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[書評]のメルマガ vol.654

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■■ [書評]のメルマガ                 2018.5.20.発行
■■                              vol.654
■■ mailmagazine of book reviews  [あの長さじゃないとダメなの? 号]
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■コンテンツ
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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『クラシック音楽は「ミステリー」である』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『中国抗日ドラマ読本』岩田宇伯 パブリブ

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 孤独について数冊読んで考えました

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#95『クラシック音楽は「ミステリー」である』

 佐村河内守の『交響曲第1番HIROSHIMA』が、現代には珍しい「調」のある
クラシック音楽だったこと。
 そして、「そんな作品が書けて、実際に演奏されるかもしれない」という期
待に動かされて、新垣隆がゴーストライターを引き受けてしまったこと。

 前回はそんな話を紹介したが、だとすれば、少なくとも新垣隆は「調」のあ
る交響曲を書きたかった、ということになる。
 つまり、現代音楽が「無調」全盛になったのは、聴衆が求めなくなったから
であって、作曲家側は「古臭くても、やっぱり調のある音楽がいいよね」と思
っている、ということになる。
 少なくとも、一人は。

 いや、実際には、さらにもう一人、そういう作曲家がいる。それが今回取り
上げる『クラシック音楽は「ミステリー」である』の著者、吉松隆だ。

 吉松は音楽大学で作曲を学んだ経験がなく、慶應大学工学部中退。音楽アカ
デミズムとは無縁の場所から現れたせいか、「調」を捨てたいわゆる現代音楽
が、どんどん「非音楽的」になっていく傾向に異を唱え、メロディの復権を掲
げて、「現代音楽撲滅運動」や「世紀末叙情主義」を標榜した。

 デビュー作は『朱鷺によせる哀歌』。近年では大河ドラマ『平清盛』でお茶
の間進出。まー、お茶の間というのも死語ですが笑。
 ともあれ、吉松隆は20回以上作曲コンテストに応募しては落ちることを繰り
返し、自力でここまで到達したという。佐村河内に頼らず、新垣隆も自力で頑
張って「調」のあるシンフォニーを書けばよかったのに……と、これは他人事
ゆえの無責任な感想です。
 で、いま気づきましたが、二人とも「隆」なんだなー。

 さて、そんな吉松隆だが、文筆家としても旺盛な活動をしており、ウィキで
は12冊の著作が上がっている。
 その中の一冊を、今回は取り上げたい。

 本書はもともとブログ「月刊 クラシック音楽探偵事務所」の一部を書籍化
したもの。
 自身の「はじめに」に於ける定義では、「この本は、音楽の中にひそんでい
るそんな「暗号」や「謎」を深読みする(ちょっと怪しい)ミステリーであり、
音楽の世界の「裏側」に踏み込む冒険譚」ということになる。

 全体は5章からなっている。

 第1章は、「バッハと五線譜の中の「暗号」」

 正直言って、この部分を読んだ時はがっかりした。
 既に知っている話だったこともあるが、大して推理するほどのこともない、
ごく単純な「暗号」だからである。

 音の名前として知られるドレミは、もともとラテン語で、それがイタリア語
に転訛した。
 日本の音楽教育のダメなところは、音の名前としてはドレミを採用しながら、
調を示す時には「ハ長調」とか「イ短調」と日本語を使うところだ。
 ドとハが、実は同じ意味――つまり、同じ音の高さを表すことに、ぼくは随
分長い間気づかなった。
 しかも中学生になってギターを弾き始めると、CだのAmだのといった英語が
登場する。
 実はこれ、和音の名前ではあるが、アルファベット自体は音の高さを表して
いる。
 つまり、ド(伊)=ハ(日)=C(英)という関係なのだ。
 Mare(伊)=海(日)=sea(英)と同じことである。
 これを先に言っといてくれればよかったのに。
 ひょっとすると、授業では言っていたのに、ぼくが聞いてなかっただけなの
かもしれないけど。
 ちなみに、イタリア語はドから始まるが、日本語と英語はラに当たるイ、A
から始まる。これも混乱のもとだ。

