相倉は「ジャズ」と「ジャズィ」を、厳密に区別する。

 相倉によれば、1985年の混乱は情報化社会がもたらした混乱であり、それは
煎じ詰めれば二分法の崩壊である。「白か黒か」「右か左か」そうした政治的、
思想的色を持った二分法が崩壊し、すべてのものが両義性どころか多義性すら
帯び始めた時代。
 これは一般には虚無的な状況と解釈されている。相倉も「現代人は(中略)
いささか破産気味で生きている」と書く。

 しかし、若い世代にはそうした混沌を駆け抜ける方法論が芽生えている。そ
れを相倉は「ジャズィ」と呼ぶのだ。
 それは「一見すると事象の多様化の流れにまかせ、軽さを身上としながら点
的な存在感をもって移動すること」だと定義されている。
 その方法論を具体化したものののひとつが、石井和絋の建築だと言うわけだ。

 一方石井和絋本人は、アメリカに行って「ジャズィ」という言葉が日常的に
多用されていて驚いた、と対談で語っている。

「ちょっと具合の悪そうなものとか、アンバランスなものとか、ちょっと目に
障るとか」
「硬直しつつある生活の危機感と「懐体してゆく時代」の中にあって、この時
代をどう超えてゆくかのキーになるようなイメージ」

 石井本人が語る「ジャズィ」は、そうした言葉である。

 相倉の言う「軽さ」についても、石井は「状況は決して軽くない」と断じる。

「重苦しい空気は常にあるんです。だから、その重苦しさを不断に軽さに換え
ていかなければ(後略)」

 そうした石井が、日本の伝統建築を学んでいて、「数奇屋」に出会った。

 安土桃山時代。格式張った意匠や豪華なばかりの装飾を嫌った茶人たちが、
「好きなように」建てた茶室。それが数奇屋だ。

 そこには自由な発想があり、硬直した価値観を揺るがす、奔放さがあった。
これこそ「ジャズィ」だと、石井は思ったと言う。

 石井和絋は自身アマチュアのサックス・プレイヤーであるらしい。
 実際本書を開くとすぐ、サックスを手にした石井の写真が目に飛び込んでく
る。

 こんな建築家が創った建物を、編集者の伊藤公文は、人を「苛立たせる」建
築だと書いている。そして彼が本書のために書いた文章のタイトルに、「不協
和音はなぜ美しいのか」と付けるのである。

 しかし、いくら言葉を費やしても、実際に石井和絋がどんな建築を建てたの
かは想像がつかないだろう。

 彼の代表作は直島にある。

 そう、今ではアートの島として有名になった、あの瀬戸内海の島だ。
 そこに建てられている、小学校、幼児学園、町民体育館・武道館、中学校、
保育所、そして町役場。このすべてが石井の作品である。

 本書を手に取り、モノクロの写真で想像をさらに逞しくするか。
 それとも、いっそ船に乗り、直島に出向くか。


日本の建築家編集部
『日本の建築家2 石井和絋 ジャズィな手法』
昭和六十年五月三十日発行
丸善

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
今月はまた札幌へ。月光グリーンのライブを見に行って来ました。去年の同じ
時期にも行ったのですが、札幌の郊外、新琴似という街で毎年行われ、今回で
3回目という新琴似音楽祭。そこに月光グリーンが出るので、飛行機で飛んだ
のです。新琴似はごく普通の住宅街で、特に賑わっているわけではありません。
その普通の公園で、ロック・バンドが出るフェスが住民の手作りで行われてい
る。そこにちゃんと街の人たちが楽しみにやってくる。そういう環境が素晴ら
しいと思います。学生のラップグループのパフォーマンスを、地元のおばあち
ゃんが指でリズムを取りながら楽しそうに聴いている姿が印象的でした。真の
音楽文化の豊かさを見た、と思います。東京ではなく、むしろ地方に、暮らし
に根ざした本当の音楽があるのかもしれません。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『バッタを倒しにアフリカへ』前野 ウルド 浩太郎 光文社新書

