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[書評]のメルマガ vol.671

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■■ [書評]のメルマガ                2019.02.10.発行
■■                              vol.671
■■ mailmagazine of book reviews     [世の中、そうは甘くない 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<110>『ウーパ!』は、昭和的中高年オトコのアコガレ体現漫画

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→92 本はいいよ

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第109回 歴史は繰り返し、結局人は学ばない

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→すいません、ほぼ日の経営。(2018/10/22 川島蓉子著 日経BP社)

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<110>『ウーパ!』は、昭和的中高年オトコのアコガレ体現漫画

 二月だというのに、温かい日が続いている。

 天気予報でも、「四月上旬並み」とか「三月中旬の暖かさ」という文言をよ
く聞く今日この頃。
 温暖化ってやつですか? 冬なのに、こうも温かい日が続くと、ホンマに地
球は大丈夫なんかいな、とかなり本気で北極のシロクマさんが心配になってき
たり。

 以前住んでいた神戸市北区は、神戸市内唯一の「積雪区」で、この冬にも既
に何度か雪が積もったようだが、それでも、せいぜいが2〜3センチの積雪で、
以前に比べると格段に積雪量は少なくなっている。

 神戸市北区は、わしの故郷でもあるのだが、わしが小学生から中学生のころ
…だから昭和の30年代末から40年代ころには、雪が積もる日というのは、ひと
冬の間に、今よりもっと頻繁にあったし、毎年1回〜2回ほどは「大雪」も記
録して、積雪量は30センチほどに達したりもした。

 その小学生のころ、家の裏手を流れていた川は、冬になると「凍る」のが当
たり前で、浅い流れの上に白くて薄い氷が幾層にも重なるそれは、さながらミ
ルフィーユのようで、これを足で蹴って割ると、「しゃくしゃく」ととても小
気味よかった。

 裏山を少し入ったところにあった落差3メートルほどの滝は、冬には全体が
凍りつき、あちこちにつららを下げた氷瀑となった。
 この氷柱に石を投げて突き崩すのも、冬の子どもの遊びの定番だった。
 大きいものでは直径30センチほどだったか、上下がつながった氷柱を、石を
投げたり棒でたたいては突き崩し、「戦利品」の先のとがった氷柱を持ち帰っ
ては、得意げにそれを舐めていると、「汚い!」と母親にどつかれた。
 確かに、滝の上流には集落があって、その生活排水もそこには流れ込んでい
るのだった。

 山の棚田の中にあった溜池にも、冬になると厚い氷が張って、その厚さを足
で踏んでは確かめつつ、向こう岸まで氷の上を歩いて渡るのも、男の子の冒険
遊びの定番だった。
 経験的に、池の縁に近い方は氷が厚く、真ん中に行くほど薄くなるのは知っ
てたので、慎重に足で探りながら、踏み出した足の先で「ピシッ」とか「メキ
ッ」という音が聞えたら、急いで撤退するのもまた、男の子の勇気なのだ。

 昭和40年代、神戸市北区には、相次いで団地や新興住宅地が開発された。そ
こへ神戸や西宮の街場から越してきた子どもたちは、初めて体験する冬の雪や
氷に興奮するのか、溜池に張った氷に、おそるおそる乗ってみると、これが割
れないのをいいことに、「わ〜〜い!」と一気に走っては、真ん中あたりで
「ずぼん」と池に落ち、氷の下で水死する…というような事故も、幾度か報告
された。

 が、この近年…って、ずっと住んではなかったので、何年前くらいからなの
かはわからないのだが、雪が積もっても30センチにもなることはまずないし、
川も凍らず、池に氷は張っても、とてもそこに乗ろうとは思えない、薄い氷で
しかない。

 滝が凍る様も、この何十年か、地元では見たことがない。

 小学生のころ、雪が積もると山の中で、立木や灌木を「柱」にして、雪で壁
と天井を造った「かまくら」風の、当時わしらの間では「いえ」と称していた
秘密基地をつくるのが楽しみだった。
 自作の竹スキーやそり遊びに興じた後、持ち寄った食い物を「いえ」で分け
合って食ったり、持ち込んだ漫画を読んだり。

