[書評]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
<< [書評]のメルマガ vol.673 | main | [書評]のメルマガ vol.675 >>
[書評]のメルマガ vol.674

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2019.03.20.発行
■■                              vol.674
■■ mailmagazine of book reviews       [価値観がなんかイヤ 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #104『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ ストップ・ザ・味噌汁の神格化!

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『カイロ大学』浅川芳裕 ベスト新書

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#104『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』

 前回も書いたが、音楽療法で効果があったり、胎教によかったり、聴かせる
と植物がよく育ったりする、というと、なぜか頻繁に出てくるのがモーツァル
ト。
 しかし、映画『アマデウス』を見てクラシック音痴ながら興味を惹かれ、い
くつか聴いてみたが、通して聴くとぼくには退屈だったモーツァルト。

 そのモーツァルトをジャングルで演奏する話か、とタイトルからは想像され
るが、まったく違う。アメリカでドラマ化されているらしいから、ご存知の方
も多いかもしれないが、ここで言うモーツァルトは象徴であって、意味はいわ
ゆるクラシック音楽。ジャングルは、生き馬の目を抜く大都会ニューヨークの
ことである。
 
 すわなち、ニューヨークのクラシック音楽業界の内幕を暴いた、オーボエ奏
者にして音楽ジャーナリストである著者ブレア・ティンドールの自伝なのであ
る。

 副題に『セックス・ドラッグ・クラシック』とある。もちろん、ジャニス・
ジョップリンをモデルにした映画『ローズ』の中で歌われた曲『セックス・ド
ラッグ・ロックンロール』のパロディだ。
 これだけで、この「ジャングル」がどんなものか、大方の察しはつく。

 だが、本書はさまざまに読むことが出来る。

 スキャンダラスな暴露本として。

 あるいは、ブレアが経験したいくつかのラブ・ストーリーとして。
 分けても、父親ほど年の離れたピアニスト、サムとの物語として。

 だがぼくは、クラシックの演奏家という、知られているようで実はまったく
知られていない、特殊な仕事の実態を描いた、「職業」の物語として、さらに、
そこから脱却しようとした一人の女性の「キャリア」の物語として読んだ。

 もちろん、現在のぼく自身が会社を早期退職して、次のキャリアを模索して
いる状況だからだ。

 地方出身のブレアは小学校の時、「音楽をやってみたい子は?」と訊かれて
手を挙げた一人であった。この時、目の前に並べられた楽器から、一人一人や
りたいものを取っていったのだが、名字のアルファベット順だったため、ティ
ンドールという姓が災いして、もはやろくな楽器が残っておらず、仕方なくオ
ーボエを選んだという。

 うちの甥っこは小学校に上がる前、親に連れられてコンサートに行き、クラ
リネットに興味を示したらしい。終演後の質問コーナーで「何歳になったらク
ラリネットが出来ますか?」と訊き、「小学校二年生くらいからかな」という
答えを得た。それから数年して、みなそのことを忘れていた時、「二年生にな
ったからクラリネットがやりたい」と言い出したそうだ。以来、高校くらいま
で練習に通っていた。

 だが、ブレアにとってオーボエは自分の意志とは無関係な、不毛の選択だっ
たのである。
 もっとも、もしZで始まる姓だったら、カスタネットになっていただろう、
とも書いている。オーボエでも、まだましだったわけだ。

 ところが、始めてみるとこの楽器、地味でやり手が少ないので競争もあまり
なく、目立ちたがりで勉強嫌いという性格には合っていた。そしてそのまま彼
女は、音楽学校に進学した。いや、後の展開を考えれば、してしまった、と言
うべきか。

 地方とは言え音楽学校であり、それなりに生徒たちはアーティスト気質であ
る。自然にブレアは、副題の最初のふたつを経験することになる。
 卒業すると、ニューヨークの音楽大学に進み、やがてプロの道を辿るのだが、
そこでも常にこのふたつは付いて回る。

 冒頭に、音楽仲間の家へ遊びに行くシーンがあるが、コカインを決めて大音
量で音楽を流し、ハイになるのはロック界と変わらない。
ただ、曲がニルヴァーナではなく、ワーグナーだというだけだ。

