[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.263
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■■ [書評]のメルマガ     2006.5.13発行

■          vol.263
■■  mailmagazine of book reviews  [昭和な暮らし 号]
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[CONTENTS]------------------------------------------------------
★近事雑報「南陀楼綾繁のホンのメド」
 →本をめぐる情報+アルファの雑談です。トークとか展覧会とかいろいろ。
★「大阪豆ごほん」柴田尚美(おまめ)
 →北堀江のふたつの「本スポット」から届く、楽しくて美味しいお便り。
★「新・新刊書店の奥の院」荒木幸葉
 →新天地・金沢でも書店員となったアラキ。売り場で拾った話をご紹介。
★「酒とつまみと営業の日々」大竹聡
 →各方面で話題沸騰のミニコミ「酒とつまみ」の営業秘話です。大好評。
★「版元様の御殿拝見」塩山芳明
 →新幹線通勤中に毎日一冊は本を読む男が版元の社屋を徘徊します。
★新連載「楽しみと日々 古書展と書簡をめぐるあれやこれや」つばめ
 →やたらと本に詳しい謎の人物「つばめ」による書誌探求の余談です。
*本文中の価格は、すべて税抜き(本体)価格です。

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■南陀楼綾繁のホンのメド 
新刊、古書、マンガ、雑誌、ウェブサイト、書店、イベントの近事雑報
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★稲垣書店がやってきた!
 千駄木の「古書ほうろう」に、三河島の映画書専門店「稲垣書店」の棚が出
張中。映画についての本はもちろんのこと、肉筆の原稿、書簡、色紙からポス
ター、スチール写真、ブロマイドまでを展示即売します。小林信彦の吉本隆明
宛の献呈献呈署名本、なんて超レアものもあり。店主の中山信如さんは、『古
本屋シネブック漫歩』(ワイズ出版)、『古本屋おやじ』(ちくま文庫)の著者と
しても知られています。
 トークイベントもあります。最初のは明日です!

第一夜
【四つ手網座談会・中山信如を囲んで】
映画のこと、古書のこと、鶉屋書店のこと、そしてあの人のこと……。
 5月14日(日)18時〜 
 出演:トンがる古書店主
  稲垣書店/中山信如
  月の輪書林/高橋徹
  石神井書林/内堀弘
  なないろ文庫ふしぎ堂/田村治芳

第二夜
【中山信如の映画文献と目録談義】
 6月11日(日)18時〜
 聞き手:南陀楼綾繁

*両日とも、古書ほうろうにて、入場無料

★ポポタムで中沢美帆展覧会
かわいい森の動物や草花を描きながらも、暗くて静かな、物語を感じさせる
絵です。昨年好評だった「箱の中の森」(ミニギャラリーにて)から世界を広げ、
ポポタムギャラリー(奥の広い部屋)での展示です。森の動植物を描いた水彩
画、切り絵、木版画、色セロハンの影絵など。初夏の日ざしのなかの、ひんや
りとした森の日陰を味わってください。品切れだったジオラマキット「箱の中
の森」も限定販売します。

中沢美帆「五月の森展」
5/9(火)〜5/20(土)
会場:ブックギャラリー ポポタム
東京都豊島区西池袋2-15-17
03-5952-0114
12:00〜18:00 日・月定休
池袋より歩9分、目白より7分
http://popotame.m78.com/shop

中沢美帆(なかざわ みほ)プロフィール:
1973年2月生まれ。埼玉県出身。インテリアの専門学校を卒業後、絵本制
作のワークショップに参加。挿し絵の仕事に「お日さまとトナカイ」(むらやま
あつこ=訳 新読書社)。
個展:2005年「箱の中の森」ブックギャラリーポポタム(東京)/ちょうちょ
ぼっこ(大阪)

★海野弘の展覧会+トーク+サイン会

 美術、文学、建築、都市、陰謀、ホモセクシャル、ウォーキング……など、
あらゆる文化的事象を、飽くなき精力で論じ続けてきた作家・海野弘。その海
野氏の「初の読書論」として、『海野弘 本を旅する』(ポプラ社)が刊行さ
れました。同書には、海野氏が影響を受けてきた100冊を丁寧に読み直した書
き下ろしが収録されています。
 同書刊行を記念して、「本を旅する――海野弘が選んだ100冊」と題する展
覧会を行います。この展覧会では、同書で紹介された100冊を一堂に並べて
展示します。どの本も手にとって見ることができます。100冊の本を通して
みた「海野弘ワールド」を堪能してください。