 冬でなくとも、「いえ」は常に仲間で作っていた。
 やはり山の中で、立木を中心として笹や灌木を周りに立てかけた原始時代竪
穴住居風のものやら、川が崖を穿った窪みを砦風に仕立てたもの、休耕田をひ
たすらに掘っては、灌木や笹で屋根を拭いた上にカモフラージュの土をかぶせ
たトーチカ様のものとか、果ては電車の線路わきに積んであった枕木と、製材
所から失敬してきた材木を使って、ツリーハウスを建設しようと試みたことも
あった。

 山の中などを徘徊中に、自分たち以外が作った「いえ」を発見すると、これ
は徹底的に破壊するのが「掟」でもあったので、わしらの「いえ」も、完成か
ら数週間、早い時には数日後には、たいてい誰かによって破壊されるのが常だ
った。

 「いえ」すなわち「秘密基地」遊びは、かつて男の子だった人なら、だれに
も経験があると思うのだが、これを大人になってから再びやってしまった顛末
記が、先ごろ「モーニング」での連載を終えた、守村大『ウーパ!』である。
 この漫画、「まんが新白河原人」とのサブタイトルのとおり、元は同じ「モ
ーニング」に連載された絵付きコラム、「新白河原人」が好評につき、その漫
画版として連載がスタートしたもの。

 2005年、連載作品を完結させた守村が、次の作品の構想を練るうち、自身が
疲れ果てていることに気づき、「モノ、カネに縛られる生活は、もうイヤだ!」
と一念発起。家族の反対を押し切り、福島県白河に買った山林で、自給自足の
生活を始める。ときに守村大、47歳。

 自力で山林の樹木を伐採し、開墾した土地にやはり自力の見様見真似でログ
ハウスを建設し、そこを拠点として畑を造り、鶏を飼っては卵と肉を確保した
り、炭焼き小屋を造っては燃料の炭を焼いてみたり、ゲストハウスのツリーハ
ウスやサウナ小屋まで自作してしまったり、震災で瓦礫と化していた大屋石を
譲り受けては、パン焼き窯まで自製してしまったり。

 もちろん、すべてがすんなりと運んだわけではなく、その過程は失敗と挫折
と試行錯誤の連続で、当初の完全時給自作の目標も、電気や水洗トイレはやは
り必要、と現実と妥協してみたり、なのではあるが、その生活の中での様々な
人たち…炭焼きを教えてくれた地元の爺さんや、猪肉を分けてくれるやはり地
元の猟師さん、あるいは守村が「師匠」とも「親分」とも呼ぶ、釣りとその釣
竿及びルアー作りの名人、等々…との出会いと交流が、読んでいるととても羨
ましく思えてくる。

 それを現実に実行できるかどうかは別にして、『ウーパ!』は、男子なら誰
しも、「いいなあ…」という羨望と共に、ガキのころのノスタルジーを掻き立
てられる漫画なのだ。

 と思っていたら、ふと立ち寄った本屋で、これまた男の子の「秘密基地」願
望を著しく刺激する漫画を見つけてしまって、本稿ではこれにも言及する予定
だったのだけど、今月はちょっと野暮用が混んでいて時間がない。
 なので、そちらは、また来月のココロ、なのだった。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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92 本はいいよ

『ぼくは本を読んでいる。』
 ひこ・田中 講談社

 タイトルが物語すべてを表しています。
 そう、これは「ぼく」が本をひたすら読んでいるお話です。

 「ぼく」(ルカという少年です)の家には両親が「本部屋」と呼んでいる部
屋があり、そこには、壁一面に本棚があり、テーブルとイスも置いてある、読
書には最適の部屋です。

