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[書評]のメルマガ vol.678

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■■ [書評]のメルマガ                2019.06.10.発行
■■                              vol.678
■■ mailmagazine of book reviews           [健全な社会 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<113>『空母いぶき』とミルクセーキ

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→96 ファンタジー世界

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第113回 歴史を理解するセンスを磨くためには・・・歴史との付き合い方

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<113>『空母いぶき』とミルクセーキ

 3月、スっ転んだ拍子に、左足甲にヒビが入った。ギプスを巻かれたので、
松葉杖生活を送っていた。
 ようやくに、あと1週間ほどでギプスも外せる、という4月下旬、松葉杖の
バランスを崩し、階段を転げ落ちた。
 「あちゃちゃ、こけちゃいましたよ」と、松葉杖を支えに、大丈夫な方の右
足で立ち上がろうとしたのだが、その右足に力が入らず、立ち上がれない。

 救急車を呼んでもらい、病院でレントゲン撮った結果が「折れてますね〜〜、
ポッキリと」だった。
 両足ギプスの有様となり、即刻入院。翌々日に、折れた右足の手術を受けた。

 入院当初は、自分のドジを呪い、絶望的な気分にも襲われたが、過ぎたこと
をクヨクヨしても始まらない。
 これもまた何かの縁と、入院生活をなんとか前向きに過ごすことにこれ努め
……とゆーても、結局は普段よりも若干多くの本を読み、普段見ないテレビを
よく見ていた、ってほどの入院生活だったのだが。

 おかげさまにて、テレビを通じて「令和」改元へのバカ騒ぎと、浮かれポン
チの皆様の行状も、あれこれと見ることが出来ました。
 安部チンゾー首相が、4月30日の「退位礼正殿の儀」において、退位する天
皇皇后に面と向かって、「早く死ね」と声高らかに申し上げるところも、つぶ
さに見ておりました。

 あれ、官邸としては「なかったこと」にしてるらしいが、「国民の代表」と
しての挨拶なのだから、きちんと訂正しておいた方が、後々のためにも「ええ
ンとちゃうン?」と老婆心ながら思ってしまう。
 映像は、そのまんまで後世に残るわけだし。

 入院してる間に、これまた総理アベチン絡みで、なにやらキナ臭い騒動が巻
き起こっていた。
 かわぐちかいじ原作になる『空母いぶき』が映画化され、その公開が迫る中、
主要キャストの一人で作中では「垂水首相」を演じる佐藤浩市のインタビュー
での発言が、「けしからん!」とプンスカ青筋立てて怒る人たちが大勢出現し、
おかげで佐藤浩市は、公開初日の舞台挨拶にも立てなかったらしい。

 どんな発言だったのだ? と退院後に当該の雑誌、ビッグコミックを買って
読んでみた。
 なんてことないインタビューである。
 佐藤は、映画の中で大きな決断を迫られる首相を演じるにあたって、「スト
レスに弱くて、すぐにお腹を下してしまう」という設定にしてもらった…とい
う、そのくだりが、実際に腸に持病を持つアベチンを彷彿させ、「現職総理を
揶揄している」と、ある種の人々の怒りを買い、主にネット上での攻撃にさら
されているらしいのだ。

 「すぐにお腹を下してしまう」設定は、現職のアベチンを念頭に置いたに違
いない、と思う。
 インタビュー時には、その同じ持病を持つ総理を、多少なりとも揶揄する気
持ちもあったと思う。

 しかし、である。
 いつから、この国では、現職の総理は「揶揄してはいけない」存在になった
のだ?
 アベチンは、もはやあの「偉大なる指導者将軍閣下」同様、不可侵の存在な
のか?

