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[書評]のメルマガ vol.259
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■■ [書評]のメルマガ     2006.4.10発行

■          vol.259
■■  mailmagazine of book reviews  [ 変化の春 号]
■■-----------------------------------------------------------------
[CONTENTS]------------------------------------------------------
★近事雑報「南陀楼綾繁のホンのメド」
 →本をめぐる情報+アルファの雑談です。一箱古本市など春のイベント。
★「大阪豆ごほん」福島杏子(ちょうちょぼっこ) 
 →北堀江のふたつの「本スポット」から届く、楽しくて美味しいお便り。
★「食の本つまみぐい」遠藤哲夫
 →〈大衆食堂の詩人〉エンテツが料理文化史の重要本を紹介します。
★「酒とつまみと営業の日々」大竹聡
 →各方面で話題沸騰のミニコミ「酒とつまみ」の営業秘話です。大好評。
★「版元様の御殿拝見」塩山芳明
 →新幹線通勤中に毎日一冊は本を読む男が版元の社屋を徘徊します。
★新連載「楽しみと日々 古書展と書簡をめぐるあれやこれや」つばめ
 →やたらと本に詳しい謎の人物「つばめ」による書誌探求の余談です。
*本文中の価格は、すべて税抜き(本体)価格です。

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■南陀楼綾繁のホンのメド 
新刊、古書、マンガ、雑誌、ウェブサイト、書店、イベントの近事雑報
-------------------------------------------------------------------
【トピックス】
★第2回「不忍ブックストリートの一箱古本市」

 昨年に続き、今年も「不忍ブックストリートMAP」が完成しました。前回
よりも本スポットが増え、発行部数も3万部になりました。谷根千地域ほか都
内各所で配布中です。このMAPを置きたいというお店を募集しています。問
い合わせは、以下のアドレスまで。
shinobazu@yanesen.org

 このMAPの完成に合わせ、第2回「不忍ブックストリートの一箱古本市」
が、4月29日(土・祝)11:00〜17:00に開催されます。100人の店主が15
のスポットで、一人一箱の古本を販売します。店主のリストは以下です。
http://sbs.yanesen.org/hako1/2006/shop.html

 ゴールデンウィークの一日、谷根千を散歩しながら古本市を楽しんでみませ
んか。スタンプラリーもアリ。全スポットを回った人には、ステキな賞品をプ
レゼントします。たくさんのお出でをお待ちしています。

★海文堂のギャラリーが期間限定で復活!!

 2000年9月に閉廊した、神戸・海文堂書店の2階ギャラリーが5年半ぶ
りに復活した。復活第一弾は、「没後25年 パリ時代の中村直人展」。
 中村直人(なかむら・なおんど)は1905年、長野県上田市に生まれる。
20年上京し、院展で最高賞を受賞するなど彫刻家として不動の地位を築きな
がらも、親交のあった藤田嗣治の勧めもあり、52年家族をあげて渡仏。画家
として転身、パリで個展を重ねる。81年東京で没。

期間:4月1日(土)〜16日(日)[10日(月)は休廊]
場所:海文堂書店2階 ギャラリー
兵庫県神戸市中央区元町通3丁目5番10号
電話:078-331-6501
http://www.kaibundo.co.jp/
主催:海文堂書店   協力:ナオンド委員会

〈海文堂より〉
ギャラリースペースを“フリースペース”としてみなさんにお使いいただき
たいと考えております。出版記念会・地元作家との交流会・ビデオ試写会・紙
芝居大会・会議……。「本屋の2階スペース」を、お気軽に、お安い料金で、
どんどん使ってやってください。問い合わせは海文堂・福岡まで。

★西荻ブックマーク

 西荻の古本屋さんが中心になって、新しい試みが始まります。北尾トロさん
によると、コレは「本好きたちの思いつきから生まれた“本をめぐるマンスリ
ー・イベント”です。月に一度のペースで行われるトークライブやワークショ
ップ。小さな会場ならではの温かみのあるイベントを、じっくり長く続けてい
こうと思います」ということです。

