[書評]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
<< [書評]のメルマガ vol.692 | main | [書評]のメルマガ vol.694 >>
[書評]のメルマガ vol.693

■■------------------------------------------------------------------
■■ [書評]のメルマガ                2020.01.20.発行
■■                              vol.693
■■ mailmagazine of book reviews  [変わらないことを楽しめる年齢 号]
■■------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
■コンテンツ
----------------------------------------------------------------------

★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #114『歌行燈』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『なぜ彼らは、北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 今回はお休みです

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

----------------------------------------------------------------------
■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
----------------------------------------------------------------------
#114『歌行燈』

 霜月十日あまりと言うから、いまの暦で十二月の半ばあたりか。時刻は初夜。
すなわち午後八時頃。

 処は焼き蛤でお馴染みの桑名である。闇垂れ込めし停車場(ステイション)
に、今しも降り立つ二人の弥次喜多。いや、その内の一人、幾分若い六十年配
は、実際弥次喜多の一節を口ずさみながら登場し、その懐にはしっかり膝栗毛
の五編が忍ばせてあるという丁寧さ。連れの七十年配は、そんな相方と遠慮の
ない言いたい放題を交わしつつ、息も凍る夜の町、二台の人力車を仕立てて宿
へ向かうのが発端である。

 その人力とすれ違う、一人の男。三味を片手の門附芸人。眉の濃い、二十八、
九の人品(ひとがら)な兄い。

博多帯しめ、筑前絞、

  田舎の人とは思われぬ、

歩行(ある)く姿が柳町、

「ぞっとするような、うっとりするような、緊めたような、投げたような、緩
めたような、海の中に柳があったら、お月様の影の中へ、身を投げて死にたい
ような」惚れ惚れする人たらしな声で博多節を唄い棄て、くぐった暖簾がとあ
る饂飩屋。余りの寒さに耐えかねて熱燗でちと温まろうという算段。主、女将
と軽口交じりに、酒を煽ってやれ人心地と気を緩めたのも束の間、通りから
「星の凍てそうな按摩の笛が流れ」込み、「月天心の冬の町に、あたかもこれ
凩の吹き込む声」がする。

「ああ、霜に響く」門附の兄いはふと痩せた肩を抱いて、「按摩が通る……女
将さん」

「ええ、笛を吹いてですな」

「畜生、怪しからず身に染みる、堪らなく寒いものだ」


 声が寒いとは、ある種の共感覚だろうか。色が聴こえたり、音が香ったりす
る、感覚の混乱。しかし、この「歌行燈」を書いた明治の文豪、泉鏡花は、未
だそうした心理学的知見から遠い位置にある。

 門附が按摩の声に覚える寒さは、実は恐怖である。怯えである。「白眼(し
ろまなこ)の座頭の首が、月に蒼ざめて」と描写される異相とはいえ、三十路
間近のいい大人がたかが按摩になぜ震えるか。もちろんそれにはそれ相応の因
縁がある。なぜなら彼もまた、三味の糸ならぬ運命の糸が縺れ縺れて絡み合う
鏡花世界の住人なのだから。

 一方、人力に乗った弥次喜多は無事宿へ上がり、派手なお座敷の賑わいに迎
えられる。

「三味線太鼓でトトン、ジャカジャカじゃんじゃんと沸返るばかり」「土間を
隔てた隣の座敷に、凡そ十四五人の同勢で、女交りに騒いだ」「猿が鳴きなが
ら走廻るように、キャキャとする雛妓(おしゃく)の甲走った声」「洞穴から
風が抜けたように哄(どっ)と動揺(どよめ)く」

 女中の説明によれば、「丁ど霜月でな、今年度の新兵さんが入営なさります
で、その送別会じゃ言うて、彼方此方(あっちこっち)、皆、この景気でござ
ります」

 日清日露の戦争を経た明治43(1910)年の作だけに、帝国軍人さんたちの意
気軒昂な時代背景が偲ばれる。

 そこで二人も負けじと芸者を呼ぼうとするが、既に皆出払って、この好景気
にさえお茶を引いていたうら若い妓がやっと一人。三味も歌もままならない半
人前だが、たったひとつ身に叩き込まれた芸が、なんと能の舞だった。そして
その見事な踊りを見て、明かされた旅人二人の正体は……