 この件で、つい思い出したのは、一昨年の「小学8年生」(小学館)炎上事
件だ。
 この中の連載漫画『まんがで読む人物伝』(藤波俊彦)が、「第4号」誌上
で「安倍晋三」を取り上げたところが、その描きようが「悪意に満ちている」
「作者の偏見が反映されている」と非難轟々、雑誌のツイッターが大炎上して
しまった、というもの。

 この時にも、「どんな漫画やったん?」と当該の第4号を、わざわざアマゾ
ンで取り寄せてみた。
 なるほど、この描きようは、間違いなく「悪意だ」と思った。
 悪意のある毒でアベチンを貶めながら、その少年時代から現在までを短くも
克明に描いている。
 しかし、きちんと最後まで読めば、悪意と毒をまぶされてはいるが、その悪
運の強さや、数々のスキャンダルにもめげず、厚顔で押し通すところなど、一
応はリスペクトもされているのがわかる。

 ご興味がある方は、「小学8年生・藤波俊彦・安倍晋三」と検索すれば、今
なお非難轟々のブログやツイッターやサイトが、沢山ヒットして、漫画の画像
も見られます。

 そもそも、悪意や毒があってこそ、漫画なのだ。
 これを批判する人たちの言に従えば、小学生向けの雑誌に、現職の総理大臣
を悪意でもって誹謗するような漫画は許されず、美辞麗句並べ立てて褒め称え
ねば「いけない」ようだが、ンな漫画、誰が読むのだ。
 小学生だって…というか小学生ならばこそ、ンなつまらん漫画にはソッポ向
くだろう。

 歴代総理は代々、それぞれの時代で風刺やパロディーやからかいの対象であ
り続けてきた。
 佐藤栄作は、赤瀬川原平『櫻画報』の中で、アメリカという鎖に繋がれてい
る、物欲しげな番犬のブルドッグに描かれた。
 及川正通…だっけな? 記憶が定かでないのだが、田中角栄は首相当時、パ
ロディー漫画の中で裸の下半身を露出して登場し、傍らに侍る半裸の妾に、尻
をぼりぼり掻きながら、卑猥な言葉を投げかけていた。

 中には、パロディーや風刺というよりも、単なるギャグ…が滑って下品に堕
ちたものも数あったが、人は、それを見て眉をひそめはしても、血相変えてそ
の作者を糾弾したり、ネットで…って当時ネットはなかったが、抗議に走った
りすることはなかった。

 総理大臣に限らず、権力は、江戸の昔からパロディーやギャグの対象とされ
てきたし、それができてこそ、健全な社会といえるのではないか。

 我がニッポンを含めて、今や世界中にポピュリズムの旋風が吹きまくってい
る。
 アベチンを揶揄することを許さないのも、この勢力だ。
 かつてヒットラーとナチスを熱狂的に迎え、軍国日本の進撃に狂喜していた
のもまた、ポピュリズム勢力だった。
 そんなポピュリズムの圧倒的な支持を得た権力が、次に繰り出したのが権力
に対する批判勢力の弾圧と言論封殺であり、そして、その後に何が起こったの
かを、我々は忘れてはならん、と思う。

 英国のポピュリズムは、EUからの「合意泣き離脱」に向かっているようだが、
今、これを声高に訴える指導者たちに、ミルクセーキをぶっかけることで、
「NO!」の意志を示す「ミルクセーキ運動」が、にわかに活発になっているそ
うだ。
 ミルクセーキ……なんともみっともなく、気弱で情けない「抵抗」ではある
が、間もなくある参院選挙(「ダブルかも」と言われてるが)では、我々もま
た、ミルクセーキを持って候補者の演説に臨むのも、一考かもしれない。

 ところで、映画『空母いぶき』だが、まだ見ていないのでなんともよう言わ
んが、原作からは、かなり改変されているとか。
 原作の漫画は、領有権を主張し、突如南西諸島への侵攻を開始した中国軍に
対して、外交交渉の決裂の後、首相が防衛出動を発令し、海上自衛隊で新造さ
れたばかりの空母「いぶき」を旗艦とする艦隊が、これを迎え撃つ……

