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[書評]のメルマガ vol.629

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■■ [書評]のメルマガ                 2017.5.10.発行
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■■ mailmagazine of book reviews     [うれしいことばっかしや 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→『青春の門』と『さらば星座』そして『つづり方兄妹』

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→想像もつかないこと、ありえないことから生還する方法

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→詩を日常に

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<89>『青春の門』と『さらば星座』そして『つづり方兄妹』

 五木寛之『青春の門』がこの春から「週刊現代」誌上にて、『新 青春の門』
として、23年ぶりだかで連載が再開されているそうだ。
 「そうだ」というのは、その連載をまだ一度も読んでいないからなのだが、
これ、今さら改めて連載を再開する必要が「あるのか?」というのが、このニ
ュースを聞いたときに感じた、素直な感想。

 というのも、数年前にふと、この長編小説を、わずかに「第一部・筑豊編」
と「第二部・自立編」しか読んでいなかったことを思い出し、改めて既刊すべ
てを文庫でそろえて読んでみたのだ……が、巻数を重ねるにつれ、物語はなに
やらご都合主義の行き当たりばったりの様相を強くしてゆく。
 あげく、日本を飛び出し、ひとり世界を放浪する「信介しゃん」が、ヨーロ
ッパあちこち行く先々で女とやりまくる……だけ、という、なにやら『高校生
無頼控』(小池一夫・原作/芳谷圭児・画にて、かつての「漫画アクション」
で人気を博し、映画化もされたスケコマシ漫画です)を思わせる展開に終始し
ていて、やや辟易した覚えがあるのだ。

 果たして、その続編はいかがに? と思うと、なかなか読む気になれないの
であった。

 「週刊現代」誌上で『青春の門』が連載されていたのとほぼ同時期に「週刊
ポスト」に連載されていた小説が、黒岩重吾『さらば星座』だ。
 「だ」と決めつけているけど、実を言えば黒岩重吾のそれは、天王寺の「ブ
ックオフ」にて文庫版全13巻が 100円コーナーに出ているのを見るまで、存在
も知らなかったのだけどね。
 黒岩重吾は、「西成モノ」はじめ、大阪の底辺を描いた作品が好きだったの
で、その流れの作品かな? と買って帰って解説など読むと、これが『青春の
門』と同時期に「ポスト」に連載されていた、とわかって、なにやら不思議な
偶然を感じたのだった。

 多分、「現代」誌上の『青春の門』が話題となったころ、これに対抗する連
載として、ライバル誌の「ポスト」で始まったのがこの『さらば星座』だった
んじゃないかと思う。
 時代背景もまるで同じだし、昭和戦前生まれの少年が戦後の混乱期から昭和
30年代にかけて、波乱万丈の青春を過ごしつつ成長していく大河小説、と言う
道具立ても同じだ。

 そして、筑豊生まれの「信介」も、大阪生まれの「正明」も、ともに両親を
亡くした孤児である、という点も同じ。

 が、「信介」が、両親をともに亡くしながらも、実父の後妻に実の子のよう
に育てられ、さらにその後養父となるヤクザの親分・塙竜五郎はじめ、とても
恵まれた人間関係の中で青春期を過ごすのに対して、大阪生まれの戦災孤児・
正明の運命は苛烈だ。

 住吉の家を両親もろとも空襲で失った正明は、誰も頼る者のない焼け跡で、
路上生活を重ねながら、生きるために盗み、時に手ひどい仕打ちを受けながら
も、路上や闇市で知り合った同じ戦災孤児の仲間たちのリーダーとして、裏の
社会で次第に頭角を現してゆく。

 大阪や神戸の焼け跡や闇市をはじめ、荒廃した大都会の表とその裏、そして
そこに蠢く男たち、女たちの様子が、さすが『西成山王ホテル』の黒岩重吾、
眼前にありありとその光景が浮かぶほどに活写されている。

 物語は、終戦直後からほぼ十と数年間にわたって、正明の成長とその周辺の
激動が描かれるのだが、全13巻、息をもつかせずぐいぐいと一気に読ませる力
技。
 この「物語力」というのは、とても凄まじい。

 この『さらば星座』、読んでるうちにいつの間にか、頭の中で各キャラクタ
ーをあの独特な絵柄で勝手に造形し、物語を「佐藤まさあき」の劇画世界に変
換しつつ見ておりました。
 黒岩重吾の描く大阪裏社会は、陰影の濃い画面の中で人物の顔が微妙に歪ん
でいる、佐藤まさあきの劇画タッチが実によく似合う。