(こんな本が並びます)
コルビュジエ『今日の装飾芸術』、フルトヴェングラー『音楽を語る』、土方
定一『近代日本洋画史』、ガートルード・スタイン『パリ フランス 個人的
回想』、ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』、森銑三編『人物逸話
辞典』、ミシェル・ビュトール『ミラノ通り』、アップダイク『美術館と女た
ち』、バロウズ『デッド・ロード』、モーム『旅の本』、村山修一『山伏の歴
史』、ロビン・フォックス『人類学との出会い』、石上堅『火の伝説』、グリ
ーン『地図のない旅』、ダンセイニ『影の谷物語』、長谷川伸『股旅の跡』、
バシュラール『大地と意志の夢想』、カルペンティエル『光の世紀』etc……。

本を旅する――海野弘が選んだ100冊
【大阪篇】
2006年5月22日(月)〜6月11日(日)
場所:アトリエ箱庭
〒541-0041 大阪市中央区北浜1-2-3-豊島ビル301
(京阪・北浜駅30番出口から徒歩3分)
TEL/FAX 06-6203-5877
営業時間:14:00〜20:00 27日(土)は休み

海野弘さんトークライブ
6月3日(土) 18:00〜
会費:2500円(展示目録つき)
定員18名(要予約)

【東京篇】
2006年6月15日(木)〜30日(金)
場所:文鳥舎
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀3-32-3 グリーンパルコB1左側
(三鷹駅南口から徒歩5分)
TEL/FAX 0422-79-3777
営業時間:18:00〜翌2:00 土曜・日曜・祝日は展示公開なし
http://www12.plala.or.jp/bunchousha/

海野弘さんトークライブ
6月18日(日) 17:00〜
会費:2500円(展示目録つき)
定員50名(要予約。サイトで予約できます)
懇親会 19:00頃〜 懇親会費:3000円

また、大阪のトークの翌日には、神戸の海文堂書店でサイン会を開催します。
海野さんに会いたい方、ひと目見てみたい方は、ぜひ足をお運びください。

日時 6月4日(日)午後2時〜3時
場所 海文堂書店 1F・中央カウンター

海文堂書店
〒 650-0022  神戸市中央区元町通3-5-10
TEL(078)331-6501 FAX(078)331-1664
http://www.kaibundo.co.jp
books@kaibundo.co.jp
営業時間 10:30〜19:00(年中無休)

★ちょうちょぼっこで古本市
今年オープンした「古本のウェブショップ」BOOK ONNがオープニングイベ
ントをちょうちょぼっこにて開催中。
「300円・500円の均一本コーナーに掘り出し物を用意してお待ちしておりま
す。ウェブで扱っている本も持っていきますので、実際に手に取ってごらんく
ださい。また、本は随時補充しますので、何度でもお越しください。」(BOOK
ONN店主)
ちょうちょぼっこも300円と500円の均一コーナーを作ってお待ちしてお
ります。

貸本喫茶ちょうちょぼっこ
大阪市西区北堀江1-14-21 第一北堀江ビル4F
5月5.6.7、12.13.14、19.20.21(金:18:00〜21:00 土日:13:00〜21:00)

BOOK ONN
http://www.bookonn.com/

★ブックデザイナー・遠藤勁の展覧会
40年にわたるブックデザイン活動のなかから、荒俣宏『世界大博物図鑑』、今
森光彦『昆虫記』、長倉洋海『ザビット一家、家を建てる』など、〈動植物〉と
〈人間〉をテーマにした写真集・図鑑・絵本・単行本の展示即売フェアを行な
います。

会場:ジュンク堂書店池袋本店 7階・理工書フロア
展示即売フェア 5月11日(木)〜6月15日(木)
壁面パネル展示 5月1日(月) 〜5月31日(水)

