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[書評]のメルマガ vol.672

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■■ [書評]のメルマガ                2019.02.20.発行
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■■ mailmagazine of book reviews     [ジャニオタってすごいね 号]
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■コンテンツ
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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #103『生命の暗号を聴く』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『消えた警官 ドキュメント菅生事件』坂上遼 講談社

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 「嵐」が活動休止と聞いて、「方丈記」を読んでみた

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#103『生命の暗号を聴く』

 マキタスポーツとスージー鈴木の痛快楽曲分析本を前回はご紹介したが、音
楽理論に基づいているとはいえ、基本は、言葉の面白さを駆使した文系の楽曲
分析であった。

 では、それに対して、

 理系の楽曲分析ってあるのか?

というと、あるんだな、これが。それも、最先端の科学的研究をベースにした
すごいのが。

 音楽療法とか、植物に音楽を聴かせると成長が早いといった研究があるけれ
ど、いずれも経験値的なものばかりで、あれこれ試したらこの曲がいいみたい、
といった域を出ず、なんか、やたらモーツァルトばかりが「効果あり」という
結論になるな、という漠然とした印象しかなかったのだが、実は「タンパク質
の音楽」なるものが存在し、そこからある程度理論的に、音楽の持つ「効果」
が説明できる、ということを知ったのである。

 本書『生命の暗号を聴く 名曲に隠されたタンパク質の音楽』は、その理論
に基づく楽曲分析によって、どの曲にどんな効果があるかを明らかにした本で
ある。
 著者の深川洋一は東京大学大学院理学系研究科修了。現在はタンパク質の音
楽を用いた「音薬(楽ではなく薬。おんやく、と読むのでしょう)療法」の啓
蒙、普及活動にがんばっておられるようだが、ともあれ、タンパク質の音楽っ
て一体何?

 タンパク質というと筋肉、のイメージだが、体にいろんな機能をもたらすホ
ルモンや各種酵素なんかもタンパク質で、その種類は膨大である。
 しかし、すべてのタンパク質の原料はアミノ酸で、こちらは僅か二十種類し
かない。このアミノ酸が、細胞の中にあるリボゾームという、いわば工場に運
ばれてきて、日々遺伝子の設計図に従って組み合わされ、タンパク質となって
体の必要な箇所に送り出されている。

 重要なのは、アミノ酸がリボゾームに運ばれてくる時、である。
 この時アミノ酸は、「着いたよー」という合図に、振動波を発するのだそう
だ。当然その周波数は、アミノ酸の種類によって異なっている。そうでないと、
どのアミノ酸が来たのかがわからないからだ。

 ところで、振動波である限り、それは鼓膜に届けば音になるのだが、アミノ
酸の到着合図は周波数がめちゃくちゃ高く、人間の可聴範囲を超えているから、
76オクターブ下げないとわれわれには認識できない。
 もっとももし聞こえたら、始終体の中でいろんな音がしているわけで、もう
気が散ってしょうがないと思うが。

 しかし、聞こえなくても、音が鳴っていることは確かである。
 すると、タンパク質が合成される時、遺伝子の設計図に従って、順番に次々
と到着するアミノ酸は、連続してそれぞれ固有の音程の振動波を発しているこ
とになる。
 連続して、さまざまな高さの音が鳴る。
 そう、つまり、メロディなのだ。

 つまり、タンパク質ごとに、決まったメロディが奏でられていることになる。

 ここでぼくが思い出したのは、天体の音楽だった。
 かつてヨーロッパでは、星がそれぞれ固有の音を発しながら宇宙空間を回っ
ていると考えられていたことを、以前この欄でも紹介したと思う。これが「天
体の音楽」である。

 一方、マクロ・コスモスとミクロ・コスモスの照応という思想もあった。こ
れは、宇宙が巨大世界(マクロ・コスモス)であるのと同様に、人もしくは人
体は極小世界(ミクロ・コスモス)であり、両者はリンクしているという考え
方で、そこから生まれたのが占星術である。宇宙と人が対応しているからこそ、
宇宙で起こった天体の運動を見れば、地上で起こる人間の運命が予測できるわ
けだ。