第1回 西荻ブックマーク
2006年5月13日(土)
今野スタジオ『MALE(マーレ)』
東京都杉並区松庵3-41-1(JR西荻窪駅徒歩2分/駆け足1分)

【第1部】
『本を作る―和本と洋本』
田中栞ワークショップ
13:00受付/13:30〜16:30
¥3,500
(和本・洋本各1冊+栞2枚材料費含)
定員20名/要予約・要道具持参
予約→田中栞(tel:045-431-1260)

【第2部】
『夜中の本屋でとろけることなど』
穂村弘トークイベント+古書店・音羽館店主と対談
18:30受付/19:00〜21:00
¥1,000
定員25名/要予約
予約→ハートランド
(tel: 03-5310-2520  info@heartland-books.com)

サイト
http://members.jcom.home.ne.jp/43zoo/nbm/nbm.htm

★『海野弘、本を旅する』

 ポプラ社から新刊『海野弘、本を旅する』(本体1800円)が12日頃、刊行さ
れます。150冊近くの著書を持つ海野氏にして、これは初の読書論です。第一部
は、「百冊の本の再訪」として、海野氏がこれまで読み、影響を受けてきた100
冊を、丁寧に読み直していく。ドールス『バロック論』、ガートルード・スタイ
ン『パリ フランス』、森銑三編『人物逸話辞典』、村山修一『山伏の歴史』、
カルペンティエル『光の世紀』などなど、古典から奇書までが登場する。全編
書きおろし。
 第二部は、「遊歩者の読書術」。10年以上にわたってさまざまな媒体に発表
された、読書と本をめぐるエッセイを採録する。古本屋でパンフレットやカタ
ログを買い、旅先では図書館に直行し、パリのカフェで一休み。池波正太郎の
目で江戸を見て、ヴィクトル・ユゴーの手法で都市のアンダーワールドを凝視
する。時空を超えて自由自在、海野弘流「遊歩者の読書術」、ここにあり。
 木庭貴信氏(『クイックジャパン』アートディレクター)の手になる装幀では、
これまであまり人前に顔をさらさなかった海野氏のお姿をあえて全面的にフィ
ーチャーしています。
本書は全身評論家・海野弘のベストセレクションともいえる一冊です。と、企
画・編集協力の南陀楼が太鼓判を押すんだから間違いはありません!?
東京堂、書肆アクセスではサイン本を取り扱い予定。
 なお、本書刊行を記念して、5〜6月に大阪と東京で、海野弘氏の展覧会を企
画しています。詳細は決まり次第お伝えします。

なお、ココに載せられなかった新刊、イベントなどの情報は、随時以下に
掲載しています。ときどきご覧ください。
「ナンダロウアヤシゲな日々」
http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/

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■大阪豆ごほん  福島杏子(ちょうちょぼっこ)
(27) 春なので、春だから、ちょっとしたごあいさつを
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「貸本喫茶 ちょうちょぼっこ」は4月1日に5歳のお誕生日を迎えました。
思いつきではじめた貸本喫茶がここまで長くつづくとは、4人誰も想像してい
なかったといっても過言ではないでしょう。現に、「2年経ったら終わると思
っていた」というびっくりな発言もあったくらいですから。

ただ環境の変化は訪れるものです。私事になるのですが、3月をもって10年
生活をした関西を離れ、生まれた土地に戻ることになりました。

もちろん、「貸本喫茶 ちょうちょぼっこ」はこのまま引き続き継続してい
きます。物理的に私がこれまで通り当番をすることが難しくなってしまうため
営業時間の見直しは行いました。(詳しくはちょうちょぼっこのウェブをご覧
ください)ちょうちょぼっこのひとりとしてこれからも日記を書いたりや古本
の仕入れなどをしていきたいと思っています。また、これまで東京でのイベン
トも交通費の問題もあってなかなか足を運べなかったのですが、今後は無理な
く訪れることができます。まず手始めに4月29日の「不忍ブックストリートの
一箱古本市」に参加させていただきますので、遊びにいらした際にはのぞいて
いただければと思います。

