[書評]のメルマガ

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[書評]のメルマガvol.351
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■■ [書評]のメルマガ                2008.2.29.発行
■■                              vol.351
■■ mailmagazine of book reviews   [日本人の83人に1人  号]
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■コンテンツ
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★「極私的読書日記」/石飛徳樹
→今回もお休みでーす。

★「面白すぎて、♪どうにも止まらねぇ!」/ミラクル福田
→今話題の、星新一の本です。

★「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
→億万長者向けビジネスとは……

★「あんな新刊こんな新刊」/荻原千尋
→諸般の事情で、お休みでーす。

★「本の香りだけ」/守屋淳
→今回はDVDをご紹介します。

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■「面白すぎて、♪どうにも止まらねぇ!」/ミラクル福田
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「日本もアメリカもまだ若く」

『明治・父・アメリカ』 星新一著 新潮文庫 460円

最近、好んで幕末明治の頃の人々の話を読んだり見たりしているのですが、
つくづく思うのは、“みんな真面目な人だったんだなあ”ということです。
もちろん、書物に名前を残している人物ですから、功成しを名遂げた人なの
で、あまり変なことが書いてあるわけはありません。ですので、「真面目」
という言葉は「一途」と置き換えてもいいかもしれません。

星新一が自らの父親のことを描いたこの伝記は、まさに「真面目で一途」な
明治の男子を描いた、とても面白い一冊でした。

星新一は、いわずと知れた日本で“ショートショート”を確立したSF作家
です。そして、その父親は、星製薬と星薬科大学を創った実業家の星一。
ここまでなら、すでに知っている人も多いと思います。
でも、この本のなかでとりあげられているのは、星一が、製薬会社や大学を
創るよりもずっとずっと前の話。星新一の祖父にあたる人が、幕末の福島で
星という家に婿養子に入り、星一が生まれるところから始まります。

エピソードには事欠かないのですが、13歳にして星一が小学校の教壇に立っ
た話などは、明治5年の学制発布後、いかに学校教師が不足していたかを示
す話でもあって、教育史的にもとても面白いところでしょう。
でも、いちばん面白いのは、ページをめくるごとに広がっていく星一の世界
と、日本とアメリカの近代化の進捗がちょうどパラレルに進んでいくところ
です。

その起爆剤となったのが、先生から紹介されたサミュエル・スマイルズとい
うイギリス人の書いた『西国立志編』という本。
幕末に刊行されてから、爆発的に売れたヨーロッパとアメリカの立志伝で、
アメリカ独立宣言を起草したベンジャミン・フランクリンや紡績工業の父ア
ークライト、蒸気機関車を開発したスチーブンソン、万有引力発見のニュー
トンや地動説のコペルニクス、経済学者のジョン・スチュワート・ミル、劇
作家のシェークスピアなどなど、多くの偉人が紹介されている本です(今も
同じ訳で、講談社学術文庫で読める)。

以後、座右の書としていたというこの本に刺激をうけ、星一はアメリカに向
かうことを決心し、実行に移します。
言葉も充分に通じないアメリカでの苦労と頑張りが、この本のいちばん面白
いところなので、ここではあまり触れません。でもひとつ、あえて触れたい
のが、コロンビア大学に入学する経緯です。

当時、コロンビア大学はどこの国であっても、ざっくり言うと高卒以上の学
歴があれば、無試験で入れたのですが、星一が受けたのは中等教育まで。
規則的にはダメなのですが、そこでの教育は実質、高等教育の内容だったこ
とを説明して、なんと入学が許可されているのです(↑当時と今は違う制度
なので、かなり省いた説明ですが)。けっこうあっさりと、
「オーケー。入学をみとめよう」という具合に。

明治の日本も、当時のアメリカも、まだ若くて形がしっかりとは固まってい
ない時代です。ここらへんの制度的なゆるさ、人間の鷹揚さが、真面目で一
途な青年を育てたひとつの要因だったのではないかと思うのです。

ちなみに、コロンビア大を出た後、星一青年は、野口英世と親友となり、新
渡戸稲造、伊藤博文、後藤新平などと交流を持つようになっていきます。
さらに後の、製薬事業を立ち上げる話などは、続編にあたる『人民は弱し
官吏は強し』に記されています。

(ミラクル福田 出版社編集者)
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■「月刊ニュースなビジネス書評」/aguni
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 純粋金融資産1億円以上をお持ちのあなたに!