 という内容なので、「9条改憲派」などには歓迎を持って迎える向きもある
らしい。
 しかし、作中の「垂水首相」、映画では佐藤浩市が演じているその首相は、
アベチンと違って、「改憲」のカの字も口にしない。
 あくまでも現行憲法の下で、専守防衛に徹して、戦いを進めようとする、そ
の姿勢は、現場の自衛官たちにも共通で、すなわちこれは、「護憲」漫画でも
あるのだ。

 かわぐちかいじは、デビュー以来、数々の作品の中で「日本と日本人」をテ
ーマとする作品を、多く手掛けてきた。
 初期のころの『血染めの紋章』や『黒い太陽』から、近年話題になった『沈
黙の艦隊』や『ジパング』に至るまで、その歴史観と政治的スタンスは、一貫
して変わることがなかった。
 『空母いぶき』は、そんなかわぐち史観と、日本及び日本人論の、集大成と
なる漫画になる、はずだと確信する。


太郎吉野(たろう・よしの)
阪神タイガースお膝元在住。右投げ右打ち。趣味は途中下車、時々寝過ごし乗
り越し、最長不倒距離は三重県名張。
ちなみに「阪神タイガース」の「阪神」は、「兵庫県阪神地方」を指します。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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96 ファンタジー世界

 朽木祥さんは追いかけている作家のひとり。
 2年ぶりの書き下ろし作品とくれば飛びついてしまうのは私だけではないは
ず。

 『月白青船山(つきしろ あおふねやま)』(岩波書店)

 予定していた海外旅行がフイになり、兄弟ふたりで鎌倉の大叔父の屋敷で過
ごすことになるのだが、まずは、時をさかのぼる1188年のプロローグ。
 瑠璃の石を白猫に預ける若者について語られる。当然、深い事情が読み取れ
る。そして時は現代の鎌倉にうつり、主税(ちから)と兄の兵吾、そして大叔
父さんの近所に住む少女、静音の3人が一夏の異世界に足を踏み入れていく。

 端正な文章で、現代とプロローグの時代をいったりきたりするのだが、ごく
自然に過去と現代がつながり、それはまるで”時”を串にすっと刺してたかの
ようにすっきりしている。

 夏休みという子どもにとっての非日常に、瑠璃の謎というミステリ的要素も
あり、謎ときの冒険物語でもある。

 君野可代子さんの装画・さし絵もすばらしく、物語舞台の大事なシーンをよ
り印象づける。特に、枝垂れ桜の絵はハッとさせられた。

 現代に書かれた王道の児童文学なのだが、朽木さんの文章は古典のような落
ち着きがあるからか、大人の読み手にとっても、読みごたえがある。これから
の夏の季節に読むのもぴったりだ。

 さて、次に紹介するのはノンフィクション絵本。

 『ドーナツのあなのはなし』
 パット・ミラー 文 ヴィンセント・X・キルシュ 絵 金原瑞人 訳
 廣済堂あかつき

 ドーナツのあなはどうしてできたのか?
 これは、ドーナツのあなを発見した人のお話なのだ。

 ドーナツはあまりにも身近なおやつなので、最初から穴があるものかと思っ
ている人の方が多いのではないだろうか。

 私もこの絵本を読んで、初めてドーナツの穴のことを知ったひとり。

 1844年、13歳だったハンソン・グレゴリーが海で働くところから話ははじま
る。彼は16歳のときには船でコックの助手をしていた。船の朝食に出るのは、
毎日同じ。パン生地をまるめて、ラードであげたもの。それはいつも、なかの
方は生のままでベトベトしていて、水夫たちにとって美味しいとはいえないし
ろものだった。そこで、ハンソンは考えたのだ……。

 絵本では、おもしろい話が好きな水夫たちがつくったドーナツ発明話もいく
つか紹介され、ドーナツのうんちくを蓄え(!?)られる。

 また、巻末にある「その後のドーナツとグレゴリー船長」もへぇと唸る逸話
が書かれていて、最後の最後まで読ませる内容となっている。

 もちろん、読んだあとはドーナツが食べたくなることも必須だ。

 最後にご紹介するのはおフランスからのユニーク絵本。

 『はなくそ だいピンチ!』
 『はなくそ ゆうかいじけん』
 マルジック&モリー さく・え ふしみみさを やく 汐文社

 「とびだせ はなくそ!」シリーズで2冊まで刊行されていて、タイトルを
読んだだけで、え、はなくそってアノはなくそ?って頭に疑問符が。
 そう、まさにその「はなくそ」絵本。