これまで4人が大阪に住んでいる上で成り立っていた「貸本喫茶 ちょうち
ょぼっこ」ですが、常々舵取りをする者がいない状態のため、ますます今後は
どんな風にどこへ向かっていくのか、わたしたちもさっぱりわかりません。そ
れでも、「えっ、まだ続いていたんだ」と気長にみていただければと思います。

私事のごあいさつで今回のメルマガを使わせていただきましたが、今後とも
どうぞ「貸本喫茶 ちょうちょぼっこ」をよろしくお願いいたします。

〈ふくしま・きょうこ〉
周りで猫ブームが到来!?「猫を見る会」を設けてお宅訪問の数をどんどん重ね
たい。そして古本屋でも猫本探し続ける日々。猫にますます魅了される。でも
でも引越で我が家の猫は精神不安定のためでかけるのも億劫に。早く慣れても
らいたいものです。

貸本喫茶ちょうちょぼっこ
〒550-0014 大阪市西区北堀江1-14-21 第一北堀江ビル4F

【お知らせ】
*営業時間を変更します
金   18:00-21:00
土、日 13:00-21:00
なお、毎月最終週はお休みいたします。

*URLを変更しました
http://www.geocities.co.jp/chochobocko/

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■食の本つまみぐい  遠藤哲夫
(17)酒と食を多角的に深め楽しむ
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『談別冊 shikohin world 酒』(たばこ総合研究センター[TASC]、2006年)

新発売。この場合の「酒」は、すべてのアルコール飲料を意味する。佐藤真
編集長の雑誌『談』の別冊だが、2百数十ぺージの書籍なみのボリュームと装
丁だ。飲食本は、とくに1980年代からグルメブームもあって怒涛のごとく出
版が続いているが、近年大きな変化を感じさせる傾向がみられる。おそらく、
ここ数年のうちに、よりハッキリあらわれる流れになると思う。

それは一口で言ってしまうと、料理や飲食を本質的かつ実践的にとらえなが
ら、その広がりと、つくり食べる主体を追及する方向だ。すでに以前紹介した
『有元葉子の料理の基本』のように、まず実際に台所に立って日々の料理をす
る人たちから、そういう「料理研究家」が次々登場したのは当然だろう。そし
て、たとえば、玉村豊男さんは早くから料理エッセイを書いていたが、近年自
らぶどう園農場経営やワインづくりを始めたように、つくりながら、飲食する
分野について発言する人たちである。この傾向は、強まるだろう。そして、さ
らに、本書の登場である。

「一クセも二クセもある19人の酒飲みが現代の「酒」について語り尽くし、執
筆しました」と編集部が宣伝する顔ぶれと内容は。

■アルコオロジィ……(酩酊)の哲理。「〈インタビュー〉酒、うちなる祝祭
――酩酊の現象学」山崎正和(LCA大学院大学学長、兵庫県立芸術文化センター
芸術顧問、劇作家)。「〈対談〉のんべえのクオリア」鷲田清一(大阪大学副学
長)×茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー)。
「嗜好品としての酒――その二律背反性と「知」を育む力」高田公理(武庫川
女子大学教授)。「酒をめぐる古代ギリシアの祭儀――葡萄の樹、狂気の神ディ
オニュソス」楠見千鶴子(作家) 。「酩酊の形而上学」内志朗(新潟大学教
授)。「酩酊論」澤野雅樹(明治学院大学教授)。「祝祭都市とバッカナーレ」
田之倉稔(演劇評論家)。

