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[書評]のメルマガ vol.502

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■■ [書評]のメルマガ                2011.12.10.発行
■■                              vol.502
■■ mailmagazine of book reviews  [面白くないカサ、入荷しました 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→信介しゃんと阿佐ヶ谷気分

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/大麦親父乳酸脂肪
→平田オリザが求めるもの

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/庄司善彦
→ヴィレッジヴァンガードで、人生を考えさせられる

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→つながり

★「背伸びして本を選ぶ」/十谷あとり
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→出版社の皆さん、献本募集中です!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 久々に献本を頂戴しました。ありがとうございます。

 谷口輝世子 著『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)
 http://www.seikatsushoin.com/bk/083%20america.html

 アメリカで大リーグなどのレポートを書かれてるフリーライターである著者
による、アメリカ子育て本です。が、あまり報道されないアメリカの子育て事
情、というか、閉塞感を伝えてくれる一冊です。

 この本の書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中の「献本読者書評」
巻末のコーナーで!

 出版社・著者の皆様からの献本も募集中です!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<24> 信介しゃんと阿佐ヶ谷気分

 ジュンク堂の三宮店へ行ったら、『山本作兵衛画文集・炭鉱(ヤマ)に生き
る ‐地の底の人生記録‐』(講談社)が平積みされていた。
 そーいえばこの夏に、この山本翁の遺した膨大な量の絵と文が、ユネスコの
「世界記録遺産」に認定された、というニュースを見たな、と思い出す。

 それを機に出た本なのかな、と思って奥付をみたら、「1967年第一刷発行」
で、「2011年新装版第一刷発行」となっている。
 そーなのか、そんなに前に本が出てたのか…知らなかった…と、反省しなが
ら買って帰った。

 山本作兵衛の絵に初めて接したのは、1975年の東宝映画『青春の門・筑豊篇』
(浦山桐郎・監督)だった。
 作者の五木寛之自身が、これは「五木版・人生劇場」である、と公言して憚
らない原作小説は、だから当然主人公の「信介」は「瓢吉」だし、同じく当然
に「飛車角」も「吉良常」も登場するのだけど、当時はそれとは知らず、タマ
に親父が買って帰る「週刊現代」に連載されていたこの小説を、風間完の描く
官能的な挿絵に悩殺されつつ、「おお!」と感動しながら断片的に読んでいて、
文庫化されるやすぐに買って全篇を読破していて、なので映画も封切直後に見
に行ったのだった。

 映画のタイトルバックと、冒頭に小沢昭一の「レポーター」が、明治から大
正、昭和戦前の筑豊の歴史とともに主人公の父「伊吹重蔵」の生い立ちを説明
するシーンのバックに、極彩色で描かれた絵が使われていて、この絵がすごく
印象的だった。

 稚拙なんだけど、見世物小屋の看板を思わせるおどろおどろしさに満ちたそ
の絵は、炭鉱での過酷な労働や猥雑な生活の空気をリアルに伝えていて、夢に
出てくるとうなされそうな迫力に満ちていた。

 この絵こそが、その山本作兵衛の絵だったのだけども、当時はその名も知ら
ず、いったい、あれはなんだったのだろうか?と、ココロの隅に引っかかって
いたのだった。

 その引っかかりを解いてくれたのは、安部慎一だった。
 『美代子阿佐ヶ谷気分』のシリーズで、自らと妻・美代子との生活、その生
活の中の鬱屈や屈託、友人たちとの交流や離反や齟齬、更には、その友人を巻
き込んでの美代子をめぐる性生活まで、赤裸々に「私漫画」として綴っていた
アベシンが、妻とともに故郷である筑豊・田川に帰ってから「ガロ」に、突如、
それまでの「私漫画」とは作風を「がらり」と異にした「筑豊漫画」と題する
シリーズを発表しだしたのは、わしが映画『青春の門』を見たのと同じ年だっ
たと記憶する。

 昭和初期と思しき時代を背景に、『青春の門』の伊吹重蔵を彷彿させる中年
の坑夫を主人公として、骨太に描き出されたその作中で、作者・アベシンの
「語り」として、彼がこの作品を描こうと思い立ったのは、「炭鉱画家・山本
作兵衛氏と出遭ったことが、きっかけであった」と告白されていたのである。

 「あっ!」と思った。
 その「山本作兵衛氏」こそが、あの『青春の門』のタイトルバックの絵の人
に違いない。
 根拠はないけど、確信した。
 安部慎一の『炭鉱漫画』に描き出された世界は、『青春の門』のタイトルバ
ックに描かれていた、「おどろおどろ」の、あの世界そのものだったから。