 ルカはかつて幼い頃はそこでよく絵本を読んでもらっていましたが、
 小学5年生になったいまは、もう親に本を読んでもらう年齢ではありません。

 そうして、いつのまにか「本部屋」に入らなくなっていたのですが、
 ひょんなことから、久しぶりに入ったその部屋で、
 ちょっとそそられる本をみつけました。
 
 本の奥付をみると、どうやら両親のどちらかが子どもの頃に読んでいた本ら
しく、ルカは親に内緒でその本を読みたくなります。

 その本は岩波少年文庫の『小公女』。

 タイトルがわかったとき、思わず興奮してしまいました。
 子どもの頃、私も大好きだった本なのです。
 最初に読んだのはいつだったかは思い出せないのですが、
 おそらく小学生だったように思います。

 ルカの読書を追っていくのは、e.o.プラウエンの『おとうさんとぼく』に描
かれているコマ漫画のようです。それは、ぼくが読んでいる本をおとうさんが
背中越しに読んでいるうちに、おとうさんの方が夢中になって、いつのまにか
二人が交代している内容で、私もまさにその状態になっているおとうさんの気
持ちでした。

 ルカが『小公女』に夢中になったおかげで、転校生の読書好き少女カズサと
も仲よくなり、好きな本について語れる仲間がいる喜びも伝わってきます。

 この物語は子ども時代の楽しさが、熱量高すぎず、さらりと書かれており、
その適温は大人にも読みやすいものになっています。

 現役の小学生に、図書館や学校の図書室で出会って欲しい物語です。


 次にご紹介するのは絵本です。
 
 『数字はわたしのことば 
    せったいにあきらめなかった数学者ソフィー・ジェルマン』

      シェリル・バードー 文 バーバラ・マクリントック 絵 
                    福本友美子訳 ほるぷ出版

 実在した数学者ソフィー・ジェルマンの伝記絵本です。

 ソフィーは幼い頃から勉強することが大好きでした。
 少女時代、パリはフランス革命さなかだったため、外は危ないと家の中で過
ごす時間が多くありました。
 その時間を使って、ソフィーは数学の勉強をし続け、気づくのです。
 

   ”数学者が数字をつかうのは、詩人がことばをつかうのと同じだ、
   とソフィーは気づきました。”


 ソフィーは数学者になりたい、数学を自分の言葉にしたいと強く思うように
なります。

 時代的に女性が勉強を志すのは難しく、教授も女性に教えようとは思わない、
それでも、ソフィーはあきらめず、大学の数学の課題を入手できたときは、男
性名でレポートを送るなど、粘り強く自分の学問を深めていきました。

 あきらめないソフィーの強さを、バーバラ・マクリントックは繊細に描き、
見ごたえがあります。特に勉強に集中しているソフィーの眼差しは印象に残り
ました。

 学ぶことが大変な時代に、穴をこじあけていくのは、数学が好きだという強
い気持ち。進学などで将来を考えている中高校生にもおすすめしたい絵本です。

 最後にブックガイドをご紹介します。

 『スポーツするえほん』中川素子 岩波書店

 絵本研究の第一人者による、スポーツを描いた絵本60冊を様々な切り口で紹
介しています。

 目次をみてみましょう。

 体を動かす楽しさ
 動きの美しさ
 運動会からオリンピックまで
 コミュニケーションが生まれる
 自分にうちかつ
 伝統の力
 運動の技術
 スポーツに必要なこと
 スポーツと社会
 スポーツ・ファンタジー
 
 登山やバレエなど、スポーツを広くとらえ、ゆるやかなくくりになっている
ところがおもしろいガイドになっています。

 このメルマガでもご紹介した絵本も数冊入っていて、なるほど、スポーツと
いう枠で読むとみえてくるものに新鮮なものを感じました。

 読みたいと思っている一冊は、このガイド本の著者である中川素子さんの絵
本。

 『スタシスさんのスポーツ仮面』(岩崎書店)はリトアニア生まれでポーラ
ンド在住のアーティスト、スタシス・エイドリゲーヴィーチュスが絵を描いて
いて、スポーツを「深く多様に」紹介しているようで興味津々です。

