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[書評]のメルマガ vol.655

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■■ [書評]のメルマガ                2018.06.10.発行
■■                              vol.655
■■ mailmagazine of book reviews         [この国の中心は 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<102>「旅行」とは、「電車に乗ること」と見つけたり

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→84 微細に描かれた絵本の楽しみ

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第101回 「国体」ということばで日本の姿を説明する

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです。

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 株式会社三楽舎プロダクション 小林様より、下記の献本を頂戴しました。
ありがとうございます。

・森安政仁著『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510
 
 この書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<102>「旅行」とは、「電車に乗ること」と見つけたり

 細川貂々『日帰り旅行は電車に乗って 関西編』(ミシマ社)を読んだのだ。

 映画やドラマにもなったベストセラー『ツレがうつになりまして』の貂々さ
んの最新刊は、鉄道コミックエッセイ。
 鬱から寛解し、ただいまは専業主夫を務める「ツレ」さんと、一人息子の
「ちーとくん」と三人(正しくは、毎回もれなく同行するミシマ社の担当女史
「ミッキー」さんを加えた4人)で、関西あちらこちらの電車に乗りに行った、
その顛末記。

 元々は、貂々さんもツレさんも、電車や鉄道にはまるで関心がなかったらし
い。
 が、息子のちーとくんが、2歳ころから電車に異様に興味を示し、まずは家
事及び育児担当のツレさんが、息子に引きずられる形で「テツ」化し、その後
貂々さんも巻き込んで、最初は息子の欲求を叶えるためだった首都圏電車旅の
あれこれを、2012年には『親子テツ』(朝日新聞出版)というコミックエッセイ
にまとめてしまったらしい。
 …「らしい」というのは、そちらはまだ未読だから。

 そして、一家で関西に移住した後、家族ぐるみの「テツ」化はさらに加速し、
『親子テツ』では、自宅最寄りの地下鉄東西線を中心に、あくまでなんらかの
用事があって、たまたま乗った電車を取り上げることが多かったようなのだが、
「関西編」では一変、「電車に乗る」ことをまずは第一の目的として家族で出
かけた日帰り旅の、その時々あちこちの様子が描かれている。

 いや、その「日帰り」範囲の広いこと、広いこと。京阪神は言うに及ばず、
関西一円に広がっていて、目次を見るとたまげます。
 やはり、初めての土地に移り住んで、何処へ行っても物珍しく、勢い、その
活動範囲も広がったのだと思う。

 わしもまた、学生時代、東京に住み始めた当初、さすがに電車目的ではなか
ったが、暇を見つけては、あちこち、「寅さん」の葛飾柴又や、鈴木翁二の調
布とか仙川、深大寺、つげ忠男の利根川とか、安部慎一の阿佐ヶ谷、神代辰巳
の映画でよく見た新宿歩行者天国、これも映画によく出てきた神田界隈やら、
はては横浜、横須賀あたりまで、あちこち「見物」に出かけたものだ。

 当然のこと、その行き帰りには電車を利用するのだが、初めて見る東京の電
車は、70年代のその当時、関西のそれに比べると、駅や車両や設備その他、す
べてにおいてなにやら垢抜けなくてドン臭く、電車は古くてボロい上に冷房も
なくて、小田急や京王線の新宿駅とか東急渋谷駅や西武池袋駅といった私鉄タ
ーミナルもまた、どこもやたらとショボいのに、「な〜〜んや、こんなモンか
い」と妙な優越感を抱いたりも、した。

 『日帰り旅行は電車に乗って』では、神戸電鉄とか山陽電車、能勢電鉄、北
条鉄道といった、関西人にとってもマイナーな路線もピックアップされていて、
神鉄沿線生まれ、神鉄使って三田まで通学し、北播磨はお友達エリア、能勢電、
山陽電車は遠足電車でした、なわしには、個人的にとても嬉しかった。

