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[書評]のメルマガ vol.705

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■■ [書評]のメルマガ                2020.07.20.発行
■■                              vol.705
■■ mailmagazine of book reviews    [さも真実であるように詭弁 号]
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■コンテンツ
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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ #120『闘牛士エル・コルドベス一九六九年の叛乱』

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『論より詭弁』香西英信 光文社新書

★「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
→ 『死にぎわに何を思う 〜日本と世界の死生観から〜』

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#120『闘牛士エル・コルドベス一九六九年の叛乱』

 山中伸弥教授のいわゆるXファクターのおかげなのか、日本のコロナによる
死者数は幸いなことに少ない。

 対して、まったく脆いのが欧米諸国。ことにイタリア、フランス、スペイン
のラテン系諸国が大変なことになっている。

 そのひとつスペインは、学生の時、スペイン語を学んでいたこともあり、何
かと気になる国なのだが、それでも近頃は大分落ち着いてきたらしく、フェイ
スブックなど見ていると、これは個人ではないと思うが、Like Spainというア
カウントから動画の投稿が時々あって、マドリー(マドリッドは英語読み。ス
ペイン語ではマドリー。アクセントはマではなく、リ)の街で散歩する人がち
らほらいたり、ガウディ設計でお馴染みサグラダ・ファミリア教会前のベンチ
にはソーシャル・ディスタンスを保ちつつポツンポツンと座っている人たちが
いたりする。徐々に外出制限が緩められていることをアピールし、またスペイ
ンに観光に来てね、と呼び掛けているんだろう。

 しかし、これらの動画の中には、見る限り闘牛がない。

 日本における大相撲に当たる、かの国の国技であり、貴重な観光資源である
はずだが、やはり未だ開催できないままなのだろう。毎年7月に行われる有名
な牛追い祭りも、中止になっている。

 闘犬があり、闘鶏もあるが、これらはいずれも犬vs.犬、鶏vs.鶏。また、同
じ闘牛でも高知県宇和島のそれは牛vs.牛。

 だが、スペインの闘牛は言うまでもなく、人vs.牛の闘いだ。

 人、すなわち闘牛士である。

 スペイン人にとって、闘牛士という存在がいかに大きいか。傑出した闘牛士
がどれほど尊敬を集める英雄であり、大スターであるかということは、頭では
わかっても実感が湧かない。同じ国技ということで、日本人にとっての横綱の
ようなものなんだろうな、と類比することで、辛うじて推測できる程度だ。

 例えば、ある年齢以上の人は、1960年代に、大鵬という伝説的な横綱がいて、
角界に君臨していたことをご記憶だろう。

 それと同じ時期、スペインにも、大鵬に匹敵する革新的なスター闘牛士がい
たのである。

 それが本書の主人公、マヌエル・ベニテス・ペレス・エル・コルドベスだ。

 本書の著者・佐伯泰英と言えば、いまでは時代小説のベストセラー作家とし
て有名だが、1970年代にはカメラマンとしてスペインに滞在し、闘牛を追いか
けて暮していた。その当時の体験と取材を元に書かれたのが、『闘牛士エル・
コルドベス一九六九年の叛乱』。第一回PLAYBOYドキュメント・ファイ
ル大賞の最優秀作品賞を受賞している。

 しかし、一体これが音楽本なのか、という疑問に、今回は先にお答えしてお
こう。

 まず、あなたは闘牛を何だと思うか?

 ショーなのか? スポーツなのか?