 aguni です。

『富裕層はなぜ、YUCASEEに入るのか』
 高岡 壮一郎 著
 税込価格:¥1,680(本体:¥1,600)
 出版:幻冬舎メディアコンサルティング
 発売:幻冬舎(2008.02)
 http://www.bk1.co.jp/product/02966318/p-aguni00047
 http://www.amazon.co.jp/dp/4344996100?tag=bizknowledge-22

 どちらかというと大貧民の私が東急の電車に乗るたびに、何となく気にな
ってしまう広告があった。それがこれが一冊。しかも、結構、売れているら
しい。

 幻冬舎メディアコンサルティングというのは、企業などの広告のための書
籍を作成する会社。まあ、要は自費出版である。会社のHPには、「企業が
伝えたいことを、人々の心情に働きかける「ブランディング書籍」としてま
とめ、全国の主要書店で発売します。「企業価値の向上」や「深く浸透する
リクルーティング」、「新たなサービスの認知度アップ」に《書籍×書店》
という“新しいメディア”で強く訴求していきます。」とある。

 この本は、この会社の3つの柱「リクルーティング強化」「ブランディン
グ」「サービス認知向上」のうち、「サービス認知向上」の事例として紹介
されている。そして紹介しているサービスが、純金融資産1億円以上を持つ
富裕層を対象にネット上のプライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」
である。

 この本によると、対象となる富裕層の数は147万人。日本人の83人に
1人であるという。このメールマガジンの読者数は5000を超えているか
ら、計算上は、このメールマガジンを読んでいる人にも60人は対象者がい
る、ということになる。

 この本の作りはとてもシンプルだ。この国では、お金持ちは絶対に表には
出てはいけないよ、という言葉が紹介されているが、『となりの億万長者』
『なぜ、この人たちは金持ちになったのか』同様、お金持ちについて分類し
た本である。この手の本はいつも一定のニーズがあるものだ。

 ただし、属性から分類したり、YUCASEEのサービス紹介だけでは、
一冊になりにくいためか、“日本実業界の父”渋澤栄一の5代目子孫であり、
投資コンサルティング会社を営む渋澤健との対談が掲載されている。海外の
富裕層と日本の富裕層との違いがここで語られていて、とても面白い。

 彼曰く、日本にはいいお金持ちのロールモデルがない、ということだ。旅
行とか車とか家とかブランドとか、どうも貯め込んで欲望を撒き散らしてい
る、というイメージが付きまとうが、海外の富裕層はどちらかというとボラ
ンティア活動に従事している人が多いという。

 以前、ある団体から富裕層向けのサービスを、という相談をされたことが
ある。いろいろなアイデアがそこで出たが、どれもピンと来なかった。理由
は簡単。そこで発想している側の人が富裕層ではないからだ。

 ということでSNSを立ち上げ、そこで得た情報を企業に流すコンサルテ
ィングを、というのがこのYUCASEEのビジネスモデル。さすが、三井
物産出身の社長らしく、マーケティングのセオリーをきちんと抑えている。
しかも富裕層向けだから、数は出なくても利益になる。充分、やっていける
のだ。

 これと同じ話をどこかで聞いた、と思ったら、先日、参加したホスタリテ
ビティ・マーケティングの話だった。マスに売る商品を開発するのではなく、
こだわりを持った少数の人のために、かゆいところに手が届く商品を作る、
という考え方で、高級炊飯器の例が紹介されていた。そういえば高級スピー
カーとか、同じような話をよく聞くようになった。

 富裕層にはお金の使い道がないのが今までの日本だった。そして、やっと
富裕層向けのビジネスが成熟し始めて、消費に向かっているのが今なのかも
しれない。次のステップとしては、是非、この日本を良くする方向に、この
お金のエネルギーが向かって欲しい、と、残り83分の82側の人間として
は、ただ願うものである。

 aguni ビジネス書評者/認定コーチ&経営品質協議会セルフアセッサー
【bizbook.tv】 http://blog.mag2.com/m/log/0000111550
《CoachingBANK》http://www.coachingbank.com/coach/haraguchi/
        http://www.mag2.com/m/0000205217.html


2008/1/10刊行!コーチングバンク代表 原口佳典
『人の力を引き出すコーチング術』(平凡社新書404)
⇒ご購入はこちらから
 bk1 http://www.bk1.co.jp/product/02955817/p-aguni00047
 Amazon http://www.amazon.co.jp/dp/4582854044?tag=bizknowledge-22

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■「本の香りだけ」/守屋淳
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神様 仏様 深津様