 ただ今の自宅最寄駅でもある阪神電車・武庫川駅を、ちーとくんが「すごい
よ」とリスペクトしてくれてんのも、うれしかったです、はい。
 わしも、この駅に最初に降り立ったときには、びっくりして、思わず笑い出
してしまいましたですよ、ちーとくん。

 何年か前まで、京阪神一円の書店をまわる、出版営業代行をしていた。
 そのお仕事で、普段はあまり乗る機会のない京阪電車や南海電車、近鉄南大
阪線などに乗るときには、仕事ではあったが、なんだか旅行気分で少し「わく
わく」して、駅の様子や車窓など、必要以上にきょろきょろとあちこち見回し
てたりもしていた。
 京阪電車には、編成の1両ずつにもれなく「成田山」の交通安全のお札が張
り付けてある、というのも、この時に「発見」した。

 通勤などで通い慣れた路線でも、たまに降りたことのない駅に途中下車して
みると、これまた即席の非日常、束の間の旅行気分が味わえて、これはただ今
もなお、ときどきやらかしております。

 「旅」すなわち非日常空間は、わざわざ遠くへ行かなくても、ちょいと視点
を変えてみるだけで、たちどころに現れる、ということを、貂々さんの『日帰
り旅行』は思い出させてくれた。

 ずっと昔の我が家では、毎年夏休みと暮れから正月にかけての年2回、一泊
ないし二泊の家族旅行が恒例だった。
 この恒例行事が始まったのが1965年の夏で、わしは小学4年生。
 この時は、前年に開通したばかりの新幹線で名古屋へ行った。
 名古屋城を見物した後、名鉄の赤い電車で熱田神宮から犬山の木曽川畔へ回
ってここで一泊、翌日、これまたオープンしたばっかりだった明治村を見て、
やはり前年に開通したばかりの名神高速を走るバスで帰ってきた。

 その年の暮れには、富士山を見に行った。
 新幹線の「こだま」を静岡で降り、東海道線で沼津まで普通電車に乗った。
オレンジと緑のツートンカラーの電車は、前面が二枚窓の、その少し前まで大
阪や神戸にも走っていた、旧型の湘南電車だった。
 「しみず」「おきつ」「かんばら」「ふじかわ」「ふじ」「よしわら」と、
駅に停まるごとに駅名票を読み上げていったのだけど、駿河湾に沿って走る駅
や沿線が、やたらにほのぼのと長閑な光景だったのを、今もよく覚えている。

 この時の宿泊先は御殿場のホテルで、沼津で乗り換えた御殿場線では、「気
動車」というのに生まれて初めて乗った。
 「ゴーゴー」と唸るエンジン音や油っぽい車内の臭いもそうだったが、乗客
が手動で開け閉めするドアが、とても物珍しかった。
 一泊二日の旅で、翌日は御殿場から箱根を周遊したのだが、あいにくの雨降
りで、前日も曇っていたので、結局富士山は見られなかった。

 岡山に向かうために、朝早くに神戸駅から乗った急行列車は、東京から夜を
徹して走ってきた客車列車で、車内の人達の多くがまだ眠っていた。
 岡山から倉敷を回って、帰りの急行は電車だったが、途中の姫路駅で立ち売
りの「そば」を買ってもらって、いざ食べようとしたら、開けっ放しの窓から
吹きこんでくる風に煽られ七味唐辛子が目に入り、神戸駅で下車した後も、ず
っと痛かった。

 大阪弁天埠頭を夜に出航して四国松山経由で別府に向かう関西汽船は、年末
の帰省客でごった返していて、船底の入れ込み座敷風三等船室は言うに及ばず、
食堂や通路、トイレや、はてはシートで風よけされた甲板にまで、船客が毛布
にくるまって寝ていた。

 わしが小学4年の時に始まった家族の慣例はその後も続いて、わしが高校2
年になるころまで、律儀に年に2回繰り返され、四国・山陽方面から北陸、飛
騨高山、伊勢志摩、南紀、山陰等々、結構あちこちへ連れて行ってもらったの
だが、どこでなにを見て、どこに泊まって何を食べた、というのはほとんど覚
えていないのに、何に乗って、どこからどこまで移動した、というのは、その
車窓の風景も含めて、鮮明に覚えている。

