[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガ vol.179
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■■ [書評]のメルマガ     2004.9.14発行

■          vol.179
■■  mailmagazine of book reviews   [ 秋の本イベント 号]
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[CONTENTS]------------------------------------------------------
★近事雑報「南陀楼綾繁のホンのメド」
 →本をめぐる情報+アルファの雑談です。開催中の展覧会情報多し。
★「もっとピントがボケる音」樽本周馬
 →安田謙一『ピントがボケる音』が生まれるまで。これにて完結。
★「大阪豆ごほん」柴田尚美(おまめ)
 →北堀江のふたつの「本スポット」から届く、楽しくて美味しいお便り。
★「酒とつまみと営業の日々」大竹聡
 →各方面で話題沸騰のミニコミ「酒とつまみ」の営業秘話です。大好評。
★「版元様の御殿拝見」塩山芳明
 →新幹線通勤中に毎日一冊は本を読む男が版元の社屋を徘徊します。
★「かねたくの読まずにホメる」金子拓
 →買ったときから、いや手にしたときから読書ははじまっているのです。
★「新刊書店の奥の院」荒木幸葉
 →金沢の新刊書店への就職が決まったアラキ。11月号から連載再開です。

*本文中の価格は、すべて税抜き(本体)価格です。

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■南陀楼綾繁のホンのメド 
新刊、古書、マンガ、雑誌、ウェブサイト、書店、イベントの近事雑報
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【トピックス】
★古書日月堂プレゼンツ「印刷解体」
日本の文字印刷を支えてきた「活版活字」、写植(写真植字)の「文字盤」
を中心に、小口木版の商標版下、戦前戦後に発行された内外の印刷年鑑、印
刷雑誌、紙見本帖、デッドストック紙、タイポグラフィー集、印刷見本など、
印刷に関わるモノを広範に販売します。
 初日に覗いてきましたが、大盛況でした。活字なんて見たことのない若者が、
活字棚に向き合って、自分の名前の活字を一文字ずつ拾っているのは、なかな
かイイ光景でした。拾った活字は買って持って帰れるので、ぜひチャレンジし
てみては。

期間:開催中〜9月29日(水) 
場所:ロゴスギャラリー(渋谷パルコ・パート1 B1F) 
http://www.parco-art.com/web/logos/insatsukaitai/

★「ロバロバカフェ」で手づくり本の展覧会
 経堂の「ロバロバカフェ」で、「本”というこだわり“紙”でできること 
vol.2」という展覧会が開かれます。こだわりをもってコツコツ作り続けてい
る人の本やフリーペーパーが一同に集まるそうです。関連の古本市、講座もあり。

[参加本]
「おまめ」「ちいさくなってのこっている」「苔マップ」「手帖」「季刊謄写
技法」「plat form」「RECIPE」「みつこ絵日記」「cafe full words」「mini book
Hana」「なごやに暮らす」「はなの本」「さんぽの本」「車掌」「SORTIE」「暮らし
の中のたのしみさがし」「いろは」「gris-gris」「くりくり」「BELL&NATARY」
「Juicy Fruits」「Apple Clpver」「BERLIN」「食事窓」「風街」「ポポタム!」
「appel」「私家版・成瀬巳喜男映画読本」「なんてことないはなし」、折形デ
ザイン研究所の本、windchime Booksの本、TOM'S BOXの本、美篶堂の丸背上
製ノート、a2g+(books)の小冊子、ユトレヒトの本

(同時開催)
9/16(木)〜20(月)本にまつわる布物(製作:monotonie)
9/23(木)〜10/5(火)貸本喫茶ちょうちょぼっこの古本市
9/25(土) おまめの豆本製作講座 (要予約)
       受講料:3500円(ドリンク付)、定員:1回10名

日時:9月16日[木] ----10月5日[火] 水休 
13:00〜21:00(日曜日は19:00まで、展示最終日は17:00まで)
場所:「ROBA ROBA cafe」
156-0052 東京都世田谷区経堂2-31-20
TEL&FAX  03-3706-7917
http://www15.ocn.ne.jp/%7Erobaroba/index.html