■酒のフードロジー……食と風土の詩学。「〈対談〉ワインとコーヒー、風土
がつくる味の世界」玉村豊男(エッセイスト、画家)×堀口俊英(〈株〉珈琲
工房HORIGUCHI代表取締役)。「風土のなかのワイン――グローバル化でみえ
てきたワインの姿」福田育弘(早稲田大学教授)。「ワインと葡萄畑が織りな
す美味しい景観――あるいは世界遺産サン・テミリオンの文化的景観とその保
全的刷新について」鳥海基樹(首都大学東京大学院准教授)。「〈ルポ〉小布
施の酒を世界ブランドに――セーラ・マリ・カミングスさんの酒造奮闘記」斎
藤夕子(フリーライター、編集者) 

■醸造のテクネ。「〈ルポ〉風土と市場そして宿命と技術――高千代酒造を訪
ねて」遠藤哲夫(フリーライター、大衆食の会代表)。「〈インタビュー〉酒
を楽しむ極意」小泉武夫(東京農業大学教授)

■酒のカルチュラル・スタディーズ。「未成年者の飲酒はなぜ禁止されたのか」
青木隆浩(国立歴史民俗博物館研究部助手)。「酔っぱらいとマルチチュード」
毛利嘉孝(東京芸術大学助教授)。「浴びるほど呑む人はどこにでもいる――
酔いたい、酔うために飲む飲兵衛の存在」遠藤哲夫

■味覚、複雑化としての酒。「〈インタビュー〉酒におけるコクとキレ」伏木亨
(京都大学農学研究科教授) 。「辛口化か食生活の変化か――変わる酒と食
の相性」宮地英敏(九州大学附属図書館付設記録資料館助教授)。「味覚の主
体化のために……ワインのグローバル化から考える」杉村昌昭(龍谷大学教授)

これまでの飲食本は、じつにテキトウな浅い知識や情報を「文学的表現」で
ごまかすものが少なくなかった。それは、いわば幼児期のようなもので仕方な
かったであろうが、すでに「食文化ブーム」から30年がすぎれば、それなり
に成長するのであり、いつまでもジャンルやテーマを変えるだけで、同じよう
なことをやっていては化けの皮は剥げるし恥になる。本書を読むと、これまで
のテキトウさと、これからの方向性が見えてくる。

飲食の本の編集やライティングに関わる人たち必読の書といえるだろう。こ
の編集長独特の「カタイ」タイトルが並ぶが、中身は、登場者のみなさんほろ
酔い伸び伸びの語りと執筆で楽しい。ま、何より酒が楽しくなるのだが。なん
といっても、飲食については十分なキャリアと深い見識と鋭くイイカゲンの感
性の編集長の編集やインタビューが、飲食のイマを、じつに巧みにさまざまな
角度から掘り起こしている。

最後になったが、おれは二本も書いていて、じつは、これは自己宣伝なのだ。
そういえば、伏木亨さんの「〈インタビュー〉酒におけるコクとキレ」は、拙
著『汁かけめし快食學』のカレーライスは日本料理汁かけめしであるという主
張を、偶然にも「味覚論」から補完する格好であり、おもしろい。『汁かけめ
し快食學』って、深い考察と先見性に富んだスゴイ内容なんだなあ、と、自分
で感心してしまった。ま、飲食というのは、奥が深いってこと。本書の最後の
メッセージは「味覚の主体化」であり、それが、これからの大きな底流になる
にちがいない。

〈えんどう・てつお〉フリーライター。月刊『食品商業』(商業界)1月号か
ら連載の「食のこころ、こころの食」5月号(4月15日発売)は「階層社会と
食」という感じがお題で、「格差社会」とやらと食について書いた。よろしく〜。
非買品「入谷コピー文庫」に『現代日本料理「野菜炒め」考』を書いた。野菜
炒め、おもしろい。

「ザ大衆食」 
http://homepage2.nifty.com/entetsu/
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■酒とつまみと営業の日々  大竹聡
(35)テレビ出演依頼に悩み惑う
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人手不足問題を放置したまま第7号の配本に着手した『酒とつまみ』編集部
は、今日は渋谷周辺、数日あけて今度は新宿周辺という具合に、ポツポツと配
本を続けていた。編集部にいるときも、配本の仕事だけに集中できる時間は限
られており、1日に2、3軒の書店さんに連絡を取り、注文をとって、荷物を
作り、宅急便に出すのが精一杯、それさえできない日も多く、実にどうも、参
った状態に陥っていた。

