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[本]のメルマガ vol.755

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■■ [本]のメルマガ                 2020.06.05.発行
■■                              vol.755
■■  mailmagazine of books     [行き詰ったときに間食をする 号]
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★PR★ 原 書 房 新刊 ★ http://harashobo.co.jp/

『まとまりがない動物たち:個性と進化の謎を解く』

ジョン・A・シヴィック著 染田屋茂・鍋倉僚介共訳
四六判 272ページ 本体2,400円+税 ISBN: 9784562057641

クールなネコもいれば愛嬌たっぷりのネコもいる。当たり前に思うけど考えて
みれば不思議。なぜ動物はみんな性格が違う? ていうか個性ってなに?
近年注目される動物の性格研究。動物の個性と進化の驚きの関係に迫る!


■CONTENTS------------------------------------------------------------

★トピックス
→ トピックスをお寄せください

★「[本]マガ★著者インタビュー」
→ 『ハンナのいない10月は』著者、相川英輔さんへのインタビューです。

★味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
→ その48「海の底でお食事を」

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 今回はお休みです。

★ホンの小さな出来事に / 原口aguni
→ 今回はお休みです。

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■トピックス
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■トピックスをお寄せください
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 出版社の皆様、あるいは出版業界の皆様より、出版関係に関わるトピックス
(イベント、セミナー、サイン会、シンポジウム、雑誌創刊、新シリーズ刊行
など)の情報を、広く募集しております。

 情報の提供は、5日号編集同人「aguni」hon@aguni.com まで。

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■「[本]マガ★著者インタビュー」:
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 今回は、『ハンナのいない10月は』(河出書房新社)の著者、相川英輔さん
へのインタビューです。

『ハンナのいない10月は』
相川英輔 著
単行本 46 ● 272ページ
ISBN:978-4-309-02886-6 ● Cコード:0093
発売日:2020.05.27

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028866/

イベント情報
https://aikawaeisuke-booktalk.peatix.com/view
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−この本が誕生したきっかけを教えて下さい。

 僕の場合、頭の中には常に1,000個くらいのアイディアの断片がふわふわと
浮遊しているのですが、ときどきそれらが連鎖していって物語の原型が生まれ
ます。「テトリス」とか「ぷよぷよ」といったパズルゲームをプレイしたこと
はありますか? ああいったゲームではパズルが1つ繋がると、どんどん連鎖
していく場面があるのですが、感覚的にはそれに近いです。
 『ハンナのいない10月は』も、ある日、大学・猫・定食屋などいくつかのキ
ーワードが次々に結びついていき、舞台となる正徳大学のキャンパスや登場人
物たちが目の前に浮かび上がってきました。彼らの行動を「記録」していき、
気がつくと物語が完成していました。

−なぜこの出版社に決まったのですか?

 僕は兼業小説家で、日中はサラリーマンとして働いています。どうしても時
間的な制約があるので、アップルシード・エージェンシーというエージェント
会社と契約を結び、営業や広報などをお願いし、僕自身はできるだけ執筆に集
中するようにしています。
 担当のエージェントさんが河出書房新社とお話ししてくださり、出版が決ま
りました。新人の自分が河出書房新社のような歴史ある出版社から刊行できる
なんて夢のようです。エージェントさんはいつも僕のことを気にかけてくださ
り、すごく助けられています。

−編集の担当の方に一言!

 本当に感謝しています!
 作品がより良くなるためのアイディアを沢山いただき、『ハンナのいない10
月は』を一緒にブラッシュアップしてくださいました。
 また、いただくメールはいつも心が温かくなるような内容で、コロナ禍の中
でも穏やかな気持ちになることができました。

−書籍を形にするまでにいちばん苦労したことは?

 物語を紡いでいく中で、行き詰ったときに間食をする癖がついてしまい、体
重が5キロも増えてしまいました(笑)。いや、笑えないです。今、懸命にダ
イエット中です。

−書籍を出版していちばんうれしかったことを教えてください。

 自分の書いた物語が本の形になるのは、小さな奇跡のようなものだと思って
います。見本本が届いたときは本当に感無量で、体が宙に浮かんでいるんじゃ
ないかと感じるほど嬉しかったです。

−これから本を出したいんだけど、という方にアドバイスを!

 僕は二十代半ばで文学賞をいただき、大手文芸誌にも載りましたが、そこか
ら単著を出すまで十年以上かかっています。その間、気持ちを切らすことなく
ずっと書き続けてきました。今回二作目を刊行でき、さらなる未来も拓けてき
ました。
 夢を叶えるためには書き続けないといけません。仕事や学生生活、日々のい
ろいろで気持ちが萎えることがあるかもしれませんが、自分を信じて書き続け
ましょう!

−最後に書籍の宣伝をどうぞ!