★海月書林の古本イベント
 一方、荻窪のカフェ「ひなぎく」でも、海月書林の古本イベント「秋の夜長
の一冊を。」が開催されます。「並べるのは、オンナコドモ、文学、デザイン、
手芸本、暮しの手帖などなど。今回は均一棚も登場!本は各日とも少しづつ補
充します」とのこと。会場では、好評の『いろは』3号の先行発売もあります。
今回は画家・猪熊弦一郎さんの仕事を特集。

日時:9.23(木・祝)−9.27(月)
平日14:00−22:00 土日祝12:00−22:00 最終日のみ21:00終了
場所:荻窪・cafe&gallery ひなぎく
167-0043 東京都杉並区上萩1-10-3-2F
tel.03-5397-2223

★鴨居羊子・細江英公「ミス・ペテン」
 下着デザイナーにして、エッセイストの鴨居羊子の著書が、国書刊行会から
『鴨居羊子コレクション』全三巻としてまとめられた。これを記念して、モダ
ンジュースと恵文社の共同企画で、鴨居羊子製作の人形を細江英公が撮影した
写真集『ミス・ペテン』の展覧会が開かれる。リプリントの写真、鴨居羊子の
書籍や資料の展示などがある。19日(日)6時からドキュメントフィルム
『女は下着で作られる』の上映も行なわれる。

日時:9月14日(火)〜27日(月) 10:00〜22:30(最終日20:00)
場所:恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール
京都市左京区一乗寺払殿町10
tel 075-711-5919
http://www.keibunsha-books.com/

★桂牧のアルバム&ライブ
 これまで何度か予告した、桂牧さんのアルバム『牧』(ジギタリス DIGIT-1、
発売・配給オフノート/メタカンパニー、税抜2800円)が、ようやく、ホント
にホントに出ます。9月19日発売ですが、すでに円盤、タコシェほかには並ん
でいます。
 収録曲は全11曲。どんなアルバムかは、「エルマガジン」5月号に、「「向こ
う側」の世界を明るくうたう自宅録音・不思議サウンド」と題して、南陀楼が
書いているので、引用します。

*****
 山本周五郎の「その木戸を通って」は、木戸を通り抜けてどこからかやって
きた女が妻になり、また向こうへと帰って行く不思議な短編小説だが、桂牧の
アルバム『牧』の四曲目「裏庭」にもこの「木戸」が登場する。木戸の向こう
にあるのは、非日常的な彼岸の世界。桂牧の歌詞には、あの世とこの世の狭間
でさまよう、夢のような幽体離脱のような感覚がある。でも、そんな歌を桂牧
はあっけらかんとうたう。「どうせいつかはみんな死んで炭になる」という明
るい諦念に基づく、「後ろ向きの積極さ」とでもいうべきか。
 30年以上のキャリアを持ちながらこれが初のソロだという桂牧は、長い期間
かけて自宅録音でこの不思議サウンドをつくりあげた。そのアルバムが東京の
ダウンタウン・金町にある、ぼくの大好きな「オフノート」レーベルから、世
界中の500人ぐらい(かなあ?)に向けて送り出される。そのことがとても嬉
しい。
*****

 このアルバム発売を記念して、高円寺「円盤」で桂牧さんのライブが行われ
ます。対バンは、桂さんとも付き合いの深い、曲者バンド「サボテン」と、そ
のサボテンのボーカリスト松本里美さんのソロです。お見逃しなく。

日時:9月26日(日) 7時〜
場所:高円寺「円盤」
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3-59-11 五麟館ビル201
TEL/FAX 03-5306-2937
http://www.beyondo.net/enban/

★今年も早稲田青空古本祭
 毎年恒例、早稲田穴八幡境内での古本市です。コレにあわせて、目録+記事の
「古本共和国」を発行。今回の特集は、「早稲田古書店街即売展史2 BIGBO
X古書感謝市」。古書店主へのインタビューと、長年BIGBOX市に通ってきた
岡崎武志さんのマンガ「MY BIGBOX STORY」などで構成。

日時:2004年10月1日(金)〜6日(水)
午前10時〜午後7時(最終日5時閉会) 雨天決行(大型テント使用)
会場:穴八幡宮境内(早大文学部前)
地下鉄東西線 早稲田駅下車 徒歩2分
http://www.w-furuhon.net/

