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[書評]のメルマガvol.258
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■■ [書評]のメルマガ                2006.3.31.発行
■■                              vol.258
■■ mailmagazine of book reviews      [恨めしいビニール 号]
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■コンテンツ
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★「極私的読書日記」/石飛徳樹
→今回もお休みですが、『名古屋で書いた映画評150本』(徳間書店)が
絶賛発売中、ぜひ買ってくださいまし。

★「面白すぎて、♪どうにも止まらねぇ!」/ミラクル福田
→ミラクルさんも超多忙につきお休みでーす。

★「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
→日本は本当に復活するのか、という話題作を取り上げます。

★「あんな新刊こんな新刊」/荻原千尋
→写真集の話題、あれこれです。

★「本の香りだけ」/守屋淳
→今後話題になりそうな「モラハラ」とは……
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■「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
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「革新」よりも「改善」の国、ニッポン♪

 aguni です。春なので、今日は明るめの一冊。

『日はまた昇る 日本のこれからの15年』
 ビル・エモット著 吉田 利子訳 草思社(2006.2)
 http://www.bk1.co.jp/product/2639784/p-aguni00047

 WBSが開催され、なぜ仕組みとしてアメリカが勝つように有利に仕組ま
れていたにも関わらず、さらには審判問題で状況的に不利だったにも関わら
ず、しかも韓国にたびたび敗北したにも関わらず、日本が優勝してしまった
のか?

 ライブドアショックで株価が暴落、マンションは耐震偽装、中国と韓国の
反小泉感情は高まり、米国は汚染牛肉を日本へ輸出。これだけ盛りだくさん
の材料を持っていた民主党が偽造メールひとつで内部崩壊。でも日経平均は
5年半ぶりの高水準。

 いったい、この国はどこでどのように動いているのだろう?

 そんなことを思いつつ、このちょっと前の本を手に取りました。かつて日
本の没落を予言したというビル・エモットの『日はまた昇る』です。

 この本は2005年の10月に『エコノミスト』の特集記事を元に、日本の読者
向けに書かれたもの。内容は日本人に向けたエールである、と思えなくもな
いようなものです。

 こう世の中の変化の動きが早いと予測をするのも大変だ。ホリエモンが拘
置所送りになり、前原代表が辞任することになろうとは、まさか誰も思って
いなかったでしょう。しかしそういう時事の部分を些細な部分として、彼の
視点から見たときに、日本というのがどういう国なのか、なるほど、そうい
う見方もあるのかと面白く読めました。

 彼が日本のキーワードとしてあげているのが「徐々に」というもの。これ
が何より面白い。

「日本は革命の起こる国ではなくて、いったん合意のもとにコースが決まっ
たら、忠実かつ着実にそのコースを進む国なのである。」(P20)

「日本の有権者はイメージに乗せられて小泉氏を支持したのかもしれないが、
同時に、先の定かでない過激な改革よりは、ゆっくりとした着実な変化を望
むという意志を示したのかもしれない。」(P69)

「日本にはドラマはないのである」(P129)

 つまり、日本人は「改善」は好むが「革新」を望まない、ということだろ
うと思います。急激な変化はリスクを伴う。リスクを取らない、というやり
方が日本人が安心して受け入れられるやり方であり、マスコミやメディアで
見ている派手なパフォーマンスは瞬間、人の目を楽しませても、結果として
日本人が選択する方向は「徐々に」変化していくということ。

 細かい改善改善を積み重ねて制度や仕組みを変えていく。この本でもNP
Oの推進や司法制度改革、そして最終仕上げとしての会社法など、法律制度
の改革が日本を漸次的に変革してきたことが語られています。

 日本は軍事国家になりはしないし、靖国問題も一気に解決はしないし、外
国からの移民を一気に受け入れたりもしない。少子化問題も解決しない。そ
れでも日本人は改善を積み重ねて生産性を向上させ、女性の数が職場で増え、
そしてロボットがもっと働くようになる。結果として、日はまた昇る。

 以上がビル・エモット氏が描く、これから15年の日本の姿です。いかが
でしょう? 何しろ大胆な変革がないというお話ですから決して斬新な指摘
ではありませんが、なぜか納得してしまいませんか?