 どちらの要素も持ってはいるが、スペイン人にとって闘牛は、音楽のように、
「芸術」なのである。

 無慈悲な太陽と不毛の荒れ地に生きてきたことにより、スペイン人はとりわ
け「死」を強く意識する民族であると言う。

 このことの哲学的な意味を掘り下げようとするとかなり回り道をしなければ
ならないので、いまは雑だけど、そういうものなんだと理解しておいてほしい。

 そして闘牛は、まさに人と牛が命のやり取りをする。最終的にはどちらかの
死によって決着する。もちろん圧倒的に牛が殺される場合が多いのだが、それ
でも闘牛士が敗北し、死に至ることも少なくない。

 サーカスのようなショーや格闘技のようなスポーツでも、死が顔をだすこと
はある。しかしそれはあくまで不慮の「事故」であって、本来あってはならな
いものだ。

 しかし闘牛は違う。死が前提である。最後には、確実にどちらかの死体がア
リーナに横たわっている。それは人間の限りある生と、牛の限りある生とが、
一瞬交錯するドラマであり、表現なのである。

 だから、スペイン人にとって闘牛は、「死」を表現する芸術なのだ。

 もうひとつのポイントは、本書の時代背景が1960年代だということにある。

 著者は、この時代のイギリスに現れた音楽界のヒーローと対比しながら、ス
ペインに現れた闘牛界のヒーローの人生を綴っているのである。

 音楽界のヒーローとは、もちろんザ・ビートルズ。

 エル・コルドベスは、闘牛界のザ・ビートルズであり、ザ・ビートルズは音
楽界のエル・コルドベスであった。

 この視点が、本書を音楽本であり、一風変わったビートルズ本にもしている
のだ。

 単にこの両者が、たまたま同じ頃に登場し、それぞれのジャンルで活躍した
というだけではない。そんな表面的なことに留まらない、重要な共通点がふた
つある。

 ひとつは、<芸術>としての革命性だ。

 ザ・ビートルズのデビュー前夜、既に彼らの愛したロックンロールは時代遅
れの音楽だった。その全盛期は1950年代の半ばであり、数年が過ぎたイギリス
の音楽界では上品なポップスが主流となっていた。

 だから最初にザ・ビートルズがDECCAというメジャー・レーベルのオー
ディションを受けた時、担当プロデューサーは不採用にしたのである。これで
この会社は途方もないビジネス・チャンスを失ったのだが。

 しかしそれも無理からぬくらい、当時のマーケティングの常識によるなら、
ビート・グループはもう売れないはずだったのだ。

 しかし、実際にはザ・ビートルズの音楽は古いのではなく、異質だったので
ある。そこには単純なロックンロールを越えた、当時の良質なポップスに通じ
る美しいメロディや、類稀なコーラス・センスが横溢していた。

 その革命性を見抜けたかどうかが、DECCAとEMIの命運を分けた。

 一方、闘牛である。

 それがひとつの芸術である以上、闘牛士はとにかく牛を屠ればよい、という
ものではない。それでは単なる屠殺である。

 大切なのは、死に至る過程のひとつひとつだ。

 様式化された美しい技を繰り返し、逞しい牡牛との命のやり取りを積み重ね、
緊張と興奮の頂点で最後の火花を散らす。そしてどちらかの死をもって幕が下
りる。

 そのドラマが闘牛だ。

 エル・コルドベス以前の、伝統的な闘牛ドラマは「悲劇」であった。

 厳粛で、荘厳で、まっ赤な血に彩られた死のドラマであった。

 しかし、食べる物にも事欠く飢えた少年であったエル・コルドベスが、闘牛
士として身を立てようと初めてアリーナに立った時、彼にはそんな洗練された
闘い方をする余裕はなかった。彼は牡牛の前で滑稽なまでにぴょんぴょん飛び
跳ね、挑発し、その錯乱と油断を突いて勝利を勝ち取るスタイルを創造した。

 この飛び跳ねる動作は「カエル跳び」と名付けられたが、語感が示すように
それは優雅さも荘厳さもくそもなく、むしろ滑稽で道化たものであったらしい。
事実彼が「カエル跳び」をすると、闘牛場は爆笑の渦に包まれたと言う。

 エル・コルドベスは闘牛の「悲劇」を、「笑劇(ファルス)」に変えてしま
ったのだ。

 悲劇的闘牛は、洗練されている分、退屈でもあった。様式化され過ぎて、先
が予測できてしまうからだろう。

 しかしエル・コルドベスの新しい笑劇的闘牛は、予断を許さないスリルに満
ちていた。その滑稽な動きが、いつ必殺の死闘に転じるかわからない。だから、
人々は熱狂した。

 悲劇から笑劇へ、闘牛を革新したからこそ、エル・コルドベスはスターにな
った。

 もうひとつは、<ビジネス・モデル>としての革命性である。

 ザ・ビートルズはマネージャーであったブライアン・エプスタインの急死に
よって、以降、自らマネージメントすることにした。そのために、アップルと
いう会社まで設立したのである。