【展覧会】
★創刊号のパノラマ−近代日本の雑誌・岩波書店コレクションより−
 開館以来、本に関する展覧会を行なってきた「うらわ美術館」で、注目の展
覧会が開催中。さきごろ、岩波書店に1867(慶應3)年から1956(昭和31)年
までの間に発刊された雑誌2900余冊が保管されていたことが判った。創刊号のコ
レクションとしては、日本最大級だと云う。
 今回の企画は、これらのうち、美しい表紙や目をひくレイアウト、時代を映
すカットや挿入写真に着目し、約1500冊の創刊号を展示してしまうというも
のだ。創刊年代順に構成するので、より濃密に「時代の空気」が味わえる。表
紙写真を収録した図録も、岩波書店から発売(3000円)。

会期:開催中〜10月11日(月祝)
開館時間:午前10時〜午後8時(ただし入場は7時30分まで) 月休
場所:浦和美術館
〒330-0062 さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3階
TEL:048-827-3215
http://www.uam.urawa.saitama.jp/

★石原豪人展
「少年マガジン」から「さぶ」まで、怪奇・幻想と官能の世界を描いた画家、
石原豪人の展覧会が開催中。関連書籍として、河出書房から『石原豪人』(ら
んぷの本、1600円)も発売中。また、飛鳥新社からは石原豪人『謎とき・坊
ちゃん 夏目漱石が本当に伝えたかったこと』(1600円)も刊行された。「ク
イックジャパン」に掲載された記事を元に、書き下ろしたもの。本人が亡くな
ったあとで、完成原稿が見つかったという(この辺の経緯は、担当編集者の赤
田祐一氏による「本書の成立過程について」に詳しい)。

会期:開催中〜9月26日(日)
開館時間: 午前10時〜午後5時 月休
場所:弥生美術館
〒113-0032 東京都文京区弥生2−4−3
TEL:03(3812)0012
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

★建築家・石山修武展
 スケッチ、ドローイング、日記で構成した画文集『世田谷村日記 ここにな
まみの建築家がいます』(限定100部、36,750円)の刊行を記念して、「荒れ地
に満ちるものたち」という個展を開催。

日時:9月21日(火)〜10月9日(土) 12時〜19時 日・月・祝は休廊
場所:ときの忘れもの
〒107-0062 東京都港区南青山3-3-3 青山CUBE 1階
TEL 03-3470-2631
http://www.tokinowasuremono.com/

【講演会】
★名和小太郎講演会
 岩波ブックセンターの「書物復権」連続ブックフェアも、9月のみすず書房
で終了。これに関連して、『ディジタル著作権 二重標準の時代へ』(みすず書
房)の著者・名和小太郎氏の講演会「出版とディジタル著作権」が開かれます。

日時:9月24日(金)6時半開場、7時開始
会場:岩波セミナールーム(ブックセンター3階)
入場無料、要電話予約(03-3263-6601)、先着100名

【これから読む本】
★安食文雄『三田村鳶魚の時代 在野学の群像と図書館体験』鳥影社、1600円
 タイトルを見て、江戸学の三田村鳶魚についての本だと思い注文したが、目
次を見ると、鳶魚については一章だけで、あとは、彼と同時代の在野の研究者・
趣味人についての研究が載っている。ページをめくるだけで、朝倉無声、宮武
外骨、吉野作造、平山蘆江、木村毅、牧野元次郎(「ニコニコ」発行者)とい
う名前が目に入ってくる。とくに、「池田文痴菴のよろず蒐集と菓子史研究」
は、文痴菴の人生が手際よくまとめられている。
 また、著者は年季の入った古本蒐集家でもあるようで、「古書街の備忘録」
「目録の話」などの章もある。「趣味界と京都の蒐集家」という章もあり、多
種多様な趣味雑誌について書いている。ようするに、この本はぼくがこれまで
少しずつ書いてきたテーマをほとんど含んでいるのであった。先にヤラレタと
いう気持ちよりは、よく本にしてくれたという思いが強い。エッセイ風だが、
読むたびに新たな知見が得られそうな本だ。
 ひとつだけ版元に注文をつけると、タイトルが曖昧すぎるのでは。「在野学
の群像と古書・図書館」あたりをメインに、サブに三田村鳶魚・宮武外骨・池
田文痴菴あたりの名前を入れると、もう少し読者の目を惹くのではないかと、
勝手なことを思った。
http://www.choeisha.com/