 『ハンナのいない10月は』は、大学を舞台としてさまざまな出来事が起きる
物語です。いくつもの要素が含まれているので、特定のジャンルに区分するこ
とはできないかもしれません。青春小説であり、ミステリであり、お仕事小説
でもあります。小さいともし火でもいいので、読んだ方の心に確かな火が灯れ
ば嬉しいです。ぜひ手にとって新しい物語を楽しんでください。

−ありがとうございました。

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 メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。
 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。
 5日号編集同人「aguni」まで gucci@honmaga.net

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■味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
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その48「海の底でお食事を」

 今回は皆様をお誘いし、贅を尽くした豪華な食堂で、お食事を共にしたいと
思っている。

でも、その場所は海の底。

ジュール・ヴェルヌ著『海底二万海里』の世界なのだ。

 物語は、一角獣のような海の怪物に船が襲われるという事件が相次いで起き
たところから始まる。ついにはアメリカ海軍の軍艦が調査に向かうことになり、
生物学者のアロナックス教授も請われて船に乗り込むことになる。軍艦は怪物
を追い詰めるのだが、教授は船から投げ出され、助手のコンセイユと共に海を
漂うことになる。やがて二人は潜水艦の上に辿り着く。そこには怪物を捕まえ
ようと海に飛び込んで潜水艦に飛び乗った銛打ちの漁師ネッドもいて、やがて
現れた物言わぬ乗組員たちによって、潜水艦の中に連れ込まれるのだ。

 三人は船室に連れていかれ、着替えの衣服をあたえられる。その間に食事が
準備されるのだが、その様子は、

「銀の覆いをかけた皿がテーブルクロスの上にきちんと並べられた」

とあり、リヴァプールのアデルフィ・ホテルかパリのグランド・ホテルにいる
ようだとある。かなり格式に沿ったテーブルセッティングだったのだろう。こ
の二つのホテルはともに、その時代の最先端のホテルだったようで、アデルフ
ィ・ホテルの建物は建て替えられたようだが、二つとも現存する。ぜひその豪
華さを映像で見てみて欲しい。

 そして、教授はMobilis in mobiliとNと銘打たれた食器に感動するのだ。
「動中の動」とか「流れ動くものの中での動体」と翻訳され、まさしく海中で
の潜水艦を表す言葉だと教授は感動している。でも、反射的にアリストテレス
の「不動の動者」(Motore immobile))を思い浮かべてしまうこの銘が、本当
に意味するものはいったい何なのだろうか?
 ノーチラス号こそが海の中の神であると、語っているのではないだろうか?

さて、いわば捕虜に近いこの三人に与えられた最初の食事は、こんな具合だ。

水。
おいしく調理された魚料理が数皿。
それと、
「ことのほかおいしい料理は、どういうものか私には言うことができなかった。
その材料が植物なのか、動物なのかさえわからなかった」という料理。

 とにかく、三人はおなか一杯食べて、寝てしまう。ところがその後、目が覚
めても何時間も放っておかれ、三人は空腹に苦しむことになる。空腹のあまり
怒り狂ったネッドは、やっとやって来たボーイに襲いかかってしまう。

 その時初めて、この潜水艦の持ち主ネモ艦長が現れ、教授を食堂に招待する
のだ。

 豪華な家具や陶器類が飾られたその部屋で、一杯に並べられたごちそうを食
べる教授。でも、やはり食べながら、その料理の材料が何かわからなくて首を
かしげる。そこで、ネモ艦長がこう説明する。

「私は、陸上動物の肉はまったく使ってないのですよ」

牛肉と思えたものは、海ガメのひれ肉
ポーク・シチュウはイルカのレバー

そして、

ナマコのつけ物
大ヒバマタという海藻からつくった砂糖
イソギンチャクのジャム
鯨の乳のクリーム

を食べるように、勧めるのだ。

 そんなことあるのかな?と思うのだけれど、精進料理のいくつかを思い浮か
べると、納得がいく気もする。茄子で作ったウナギの蒲焼もどきとか、豆腐で
作った鶏の唐揚げとか、違う材料で、あたかも肉料理のようなものを作るとい
う技術は存在する。

 けれど、このうち最後の三つはとても怪しい。

 大ヒバマタという海草は、珍しく日本人は食べないのにヨーロッパ北部では
香辛料やハーブティ等に使用されてきた海草なのだが、糖分は全然含まない。
イソギンチャクは、九州の柳川では食べる習慣があるらしい。唐揚げや味噌煮
にして食べ、その味は貝のようだという。あの触手からヴェルヌは花を連想し
たのだろうけれど、これは植物ではないのでジャムはあり得ない。最後の鯨の
乳だけれど、これは水族館などの研究によると、とても油成分が濃いもので、
乳糖もなく、おいしく飲めるものではないようだ。物語の第二部でマッコウク
ジラを殺し、その新鮮な乳を勧められて教授が飲む場面があるのだが、牛乳の
十倍もの油分が含まれているというから、きっとまずかったと思う。ただ、そ
の乳からチーズやバターを作るという記述が続くのは、ありえなくもないこと
だと思う。

