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[書評]のメルマガ vol.648

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■■ [書評]のメルマガ                 2017.2.20.発行
■■                              vol.648
■■ mailmagazine of book reviews     [ウォシュレットも必要だ 号]
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■コンテンツ
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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『ゲノム編集の衝撃「神の領域」に迫るテクノロジー』

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『シャーデンフロイデ 他人を引きずりおろす快感』

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#92『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』

 細馬宏通は前回取り上げた『うたのしくみ』に収められた論考、「歌を育て
たカナリアのために 初音ミク」の中で、コンピューターに人間のように歌わ
せるテクノロジーを開発する過程で、人間は歌うことに対して、さらに自覚的
になったと語った。

 初音ミクに関しては、このようにテクノロジーとして語る文章がある一方で、
日本に固有のキャラクター文化や、アイドル、特にヴァーチャル・アイドルの
系譜に位置づけて語る文章もたくさんある。

 しかし、なぜか「音楽」あるいは「音楽文化」としての側面について、まと
まったものは書かれていない。それが本書の著者、柴那典(しば・とものり)
の問題意識である。

 かくして生まれた『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』は、そのコンセプト
を、「初音ミクは第3のサマー・オブ・ラヴである」という極めて魅惑的な見
立てに置いている。これこそ本書の核心であり、革新である。

 まず「サマー・オブ・ラヴ」について、おさらいしておこう。

 1967年、サンフランシスコの小さな街ヘイト・アシュベリー地区に、奇妙な
ファッションをまとい、髪を長く伸ばした若い男女が集まり始めた。彼らは街
角で花を撒き、音楽を鳴らし、香を焚いて、当時はまだ合法だったLSDを吸
ってトリップした。
 俗に言う、ヒッピーである。
 泥沼化していたベトナム戦争への批判から、「兵役」に象徴される既存の社
会体制を拒否し、自由な生き方を求めて、コミューンと呼ばれる集団での自給
自足の生活を実践しようとした。

 こうしたヒッピーたちの登場は、フラワー・ムーヴメントとも呼ばれたが、
よりキャッチーな「サマー・オブ・ラヴ」というコピーで世界に喧伝された。
 その磁力に引かれるように、ビートルズ解散間近のジョージ・ハリスンや、
フォーク・クルセイダーズを解散したばかりの加藤和彦が、このサンフランシ
スコのちっぽけな街を訪れた。何か素晴らしいことが起こっているのではない
かという、強烈な予感に導かれて。

 しかし残念なことに、サマー・オブ・ラヴは69年のウッドストック・フェス
ティヴァルを頂点に、失速してしまう。原因についてはこれまた多くの説があ
るが、なかでも当時実際にコミューンで暮らした人物が「誰もトイレ当番をし
たがらなかったからさ」と答えていたのが、印象に残っている。

 トイレ当番といっても、掃除程度のことではない。何しろ自給自足の、ほぼ
野外生活だ。いわゆる肥溜めを掘ったり埋めたりの汚れ仕事のことである。
 この発言を読んだのは、中学生くらいの時。多分、音楽雑誌の記事の一節だ
ったと思うのだが、なるほど、ラヴ&ピースとか反資本主義・反帝国主義とか
の高邁な理想が、こうした現実的な問題で崩壊していくのは、人間というもの
の悲しい矛盾だなぁとしみじみした覚えがある。
 とはいえぼくだって、音楽やドラッグを楽しむのはいいけれど、肥溜めは願
い下げだ。水洗便所が欲しい。いや、ウォシュレットも必要だ。

 そんなサマー・オブ・ラヴではあったが、音楽的には豊かな実りを残した。
 ジョージ・ハリスンはヘイト・アシュベリーでの体験を元に、ビートルズ解
散後、土臭い匂いに満ちた音楽性で名曲揃いのソロ・アルバムを発表したし、
加藤和彦もサディスティック・ミカ・バンドを結成して、ロキシー・ミュージ
ックの前座とはいえ日本のロック・バンドとして初の海外公演を実現した。
 もちろん当のアメリカでも、70年代には多様なロックが花開いた。