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■もっとピントがボケる音  樽本周馬
(5)もっともっと安田謙一を!
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 去年9月に『ピントがボケる音』やっと刊行。社内ではなにやらタルモトが
夢中になってた本がでたぞ、ぐらいの反応だったが、外では「自分の知る限り
では」かなり評判になったと思う。あほみたいに書いてしまうが、知り合いに
会うたびに「よくやった」と褒められたもの。やはりみんな安田謙一の本が
な・ん・で・出ないのか、と思っていたのである。南陀楼綾繁さんにも『レモ
ンクラブ』で的確な評を書いていただいて感動した。その文章はというと、絶
賛発売中『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)にも収録されているの
で省略して(皆さん購入済でしょう)、他の書評からちょっと抜粋しますと──

「<話芸>と<クロニクル>がボケてツッこむ素晴らしさ。山本精一との裸の
対談も含め、おもろいことならここにある。」(村尾泰郎さん「バウンス」2003・
11)
「<芸>としてのロック批評を書けるのは、この人だけ/安田謙一が書いてい
る限り、やはり音楽雑誌はお金を払って読む価値がある」(大須賀猛さん「イ
ンヴィテーション」03・12)
「どんだけ絶賛してもしたりんけど、読んでるとレコード屋に行ったり酒飲ん
だり、聞いたことの無いレコードを聞きたくなる本。3分の2くらいは読んだ
文章だけど、まとめて読めるんが嬉しくて、アルバムって本来こんなもんだっ
たんかな〜と思う。ほんとに毎日安田さんの本読むのが楽しくて嬉しくて!」
(キング・ジョーさん、ネットの掲示板にて&口頭にて)。
 最近ではネットの日記で読者の方が素直な感想を書いていて参考になるので、
刊行直後は毎日ググっておりました。

 で、けなされていたのは見たこと無いが、コラム集が2800円なのは高い、と
いう意見はちらほらと。これについてはハッキリと高くない!と言っておきた
い。字を3段4段でぎちぎちに詰めたため(うちで出ている1段組の海外文学
[約300頁]で換算すると3冊分になった)組版代が異様にかかったので、普
通ならうちだと5000円ぐらいになるのだ。大体やね(と口調も変わるが、と、
この展開も安田さんの真似)今時服だって2800円でいいものなど買えないで
しょうよ、2800円ぐらいが高いなんてあんまりではないか? 国内盤CDと同
じぐらいなのに。「イイ本なので出来るだけ定価を抑えて多くの人に読んでほ
しい……」といった物言いをする出版関係の人がいるが、1%は理解できるが
(だから5000円じゃなくて2800円)、99%正直あほかと思う。イイ本だから、
それなりの価値をつけるべきなんだ。橋本治もおにぎりだって高級仕様のやつ
はちょっと高いのに、本は何故…? とPR誌で書いていた。

 まあ、それはいいとして、本が出た後、やらなければならないのは販売促進
活動。自分でも書店営業、イヴェントなど出来る限りのことはやった(という
か今も続いている。このメルマガ連載もその一つと言える)。青山ブックセン
ターのネット販売では購入者にはもれなく本に入りきらなかった文章をテキス
ト化したもの(約3万字!)をおまけとして送信するという特典仕様にしても
らった。題して「abc for abc(abosolute botu contents for aoyama book
center)」。こういうタイトルをつけるのが安田さんは本当にうまい。テキスト
おまけ、というのはネット書店の販促としてはとてもイイものだと思うので他
の出版社もどんどんやってほしいと思う。

 あとイヴェントとしては、12月に渋谷タワーレコードでポップカルチャー本
の先輩である川勝正幸さんを迎えてのトークショーを開催。題して「ロック漫
筆家VSポップ中毒者」。トーク以外にも安田さんの秘蔵ヴィデオを鑑賞した
り、P・マッカートニーばりのメロディをV・D・パークスばりの編曲でニル
ソンのように歌う希有な音楽家宮崎貴士さんと、声が大瀧詠一そっくり!と一
部で話題になっていた<いちかたいとしまさ>さんを特別ゲストにライブもや
ってもらったり、とやはり『ピントがボケる音』的にヴァエラティ過剰な濃い
イヴェントになりました。