 それはさておき、この章で取り上げられる楽聖バッハが住むドイツ語圏でも、
英語と同じように、音の名前はアルファベットで表すのだ。ただ、英語ではシ
=Bなのだが、ドイツ語ではシ=H(ハーと読む)、B=シ♭なのが、またやや
こしい。

 とはいえ、要は音の名前がアルファベットで書ける、ということだけご理解
いただければ、この場はいい。
 すると当然、楽譜にある音符を、アルファベットに置き換えて、意味のある
単語にすることが可能であることはおわかりいただけるだろう。
 これを本書では「暗号」と読んでいるのである。
 だから、これを解くのはまったく簡単だ。ドはC、レはD、ミはEと置き換え
てやればいいだけなのだから。

 しかし、使えるアルファベットがAからHまでと少ないので、長い文章は無理。
結局「暗号」と言ったところで、バッハも自分の名前「BACH」=「シ♭・ラ・
ド・シ」というメロディを曲の最後に入れる程度のことしかしていない。
 著者はこれを、画家が絵に記すサインに当たるものとしているが、だからと
いって何かが伝わるわけでもない。
 ただ、未完に終わった遺作「3つの主題によるフーガ」の、一番最後にこの
BACH=シ♭・ラ・ド・シのメロディが出てくるのが、ちょっと面白い。バッハ
ほどの大作曲家が、生涯の最後になって、やっと自分のサインを入れてもいい
と思うほどの曲が出来た、という意味なのだろうか。

 いや、未完に終わっているからには、まだその先があるべきだが、自分には
ここまでが限界だ、後は後世に託す、という意味にも取れる。
 確かにちょっと深読みしてみたくはなるにせよ、ただ、さほどの感銘は受け
なかった。

 ところが、第2章「ショスタコーヴィチ、二重人格の「ファウスト」」にな
ると、俄然面白くなってくる。

 ショスタコーヴィチは、ソ連という国と歩みを同じくした作曲家だ。若くし
て天才と呼ばれたが、時はスターリンによる恐怖政治の時代。すべての芸術は
社会主義リアリズムに奉仕しなければならないとされ、この方針に背いてスタ
ーリンの不興を買えば、死刑もシベリア流刑も、普通に有り得た時代なのだ。

 そんな中で作曲家生活を送ったショスタコーヴィチの鬱屈が、彼を二重人格
に追い込んだ、というのが著者の推理。

 しかも、第10交響曲がリストの「ファウスト」を下敷きにしているところか
ら、自らをファウストに、スターリンを悪魔メフィストになぞらえているので
はないか、と考え、ならばファウストを救う恋人グレートヒェンは誰なのか、
あれこれと推理を繰り広げる。

 さらに面白いのは、第3章「モーツァルト、「ドン・ジョバンニ」殺人事件」
である。

 この有名なオペラは、色事師ドン・ジョバンニが、騎士長の娘にちょっかい
を出し、その結果騎士長と決闘になって殺してしまうところから始まり、さら
に懲りずに今度は村の娘にちょっかいを出してその恋人を敵に回し、正妻には
ストーカーされ、最後は騎士長の亡霊によって地獄へ連れて行かれてしまう、
という話。

 このファンタジーを著者はリアリズムで解釈し、登場人物の誰かがトリック
によって「騎士長の亡霊に地獄へ連れて行かれた」かのように見せかけた、と
考えるのである。
 実際、ドン・ジョバンニの最期を目撃したのは、その忠実な従者ただ一人で
あり、この解釈はあながち無理ではない。たった一人を騙せればいいのだから。

 となると、騎士長の亡霊などというものは存在せず、ドン・ジョバンニは生
きている人間の手によって、殺されたか、拉致されたということになる。
 はたして、その犯人は誰か。

 この章を読んでみるとわかるが、著者は相当なミステリー・マニアでもある
ようだ。
 途中には、銀田一耕助、明智小二郎、御手洗きよし、荒川コナンと、名前を
見ているだけで嬉しくなってしまう名探偵のパロディたちが、喧々囂々の推理
合戦を繰り広げるシーンがあり、それぞれの仮説がアンソニー・バウチャーの
『毒入りチョコレート殺人事件』のように、よく練られているのだ。