 宿泊を伴う旅行でなくとも、うちの場合は父親が、会社のイベントのハイキ
ングとかなにかの催しとか、あるいは休日出勤の会社に、よく連れ出してくれ
たのだが、その途中では、かならずナニガシかの鉄道薀蓄を聞かせてくれた。
 大阪の地下鉄は3分ごとに電車がやってくる、とか、阪急電車の車内の「木
目調プリント鉄板」は、「父ちゃんが大学に通った戦前にはもう採用されとっ
た」とか、「近鉄は日本一大きな鉄道会社なんやで」とか、開通前の新幹線の
線路を「いっときは阪急電車が走っとったんやァ」とか。

 その場合もまた、行った先での出来事は、ほとんど覚えていないのに、そこ
へ行く電車の中の景色は、鮮明に覚えていて、旅行とか旅というのは、つまる
ところが「移動」の過程こそが、一番重要で、それこそが旅のキモ、なんでは
なかろうか、と、貂々さんの『日帰り旅行』で改めて思い出し、そして実感で
きたのだった。

 この漫画は、ミシマ社のウェブサイトでの連載を単行本化したものなのだが、
足かけ3年(だったっけ?)に及ぶ連載が進むにつれ、両親をテツの道に引き
込んだちーとくんが成長し、彼の鉄道熱が徐々に冷めていくという過程もまた、
描かれている。
 そうですよね。男の子には「電車好き」が、やけに子供じみて、なにやら恥
ずかしくなる年ごろ、というのが必ずあるのですね。
 しかも、家族連れでゾロゾロと、ただ電車に乗りに行く、それを母が漫画に
描く…男の子的にはもう、「頼むからヤメテくれ〜〜!」な状況ですよね。

 そんなちーとくんも、両親とともにわざわざ乗りに行った鉄道の「旅」の記
憶は、深いところに鮮烈に、そしてとても印象深く残って、ずっと遠い先のど
こかで、ふと思い出しては、記憶を遡ってもう一度辿ってみたくなったり…が、
たぶんきっとあると思う。
 …というのは、実はわしの実体験だったり、するのだが。

 貂々さんご一家が関西移住を決めたのは、東日本大震災がきっかけで、ちー
とくんのためにも「もっと暮らしやすいところ」を模索した結果、ヅカファン
な貂々さんと、中学まで大阪に在住していて関西に思い入れが深かったツレさ
んの思惑が一致。
 来てみれば、ツレさんの記憶の通りに関西は「電車天国」、ちーとくんも夢
中になって…と、この本が出来上がったようだ。

 震災をきっかけに関西、それも阪神間に移住…というと、なにやら谷崎潤一
郎なども彷彿してしまうのだが、関西に移住後、その文化にどっぷりとハマっ
た谷崎のように、貂々さんもまた、ヅカ及び関西を満喫しつつ、今後は「電車」
以外の分野でも、関西あちこち、できればできるだけマイナーなスポットをル
ポしていただきたい、と勝手なお願いなどもしてみたり…

 ところで、『日帰り旅行』中で、ツレさんが一行にぜひとも見せたかったの
に、見せられなかった「大阪のスゴイゴミすてば」というのは、おそらく、
↓これのことだと思うのだが、

http://www.hetgallery.com/semba_b13.html

 これ、阪神高速の湾岸線からは、実にくっきりはっきり良く見えるのだが、
ニュートラムと地下鉄からは、ちょっと遠すぎて、まず見えない思います、は
い。

太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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84 微細に描かれた絵本の楽しみ

