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[書評]のメルマガ vol.694


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■■ [書評]のメルマガ                2020.02.10.発行
■■                              vol.694
■■ mailmagazine of book reviews     [思いがけないカタルシス 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→103 たべることはいきること

★「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
→<121>神戸の垂水の舞子で漫画…う、嬉しい!

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→今回はお休みです

★「人事なショヒョー〜組織とコミュニケーションを考える」/SHOW−Z
→今回はお休みです

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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103 たべることはいきること

 家族で年越しした夜、一年の中でどの食事がおいしかった?という質問をし
 ました。
 次男坊は、夏に食べた鰻やさんの鰻と昼酒。お店の雰囲気も老舗感があり、
 おいしいご飯の思い出になったことを話してくれました。
 
 折々の思い出に食卓は不可欠。
 子育てはあっという間で、一緒に暮らさなくなってから、お正月など帰省時
 の食事は私にとって大事な時間です。

『たべる たべる たべること』
 くすのきしげのり・作 小渕もも・絵 おむすび舎

 新潟の出版社おむすび舎さんの絵本は、名前のあるおむすびのように食べた
 ら(読んだら)ほっこりします。

 この絵本ではひとりの女の子が生まれて、成長して、大人になっていく――。

 流れていく時間の中での食事は、どのときも愛しく、胸があつくなりました。
 あたたかい色合いの絵に、大事な思いがおいしく優しく描かれています。

 大人が読むと、この時間がよりリアルに感じられるのではないでしょうか。
 子どもはすなおに目の前の時間を楽しんで読むでしょう。

 ぜひぜひ手にとってほしい絵本です。

 次に紹介するのは2018年ニューベリー受賞作の邦訳です。
 アメリカで毎年優れた児童文学作品に贈らる賞で、何を読んでいいかわから
 ない時は指標になるものです。

 『ハロー、ここにいるよ』
 エリン・エントラーダ・ケリー 作 武富博子 訳 評論社

 11歳の少年ヴァージルに起こった怖いできごと。
 その一日を描いた物語です。

 おとなしくて家族にも「カメ」と呼ばれてしまうヴァージル。
 彼の大事なモルモット、ガリヴァーを入れたバッグを、いじめっこチェット
 に意地悪されてしまいます。

 あっ!と声がでてしまったほど、その意地悪はヴァージルを大変なことに追
 い込み、いったいどうなるのかハラハラしながら読んでいきました。

 なんていったらいいのでしょうか。
 おとなしい少年vsいじめっこの図式は、児童文学ではよく描かれるものです
 が、2人のキャラクターはわかりやすいものではありません。
 丁寧な人物描写のおかげで、チェットに対しても一面的ないじめっこには思
 えず、考えさせられます。

 ヴァレンシアやカオリという個性的な友人も、ヴァージルの大事な仲間。
 耳の聞こえないヴァレンシアや、妹をアシスタントに霊能者として相談者の
 運勢を占うカオリも面白いキャラクターです。

 多様性が自然に描かれ、今までにない読後感がありました。

 最後にご紹介するのは、グレタさんについて書かれたものです。
 オーストラリアの森林火災、日本の台風や各地の雪不足。世界的な気候変動
 の中、グレタさんは強烈な印象をもって登場しました。 

 『グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる』
 キャメリニ著 杉田七重訳 西村書店

 本書では、グレタさんがどのような経緯で環境活動家になったのか、子ども
 が読んでわかるように、読みやすく書かれています。

 スウェーデンに暮らすグレタさんは、地球を守るためには、大人になるまで
 待たずとも、いまできることをしようとまずは毎週金曜日にストライキを起
 こします。

 両親もグレタさんのよき理解者となり、まずは家族で地球を害するような行
 動をを慎むようになります。

 身近な家族が変化し、次はもっと広く周りが変わっていくようにグレタさん
 は行動していきます。

 大きな視野をもつグレタさんに大人も追いついていかなくてはと思いました。
 まずは自分にできることを今まで以上に日々意識していきます。

  
(林さかな)
会津若松在住。「本の雑誌」新刊めったくたガイド海外文学担当。
http://1day1book.strikingly.com/

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■「漫画’70s主義〜オッサン目線な漫画の地平〜」/太郎吉野
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<121>神戸の垂水の舞子で漫画…う、嬉しい!

 むつき潤の漫画『バジーノイズ』が「面白いよ」と教えてくれたのは、村上
知彦さんだった。
 しかも、その物語の舞台が神戸、さらには垂水の舞子で、若い男女が音楽を
めぐって、なンやかンやんする話…と聞けば、もう嫌でも伊藤重夫を連想して
しまうではないか!

