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[書評]のメルマガ vol.627


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■■ [書評]のメルマガ                 2017.4.10.発行
■■                              vol.627
■■ mailmagazine of book reviews      [自分の命の責任をもつ 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→甲子園に湧いた雲、溢れた光と吹いた風・漫画篇

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→復刊絵本のきっかけ

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→理性的な災害対応行動をとる

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<88>甲子園に湧いた雲、溢れた光と吹いた風・漫画篇

 まずは、訂正を。
 前回の当欄で、ただ今の我が国の首相の名前を「阿倍晋三」と誤記しており
ました。
 「安倍晋三」が正解。訂正致します。
 訂正はするけど、誰に迷惑かけたわけでもないので、お詫びはしない。

 カゴイケさんが豊中につくろうとした「安倍晋三ユーゲント」は、とりあえ
ず頓挫したみたいだが、わしらが知らんうちに安倍ちゃんは、その「お友達ネ
ットワーク」を通じてあちこちに「ユーゲント」をつくる計画を進行させてい
たことも、徐々に明るみになってきた。

 この安倍ちゃんがよく口にしてた「戦後レジームからの脱却」というのは、
つまり戦前の「軍国主義回帰」だというのも、一連の騒ぎから透けて見えてき
た今日この頃。

 軍国日本は、かつてこの国から「野球」を消滅させた過去を持つ。

 戦後に復活した野球は、なので…というか、進駐軍の占領政策とも相まって、
「自由」と「民主主義」のシンボルとなったのだ。

 我が家近くの女子大では毎年、春と夏には「ようこそ甲子園へ!」と大書し
た横断幕が、校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下に張り渡される。
 この渡り廊下の下の道路が、全国各地から集まってくる応援バスの指定ルー
トに当たっている故だ。

 今年もまた、センバツの季節がやってきて、球場周辺は、プロ野球のときと
はやや質を異にする熱気と喧騒で、約2週間、お祭りめいた空気に包まれる。
 ここ、西宮では…つーても南部臨海地区だけかもしれんが…センバツが、春
を告げる風物詩でもある。

 夏もそうなのだが、春にも、大会期間中に1、2度は、勤めの行き帰りなど、
ついでにかこつけては球場に足を運んで、その「お祭り」に参加したりもする。
 高校野球は外野席が無料で開放されているので、「ほんのついで」というお
手軽さで、観戦できてしまうのである。

 甲子園球場は2007年から3年がかりで大掛かりなリニューアル工事が施され
ていて、あのころとはかなり様子が違っているのだが、球場の中に身を置いて、
アルプススタンドの声援を身近に聞くと、その昔にここへ母校の応援に来たこ
となど、懐かしく思い出したりもする。
 わしの母校は中高一貫校で、1969年と70年のセンバツに出場していて、まだ
チュー坊だったわしも、応援に参加していたのである。

 応援用に学校からバスがチャーターされていたのだが、わざわざ学校まで行
くのは遠回りでめんどくさかったので、わしら…というのは神戸とか阪神在住
者は、電車で直接甲子園へ行った。
 球場に着くと、アルプス席の入り口付近にバス組が集合していて、バラバラ
と到着する電車組にも、その都度先生が入場券を渡してくれた。券面に記され
た入場料は、確か「200円」だったと記憶する。

 今年、2017年のセンバツは、史上初めてという大阪勢同士の決勝となったが、
昔…中学1年生頃まで、わしは、「選抜」というのは、夏と同じく各都道府県
の代表として選抜されるのだと勘違いしていた。(昔は夏も、奈良と和歌山が
合わさった「紀和」とか、京都と滋賀の「京滋」とか、一県一代表では必ずし
もなかったので)
 なので、その当時、毎年兵庫県から2校が出場しているのは、「開催地特典」
だと一人合点で思い込んでいた。

 1969年の大会は、だから当然、我が校は「兵庫県代表」の、その「かたわれ」
なのだと思っていたのだが、わしにとっては初めての「甲子園応援体験」でも
あり、この年には「優勝候補の一角」と目されていたこともあって、よく覚え
ている。