 そして奇しくも20年後の1987年。四人のイギリス人DJが休暇でスペインの
イビサ島を訪れたことで、第2のサマー・オブ・ラヴが起こる。

 その時彼らが目撃したのは、極めて享楽的なムードと快楽主義的なダンス・
ミュージックのスタイルだった。もちろん最初のサマー・オブ・ラヴにLSD
が付き物だったように、ここでもスピードという最新のドラッグが享楽と快楽
を加速させていた。だから、その衝撃をイギリスに持ち帰った四人が始めた、
彼らなりのダンス・ミュージックを、ドラッグを表すもうひとつの言葉アシッ
ドを冠して、アシッド・ハウスと呼ぶ。

 音楽を楽しむ場所も変わった。都会の狭いクラブを飛び出し、より開放的な
空間を目指して、野外で行われるレイヴや、倉庫で行われるウェアハウス・パ
ーティーのような、新しいスタイルへと広がっていった。

 こうした新たなクラブ・シーンは世界中に広がり、音楽も大きく変化した。
元となるサウンドはその名が示すようにハウス・ミュージックであるが、それ
だけに留まらず、やがてテクノ・ミュージックやヒップホップを巻き込んで、
巨大な潮流に成長していった。
 これが著者の言う、第2のサマー・オブ・ラヴである。

 さて、ではそこから20年後の2007年に何が起こったか?

 そう思って歴史を振り返れば、そこに初音ミクが微笑んでいる。2007年8月
31日、ボーカロイド・ソフト『初音ミク』の発売である。

 まず最初の2週間で3500〜4000本という予想以上の数を売り上げ、欠品状態
となった。
 すると、そのことを揶揄して、MEIKO という、少し前に出ていたボーカロイ
ド・ソフトでつくられた歌『初音ミクが来ないのでスネています』の動画が登
場し、これがネット住民の間で大きな話題に。
 これに煽られ、ミク人気はさらに加熱して、結果、1ヶ月少々で15,000本を
超える大ヒットとなったのである。

 1967年、1987年と、20年周期で音楽文化に訪れたサマー・オブ・ラヴ。
 その第3回目こそ、この2007年の初音ミクではないのか。
 著者の見立ては、なるほどという説得力と、ぞくぞくする刺激に満ちている。

 さらに、著者の問は続く。

 先に書いたように、MEIKO というボーカロイド・ソフトは初音ミク以前にも
あった。しかし、それらはあまり売れず、ユーザーの間にも、特に新たなボー
カロイドが待望されていた節もない。
 それなのになぜ、初音ミクはこのような大成功を収めることが出来たのか?

 タイトル『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』は、まさにそのことを言って
いる。しかし厳密に言うなら、この文章は正しくない。
 これではまるで、初音ミクが世界を変えたいと思っていたかのようだ。
 しかしもちろん、ソフトウェアである初音ミクに固有の動機はない。
 動機を持つのは、いつでも人間である。
 したがって正しくは、『初音ミクはなぜ世界を変えることになったのか』な
のであるが、まあ、長すぎるのでこうなったんでしょうね。

 ともあれ、問題はここだ。
 どうして初音ミクだけが成功し得たのか?

 もちろん、技術的にそれまでのボーカロイドがまだまだ未成熟で、ユーザー
の期待に応えられなかった、という部分はあるだろう。
 しかし、ではミクが完璧かというと、そこまででもない。
 実際本書の中で開発者自身が、技術的な成熟は「まだまだこれから」と語っ
ている。

 だとすると……

 いや、この問への答は本書に譲ろう。
 ここで明かしてしまうのは、ミステリィの書評で犯人を教えてしまうような
ものだ。

 とにかく約束できるのは、本書を当たっていただければ、同時代を生きてい
たにもかかわらず、ぼくなどが全く知らずにいた「2008年のサマー・オブ・ラ
ヴ」という熱狂を追体験できるということだ。