 時が過ぎ……2004年。安田さんの単行本第2弾!が刊行された。毎日新聞HP
で連載していたパロディレコジャケについての連載をまとめた『すべてのレコ
ジャケはバナナにあこがれる』、国書刊行会からではなく太田出版から刊行で
ある。パロジャケについてあらゆる思惟を詰め込んだ新書サイズの愛らしい本
(打倒『ガッツ伝説』とは本人の弁)。この流れで、もう一冊つくるとすると……
安田さんの文章はまだ何冊も作れるほど厖大にあるから大丈夫。しかし今後は
国書刊行会ではなくてもっと大きい出版社から刊行されるのがいいんだろうな
あ。安田さんの本は講談社・小学館といったところから出るのが当然のような
気がするのだ。でも、やはり安田さんの本は自分で作りたい。そこで発想の転
換をしまして、私自身が大出版社に移って安田さんの本を作る、と考えてみよ
う(これはあり得ない話ではなく、私の同期2人は実際に国書のあと講談社、
毎日新聞社に転職した)。──版元はやっぱり小学館やね! 体裁・内容の濃
さは同じ(つまりは『東京のロビンソン・クルーソー』の次は…ということで
す)で、定価は抑えて(笑)1500円、カバー写真は篠山紀信にたのむか。タイ
トルは、うーん、『もっとピントがボケる音』じゃなくて……まあこれは安田
さんがいいのをつけてくれるでしょう。            (完結)


〈たるもと・しゅうま〉1974年奈良県生まれ。2000年より国書刊行会勤務。
担当書籍に『吉屋信子乙女小説コレクション』『鴨居羊子コレクション』『国
書刊行会SF・未来の文学』など。

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■大阪豆ごほん  柴田尚美(おまめ)
(11)大学図書館の宝の山
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 夏休み冬休みは図書館に豆本講座に呼ばれることも多く、今年も行ってきま
した。大阪教育大学附属図書館。親子15組での豆本製作。講座の前に図書館の
見学というものがあって、私も一緒に見せてもらいました。図書館の構造や作
られた背景などの説明を受けながら本のある空間を歩くのは楽しい時間でした。
なにせ本棚が並んでいるだけでわくわくするんですから。そのなかでも書庫。
教育大学というだけあって、明治からの教科書がズラリと保存されてありまし
た。宝物の山です。教育勅語に始まり現代のものまで、他にはない品揃え。武
井武雄のイラストの表紙など、震えるものばかり。一日中しゃがみこんで見た
い気持ちでした。

 昔の教科書が良いのかどうかは賛否両論ですが、教育への力が込められてい
るということは誌面から伝わってきます。おまめ部屋には「ベビーダイジェス
ト」という昭和24年に発行された子供雑誌を置いてありますが、子供の興味を
引くばかりの内容ではなく、かなり難しいことをしっかりとそしてやさしくわ
かりやすく書いてあるのをみると、しっとりと心にしみ込んでいく感じがする
のです。

 豆本講座は子供たちとする時も大人と同じ内容のものをします。自分を思い
出してそうしているのですが、大人ができることは子供はだいたいできる。逆
に子供ができることで大人ができないことはかなり多い。講座をするといつも
それは証明され、付き添いの大人の方があたふた間違えたりするのです。子供
こそ「おまめ」な存在。この夏は教育大学にて初心に戻る講座でした。

*この図書館は一般の人も利用できます。教科書の企画も時々するそうで、秋
にむけて準備しているそうです。ご興味のある方はHPをチェックしてください。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/

〈しばた・なおみ〉小冊子「おまめ」発行人。 ショップ「おまめ」店主。豆
本製作。今月末は東京25(土)・鎌倉26(日)で豆本講座を開きます(要予約)。

【東京】経堂・ロバロバカフェ 定員10名、3500円(お茶付き)
9/25(土)13:00〜15:00 豆絵本・16:00〜18:00 和綴じ ←締めきり
      19:00〜21:00 折本と箱
直接お店へ申し込みください。03-3706-7917