 運命の糸に絡まれたのは、無論門附の兄いのみではなく、弥次喜多気取りの
二人と、能を舞う芸妓もまた、同じ糸に操られ、氷のような桑名の夜に引き寄
せられていた。

 鏡花独特の名調子は、地球温暖化の昨今、エアコン完備の住環境で忘れがち
な、この国の冬が元来持っていた身に染みる凍てつきの味を思い出させる。そ
れも、按摩の笛という音を通して。

 サウンドスケープという言葉がある。風景の意を持つランドスケープの、最
初の言葉をサウンド、すなわち音に替えた、これはすなわち、造語。

 泉鏡花はその絢爛たる美文で、目にも彩な情景描写に巧みだが、ここではそ
うした技もたっぷり披露しつつ、本作の主題が能の舞と謡、すなわちダンスと
ミュージックであるところから、按摩の笛という音を通して、桑名の夜のしん
しんとした冷え込みを鮮やかに描破している。

 町に響く物売りの声は、江戸から昭和の初めにかけて、日本のサウンドスケ
ープを彩った。金魚売りの呼び声、豆腐屋のらっぱ……それが1970年代にはチ
リ紙交換、最近では廃品回収。つまりは、ものを売る商売ではなく、ものを引
き取る商売が、いずれもマイクを通した無粋な声で我々の生活に押しかけて来
ているわけで、改めて日本における資本主義の爛熟など思ったりする。

 失われたサウンドスケープを偲び、泉鏡花を「聴く」、令和二年の年初め。
本年もどうぞよろしくお願いします。

泉鏡花『歌行燈・高野聖』
昭和二十五年八月十三日 発行
昭和四十二年十二月三十日 二十刷改版
昭和六十一年七月二十日 五十二刷
新潮文庫

おかじまたか佳

素人書評家&アマチュア・ミュージシャン

今年も、例年通りの年末年始。いつもと変わらないことを楽しめる年齢になっ
てきたようです。

----------------------------------------------------------------------
■「目につく本を読んでみる」/朝日山
----------------------------------------------------------------------
『なぜ彼らは、北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』
 篠原常一郎、岩田温 扶桑社

 サブタイトル「日本の教員や大学教授もハマり、拉致問題にも影響を与えた、
人々を反日に駆り立てるイデオロギーの正体!」

 書いているのは、昨年末からチュチェ思想ネタでYouTubeにデビューし、コ
ンテンツのクオリティの高さから、数日で1万を越えるチャンネル登録を確保
し、現在(1/18日)7.5万のチャンネル登録を得ているジャーナリストの篠原
常一郎氏。そして、YouTuberでもあるが、出版的には「人種差別から読み解く
大東亜戦争」とか、いかにも美味しそうな本を書いている新進気鋭の学者であ
る岩田温氏の共著である。

 何かと話題になることが多い北朝鮮。近年はミサイル実験で話題をまくこと
が多い国で、近くて遠い国だと思う人は多いだろう。しかし意外に北朝鮮は身
近にあるようだ。身近にあるのは北朝鮮のチュチェ思想(主体思想)を日本で
広めようとする、チュチェ思想研究会に所属する人たちが活躍しているからだ。
学者や教員が多いが、日本で最も一般に知られているチュチェ思想研究会メン
バーとおぼしき人を挙げれば、デビ婦人になるだろう。

 チュチェ思想とは、もともと金日成が作った思想で、「人間は自己の運命の
主人であり大衆を革命と建設の主人公としながら、民族の自主性を維持するた
めに人民は絶対的権威をもつ指導者に服従しなければならない」とする。要す
るに北朝鮮の指導者である金正恩を崇拝しろという思想なわけだ。

 北朝鮮がそういう思想で国家を支配しているのは多くの人が知っている。朝
鮮総連系の在日朝鮮人の人がチュチェ思想の支持者であっても、まぁ理解はで
きる。しかし、タイトルにある『なぜ彼らは、北朝鮮の「チュチェ思想」に従
うのか』の彼らとは、韓国で生まれ育った韓国人だったり、日本で生まれ育っ
た日本人のことをさす。

 そんな韓国人や日本人のチュチェ思想の持ち主はチュチェ思想研究会という
組織に属し、拉致問題や沖縄の基地問題、そしてアイヌ問題にも密かに介入し
てきて、韓国や日本を内部から潰そうとする。