それでも、訪ねたり、あるいは電話で連絡を取った書店さんから「もう要ら
ないよ」と言われることはほとんどなく、むしろ「ああ、出たの、廃刊したの
かと思った。でも出たんなら、もらおうか」なんてやさしい言葉をかけていた
だくことが多かった。嬉しい限り。いつまでも終わらない配本に焦りながらも、
元気付けられた。

しかし、5000冊を売りぬくというのは、実にたいへんなことなんだなあと、
この頃、ことあるたびに思っていた。部数を5000にしたのは第5号からで、こ
の第7号で3回目の経験になるのだが、過去の例を見ても、売れているぞ、調
子がいいぞ、と思いはするものの、編集部には在庫が山となっていて、ちょっ
とした打ち合わせとか徹夜仕事の折りに使っていた長椅子の上にも下にも、在
庫の束が積み上げられていたのだ。

1冊あたりの平均的な卸値をざっくりと250円として、5000冊完売で、売上
は125万円になる。ここから、印刷製本、著者への謝礼、インタビュー出演者
への謝礼、送本や交通費など各種の経費を差し引いていくと、いくらも残るわ
けではない。経費にしても、全部を経費として処理していたのではなく、編集
WクンもカメラのSさんも、もちろん私も、ちょくちょく自腹を切っていた。
なんとか4000部を売って、残り1000部は在庫ということで小康を得るなら
ば、売上はひとまずざっとみて100万円だから、自腹をやめて経費で処理し
てしまうと1円も残らないというのが正直なところだった。

だから、なんとしても5000部を売りぬく方策を見つけたいのだが、これと
いった名案もない。そんな折り、1本の電話があった。
「『タモリ倶楽部』の○○ですが……」
 こういうのを出演依頼と言っていいのかわからないが、ともかく番組で酒
つまを取り上げるから、みんなで出ないかという。

私は悩んだ。テレビに出て何も喋れず無様に間抜け顔をさらすのが恐い。し
かし一方で、これで知名度が上がればちょっとは売れるのでは、という山っ気
も起こってきくる。ここはいっちょ思いを決めて、といったんは思ってWクン
に意向を聞くと、
「俺はいいっすから、オータケさん出てくださいよ」
 カメラのSさんならと思って聞くと、
「出ないよ、俺。人生、いいことなんか、ひとっつもないんだから」

 私は、再び、悩み、惑う。
いくらなんでも、一人じゃ、おっかなくって、出られないよ〜!

〈おおたけ・さとし〉『酒とつまみ』編集発行人
最悪でも今年の1月には出したいと思っていた第8号、ようやく校了しました。
第7号が出てからなんと8ヵ月半。これまでの記録を更新する大幅な遅れとな
ってしまいました。本当にご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。今
回も精一杯バカをやっております。ぜひ、ご期待ください。
http://www.saketsuma.com

ついにブログに進出!「『酒とつまみ』三昧」、見てね。
http://blog.livedoor.jp/saketsuma/

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■版元様の御殿拝見  塩山芳明
(43)フランス書院(三笠書房)の巻  想像のフランスビル
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 以前、“廃墟編”(朝鮮新報)をやったので、今回は未だ存在せぬ“想像編”
を。1933年創業の三笠書房(フランス書院)は、現在文京区後楽1-4- 14 、
後楽森ビル内(HPの会社案内の写真は、不動産屋風にビルの角を斜め下から
あおり、まるで自社ビル扱い)。営業的にはフランス書院(三笠書房)が正し
いはずだ。従業員数56名は、売り上げ59億同様、“連結ベース”なのかどう
かハッキリさせてよ押鐘富士雄シャッチョー!!(後楽園付近の版元様って、
案外聞かない。ロシアフォルマリズム関係で一世を風靡した、せりか書房くら
い?←まだあるのか?)。
 