 福音館の月刊誌絵本のひとつ「たくさんのふしぎ」が今月号で400号を迎え
 ます。節目の絵本は、大好きな西村繁男さんによるものです。

 「絵で読む子どもと祭り」西村繁男 作
 月刊たくさんのふしぎ 2018年7月号(第400号)福音館書店

 2014年から4年かけて取材された、子どもが参加している地域のお祭りを9
 つ紹介されています。
 
 西村繁男さんの絵本といえば、たくさんの人と共に周りの様子も微細に描か
 れているのが特徴です。

 本書は「絵で読む」とタイトルにあるように、絵の読みごたえがたっぷりで
 す。お祭りの見所を双眼鏡でみるかのように、ところどころズームアップも
 されています。

 当初、西村さんは、祭りの絵本を提案されたとき、ご自身が子どもの時に経
 験がなく、その後も積極的に参加したことがないので、祭りを執り行う人た
 ちの思いや情熱を描けるか自信がなかったそうです。

 しかし、いままでのように、たくさんの人々を観察し祭りの現場をみて人を
 描いていけば絵本にできるのではと、時間をかけてできあがったのが本書で
 す。

 春から始まり冬にかけて、9つの場所でのお祭りはたくさんの人が登場して
 います。

 視界に入るものをくまなく描き出した、その世界はにぎやか。子どもたち、
 観客、ただ通り過ぎる人も含め、様々な人が絵本の中にいっぱいです。

 中でも印象に残ったのは3つのお祭り。

 11月第3日曜日 神奈川県川崎市で開催されるのは「さくらもとプンムルノ
 リ」。

 日本や朝鮮半島、中国、東南アジア、南米などにルーツをもつ子どもが参加
 するお祭りで、プンムルノリというのは、韓国・朝鮮の伝統的な踊りです。
 1990年から商店街の祭りで踊りが披露されるようになり、踊りと楽器の練習
 は1年を通して行われています。

 踊りの横では、各国の食べ物が出店されている様子もみえ、美味しそうな料
 理にも見入ってしまいます。

 2月9日から11日にかけて行われるのは高知県吾川郡仁淀川町の「秋葉まつ
 り」

 過疎化でこの集落では30年以上子どもが住んでいないそうです。200年以上
 続いているお祭りを絶やさないために、近くの小学生が参加し、祭りをもり
 あげています。

 「神楽」「太刀踊り」「鳥毛ひねり」の披露にはたくさんの観客が集まって
 いて壮観です。

 2月中旬に行われるのは、福島県福島市と双葉郡浪江町の「安波祭(あんば
 まつり」
 
 もともとは福島県浪江町でおこなわれてきた豊作と豊漁を祈るお祭りですが、
 2011年の東日本大震災で、浪江町の住民は避難生活を余儀なくされました。
 福島市でおこなわれた、子どもたちによる「田植え踊り」の後ろには、仮設
 住宅が連なっています。

 昨年2017年の夏には、震災から6年ぶりに、浪江町の神社があった場所で、
 「田植え踊り」が奉納されたそうで、その時の様子も描かれています。
 
 お祭りは少子化、震災など、その時々によって乗りこえていかなければ続か
 ない現状もあらわしているのです。

 それでも、いつの時も大人たちは子どものお祭りが続いていくよう尽力してい
 ます。

 ハレの日の象徴ともいえるお祭りがこれからも長く続いていきますように。

 さて、2冊目も福音館の「こどものとも」。こちらは先月の6月号です。

 「しりとり」安野光雅 さく/え
 月刊こどものとも 2018年6月号 福音館書店

 安野さんもまた、繊細な絵を描かれる方で、代表作でもある「旅の絵本」シ
 リーズでは、世界各地、ひとつの国を舞台に、昔話など、物語のモチーフが
 随所に描かれ、それらを探しながら風景を楽しめるもので、私も子どもの頃
 から愛読しています。(新作はスイスを舞台にしたもので、今月15日に刊行
 です!)