 安部慎一の『筑豊漫画』は、作者・アベシンが当時すでに精神を病んでおり、
またその後、宗教にのめりこんでしまったことで、中断されたままであるのは、
なんとも残念に思うのだけど……
 描き続けてくれたら、「もうひとつの『青春の門』」になり得たんじゃない
だろうか。

 『山本作兵衛画文集・炭鉱に生きる』を、あらためて見てみると、あのアベ
シンの『炭鉱漫画』が、絵柄の面でも、この老画家の影響を強く受けていたの
だというのが実感できて、だからなお、『炭鉱漫画』を、「再開してくれんか
な…」との思いにも捕らわれた。

 私事ではあるが、妻の実家が十年ほど前に、岳父の故郷でもある筑豊・田川
に越したことで、筑豊と田川は、いきなりに身近な存在となって、たまに訪れ
るたび、ああ、あの香春岳だ、とか、ボタ山だ、とかやたらに感動していたの
だけど、ふと、高校生のアベシンと美代子さんが、汽車を見下ろしていた陸橋
は、「どこだったんだろう?」と車を走らせたりもして、安部慎一という作家
も、あらためて気になっていて、だから、この山本翁の画文集も、書店で見か
けてすぐ買ったのだった。
 山本作兵衛と『青春の門』、そして安部慎一は、わしの中では一本の線で繋
がっている。

 にしても、この画文集、それまで絵の手ほどきを殆ど受けてこなかった老人
が、六十を越えてから、自らの記憶だけを頼りに、見よう見まねで描かれた絵
なんだけど、どの画面も凄まじいばかりのリアルと迫力に満ちている。
 自らの体験を「伝えよう」という執念のなせるワザなのだと思う。

 アベシンも、おそらくはそこに感応したのだろうし、五木寛之が、自家版の
「人生劇場」の舞台を筑豊に求めたのも、おそらくはこの絵と文を見た故だっ
たのではないか。
 大正時代、米騒動の折の、「ダイナマイト」のエピソードは、そのまま『青
春の門』に引用されてるし。


 ちなみに、山本作兵衛の筑豊画文は、下記サイトでも閲覧できます。
 http://www.y-sakubei.com/index.html

太郎吉野(たろう・よしの)
元・漫画プロダクション勤務を経て元・本屋。ただいまの本職は「文筆業」の
はずなのだが、もっぱらは複数校掛け持ちにて漫画家を目指す若者たちに、え
ーかげんなこと教えては路頭に迷わすことで生計を立てている。神戸在住。

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/大麦親父乳酸脂肪
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第24回 平田オリザが求めるもの

 鳩山・菅両総理の内閣参与だった脚本家で演出家の平田オリザさん。彼は戯
曲を書くときのコツを一般の人に伝授した。

 『演劇入門』(平田オリザ 著)(講談社)(講談社現代新書)(1998)

 そもそも脚本家が自分のノウハウをべらべらと公表してしまうことが凄い。
本書は演劇人・平田オリザの「芝居の作り方」を伝えるための本なのだ。
 いきなり、「リアルな台詞とは何か?」と問いかけから始まる。この問いか
けが実は簡単なようで難しい。

 美術館でいきなり「美術館はいいなぁ」という台詞はリアルではない。説明
的な台詞はリアルには聞こえない。ではどう云えばいいのか。どう云えば、観
客にそこが美術館なのかを伝えられるのか。舞台セットで絵画や彫刻を並べれ
ば、美術館に見える。しかしここでは台詞だけで勝負するのだ。

 この問いについて、あれこれいろいろと例証したり、別の角度から見たりし
て、論を展開していくと思いきや、その答えが2頁先であっさり示されている。
 「台詞を書く際には、遠いイメージから入ることが原則である。」という。
 つまり、役者にいきなり「美術館はいいなぁ」と云わせるのではなく、遠く
のイメージから徐々に迫っていくような台詞を用意すれば、それがリアルな台
詞になる。という。

 具体的には本書を読んでいただければいいのだが、この美術館を例にとれば、
美術館は静かなイメージとか、デートで行くところとか、そういうイメージが
あるので、最初はデートで美術館に来た男女。という設定で、台詞を作ってい
けばいいのだ。親しい間柄の会話というのは、第三者が聞いていてもたわいも
ないことが多いが、はじめはそれでいいのだ。そのたわいない会話がすなわち、
“遠いイメージ”であり、そして徐々に近づいていけばいい。そういう過程を
踏んで、そして最後に「美術館はいいなぁ」と云わせれば、まったく違和感な
く説明的でもなくリアルな台詞になる。