 初戦は、神奈川県の鎌倉高校で、これを「3−2」の僅差で振り切ると、二
回戦では千葉の銚子商業を「14−2」という大差で破ってベスト8に進出した。
 が、準々決勝、東京の堀越学園戦では、2点を先行され、途中から降り始め
た雨の中、泥まみれで1点を返したものの、再三の好機にも反撃叶わず、「1
−2」で敗れた。

 この年の対戦相手は、なぜかすべて関東の高校なのだった。
 準々決勝で負けた相手の堀越学園は、この年決勝まで進出し、相手はどこだ
っけか忘れたが、10点以上の点差がつく大敗で準優勝だったのも、よく覚えて
いる。

 この大会からしばらくして、「少年サンデー」で新連載の野球漫画が始まっ
た。
 タイトルも作者もまるで覚えてないのだが、その「第1話」が、母校対堀越
学園の、甲子園雨中の準々決勝で始まっていて、「お!」と思ったのだ。
 …が、その漫画の中でわが母校のユニホームの胸には、ローマ字で「MITA」
とネームされていて、当初の「お!」は、みるみる萎んだ。
 わが母校は、「三田」と書いて「さんだ」と読む。ユニホームのネームは、
当時も今も「SANDA」だ。

 ここ数年は、春と夏の高校野球のシーズンになると、阪神電車甲子園駅から、
球場へ至る広場、そして球場の外壁まで、「少年マガジン」連載中の『ダイヤ
のエース』のバナーや横断幕、ポスターで埋め尽くされるのが恒例となってき
た。

 さらに、一昨年の夏だったか、応援バスの駐車場近くの路上では、「少年マ
ガジン」のロゴ入りシャツを着た人たちが大きな段ボールとともに待機してお
り、ゾロゾロと長い列を作って球場からバスに向かう応援団の高校生たちに、
『ダイヤのエース』第1〜3話ほどを冊子にしたものを無料で配布していた…
のは、確か当欄にも書いた記憶がある。
 冊子には、web版のURLも記載されていて、続きが気になったら、バスの中か
らスマホでアクセスすれば、その続きが読める仕掛けになっていた。

 若者の「漫画離れ」が著しい昨今、高校生たちになんとか「漫画」に目をむ
けてもらおう、という作戦だと思うが、講談社は、毎年春夏のこの期間中に、
いったいどのくらいの広告料を甲子園周辺につぎ込んでいるのか……
 今年は、『ダイヤのエース』に加えて、同じく「少年マガジン」連載の『8
月アウトロー』のバナーも参戦していて、二本立てでアピールしている。

 『ダイヤのエース』『8月アウトロー』もそうだけど、「甲子園」は、漫画
の世界でもまた、過去から現在にわたって、数々のエピソードを生んできた。

 星飛雄馬クンは、花形満率いる、神奈川県代表・紅洋高校との決勝が雨で順
延となったのを幸い、誰にも告げず宿舎の旅館を抜け出しては、準決勝で左門
豊作と対戦した際に傷めた、利き手の左手指を治療してくれる医者を探して、
甲子園の街をあてどなく彷徨した。
 決勝を前に意気盛んなチームメイトたちであれば、なおさら負傷したことを
誰にも告げられず、密かに治療してくれる医者もまた見つからず、いたずらに
焦燥を募らせてゆく、番傘に下駄履きの星飛雄馬、十六歳の夏なのだった。

 山田太郎クンは、初戦を突破して次の対戦を待つ某日、やはり甲子園球場近
くの旅館を一人抜け出し、阪神電車で梅田に向かった。
 遊びに行ったワケではなく、電車に乗るのもまた、山田クン流のトレーニン
グの一環なのだった。
 梅田行き特急電車に乗り込んだ彼は、昼間の空いた車内なのに座ろうともせ
ず立ったまま、「なるお」「むこがわ」「あまがさきせんたーぷーるまえ」…
と、高速で通過するホームの駅名票を、次々と読んでいく。
 驚く乗客に、「動体視力を鍛えてるんです」と説明する彼は、続いてやおら、
座席と座席の間に捕手の姿勢でしゃがみ込んでは、揺れる車内で「バランス感
覚を養う」トレーニングに励み、「いやはや、さすがに、大したもんやないか
い」と居合わせた見知らぬおじさんたちから感心されるのだ。