 男性遍歴もめまぐるしいが、これには「ジャングル」特有の事情もある。

 クラシックの場合、オーケストラの一員に雇われるか、フリーランスで仕事
を取るかの二択であるという。前者の方が生活は安定するが、生憎席は限られ
ており、一旦メンバーになると相当な高齢になるまで引退しないので、なかな
か次の人の番が回ってこない。

 そこでブレアは、フリーランスの道を行く。

 オーボエは奏者の数も少なく、その点では有利ではあるが、逆に必要な人数
も限られていて、やはり仕事を取るのは生半可なことではない。
 この世界はオーディションよりコネがものを言うこともあって、彼女はさま
ざまな先輩オーボエ奏者たちとつきあい、彼らから仕事を回してもらうことに
なる。
 最後の方で人生を振り返り、結局寝た男からしか仕事を取れなかった、と回
想している。

 しかし、そうしたドラッグとセックスにまつわる業界暴露よりも、ぼくが面
白いと思うのは「職業としてのクラシック音楽演奏」の実態である。

 フリーになる前、もちろんブレアもいろいろなオーケストラのオーディショ
ンを受けた。
 彼女がまだ若かった80年代後半は、アメリカにクラシックの音楽文化を、と
いう社会的風潮があり、景気もよかったので、新しいオーケストラが全米各地
に生まれ、チャンスも多かった。しかし、前述のようにオーディションの壁は
厚く、二十何連敗。旅費は自腹なので、広いアメリカでは飛行機代やホテル代
もバカにならず、そうこうする内に景気も減速。多くのオーケストラが経営難
に陥る。

 この辺りはジャーナリストらしく、具体的な数字をさまざまに上げ、リアル
に業界の厳しさを感じさせる。
 また、オーケストラやコンサートホールを運営する団体の上層部が、演奏家
以上の高給を取っており、助成金も市民の寄付もここに吸い取られて失速して
いるという実態も暴かれる。

 話は逸れるが、以前当欄で取り上げた佐々木忠次『オペラ・チケットの値段』
でも、東京初台にある新国立劇場に、ろくな仕事もしない余剰役人が群がる実
態が書かれていたことを思い出す。日本もアメリカも、役人天国に変わりはな
いのか。

 オーケストラもだめ、フリーも厳しい。こうした状況に限界を感じ、ブレア
はブロードウェイのミュージカルに手を出すようになる。

 「手を出す」って何か悪いことみたい、と思われるだろうが、アメリカでさ
えクラシック音楽の世界ではミュージカルが一段低く見られ、ブロードウェイ
の仕事を引き受けると、仲間内で「あいつも落ち目だ」と囁かれたそうだ。
 これにはぼくもちょっと驚いたが、しかし、その仕事の現場をつぶさに語ら
れると、なるほど確かにひどい労働環境である。
 つまり「ブラック」だ。
 それも『ミス・サイゴン』とか『レ・ミゼラブル』のような大ヒット作でも
そうなのだ。

 それでも好きなことでお金が稼げるなら幸せではないか、と外野席は思って
しまうが、単調な音階練習に明け暮れる日々、本番でも同じ曲の繰り返し、そ
れがとても知的で創造的な生活とは言えない、と指摘されれば、う〜んとうな
らざるを得ない。

 昔テレビで、オーケストラの高名な打楽器奏者を取り上げたドキュメンタリ
ーを見た。打楽器は必ずしも出番が多い楽器ではない。長い交響曲などの場合、
待ち時間に彼は捕り物帖を読んでいた。
 番組では、本を読んでいても自分の出番がちゃんとわかるのはすごい、と言
っていたが、ぼくは違う感想を持った。クラシックなんて、いい加減なもんだ
な、と。

 しかし、ミュージカルでも同じだった。というか、もっとひどかった。
 クラシックと違い、オーケストラは地下のピットに押し込められるから客席
から見えない。それをいいことに、譜面台の上には楽譜だけではなく、長い待
ち時間の暇潰しが乗せられているのだという。本だったりクロスワード・パズ
ルだったり。いまならスマホやゲームなんだろう。
 ブレアが演奏家に見切りをつけ、キャリア・チェンジを目指した時は、そこ
に数学の教科書が乗っていた。転職を試みても、普通高校を出ていない彼女に
は、例えば数学の基礎もまるでなく、その勉強から始めなければならなかった
のである。