 同様に、天体の音楽があれば、ミクロの細胞世界には、タンパク質の音楽が
ある、というのは、こうした文脈に置いてみると、非常に納得できる、と思っ
たのだ。

 ただ、天体の音楽はファンタジーだが、こちらは厳密に科学的な事実。
 それに、天体の音楽は単音だが、タンパク質の音楽は複数の音の連なり。先
に書いたように、メロディである。

 タンパク質1種類につき、ひとつのメロディが対応している。
 まあ、正確に言うと、さほど長いものではないので、フレーズとかモチーフ
と呼ぶべきかもしれない。
 だが、ひとつひとつの音程は、物理学的に厳密に計算できる。したがって、
その短いフレーズは、ちゃんと楽譜にすることが出来るのである。

 そこで、ひとつの着想が生まれる。
 もし、ある楽曲のメロディに、あるタンパク質のフレーズが含まれていた場
合、その曲を聴くと対応するタンパク質が活性化して、人体に何らかの効果を
及ぼすんじゃないか。

 だとすれば、これで音楽療法は理論的に説明できるかもしれない。

 さらに著者は、ある曲が名曲となり、ある曲がそうならずに埋もれていくの
は、作曲家の感性が時代の求めるタンパク質を無意識に感じ取り、そのタンパ
ク質のフレーズを使ってメロディをつくるからではないかと考え、具体的にさ
まざまな曲を分析していく。

 ただし、ふたつほど注意点がある。

 ひとつは、あるタンパク質のフレーズと、ある曲の一部分が、完全に一致す
ることはない、という点だ。
 もし一致するなら、楽譜を見れば誰でも一目瞭然なのだが、残念ながらそこ
まで都合よくはいかない。
 「似てる」「似てない」という印象による判断になるため、どの曲がどのタ
ンパク質に対応するかには慎重な判断が必要であり、この作業に習熟した専門
家でないと難しいらしい。

 もうひとつは、フレーズにはタンパク質の合成を「促進」するものと「抑制」
するものがある、ということだ。ここも慎重にどちらかを見極めないと、逆効
果になってしまう。

 さて、以上を踏まえて、ここでは、誰もが知る『上を向いて歩こう』の分析
をご紹介しよう。

 まず、この曲のどこにタンパク質の音楽が使われているかというと、歌い出
しである。「うえをむい」という部分(「て」は含まない)。そして続く「あ
るこ」の部分。(「う〜〜」と下がってくるところは含まない)。
 ちょっと微妙な切り取り方だが、ま、それはおいといて、このフレーズは、
PPARγというタンパク質の合成を<抑制>するメロデイに似ていると言う。

 PPARγは、脂肪の蓄積を促進する機能を持つタンパク質である。
 その合成を抑制するのだから、その逆、脂肪の蓄積を妨げることになる。
 なんと『上を向いて歩こう』、実はダイエット・ソングだったのである。

 さらに、ここからが本書の面白いところだが、ではなぜ、この効果を持つ曲
があの時代に大ヒットしたのか、という分析に著者は入っていく。

 そもそも人類の歴史は飢餓との戦いであり、飽食の時代になったのはつい最
近のことに過ぎない。だから、ずっと長い間、脂肪の蓄積を促進してくれるPP
ARγくんは人類の味方であった。
 日本でも、戦中から戦後にかけて食料不足が続き、人々は慢性的な飢餓状態
にあった。それが一転するのは、高度成長を経て、胃袋が満たされ、人々の欲
望がテレビや洗濯機やらクーラーに向かい、経済白書が「もはや戦後ではない」
と高らかに宣言した頃である。

 そのひとつの例証として著者が引くのは、糖尿病による死亡率のグラフだ。
 20世紀の前半には微増しているが、戦前から戦後にかけて一気に減っている。
しかし、1960年頃を境に急激な上昇に転じ、そのまま増え続けて世紀の終わり
には5〜6倍に達し、もはや国民病とまで言われているのはご存知の通り。

 では、『上を向いて歩こう』の発売がいつか、と見てみると……

 これがどんぴしゃ、1961年! まさに糖尿病患者の増加が始まった時だった!