 でもしかし、「山田式動体視力トレーニング」ですが、これ、ふと思い出し
た時に新幹線で試してみたけど、結構、読めます。フツーの視力で。

 山田クンや星クンの時代には、甲子園周辺と阪神間の旅館が、「球児の宿」
の定番だったようだが、近頃は、阪神間や神戸、大阪のビジネスホテル、とい
うのが一般的なようだ。
 かつてはたくさんあったらしい旅館も、球場周辺では今や2軒だけになって
しまったが、残った2軒はそれぞれ、鹿児島県と東京都の代表チーム定宿とし
て健在だそうだ。

 その昔の我が校もそうだったのだが、兵庫県や大阪の、甲子園からほど近い
代表校までもが、なんでわざわざ旅館やホテルに宿泊するのか、「無駄じゃな
いか」と不思議だったのだが、あれは、大会規定なのだと知ったのは、つい最
近。
 近隣、遠隔の不公平をなくし、すべてのチームを同じ条件とするために、ど
のチームにも宿泊が義務付けられているんだそうで、宿舎は各都道府県の高野
連が契約し、費用も負担してくれるらしい。
 だから、甲子園球場から直線距離で約6キロの報徳学園も、わざわざ球場か
ら20キロ以上離れた、神戸・ポートアイランドのホテルに宿泊していたのだっ
た。

 という風に、宿舎の場所まで特定できるのは、毎大会ごと、各チームの「宿
泊先一覧」が、宿舎名・住所・電話番号併記してデカデカと球場の一角に掲示
されているからなのだけど、あれは、OBなんかが差し入れしたりするためな
んでしょうか?

 大会規定といえば、球場で高校野球を見ていると、夏も春も同様に、昔は必
ずあった応援団による試合後の「エール交換」というのを、見かけなくなった
な、と思っていたら、これもまた、「スムーズな進行を妨げる」との理由でた
だ今は禁止されてるんだそうだ。
 あれは、復活させた方が「学生野球」らしくて、いいと思うんだがな…

 さそうあきら『シーソーゲーム』は、多分まだ「エール交換」のあった、19
89年から90年にかけて講談社「ヤングマガジン」に連載された。
 こちらは、作者・さそうの出身地、宝塚近辺とおぼしき阪神地方の県立校野
球部が舞台。

 東京生まれながら、中学生の頃に越してきた関西にすっかりなじんでいる主
人公は、そこそこの才能を持ちながら、サボリ癖と根性なしのヘタレで、その
才能をいたずらに腐らせているピッチャー。
 そんな彼のもとに、かつて東京のリトルリーグでチームメイトだった女の子
が転校してくる。
 なかなかの美人に成長した今も、かつてと同じく野球に情熱燃やす彼女に尻
を叩かれる形で、主人公以下ヘタレな野球部員たちが発奮し、その後紆余曲折
はありながらも、やがて……というのが、おおまかなストーリー。

 野球をメインのモチーフとしながら、サブプロットでちょっと甘酸っぱい青
春ストーリーも展開する。
 そのキャラクター設定と配置は、その後の『タッチ』に似てなくもないが、
関西風の「ボケ&ツッコミ」が頻発するところと、ヒロインの「一子」が「み
なみ」ちゃんよりもっと、野球に対して能動的積極的にかかわってくるのが、
ちょっと違っていて、わしは、断然こっちの方が好き。

 この『シーソーゲーム』には、とても「兵庫県」らしい描写がある。
 一子が野球部のマネージャーとなり、ダレダレヘタレの部員たちも俄かに発
奮したその後の「第4話」、いきなり「ばーん!」と見開きで甲子園球場の全
景があり、「オレは今」「甲子園におるんや!」と、主人公・松方銀次が、そ
のグランドに立っているのである。

 と、それは、実は夏の選手権大会兵庫県予選の「開会式」に参加しているだ
け、とすぐに明かされるのだが、これは、今はない光景。
 兵庫県以外の人には、ちょっとした「トリビア」らしいのだが、1992年まで、
兵庫県大会の開会式は甲子園球場で行われていて、予選もまた、プロ野球の日
程の合間を縫って、1回戦から10試合前後が、甲子園球場で行われていたのだ。
決勝もまた、もちろん甲子園だった。