 このようにして戯曲を書いていく。この“遠いイメージから書く”というこ
とで自分でも戯曲が書けるんじゃないか、と思う人は数多いるはずだ。
 次に平田オリザが問題にするのは、戯曲のテーマについてである。芝居に果
たしてテーマは必要なのか、というびっくりするような疑問を呈している。
 だいたいの人は近代演劇にはテーマが必須である、と思っている。まず、テ
ーマありき。それは、つまり脱原発とか戦争反対とか、そういう大きなテーマ
があって、そのテーマに向かって邁進していくのが、演劇だと思っている。
 しかし、平田オリザはそうではない。“何を書くか”が初めにくるのではな
く、“いかに書くか”が最初にあるのだ、と云っているのだ。テーマがあるの
ではなく、表現があるのだ。平田オリザは云う。「伝えたいことなど何もない。
でも表現したいことは山ほどあるのだ」と。

 このことはある意味、とても新鮮なことだ。しかし、よくよく考えればその
通りだ、と首肯する。書くことが好きな人は、何を書きたいのか、ということ
で書き始めるのではなく、あるものをどう表現しよう、と思いながら筆を執り、
キーボードを叩き始める。

 以上、ここまでが本書の第1章。

 第2章は、戯曲を書く前にすることが書かれている。舞台となる場所を決め、
背景を決める。
 その次の第3章では、登場人物を決め、プロットやエピソードを決めて台詞
を書いていく。

 それぞれについて具体的に書かれている。まったく手の内をあかしている。
 舞台として選ぶ場所は、半公的な場所。核になる人たちがいて、そこに外部
から容易に出入りができるような場所がいい。と云っている。そして、背景も
葬式などの半公的な空間を設定するといい。と書かれている。本書の題名は
『演劇入門』である、ということを思い出させてくれるのだ。

 あれこれ、戯曲執筆の方法、やり方、書き方、ノウハウを言葉を費やして、
例示も豊富に記載し、そして「とにかく、一本、短いものでもいいから、構造
のしっかりした一幕ものを最初に書くことを勧める」と云っているのだ。

 彼はまた、繰り返し云う。
 「私たちは、テーマがあって書き始めるわけではない。むしろ、テーマを見
つけるために書き始めるのだ。」
 そして、「それは、私たちの人生が、あらかじめ定められたテーマ、目標が
あって生きているのではないのと似ている」と。
 この言葉に爽やかに感動してしまった。そしてこれは間違いなく、本書で平
田オリザの最も云いたいことのひとつに違いない。
 まずは、彼の芝居を観ることを勧める。戯曲を書くのはそれからにしよう。

大麦親父乳酸脂肪(吉祥寺シアターで上演された、「ソウル市民五部作」。平
田オリザの世界を堪能した)

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■「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/庄司善彦
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ヴィレッジヴァンガードで、人生を考えさせられる

ヴィレッジヴァンガードが好きです。最近、大型ショッピングセンターの中に
も多く出店しているのを見かける、一見すると雑貨屋さんにしか見えない書店
ですね。そのキャッチコピーは「遊べる本屋」。調べてみると、現在の店舗数
は、既に全国で200店舗を超えているようです。

輸入雑貨、おもちゃ、菓子、CD、コレクターズアイテムなどが所狭しと並べら
れ、商品には手書きのポップがこれでもかと貼り付けられています。「本も売
ってる雑貨屋ではなく、雑貨も売ってる本屋です」なんてレジ前にはご丁寧に
書いてあったりして。本屋だから、ちゃんと図書カードも使えますよ(使った
ことありませんが)。

この商品に付けられる手書きポップが、ヴィレッジヴァンガードの魅力の1つ
なんですよね。「面白くないカサ、入荷しました」というポップが、ただのビ
ニール傘に付けられたものだったり、絵本のコーナーで「実は残酷なお話・・
・」というポップを見つけ近寄ると、初代あんぱんまん(平仮名なところがミ
ソ)の絵本だったり。あんぱんまんの絵本なんて、本来幼児向けであることは
一目瞭然なのに、ついつい手にとって「残酷なシーンはどこだ?!」と探して
しまう、大人のはずの私(笑)。遊べる、というより、遊ばされてしまう本屋
という言い方が正しいのかも。