 まるで、細胞レベルで脂肪の蓄積に警戒信号が出され、それを本能的に感知
した人類が、無意識にPPARγの合成を「抑制」する曲に飛びつき、大ヒットし
た、と考えられるわけだ。

 そうなるとこの歌が、当時日本以上に高カロリー食だったアメリカでも大ヒ
ットしたことの説明もつくし、それ以降同様の日本製ヒットがアメリカで生ま
れなかったことも納得できる。
 しかも、そのアメリカ版のタイトルが高カロリー和食の『スキヤキ』!
 この事実には単なる偶然を超えたものがある、という著者の主張には深く頷
いてしまうのであった。

 他にも、ベートベンの『運命』やら、映画『バグダット・カフェ』の主題歌
『コーリング・ユー』やら、黒人霊歌やら、多彩なジャンルの名曲がタンパク
質の音楽として解析されている。

 ちなみに、この音薬療法、やたらたくさん聴けばいいものではなく、適量を
守らないと逆効果になることも。
 正月太りが未だ解消せず、ダイエット中のみなさん、くれぐれも『上を向い
て歩こう』のヘビロテに走りませんように。


深田洋一
『生命の暗号を聴く 名曲に隠されたタンパク質の音楽』
2007年8月14日 初版第一刷発行
小学館

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
記録的に寒い北海道へ、またぞろ行ってきました。もちろん目当ては月光グリ
ーンのライブなんですが、今回もうひとつ楽しみが出来ました。すすきのにス
リラーナイトという怪談BARなるものがあって、初めて行ったのですが、い
や、これ、ほんと面白かった! 演出も最高だし、語り部の匠平さん、怪談も
さることながら人柄も素敵。夏の宵ではなく、零下10度の雪道を踏みしめて怪
談を聞きに行くのも、乙なもんです。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『消えた警官 ドキュメント菅生事件』坂上遼 講談社

 冤罪事件が後を絶たない。だいたい何かの事件があって、被害者の周辺にい
た人の中で怪しそうな人か逮捕されて、自供を強いられるのがパターンだろう。
しかし警察が自ら事件を作り上げて冤罪と分かっている者を逮捕させるなんて
ことはないと思っていた。

 それがあった・・・それがこの本に書かれている菅生事件である。

 1952年正月、大分国警本部に戸高公徳という警官が呼ばれ、身分を隠して大
分県菅生村に潜入することを命じられる。要するにスパイである。目的は当地
にいる共産党員の監視だ。

 この当時の共産党は50年にコミンフォルム批判と言って、平和裏に革命を起
こそうとしていた日本共産党に対し、ソ連や中国の共産党が生ぬるいと批判し
武装革命をやれと批判したことで、これに従うか否かで党が割れていた。

 そんな中、武装闘争をやろうとした人たちが山村工作隊や中核自衛隊を編成
し、武装闘争の訓練や破壊活動をやろうとしていた。有名どころでは若き日の
小松左京もその1人だった。

 菅生村はそんな武装闘争の拠点になる怖れがあった。菅生村は大分県で農地
改革が最も遅れた地域で、不在地主や一部の地主が農業委員と結託して農地や
県から開拓農協に出る資金を横領していた。これに共産党の後藤秀生が気づい
て不当に搾取された財産を返せと運動を始めていた。党も重要活動拠点と位置
づけて活動家を送り込んでいた。

 潜入命令があった直後の一月には、菅生村一番の顔役で酒店と製材所を経営
していた松井波津生らが、暴力グループを雇って高橋の家を襲い、不在だった
高橋の代わりに父親の彦馬に全治三ヶ月の重傷を負わせた。これで舞台がアメ
リカ西部だったら、マカロニウエスタンの定番映画が撮れるだろう。