 これ、文庫も現在は絶版のようだが、ぜひとも復刻してほしい。
 さらに、わしが脳内で劇画化してた佐藤まさあきはもう故人なので、その弟
子の松森正の絵で、漫画化…いや、あえて「劇画化」もしてほしいと思う。
 この大河物語は、やはり漫画ではなく「劇画」でこそ、読みたいと思うのだ。

 南シナ海や日本海方面がなにやらキナ臭い昨今だからこそ、今やすっかり忘
れられている「戦災孤児」という存在を、もう一度思い出してみるのも、悪く
ないと思うのだ。

 野坂昭如の一連の「戦災孤児もの」もまた同じ理由で、(『火垂るの墓』ば
かりではなく)もっと広く読み継がれていいんじゃないかと思う。
 わしだって直接に体験したわけではないけれど、「あの時代」があって、今
があることを、決して忘れてはならんとも、思う。

 その意味で、同じく忘れて欲しくない一冊が、『つづり方兄妹』だ。
 わしがこれを読んだのは、小学校の5年生か6年生の時…だから、1966年か
67年。
 母親の実家の本棚で見つけたそれは、当時高校生だった叔父が小学生の頃、
祖父が買い与えたものだったそうだが「ちっとも読まんと放りっぱなしや。い
るんやったら持って帰れ」と言われてもらってきた本だった。

 野上丹治、洋子、房雄という兄弟3人は、戦後の数年間で、それぞれにいく
つもの作文コンクールに入賞した経歴を持ち、彼らの作文を集めたその本は、
理論社から1958年に発売されるやたちまちベストセラーとなり、映画化もされ
た…というのは、読んだ当時は知らなかったのだが、当時の自分と同じ年代の
子供たちが書いた作文には、ただ「うまい」だけではない、なにか底の方から
訴えかけるものを感じさせられたのだった。

 上二人、丹治、洋子兄妹の文章から、彼らの弟である房雄が、わずか8歳で
亡くなっている、という事実を知り、その当の房雄の作文が、極貧の中にあり
ながら、毎日の生活や学校での出来事を活き活きと、天真爛漫に明るく綴って
いて、思わず涙もした。

 房雄の文中では、「理科のテストをかやして(返して)もらいました」、「家
へかいる(帰る)と」、「ちょっとも、しりません」とか、あるいは「ひちや
(質屋)さん」等々、大阪弁そのままの表記がそのまんまで使われていて、こ
れは少し羨ましかった。

 わしが、その少し前に宿題で提出した作文では、「人がようけおった」「べ
っちょないさかい」と書いたところが、いずれも朱筆で「たくさんいた」「だ
いじょうぶだから」と訂正されていたのだった。

 兄弟の中で唯一、父親が総督府の仕事をしていた台湾で生まれ、温暖な土地
で、現地人の女中も雇う豊かな生活を経験している長男・丹治による、その台
湾生活の思い出の記もまた、帰国後の窮乏生活とあまりに対称的で、強く記憶
に残った。
 現地で戦犯として逮捕された父親を残して母子で帰国し、父親の実家近くの
バラックに落ち着いたものの、帰国後に出産した長女と丹治二人の子供を抱え、
さらに口唇口蓋裂の障害を持って生まれた長女の治療費を稼ぐため、無理に無
理を重ねてついには病に倒れる。

 その後、ようやく帰国のかなった父親が、鋳掛屋やブリキ職人として一家の
生活を支えるが、戦前の生活を思うと、父親なりの鬱屈もあったのだろう。時
として気まぐれに仕事を放り出しては、酒におぼれること度々。
 貧乏人の子沢山を地で行くごとく、丹治、洋子、房雄の下にさらに3人、合
計6人の子供を抱え、生活はますます窮乏してゆく。

 そんな生活の中で生み出された3人の綴り方の中でも、「モスクワ国際児童
つづり方コンクール」で一等賞を受賞しながら、その知らせを受ける前に8歳
で病に斃れた房雄の作文が、貧しい生活の中での喜びや悲しみを実に素直に、
何の衒いもなくありのままに綴っていて、とても胸を打つ。
 たとえば、こんな風だ。

 お正月には
 むこうのおみせのまえに
 キャラメルのからばこ
 ひろいに行く
 香里のまちへ
 えいがのかんばん見に行く
 うらの山へうさぎの
 わなかけに行く
 たこもないけど たこはいらん
 こまもないけど こまはいらん
 ようかんもないけど ようかんはいらん
 大きなうさぎが、かかるし
 キャラメルのくじびきがあたるし
 くらま天ぐの絵がかけるようになるし
 てんらんかいに、一とうとれるし
 ぼく
 うれしいことばっかしや
 ほんまに
 よい正月がきよる
 ぼくは、らいねんがすきや
   (野上房雄『お正月』小学校2年生時)