5月27日(土)午後7時より トークショー
遠藤勁×飯沢耕太郎(写真評論家)
http://www.junkudo.co.jp/event2.html


なお、ココに載せられなかった新刊、イベントなどの情報は、随時以下に
掲載しています。ときどきご覧ください。
「ナンダロウアヤシゲな日々」
http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/

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■大阪豆ごほん  柴田尚美(おまめ)
(28)昭和な暮らし
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空家にしておいては用心が悪いし、夜中まで徹夜することもあるし、仕事場
として使うのはどうかななどと両親には理由をつけて、15年間、亡くなった祖
母の家に住んでいた。

祖母の家はまるまる昔ながらの家ではなく改装した家だったけれど、昭和の
名残のある家。物干しは木のままで瓦屋根にのっかっていたし、一間以外はす
べて和室。和箪笥に人形ケースに小さな壁の油絵。ひねる蛇口も小さな洗面台
もチャンネルを回す箱形テレビも、どれもこれもが私の身体に馴染んで大好き
だった。毎日のんびり自由に昭和と家と遊んで暮らしていた。友人のマンショ
ンに泊りに行くと平成の暮らしとはこんなに便利なのか! と外国に行ったよ
うなカルチャーショックを受けるのだけれど、レバー蛇口やシャワーがうまく
使えなかったり椅子に座り続けているうちになんだか疲れてきて、祖母の家に
帰りちゃぶ台に座り込んでお茶をすするとやれやれホッとしたものだ。

歳は若いが暮らしは昭和のまま。そのせいかどこか懐かしい感じがするとか
着ている服のことを「アンティークですか?」などと今の服なのに聞かれたり
する。暮らしとは、環境とはすごい力だ。そのこよなく愛していた昭和の暮ら
しだが、おまめ部屋を始めてからというもの、バタバタクタクタでただ起きて
寝るだけの暮らしになってしまった。のんびり昭和からめまぐるしい平成の暮
らしになってしまった。期間を決めて始めたおまめ部屋だったから、終えたら
なにをしたいといって存分に昭和の暮らしを味わいたいというのが、やってい
る最中に思っていたことだった。

1月におまめ部屋期間を終え、念願の昭和暮らし生活を味わおうとしたが4
年間のリハビリはそう簡単ではなく、なにをどうしたことかそわそわして落ち
着かなかった。気ぜわしく過ごすことに慣れてしまっていた。1ケ月ほどして
ようやくなんとなく時間がゆっくり流れはじめ、本屋で存分に時間を過ごした
り散歩ができるようになる。少しずつ昭和な時間を取り戻せつつあるこのごろ。
もっと味わってみようと本棚から昭和な雑誌ばかりを取り出し、ひたひたに浸
ろうと遊んでいる。

「暮らしの手帖」の1号からながめていると、スポンジのように身体と心にし
み込んでうるおってくる。直線裁ちの服、手袋を手作りする、保存食を作る、
暮らしのあらゆるものを自分で作る。作ることを伝えるばかりのおまめ部屋期
間。作りたいというおまめ部屋期間の欲求不満がどんどん満たされ、イメージ
する楽しさを取り戻させてくれる。明日もまた台所で昭和のレシピビスケット
を焼きながら、テーブルの上に置かれてある「実用手芸と染色」「フランス刺
繍」「NHKきょうの料理」「婦人生活」「家庭料理新聞」などの昭和な古本をな
がめる予定なのである。   

〈しばた・なおみ〉小冊子「おまめ」発行人。 豆本製作。
http://www.geocities.co.jp/omamebook/

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■新・新刊書店の奥の院 荒木幸葉
(9)ご当地キャラを追え!、の巻
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 すこし前になるけど、「TVチャンピオン」の“ゆるキャラ日本一決定戦”、
おもしろかったそうですね。「鑑定団」や「アド街」が三ヶ月遅れで放映され
ることもしばしばなところに住んでいると、広島の「ブンカッキー」(頭にモ
ミジを載せ、ボディが牡蠣!の着ぐるみ)や長野の「セロリン」の動画がみれ
るのはいつの日かしらと気を揉んでおります。だもんで、その名もずばり『ゆ
るキャラ大図鑑』(扶桑社、1886円。簡易版『ゆるキャラの本』もアリ。476円)
をお供に、予習にはげみます。