 しかも、それらの諸説を凌駕する、驚愕の真相が用意されているところも、
バウチャーの名作を彷彿とさせる。

 さらに、第4章「作曲家たちの「犯罪捜査」風プロファイリング」では、様
々な作曲家のバイオグラフィーから性格を分析。実は作曲家のプロファイルっ
て、連続殺人鬼のそれに似ている、という空恐ろしい事実を指摘する。

 最後の第5章「プッチーニ「トゥーランドット」の謎」では、イタリアの作
曲家が、行ったこともない中国の、それも古代王朝を舞台に描いたオペラの、
あれ、これおかしくない?な点をいくつもあぶり出し、その背景を探っている
のである。

 ところで、ぼくにも、昔からクラシックに関する解けない謎がある。

 中学の時、友達がビゼーの『カルメン』を評して、「これが3分にまとめら
れたら天才なんだがなー」と言っていた。
 まあそれは極論だとしても、クラシック音楽はなんであんなに長いんだろう、
と言うのが長年の疑問なのである。
 室内楽なんかで短いものもあるけど、一般に
「長っ!」
 というのがクラシックに対する印象だ。あんなに長いと、飽きちゃうよね、
実際。

 もっとも、ベートーベンの交響曲は、暗い冒頭(例えば『運命』のハ短調)
が、紆余曲折を経て明るい終結部(ハ長調)に到達するから感動するのであっ
て、それを3分に凝縮したら、大河小説のダイジェストみたいなもので、内容
はわかるけど感動はしない、と言われると、まあそうかな、とは思うのだが。

 でも、やっぱり長いよなー。
 どうしても、あの長さじゃないとダメなの?


吉松隆
『クラシック音楽は「ミステリー」である』
2009年12月20日 第一刷発行
講談社+α新書

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
再就職活動に備えて、会社に入ってからこれまでのキャリアを振り返る作業を
のんびりやっています。思い出に浸りつつ、結局これまでにどんなスキルを積
み上げてきたのか確かめてみるのも、初めての経験にして一興です。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『中国抗日ドラマ読本』岩田宇伯 パブリブ

 4月10日の発売以来、日本よりも中国で話題になり、彼の地で大論争を引き
起こしている本である。

 ほとんどオールカラーでコストがかかってる。モノクロはアニメの紹介のあ
たりだけだが、なぜここだけモノクロなのかは謎である。「時代背景完全無視
!反日プロパガンダどころか、もはやギャグ」という帯の文句から、内容は想
像できよう。

 内容はタイトル通り、中国で製作されている抗日ドラマの解説本で、21作品
が紹介され、あらすじと人物相関図をつけた後に、ドラマシーンの写真付きで
解説という名の突っ込みが入っている。抗日ドラマだから共産党員が主人公の
作品ばかりなのかと最初は思っていたが、そうでもない。

 大げさな脚色で日本兵士をばたばた倒していく中国版水戸黄門みたいな共産
党英雄の話かと思っていたら、それも違う。

 いや、大げさにあり得ないことをやっていて、あるいは何も考えずにイケイ
ケと撮影しているように見えて、それが笑いを誘うのは間違いないのだが、単
なる宣伝映画以上に大まじめにエンタテイメントを作っているように思えた。
たとえば、読む前は日本人が一方的に、一面的な悪者に描かれていると思って
いたが必ずしもそうではない。意外とバラエティがある。

 日本軍に美人の女性将校や学ラン姿の忍者部隊がいたり、カンフー使いの抗
日英雄や「北斗の拳」のケンシロウみたいな、触れただけで相手を殺すキャラ
がいたりする。作中の80年間、顔が変わらない人もいたりする。そう書けば確
かに笑える。「吉岡ダンス」とか、実際見たら笑いが止まらなくて苦労するの
ではないか?