 絵本の世界も広い。
 ガイドを読んでいるだけで、スポーツしたくなってきます。
 

(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第109回 歴史は繰り返し、結局人は学ばない

 カズオ・イシグロはいったん休憩にしよう。でも、いまもまだしっかり読ん
でいるので、来月以降になるが、小欄で紹介していこうと思っている。
 今月は、楽に行こう。すぐ読めてしまう本を紹介する。それでも表題の如く、
テーマは重たい。重たいけど、どうしようもないと思わずに、なんとかしよう
と前向きに考えていきたい。それができていれば、人類はとっくに争いのない
世界を構築しているのだけど・・・・・・。
 明治時代について考えて、現代を見つめ直す、という作業をするための本。

『行きづらい明治社会 −不安と競争の時代』(松沢裕作 著)(岩波書店)
(岩波ジュニア文庫)(2018年9月20日 第1刷)

 本書は、「ジュニア文庫」というくらいだから、読者層を小中学生向けにし
てあるが、大人も読める本である。むしろ大人が読むべき本である。書いてあ
る内容が経験値のあるなしで、理解の速度が速くなるかゆっくりになるか・・
・。自分にも当てはまることが書かれていれば、理解は早い。歴史学とは過去
を研究し、現代に生かす学問であるならば、本書は明治時代を研究して、それ
を我々が生きている今、現代と比較しているわけで、さまざまなことを既に経
験している大人にこそ読んでほしい本になっている。

 四民平等、殖産興業、富国強兵等々のスローガンの下、明治維新という革命
を経て、まったく新しい政府を作り、近代化に邁進し、日清日露とふたつの対
外戦争に勝ち、ほぼすべての制度や様式がアジア初となり、国際的にも重要な
地位に上った日本という国家が、明治という時代である。いまを生きている我
々にとって100年以上前になってしまった明治時代とは、明るく元気な印象
があり、若さ溢れるまさに青春の時代であろう。坂の上の雲。

 しかし、本書では、明治時代とは決して明るい時代ではなかった、というこ
とを伝えている。題名が、『行きづらい明治社会』なのだ。

 著者は、まず明治時代の社会を想像する。そして、長く続いた江戸時代と比
較して、明治時代とは、社会が不安定であり、ひとりひとりはとても不安を持
って生活していたのではないか、と仮説を立てる。江戸時代までの封建社会で
は、身分が固定され、生まれた社会から逸脱することはできなかった。決めら
れた範囲の中で生きていくしかできない社会だった。百姓の子は決して武士に
はなれない。現代の我々からみれば、それは不合理であり、理不尽なことと映
るかもしれない。しかし、想像をすこしたくましくしてみれば、それは逆に生
きやすい社会であるのではないか。つまりある一定の範囲で生きていけばいい
わけで、血のにじむような努力をしなくてもよかったということだろう。

 明治維新後、日本は身分制が取っ払われた。百姓の子も大臣や博士、大将に
なれる。立身出世。末は博士か大臣か。・・・という社会が、曲がりなりにも
実現された。人々は努力が奨励され、頑張ることが推奨される。

 努力すれば、必ずそれが報われるのであれば、何の問題もない。しかし世の
中、そうは甘くない。頑張っても報われないことの方が多いかもしれない。

 著者は、この“頑張れば報われる”ということが、実はある種の「わな」=
罠、であると云い切る。
 “頑張れば報われる。報われずに貧乏のままでいるのは、その人の努力が足
りない”という考え方が、明治以降の日本を覆う。それを歴史学の世界では
「通俗道徳」と呼んでいるそうだ。勤勉に働くこと、倹約をすること、親孝行
をすること、そういうことを実践すれば、必ず報われるという。明治の人たち
はその“通俗道徳のわな”に嵌まってしまっていた、というわけだ。しかしこ
れが妄想であることは、その後の歴史が実証している。我々は努力しても必ず
しも報われないことをよく知っている。

 明治時代は、現代のように、生活保護の制度はない。さらに国民皆保険制度
もない。病気や怪我で働けなくなったら、それでおしまい。ゲームオーバー。
また低賃金で貯蓄の余裕もない働いて働いて働いても最下層民たちは貧民窟か
ら抜け出せない。
 末は博士か大臣か、という言葉はある一定の階層以上の人たちだけに云える
ことであり、大多数の人々は義務教育である尋常小学校が終了すれば、社会に
出て働かざるを得ない。それ以上の学校へ行こうと思えば、膨大な学費がかか
る。下層階級にその余裕はない。
 明治という時代は実はとても生きづらい社会だったわけだ。