みうらじゅん氏いわく、“ゆるキャラ”とは「全国各地で開催される地方自治
体主催のイベントや、村おこし、名産品などのPRのために作られたキャラクタ
ーのこと」。サブカル本っぽいつくりなのに、なるほど、図書館では「まちづ
くり・産業振興」の棚にあったりで、お役所の人がこっそり借りてそうです。

 わが石川県のエントリーは、加賀野菜キャラクター「ベジタン」。「打木赤
皮甘栗かぼちゃ」が、ほかの野菜たちを背負っているデザインで、百万石まつ
りや農業イベントでしかお目にかかれないそうです。もうひとつは「石川さん」
です。テレビ局のキャラクターですが、そんなことより、顔が石川の「石」の
字の形そのものなことに度肝をぬかれます。「名は体を表わす系ゆるキャラ」
に分類され、希少な存在です。

“ゆるキャラ”に関してみうら氏は、一目でその地方の特産品や特徴がわかる
強いメッセージ性があることや、郷土愛に溢れるが故に、いろんなものを盛り
込みすぎて、何がなんだかわからなくなってしまったのもいる、などと補足し
ているのですが、同じくあてはまるのが「ご当地キティちゃん」かもしれません。

『ご当地キティ完全カタログ』(講談社、1600円)では、根付やストラップ用
につくられた全国47都道府県、840点の地域限定キティが大集合。去年の暮れ
にでて、GW前に5刷とは、なかなかの人気です。編者の「限定キティ保護者
会」によると、年間120〜150の新たな「ご当地キティ」が誕生中。コレクター
も目が離せませんね。最近は「目黒のさんま」のような地域に伝わる事柄やお
祭りをとり入れているのが特徴で、「地域の活性化に“ご当地キティ”がお役
に立てたら」とむすんでいます。

 例えば、羽黒山キティ(左手にはほら貝の修験道スタイル)、越中おわら風
の盆ダニエル(キティのBF。男踊りがあるので登場か)、永平寺小坊主キティ
(ほうき・木魚・習字・雑巾がけの4種類)、お遍路キティなど、少なくとも
若い女の子むけでない名所やイベントに、キティちゃんが参加していることに
おどろきです。

 宇都宮餃子キティ(顔がギョーザ)、水戸納豆キティ(「つと」を割ってこ
んにちわー)、新橋キティ(こんにゃくとちくわぶに挟まれ、おでんの具に。
ネクタイつき。)、笹だんごキテイ(縛られてる)、蒲郡みかんキティ(ネッ
トに覆われ苦しそう)、からしれんこんキティなど、食べもの化したものも多
いです。

 ハード系では、黒部トロッコキティ(安全マーク入りヘルメットにつるはし
をかついだ姿)、常滑登り窯キティ(急須の中にすっぽり。蓋がベレー帽のよ
う)、日本武道館キティ(武道館から耳が突き抜けて……)など、キティ、こ
こまでせんでもいいのにという男らしい一面も見逃せません。

 この本のえらいところは、全国のキティの羅列におわらず、地域ネタのひと
くちメモがついているところです。例えば、半田ごんぎつねキティ(「ごんぎ
つね」の作者は新美南吉)、とか、いづめこキティ(鶴岡市の民芸品。ご飯の
保温用わらかごに、幼児を入れて育てていたものが玩具に)といったふうです。
「都道府県カード」なんかで中学受験の勉強するくらいだったら、この本よみ
なさい、とおもいました。学参コーナーにぜひ。

 それにしても、個人的にはそんなに好きじゃなかったキティちゃんが郷土の
ために、親指の先ほどのちっちゃな体で、ざしきわらしになったり、カニをか
ぶったり、土佐犬になったりしてして、みやげものやの軒先にぶらさがってい
たら……。ほっておけなくなってきました。