 そして、その結果、冨田勲の『イーハトーブ交響曲』や、渋谷慶一郎の『TH
E END 』といった、現代を代表する斬新なオペラのプリマドンナとなって、東
京のオーチャードホールやパリのシャトレ座で大成功を収めるに至る初音ミク
の物語は、あなたに深い感動を与えるだろう。

 ぼくはといえば、本書を読了して、感動もあったが、それ以上にショックだ
った。

 というのも、中学生の頃は、第1のサマー・オブ・ラヴの1967年に、自分が
まだ小学生で何もわからなかったことを残念に思い、後10年早く生まれていた
ら、と悔やんだものだが、実は大人になっていた80年代にもサマー・オブ・ラ
ヴがあったのに、全く素通りしてきたからだ。

 もちろん音楽は好きだから、アシッド・ハウスだのレイヴだの、言葉は聴い
ていた。しかしじゃああの頃、何してたんだっけと考えてみると、まあとにか
くひたすら働いていた。東京に住んでいて、クラブ・シーンにも近かったのに、
会社を含む仕事場を行き来していた記憶しかない。とてもサマー・オブ・ラヴ
の渦中にいたとは言い難い。

 まして、00年代のサマー・オブ・ラヴの現場は、インターネットというヴァ
ーチャルな空間だ。もはや地理的制約もない。なのにぼくはまたしても、そん
なことが起きているのに気づきもしなかった。

 だとすると、仮に10年早く生まれていても、遠いアメリカのサンフランシス
コで起こっていることにはまるで気づかず、ただ目の前のことにあくせくして
いただけかも知れないな、と絶望的な気持ちになってしまったのである。

 しかしその一方、本書で語られているあるエピソードが、ぼくの気持ちを和
ませてくれた。

 内山田洋とクール・ファイヴの名曲『長崎は今日も雨だった』の作曲家、彩
木雅夫。いまや80代の大御所が、初音ミクを使っているというのだ。しかも主
治医によると、ミクを使うようになってから彩木先生の健康診断の数値がよく
なった、と言うのである。
 これが本当なら、初音ミクには人を健康にする力があることになる。

 初音ミクに癒される老作曲家。
 なんだか映画の一コマになりそうな、いい話ではないか。

 ぼくも買ってみようかな、初音ミク。


柴那典
『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』
2014年4月8日初版発行
2014年6月4日二刷発行
太田出版

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
大好きなバンド月光グリーンが、去年いっぱいで所属事務所を離れたそうです。
そのことの意味は、プロ経験のないぼくにはピンと来ませんが、彼らの音楽活
動が衰えることにならないのを祈るばかり。月光には、まだまだいい音楽をつ
くってほしい。届けてほしい。あ、そうか、もしかするとぼくにとってのサマ
ー・オブ・ラヴは、月光グリーンなのかもしれません。頑張れ、月光!

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『ゲノム編集の衝撃「神の領域」に迫るテクノロジー』
NHK「ゲノム編集」取材班 NHK出版

 最初の遺伝子組み換え作物が市場に出てきてから20年以上経つ。日本では未
だに実験場以外では栽培されていないが、外国でとれた遺伝子組み換え作物は
たくさん入ってきている。

 日本で遺伝子組み換え作物の栽培に関する国の許認可は全てとられている。
しかし実際に遺伝子組み換え作物の種が売られることはないままだ。そうなる
のは反遺伝組み換えを標榜する環境団体などの反発を恐れてのことだと思うが、
世界はすでにポスト遺伝子組み換え技術の世界に突入している。

 それがゲノム編集という技術だ。そのゲノム編集の可能性について書かれた
本がこれである。元々NHKがゲノム編集をテーマにした番組(クローズアッ
プ現代)を作っていたスタッフの作である。帯には山中伸弥センセの「この25
年の中で最も画期的な生命科学技術」とあるのが目を引く。

