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[書評]のメルマガ vol.23
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■■ [書評]のメルマガ   2000.1.20.発行
■■       vol.23
■■  mailmagazine of book reviews  [自他共に認める野心家 号]
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■お知らせ
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■次号より、メルマガで紹介した本が買えるようになる予定です
当「書評のメルマガ」では、次号から文中で紹介した本を買えるようになる
システムを導入する予定です。詳しくは次号で発表させて頂きます。

■来月から、若干中身が変わります。
今まで、月ごとに変わる著者が10日号、20日号、固定連載が月末号とな
っていましたが、来月より、以下のように変わる予定です。

10日号)月によって変わる著者による「徹夜本」と「繰り返し読んだ本」
の紹介+さまざまな切り口による特集
20日号)今までの連載の中で特に人気のあった著者&強力新人による固定
連載
月末号)今までと同じ固定連載
となります。こちらも詳細は次号にて発表いたします。 
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■「暗記しちゃうほど、読み返した本」林弘平 
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『ディランを聴け!!』(中山康樹著/旬報社) 3000円

 『ディランを聴け!!』というやや高飛車なタイトルのこの本は、ボブ・
ディランの楽曲全513曲をアルファベット順に並べ、かたっぱしから解説し
たなかなかの労作である。

 中山康樹は本書の冒頭で、「ボブ・ディランはアルバムに対してトータル
性という意識をもっていないので、アルバム単位で楽曲の考察をしても意味
がない」と言い切っている。やや独断という気もするが、本書に取り組んだ
意気込みは感じられる。しかも「楽曲解説は、すべて書き直しなしのワン・
テイクで書いた。それがディランにはふさわしいと思ったからだ」なんて書
いてあって、出だしは快調だ。

 しかし、この本を読み進めていくにはいささか忍耐を要する。全513曲は、
アルファベット順に並べられただけだから、作曲年代は飛ぶし、楽器編成も
違えば、バックバンドも違う曲が次々に出てくる。ある程度ボブ・ディラン
のことを知らないと、この構成はきついかもしれない。
 とは言え、《ライク・ア・ローリング・ストーン》のような名曲も、アル
バムの埋めぐさ的な凡曲、駄曲のだぐいも同じ字数できっちり言及する姿勢
には感心する。
 名盤という傘のもとで名曲然とした凡曲を暴き、逆にディランファンでも
顔をしかめる駄盤のなかに埋もれた佳曲を擁護する。その文章が実に明快な
ので、読んでいて心地よい。

 この本のなかで一貫して語られるのは、ボブ・ディランの歌のうまさにつ
いてである。ボブ・ディランの場合、初期のフォークからロックへの転向、
カントリーやゴスペルへの傾倒とサウンドは時代とともに変化し、歌詞も難
解な言葉の洪水からしだいにシンプルなものへと変わってきた。
 が、〈歌〉だけはデビューから現在にいたるまで不変なのだそうだ。本書
の正タイトルは『ディランの〈歌〉を聴け!!』といったところかもしれな
い。どんな凡曲であっても、つまるところこの〈歌〉があるかぎり、聴くに
たえるということになる。

 これはなかなかの見識だと思う。ディランの曲は概して長く、たんたんと
している。歌詞の意味なんかさっぱりわからなくても、しだいに曲に引き込
まれていくのは、あのしわがれた声で歌われる独特のうねりがあるからだ。
たしかにボブ・ディランは歌がうまい。

 中山康樹に言わせると、シンガーとしてのボブ・ディランのピークは1978
年ということになる。アルバムでいうと『武道館』と『ストリート・リーガ
ル』だ。本書では最初に聴くべきディランのアルバムとしてこの2枚を挙げ
ているが、僕も同感である。とくに78年の初来日公演を記録した『武道館』
は、ボブ・ディランの最高傑作だと思う。《ミスター・タンブリン・マン》
から《時代は変わる》まで、ぎっしりと詰め込まれた代表曲の数々は、どれ
もオリジナル・ヴァージョンがかすんでしまうほどすばらしい。
 中山康樹は本書のなかでさりげなく、そしてくりかえし『武道館』をほめ
たたえているが、この一点において僕はこの人を全面的に支持する。

 『ディランを聴け!!』とは言わない、『武道館』を聴こう!!