 最後に、より人間のかたちをした “ご当地キャラ”本として、『ローカル
ヒーロー大図鑑』(水曜社、ブルー・オレンジ・スタジアム編著、1500円)を。
年表によると、03年の清涼飲料CM「麒麟戦隊アミノンジャー」から“ローカ
ルヒーロー”という言葉が定着しはじめ、数も激増。地域の活性化などを目的
とした地方自治体や商工会が手がけるものが多く、最近は、ヒーロー同士の共
同イベントで、横のつながりを深めつつあるようです。

 おもに、リサイクル推進をうたうエコロジー系、落書き消しなどの環境美化
系、地域の名産に扮した特産品系、迷惑駐車撃退や安全運転の強化に取り組む
交通係系、などに分かれているようですが、「ヒーロー」という性格上、着ぐ
るみやキティより、癒し度は低いかもしれません。

 ちなみに近いところでは、九谷焼の絵付に使う5つの色をヒーローにみたて
た、「九谷戦隊五彩レンジャー」がいます。九谷茶碗まつりで大人気らしい。
必殺技は“粘土固め”と“ろくろ回し”。そのほか鳥取県境港市の「三地直装
イワシマン」(必殺技“三枚おろし”)、長崎市「ごみ分け姉妹」(ごみ分別
変更の告知用)、佐渡市「離島戦隊サドガシマン」(前科持ちの“シマナガシ
ーブルー”ほかキャラ揃い)あたりが気になります。

 手のひらに収まるキティ、もっさりユルい着ぐるみ、地域を守るローカルヒ
ーローと形や役割は違えど、それぞれ郷土愛に満ち、地域活性化を願ってつく
られたことにかわりありません。これら3者、オール揃いだとしたら……。み
つけました。秋田県のなまはげです。なまはげキティ、着ぐるみ「ナミー&ハ
ギー」(男鹿市なまはげ館在住、秋田信用金庫のマスコット)、「超神ネイガー」
(“泣ぐ子は居ねがぁ!”に由来)と姿を変えていますが、いまのところ、最
強のご当地キャラといえましょう。あいにゆかなきゃ。

〈あらき・さちよ〉会社のロッカーのキーホルダーは、顔がマスカット粒に埋
もれたキティ&メタリックなカブトガニ(笠岡駅前で金・銀・銅の三色購入し、
おみやげにあげたらいやがられて戻ってきたいわくつき)のダブルづけ。ハー
ドなものとあわせると、ゆるキャラも意外といごこちよさそうで。

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■酒とつまみと営業の日々  大竹聡
(36)なんだかひどく焦ってきたぞ号
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『タモリ倶楽部』からのお声かけしたもらった内容は、番組常連の酒飲み出演
者が『酒とつまみ』編集部にやってきて、なんか喋ったり、酒を飲んだりする、
というものだった。よく分からない。タモリさんも来るという。きっとなぎら
健壱さんも来るのではないか。ますます分からない。

 編集Wクンは出たがらなかった。一方で、この依頼の直前まで「人生いいこ
となんてひとっつもありゃしねえんだよ」とこぼし続けていたカメラのSさん
は、なんか特別にいいことがあったらしく「人生捨てたもんじゃねえ、恋は遠
い日の花火じゃあねえんだ」と浮かれまくっていたのだが、やはり、番組には
出たくないという。これはもったいぶっているだけと読めたが、Wクンが出な
いで、私とSさんだけが出演するというのは、想像するだに寒すぎる感じがし
て、そんな展開を考えることさえ憚られた。

 ところで、この時期は、驚くことが立て続けに発生していた。この号から交
換広告を始めた札幌の海豹舎を主宰する舘浦あざらしさんから、100冊送って
くれという申し出があった。札幌は、大手書店の一部と北大生協などにお願い
して販売をしていただいてきたが、なかなか苦戦させられていた大都市のひと
つ。そこでいきなり100冊送ってくれというのである。そして、いくらも日を
置かずに、もっと驚かされることになった。

 あざらしさんから手紙が来て、そこには、完売しそうだから、先にお金を払
いますと書いてあったのである。さすがは発行部数が1万部を超える『北海道
いい旅研究室』を編集発行する人だけに、販売力もすざまじいものがあったのだ。

 神田の三省堂書店においても、驚くべき事態が発生していた。ネットで『酒
とつまみ』に関する情報を検索していた編集Wクンは、あるサイトを発見した。
そこでは、8月中旬のある時期(たぶん1週間くいらい)、『酒とつまみ』7
号が、売上げランキングの上位30位に食い込んでいたのである。