 その安野さんがどんな「しりとり」を描いたのか。

 しりとりは、
 あいす→すずめ→めだか、というように最後の音で次の単語をつないでいく
 言葉遊び。「ん」がでたらおしまいです。
 
 安野さんの「しりとり」は、見開きに10数種類ほどの絵が描かれ、その中か
 ら好きな絵で自分のしりとりをはじめます。

 いちまいめは、さる きびだんご しるこ こあら けんびきょう 等々。

 たとえば、「さる」を選んでみます。
 「る」が次の単語のはじまりです。

 次の見開きのページに描かれている絵から「る」ではじまるものを見つけ出
 します。「る」は、るーれっと。

 そうやって、自分で次の言葉を選びながら最後のページにたどりつきます。
 そこで「ん」のつく言葉で終わるとおしまい。
 もし、最後が「ん」以外であれば、最初のページにもどって、しりとりは続
 くのです。

 ぬすびとはぎ、じんちょうげなどの可愛い花や、わまわし、みちしるべ、ち
 ょうちんなど、ふだんの生活ではあまり見かけないものなど、どの絵もやさ
 しいタッチで心ひかれるものがあります。

 子どもと一緒でも、大人が一人で遊んでも、おもしろい。

 我が家の小さい子どもたちが大きくなり、定期的な月刊誌が届かなくなって
 からは書店や図書館でチェックし、気になったものはいまも購入しています。

 今回ご紹介した2冊も購入して何度も読み返しています。
 最近では気に入ったものは複数冊購入して、あの人なら気に入りそうという
 方に贈っています。

 月刊誌は児童書を手厚くおいている書店ですとバックナンバーもおいていま
 すし、単品の注文は書店でも受け付けています。

 最後にご紹介するのも絵本です。
 
 『ちょうちょのために ドアをあけよう』
 ルース・クラウス 文 モーリス・センダック 絵 木坂涼 訳 岩波書店

 大人の手のひらくらいの大きさの絵本に、
 世界を楽しく生きるために覚えておくといいことがつまっています。
 子ども視点で子どものための便利帖みたいなのですが、けっこう大人にも響
 きます。

 たとえば、

 「おおごえで うたう うたを
 ひとつくらい おぼえておくと いいよ
 ぎゃーって さけびたくなる ひの ために」

 「そんなに つかれたって いうなら
 つかれを ポイって すてちゃえば いいのよ」

 詩人、木坂さんの言葉は、同じく詩人であるルース・クラウスの言葉をぴっ
 たりに伝えてくれます。

 センダックの絵は、細いペン画で子どもたちのユーモアさや可愛さを余すこ
 となく描いています。

 最初から順に読んだあとは、好きなページを開いて声に出して読んでみるの
 もおすすめです。


(林さかな)
会津若松在住
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第101回 「国体」ということばで日本の姿を説明する

 『永続敗戦論−戦後日本の核心』(2016年)は一度、ここでも紹介した。そ
の著者の白井聡氏が再び一般大衆にも読みやすい新書で日本の姿を表現する作
品を上梓した。

 『永続敗戦論』では、戦後の日本はアメリカの最重要同盟国となり、戦争に
敗北したことを曖昧にすることによって(“敗戦の否認”)、永続的にアメリ
カに従属しなければならなくなり、際限なくアメリカに従属をし続ける限り、
ずっと敗戦を否認していかなければならない。という論法で、我々に衝撃を与
えた。敗戦の否認が今も続く米軍基地問題や賠償問題になっているということ
だ。
 今回、紹介する本は、その“永続敗戦レジーム”を一歩進めて、実は戦前の
日本と戦後の日本はパレラルに同じ流れを辿っている、ということを訴えてい
る。そのキーワードが「国体」ということばだとういう。

『国体論 菊と星条旗』(白井 聡著)(集英社新書)
(発行:集英社)(2018年4月22日初版発行)

 戦後の日本は「国体」ということばと縁を切った、と大多数の国民は思って
いる。しかし、著者の白井氏に拠れば、「国体」は戦後も脈々と生きている。
1945年に一度仮死状態になったものの、実は復活している、という。現代日本
の状況を唯一説明できることばが「国体」という概念なのだ。

 明治維新からこっち、日本は天皇制とともに近代化の道を歩んできたが、一
度1945年に歴史は断絶した。

 明治維新 1868年
 敗戦   1945年
 現在   2018年

 維新と敗戦の間は77年。そして敗戦と現在は73年。明治維新から現在までの
時間の流れの中で、敗戦を分岐点とするならば、そろそろ戦前と戦後は同じ期
間になりつつある。