<林弘平 出版社勤務 35歳 年間読書量30冊 好きなジャンル 時代
小説・ミステリー・ホラー>
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■「暗記しちゃうほど、読み返した本」朝日山
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"CASABRANCA----Script and Legend"HOWARD KOCH, THE OVERLOOK PRESS

朝日山は自他共に認める野心家である。
だから、ここで書くときは極力ベストセラーを避け、あんまし売れていそうに
ないが、いい本を選んでいるつもりだ。なぜそういう選択をするかというと、
目立つからである。あまり知られていない本を紹介していると、朝日山という
奴はものすごい読書家だと読者は勝手に勘違いするかもしれない\(^O^)/

もう一つ、目立つ方法がある。そんな本あったのかとは、別の驚きを読者に提
供する。それを今回やってみることにする。タイトルを読めばわかるわな。日
本語で書かれていない本を採り上げる。これで朝日山は、たいへんな英語使い
だと、人は勝手に勘違いするかもしれない\(^O^)/。

英語も使わないと、錆びますなぁ(笑)。昔はそれなりに読めたものの、今は
Webなんかも全然ダメ。だったら英語を使ってやる。好きな映画のシナリオを
繰り返し読んでみるというのは、けっこう英語力増進にいいんじゃないか……
ということで買ってみました。何度も映画は見ているけど、やっぱりおもしろ
いですねぇ。

ナチの迫害から逃れ、アメリカに行く希望を持った人が集まる街、カサブラン
カ。ピアノマンのサム以外、誰にも心を許さない謎の男リックが経営する酒場
&とばく場には、様々な人々が集まる……言い寄る女には……
"Where were you last night"
"That's so long ago,I don't remember"
"Will I see you tonight?"
"I never make plans that far ahead"
この、キザ野郎(^O^)。

でも、レジスタンスの英雄ラズロと共に現れたかつての恋人エルザに心乱され
るところは、やっぱり哀しいものがありますね。
"Why did you have to come Casabranca? There are other places"
"I would'nt have come,if I had known that you are here.Believe me,Rick,
it's true. I don't know"

ラズロは、ナチのストラッサー、そしてヴィシー政府の警察署長ルノーに追い
つめられます。このままではイルザもろともナチの手に落ちてしまいます。カ
サブランカから脱出したいラズロ。ラズロを脱出させたいイルザ。彼らがのど
から手が出るほど欲しがっているリスボン行きの通行手形は、リックが持って
いる。三人の駆け引きの末、リックは店を処分し金を作ってもう一枚の査証を
買い、愛と理想を賭けた勝負に出ます。

そしてクライマックス。もうみんな泣くという、ラストシーン
"Ilsa,I'm no good at being noble,but it doesn'take much to see the
ploblem of three people don't amount to a hill of beans in this crazy
world.Someday you'll understand that.Not now.
Here's looking at you,kid"
この最後が、リックとエルザが何度も交わした、あの「君の瞳に乾杯」なんだ
が、これって、きっと言い聞かせる言い回しだよねぇ……ニュアンスが少々違
うんじゃないか……「君の瞳に乾杯」は超訳か、なんて言ったら殺されるかな
(^_^)?