 うそー! と叫んで、ビールを開け、翌日もその翌日もウソー! と叫んで
は飲みに出かけ、その勢いのまま、なんかこう、ひどく焦った気分のまま、実
にどうもなし崩し的に、Wクン、Sさん、私の3人は、『タモリ倶楽部』収録
の日を迎えることになったのである。

 テレビに出て知名度を上げ、願わくば『酒つま』ホームページの存在なども
さくっとアピールしたいなどと考えていた私がバカだった。私は極度のアガリ
症である。何を振られてもまともに答えられない。答えようとすると長くなっ
て使い物にならず、途中で誰かの声がかぶってカットということになる。何も
言えない。おもしろいことは何も言えないんだと思えば思うほどツボにハマる
感じで、結局のところ、指先をプルプル震わせながら、収録中はひたすら酒を
流し込むことになった。
 にごり酒をホッピーで割った「にごりッピー」をがぶ飲みして、井筒監督と
よろしくやっているカメラSさんのノー天気ぶりが、心底うらやましかった。

〈おおたけ・さとし〉酒とつまみ編集発行人
第8号、ようやく発行いたしました。でもまだ、配本は継続中です。未だに届
いていない書店様、いましばらくお待ちください。「酒とつまみ」初の単行本
『ホッピーマラソン』も追い込んでいます。スケジュールは決まりました。束
見本だってできました。あとはそう、私が書くだけであります! 乞うご期待。
http://www.saketsuma.com

ブログ「『酒とつまみ』三昧」
http://blog.livedoor.jp/saketsuma/

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■版元様の御殿拝見  塩山芳明
(46)ワック・マガジンズの巻  案外庶民的な雑居ビル
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 昔から右翼雑誌のファン。主張にゃ共感しかねるが(努力はしてんのに…)、
「日本人の皮をかぶったソ連人め!!」「日本からとっとと出ていけっ!!」
「永久保存版赤色文化人一覧表」等のオドロオドロしさが面白く、『全貌』
『20世紀』他を立ち読み。かつては店頭の片隅でヒッソリ売られてた日の丸
雑誌群、昨今は店頭の檜舞台で巨大ホルスタインの糞状態。とても全てはフォ
ロー出来ない。が、『諸君!』『レコンキスタ』、そしてここ一年くらいは『WiLL』
も毎号買っていた。しかし、昨今は、『諸君!』の購入は中止。『WiLL』に乗り換
えた感じ。『諸君!』は前半の“社説”が長くくどすぎて、後半のコラム類が昨
今おざなり。思想信条で買ってる人はともかく、思想にも“芸”を求めるタイ
プの読者にはつらい(後者はその逆)。

 創刊半年で廃刊必至と思われた『WiLL』が、中国&韓国の反日デモの“神風”
で飛ばしまくっているのは、御同慶の至り。発行元のワック・マガジンズは、
騒音右翼街宣車群の聖地、靖国神社に近い、千代田区九段南3-1-1、久保寺ビ
ル(ホント、各版元は必ずビル名を入れなさいよ。自社ビル気取りで省略され
ると、“立ちション”取材する側は大迷惑)。

 飯田橋2丁目から近いからと、神保町で資料用エロ本を買って後、テクテク
と歩いて地獄を。地図で見るのと大違い。神保町からだと遠いのなんのって。
九段坂を両手にエロ本ぶら下げた初老男が、前を行くOLの尻の律動を眺めなが
ら、エッチラホイ、オッチラホイ。昇り切ってもなかなか。「すずらん堂書店」
を出て充分に25分はかかった。相手が相手だけに、文字通り“白昼の行軍”
て感じ。

 久保寺ビルは9階建て。まず外観に親しみ。我が事務所のある栄昇ビル同様、
茶色のレンガビルなのだ(が、駐車場のある側はセメントで、レンガ色のペン
キを噴き付けゴマかしている)。1階に酒屋、升吉商店。大家さんらしい(9階
に表札)。1階にはセブンイレブンも。実を言えばもっと高級で何となく黒っ
ぽいビル予想してたが、案外庶民的な雑居ビル。版元関係では、5階に平凡出
版販売。古本屋に蛇蝎のように嫌われている例の百科事典、まだ売りまくって
んのか。
 