 警察は本当に菅生村から武装闘争が始まり日本中に波及することを恐れてい
た。事実、当時の共産党大分県委員長だった都留忠久は、「もう3ヶ月、いや
1ヶ月警察が待っていれば。冤罪、でっちあげ事件ではない、本当の菅生事件
が起きていたと思う」と述べている。そんな状況下、スパイとして戸高が送り
込まれた。

 同年三月、戸高は市木春秋と名乗り、松井の製材所に経理の仕事をすると言
う名目で入った。松井も戸高がスパイだと知っていて経理の仕事などさせずに
好きにさせた。

 戸高は後藤に取り入り、共産党に入党したいとまで言っていた。そんな戸高
を後藤も信頼していた。そこまで工作をしたところで、警察は後藤らにワナを
仕掛ける。

 戸高は、スパイとしてきちんと仕事をしていたのだろう。そして、共産党が
武装闘争に立ち上がる日は近いと報告を上げたのだろう。警察は共産党を恐れ
て、とにかく大事になる前に芽を摘み取ろうと焦った。もう少し待っていたら
良かったのに、待てなかった。だから共産党をワナにはめることを決断した。

 6月1日夜(正確には2日0時過ぎ)、市木がカンパすると称して、中学校
の手洗い場に後藤ら共産党員2人を呼びだした。中学校は県道を挟んで向かい
に派出所があった。カンパを受け取った2人は、市木と別れて駐在所のある方
向とは逆の方向に歩き出した。その時に派出所が爆破され、直後にどこからか
十数人の警官が飛び出してきて2人を現行犯逮捕した。その後、2人と共謀し
たとされた3人が逮捕された。

 6月3日の新聞には、駐在所の警官大戸三郎の妻みち子が「私は爆弾が投げ
込まれるのを知っていた」という証言が掲載された。夫の三郎から派出所が襲
撃されると知らされていたが、犯人に気付かれるといけないので「死ぬ気でが
んばった」として妊娠6ヶ月の身にもかかわらず逃げなかった証言し、美談と
して報道された。これに対して不審感を抱く人がほとんどいなかったのは、不
思議である。

 後藤らは、市木に呼び出されただけだと主張したが、当然市木(戸高)は姿
をくらませている。目撃者は周囲を張り込んでいた警官たちだけだから、当然
分が悪く、彼らは有罪判決を受けて服役した。

 しかし、これに疑念を持つ者たちがいた。共産党や地元の記者たちが動き出
し、消えた戸高を探そうと努力していた。そして市木の正体が大分国警の警官
戸高だと突き止めた。しかし、戸高がどこにいるのか全く分からない。

 しかし、執念の調査の結果、とうとう戸高の居場所が突き止められ、事件は
急展開を見せる・・・ものすごく面白い、ぞくぞくする実話である。

 戦前に弾圧され、獄に繋がれていた多くの幹部が出てきて終戦直後の日本は
「革命前夜」の雰囲気があったとはよく言われることだけども、それも道理だ。
こんな分かりやすい構図で警察が悪役やっておれば、そりゃ革命がおきても不
思議ではないなという感じである。

 残念なのは、現在絶版状態で、電子書籍でしか手に入らないことだ。もとも
と2009年発行で、文庫化もされているのだが、あまり話題になっていた記憶が
ない。なんでこんなに面白いのに話題にならなかったのか、不思議でしょうが
ない。

 しかし、電子書籍になっているからこそ紙の本としては絶版になっても、こ
うしていつでも手に入れることができる。良い時代になったものだ。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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「嵐」が活動休止と聞いて、「方丈記」を読んでみた

角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス日本の古典
『方丈記(全)』鴨長明 武田友宏編


 いや、ジャニオタってすごいね。(※ジャニオタとは、ジャニーズのファン
のことです。)