 その後、県内に本格的な球場が相次いで建設された(「バブル」の時期には
ことに)こともあって、予選で甲子園が使用されることはなくなり、開会式も
明石球場に移ったのだが、だから、ある時期まで、兵庫県の高校野球部員でさ
えあれば、あのグランドには立てたんである。

 実際、1969年のわが母校チームの主砲…後にプロ野球某チームの監督も務め
ることになるスラッガーだったのだが…彼などは、後年のインタビューで、
 「甲子園ちゅーても、開会式やら予選やらで、1年の時から何回も行ってた
んで、選抜でも、特に感激とかは、なかったですわ」
 と、高校野球に関しての質問に答えていた。

 「漫画アクション」で連載中で、つい最近単行本の1巻が出たばかりの『ナ
ックルダウン』(磯見仁月)は、甲子園球場のある「甲子園」の街自体が主役、
とも言える漫画。
 なんでも、西宮市の甲子園近辺が出身で、現在は東京在住らしい作者が、
「甲子園生まれ」と自己紹介すると、東京ではたいてい、「あ、大阪なんです
ね」と返されたのが、この漫画を描こうとしたきっかけらしい。

 生まれたときからタイガースと高校野球がごくごく身近にあり、「野球」に
囲まれて育ちながらも、「近くて遠い甲子園」というのが、そのメインテーマ。
 しかしこの漫画、かなり「萌え」寄りな絵柄と、「甲子園」のみならず西宮
全体が「野球」を中心に回っているような、極端なカリカチュアライズが、や
や気に入らないのだけど、「甲子園を目指す」のではなく、「甲子園と、そこ
にある野球」というその着眼は、とても面白いと思う。

 確かに、日曜日に武庫川沿いなど歩くと、その河川敷グランドのあちこちで、
揃いのタテジマに身を包んだ「ちっこいタイガース」たちが、一心不乱にボー
ルを追っている。
 この近辺の少年野球チームの「タテジマ率」は、異常に高いのだ。

 ところで、「六甲おろしに颯爽と」で始まる「阪神タイガースの歌」は、あ
まりに有名なのだが、甲子園球場があるのは摂河泉平野の一角で、六甲山は見
えこそすれ、「六甲おろし」の風は、甲子園には吹いてこない…のを、皆さん
ご存知でしょうか?
 むしろ南から吹いてくる「浜風」(よく野球の実況で聞かされる、あれです)
こそが、「甲子園の風」なんだけどね。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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71 復刊絵本のきっかけ

『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』
         ヘルメ・ハイネ作 ふしみみさを 訳 朔北社

 ご紹介する本は2006年に刊行されたドイツの邦訳絵本です。
 今から10年ちょっと前ですね。

 刊行された朔北社さんは今年で出版をはじめて25周年を迎えます。

 25年を祝して173冊の玉手箱と題された「朔北社展」が4/12より赤羽の青猫
書房さんで開催されることを知り、久しぶりに再読した絵本です。

 2001年、ふしみさんが訳された『モモ、しゃしんをとる』で一目惚れななら
ぬ一読惚れした私は熱烈感想メールを送り、モモの次作『モモ、いったいどう
したの?』でますます訳文が好きになり、すっかりふしみさんファンになった
のでした。

 メールでやりとりし、直接会ってお話しもするようになり、これから訳した
い本を見せてもらったり、読んでもらったりもしました。訳もさることながら
絵本の魅力をいろんな角度から教えてもらえるので、ますます「この絵本はふ
しみ訳でどこかに出してもらわねば」と思ったものです。

 ですから次はどこの出版社だったら出してもらえるかを考えました。
 2人で一緒に朔北社さんにプレゼンに行き、絵本を何冊もみてもらい、その
時検討してもらった本は後に数冊朔北社さんから刊行される運びになりました。