 ワック・マガジンズは6階。どんな玄関なのかな? やっぱ巨大な日章旗が
ひるがえってんのか?(扇風機の風か何かで)。等々の想像をめぐらして6階
のボタンを。開く。「ガビ〜ン!!」エレベーターが開くなり編集部なのだ。小
太りのあんちゃんが「!?」。小心者ゆえ、即1階を押してイタチのようにト
ンズラ。一瞬の観察だったので断言は出来ないが、日の丸や、昭和天皇、東篠
英機の写真等は特になかったと(奥にあんの?)。

 廊下の左右のクリーム色の石はちょっとお金かかってる感じ。玄関正面には、
手打ちそばの「田毎」。その壁になぜかピースボートのポスター。『WiLL』編
集部の存在を知ってる者が、嫌がらせでやってるのなら上等(玄関出ると、絶
対目にせざるを得ない、角度であり位置)。それと同誌、もう売り上げも好調な
んだし、厚手の紙を使用してツカを出す、一水社のエロ本みたいな真似はやめ
たら?

〈しおやま・よしあき〉エロ漫画編集者。編プロ「漫画屋」を率いる。著書
『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』(一水社)。なお、この連載に関しての批
判・苦情・お叱りは筆者本人まで、どうぞ(ただし、謝るとは限りません)。
mangaya@air.linkclub.or.jp
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/

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■楽しみと日々 古書展と書簡をめぐるあれやこれや  つばめ
第4回 平井家のほうへ その2(承前)
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 今日(平成17年10月29日)は、旧江戸川乱歩邸土蔵見学会の最終日で、わ
たしは、池袋西口公園古本まつりで招待券代わりのBDバッヂをもらっていた
のだった。入口脇のテントで立教大学図書館編『江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品
展図録』を千円で頒けてもらう。「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」のときは
ひどく混雑していたが、今回は落ち着いて見学することができて、よかった。
書架には戦前の五來達訳の三笠書房版プルウスト全集3冊など。

 増田周子編『宇野浩二書簡集』(和泉書院)26頁に

《いつも同じお願ひばかりしますが、「文学界」一号からつづけて、僕の名を
上書きに書いて、次ぎの人にお送り下さいませんか、毎号。
 芝区車町八  平井太郎
 これは江戸川乱歩君の本名です。》

との昭和8年11月28日付け文化公論社田中直樹宛て葉書が収録されているけ
れども、あのころの「文學界」は蔵の中から失われてしまったのだろうか。

 土蔵の周りを歩いていると、「二人の探偵小説家」が実のない栗を拾って
「あ、からくりだ。」(「徳利はない。」とすかさず合いの手を入れても、取
り付く島はなかったろうか。)。

 新文芸坐で「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人形」を観る。

 丸谷才一は『いろんな色のインクで』所収の「双子をめぐる文学論」で、多
胎妊娠に関するヘリンの式(双胎妊娠に適用すると、黒人が70分の1、白人が
80分の1、日本人が100分の1の頻度で双子を懐胎するとの結果が出るという
一種の経験則)から、話をはじめている。日本の小説では双生児があまり出て
こないのに、現代イギリス小説やエリザベス朝の芝居では結構出てくるのはな
ぜか、と考察を進め、村上春樹の小説で双子がよく登場するのは、排卵誘発剤
の影響で双生児の出生率が高まっているのを賢く利用していると付け加える
(大意、というと嘘が混じる。)。