 とりあえず、電子版の「試し読み」でアタマのとこだけ読んでみると、絵柄
が違うのは当たり前だが、作品中に流れるその空気感というか雰囲気は、まん
ま伊藤重夫の再来!
 早速に、その時に出ていた単行本4巻までを、まとめて買ったのは、昨年10月。

 明石海峡を見晴らす、神戸は垂水の舞子。そこでマンション管理人やりなが
ら、夜は自室にこもり、一人、サンプラーとパソコンを駆使して、誰に聴かせ
るわけでもない、ただ自分の満足のために音楽を作り続ける21歳の男子・清澄
が、ひょんなことから同じマンションに住む「潮」という女性と知り合い、彼
女に引きずられる形で、外の世界に出ていき、同じく潮の画策…というかお節
介で、自分のためだけだった音楽をSNSを通じて、外に向けて発信していく。

 そもそもが、若い身空でマンションの管理人などというジジむさい仕事に就
いているのは、人と親密にかかわるのが苦手な故で、好きな音楽だけを糧に、
一人静かに暮らしたい清澄だったのだが、潮に引きずられるまま、街頭ライブ
をやったり、SNSでの発信を続けるうち、誰かに聴かせること、聞いた人の反
応を知ることの喜びを、次第に感じるようになってくる。

 さらに、潮の元同級生で音楽事務所から新人ミュージシャンの発掘とマネジ
メントを委託業務として請け負っている「航太郎」や、かつて清澄とバンドを
組んでいたベーシストの「陸」を巻き込んだユニットに発展していく。

 ユニットでの活動は順調に進み、自主製作でアルバムも完成するのだが、航
太郎とその上司のプロデューサーからメジャーデビューを持ち掛けられたあた
りから、4人の関係性に綻びが出始める。
 まずは、メジャーデビューを目指し、東京へ進出する過程で、疎外感を感じ
た潮が離れていき、さらに、航太郎の上司プロデューサーの、業界的腹グロな
思惑による画策で、清澄一人が東京に残され、神戸に戻った陸と切り離される。

 …と、それまで紆余曲折しながらも、ひとつにまとまっていた清澄、潮、陸、
航太郎はバラバラに分裂し、「どないなるんやろ…?」と不安な先行きを暗示
しながら「4巻」は終わっていた。

 が、しかし、この1月に発売された「5巻」でこの物語は完結するのだが、
そこには、思いがけないカタルシスが用意されていて、正直、わしは、泣きま
した。

 作者のむつき潤さんは、神戸芸術工科大学で漫画を専攻した26歳。
 某サイトにインタビューが掲載されていたのだが、驚いたことにこれまで音
楽は聴いたことはあるけど、実際に演奏したりバンドを組んだりという経験は
皆無だそうで、作中の、音楽に関する部分は、担当編集を通じて情報を得たり、
実際にライブハウスに足を運んで、業界関係者に話を聞いたりもしたらしいが、
その大部分は、ネットを通じて調べた情報なんだそうだ。

 「いま、『音楽を描くこと』は、イコール『SNSを描くこと』」と語ってい
て、音楽が、今や一人で「完パケ」状態のものが作れて、さらにはそれを全世
界に向けて発信できることが、とても新鮮に映ったらしい。
 そして、一人で発信できる音楽を、「商品」としてお金を出して買ってもら
うことに腐心する「大人の事情」と、ただ好きな音を極めたい、というある意
味「ピュア」な心情がぶつかったときに生じる軋轢やひずみ、といったものを、
この作品で表現したかったようだ。

 同時に、「一人で発信できる」というのは、漫画も今や同じで、ツイッター
などのSNSやウェブ上には、無料で読める漫画があふれている昨今、いかにす
れば「紙の漫画をお金を出して買って」もらえるか? と考えて出した結論が、
「おしゃれな本にする」だったそうだ。
 確かに、この単行本全5巻、どの巻もすこぶるおしゃれで、レコードジャケ
ットのような表紙に仕上がっている。

 中身もまた、すこぶるおしゃれで、コマ割りや構図もイマドキの漫画によく
みられる、これ見よがしな斜めカットのコマや、暑苦しいたち切りの多用が一
切なくて、とてもセンスを感じさせる「おしゃれ」に仕上がっている。
 この「おしゃれ」が、絵柄は全然違うのに、伊藤重夫を彷彿させる原因であ
るな、と、今気づきました、はい。

 清澄と陸が組むユニットは、「アジュール」という名で、それは、マンショ
ンの管理人を首になり、行き場を失った清澄が深夜、潮と二人で音楽を奏でて
いた「アジュール舞子」からネーミングされていた。
 明石海峡大橋の真下に位置する人工海浜の「アジュール舞子」は、わしも個
人的に思い入れのある場所で、作中の重要なシーンでここがたびたび登場する
のは、ちょっと嬉しかった。

 この「バジーノイズ」は、かなり前からあちこちで評判になっていたらしく、
発展途上の若いミュージシャンを描いているからか、「下北系漫画」と呼ぶ人
たちもいるようだが、わしは、断固として、これは「舞子系」と呼びたい!

 むつきさんには、この後も、舞子系神戸漫画をこそ描き続けて、神戸的「お
しゃれ」漫画を追及していただきたい、と今は、勝手に期待しているところな
のです。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 またまた忙しさの中で、発行がすっかり遅くなってしまいました。

 なんでこんなに忙しいんだろうか、、、と思ったら、オンラインでの仕事が
増え、オンラインでの打ち合わせが増えたせいではないかと思い当たりました。

 オンライン化で便利にはなりましたが、その分、セルフコントロールも必要
ですね。(あ)

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