 その内の一冊が『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』です。

 当時、ふしみさんは勤めていた洋書絵本の卸会社を辞めたばかりで、この絵
本は勤めていた時に見つけました。古くなってまっ黄色に焼けていたペーパー
バックの絵本を読んだら、あまりに美しくて、すぐに自分で訳し始め――実は
既に邦訳も出ていたのですが(『王さまはとびはねるのがすき』祐学社)――、
最初はそのことに気づかず、訳している途中で祐学社版を知ったそうです。

 とはいえ、朔北社さんにもちこんだ時はすでに絶版でした。

 ヘルメ・ハイネはカラフルでかわいらしい感じの絵本も日本では出ています
が、この『ボヨンボヨンだいおう〜』は風刺がきいた物語にコラージュで描き
じっくりと楽しく読める絵本です。

 試訳されたものを読み、いつかこの訳で読みたい!と願って数年。朔北社さ
んが復刊してくださることが決まったときはとっても嬉しかったです。

 ふしみさんは朔北社さんから出ている『どうぶつにふくをきせてはいけませ
ん』のようにユーモアある訳に定評がある一方、ヘルメ・ハイネの本書のよう
に古典でじっくり読ませる絵本の訳もうまいのです。

 ボヨンボヨンだいおうは、素晴らしいお城に住み、自国の民を幸せに暮らせ
るよう日々采配をふるっていました。毎日、民のことばかり考え、働いてばか
りの生活だったので、知らずのうちに心にも疲れがたまってきました。
 そこでストレス解消にあることをするようになったのですが、それが波紋を
よんでしまい……。

 お城や山や夜の闇、ろうそくの灯り、落ち着いたそれでいてカラフルでもあ
るコラージュはどれも美しく配色の妙にも唸らされます。

 心地よいラストのカタルシスは最高!

 久しぶりの再読ですっかりふしみみさをワールドを堪能しました。
 
 フランス絵本を訳すことが多く現在はフランスにお住まいのふしみさんは、
作者と実際の交流もされているのでおもしろい話をいっぱいもっています。

 一時帰国しているいま、朔北社さんの25周年イベントで野坂悦子さんとの
対談があります! 野坂さんもたくさんの魅力ある児童書を訳されているスペ
シャルな方。きっとおもしろい対談になるでしょう。

 私は残念ながらその日は子どもの学校で用事があり駆けつけられない!
 行かれた方ぜひどんな感じだったか教えてください!

【特別対談】
野坂悦子さん(オランダ語・英語・フランス語翻訳)
  ×  
ふしみみさをさん(フランス語、英語翻訳)

―二人の翻訳者、おおいに語る!―
聞かせて!翻訳のこと、絵本のこと、いろんな国と作家のこと

日時:2017年4月22日(土)14:00〜15:30 

※参加無料、要予約:20名様まで 
※朔北社、青猫書房、どちらでも受付ております。

朔北社 TEL042-506-5350
http://www.sakuhokusha.co.jp/

青猫書房 TEL03-3901-4080 営業時間11時〜19時。
http://aoneko-shobou.jp/

 
(林さかな)
会津若松在住。
編集協力した新訳「オズの魔法使い」(復刊ドットコム)シリーズ
★おかげさまで少しずつ重版されています
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第88回 理性的な災害対応行動をとる

 今月も防災本を紹介したい。

 群馬大学の片田教授は災害社会工学が専門であるが、自然災害大国である日
本においては、避難の専門家ということになっている。

 片田先生の書籍は2015年の12月に一冊紹介している。

 『子どもたちに「生き抜く力を」 釜石の事例に学ぶ津波防災教室』という
本で、東日本大震災時に岩手県釜石市の小中学生が自主的に避難して助かった
ことについて書かれた本だった。その防災指導をしたのが片田先生である。
 今回紹介する本は、この“釜石の奇跡”のこと、東日本大震災の体験だけで
はなく、広く災害一般についての災害対応行動をわかりやすく解説した新書で
ある。

『人が死なない防災』(片田敏孝 著)(集英社)(集英社新書)
(2012年3月初版)(2016年4月第5刷)

 本書をひとことで表せば、この小文の標題どおり。“理性的な災害対応行動
をとろう”ということに尽きる。災害は忘れたころにやってきて、しかもそれ
ぞれ、自分は生き残ることを前提に考える。しかもその生存の確信は何かに裏
打ちされたものではなく、限りなく楽観的期待、希望的観測に基づいている。