 サッカーW杯での試合が終わるたび「改善点が見えた」というコメントが
選手の口から出ますが、こういうコメントを聞くたび、海外で戦っていても、
やはり彼も日本人だなぁ、と思うのは、私だけではないと思います。

 この明るい見通しが、エイプリル・フールにならないことを、祈りつつ。

(aguni ビジネス書・書評者
 メルマガ「週刊ニュースなビジネス書評」発行人。
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■「あんな新刊こんな新刊」/荻原千尋
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皆さんこんにちは。
ついこの前年が明けたと思ったらもう4月。
NHKの語学テキストや学年誌が大量に入荷しました。毎年4月号
はたくさん売れるんですが、徐々に減っていき、3月号になると
かなり寂しい感じに・・・。買う人はもちろんのこと、入荷自体も
ものすごーく少なくなるんですね。
まあ、ここでは詳しく語りませんが、いろいろな苦労が・・・。
人は飽きっぽい生き物だってことを実感する季節です。
そして、4月5日には本屋大賞の受賞作が発表になります。
http://www.hontai.jp/index.html
なんと今年で3回目!本屋である私にとっては、大事な年間行事の
一つになりました。大賞作品に注目していただきたいのはもちろん
ですが、本の雑誌社から発売される『本の雑誌増刊 本屋大賞
2006』にもぜひご注目ください。自分の知らない面白い作品が、
まだまだたくさんあるんだなあ、そして、全国の知らない同業者が、
いろんな気持ちで売ってるんだなあと、なんだか嬉しい気持ちにな
ります。

さて、今月私がオススメしたいのは、見て驚きの写真本を数点です。
まずは『サボテンの空』(生田理和・写真 ピエブックス)。
写真集は、残念ながら私が勤務するような郊外の書店ではあまり売
れないジャンルの一つです。でも、動物写真と風景写真に関して言
えば、それなりの手堅さで売れるし、立ち見をしているお客様も多
く目立ちます。フェアをしたりすると、案外反響があったりもしま
すし、まれにテレビで紹介されたりすると、大きくヒットすること
も・・・。正直需要は多くないですが、潜在的なお客様が思っている
よりいるんですよね。
で、サボテン。サボテンというと鉢植えの物しか思い浮かばない想
像力の持ち主である私には、驚きの連続な本でしたよ。(数年前に
枯らしたことはありましたね・・・。サボテンも枯らす自分のズボラ
さを心から憎みました。余談ですが。)
癒されるって言うより、「うわっ、なんだこりゃ!」って感じです。
乾燥したメキシコの大地にニョキニョキと立つ巨大サボテンは、
形状もたたずまいもそれぞれ違っています。サボテンの個性につい
てなんて、この本を知ることがなければ一生考えることはなかった
のかも。
この感じ、昨年出た『パンダちゃん』(菅野ぱんだ・写真 リトル
モア)を見たときに似ています。一人(一つ)ポツンとしている姿
しか見慣れていない存在が、集団でのびやかに存在しているのを見
た時のハッとする感じ。
同僚に無理矢理見せて回ったら「おおお!」「うわー!」とかなりスト
レートに好反応でした。
なにかきっかけがあれば売れそうなんだけどな・・・。というわけで、
販売方法を模索中です。