 これは音楽ビジネスにおいて、画期的な出来事だった。アーティストが作品
のみならず、ビジネス面まで自分で管理するというのは、今日ではさほど珍し
いことではないが、まさにその先駆となったのである。

 一方、1969年、エル・コルドベスもまた、闘牛界におけるビジネス・モデル
の変革に乗り出す。

 これが本書のタイトルにある「一九六九年の叛乱」だ。

 スペインの闘牛界は、一部のプロモーターが独占的に支配し、闘牛士は彼ら
の出演依頼を得て初めてアリーナに立つことが出来る仕組みだ。

 プロモーターはファミリー化して、排他的に興行権を持っているから、どん
なスター闘牛士でも逆らうことは許されない。干されてしまえば闘牛が出来な
いからだ。

 このプロモーターたちが、高騰する闘牛士のギャラを抑え込もうと、新たな
契約の枠組みを勝手に決め、上限を定めてしまう。当然、闘牛士側は反発する
が、根本的に雇われる側の弱さで太刀打ちできない。

 そんな中、既にスターとして大金を稼いでいたエル・コルドベスは、若手の
闘牛士と語らって、たった二人の叛乱を起こすのだ。

 彼らはプロモーターの手によらない、自主興行を始める。まさに、いまで言
うインディーズである。

 だが、正規の闘牛場はプロモーターたちが抑えているので使えない。そこで
テントによる移動式の闘牛場をつくって、旅して回るという原始的な方法を取
った。

 しかも、闘牛士は二人しかいないので、一方が怪我でもすれば終わりである。
体力的にも、精神的にも、非常に過酷なビジネス・モデルであった。

 この叛乱は、スペイン民衆に喝采をもって迎えられる。

 その背景には、当時の政治状況もあった。

 フランコ将軍率いる軍部が、強固な独裁制を敷いていたスペインでは、既得
権益に守られたプロモーターたちは権力者の隠喩であった。だから民衆は、彼
らに反抗の狼煙を上げたエル・コルドベスに声援を送ったのである。

 この叛乱の結末がどうなったか。

 それは、本書に当たってほしい。

 ここでは、ザ・ビートルズのアップルが迎えた結末に似たものだった、とだ
け書いておこう。

 何もそこまで似なくても、という気がするほどだが、スペインとイギリス、
海峡を隔てながらふたつの文化がシンクロするのも、時代というものが起こす
マジックだろう。

 そしてコロナ時代。

 音楽と闘牛は、いま同じ困難に直面している。

 人が集まることが出来ない、という考えてもみなかった困難である。

 これを解決するのは、かつてのザ・ビートルズやエル・コルドベスのような
革命児なのか。

 あるいは、もうそんな個人の才能に頼る時代ではなく、テクノロジーのよう
な集団的創造による解決を待つしかないのか。

 ちなみに、これを書いている今日(7月13日)の前日、スペイン北東部カタ
ルーニャ自治州政府は、再度外出禁止令を発令した。WHOの発表によると、
この日、全世界の新規感染者数が23万370人に上り、過去最多記録を更新した
そうだ。


佐伯泰英
『闘牛士エル・コルドベス一九六九年の叛乱』
1981年8月25日 第1刷発行
集英社

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
先日、久しぶりに電車に乗りました。作文教室の講師をやっているのですが、
3月以来の休講が解除され、ついに再開したのです。調べてみたら、3月22日
にヴォイス・トレーニングに行った時が、最後の電車。実に、3カ月半ぶりと
いうことになります。なんか、緊張しちゃいました。でも、土曜の午前中だっ
たせいか、電車は空いていて、行きはあまり怖くなかった。帰りは昼過ぎなの
で、さすがに少し混んでいて、でもラッシュには程遠く、無事に帰宅した次第
です。あ、ほんとに無事かどうかは潜伏期間の2週間が過ぎてみないとわかり
ませんが、まあ、ビビりすぎもよくないですね。治療法さえ確立されれば、イ
ンフル並みの脅威だって言いますから。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『論より詭弁』香西英信 光文社新書