 作品内に登場するモノも面白い。1930〜40年代を描いている映画の主人公の
乗っているバギーにデジタルメーターがあったり、戦前が舞台なのに懐中時計
がクオーツだったりする。ここまで来ると、もはやネタとしてウケを狙って作
っているんじゃないかと疑うレベルだ。

 で、「ほう、中国人というのはそんな拙劣なドラマを見て満足していたのか
w」と、中国人を馬鹿にするネタが出来たと思った人は、認識不足だ。だって
考えてみて欲しい。日本人を馬鹿にするつもりなら、日本軍の女性将校の配役
に美女を持ってくるはずがない。ばかげたドラマかも知れないが、意外と真面
目に作っているように思えた。

 本の中にも書いてあるが、中国の映画作りのテクニカルの水準は決して低く
ない。中国の映画技術はもともと戦前にあった満映(満州映画協会)が源流と
なっていて、これまで多くの秀作を作ってきた歴史がある。香港映画のノウハ
ウも当然入ってきているだろう。

 最近日本で話題になった中国映画としては「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」
があるが、これを拙劣な映画と言う人はいないはず。言い換えれば、レベルが
低いから、こういうドラマを作っているわけでは、決してない。

 実際、抗日映画の製作現場では外国人スタッフを使っていることもあるし、
ハリウッド帰りの韓国人スタッフが戦争シーンを作っていたりする。大量のエ
キストラを使える優位性もあるし、日本よりも優れた部分も少なくないそうだ。

 そして無視できないのが中国共産党の意向だ。抗日ドラマは基本中国共産党
の意向に沿って作られるが、そうした中で中国の映画人は真剣に自分の作品を
撮ろうとしていると見るべきだろう。

 たとえば日本でも現代劇でやれば、どことは言わないが猛烈に批判してくる
組織や市民が出てくるのが容易に想像できるテーマがある。そういうテーマを
描くのに現代の代わりに江戸時代の設定にしたり、SFにして300万光年向こ
うの惑星の話にするとかして非難を回避するテクニックは多くの人が知ってい
る。

 同じことが、抗日映画という舞台を設定して、中国でも行われているのでは
ないか?

 そんなことを思うのは、コラム扱いになっている抗日ドラマに出てくる日本
人俳優のインタビューを読んだからだ。彼らが見ている映画づくりの現場は、
「中国共産党の意向に沿った作品しか作れない」といった嘆きが聞こえる無気
力な現場ではないし、日本よりも厳しい基準でドラマを作っていることがうか
がえる。

 日本人俳優が媚びて「日本悪い」と言っておれば人気が出たり、生き残れた
りするほど甘い世界じゃない。演技力があるのが前提だろうが、日本人として
誇りを持っている人でないと、観客もこついはダメな俳優だと見抜く。中国人
の目は節穴ではないのだ。

 そう考えると、次のような仮説が生まれる。私は映画作りなどしたことがな
いのでよくわからないが、日本で実際に映画を作る人が見たら、むしろ日本に
はない制限のかかった製作環境の中で、彼らはこんな風に頑張っているのか・
・・日本の映画作りのプロたちは、そんなことを考えるのではないか?

 この本は、一種のお笑いとして売れるのだろうし、それはそれでいいのだけ
ども、日本の、あるいはハリウッドで働くプロの映画人、ドラマ人たちはどん
な評価をするのだろうか? 普通書評を書く人は、自分の評が一番的確だと思
って書くと思うが、この本に限ってはプロのドラマ制作者とか映画人の書評を
読みたくなる。

 内容も珍しいが、人の書評が読みたくなる本というのも、また珍しい。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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孤独について数冊読んで考えました

 最近、「孤独」とタイトルがついた本が多くありませんか?
 揃ってまあまあの売れ行き…ということは、これからもまた柳の下を狙って
ぞろぞろと出ることでしょう。

 立ち読み、買って読み、借りて読みした中で、わかったことは孤独本は傾向
が3つぐらいに分かれるということです。

 1つめが、「孤独はいいもんだぜ」のエッセイ本です。

 一番売れている下重暁子『極上の孤独』、五木寛之『孤独のすすめ』がこの
代表。
 犖鋲箸老なものと思われがちだが、ほんとうはすばらしいもの瓩箸い趣
旨で、それ以上でもそれ以下でもありません。
 『孤独のすすめ』(それにしても、まんまなタイトルやなあ。五木先生だと
このタイトルでいいんですね。また、またタイトルはひねらないほうがいいと
いう典型かも。勉強になります)には、「私は歳を重ねるほど、人間は孤独だ
からこそ豊かに生きられると実感する気持ちがつよくなってきました」とあり
ます。
 孤独だからこそ豊かに生きられる……ふふふ。いや失礼しました。