そしてもう一冊は、『女番社長レナ』(ペットライフ社)という本です。
とある会社の代表取締役を務める猫のマンガ、というと昨年売れまくっ
た『きょうの猫村さん』(ほしよりこ著 マガジンハウス)みたいな
奴かー?と思う人も多いでしょう。
でもこの本の主人公である強欲な女社長レナは、全編にわたり写真
で登場し、普通のかわいい猫写真集では見ることのできないふてぶて
しい表情、人をバカにしたような態度を惜しげもなく披露しています。
計算機を叩いたり、ダメ社員に説教をする猫社長の険のある表情は、
猫飼いでもびっくり、猫を飼っていない人には恐怖と嫌悪感すら抱
かせるんじゃないでしょうかね。
1冊だけポツンと入荷したこの新刊、追加を取って平台に置いてみ
たら、なんといきなりベスト10入りしてしまうほどの売れ行きで
びっくり。
一時期品切れさせちゃった時なんかも、品のよさそうな老紳士から
「ここにあった猫のマンガは?」と問い合わせを受けたりしました。
若干写真が粗くて白黒なのが残念ですが、よりパワーアップした
第2弾の刊行なんかをぜひお願いしたい!!

そして、最後に1点、とうとう出たんですよ、あの叶姉妹の恭子様
が撮影なさった美香様のヘアヌード写真集『Sweet Goddess』が!
出る前から結構話題です。ヘアヌードって言葉、久々に聞きましたね。
タレント写真集では青木さやか以来の話題です。見たい・・・、でも
4200円もするのねっ!さすがは叶姉妹だわ。恭子様のエッセイ、
『トリオリズム』(幻冬舎)はしっかり読ませていた私ですが、さすが
に4200円はなあ・・・、ということで、表紙を見ているだけで
ストレスがたまります。
こういう見たいけど買いたくない写真集は、ストレスがたまるくら
いなら勝手にビニールを外してみちゃえ、というお客様(青木さやか
の写真集のときは相当やられたなあ)がかなりいらっしゃるんです
よ。それって、器物損壊という犯罪だと思うんだけどなあぁぁっ!
ああ、今から胸が痛いです。

それでは今回はこの辺で。次回もまたよろしくお願いします。
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■「本の香りだけ」/守屋淳
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セクハラの後に来るもの

『離婚裁判』荘司雅彦 発行アメーバブックス 発売幻冬社

今回は、実は知人の方の書いた小説の紹介です。
著者の荘司雅彦さんは、弁護士さんで、あまり弁護士のいない地方で活躍し
ていたこともあり、なんと他の人が百年かかってやる量の離婚を取り扱った
(!)という方なんです。

荘司さん、『孫子』をはじめとする戦略関係の本がお好きなようで、『男と
女の法律戦略』(講談社現代新書)『中学受験Bible』(ライブドアパブ
リッシング)など、男女問題や受験などに戦略思考をミックスした本を上梓、
いずれもベストセラーになっています。

そして今回、初めてとなる小説の題材に選んだのが「モラル・ハラスメン
ト」。まだまだご存知のない方も多い概念かもしれませんが、典型的なのが
夫が妻に何事も「自分が悪い」と思うように仕向けて、操ってしまうという
形、相手の罪悪感につけこむ形で良いように相手を支配するような関係をい
います。

このモラル・ハラスメント(略してモラハラ)女性のみの掲示板、「発言小
町」なんかでは、以前から話題になていたものなんですが――「夫にこんな
ことされてます……」「それって、モラハラでは」みたいな――ようやく活
字媒体でも話題になる素地が生まれてきた、そんな嚆矢が本書になるので
しょう。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/

まず、この小説、出だしが主人公の女性が経験する、バブル期の就職から、
バブル崩壊後のリストラまでを描くんですが、ここいらは現在の三十から四
十代にとっては、滅茶苦茶懐かしさを感じさせてくれる部分です。一流企業
に就職したものの、お茶くみ位しか仕事をさせてもらえず、結局、リストラ
の対象とされてしまう。しかも、その辞めさせ方が人を心理的に追い詰めて
いく、研修という名の地獄だった……。