 この、「ぼくは、らいねんがすきや」という一節が、その「らいねん」は、
とうとう来なかったのに、と思えば余計に切なく、胸に迫る。同時に、今の
子どもたちにも、皆に「らいねん」が好きでいてほしい、と思う。

 この『つづり方兄妹』に関しては、何年か前の朝日新聞紙上で、著者の一
人である野上洋子さんの近況が報じられていた。
 それによると、現在…というかその当時は、すでに結婚もされ、夫ととも
に縫製工場を経営されているとの由で、長男の丹治さんは、海外で暮らされ
ているとのことだった。

 その記事を読んで俄かに昔読んだこの本を思い出し、もう一度読み返した
くて、実家を探してみたのだが見当たらず、古本屋さんにもなくてあきらめ
たきり、忘れていた。
 今回、『青春の門』『さらば星座』から、どんなふうに連想がつながった
のか、ふとまたこの本を思い出し、ひょっとしたら、と図書館に問い合わせ
ると果たして蔵書していて、香櫨園の市立中央図書館まで出向いて借り出し
てきた。

 再読してあらためて、一家が住んでいたのが、戦前の陸軍の火薬製造保管
施設のあった場所で、現在は香里団地となっている場所であるとわかった。
 房雄たちの通っていた香里小学校は、団地ができて移転するまで、その陸
軍の施設内にあった兵舎を流用した校舎で、モスクワのコンクールで一等に
なった房雄の作文は、その小学校が、朝鮮戦争の特需から火薬工場再開の話
が持ち上がり、立ち退きの危機に瀕したことを、綴ったものだ。
 火薬工場の計画は、住民の大反対によって中止となるが、その後、今度は
同じ場所に、大規模住宅団地の計画がもたらされ、「ほんとうにこまったこ
とになりました。このごろ『おじぞうさん、どうかぼくたちの学校がひっこ
ししないように、おたすけください』といって、いのっています。」と結ば
れている。

 『つづり方兄妹』もまた、現在は絶版となっているみたいだが、権利関係
かなにか、復刻できないわけでもあるのだろうか?
 出来るならば、図書館の閉架に蔵書されるばかりではなく、これもまたぜ
ひとも復刻し、読み継がれて欲しい本だ。
 さらに欲を言うならば、漫画化もしてほしい。
 はるき悦巳なんか、絵柄的にぴったりだとも思うのだが、どうだろうか?

 ところで、香里団地最寄りは、京阪電車「香里園」駅なのだが、ここに限
らず、京阪電車沿線には、余所では見られない不思議な光景が、その駅前近
辺に展開する。
 京阪電車の駅近辺にはなんでか、私設の駐輪場…たいていは個人経営らし
い「自転車預かり所」が、どの駅にも無数にあるのだ。

 それは、たとえばしもた屋の入り口土間を解放したものだったり、元はな
にかの店だったのを仕切りや什器を取っ払い、がらんどうにしたものや、あ
るいはそれ用にわざわざ建てられた倉庫様の建物だったり…形態は様々なの
だが、いずれも入り口に小さなブースがあって、管理のおじさんやおばさん
が常駐し、1日およそ「200円」〜「300円」。月単位なら割引もあるみたい
だ。

 香里園のひと駅隣の「寝屋川市」駅など、駅前商店街のアーケード内まで
にも、数軒の「自転車預かり所」が進出していて、どことも結構な繁盛なの
である。

 我が最寄駅にも駐輪場はあるが、それは市営のもので、京阪沿線のように、
民間の駐輪場が駅周辺にやたらとある光景を、他の場所で見かけたことは、
とんとない。

 『つづり方兄妹』たちの小学校が移転した後に造成された香里団地は、我
が国最初の大規模住宅団地だったらしいが、あの施設駐輪場は、香里団地を
皮切りに、いずれも駅からやや離れた場所に団地が次々と建設された、京阪
電車沿線独自の「文化」なのかしら?