 そのフランス書院(三笠…以下略。)が“本当の自社ビル”(地上7階、地
下1階)を建てる予定地が、千代田区飯田橋3-3-3(08年1月完成予定)。現在
は、戦艦『長門』風の、古久根建設の大味なオンボロビルが(寝たくないタイ
プの建物)。同社は数年前に倒産、一時は街宣右翼もウロついていたから、処
分されたと思われる。土建屋からエロ本屋へ。さぞかし地べたも喜んでるだろ
う(2軒ほど置いた右手に、現代書館の“極左自社ビル残侠伝”ビルが)。
 
 フランスビルがそびえる予定のこの一角、そう縁起のいい地ではない。古久
根建設については既に触れたが、左隣の生光ビル(日本音楽学会、全国歌謡連
盟が入居。音楽ビル?)、木造のO氏宅の次には、秋穂セントラルビルが。現在
1階には中古事務用品の「オフィスバスターズ」が入居しているが、かつては
知る人ぞ知る地元名物スーパー、「カエデ」があった。

 なぜ有名だったかと言えば、早朝6時頃から営業していた同店、とにかく安
かったが商品もひどかった。特価品の菓子や飲み物は当然賞味期限切れ寸前。
これはよくあることだから耐えるとして、ひからびた状態の野菜類には、手を
触れる気も起きなかった(“「カエデ」の生物には手を出すな!! ”は近所住
人の合言葉)。最も悲惨だったのは弁当。どう工夫したらここまでまずくと、
吐き気まじりのゲップしながら一種の感動さえ(しかし、付近の工事現場の肉
体労働者には人気が。濃い味付けのせいだろう)。

 長所も(人によるが)。レジの姉ちゃんは人使いが荒いためかよく変わったが、
全員必ず肥満した大女だった。経営者のフェリーニ趣味?(「カエデ」は生光ビ
ル内に事務所が。筆者が駅に向かう夜8時30分頃、社長が前に車を横付け、
中年女を乗せて去るのをよく見かけた。女房か愛人かは不明だが、この女性は
普通の体型で、その矛盾に大いに悩んだ。←大きなお世話だっつーのっ!!)。
  
 目と鼻の先に、「ampm」の大型店がオープンしたのが原因だろうが、いざな
くなってみると寂しい。商品はまずくて古かったけど、とにかく安かったので、
下流住民には便利だった(コンビニって何でも高いよ、ホント!!)。その代わり
に出来たのが中古事務用品屋で、建築されようとしてんのがエロ本屋のビル。
トホホホ(俺もエロ本屋だが…)。

 で、クローニン…じゃなく、エロ小説&エロ漫画で7階建ての自社ビルを建
てる、同社の出版物には全く興味ないが、うらやましい事が一つ。人材募集の
際だ。今やリクルートも学生援護会も、ワシらエロ本屋は風俗産業扱いで、『フ
ロムA』も『an』も出稿拒否(3〜4年前まではウハウハ載せてたのに!)。フ
ランス書院はそんな時、三笠書房名で出稿すれば即OK!!(同社HPによれば、
新卒の定期採用も。もちろん三笠書房名で!!)。大ドル箱なのに、妾の子供の
ように可哀想なフランス書院!! 新ビル完成の折りには、三笠書房の大看板
の上に、フランス書院と俺が赤スプレーで、必ず落書きしてやるヨ。      

〈しおやま・よしあき〉エロ漫画編集者。編プロ「漫画屋」を率いる。著書
『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』(一水社)。なお、この連載に関しての批
判・苦情・お叱りは筆者本人まで、どうぞ(ただし、謝るとは限りません)。
mangaya@air.linkclub.or.jp
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/

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■楽しみと日々 古書展と書簡をめぐるあれやこれや  つばめ
第3回 平井家のほうへ その1
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 2005年10月29日、神保町の青空古本まつりに向かう。季節はずれだが、
「さくら日本切手カタログ」を求めて。古書会館の特選古書即売展では『思い
出の中谷博』900円、民友社社会叢書『簡易生活』500円を拾う。ガラスケー
スのなかで550万円の値が付けられていた『失われた時を求めて』の原書
(グラッセ及びガリマール書店発行1914-27)にしばし見入る。