 どの人の鼻にもあるものを、ユニークにデフォルメし、擬人化されたはなく
そたちが事件を起こす。

 小さい子どもたちが特に喜んで大笑いしそうなストーリーと、おまけについ
ているのは、はなくそ指人形や、「指」の指人形など、すみずみまでニヤニヤ
してしまう。

 なにより、一度読むと、はなくその存在感がとても強くて忘れられなくなる
絵本なのだ。


(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第113回 歴史を理解するセンスを磨くためには・・・歴史との付き合い方

 改元は新しい歴史の始まり、という気持ちがふつうに暮らす日本人の率直な
気持ちであろう。先々月から始まった天皇の退位と即位とそれに伴う改元、と
いう一連の流れは、日本人にとってかつて経験したことがないほどの祝祭に彩
られた日々であったと思う。その中にどっぷりと浸かり、あるときはこの騒動
に呑み込まれ、皆と浮かれはしゃぐ。またあるときは一歩も二歩も外に出て、
この騒動を客観的に批判的に眺めている。そんな狂騒と嫌悪の2ヶ月間が過ぎ、
6月となる。どんなに盛り上がっても落ち込んでも時間は、時の刻みはあまね
くすべての存在に平等に与えられ、同じ速さで流れている。・・・・・こうし
て時が経ち、未来は今になり、今は過去になる。そして過去は歴史となってい
く。

 その歴史の見方、考え方を示す、ひとつの指標、しるべとなるような本が新
書として発刊されている。

『歴史という教養』(片山杜秀 著)(河出書房新社)(河出新書)
(2019年1月30日)

 「歴史」とはなんだろう? いつもそれを思っていた。歴史とは、単なる過
去の出来事だけではない、ということは理解できる。歴史とは、ほぼ無限に存
在しているクロニクルだけではないはずだ。それが証拠に、よく耳にし目にす
る言葉で「○○史観」、という表現がある。いろいろな考え、見方によって、
さまざまな歴史がある。むろんそれは、はるか昔の学生時代のときから理解し
ていたことではあるが、あらためて歴史における考え方の違いとはなんだろう、
と思ったのは、本書を書店で手に取ったときだった。

 本書の目次には、最初にこうある。「序章 「歴史」が足りない人は野蛮で
ある」。・・・・・なんとも挑発的なことばだ。本書の著者は、冒頭に20世紀
のドイツの哲学者テオドール・アドルノの箴言を載せている。アドルノ曰く、
“アウシュビッツ以後、詩作は野蛮である”。

 著者の片山杜秀氏は、“アウシュビッツを反芻しない脳天気な文化芸術上の
創作は、自らが野蛮人になりうる恐ろしさを、忘却し、うぬぼれているのだか
ら、それはもう「野蛮人の証明」である。”と、アドルノのこのことばを解説
した。・・・・・このあたりが本書の主題であり、著者が読者に考えてほしい
問題なのだろう。歴史を理解するには、苦しまなければならないのだ。歴史を
意識すればするほど、苦しむし、重たいし、つらい。しかしそれに耐えなけれ
ばならない。それに耐える力がない人は歴史を語る資格がない。ホロコースト
(アウシュビッツ)に目を背けていては、歴史を理解できない。徹底的に向き
合わなければ、歴史はわからないのだ。さしづめ、現在の日本ならば、「福島
第一原発」であろうか。福島第一原発に向き合わない文化芸術活動は野蛮人の
証明であろう。それはむろん文化芸術活動に留まらない。人間の活動すべてに
関わってくる。日本人なら「福島第一原発」のことを決して忘れてはいけない
のだ。歴史はそこで我々に教訓をもたらす。人類の手に負えないものに手を出
してはいけない。ところが、この国の指導者と商人たちは、性懲りもなく、教
訓を無視して原子力発電所を維持しようとしている。これを野蛮人と云わずに
なんと云うのだろうか。