 さて、その後、教授は自分の部屋で、コンセイユとネッドは一緒の船室で食
事をする習慣になったようで、ある日の教授の食事の内容が書かれている。用
意されていたのは、

最上等の青ウミガメでつくったスープ
薄くはがれるホウボウの白身
美味しく調理されたホウボウの肝
鯛の王様であるマダイの切り身

 そして教授は、この味はサケなどよりまさっていると思うのだ。

 私もだよ、教授。鯛は王様だ。

 さて、最後に艦長と会食する場面があるのは、海底への散歩の前だ。潜水服
を着て歩くこの散歩はかなり長くかかるので、たっぷり食べるように言われて
御馳走されたのは、

魚数品
おいしいナマコのさしみ
ポルフィリア・ラキニアタやラウレンティア・プリマフェティーグ
といったひじょうに食欲を高める海草料理
リキュールを数滴入れた水。

 このリキュールは、《ロドメニイ・パルメ》という名で知られている藻を、
カムチャッカ風に発酵させて作ったものだという。

 まあ、海草料理のおいしさを十分知っている身としては、納得のいく献立だ。
例えば、ワカメのごま油炒めとか、昆布の佃煮だけでも、十分おいしくご飯が
食べられる。ただ、やはり炭水化物、パンとかコメとか麦や粟でもいい、穀類
について何も書かれていないのは気にかかる。

 そして、教授が変わった味付けと感じるのは、ネモ艦長の出自がインドであ
ることが関係しているのではないかとも思うのだ。

 海から獲れるものだけを食べて、大変健康だというノーチラス号の乗組員。
教授たちも病気一つしないのだが、ネッドはパンと肉と葡萄酒がないのが辛い
と言い続けている。

 ネッドは漁師でありながら肉が大好きで、島に上陸できる機会を逃さず、パ
ンの実やサゴヤシ、マンゴーやバナナなどの果物を採り、鳥やイノシシを狩っ
て、その肉を食べて大喜びする。

 ネモ艦長は平和な海の底の支配者という風を装っているが、動物性のたんぱ
く質として南極でペンギンや海牛(ジュゴン)を大量に捕獲して食料にしたり
する。乗組員たちがネッドも一緒にマナティを狩る場面は、今の感覚では、な
かなか残虐な感じもするし、マッコウクジラを歯があるからといって海の殺略
者扱いをして、潜水艦の衝角で切り裂いて大量虐殺する場面は実に残酷だ。ど
うも、ヴェルヌはマッコウクジラをシャチと間違えたらしいのだが、いずれに
しろ凄まじい。

 そんなネモ艦長が海の生きもので何を恐れるかといえば、それはタコのよう
なのだ。巨大なタコの群れに囲まれ、スクリューにくちばしが絡んで動けなく
なり、大騒ぎでタコと戦う場面がある。船員がタコの足に絡みつけられてさら
われる場面を初めて読んだ時には怖かったのだが、大人になってから読むと、
タコは人間なんか食べない気がして、もう一つしっくりこない。

 怖ろし気に描かれている海底にすむ巨大な蟹やシャコガイも同様だ。確かに、
何かの拍子に足とか挟まれて逃げられなくなると危険だけれど、恐怖を感じる
対象ではない気がする。

 それより、なにより……。

 食欲を感じませんか?

 私たちはやはり海に囲まれ海産物を食べて生きて来た民だから、どうもいけ
ませんね。きゃあこわい、と思うより先に、タコの酢のものとか、里芋の煮物
とかにこの巨大タコの足一本あれば素敵なのにと感じてしまう。

 蟹に至っては、もう、大きければ大きいほどありがたい。クモガニのおぞま
しい姿とか書かれても、タカアシガニだあ!と喜んでしまう身にとっては、怖
くもなんともない。

 さて、そういうわけで、長くなりましたが、こんなメニュウをご用意しまし
たので、そろそろテーブルのお席にお付きください。
 
 メニュウは以下のようなものです。

 前菜  :エビのカクテル
 スープ :青海亀のコンソメ    
 サラダ :海草三種
 魚料理 :真鯛の刺身、または蟹のグラタン
 肉料理 :鯨のステーキ
 デザート:鯨のミルクのアイスクリーム
 
 あちらのテーブルには、蟹を丸々一匹蒸したものも幾つかご用意しました。
毛ガニ、花咲ガニ、タラバ、タカアシガニ。どれでもお好きなものをどうぞ。
あ、ネモ艦長が顔をしかめてますが、他にタコとワカメとシラスの酢のものや
タコのアヒージョ、そしてタコ焼きなどもご用意させていただきました。

 なんだかネモ艦長の座っているテーブルから、誰もいなくなる気もしますが、
まずは、おいしく召し上がっていただければ幸いです。

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『海底二万海里』ジュール・ヴェルヌ著 清水正和訳  福音館書店

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高山あつひこ:ライター(主に書評)。好きなものは、幻想文学と本の中に書
かれている食物。なので、幻想文学食物派と名乗っています。著書に『みちの
く怪談コンテスト傑作選 2011』『てのひら怪談庚寅』等

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■あとがき
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 なんと!というほどでもないですが、今回は無事にほぼ日付通りに配信出来
ました。(aguni原口)

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