 それでも文章を書く天分があることに気がつき、自分の経験を生かした音楽
ジャーナリストとして道を切り拓くこが出来た彼女は、まだしも幸運な部類に
入るのだろう。
 しかも、音楽の演奏をまったく捨てたのではなく、それまでよりゆとりを持
って、オーボエを吹くことを楽しめるようになったと言う。

 いや、ほんと、キャリア・チェンジは難しい。それはこの一年弱でぼくも実
感した。だからこの辺りは、身につまされる。

 ともあれ、スター級の音楽家の伝記はたくさんあるが、ブレアのような、彼
らを支える側の演奏家、それもオーケストラの一員にもなれない、フリーラン
スの演奏家の自伝というのはこれまでなかったと思う。

 ぼくも高校の時は、音楽の才能があると思っていた。だが、大学に入って、
自分より遥かにうまい先輩たちが、普通に就職していくのを見て、あえなく挫
折。
 でも、本書を読むと、あそこで挫折してよかったのかな、と思ってしまう。
 夢のない話だけど。


ブレア・ティンドール
柴川さとみ訳
『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル 〜セックス・ドラッグ・クラシック』
(上・下)
2016年12月10日 初版発行
ヤマハミュージックメディア

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
この一年、読書量が格段に落ちました。通勤電車という図書室がなくなったか
ら。仕事中も移動の多い職種だったので、その間も電車で本を読んでいたし。
まあ、家で読めばいいんですが、電車に揺られていると、なぜか読書って捗り
ません?

----------------------------------------------------------------------
■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
----------------------------------------------------------------------
ストップ・ザ・味噌汁の神格化!
『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)
『はなちゃんのみそ汁』(文芸春秋)

 前に、庶民は権威に弱いと書いたことがあったと思います。

 権威とはたとえば、「医者」とか「東大」とか「富豪」とか「官僚」とかか
でしょうか。だから「医者がすすめる」と名前がつくとみんなよく考えもしな
いで手を出しちゃうよね。(あと最近は「AI」。「なんかわからんけどすご
いらしい」って理由もなくあがめてるよね)。

 「偉い」ことを「権威A」と名前をつけるとしたら、これとは「自然」とか
「清貧」も一種の権威になっていませんか。「名もなく貧しく美しく」って。
あと「母」ね。これはマリア信仰から来るからけっこう根深い。これは「権威
B」と名づけましょう。いろんなベクトルの権威の中で私たちは生きているん
だ。

 だから、「医者が考案した『長生きみそ汁』という本のタイトルを見たとき、
「権威がAとB、2つも入っとる!」とおばちゃまは驚嘆しましたよ。売れな
いはずはない!案の定、売れてて新刊本の広報テレビ番組となっている「世界
一受けたい授業」でも取り上げてます。

 中を見てみると、なんということはないみそ汁のつくり方を書いたみそ汁カ
タログです。ポイントは具とみそをまるめて冷凍して「みそ玉」をつくるとい
うところですが、これもまあ、作り置き系の料理研究家ならだれでもやってい
ることで特に新しいことではないのに、「医者がすすめる」ってだけで「糖尿
が治った」「血圧が下がった」と大騒ぎです。

 「みそ」というのは「自然」系なので「権威B」、そしてノルタルジックな
「母のイメージ=権威B」もあります。

 おばちゃま、決してみそ汁を批判しているわけではありませんよ。おばちゃ
まだって2日に1度は必ずみそ汁つくって飲んでるから、みそ汁は大好きって
か日常。でもねえ、なんか、妙に神格化されていることが気に入りません。神
格化されているということは、それだけ一般社会の暮らしから遠のいているっ
てことで、みそ汁がなんかあがめられる存在になってしまっている。それって
みそ汁にとってはというか食生活にとっては、損じゃないの?