 まず表紙をごらんいただきたい。怪しさ満点w
 http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039899

 著者は、子供の頃ファーブルに憧れて昆虫学者になるべく大学院まで行った。
14年バッタ研究していたせいか、バッタに触れるとじんましんが出るアレルギ
ーになった。にもかかわらず子供の頃の夢は「バッタに食べられたい」で、今
もそうありたいと思っているらしい。とっても変な人である。

 そんな人がアフリカで大発生して大きな災厄をもたらすサバクトビバッタを
研究しに行った体験記。バッタに食べられたくてというのは冗談で実際は昆虫
学者として大学や研究所の職が欲しかったからだ。いわゆるアカデミックポス
トが空いていなくて、職にあぶれたオーバードクターがたくさんいるのは知ら
れているが、前野氏もその1人だったわけだ。

 アカデミックポストをゲットしたい著者の前野氏、バッタ関係の論文をいろ
いろ読んでいて、あることに気がついた。バッタ研究者の圧倒的多数は実験室
内で研究して論文を書いていて、実際のフィールドに出て研究する人はほとん
どいないというのだ。

 だったらフィールドに出て研究して論文書いたらアカデミックポストを得ら
れるのではないかと思って、モーリタニアに行く。モーリタニア国立サバクト
ビバッタ研究所に行って、自分で研究助手を雇ったりしながら研究を始めるの
だが、前野氏モーリタニアの公用語であるフランス語が全く分からない。

 にもかかわらずフランス語を全く勉強しようとしない。助手に雇ったティジ
ャニという人とは二人しか分からない即興言語で意志疎通をはかる。大丈夫か
い、この人?

 とはいえ、やはり現場に来てはじめて分かることも多い。それでサバクトビ
バッタ研究所所長のパパ氏に自分の思いを伝えると、バッタ問題を解決しよう
としない研究者が多いことに辟易していたババ氏は感動して、前野氏に「ウル
ド」というミドルネームを与えた。

 ウルド(Ould)はモーリタニアで最高の敬意を払われるミドルネーム。この
名前に恥じない研究をしなければならないと誓う前野氏の前に次々と襲いかか
るトラブルの山が、この本の大きな部分を占める。

 いきなり来たトラブルは、バッタがいない!前野氏が行った年は、たまたま
モーリタニアは大干ばつになっていて、大発生はおろかバッタがほとんどいな
い年だったのだ。そのため、バッタを探すのに苦労する羽目になった。バッタ
を見たぞと言う話を聞けば飛んでいくが、それでも採集の仕事は遅々として進
まない。

 それで地元の子供にお金を出してバッタを集めてもらったら、さらに大変な
ことになる・・・このあたりの抱腹絶倒のエピソードは読んで楽しんでいただ
こう。バッタがいないので、一時別の虫に研究対象を切り替えたり、いやはや、
大変である。

 そんなこんなとトラブルは続くが、欧米の研究者がめったに来ない現場にい
ると、色々なことが見えてくる。前野氏は次々とサバクトビバッタの生態につ
いて新発見を続けていくのだ。

 そしてやって来る、バッタの大発生。まさにこの時を待っていた前野氏、小
躍りして喜び、バッタの大群を観察しつつ移動していく。行く手には世界一長
い列車で有名なモーリタニア唯一の鉄道の線路が走っている。それを越えて行
こうとしたら止められた。レールの向こうは地雷原。昔戦争があって今も地雷
が埋まっていると言う・・・まぁフィールドに出ると言うのはこうしたトラブ
ルと無縁でいることは出来ないのだろうけども、地雷に遭遇する経験はそうそ
うない。

 そんな前野氏の活動を暖かく見ていたパパ所長が本の最後に特大プレゼント。

 バッタの大群が発生し、このままでは首都に到達する。首都にバッタの大群
が入ると国家の威信にかかわる。そんな大群を前野氏のために生かしておいて
くれた。バッタの大群が発生したら、普通は研究所のスタッフが総出で駆除に
あたる。サバクトビバッタ研究所は駆除機関でもあるのだ。