そんなわけで、買い物先でヴィレッジヴァンガードを見つけると、何も買うも
のはなくてもついつい寄っちゃうんですよね。ただの暇つぶしともいえますが、
私の中に潜む、サブカルチャー精神をくすぐってくれるお店であるとも言えま
す。結局何も買わないのに、店内を物色しながら一周して、気づくと1時間経
過、なんてのはザラ。

つい先日も、とある大型ショッピングセンターに行った際に立ち寄ったわけで
すが、この日は書籍のコーナーで、こんなポップを見つけ、立ち止まってしま
いました。

「そろそろ人生、考えて・・・みる?」

だれか著名人の伝記か、エッセイかなんかだろうと思い、近寄って手に取って
みたら、こんな本でした。

『35歳からのリアル』
 著者: 人生戦略会議
 出版社: WAVE出版
 ISBN-13: 978-4872904376
 発売日: 2009/10/22


本の帯には、こんな紹介文が記載されています。

 ハンパなところで人生終わりにすんな!
 上を向いて歩き続けるためにいま、できる「選択」とは!
 仕事、家庭、お金、子育て、住まい、健康、老後……。年収ダウンの時代に
 知っておくべきこと!

うーん、まさか私にとっては娯楽の場所でしかないヴィレッジヴァンガードで、
こんな成功本、もとい自己啓発的な本に出会ってしまうとは・・・。

どうもこの本、シリーズ化されており、これまでシリーズ累計では55万部も
売れているベストセラーらしいのです。

ただ、団塊ジュニアあたりの年齢層をターゲットとした、似たような書籍って
他にもありますからね。これまで私の目に止まらなかっただけのだと思います。

私自身は今年で34歳。ちょうど3年前に結婚し、ローンを組んで家を買い、
夫婦で子作りの計画について話し始めているなんて状況ですので、まさに内容
自体は、どストライクだったのですよ。その場でパラパラ立ち読みし、今後の
勉強の為に、と夫婦合意の上で、レジまで持っていったのでした。

で、さっそく家に帰り、読み始めたのですが、読み進めれば進めるほど、何だ
か暗欝な気分に・・・。

第1章の「仕事」の項では、年齢別の平均年収や貯蓄額、転職リスクといった
話が語られ、続く「家庭」の項では、今後、子供が産まれた場合の養育にかか
る総費用について試算されています。そして「生活」の項では、50代以降収
入は減少するのに、年金と税金の負担額は増加していくのが必然、みたいな話
とか。

私たち夫婦は結構小心者なので、いつ不測の事態が起こっても大丈夫なように
日々節約生活を送っているつもりではあったのです。それでも読んでいくうち
に「このままで、今後の生活は大丈夫なの?!」という、疑念に駆られてしま
いました。

この本の特徴なんですけどね、話の全体がデータ中心で構成されていて、しか
も、それらが淡々と語られていくんですよ。大袈裟な表現を使われるよりも、
よっぽど読み手にとっては、不安を大きく煽られて、ダメージが大きい。

データっていうのは、あくまで客観的な事実であるわけですから、それに対し
ては反論の余地はないわけです。1つの章を読み進めるたびに、心の中で「ひ
ーっ」と、悲鳴をあげてしまいそう。

もちろん、「一億総中流」なんて言葉が死語になりつつある日本においては、
平均値自体をそこまで気にする必要はない、と考える向きもあるんでしょうけ
どね。ただ、無意識のうちに平均と自分とを比べて、一喜一憂するのが、典型
的な日本人のような気がします(私がその典型ですな)。

まぁ、事実は事実として受け止めるしかないわけで。そんな不安定な未来がや
ってくるということを想定した上で、どのように動いていくかを考えるしかな
いんですよね。

この本の最後に書いてあった一節ですが、「不安定だということは、必ずしも
悪い結末が待っているという事ではありません。いいほうに転ぶこともあるわ
けです。そのことを信じましょう。そのために備えましょう。」将来のビジョ
ンを描いたうえで、現在の足元をしっかり固める、と。そうそう、まさに同感
ですね(だけど筆者からのフォローが、最後の最後でくるとは・・・)。

そんなわけでしっかりと勉強させられ、現在の生活について再考するきっかけ
となった1冊だったわけですが、まさかそんな本をヴィレッジヴァンガードで
見つけてしまうとはなぁ(笑)。今後、私にとっては単なる「遊べる本屋」で
はなく、「気づきがもらえる(かもしれない)本屋」に認識が変わりそうです。