 だいたい、少し前までみそ汁は塩分過多の日本食の悪しき象徴だった。日本
人に脳梗塞が多いのは味噌汁に代表される塩分の多い食事のせいだって言われ
てませんでした? それがまあ、いつのまにか神格化ですよ。これって食の右
傾化? みそ汁の向こうにでんとそびえる価値観がなんかイヤ。ついでに食育
って言葉も嫌い。食育の向こうに家父長制度が見える・・・(私はフェミニス
トではありませんよ)。

 と毒づいたところで、もう1冊「はなちゃんのみそ汁」。これがまあ、批判
しにくい感動を呼ぶ大絶賛本です。絶賛されているだけに批判もされているみ
たいなのでさくっとだけ。

 あるお母さんが若くして乳がんになりますが、子どもを出産。余命いくばく
もないと知った母は、残された子どもが自分で生きていけるように、家事を教
えるんですが、その代表が「みそ汁作り」なんですね。このとき、娘さんは5
歳とか6歳の就学前。それなのに朝6時に起きてみそ汁をつくって玄米のご飯
を炊くんですよ。朝、6時って暖かい九州でも寒いでしょう。日が昇るのが遅
いから冬は外は暗いんじゃないのかしら。そのとき、父はどうしているのか書
いてないけど、あのう、お湯をそそぐとできる「クノールカップスープ」じゃ
だめですか?「クノール高い?」じゃ、「スジャータ」なら少しは安いよ。ど
うしてもみそ汁じゃないといけないなら「アマノフーズ」のフリーズドライで
は? だめなんだろうなあ。自然のものでないとだめなんだろうなあ。無添加
にこだわって5歳の娘が朝6時に起きてみそ汁をつくらなくてはいけない理由
をだれか教えてほしいでした。

 どうか、みそ汁が必要以上にあがめられて権威を持つことなく、みそ汁本来
の姿で日常の食卓にのぼり、みそ汁の「中の人」が自分らしく生きる(みそ汁
の「中の人」って何?)ことができるように祈っています。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『カイロ大学』浅川芳裕 ベスト新書

 2010年に『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率』という本
を出して話題になった人である。その後も農業関係の本をたくさん出されてい
るが、もともとこの方、カイロ大学出身である。

 で、ひょっとしたら何度も蒸し返される小池百合子都知事のカイロ大卒業疑
惑の関係で出されたのかも知れないが、そんなことはどうでもよろしい。

 まずカイロ大学は、どんな人材を輩出してる大学なのかといえば、PLOのア
ラファト議長に、イラクのフセイン大統領に、アルカイダの指導者ザワヒリ、
オイルショックで世界を震撼させたヤマニ石油相や国連を率いたガリ国連事務
総長、IAEAのエルバラダイ事務局長、2011年のエジプト革命のリーダー、アハ
マド・マヘルほか、どっさりと大物がならぶ。

 清濁関係なしに世界を動かしてきた中東の大物が多い。変わり種と言っては
何だが、ネットセキュリティの技術SSLの生みの親、タヘル・エルガマル博士
もカイロ大出身だし、元大相撲力士大砂嵐もカイロ大学出身だ。

 日本人出身者は少ないが、小池百合子、中田考をはじめとして、有名な人も
多い。そんな人たちを輩出し続けるカイロ大学は、「混乱と闘争」が学風とい
うむちゃくちゃなところ。

 エジプトの首都カイロは、日本人が思っているよりもずっと治安がよく平和
な街でなのだが、カイロ大学の中だけは別世界だとか。学生運動が盛んで、い
つ逮捕され投獄されるか分からない。学内に秘密警察まで拠点を置いている。
逮捕投獄はもちろん、下手すりゃ殺されることもそう珍しいことではない。学
内の治安は最悪である。

 そんなところだから、サダム・フセインは卒業試験の時にピストルを横にお
いて試験を受けていたという。卒業させなかったらどうなるか、試験官に圧力
かけていたたわけで・・・むちゃくちゃ。

 そんなところで揉まれるわけだから、カイロ大学出身者は基本「乱世」に強
い。何があっても驚かないし、何としても生き残っていく力を持っている。そ
していざという時の行動も大胆だ。確かにそう言われてみれば、小池百合子も
中田考も、そして浅川氏もそんな雰囲気をただよわせる人物である。

 そもそも建学した人たちからして1人ではない。非宗教的な欧州(というか
フランス流)の大学に比肩する大学にしようとした人もいれば、女性の地位向
上を目指した人。逆にイスラムの枠組みを大事にした人もいれば、中東がダメ
になったのは腐敗したカリフやウラマーのせいで、イスラム教徒は原典を読む
べきとした人もいた。