【鎌倉】Weizen kamakura  定員10名、3500円(お茶付き)
9/26(日) 15時〜16時半 エンゼルアルバムと箱
  17時〜18時半  豆絵本
おまめに申し込みください
http://homepage1.nifty.com/omame/tokyo.html

おまめ部屋
〒550-0014 大阪市西区北堀江1-14-21 第一北堀江ビル4F
地下鉄四ツ橋線四ツ橋駅下車6番出口西へ徒歩2分/地下鉄長堀鶴見緑地線西
大橋駅下車徒歩5分
土日:13:00〜18:00(最終土日はお休み) 9月より営業時間が変わりました。
http://homepage1.nifty.com/omame/

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■酒とつまみと営業の日々  大竹聡
(16)取材受けつつベ〜ロベロ
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 どうにもこうにも、この連載における時間の進行はあまりに遅い。それは小
誌ホームページの『独占酒記』という日記風雑文の更新があまりにも遅いこと
に酷似しているが、前者の場合はまだまだ書いておきたいことがあるからであ
って、後者の場合のように、単に不精だからというのとは少し違う。そんな言
い訳はどうでもいいのだが、それはさておき今回もまた、『酒とつまみ』3号
が発売される以前のお話です。すんません。

 地方取材から戻るとすぐまた地方、さらに戻ると夕方が打ち合わせで酒を飲
み、朝は当然二日酔いで、昼の少しばかりの時間に原稿仕事なんぞをしていた
2003年7月、なんと、雑誌の取材を受けることになった。『サイゾー』の編集
スタッフから連絡があり、毎回、どこかの雑誌の編集長にインタビューする
「マガ人」というコーナーがあり、そこにお前さん、出ませんかというお誘い
なのである。私はビビリであるから、即座に断ろうと思うのだが、そこはパブ
リシティである。雑誌でもナンでも出て我らが『酒とつまみ』のPRに少しで
も貢献すべし。それも営業である。というのがスタッフの統一見解なのであった。

 そして、やってきました取材の人。普段は取材する側であるからその現場
がどのようなものかは知っているものの、取材されるのはどうにも居心地が悪
い。結局、その女性担当者の方が来るまでに、ああ! 飲んじまったのである。
飲んでしまえばコッチのもん、というか実はアッチのもんなんでしょう、いろ
いろと下らぬことべらべら喋って、その間も缶ビールグビグビやっていたので
だんだん調子が出てくる。とうとう、取材はもういい? じゃ、これからホッ
ピー飲みに行こうよと、その女性を誘い、カメラのSさんと連れ立って浅草橋
の「加賀屋」へ繰りだし、編集Wクンも途中から参加してくれて、グビグビと
ホッピーを飲む。パブリシティもPRもあったもんじゃないのである。

 おまけにその女性、ノリが良いというか我らのようなオヤジを上機嫌にさせ
ておくフトコロの深さを若いに似合わず持ち合わせていて、ホッピーの中身の
お代わりが、ズビズビと進んでしまう。いい加減酔ってきて、
「これに懲りずね、またね、取材してくらはい! 御誌に原稿も書かせてくら
はいよ!」 なんて言ってたら、その女性、カバンからカメラを取り出して我
が酔態を撮影しにかかるではないか。おまけに、女性の横に座っていたのがS
さんだ。写真ならお父さんに任せなさいとかいいながら、私の正面で、バンバ
ンとシャッターを切る。うーん、飲んでいるとこを撮られるなんてタマランほ
どイヤなのだが、酔いも深くていい加減な心持になっているから、だんだんお
構いなしになる。

 そうしてできあがったのが、『サイゾー』03年9月号に掲載された写真。煮
込みのドンブリを両手にささげ持ち、くわえタバコでニタニタ笑いする不気味
な男が嬉しそうに飲んでいて、それが、私なのである。肝っ玉の小さい者にと
っては、PRも容易ではないと思い知った次第。『サイゾー』様、取材なのに
飲んじまって、すんません。