 わしが以前住んでいた神戸市北区の街も、やはり1960年代に開発された住
宅団地だったが、この最寄駅にはかつて、駅舎内に「下駄箱」が設置されて
いた…というのを、古い住人から聞いたことがある。
 団地は駅周辺に造成されていて、通勤の人々は、駅まで歩いて行くのだが、
その道がいずれも未舗装で、雨が降るとぐしゃぐしゃドロドロとなるその道
を、長靴や下駄で駅に行き、そこで「通勤用」の靴に履き替えて、帰りはま
た駅で長靴に履き替えて帰宅する…ための下駄箱だったそうだ。


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第89回 想像もつかないこと、ありえないことから生還する方法

 今月はサバイバルの本。生存していくための手引書を紹介する。

 大地震、大津波、大噴火。それから大事故やテロリズム。その場に居合わせ
た人々は、否応なく巻き込まれ、死んでしまうか、はたまた幸運にも生き残れ
るか。死と生存の差はなんなのか。死者と生存者との境界線はどこに引かれて
いるのか。・・・・・・そういうことを考察しながら、死なないための方法が
書かれた本。
 書いたのはアメリカ人の女性ジャーナリストで出版された年は2008年。

『生き残る判断 生き残れない行動−大災害・テロの生存者たちの証言で判明』
(THE UNTHINKABLE Who survives when disaster strikes-and why)
(アマンダ・リプリー 著)(Amanda Ripley)(岡真知子 訳)
(光文社)
(2009年12月初版 2011年7月6刷)(2008年)

 原題が示している“想像もつかない−大災厄に襲われたとき、誰が生き残っ
たか そしてなぜなのか”という表現がそのまま日本語版の副題に適している。

 9.11、ハリケーン カトリーヌ、ドミニカに置ける米大使館占拠事件・・
・ets.
 著者は、さまざまな災厄のその現場にいた人たちにインタビューして、危機
管理や心理学の専門家に話を聞いて、本書をまとめている。
 本書は、防災の本ではない。災厄の最中に何が起きているのかを観察して、
そこから生存への行程を導き出そうとする、とても意欲に富んだ書物である。

 死の危険がそこに迫ったとき、人はどうするのか?
 著者は、そのとき人は3つの段階を踏みながら、生き抜いていく。3つの段
階を経て生還する。という。その3つの段階とは「否認」、「思考」、「決定
的瞬間」・・・と表現された現象であり、この3つの段階を経ないと生存はで
きないのではないか、と考えている。

 人は何か大きな災厄に見舞われたとき、まず「否認」するという。自分は今
とんでもない災厄の中にいる、ということ自体を否定してしまうのだ。この
「否認」の状態のままで次の段階に進めなかった人は限りなく生存の可能性は
低い。生存者は大なり小なり「否認」の段階から次の「思考」の段階へ進んで
いる。そのきっかけは、隣の人の放った発言だったり、外の風景が目に飛び込
んだりすることだったりする。そして、それによって次の「思考」段階へと移
行していく。

 異常事態の中で、脳の働きはどうなっているのだろうか。生存者の証言とさ
まざまな実験によって、いろいろ解明されてきた。人はそのとき、生存のため
に何を選択するのだろうか。その場から逃れるのか、それともそこに留まるの
か。一般的に云えば、生存のためには逃げる=避難、と考えるのであろうが、
逃げたために(動いたために)格好の標的になり、殺されてしまうこともある。
日本ではそういう事例はめったにないが、米国ではしばしば銃の乱射事件が起
こる。犯人は逃げようとしてあたふたと移動している人から殺している。そし
て“死んだふり”をして微動だにしない人が助かったのだ。死んだふりをした
人は、動いて殺さている人の様子を見て、「否認」状況から「思考」段階へと
移行して、そして助かった。
 「思考」は「回復力」と云い替えてもよいかもしれない。「否認」の段階か
ら「思考」に移行した人は、つまり脳を含めた身体が生存への欲求を取り戻し、
正常に活動し始めたと考えるとわかりやすいと思う。

 さて、危機的状況のときに、何もしない状況(否認)を抜け出してどう行動
すれば助かるか、と考えること(思考)まで達した人は、次にそれを行動に移
すばかりとなる。行動を起こすときこそが、第3段階の「決定的な瞬間」なの
だ。

 助かった人は、なぜ他の人たちよりもはるかに適切な行動を取れたのだろう
か。それをさまざまな事例を紹介して解き明かしていく。本書の核心部分とい
っていい。
 そして、それらの事例から導き出された本書に書かれている生還するために
最も大切なこと。結論を書いてしまおう。とても大切なことだから。

 あらかじめ何度も繰り返して練習すること

 これに尽きる。

 当たり前に云われていることなので、肩すかしを喰らってしまった。“適切
な事前の計画と準備は、最悪の行動を防ぐ”。・・・・・ということだが、こ
のあたり前のことができていないし、やらせる側もやる側も力を出してやって
いなし。ラジオ体操は精一杯行えば、終わったときに汗をかく。でも手と足を
適当に動かしているだけ(やったふり)では、なんにもならない。・・・・・
ちょうどそれと同じだ。