こういった研修は、TVドラマ『彼女たち時代』にも出てきましたが、当時、
法律的に辞めさせにくい社員を退社に追い込むために流行ってましたねー。
個人的に、会社のスキルアップのための研修って、どうも洗脳臭さがつきま
とっていて好きではなかったんですが、考えてみれば、これを逆用すれば心
理的に追い詰めて辞めさせるためのプログラムもあっという間に出来てしま
うんでしょうね。研修で、社員をやる気にさせて、また研修で、社員を追い
詰めて……いいように操られる社員って一体、って感じです、こりゃ(笑)

そして主人公は、色々あった末に人も羨む相手と結婚するのですが、ここか
らモラハラの日々が始まる……。本書の山場は、耐え切れなくなった主人公
が裁判に打って出ってからになりますが、ここは実際に修羅場をくぐってき
たであろう荘司さんの独壇場、裁判戦略のノウハウも詰め込まれていて、大
変な読みどころとなっています。特に、主人公が決定的な証拠として持ち出
した資料は、背筋が凍る圧巻の描写。そうそう、最後に著者本人が、受験本
の著者として顔を出すのもご愛嬌で微笑ましい点です。

来年あたりから、熟年離婚が大幅増になるといわれていますが、この「モラ
ハラ」は、世間に定着するにつれ、こうした裁判の大きな争点になるのは、
おそらく間違いないでしょう。

これは、自分が書店に十年ほど勤めていた実体験から確実にいえることなん
ですが、なにせ団塊世代のおじさんといえば、もちろん一部だけにせよ、俺
様マイルールで動いている人がいて、「ああ、奥さん、これにつきあわされ
ているんだな、可愛そうに」と思わずにはいられない嫌な親爺がいるわけで
す(笑)

たとえば、お茶がちょっと熱いというだけで怒った、おかずが三品以上ない
と怒った…いずれも、モラハラの要件になりそうな事例ですが、いくらでも
いそうですよね……

しかし同時に、世の中、やはりマイルールを押し通そうとするおばさんもい
るわけです(笑)。子供に「お父さんみたいになっちゃ駄目よ」とか言って
みたり、「あんたの稼ぎが悪いから駄目なのよ」と旦那に罪悪感を植え付け
てコントロールしてみたりとか……。こういうのって、やはりモラハラにな
るんですかねー。そういえば、あるお店にいた時、とても嫌われていたお客
さんがいて、それが小学校の女性の先生だったんですね。常に、上からの命
令口調でしか話せないという――この意味で、小売の店頭なんてモラハラ天
国だったのかもしれません。実際、精神的に病んで辞めちゃう書店員も結構
いましたし……

というわけで、「あ、俺(私)、モラハラの気味があるかも」と思い当たる
節のある方に、ぜひ。あ、そんな自覚症状感じている人なら、モラハラにな
りっこないか……(笑)
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■あとがき
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>昔、ソフトバンクの孫さんとオリックスの宮内さんが、プロ野球問題をTV
で討論していたのを見たことがあるんです
>はあはあ
>宮内さんは、必死に経営努力を重ねても黒字にならないんだから、選手の
年俸を安くすべきだと主張していたんですね。
>まあ、そりゃそうですよねー。赤字の会社なのに、給料たくさんよこせ、
というのも何だかなーという感じですよね。
>で、孫さんは、そのとき、いや違う。たとえば、ベースボールの世界一決
定戦みたいのをやって話題をつくり、パイを広げれば良いみたいなことを
言っていたんですね。
>おお、まさにWBCの発想ですね。
>そうそう。で、今回WBCは大盛り上がりになりましたが、まさに孫さんの
発想って的を得ていたんだなって感心しました。効率化ではなくて、より広
い世界に目を向けようって感じなんですよね。そして、ソフトバンクがボー
ダフォンを買収することになったんですが、果たしてどんな発展があるのか、
見ものだなと思います、ハイ。あ、今回はお笑いなくてスミマセン(笑)
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