〈おおたけ・さとし〉『酒とつまみ』編集発行人
長く付き合いの編集Sさんと取材同行。正午に終わって街を見れば人はおらず、
みんな夏休みかい! とばかりに気合を入れて飲み始め、いったん別れて夕方
再会、深夜まで飲みつつ歌う。Sさんと別れるや空き地で嘔吐、腹痛も来て感
極まった。良い旧盆であった。
http://www.saketsuma.com

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■版元様の御殿拝見  塩山芳明
(24)角川書店の巻  北関東の場末の結婚式場センス
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 前回触れた廃墟通り(専大通り)の、日刊工業新聞社の取り壊しがいよいよ
開始。『日本列島改造論』(田中角栄、1972)の版元の末路も、あっけない(ど
っかに移転、細々と営業中らしいが)。倒産した上、前社長がパクられた近所の
森本組ビルも閉鎖中。元気いいのは法政、専修、明治等の、ロクに税金払わぬ
ばかりか、国の援助で高層ビルおっ建ててる学校屋くらい(鼻垂れ小僧のチン
ポ比べのレベル。創価学会を筆頭とする拝み屋と学校屋、その上に立つ世襲泥
棒公務員屋共が破壊する、日本の今日と明日と昨日までの文化)。 

 で、角川書店。どうでもいい版元様だ。ここ10年近く、同社の新刊本を買っ
た記憶がないが、全く困らない(「ブック・オフ」で、金色カバーの復刊角川文
庫が、100円棚に出てると別。ちなみに同文庫、時期によって書名と著者名の
位置が点々バラバラ。実にセドリ屋泣かせ。川下の都合も考えて編集しろボケ
ッ!! ったく気が効かねんだから…)。

 千代田区富士見2-13-3。研究社と東京警察病院看護専門学校の間を100メー
トルほど進むと、急な坂に。その左右に茶色っぽい同書店のビルがデーン!!
(右側が3〜4階。左側が7〜8階か?坂でよくわからん)。めったに来ない
が、いつ来ても目付きの悪いガードマンがウロチョロ。研究社と違い、閉じら
れた雰囲気。兄弟間での血で血を洗う死闘の果てに今の地位を得た、現社長の
猜疑心がにじみ出てる?

 無論、建物のセンスも良かろうはずがない。向かって右側は、映画『日本春
歌考』に登場した頃の、旧中央大学の校舎を思い出させなくもないが、左側の
高そうな石使い放題の建物は、北関東の場末の結婚式場センスと言うか、廃墟
通りのアチコチにある、専大の成金校舎クリソツでゲロゲロ(白夜書房に紙ヤ
スリかけた水準)。坂を昇り切ると、元大和銀行寮が空地に。雑草ボーボー。左
手が衆議院九段議員宿舎。右手に下ると警官が1人ポツン。朝鮮総連本部に通
じる路地の警備だ。あちこちに不快な監視の眼。ジョージ・オーウエル地帯だ。

 出版物も御殿も付近の雰囲気も最悪で、フォローしようがない角川であるが
(ココは第2本社ビルと呼ばれてるらしい)、落ち穂拾いのつもりで付近一帯
を散策(日本歯科大学の警備員にもガンを飛ばされる。俺みたいな育ちの良い
紳士然とした男に無礼な奴。元不良警官に違いない)。灯台下暗しでした。右側
の、旧中大風の角川ビル裏手に、素敵な木造アパートが4棟も。ボロいがちゃ
んと手入れはされてて、三島雅夫に囲われた、60年代の若尾文子似のお妾さん
でも出て来ぬかと、しばし見とれる(付近に、同様な木造個人住宅が数軒。一
見の価値あり)。

 昔は、こういう家が付近に一杯あったのだろう。角川の悪趣味なビルは、そ
ういう住宅を追い散らした上に建ったのかも。10年間1冊も買わないで済む版
元。早く大和銀行寮みたいになれ!! とまでは言わないが(言ってるが)、
若尾文子が川島雄三や増村保造と傑作映画を連打した、大映の名前まで消しや
がって、いちいちムカつく版元だ。腹いせに立ち小便の一つもしたかったが、
ガードマンや警官の眼がうるさい。トボトボと坂を下りて、彩流社前を通り飯
田橋駅へ(川島雄三監督が大映京都で61年に撮った、『女は二度生まれる』は、
この辺でロケを。実に味わい深いいい作品だった)。