そんな感じで、名ゼリフのヒアリングができなくても、これがあれば何言って
いるかわかります。おぉ、このセリフは、こんな表現だったのかなんてわかっ
たりして、見ているだけでも楽しい。別に英語に熟達しようなんて思わなくて
も、映画を見ながら読んでいるだけでも、新しい世界が広がります。

こうしたシナリオ本を買うときは、アマゾンあたりででタイトルだけ見て買う
ことはいったんは避け、現物を確認できるなら確認して買いましょう。モノに
よっては映画の撮影前のシナリオそのままの場合があるのです。たとえば
"TERMINATER 2 JUDGEMENT DAY"James Cameron APPLAUSE BOOKSがそうでしたが、
ちょっと完成した映画と違うところがある。

もちろんそうした場合には"In the final film,……"なんて文句の後に実際の
シーンを書いてあったりするので、まんざら使い物にならないわけでもない。
むしろマニアは、こうした違いを楽しむのかもしれませんが、英語力の維持増
進には、こういうのはちょっと使いづらい。

というわけで、これを勧めるのは、この映画が好きな人が多いことと、この本
は映画そのままに作ってあるからです。KOCHは、当然"CASABRANCA"のシナリオ
を書いた人ですが、完成した映画をもとに書いてあるので、その点、使いやす
いのです。また、翻訳の本も新書館から「カサブランカ」が出ているのが心強
い。「カサブランカ」の底本は、カサブランカ上映三十周年版で、これは五十
周年版で、シナリオと本文の多くが同じものです。もっとも、一番大きい理由
は、間もなく当メルマガ同人から発表があるはずです。

これで、朝日山の英語力が回復するか、ただ映画を見ながら遊んでいるだけに
終わるかは、これから結果が出ます。お楽しみに……って誰も期待しとらんて
(笑)
(朝日山 百姓 36歳 年間読書量50冊 好きなジャンル 特になし)
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■「暗記しちゃうほど、読み返した本」三澤友貴子
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『デミアン』ヘッセ

最初のこの本との出会いは遅く、大学の図書館でだった。
私はヘッセなら、「車輪の下」、太宰治なら「斜陽」、村上春樹なら「ノルウ
ェーの森」みたいに、有名人の代表作から読み始めるのが嫌いなたちで、この
(大学の時は文学部でもないのに暇さえあれば図書館にいた)一番読書量の多
かった時期、読むべき本を見つける遊技として、本棚を眺めては気に入った題
名の本を手にとって、導入部分を読んで波長が合うか合わないかを基準にして
いた。有名な、ヘッセ、の名前などは、聞いたことがあるなあ、位で選別得点
の足しにはならなかった。
ただ、「デミアン」この怪しげな4文字、その場で虜になってしまった。

何故、この本を何度も読み返すか?それは私にとってこの本がバイブルに等し
いからだ。

題名の書かれた表紙の裏には、
「私は、自分の中からひとりででてこようとしたところのものを生きてみよう
と欲したにすぎない。なぜそれがこんなに困難だったのか。」
という投げかけが記されている。

本の内容はおもに以下の通り。

「自然の貴重なただ一度きりの試みであるところの生きている人間」が「すべ
ての人の中で精神が形となり救世主が張り付けにされ」ながら成長し探求てゆ
く様を、「もはや星の上や書物の中を探し求めはしない、私の血が体内を流れ
つつ語っているところの教えを聞く」という視点で描いたもの。
書かずにはいられない、おそらくはヘッセ本人の独白-きれい事ではすまされ
ないどろどろと迷う生身の人間のたどった道。
だからこそこの本は生きてゆくのに必要な、読まないといられない本である。
苦しみながら前に進もうとする者に、読むごとに新しい発見と救いをもたらし
てくれる。

私がここで、本の中から思わず線を引いてしまうようなキーワードをあげる事
には意味がない。
この「デミアンのすすめ」を見た人は、読めば心の求める言葉を沢山見つける
事ができる。自分の成長期にフラッシュバックし、かつて自分を強く支配して
いた自身のデミアンが思い出されるかもしれない。
砂漠で出会う、あるいは二日酔いの次の日の水のように、自分がいかに言葉に
枯渇していたかを、発見するだろう。

