[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガvol.270
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■■ [書評]のメルマガ                2006.6.30.発行
■■                              vol.270
■■ mailmagazine of book reviews     [「欲しい」を考える 号]
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■コンテンツ
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★「極私的読書日記」/石飛徳樹
→今回もお休みですが、『名古屋で書いた映画評150本』(徳間書店)が
絶賛発売中、ぜひ買ってくださいまし。

★「面白すぎて、♪どうにも止まらねぇ!」/ミラクル福田
→異端視されている話題のビジネス書の紹介、今回傑作ですよー

★「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
→王様は裸だーって叫んでます。

★「あんな新刊こんな新刊」/荻原千尋
→今回多忙につきお休みです。

★「本の香りだけ」/守屋淳
→採用担当必読の特集を紹介します。
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■「面白すぎて、♪どうにも止まらねぇ!」/ミラクル福田
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『ヤバい経済学』 悪ガキ教授が世の裏側を探検する
スティーヴン・D・レヴィット+スティーヴン・J・ダブナー
東洋経済新報社 本体定価:1800円+税

ぼくは文学部だったのですが、どうして文学部にしたのかというと、直接に
人間について考えられそうなところだと思ったからなのです。
法律やら経済というのには、なんだか血が通っていないような気がして、端
っから選ぶ気にはならなかったんですね。

法律の条文や、需要と供給の曲線なんていうのは、人間を排除してしまった
後の「社会の枠組み」みたいな感じをもっていたのです。
今にして思えば、そんな枠組みも人間がつくったもので、掘り下げていけば、
いろんな人の思惑やら考えなんていうのに出会えるのですが、でもまあ、い
まもう一度大学に入りなおしても、やっぱり行かないなあ、と思っていまし
た。この本を読むまでは。

この本は、毎日新聞の200文字くらいの書評を読んで手にしました。
「アメリカで100万部超のベストセラー」、「注目の若手」なんていう、
ありふれた惹句をしれっと流したあとに、「90年代のアメリカで犯罪が激
減した理由」、「勉強のできる子どもの親の特徴」、「千秋楽7勝7敗の力
士の勝率」などを「さまざまなデータを分析し、予想外の結論を導き出す」
という文言が続いていました。

最初にこの紹介文を見たとき、正直なところ、意味がわかりませんでした。
なんで「ヤバい」とはついているけど、経済学の本で、犯罪減少の理由や勉
強のできる子どもの親の特徴なんてものを考えるんだ!? しかもアメリカ
の経済学者が、なんで日本の国技・相撲の勝敗(八百長問題)なんかを考え
ているんだと。

それで、記事を見た翌日、書店で手に取ってみたのです。
すると「はじめに」に、やはり、こんなことを分析しているスティーヴン・
D・レヴィットの研究を、経済学とは考えていない経済学者がたくさんいる
ということが記されていました。
「そうか、やはり本流ではないんだ」と納得。

でもでもしかし、なんでこれが経済学なんだろう?
この疑問はまったく解決しません。
それでさらに読んでみると、
  ……彼はいわゆる陰鬱な科学(訳注:経済学の別名)を蒸留して、その
最も基本的な目的を取り出したにすぎない――人は欲しいものをどうや
って手に入れるのかを説明する。……
とありました。
つまりは、物が欲しかったり、学歴が欲しかったり、安全が欲しかったり、
権力や名誉、お金が欲しかったり、という人間の「欲しい」を考えるのが経
済学だということなんです。

実際、これが経済学で異端ではないことは、経済学の始祖ともいうべきアダ
ム・スミスが、おんなじような思いで、人間について考えていたことからも
わかります(と、これは「序章」に丁寧に書いてあります)。

人は欲望を満たすためにどんな手段をとるのか。世の中の人々は、欲望を満
たすためにさまざまなことを企んでその仕掛けをつくっています。それが合
法であろうと非合法であろうと、道徳・倫理的であろうとなかろうと。
この世に溢れている、そうした欲望のための仕組みを解き明かしていくのが、
この本の著者スティーヴン・D・レヴィットの経済学のありかただったので
す。

この本は論文ではありませんから、具体的にひとつひとつの細かな計算など
は載っていません。ですが、わかりやすくその分析方法が書かれているので、
ひとつひとつのテーマの紹介が、それだけでエンターテインメントになって
います。