 事務所の口座のある、駅反対側のみずほ銀行飯田橋支店に行こうとすると、
右手のビルに角川映画の看板がバーン!! 俺に怨みでも? いちいち神経を
逆撫でる性悪味成金版元だ(ここに角川映画の事務所が)。あのカバヅラ社長、
誰か徹底的に絞め上げてヨ。

〈しおやま・よしあき〉エロ漫画編集者。編プロ「漫画屋」を率いる。著書
『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』(一水社)。なお、この連載に関しての批
判・苦情・お叱りは筆者本人まで、どうぞ(ただし、謝るとは限りません)。
mangaya@air.linkclub.or.jp
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/

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■かねたくの読まずにホメる 金子拓
(25)「ずっしり」「びっしり」で購入
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佐藤卓巳『言論統制―情報官・佐藤庫三と教育の国防国家』中公新書、
2004年8月、980円+税

 本を買う理由にもいろいろある。著者、内容、書名で買うというのは正攻法
だろうか。ブック・デザインが目にとまり、そのまま買ってしまうこともある
だろう。装幀で思わず買ってしまうというのは、購入理由というよりは、購入
動機といったほうがいいかもしれない。

 装幀の場合、目から飛び込んでくる情報だけれど、本書『言論統制』はちょ
っと違った。新聞広告で見たときから気にはなっていたので、書店に並んでい
るのを見て手に取ったところ、ふつう新書を持ったときには感じられないずっ
しりとした重さに意表をつかれ、購入意欲が湧いてきてしまったのである。新
書判で440頁という浩瀚な本で、通常新書は200頁前後だろうから、およそ二
倍の分量があるわけである。

 内容は、戦時中「小ヒムラー」と怖れられた軍人で、情報局情報官だった鈴
木庫三少佐を中心に、戦時中の厳しい言論統制のあり方を明らかにした〈戦時
言論史〉である。これまで未公刊だった鈴木少佐が遺した日記「鈴木日記」を
駆使して〈戦時言論史〉を書き換える意欲的な中味らしい。

 目次を見ると、講談社・朝日新聞社・岩波書店といった出版メディアと鈴木
少佐の関係が論じられている。さらに本書の版元中央公論(新)社とも少なか
らぬ因縁を持っているらしい。著者は本書を中央公論新社から出すべきだとし、
そのさいの書き出しは決まっていたとする(「あとがき」)。

「読まずにホメる」というルールを少し破って、その書き出しものぞいてみる
と、「中央公論社は、たゞいまからでもぶつつぶしてみせる!」という剣呑な
鈴木発言から始まっていた。なかなか効果的ではないか。

 本書はずっしりと重いだけでない。パラパラとページをめくると、ポイント
を落した小さな字になっている引用箇所が目を引き、一般的な新書よりも字が
びっしりと詰まっている印象である。ふつう紙面に文字がびっしり詰まってい
ると購入意欲がそがれるものだが、ぎっしり重くて内容が面白そうなうえに
「びっしり」だから、逆にそそられてしまった。

 奥付上の著者紹介を見てまた一驚。約2年前に本連載の第4回で取り上げた
『『キング』の時代―国民大衆雑誌の公共性』(岩波書店)の著者ではないか。
これで駄目押し。購入決定である。知らなかったが、この間『『キング』の時
代』はサントリー学芸賞を受賞し、当時国際日本文化研究センター勤務だった
著者は京都大学に移られている。二年の時をおいて同じ著者の本を紹介する当
方ときては、ただ馬齢を重ねるだけでかわりばえしない生活を淡々と繰り返す
ばかり……。

〈かねこ・ひらく〉サイト「本読みの快楽」運営。本業は日本史研究者。夏休
みで帰省したときに山本周五郎の『樅ノ木は残った』を読みました。まだまだ
こんな大作(といっても文庫三冊)を読む力が残っているのだと、自信がわき
ました。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kinko/index1.htm

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コメント
こんにちわ。まいです

いろんな本の書評が書いてあるんですね
山本周五郎は知ってたので目に留まりました
その木戸を通ってってよさそうな話ですね
短編でもこういうのは読みたいと思いました
また来ます
| 麻衣(ムダ毛格闘中) | 2009/04/26 5:05 PM |
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