 私たちの立場で云えば、災害の避難訓練を繰り返し行いなさい、ということ
である。火災に対する避難訓練。地震に対する避難訓練。津波に対する避難訓
練。・・・・・これらの避難訓練はすべてその逃げる場所や逃げ方が違う。火
災の場合、初期消火に失敗したらとにかく逃げなくてはいけない。どこに逃げ
るかは延焼類焼状況によって異なる。そのときその場の判断である。地震の場
合は、どうすればいいか?その建物が倒壊の危険があればどこに逃げるのか。
倒壊の危険がなければ、その場に留まるのか。そして火災の危険も発生する。
災害は1つではない。津波の場合は、とにかく高いところへ。

 どれも何度も繰り返すことが大切。考えなくても身体が勝手に動く、という、
あれだ。

 自分の住んでいる場所を知り、何に対する備えをすればいいかをよく考えて
みよう。そこには活断層はあるのか。そこは地盤が緩いのか。そこは盛土では
なのか。そこは木造密集地か。そこは0メートル地帯か。・・・・・それぞれ
調査して観察して最善の備えをし、そして繰り返し助かるための練習をする。

 本書を通じて、さまざまな災厄から生還した人たちのたくさんの事例をみて
きた。そして本書の結論である「あらかじめ何度も繰り返して練習すること」
を激しく共鳴した。

 とてもいい本を読むことができた。ある意味において幸せだった。


多呂さ(今年は端午の節句が立夏でした。そして暦通り、初夏です)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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72 詩を日常に

『こうえん』
『どれがいちばんすき?』

 ジェイムズ・スティーブンソン 作/千葉 茂樹 編訳/岩波書店

 数年ぶりにがっつり風邪をひき原稿を書くのがとても遅れてしまいました。
 風邪症状があると本を読んでいても
 いつも頭に雲がかかったようになり、
 考えることそのものがめんどうになり
 まあ、いいやと
 すぐ投げやり思考になってしまうので、おとなしく過ごしていたのです。
 
 さて、今回ご紹介するのは、
 手にしたときに思わず「きゃー!!」と声がでたほどすてきな詩の絵本。
 これは大人にもつよくおすすめしたいです。

 雑誌「ニューヨーカー」の人気イラストレーターである、
 ジェイムズ・スティーブンソンによるイラストと詩を
 収録した日本オリジナルアンソロジー。

 小ぶりで背表紙の本のタイトルが幼年向け絵本の雰囲気なのですが、
 生活体験の多い大人のほうがにやっと笑ってしまう内容です。

 たとえば

 「じてんしゃにきをつけろ」

 じてんしゃは しってしまった
 じゆうに はしるよろこびを

 ちゃんと つないでおかないと
 にげだしちゃうかもしれないぞ

               『こうえん』より

 この詩のイラストは自転車が電信柱などにチェーンで固定されているもの。
 確かに逃げ出さないようになっているなと見入ってしまいます。

 スティーブンソンのイラストは、
 詩の言葉と絵を呼応させています。
 軽やかな線画に水彩の色をやわらかくのせ、
 さらにユーモアものせているのがすてきです。

 私はスティーブンソンのイラストが大好きなので
 みているだけでも、自由な気持ちになり、
 ずっとみていると、自分でも絵が描けたらなあと夢見るほど。

 「ふねのした」

 そのむかし
 あおいさかなが むれおよぎ
 イルカが からだを くねらせた
 ドロシー丸の へさきのしたで
 きんいろの いぬが ねむっている
 すずしい ひかげは きもちいいから

                『どれがいちばんすき?』より

 ドロシー丸が描かれた一枚の絵から、
 あおいさかなも、
 イルカも
 目の前に見えてくるようです。
 もちろん、
 すずしいひかげの下のきんいろのいぬの心地よさも。

 それを伝えてくれる、千葉茂樹さんの翻訳もよいのです。


 頭がつかれているなあと思う大人のみなさん、
 ぜひ2冊を手にくつろいでください。

 
(林さかな)
会津若松在住。
編集協力した新訳「オズの魔法使い」(復刊ドットコム)シリーズ
★おかげさまで少しずつ重版されています
http://1day1book.strikingly.com/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『セブン・ハーフ・アンド・ワン』(文芸社)
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・『トシ、1日1分でいいからフクシマ英語に触れてみて。それだけできっと世
  界は変わる。』(SCICUS)
 https://www.facebook.com/scicus.jp/posts/1054815034566643


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
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 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
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2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
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 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 今回は原稿待ちでちょっと遅くなりました。5月なのに寒い日があったりと
気候が何やら不安定ですね。皆様もご自愛ください。(あ)

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