 日本に住んでいる以上、どこでもどんな場所でも、被災者になりうる可能性
がある。洪水・津波・土石流・噴火・豪雪・高潮・火災……。

 まずは、その自分だけは助かるに決まっている、という楽観論を捨てなけれ
ばいけない。そして自らを律して(怠けずに)、災害対応行動をとることが生
存への大前提となる。すぐには全国民がそうなる、とはいかない。“もういつ
死んでもいいから逃げないよ”とか“絶対にここは安全だからこのままここに
いるよ”ということを云う人は必ずいる。だから片田先生は子どもから防災教
育を徹底していこう、という考え方なのだ。

 本書の読者層も、高校生くらいを対象にしていると云ってもいい。実際に第
3章は震災の前年に釜石高校での講演会を書き下ろしたもの。釜石高校での講
演会の9ヶ月後に地震が起こり、津波がやってきた。

 片田先生は云う。この東日本大震災は、想定が甘かったのではなく、想定に
とらわれすぎたのだ、と。防災が進むこと(高い防潮堤や堤防の構築など)は、
自然との距離感が広がることであり、人間の脆弱性が増すことに他ならない。
具体的な例として、海がまったく見えないほど巨大な防潮堤を築いたことが、
人を災害から遠ざけてしまうひとつの要因になってしまった。ということだ。

 「想定にとらわれすぎた」ということは、どういうことだろう?

 それは行政が作成したハザードマップがいい例である。ハザードマップの危
険地域の外側に家がある人は、逃げようと思わない。そしてこの東日本大震災
では、大津波が軽々とハザードマップの危険区域を乗り越え、安全区域にまで
浸入してきたので、安全だとされた地域の多くの住民が津波に呑まれた。つま
り「津波はここまで来ない」という想定を信じて動かなかったわけだ。

 防災に関して云えば、私たちはいつの間にか行政が決めたこと、行政がやっ
ていることに盲目的に従うだけになってしまっている。100年前はそうでは
なかった。防波堤も堤防も砂防ダムもなかったから、自分たちで自分たちを守
っていた。……そういう生存本能を麻痺させるように自然を遠ざけるしくみを
私たちは行政を通じて拵えてしまった。その結果、主体性が奪われた。自分の
命を守ることに主体的でなくなったのだ。誰かが助けてくれる、のではない。

 自分の命は自分が主体的に守らなくてはいけないのだ。自分の命を主体的に
守ろうというその姿勢こそ、最も大切なことだと説いている。

 片田先生のこのことばは強烈だった。

 「災害対策基本法のもと、50年に渡って「行政が行う防災」が進められてき
た結果、このような日本の防災文化が定着してしまっている。防災に関して過
剰な行政依存、情報依存の状態にある。自分の命の安全を全部行政に委ねる。
いわば、住民は「防災過保護」という状態にあるのです。これがわが国の防災
における最大の問題なのです。」

 「津波てんでんこ」ということばがある。津波のときはてんでんばらばらに
逃げなさい、ってことだが、実際にそんなことできない。お母さんは子どもの
ことが心配でたまらないし、子どもは老いた親が気になって仕方ない。でもめ
いめいが「自分の命の責任をもつ」のであれば、そしてそれを家族が信じあう
ことができるのであれば、この「津波てんでんこ」は生きていることばになる。

多呂さ(桜が長いこと咲いている春です。何度も花見ができますよ)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『セブン・ハーフ・アンド・ワン』(文芸社)
 http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-17241-5.jsp

・『トシ、1日1分でいいからフクシマ英語に触れてみて。それだけできっと世
  界は変わる。』(SCICUS)
 https://www.facebook.com/scicus.jp/posts/1054815034566643

・『あれか、これか
  「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』(ダイヤモンド社)
 http://www.diamond.co.jp/book/9784478066041.html

・『最高のリーダーは何もしない』(ダイヤモンド社)
  http://www.diamond.co.jp/book/9784478068137.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 遅い時間の配信になってしまいました。深夜に届いちゃったらごめんなさい。
って、まぐまぐさん、実際のところ、配信完了までどれくらい時間がかかって
いるんでしょうね。(あ)

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