 なるほど、(手紙が実に効果的に使われている)『孤島の鬼』で、むりやり
背中と背中をくっつけた秀ちゃんと吉ちゃんが登場するのは、戦前の日本では、
ふたごが生まれてくることがまれであったことを背景にしているかもしれない。
神坂智子『春・夏・秋・冬』『娘びより』『ぽてとびより』も、川原泉『甲子
園の空に笑え!』『メイプル戦記』も、渡辺多恵子『はじめちゃんが一番!』
も、おそ松くんも排卵誘発剤の影響をまぬがれているとはいえないだろう。な
なつのこ、八つ墓村、いちじく、天までとどけ、11人いる!、二十四の瞳、藁
の上から片瀬へ捨てた、男の餓鬼があの十三、十四代、十五の夜、十六夜日記。
いっそ仮名手本忠臣蔵まで並べてみてえが、それでは大石内蔵助、後は鳥羽崇
徳。時代は違えど、国は違えど、まれなもの、めずらしいものを好んで種にす
る文藝はござんせう。歌舞伎あたりには、双子は出てこないかしら。三人吉三
廓初買なんざ、三つ子まで出てきそう。三人の双生児、海野十三。探偵小説ま
で視野に入れると、トリックは比較の対象をどのように選定するか、という点
にあることが分かってくる。私小説とシェークスピアの芝居とを比べてみれば、
王の出てくる頻度もちがうにちがいない。野球選手の出てくる頻度も。

 百科事典を引くと、松竹の創業者白井松次郎、大谷竹次郎は双生児で、中国
アニメの歴史は万という双子が西遊記をもとに《鉄扇公主》を製作したことに
はじまるという。金と銀。荻原兄弟。万に一つでも偶然はこの世に存在する。
これに加えて、人種間で、双子に現れる率に違いがみられるのは、二卵性双生
児が生まれやすいかどうかに基づくものであり(一卵性双生児の現れる率は人
種間にさほどの違いはないとされている。)、排卵誘発剤で出現率が高まるの
は二卵性双生児であるから、ヘリンの式や排卵誘発剤について、文藝に対する
影響を学問的に厳密に考証するのは、一卵性か、二卵性かという点に着目する必
要がある。誰か一覧を作成してくれないかしら。

 ジュンク堂で、光文社文庫版江戸川乱歩全集『ぺてん師と空気男』『悪人志
願』のほか、学研M文庫『ゴシック名訳集成』三幅対のうち既刊2冊。「さく
ら」は見つかった。トランプくじは揃わなかった。スペードばかり数字順に並
ぶ。江戸川乱歩推理文庫は、高校生のころ、配本のたびにすべて目を通し、特
別補巻の貼雑年譜も買ったが、『うつし夜は夢』の重印(修、「目次」を追加)
を揃えて、完蒐するほどのマニアではなく、光文社文庫版はろくろく読んでい
ない。重厚な装本よりも、チャチなほうが読みやすい、と思わないでもない。

 江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品展図録をパラパラとめくる。秋の夜長物語4冊
所蔵。戦前に買い、敗戦の翌年に買い、昭和27年辰巳屋から買い、さらに昭和
32年リチャード・レインとの交換により4冊目を手に入れている。刊本といえ
ども、同じ「本」は無数にあったとしても、全く同一の「書物」は存在しない。
私もまた、ゼ・エ・サイモンズ原著;城崎祥蔵訳『伊太利ルネサンスの美術』
を昭和3年の初刊本[訂正再版のための訳者用校正原本ではないかと思う。]、
昭和4年の訂正再版本を手に入れていたのに、さらに正誤表を貼付している函
付きの訂正再版本を目にしたので、ついついつい最近購入した。というのは、
昭和8年初出の「J・A・シモンズのひそかなる情熱」で、「彼の纏った飜訳
は全く出ていない様だ」と書かれていたことが、頭の片隅に残っていたから。

 乱歩の随筆を初めて読んだころ、「ロエブ古典叢書」は、手の届くところに
なかった。このことが、幸か不幸か、いまとなっては、知らない知らない。

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■あとがき
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 最近とみに情報収集力が鈍っていて、項目が少なくなってきた「本のメド」
ですが、まあ一人で3年以上もやってたらマンネリになってもしかたないでし
ょう。そこで次回から、強力な助っ人に登場してもらいます。

 大竹さんの近況で、単行本『ホッピーマラソン』について、「スケジュール
は決まりました。束見本だってできました。あとはそう、私が書くだけであり
ます!」とあるのには笑いました。束見本って普通、原稿が揃ってレイアウト
が完了した段階でできるもんだと思うけど……。ともかく楽しみです。

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