 国家の威信がかかっているから、失敗すれば所長のクビが飛ぶかもしれない。
そんなリスクを冒して、バッタの大群が首都に迫る最後の最後までバッタの大
群を生かしておいて前野氏に観察させたのである。このクライマックス、人に
よっては涙が出るのではないかと思う面白さ。

 しかし、物語はここで終わらない。前野氏には昆虫学者としてアカデミック
ポストをゲットするという最終目的があるのだ。もちろんアカデミックポスト
はめでたくゲットしたわけだが、その過程も読みごたえがある。読後、人との
出会いがどれだけ大切か身に染みる人も多いのではないだろうか。

 それにしても、21世紀になっても、まだこんなフロンティアがあったんだ・
・・サバクトビバッタがアフリカで大きな災厄をもたらしていることは世界的
に知られているし、それだけに多くの人が研究していると思っていた。しかし
ほとんどの研究者が現場に行かず実験室内でバッタの駆除や被害軽減に関係な
い研究をしているとは知らなかった。

 だからこそ前野氏がパイオニアになれたわけだが、他にもそんなフロンティ
アはあちこちに残っているかも知れない。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(劇団雌猫・著 小学館)

ヲタ活動にはまって落ちて、溶けるお金の話

 まあまあ長い間生きてきておばちゃまが思うこと、それは、

 「愛にお金をかけるのが最高の快感」

 ということ。食べもの、家賃やローン、生活必需品への消費はおいといて、
お金を何に使うかとなったとき、趣味とか旅行とか服とかの自分のためになる
ものに使うのはまあまあの消費。でも、愛する他人に使うのが一番贅沢でムダ
で快感なんだと思います。だからダメ男に貢いで会社のお金を着服して東南ア
ジアに逃げる女の話が妙に人気になるのよね。

 リアルな他人に貢ぐ機会がない場合、アイドルや芸人、声優、タカラヅカな
ど半分バーチャル半分リアルな存在にお金をかける、いわゆるヲタ活動に従事
するのも快感であります。

 発売以来たちまち重版になったこの本は、そのヲタ活動のありさまを赤裸々
に描いた自分発信ルポ。これまでにもこの分野には、ジャニーズファンのある
ある的な本がありますが、今回はヲタ活動における「財政面」に焦点をあてた
のが新しい。

 では、その実態を見てみましょう。

◎ソーシャルゲームの課金で1回に3万円使った(ヲタ活動では「溶かした」
 と表現するらしいです)
◎同人誌は同じものを3冊買う。
◎若手俳優にプレゼントを30万(2年間)
◎追っかけ費用130万。
◎タカラヅカの観劇のために、宝塚市に賃貸マンションを借りる。

 詳しいことは本を読んでみてください。

 これをバカとかムダとかいう人は、正常な人なのでそのまままっすぐな道を
歩いて行ってください。わかりすぎる人、またはもうこの道に入っているとい
う人は・・・・・まあとことんやるしかないですね。

 この本を読んでおばちゃまが思ったことは次の3つです。

(1)寄稿している人はみな賢い

 この本にはいろんなジャンルのヲタたちがいかに浪費しているかを書いてい
るのですが、書いてる人の知的偏差値はみな高いと思いました。オタにもいろ
いろいて、ただワーキャー言ってるだけの人がほとんどですがその中から、た
とえば有名ブロガーのように、オピニオンリーダーというか「私はこう思う」
と愛する対象を分析したり意見を述べたりする人たちが生まれてくるんですよ
ね。この本に書いている人たちはそれにプラス、ヲタを愛する自分への自己分
析もきちんとしていて、はまり具合を客観的に見られて自虐的考察ができてい
る。これ、アホじゃできませんて。だからはまる分野はさまざまですが、皆さ
ん文章の書き方と論旨の展開が似てると思いました。