 神田ブックフェスティバルの学士会のブースで、岩崎学術出版社版『中井久
夫著作集』全6巻別巻2巻(合計8冊)を2万1500円で買う(『岩波茂雄へ
の手紙』1500円と一緒に)。この著作集は、第1期の函入りセットを持って
いるので、よくよく考えてみると、第2期を定価で購入したほうが安上がり。
しかし、中井久夫のエッセイの魅力を教えてくれた某先生と一献を傾ける機会
に、第1期分を酒代代わりに持参してもいいと考えてダブりを承知で手にする。
このまえ訪れたときは、先生が入手された矢野峰人訳のルバイヤート(學藝社
版。廣田義夫、上林暁、酒の戒めと連想が浮かぶ。)を肴に、小西茂也の旧蔵
書(バルザックの絵柄の蔵書票附き)を酒代にして、ワインを空けた。寺田透
著『バルザック』(筑摩書房版)も酒代代わりに持参したのだが、急に惜しくな
って持ち帰り、あとから函なしの現代思潮社版をお送りして、ごまかしたのだ
った。原政夫著『日本におけるバルザック書誌』の文章を思い出したのである。

《この名著の内容については本文を読んでいただきたいが,この本の稀少価値
について一言しておきたい。この本はもともと発行部数がすくなかったことも
あり,こんにち古書店においてもめったにお目にかかれない。公共図書館・大
学図書館でもこの本をもっているところはきわめてすくない。わずかに国立国
会図書館,都立日比谷図書館,早稲田大学,関西大学などの各図書館にあるの
みで,東京大学,京都大学ともにもっていないのである。そのうちに稀覯書と
なるのではなかろうか。》

 この一節を目にした読者なら、(いくら某先生から創元社版『眼の引越』を
頂戴したことがあるとはいえ)『バルザック』を持ち帰ったことを責めるかた
はいないだろう。その後、一冊目と同じ南部古書会館で、全く同じ値段(千円)
で、2冊目を手に入れて、少し安心した。こちらは多少は責められてもやむを
得ないが、古書展の2日目だったのだから許してほしい(後記。さらに1冊、
平成18年2月11日の書窓展2日目で、寺田透署名入り『バルザック』を800
円で入手した。遊び紙の献呈先を記載した部分が、窓の形に切り取られている。
一枚めくると、扉に味のある色がついた窓の形が写っているから、よほど以前
に切り取られたのであろう。)。

 三省堂会場では新保博久、山前譲編『乱歩』上下6000円と文庫本2冊各300
円(うち1冊は河出文庫の森山大道『犬の記憶』であるが、もう1冊がちくま
文庫の何という本だったかどうしても思い出せない。)。3000円以上の古書を
買うともらえる、無料配送券をもらって、配送を依頼する。

 国立国会図書館に寄った後(マイクロフィルム化の作業のため、お目当ての
本は当面は閲覧できず。今後は戦前の発禁本を直接手にとってみるのが難しく
なると思うと味気ない。)、池袋の幻影城に向かう。

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フランス書院さんが移転するかも?!
(記事@[書評]のメルマガvol.259)→http://back.shohyoumaga.net/?eid=416690「版元様の御殿拝見」によると、現在、フランス書院さんが新社屋建設中。注文の際、...
| WEB黄色い楕円 | 2006/04/11 10:31 AM |
あくどさのなかで
 [書評]のメルマガの「vol.259」を読んで知った「第1回 西荻ブックマーク」というイベント。とてもおもしろそうだし、そういうコミュニティがあるってことが羨ましくあったり、悩ましくあったりするのだけど、そのなかの<第2部『夜中の本屋でとろけることな
| 〒カワチ日手紙〒 | 2006/04/17 6:20 PM |
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