 2020年12月31日をもって「嵐」活動休止の報に際して、おばちゃまみたいな、
薄っすーい、ほぼお茶の間ファンのところにも、「大丈夫ですか」「気を落と
さないでね」なんていう励ましのメールがあちこちから届くんですから。一番、
気遣ってくれたキンキキッズのファンの50代女性は、3年前に、友人のスマッ
プのファンの傷心をサポートした経験があるんだって。だから、薄いお茶の間
ファンでも放っておけなかったみたい。もうね、プロのカウンセラー以上に
「聞く技術」を持ってた。驚く!(いや、ありがたいですよ。人という字は支
え合って生きる姿なんだね・・・)

 私は、大丈夫ですよ。今回の決定はベストな選択だと思うし。

 でも、いろいろ思うことも多いですなあ。

 で、こういう意外な事態に遭ったときは、ホームポジションに戻るのがいい
と思いました。おばちゃまのホームポジションは一応、古典文学なんで、「方
丈記」を読んでみました。日本古典の入門書としては一番!と思う角川ソフィ
ア文庫・ビギナーズクラシックス日本の古典『方丈記(全)』(武田友宏編)
で読みました。

 最初にあまりにも有名な世の無常をうたった文章がガツンときます。

「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうた
かたはかつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」
 
(川の流れは一瞬も休まない。それどころか、河の水は後ろの水に押されてつ
ねに前に進み、元の位置に留まることはない。(略)流れていないように見え
る淀みもそうだ。無数の泡が留まることなく浮かんでは消えて、元の形を保つ
という話は聞かない)

 つまり、同じように見えるものや人も日々変化しているのです。毎週同じに
見えるバラエティもよく見ると違うし、毎年のコンサートも変化している。嵐
のメンバーだって、ファンだって日々、変化している。加齢もするし、気持も
うつろうわけですよ。休みたくなるし、やっていることとは違うことをしたく
なる。まさにもとの水にあらずな状態ですね。その小さな変化が積もり積もっ
て大きな変化を呼ぶことになったのが今回の活動休止なわけで、それは生きて
いる人の人生にも起きていることなんですね。おばちゃま、納得したですよ。

 「ゆく川の流れは絶えず、かあ・・・」もうこの冒頭の名フレーズは年齢を
重ねれば重ねるほど、心に迫るものがあります。
 
 折角なので後の章も読んでみました。

 すると。長明が生きた時代は都市災害があいついだ時代で、その記述がまあ、
今の日本に酷似していることに驚愕しました。安元の大火、治承のつじ風、養
和の飢饉、元暦の大地震・・・これが長明が実際に体験した災害です。

 これを体験しても無常観を肌で感じたでしょう。

 そして長明自身も、親族との権力闘争に敗れるという挫折を味わっていて、
そこがこの著作が古典として長く生きてこられた裏づけになっていると思われ
ます。読むと、54歳で都の郊外に庵を結んで隠遁生活したことへの、自負とは
裏腹な負け惜しみみたいな記述もあって、これはこれで人間臭い。

 編者の武田さんはこう言っています。

「鴨長明というと、河の流れを眺めながら「無常」にひたっている引きこもり
型のおじいさんを想像しがちです。しかし、実際は「無常」に積極的に立ち向
かい、前向き人生の改革をはかった人物です。『方丈記』も、世をはかなむ無
常感一色に塗りつぶされた作品ではなく、我々現代人にとって参考になる生活
ヒントをたくさん盛り込んでいます」

 引きこもりのおじいさんって!(笑)

 人生に挫折した。災害は次々にやってくる。
 世は無常で、嵐は活動休止する。

 そんな状況の中で、無常と理解しながら捉われる執着心に、「じゃ、あなた
はどうする?」と問いかけているのが「方丈記」なのではないでしょうか? 
それも上から目線ではなく、「オレもこれでかなりキツイのよ」という気持ち
がチラチラと見える部分があるから共感でき、約800年の時を永らえる古典に
なったのだと思います。

 文庫本にして注釈と現代語訳含めて約150ページと薄くて読みやすいのも
「方丈記」の良い点。ぜひご一読を!(特に嵐ファンの方)。 


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

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 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 方丈記と平家物語ってときどき混ざりませんか?(あ)

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