(2)さほどでもない金額

 そして浪費とは言うけれど、金額的にはさほどでもないんだなと思いました。
上にあげた金額でも多くて1年で130万。ヅカの賃貸マンションもグループで
借りて、しかもほかの組のグループと共同管理して1年を回しているらしいの
で、1人当たりはさほどでもない。(賢いなああ! しかし、近所の人にして
みたら不審ですよね。年代の違う女性たちが入れ替わり立ち代わりするって。
なんかの犯罪グループ?宗教?って思うでしょうね。いや、ある種の宗教なん
ですが)。

 ほかの趣味でもっと使う人もいるでしょうから、浪費といってもたいした額
ではない。

 しかし! これは彼女たちが汗水たらして働いたお金から抽出されたまっと
うな浄財なんですよ。バイト先でいやなこともあったでしょう。家事育児をこ
なしてパート勤務したわずかなお金から出ていることもあると思います。そし
てオタ活の対象には税金は1円も投入されておりません。バレエ、クラシック、
能、狂言、歌舞伎などには文化振興の名目で文部科学省あたりから何がしかの
税金が入っております。しかし、どの省庁がジャニコンやコミケに助成するで
しょうか。すべて彼女たちの汗水から出ているわけです。だから尊い!

 額が少ないからこそヒリヒリした消費であり、収入に対しての消費割合が大
きいからこそ、(そのうちエンゲル係数に次ぐ消費指数としてヲタ指数ってい
うのが出るかも)快感なのです。

(3)なぜヲタ活するのかの研究が未知数

 ネットによってヲタの存在が表面に出てきた昨今ですが、実はこの手の消費
は前からされていました。
 ヅカファンは前からいたし、歌舞伎もあるし、オペラもいる。実はおばちゃ
まの友人の1人に、大御所歌手のヲタをここ30年やってて1か月公演全ステ
(すべての公演を見ること。もちろん、内容は同じです。トークで話すギャグ
も同じだそうです)という子もいます。これらは皆出費額もケタ違い。この本
の寄稿者は比較的若い世代、フィギュア(スケートの方)が少し入っているぐ
らいなので、金額が少ないのだと思います。

 なぜこれができるのかというと、

 女性の経済的自立、女性の結婚・出産への社会の束縛が薄れていること、ネ
ットの拡大などの社会的要因があげられると思います。つまり、女性たちがい
わゆる適齢期になっても結婚して子どもを産めという社会からの規制がゆるみ、
稼ぐ場が広がっているのが理由ということ。つまり、女性たちがヲタ活できる
いい世の中になったなあということ。

 しかし、「異常なほど何かにのめり込んでいる時、人は他の何かから逃避し
ていることが多いように思う。私にとって彼らは依存の対象だった」(フタコ
ブラクダさん)という記述もありました。女性たちにとって、いまだに狄覆
べき本筋の道瓩箸いΔ發里あり、ヲタ活はその代償に過ぎないのか、ある一
定期間の遊びなのか、いやいやこっちが本筋だとばかりに会社のお金を着服し
て東南アジアに逃げるヲタが出現した時に(前にヅカファンに1人いましたよ
ね)本当のヲタと認知されるのか、そこが知りたいものです。

 全国津々浦浦の大学に数人ずついる社会学の研究者の方の中からヲタについ
て研究する人が出てくださることを祈念します。深く考えるとヲタはジェンダ
ー論とも関係があるけれど、女性学の方でこの分野に発言している方を知らな
いのでそこもよろしくと思います。(まあジェンダー論に携わる方々自体が内
輪でわちゃわちゃしているだけのヲタ活みたいなとこもあるかも)。失礼しま
した。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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・『脳疲労が消える最高の休息法 CDブック』(ダイヤモンド社)
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・『セブン・ハーフ・アンド・ワン』(文芸社)
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・『トシ、1日1分でいいからフクシマ英語に触れてみて。それだけできっと世
  界は変わる。』(SCICUS)
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・『あれか、これか
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・『最高のリーダーは何もしない』(ダイヤモンド社)
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