私のデミアンは、ヘッセの、「デミアン」をはじめとする様々な本であったよ
うな気がする。
その私が何度も泣きながら線を引いてしまう、心を清らかにし、強く導くキー
ワードを挙げさせてもらうなら次の二つ。
「どんな人もかつて完全に彼自身ではなかった。しかし、めいめい自分自身に
なろうと努めている。ある人は朦朧と、ある人はより明るく。めいめい力に応
じて。だれでもみな、自分の誕生の残りかすを、原始状態の粘液と卵のからを
最後まで背負っている。ついには人間にならず、かえるやとかげやありにとど
まるものも少なくない。」
「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、
一つの世界を破壊しなければならない。」
もう一つ書いておきたいこと。この本の中に「カインとアベル」の話がたびた
び登場する。
これは少年の成長と探求を取り巻く重大なテーマとなっているように思う。
父と母、愛と厳格、模範と教えなどによって成り立つ、明朗で清浄な神の世界
と、悪魔のものに帰せられている、罪や性といった暗くに匂い立つ禁じられた
世界について。二つは全く性質を異にしながらいつも隣り合って存在する。
人や世の中は、清らかで許されたアベルの世界だけでは語れない側面を持って
いる。
わかりやすく例を挙げれば、
"かわいらしい声で賛美歌を歌いきれいに選択されたエプロンの上に手を載せ
てお祈りをする女も、肉屋で近所の女と言い争いをしたり、隣の男とのいけな
い空想に耽る。"といったことだ。

人は小さい頃は、暖かい家と家族、両親の清らかな躾と愛情に包まれ、理想の
世界にしかあり得ないような正義でいい子に育つように押しつけられる。
しかし、成長すればするほと、外部に触れ、あるいは躾るはずの両親のゆがみ
や矛盾が見える、もはや清らかな神の世界だけで成り立っていないことに気づ
いてしまう。親の支配や従属に対する反抗や、許しや保護のないもう一つの世
界に足を踏み入れることは成長の印である。

しかしそれらに背を向ければ、毎晩後ろめたさからくる悪夢にさいなまれるこ
とも事実だ。
"人は正義や正しさだけでは生きてゆけないが、悪を犯したときの罪悪感から
も逃れられない。"
これはいくら考えても答の出ないテーマのようだ。今日まで私の頭を悩ませた
し、未だ自分を納得させる根拠も方法も見つからない。(分かる人があれば是
非教えてほしい、どれだけ自分は救われるか!)
思えばいろんな本やデミアンに出会って、いまや私はそういったものにあまり
頼らずに、波瀾万丈の人生を自分なりに思考して生きていける大人になった。
(ホントかな?) 
だけどたまには思い出さなければいけない。
「自分の感情を思想に変えることを学んだ大人は、子供にはこの思想がかけて
いるものと思い、子供には体験などもないと考える。しかし一生のあいだあの
当時ほど深く体験し、悩んだことはごくまれにしかない。」
ということを。
<三澤友貴子 無職 年間読書量50冊 好きなジャンル:純文学>
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■あとがき
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>この間、地下鉄にのったんですよ
>はあはあ
>そしたら、車内アナウンスが日本語と英語で流されてたんですよ。で、ち
ょっと変なことに気づいたんですが・・
>変なこと?
>そう、「新宿」というイントネーションが、日本語では同じ高さか、ちょ
っと語尾挙がり気味だと思うんだけど、英語では、「新」に思いっきりアク
セントがあって、なぜか語尾下がりなの
>へえー、それが英語圏での「新宿」の読み方なんですかね??
>しかし、それって間違ってないかなー。日本に来たら、新宿をやはり正し
いネイティブ読み(要は普通の日本語読み)で読むべきじゃないのかな??
なんか納得いかないなー。正しい日本語学べよなーって感じぃ(語尾挙がり)
>なんか、若ぶってる小イジワルな親父ですね―(笑)
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