『恋ノチカラ』DVD全4巻 
フジテレビ映像企画部 アミューズソフト販売株式会社 20,160円

今回は、本から外れまして、テレビドラマをまとめたDVDのご紹介です。

実はこのドラマ、最初の放映時(二〇〇二年)に、偶然に初回を見たことか
らはまってしまい、欠かさず全部視聴した結果、これは傑作だ、とこのメル
マガの石飛さんともうなづきあったりしていたんです。

で、それが今年の春に再放送されました。結局途切れ途切れにしか見られな
かったんですが、それでも昔の興奮が蘇り、ついついDVDまで買って夫婦
揃ってみてしまったわけです(笑)

このドラマの主人公は、本宮籐子(深津絵里)。三〇歳をすぎて独身の大手
広告代理店勤務なんですが、ひょんなことから広告業界ナンバーワンデザイ
ナーの貫井功太郎(堤真一)と若手ナンバーワンの木村壮吾(坂口憲二)の
二人が始めたデザイン事務所「貫井企画」に誘われ、そこで働き始める、と
いう話。

このドラマを進める原動力となるのが、本宮籐子と貫井功太郎、そして籐子
の元カレの妹という設定の春菜(矢田亜希子)との三角関係模様。そして、
大手代理店から独立した弱小プロダクション「貫井企画」が成功するのか、
という独立成功譚の二つ。

ありふれた設定のようにも思えますが、とても上手な脚本と、演技派の俳優
陣に支えられて、おそらく二〇〇〇年代初期を代表する恋愛モノとなってい
ます。とくに深津絵里の演技は見事の一言。

深津絵里は、個人的に、声による縁起が抜群にうまいと思っていたんですが、
今回のドラマの、ある意味山場のシーンで、深津絵里はまったくセリフなし、
女優・深津絵里の凄みを見せつけるような演技をしています。この人、何十
年に一度の逸材なんでしょうね……

で、今回、この作品をメルマガで取り上げたのには、大きな理由があります。
それは、このドラマの基本設定にかかわる部分で、時代の変遷を感じてしま
うからなんです。

このドラマ、冒頭の部分で、三十歳を過ぎて、もう恋なんかすることはない
と思っていた、みたいなキャプションが出ます。主人公は、三十の誕生日が
来た日、なんだか頑張ることにアホらしくなって、ある種自然体で生きるよ
うになってしまったという設定なのですが、これって二〇〇八年の今現在、
そりゃないよ、という話ですよね(笑)。だって、三十以上の独身女性なん
て、今やごく当たり前にいるわけですからね……

しかし、少なくともこのドラマが作られたときは、この設定がヴィヴィッド
だったわけです。さらに思い起こすと、その昔、女性の適齢期はクリスマス
ケーキと言われていた時期がありました。それが、三十が意識されるように
なり、今では三十五が区切り……。自然な類推として、次は四十が話題にな
るんでしょうか……

しかし、このドラマの面白いところは、いわばそういった社会的な風潮の縛
りの線を超えてしまい、ある意味で恋愛のレースに乗ることをあきらめてし
まった女性が、逆にだからこそ魅力的になり得る、という観点が打ち出され
ていることです。まあ、人生ってそんなものかもしれませんねー。

ちょっとお高いのが玉に瑕ですが、見て損はありません。お勧めです。


(守屋淳 自称作家 42歳)
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■あとがき
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>ちょっと前に、経済産業者の偉い人が、デイトレーダーはけしからんみた
いな発言したじゃないですか
>はあはあ
>それに対して、SBIの北尾さん(ホリエモン事件のとき、僕は手ごわい
ですよ、といって出てきた人)が、こう言っていたんです。「市場というの
は、もちろん長期投資の人がいてもいい。しかし、短期売買の人もいなけれ
ば市場には流動性が生まれず、市場として成り立たなくなってしまう。どち
らが良い、悪いの問題ではなく、両方とも市場には必要なのだ」。これ聞い
て、経産省の偉い人に比べて、なんて視野が広く、バランスよく物事を見ら
れるんだろう、と思って感心したんです。
>ああ、なるほどねー。狭い了見で良いとか悪いとか言う人が増えちゃいま
したが、経産省の偉い人までそうなっちゃったんですねー。
>そうそう。政治家や官僚って、もともと広い視野から政策なりを立案した
り、実践することが期待されている職種なのに、こりゃマズイですよね。逆
に、民間の方がそれができちゃうんですから「経済一流、政治は三流」って
言われちゃうわけだと思いました、トホホ……
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