高校生くらいで読んでいれば、ちがった方向に進んでいたかもしれません
(実際は数字をひたすら追っかけるようなので、無理だろうけど)。
(ミラクル福田 某人文系出版社編集 33歳 年間読書量80冊弱 
好きなジャンル 文芸・芸能)
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■「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
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誰だ、日本が勝つなんて言ってたのは?

 aguni です。6月といえばやはりW杯でしたねー。(ってまだ終わってい
ないですけど。というわけで、今日はこの一冊。

『W杯(ワールドカップ)ビジネス30年戦争』
 田崎 健太著 新潮社(2006.5)
 http://www.bk1.co.jp/product/2666381/p-aguni00047

 そもそもサッカーというスポーツの由来は、村をあげて一個のボールを一
個のゴールに決めるのを競うという、まあ、力自慢を競うお祭りだったそう
で。そういえば、ボールをゴールに入れるという行為には、どこか原始的な
儀式を思わせますね。

 そういう由来のせいがあるからかもしれませんが、サッカーというのはよ
く考えると、どうして自分がこんなに熱中してしまうのかわからない魅力と
いうものが確かにあるようです。

 たとえば、前回の日韓共催W杯。今から考えると、いったい何だったので
しょう? 今回、なぜか前回がシードであったことを忘れ、メディアの皆さ
んも「もう少し日本は強いのでは?」という思いにもう、大本営発表のよう
な報道を繰り返していましたね。「ブラジルに2点差以上つけて勝てば決勝
に進める(ただし、クロアチアが勝てば。」「まだ可能性はある。」・・・
あるかい!

 なぜこんなウソを報道しなければならないほどの魅力が、サッカーにはあ
るのでしょう? これではほとんど宗教です。

 宗教は儲かる。ということで、サッカーが儲かると思ってその世界に手を
染めたさまざまな人物を紹介するのが今日の一冊です。FIFA前会長、電
通常務取締役、韓国サッカー協会会長、UEFA会長、FIFA会長、IS
L元社長と、豪華なメンバーではあるのですが、全体としてはよくわからな
い構成になっています。

 よくわからないのは、本のせいではありません。サッカービジネスの世界
が、結局、誰が仕切って、誰が儲かっているのかがよくわからないのです。
そしてサッカーの魅力そのものについては、それこそ何もわかりません。た
だただ規模が大きくなり、大きくなることによって動く金額が拡大し、大き
くなることによって利権を生み出す仕組みが生まれ・・・モデルとしては、
たとえは悪いですが、麻薬のビジネスに近いものを感じます。

 オリンピックよりも盛り上がりを見せていると思えなくもないワールドカ
ップ。しかしそれがどこかの誰かによって作られたショウであることも、ま
ずは知っておくべきなのかもしれません。

 とくに報道関係の方には、冷静な報道をお願いしたいものです。2010
年には! よろしくお願いしますよ!

 やっぱ今年の優勝もブラジルかなぁ・・・。

(aguni ビジネス書・書評者/コーチ&コンサルタント
 メルマガ・ブログ「bizbook.tv」主催 http://bizbook.tv/ )
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■「本の香りだけ」/守屋淳
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就職戦線、悲喜こもごも

『日経ベンチャー』7月号 日経BP社「ココまでやらなきゃヒトは採れ
ない」

みなさんは(学生の方はこれからの話ですが)、就職活動にいそしんだ頃、
時期的には売り手市場だったでしょうか? それとも買い手市場で苦労され
たクチでしょうか?

僕の場合、就職活動をしたのが八八年――ちょうどバブル景気が始まる前年
で、かなり苦労した世代にあたります。商学部の友人で、三十社近くまわっ
て一社も内定が出ないと嘆いている人もいましたっけ……

ところが翌年から、バブルとひのえうまの相乗効果で、超売り手市場が始ま
っていきます。成績が悪くて留年した奴が、結局、大手新聞社に就職したり
してましたから、なんだよそりゃって感じでした。よく、恵まれた世代と不
幸な世代がいるみたいな言説がありますが、そのちょうど裂け目を実感しま
したねー。

それで、今回紹介するのは、書籍じゃなくて、雑誌の特集なのです。しかも
書店売りをしていない雑誌なので、「手に入らないじゃないかー」と言われ
るとスミマセンとしかいいようがないんですが、とにかく面白い特集だった
ので、せめてその一部でも紹介したいと思います。

現在、好景気(わたしにゃ実感できませんが)のあおりをうけて、人材市場
も売り手優位になっているといわれています。当然、採用する企業の側も優
秀な人材を発掘しようと必死になるわけです。