 遺伝子組み換え作物は、簡単に言えば、必要な形質をもつ遺伝子を対象とな
る遺伝子に組み込んで作られるのだが、必要な形質は遺伝子の必要なとこころ
に組み込まれないといけない。

 しかし、それが簡単ではない。単に必要遺伝子を対象となる遺伝子に入れて
も必要なところに組み込める確率は、宝くじで億単位の金を当てる、あるいは
それ以上に低い確率でしかないからだ。

 だから、「当たる」まで気の遠くなるほどの失敗を重ねなければならず、開
発にものすごい手間がかかる。その上遺伝子組み換え作物を市場に出せるよう
にするまでの許認可を得るのがまた大変だ。そのため事実上モンサントやシン
ジェンタ、バイエルといった世界的な規模の大企業でないと事実上参入できな
い。

 それがゲノム編集になると「ガイドRNA」と呼ばれる遺伝子のどの部分に
組み込めばいいのかを示すガイドと、「クリスパー・キャス9」と呼ばれるD
NAを切断するカッターを使って、必要な場所に必要な遺伝子を組み込めるよ
うになった。

 もちろん失敗もあるのだろうが、遺伝子組み換え技術のような気が遠くなる
ほど失敗を重ねる必要はない。もっと簡単に、安いコストで従来では考えられ
ないほど早く必要となる形質を遺伝子に組み込めるのだ。

 ゲノム編集された作物や動物はまだ市場には出てきていないが、大学や企業
の研究所ではすでに実用化寸前のものが多数ある。この本で最初に出てくるの
は魚のゲノム編集で、従来の品種改良なら100年、あるいは200年かかってもで
きないかも知れない改良が数年でできると言う。

 動物実験を減らす目的で、代わりにメダカを使おうと言うことで、鬱病の研
究のために鬱病のメダカが作られたり、生まれてから繁殖できるまでに3年か
かるマダイを6ヶ月で繁殖できるようにしたり、一匹から多くの切り身を作れ
るように筋肉を増やしたマダイを作っている。当然、植物や動物にも同じ手を
使える。

 他にもゲップを出さない(メタンを出さない)牛とか、角のない牛(飼育す
る人が人間がケガしなくなる)とか、ソラニン(青くなったジャガイモに存在
する毒素)を持たないジャガイモ、燃料となる油を効率的に生産する裳など、
そんな例がたくさん書かれている。エイズなど難病治療にも役立つ。良いこと
ずくめである。

 いずれもゲノム編集によって作り出される生物は、地球環境の保全や、ひっ
迫するであろう食料増産などの問題を解決するために開発が進められている。

 先に挙げたように開発コストが安くつくので、大企業でなくてもゲノム編集
には参入でき、ベンチャー企業でも充分にやれるから、よく言われる「モンサ
ントの独占」などやろうとしても不可能だ。

 そんな中、今でも残っているのが、我々国民が持っている遺伝子組み換え技
術などに対してもっている悪いイメージが立ちはだかる可能性がある。今でも
糖尿病用のインシュリンなど遺伝子組み換えで作られているのばかりだし、も
うすでに遺伝子組み換え作物の恩恵は既に我々は受けているが、そんなことは
反遺伝子組み換え論者には関係ない。

 ゲノム編集は「遺伝子組み換えではない」という考え方もあって、今後どの
ように評価されるのかは予断を許さないのだが、山中伸弥センセがこの本の序
文も書いていて、この技術がどれほど素晴らしいものかと同時に、それゆえに
諸刃の刃となる側面を指摘している。

 生命科学の世界は、もうトンでもない領域まで進んでいる。それを肯定する
にせよ批判するにせよ、こういう本を読んで、とりあえずどんなものかくらい
は知っておいた方が良いだろう。

(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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妬みは本能なのか、社会的必要悪なのか
『シャーデンフロイデ 他人を引きずりおろす快感』
(中野信子著 幻冬舎新書)

 昔読んだジョーク集に、「あるところに貧乏人と金持ちが隣り合わせて住ん
でいた。ある日、神さまが貧乏人に願いを1つだけかなえてあげると言った。
貧乏人は「金持ちを貧乏にしてください」と願った」という一章がありました。