 明治時代は、近代化を急ぐ過程において、そうした下層階級から意図的に目
をそむけていた節がある。財源は国家を建設する設備(道路鉄道港湾学校軍隊
など)に廻さなければならなかった。貧民対策をしている余裕はない。病気に
なったり運悪く財産をなくしてしまったりしたときに、それに助ける施策、困
っている人に手をさしのべることは、世の中全体として許されることではなか
った。まさに、お国のために、であり、滅私奉公の社会であった。

 翻って現代はどうだろう。

 我々は、弱い人たちを助けているだろうか。立派な憲法を持ち、それに基づ
き生活保護制度が完備され、国民皆保険制度が充実している。しかし、「自己
責任」という言葉で弱き者たちや一定の道から外れてしまった人たちを区別し
ていないだろうか。

 よくわかっているように現代も明治時代に劣らず、不安定な社会となってい
る。それは誰もが認めている。みんな生きていくことにとても不安なのだ。
 人が生きていくことにそれほど不安を覚えずに生活するためにどうすればい
いのだろうか。100年前の明治時代に学び、我々は何をどう考えて、実行し
ていけばいいのだろうか。

 ますます、考え込んでしまう一冊だった。


多呂さ(あれだけの不祥事を抱えていて、どうして誰も責任を取らないのでし
ょうか。安倍内閣は。云いたい放題で無責任な副総理がその原因なのでしょう
か)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
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すいません、ほぼ日の経営。(2018/10/22 川島蓉子著 日経BP社)

 私がいる会社では、昨年末に採用ホームページのリニューアルが決定し、現
在、企画制作が進んでいます。リニューアルの最大の目的は、売り手市場が進
む新卒採用対策です。うちの会社はIT系企業なのですが、現時点でITに興味の
ない学生でも、業界や会社に興味を持つきっかけとなるような、そしてそこか
ら応募につながるようなページづくりを目標に、企画がスタートしました。

 検討の開始当初、企画の参考にするため、他社の採用ホームページを何社も
見ていたのですが、とある業務用機器のメーカーさんのページで、これはとい
うものを見つけました。

 その会社の採用ホームページでは、「部門紹介」というページが設けられて
いるんですね。開いてみますと、製品が工場内でどのような人の手を経て作ら
れているか、そして社内のどのような部署がそれに関与して、最終的にお客さ
んの元へと届くのか、すべて流れ図をつかって説明されていたのです。

 図の所々には、部署の名前や社員の写真が表示されており、そこをクリック
すると、社員のインタビューがでてきます。つくっているのが業務用機器とい
うこともあり、一般消費者にはまったく馴染みのない商品なのですが、これな
ら予備知識がない学生でも、その会社のイメージがつかめるなと感じたのです。

 そうとなれば、この方法を自社でも応用できないか、さっそく試作してみる
ことにしました。私が勤めているのは、いわゆるシステムインテグレーター。
顧客企業の業務を理解してシステムを提案し、実際につくり、運用する、とい
った一連の流れをすべて手掛けています。そこで、会社にある部署をすべて紙
に書きだし、それらの部署が仕事でどのように繋がっているかを、実線で結ん
でいったのですが・・・これがなかなか難しい。

 たとえば「システムをつくる」と言っても、その中には開発する部署の他に、
インフラを構築する部署や、セキュリティをチェックする部署、品質を担保す
る部署など、様々な組織が絡みあっています。また1つの部署=1つの役割、
ではないため、結ぶ線の数も、その分増えていくのです。なんとか完成させた
図を見てみると、部署間の関係性を正確に表現しようとしたあまり、パッと見
て複雑で、この上なくわかりにくいシロモノに。。。