 以下、青春、朱夏、白秋、玄冬の話や、下山の景色、学生期から遊行期の話
と、五木先生の総まとめ的なお話が続いていて、ものすごい安定感です。
 年を重ねると耳新しいことを聞くのはつらいですね。おとぎ話のようなこれ
まで聞いてきたことをもう一度聞くのが安らぐので、しばし孤独を忘れること
ができるでしょう。

 下重さんの著書もこれと同じだと思います。
 しかし、ほんとうに孤独な人、孤独に悩む人の気持はこれでは癒されません。
孤独エッセイには、人から離れてあえて一人になって自分を見つめるカッコイ
イ自分に酔ってる感があり、孤独なオレを見て見てという自己主張が感じられ
ます。

 孤独と孤立は違うと言われます。
 社会の中で孤立している人を救いになるという観点が見当たらないのがこれ
らの本の特徴と言えます。

◎ひとりではなくソロ?

 「孤独」という言葉は「おひとりさま」「ひとりぼっち」(若い世代的に言
うと「ぼっち」)、など時代時代で新しい言葉を派生させてきました。
 「おひとりさま」にはシングル女性の自虐と同時に矜持が感じられ、「ぼっ
ち」には集団から浮く存在へのからかいや恐れが含まれています。

 最近、気になったのが「ソロ」という言葉です。

 これまでとどう違うのか、『ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』
(名越康文著)を読んでみました。
 タイトルは「ひとりぼっち」とありますが、大事なのは一人の時間=ソロタ
イムであると書かれています。

 群れの中で空気を読んだり忖度していると疲れるので、そんなときは1人に
なって自分を見つめなおして疲労を回復しましょうという趣旨です。
 孤独な人がどうしたらいいのかではなく、現役でバリバリやっている人をあ
えて孤独にして癒し、休息させる感じです。
 そのためには呼吸法とか大きな木に抱き着くなどが効果的と、今、流行のマ
インドフルネス的な話が盛り込まれています。
 一方で、「1つの習慣を身につけるには2週間本気を出さないといけない」
とか上昇志向と裏腹なところがおもしろいですね。

 この本を読んで、アメリカのIT関係者とかが禅の思想とか、マインドフル
ネスに注目している理由がなにかがなんとなくわかった気がしました。
 まあ、ホントに疲れているのだとは思うけれど本来の老荘思想を源流とする
東洋的な考え方ではなく、また再び戦うための疲労回復療法として「孤独」と
か「ソロタイム」を位置付けているんじゃないかと思いました。

◎孤独を社会問題ととらえる

 孤独と孤立とは違うとさきほど述べました。

 これだけ人がいるのに、だれからも関心を持たれない孤立は、やはり社会で
解決していかなければいけない問題だと指摘しているのが『超ソロ社会 独身
大国・日本の衝撃』(荒川和久著)です。

 本文250ページに及ぶ力作で、2035年には人口の半数が独身になる日本の現
状を述べ、家族や社会がどのように変化するかを考察しています。
 結婚や血縁による家族ではない、新しい家族を構築することへの期待や、独
身者が支えるマーケットの可能性についてなどが書かれていておもしろいです。

 今回、時間切れで読めなかったのですが、『男の孤独死』(長尾和宏著)と
いう本でも、孤独を扱っていて、これはリアルな医療現場から発言されていま
す。

 「孤独」は文学や哲学の範疇に含まれると思っていましたが、そうなると社
会学や医療問題まで、(介護も含まれるので政治問題にもなる)幅広いジャン
ルを巻き込む壮大なテーマだということだということがわかりました。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。
・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

・『追憶 下弦の月』(パレードブックス)
  http://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-23989-2.html

・『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』
 (コアマガジン)
 http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 さすがに5月もこの時期になると、初夏っぽい季節を感じますね。このまま
梅雨無しに夏がいいなぁ。(あ)

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