 若かったおばちゃま、「いやそこは『自分も金持ちにしてください』だろう」
と思いましたが、あれから幾星霜、ここだけの話、「隣も貧乏に」って気持、
リアルにわかるようになってきました。生きるって汚れるってことなのね。苦
い思いをかみしめております。

 さて、この本を要約します。「シャーデン」は、損害、毒という意味で、フ
ロイデは「歓喜」。ほら、ベートーベンの第9交響曲の4楽章も「フロイデ」
ですよね。つまり、「シャーデンフロイデ」とは「毒の喜び」という意味です。

 この感情はオキシトシンというホルモンと関わりがあるとのこと。母が子供
に注ぐ愛情にかかわるのがオキシトシンで、これがあるから子供は親から愛を
もらって生きることができ、別名、愛と絆のホルモンと呼ばれています。が〜、
これが逆に働くと、「かわいさ余って憎さ100倍」とはよく言ったもので、
子どもを束縛して、流行り言葉で言う毒母、心理学用語でいうグレートマザー
になっちゃうわけですね。うん、よくわかるよ。

 そして、それが他人に向かうことがあると。たとえば、何もかも条件がそろ
った恋人とつきあっていた友人が恋人から捨てられたという場合。内心「ザマ
ーみろ」と叫ぶ。ネットスラングでメシウマ(他人の不幸で飯がうまい)とい
うのだそうですが、これがシャーデンフロイデだというのです。わかり過ぎま
す。自分が金持ちになるんじゃなくて隣の人も貧乏にって例ですね。

 この感情の源になっているのは「正義感」「制裁」だそうですが、ではこの
フロイデはなぜあるのかというと、集団の中に突出した人がいた場合、足並み
がそろわなくなり集団として効率よく動けないために、その異分子を潰すこと
が必要だからというのです。

 つまり社会にとって制裁は必要悪であるというわけですね。この展開はちょ
っと不思議。このへんがこの本自体の危うさですが、さらに先に進むと、ユー
ロとアジアだと、アジア人の方が集団的で人の不幸を喜びがちで、それは、ヨ
ーロッパは小麦だけどアジアは米が産物で育てるには手間がかかる分、協力し
ないといけないからだとか、災害がたびたびやってくるので協調性が必要とか、
まあこのへんはちょっと昔っぽい社会学になってしまっていて、ちょっと待て
よ、オキシトシンどこ行ったな感じです。

 後半でも、いかに人は弱い存在で、正義の名のもとに平気で制裁を加えるこ
とができるという実験例が列挙されています。

 最後に、「娘を支配しようとする母もネットで誰かを攻撃する人も、よかれ
と思って制裁を加えます、(略)しかし、時には美しい愛という正義によって
曇らされているかを感じて見る必要があるのではないでしょうか」とあります。

 あれ?これが結論? 最後まで読んで思ったことは、内容をビミョウに今の
問題方向にずらしたタイトルで売れた本だなということです。特に「他人を引
きずり下ろす快感」というサブタイトルの「引きずり下ろす」という言葉は本
に1か所しか出てきません。でもほら昨今、あの事件やこの事件で人をひきず
りおろすことばかりじゃないですか。これをすかさずタイトルにした編集は偉
い!と思うわけでありました。

 でもこの著者の本はもう現代のテーマをもろに突いていて、お見事です。だ
っておばちゃま、この本といっしょに同じ著者の「サイコパス」って本を買っ
てしまいましたからね。「サイコパス」もおもしろいテーマですが、これって
レッテル貼りにならないの?と危惧しながら読書中です。次回はこの本を紹介
しますね。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。


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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『追憶 下弦の月』(パレードブックス)
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

・『マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命』(サンガ)
 http://www.samgha-ec.com/SHOP/300870.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 1日遅れの配信となりました。まだまだ寒い日が続きますが、やや春の気配
を花粉に感じています…(あ)

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