 特に韓国はひどい。なにせ現職の大統領文在黄やソウル市長朴元淳、そして
不正のオンバレードになっている法務次官候補だった曹国などがチュチェ思想
研究会のメンバーである疑いが濃厚なのだ。(証拠も本書で提示されている)
言い換えれば北朝鮮が韓国を実質支配しているようなもの。

 だから文在黄は韓国と日本との関係が悪くなるように動いている。在韓米軍
が撤退すると言えば、文在黄はたちは本気で喜ぶだろう。なんで韓国大統領が
こんなことをやるのだろうか?....背後にチュチェ思想研究会があると言うな
ら、確かに話のつじつまは合う。

 韓国ほどではないが、日本でもチュチェ思想研究会は確実に根を下ろしてい
る。秘密裏に感動しているような団体ではないが「暗躍」していると言ってい
い。なぜならチュチェ思想研究会のメンバーは、なぜこんなトコにいるのだと
思うようなトコにいるのですね。

 拉致問題関係は北朝鮮が関わっているから、わりと納得しやすいが、沖縄の
基地問題やアイヌに関わってくるとなると多少の説明は必要だろう。

 沖縄の辺野古では、米軍基地の件で今も反対運動家が抗議の座り込みを行っ
ているが、座り込みをする人が持つ看板にはハングルで書かれているものがあ
る。韓国からも反対運動家が来ているからだが、なぜ韓国から辺野古の反対運
動に参加してくる人がいるのか?しかも日本のチュチェ思想研究会の本拠は沖
縄にあるのだ。

 アイヌ問題への介入もひどい。自分たちの都合の良いようにアイヌと日本の
歴史を改ざんし、改ざんした内容を教育する博物館まで北海道に作らせている。
いやはや、そんなことになっていたとは知らなかったよ。

 目的は当然日本の弱体化であろう。そして彼らの活動に無自覚な人は政界に
も多く、上手にからめ捕られている人も少なくないようだ。

 日本での主な活動拠点が沖縄とか北海道になるので、本州や中国四国、そし
て九州の人にはピンと来ないかも知れないが、北朝鮮の対日工作は着々と進め
られてきた。

 とはいえ反論もあると思う。確かにそうした工作が進められてきたのは事実
だろう。だがこれからもすすめられるかは疑問だ・・・確かにその通りだと思
う。しかし、これまで、そんな工作が行われてきたことを知らない人、要する
に私のような者にとっては、知らないでいいことにはならない。

 なぜなら、一見正義の顔をした悪徳に対して鈍感であるままでいるのは、害
悪だからだ。たとえば自分としてはいいことをしているつもりでも、実際には
悪に手を貸すような行為の判別くらいはできなければ、悪に利用される人にな
ってしまうから。

 マキァヴェッリは、天国に行きたければ地獄への道を熟知せよと言った。こ
の本は、地獄への道のひとつを指し示してくれていると思う。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

----------------------------------------------------------------------
■献本読者書評のコーナー(応募要項)
----------------------------------------------------------------------

 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

----------------------------------------------------------------------

 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 続いて20日号をお送りします。(あ)

======================================================================
■電子メールマガジン「[書評]のメルマガ」(毎月二回発行)
■発行部数 2992部
■発行:[書評]のメルマガ発行委員会
■掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。
■COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ご意見・御質問はこちらまで info@shohyoumaga.net
■HPアドレス http://www.shohyoumaga.net/
■このメルマガは『まぐまぐ』を利用して発行しています。
■メールマガジンIDナンバー 0000036518
■購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行って下さい。
======================================================================


 

| バックナンバー | 16:30 | comments(0) | -
コメント
コメントする









SEARCH
[書評]のメルマガ
本の虫の出版業界人が<徹夜した本>や<繰り返し読んだ本>、さらに新聞記者、出版編集者、プロの書評家による気鋭の書評など、書評メルマガの決定版。
発行周期発行周期:月4回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000036518

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

フリーラーニング Free-LearninG For Your Extention コーチ募集(コーチングバンク) 灰谷孝 ブレインジムラーニング 無料 コーチング 東京新都心ロータリークラブ カーディーラー経営品質向上 相続・遺言なら新都心相続サポートセンター 夢ナビ 実践写真教室 フォトスクール「橋本塾」 無料 eラーニング CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC 「付加価値型」会計アウトソーシング−株式会社サンライズ・アカウンティング・インターナショナル
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>
ARCHIVES
LINKS