庄司 善彦
(財)生涯学習開発財団認定コーチ
IT関連企業に人事職として勤務する傍ら、パーソナルコーチングを実施。
ブログ「人事でコーチなわたしのつぶやき」http://ameblo.jp/coachshowz/

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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21 つながり

 一年の流れに思いを馳せる12月。
 
 先日、長いつきあいになっている友人と久しぶりに長電話をしました。
 そのときにたまたま『パセリともみの木』の話になりました。
 この絵本はいいよねえとしみじみと語り合い、ゆっくり読み返しました。

 ルドウィッヒ・ベーメルマンスの本書は原書刊行から50年以上時を経て邦訳
されたもので、翻訳家のふしみみさをさんが様々なハードルをクリアして刊行
にこぎつけたものです。


 『パセリともみの木』
     ルドウィッヒ・ベーメルマンス作 ふしみみさを訳 あすなろ書房


 深い森の中に生えた一本のもみの木が、長い年月の中で鹿のパセリとであい
ます。がけにたつもみの木はねじまがって育ったために、人間達はこの木は役
に立たないと切らずにほうっておきました。

 大きく育ったもみの木の下にいつしか鹿が住みつきます。もみの木の葉は鹿
に心地よい場を提供し、たがいに助け合って暮らすようになったのです。

 そうやって年をとっても寄り添うように暮らしていたとき、村の猟師が鹿を
見つけ鉄砲を向けました。そのとき……。

 
 ここからの展開はあまったるいものではありません。
 
 木と鹿の友情、つながりを描きながら、一方でつながりをたもつための冷酷
なことがらもさらりと伝えます。あまりに、あっさりと描かれているので、一
度読んだだけでは気づかないかもしれません。

 二度、三度読んでいくと、ベーメルマンスの深いのびやかな絵の中にとけこ
んだそのきびしさに納得します。

 選択をしながらつながっていく生き方を、ユーモアも交えて絵本に仕立てた
ベーメルマンスのこの物語にはもうひとつ別の魅力がそなわっています。それ
はすべてのページに愛らしい草花です。

 可憐な花の名前は一覧になって巻末に紹介され、名前以上の説明もありませ
ん。けれどもみの木と鹿の生活の横に咲いている花も、森の中で暮らす命のひ
とつなのだと不思議な味わいをかもしだしています。

 木、動物、花、森、そして人間。
 
 きびしいことも含め、調和のとれた世界を、ベーメルマンスは瀟洒にそれで
いてどこかおごそかに見せてくれます。


(林さかな)
会津若松在住。主に児童書の新刊紹介をネットで公開したり、出版翻訳データ
ベースのサイト( http://www.trs-data.com/ )にて、翻訳者のインタビュー
記事を書いたりしています。個人ブログ http://r2fish.cocolog-nifty.com/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本が欲しい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡ください。

『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)
 http://www.seikatsushoin.com/bk/083%20america.html

『万華鏡』(フェリシモ出版)
 http://www.felissimo.co.jp/kraso/v14/cfm/products_detail001.cfm?gcd=327842

『利益を生み出す逆転発想』(かんき出版)
 http://www.kankidirect.com/np/isbn/9784761267544

『色で魅せる!人生を華やかに変える勝負カラー』(青月社)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4810912388

『儲かる会社は知っている!
 なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?』(TAC出版)
 http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/03988/

『心に響く遺言書』(学研パブリッシング)
 http://hon.gakken.jp/book/1340482500

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社でも著者でもどちらでも結構ですが、献本を募ります。冊数は
 何冊でもOKです。メールで【読者書評用献本希望】とご連絡いただければ、
 折り返し、送付先をお知らせします。

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、熱意と販促効果優先で選ばせていただきます。

3)発行委員会はいただいたメールの中から、熱意がありそうな方をピックアッ
 プして献本いただいた本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に
 応募数が満たない場合には、100日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンやbk1、楽天などのオ
 ンライン書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。
 つまりは当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願
 いします。

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 さて、昨日は皆既月食。皆さんはご覧になられましたかね? 残念だった方
は、また7年後だかにあるそうなので、それに期待しましょう。

 ところで、関係ないですが、今日は、20日号の蕃茄山人さんのお誕生日だそ
うです。mixiが教えてくれました。

 関係ないですが、おめでとうございます!(aguni原口)

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