 そうした思想的にバラバラな源流を持つからというわけでもないのだろうけ
ど、多様な学生を生み出す大学なのは確かなようである。で、そうした大学の
解説に多く費やされた後に、日本人のためのカイロ大学入学ガイドに1章が割
かれている。

 この1章、一部の読者にとてもインパクトがある内容のようで、文春の記事
によれば、この本を読んでカイロ大学で学びたいと言う声が浅川氏の元にいく
つか届いているようだ。ひょっとしたら、この本のおかげでカイロ大の日本人
学生は何倍も増えるかも知れない・・・もともと数が少ないしね。

https://bunshun.jp/articles/-/6411

 一番面白かったのは、最終章で浅川氏が何を考えてカイロ大学で学ぼうとし
たのか、いったいどんな学生生活を過ごしていたのかを語っているところだ。

 もともと外交官志望だった浅川氏は、アメリカのジョージタウン大学に行く
つもりだったが、湾岸戦争でイラクがクウェートに侵攻し、アメリカとの戦争
も辞さなかったことにショックを受けて、イラクを知りたいと考えた。

 それてバクダット大学に行こうとしたが、戦争の混乱の中イラク政府は「危
ないから」とビザを出してくれない。対応してくれた大使館員ですら「帰りた
くない」という状況なんだから仕方ない。

 さてどうしたものかと思っていると、偶然知り合ったユダヤ系アメリカ人か
ら、カイロ大学を勧められた。しかしいきなりカイロ大学に行くのはさすがに
無謀だと思ってまずは英語が使えるカイロ・アメリカン大学に入り、そこから
カイロ大学に移った。

 入ったのは文学部のセム語学科のヘブライ語専攻。要するにアラブ世界では
イスラエルが使う敵性言語だ。同専攻出身者は、アラブの諜報機関に入る人も
多く、浅川氏も将来のスパイたちと肩を並べて学ぶことになるのだが、同時に
警戒もされるようになる。

 こいつはイスラエルのスパイではないかと疑われて、秘密警察から目をつけ
られたのだ。当時のカイロ大にはアフガン帰りの元ムジャヒディンの学生がう
ようよしている上に、反ムバラクの学生運動も盛んに行われていてたわけで、
いつものように騒然としていた。

 そんな中、浅川氏は学生運動に多大な貢献をして、イスラエルにも行くこと
になる。

 そんなことしてたらタダではすまんぞと思って読んでいたら、やっぱりタダ
ではすまなかった・・・もちろんそんなことになるのは浅川氏も分かっていた
はずだが、それでも動かずにはおれなかったんだろう。

 そんな人が、どういうわけか現在、全くお門違いに見える農業専門誌の編集
長になっている理由も書かれているが、いやはや、すごい人生だ。

 カイロ大学自体は中東のハーバードとも言われる学問的にも実績のある大学
だが、日本で考えられている大学の枠組みとは全く外れた教育(もちろんそれ
は大学側が意図している教育だけではなく、混乱の中で生きる能力を含む)を
受けるということは、とても得難い経験になるのは確かなようだ。もっとも。
下手すりゃ命を落とす危険もあるが、こんな学生生活もありかもしれない。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 配信が遅れました。

 出張シーズンが終わって少し落ち着くかと思いきや、積み残していた仕事に
追われております。

 4月になれば、ちょっとは落ち着くかな。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 3032部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 08:39 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://back.shohyoumaga.net/trackback/979107
トラックバック
SEARCH
[書評]のメルマガ
本の虫の出版業界人が<徹夜した本>や<繰り返し読んだ本>、さらに新聞記者、出版編集者、プロの書評家による気鋭の書評など、書評メルマガの決定版。
発行周期発行周期:月4回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000036518

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

フリーラーニング Free-LearninG For Your Extention コーチ募集(コーチングバンク) 灰谷孝 ブレインジムラーニング 無料 コーチング 東京新都心ロータリークラブ カーディーラー経営品質向上 相続・遺言なら新都心相続サポートセンター 夢ナビ 実践写真教室 フォトスクール「橋本塾」 無料 eラーニング CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC 「付加価値型」会計アウトソーシング−株式会社サンライズ・アカウンティング・インターナショナル
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>
ARCHIVES
LINKS