そこでこの特集、ユニークな採用活動を繰り広げている企業を特集している
わけですが、これが凄い。たとえば、「イマージュ・ネット」という会社で
は――

《志願者に向けた告知は、当日の約2週間前からインターネットに広告を出
しただけ。しかも、「8月○日△時に富士山五合目に集合」とだけ掲載し、
志願者が、どのような試験や面接があるのかを見当もつかない内容にした。
 そんな「めちゃくちゃな告知」(神田社長)にもかかわらず、5合目には
約20人の学生が集まった。神田社長を含む同社のスタッフ約15人と共に
5合目を昼頃出発、7合目の山小屋で仮眠を取ってから山頂を目指した。小
屋を出たのは真夜中、山頂に到着したのは午前4時だった》
 《結局、山頂に11人がたどり着き、うち男性一人が合格した》

この会社では、《既存の価値観にとらわれることなく、新しいことに挑戦で
きる人》が欲しくて、こんな富士山の頂上での面接を敢行したそうですが、
冗談ではアイデア出そうでも、現実になるなんてホント驚きです。

さらに、渡辺住研という会社では、

《「プレゼント選び」の競争。予算1000円、制限時間1時間半で採用担
当の女性社員への贈り物を選び、彼女を「最も感動させた」学生が勝利者に
なる。学生たちは会社から支給される1000円札を握りしめ、街を走り回
る》

いやー、これも面白いですね。自分だったら何を買うんだろう。そういえば、
アサヒビール元社長の樋口廣太郎さんが、「プレゼントの鉄則は、その値段
で最高のものが買えるものを選ぶこと」があるとか言ってましたっけ。10
00円で、最高品質のものって、超高級納豆とか……こりゃ不採用だな(笑)

さらに、最近マスメディアに出まくりの「ワイキューブ」の安田佳生社長は、

《「段取りの良しあし」を見るには、焼肉を焼かせるのが一番。皆があまり
食べていないのにたくさん肉を焼いて黒焦げにしてしまう人、4人の会食な
のに肉を3枚しか焼かない人、そういう人は何をやっても段取りが悪い》

これも、そうだよなーと思わずうなづいちゃいますよね(笑)しかし一番腹
が立つのは、人が気を使って一人一枚換算で焼いているのに、いきなり2枚
食う馬鹿。あ、そういう話じゃないか……(笑)

まあ、とにかくみなさん人材見分けるために、手練手管を尽くしているわけ
です。人事担当の社員さんや、これから就職活動をするみなさんは、この特
集一読の価値があると思います、ハイ

最後に蛇足ですが、筆者の経験則からいって、人を面接するさいに心した方
が良いことがあります。それは、「面接は、なるべく同性がする」というこ
と。男女問わず、面白いことに異性を面接しちゃうと、甘くなるか、自分の
好みのタイプが薄々出ちゃう場合が多いんです。逆に、特に女性は、同性を
面接してもらうと目茶厳しいこと(男性の目から見ればですが)、でもだか
らこそ、良い人材が取れたりもするんです。ま、人の性って奴でしょうか…

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■あとがき
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>今回はセコイ話を少々
>はあはあ
>私、コーヒーの味って、味は薄くなく、でも後味はすっきり(後味に苦味
が残らない)のが好きなんですが、そういうコーヒーを安く作る方法を見つ
けたんです。
>あなたって、セコイこと考えさせたら天下一品ですもんねー
>うるしゃーい、本当のことを言うなプンプン(笑)。で、やり方というの
はエスプレッソの粉を買って来て、それを容量の三倍くらいの水で抽出し
ちゃうという……
>それって、薄いエスプレッソを作るということですか
>簡単にいうとそういうことです(笑)。通常の三倍量できるので、お値段
三分の一ながら、味はそこそこ後味すっきりのコーヒーが出来てなかなかい
いですよー
>そういえば、最近コーヒー豆が不作とかで値段があがっている気がするの
で、試しに僕もやってみようっと
>人のことセコイとか言って、こっそり真似する人って世渡り上手で、にく
たらしいなあ(笑)
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本の評価について、周囲の人との間でこれほど意見が割れたのは久しぶりでした。なんだかヤバく愉快♪ 『ヤバい経済学』(スティーヴン・D・レヴィット著) このブログで何度もご登場いただいている土井英司さんがメ
| 今日、僕が学んだこと。〜一歩ずつ愚直に前進、プチファイ・ライフ〜 | 2006/07/17 1:11 PM |
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