 敗戦前の歴史では天皇がすべての物事の中心に存在していた。すなわち、そ
れ自体が「国体」であった。天皇が真ん中にある、ということ、そしてすべて
の国民ひとりひとりが天皇と直接つながっている状態がこの国の「国体」であ
った。

 1945年の敗戦から現在まで、この国は何を中心にしているのだろう。

 執筆子は、それは憲法だと思っていた。大多数の人も同じ意見であろう。こ
の国の中心は「日本国憲法」である。

 しかしながら、この国はひとつだけ様子が違うのだ。実は憲法より上位に
「日米安保条約」がある。実に安保条約が憲法に優先しており、憲法は安保条
約に違反しない限りにおいて有効なのである。我々は沖縄を中心にしてたびた
び起こる、米軍関係の事件や事故の処理時にそのことを苦い思いで思い知る。
安保条約に付随した地位協定という悪夢のような規程の存在が、安保条約が憲
法より上位に存在している、ということの証左にほかならない。

 ここまでで、もうおわかりかと思うが、本書のサブタイトルが「菊と星条旗」
とある通り、1945年からこんにちまでの、この国の中心はアメリカ合衆国なの
だ。アメリカを中心にしてこの国は存在している。それがこんにちの「国体」
である。

 親米保守政権(主に自民党政権、と云ってよいだろう)は、積極的にアメリ
カに追従する道を選び、それがいまや既得権益化している。それはいまの安倍
政権をみれば一目瞭然。アメリカが云ったことをそのままなぞることしかしな
い。アメリカが北朝鮮との対話路線に舵をきれば、安倍政権も金正恩との会談
を模索します、とかの国の大統領に申し上げた、というニュースがあった。

 以前から、執筆子は、日本はアメリカの植民地だ、という感想を漠然と感じ
ていた。ときに尊大なアメリカの高官たちの振る舞いに憤りを感じていた。参
勤交代のようにワシントンに行く日本の首相がそこで、さまざまな約束をさせ
られているのをみて、日本がアメリカの属国の印象を強く持っていた。

 しかしながら、7年前のあのとき(東日本大震災)、執筆子は“これで日本
は変わる。日本は真の独立国になれる”のではないか、と淡い期待を持ったの
も確かである。原子力発電の廃止を時の政権は掲げた。が、親米保守政権にな
った途端に原発存続の方針に振り子が戻ってしまった。政権は既得権益を守る
ことを選んだ。既得権益=親米路線なのである。

 いまや完全にアメリカにすがることしかないこの政権のもと、私たちはそれ
によってもたらされる不利益を甘んじて受けなければならない。日本は結局自
らの力では何も変わらない。何も変えられない。

 それもこれもこの国の中心にアメリカがあるからなのだ。アメリカが国体で
ある。まさに「アメリカの日本」。

 筆者の白井氏は、まず一昨年8月の天皇陛下の「お言葉」に関することから、
本書を書き始めている。彼はあのお言葉に強い衝撃を受けた。このかたちを一
緒に考えようと、いう文脈で陛下は、あのお言葉を発したという感想を持った、
というが執筆子もまさにそのとおりだと思う。執筆子も陛下による与えられう
る限り最大の抵抗。現政権が進める、憲法を無視した政策への反旗であると受
け止めた。集団的自衛権容認。共謀罪の導入。そして民主主義を明らかに踏み
にじっている、文書改竄問題の放置。なにもかもが憲法をないがしろにしてい
る。

 本書は怒りの書である。

多呂さ(痛恨の一回とばし。5月が抜けたことをいまだに悔やんでいます。二
ヶ月ぶりの書評です。)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

・『追憶 下弦の月』(パレードブックス)
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

・『ミスなくすばやく仕事をする技術』(秀和システム)
 http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/5125.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 またまた、ちょっと遅れての発行となりました。(あ)

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