 閑話休題。

 歴史を学ぶには、それに向き合うだけの体力と気力がないといけないのであ
るが、ではどのような態度で歴史に向き合えばよいのか? それが第一章の
「「温故知新主義」のすすめ」の内容となる。「温故知新」=故きを温ねて新
しきを知る。片山杜秀氏はこの「温故知新」を荻生徂徠の解釈が妥当であろう、
として論を進めている。

 歴史を学ぶ。あらゆることを知ろうとする、ということが「温故」。その上
で新しい出来事に新しい発想で対処することが「知新」である。つまり、“歴
史を学んで今を生きる力を養うこと”が大切だという。歴史を学ぶ。それを基
に今を生きる。歴史から導き出されたもので未来を予想する。進むべき道を選
ぶ。

 たぶん、道を選んでもその道は、人によって違うのであろう。歴史を学んで
もその学び方、結論によって解釈が違う。だから選んだ道が違う。そしてそれ
がこそが、その選び方が「○○史観」、あるいは歴史の「○○主義」となるの
であろう。

 第二章以下は、この歴史の解釈の違いに注目する。歴史の解釈はさまざまあ
ることを紹介している。「保守主義」「復古主義」「ロマン主義」「啓蒙主義」
「ファシスト」「反復主義」「ユートピア主義」・・・・・。

 著者はそれぞれを端的なことばで云い表す。「保守主義」=石橋を叩いて漸
進する。「啓蒙主義」=考える理性の進歩。「復古主義」=失われた過去に懸
ける情熱。「ロマン主義」=いろいろな過去を懐かしんではため息をつくぬる
い態度。「ファシスト」=今の固有性に賭けて過去も未来も忘れてしまう熱狂。
「反復主義」=古いことも新しいことも何もない。・・・等々。

 それらの歴史の見方の違い、それぞれの主義者の考えも理解した上で、著者
は「温故知新主義」を掲げる。「温故知新主義」とは、“歴史の一回一回の独
自性に学んで不断に「知新」を積み重ねていく姿勢”という。謙虚さが大切だ
し、感受性と想像力が大事なのだ。心が動かない歴史は歴史とは云えない。そ
してここで読者は、本書の最初の箴言を思い起こす。
 “アウシュビッツ以後、詩作は野蛮である”。

 最後に著者は、その「温故知新主義」を実践するための6つのヒントを紹介
している。1.歴史の道は似たもの探し・・・「既視感」が大切。2.歴史小説は
愛しても信じない・・・「似たもの」に喜んではいけない。3.「偉人」を主語
にしてはいけない・・・歴史のカメラがピンぼけする。4.ものさし変えれば意
味変わる・・・歴史は複眼でみなければいけない。5.歴史を語る汝が何者であ
るかを知れ・・・自分が歴史のなかにどういう願望を投影しているか、それを
自覚すること。6.歴史は「炭坑のカナリア」である・・・歴史を学び参照項を
増やしてリスクを回避する。・・・・・このヒントはとてもわかりやすいと思
う。大切なことは、人のことばをすぐに信じてしまわずに自分で考えることな
のだ。

 歴史から自由にはなれない。歴史に縛られている。だからと云って不自由な
のか、と云えばそうではない。歴史は運命や宿命ではない。歴史は偶然性であ
る。歴史は偶然だから自由なのだ。・・・・・本書はそう云って論を終わりに
している。

 新書版なのに、読み応えのありすぎる書物だった。

多呂さ(梅雨に入りました。今年はどんな災害がどこに発生するのでしょう)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
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 表題【読者書評参加希望】
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 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

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       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
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3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
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4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
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 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 梅雨が始まりましたー。(あ)

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