 もっと簡略化した図にできないかと思い、誰かにヒントをもらおうと、現場
の部署の方にも相談してみたところ、意外にも「いいじゃん、これ」という反
応が。ただ、新たな課題も提示されてしまいました。本来の組織図は、すべて
の部署が同列になっているんだから、この図もそのへん気を遣ってよ、とのこ
と。つまり、システム開発の会社を図にすると、どうしても開発をやる部門が
真ん中に配置されてしまい、間接部署は脇に追いやられてしまうんですね。開
発が偉いわけじゃないんだから、それをどうにかしろと。

 いきなり妙案が浮かぶわけでもなく、あれこれと考えていた時、仕事帰りに
立ち寄った書店で、なんとなく手にとったのが本書でした。最初はまったく買
う気はなかったのですが、目次の中に「人体模型のような組織図」という項目
があり釘付けに。その項を立ち読んだ後、すぐレジに持っていったのでした。

 この本は、かの有名なコピーライターでもある糸井重里氏が設立し、ジャス
ダック上場も果たしている「株式会社ほぼ日」についての解説本です。著者の
川島氏と糸井氏の対談形式で、話は進んでいきます。

 さて、人体模型のような組織図とは何ぞや?と申しますと、ほぼ日で社内向
けに作っているという、ヒトの内臓を模した組織図のことなのです。人間の体
内には様々な臓器があるけれど、すべてがつながって初めて人体になっている
から、腎臓より心臓のほうが偉いということはない。それは会社でも同じで、
どの部署がえらい、さらにどの役職がえらいということもないから、人体を模
した組織図を作っている・・・と。公表されていませんが、実際の組織図には
社員の名前も明記されているらしいのです。

 よく「フラットな組織づくり」を標榜する会社は、特にベンチャーに多いで
すが、経営層も含め全社員がフラットな状態を目指そうとする組織は、なかな
かないのではと思います。

 この件も含め本書の読後に抱いた感想は、ほぼ日という会社(というか糸井
重里という経営者)は、自らがどうありたいかというポリシーを明確に持って
いるんだなということ。そして、それを社内外の人たちに、いかにわかりやす
く伝えるか、表現するかを追求しているんだなということでした。

 本書はほぼ日における、事業、人、組織、上場、そして社長という全5章で
構成されています。対談形式なので、肩の力を抜いて読むことはできるのです
が、すべての項において企業の、または社長としてのポリシーがはっきりとし
ているんですね。とてもじゃないけど、糸井氏がまともな就職をしたことがな
いという話が信じられないくらいに。
 
 また、会社運営にコピーライターとしての技量を発揮されているのも面白い
と感じた点です。中でも、「やさしく、つよく、おもしろく」というほぼ日の
行動指針がどのような経緯で生まれ、今に至っているかが書かれていた件。社
長が理念や指針を作っても、それが浸透しなければ意味がないわけですが、何
度も言葉を紡いで出来上がったという話はリアリティがありました。社員が本
当に、この言葉を大事にしながら仕事してるんだろうなと。

 正直なところ、第4章で語られる、ほぼ日が株式を上場した理由のところだ
けは、読み手により賛否両論ありそうだなとは思いましたが、会社にとっての
ステークホルダーに対してのスタンスが明確で、世の中においてどのような存
在でありたいかまでをわかりやすく語る糸井氏は、「すいません」と謝る必要
がないくらい、立派な経営者であると思ったのでした。

 さて、自分の会社の組織を、知らない人にどう表現していくか。ほぼ日の真
似をして、人体模型のような図を書くこともできるんでしょうけど、結局、そ
れをもって何を伝えたいのかがわからないと、意味がないですね。自社の存在
意義や価値とは何か。根本的なところが明確に表現できれば、組織の表現方法
のヒントも出てきそうな気がしています。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 配信遅くなりました。ある程度まで発行準備が出来たところで外出したら、
その間にパソコンの更新がかかり、それまでの作業がフイになってしまいまし
た。それで、しばし、脱力してました…。

 まあ、保存してなかったのが悪いんだけどさ。

 二度目の作業なので、きっとクオリティアップでお送りしております。……
多分。(あ)

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