 近年あまり言わなくなったとは言え、ビジネス書で「ロジカルシンキング」
とか「論理的思考」といった、考え方を指南する本は今も多い。

 この本の著者は、修辞学(レトリック)と国語科教育学の先生である。論理
的思考を身に付けたいと思う人が、この本を読むとする。前書1ページ目では
何も知らない人の教育より、(こんな本を読むような)中途半端に知っている
奴の方が教えにくいから、この本の価格は2倍3倍であって欲しいと書いてあ
る。2ページ目になると、こんなことが書いてある。

「正直言って、私は、生真面目な動機から、論理的思考について学ぼうとする
人間が好きではない。そういう人間に限って、論理的思考力の効能を固く信じ、
正しい議論を真剣になってやろうとする(ディベートの訓練をしている人など、
大抵そうだ)。

 だが、議論に世の中を変える力などありはしない。もし本当に何かを変えた
いのなら、議論などせずに、裏の根回しで多数派工作でもした方がよほど確実
であろう。実際に、本物のリアリストは、皆そうしている。世の中は、結局は
数の多い方が勝つのである。

 論理的思考力や議論の能力など、所詮は弱者の当てにならない護身術である。
強者には、そんなものは要らない。いわゆる議論のルールなど、弱者の甘え以
外の何者でもない」

 レトリックの先生が、こういうことを書いている。そして、この本のタイト
ルが「論より詭弁」・・・目次も見てみよう。

第一章    言葉で何かを表現することは詭弁である。
第二章    正しい根拠が多すぎてはいけない。
第三章    詭弁とは、自分に反対する意見のこと。
第四章    人と論は別ではない。
第五章    問いはどんなに偏っていてもかまわない。

 いや〜面白そうじゃないですか!

 で最初にくるのは、威嚇は詭弁か否か・・・たとえば、公設市場を作りたい
市議会議員の提案に地元商業組合が反対するのに「我々にも考えがある。賛成
するなら翌年の市議選でうちの組合からあなたに投票しない」というケースが
あるとする。これを「事柄の是非を突き詰めて議論せずに脅迫で自分の意見を
押し通そうとする」と批判してもあまり意味がない。論理的思考は対等の人間
関係を前提に考えると有効だが、ほとんどの場合人間関係は対等ではない。

 そもそも自分の生殺与奪を握る人を論破など出来ない。しかし説得すること
はできる。必ず出来るとは限らないが・・・すなわちレトリックとは「弱者の
あてにならない護身術」に過ぎないと言えなくもないが、そこにこそレトリッ
クの存在意義がありそうだ。

 そんなところから初めて、著者はさまざまなケースを例示しつつ詭弁につい
て語っていくのだが、論理的思考に沿っていないかのような書き方をしている
のが面白い。

 実際はレトリックの理論や実践的な使い方について、これとこれは書かない
とダメだとか、もっとレトリックを極めたい読者のことを考えて引用文献を選
んだりしつつ、慎重に目次を作っているのだと思うが、わざと自分がグタグタ
詭弁を弄しているかのように書いてあるのだ。

 しかしなぜ著者の香西先生は、そういう書き方を選択したのだろうか?どう
も人に詭弁を弄されて、嫌な思いをしたことが多かったからではないのかと思
う。というのは、あとがきにこんなくだりがある。

「私の知人で、語学が大変よくできる人がいるが、その男はいつも(もちろん
嘘だが)『外国語なんて勉強したこともない』と吹聴していた。そして、事情
を知らぬ善人が、『でも、外国語が少しでもできた方が、何かと研究に役立つ
のでは』などと忠告したりすると、間髪をいれず『勉強したことがないと言っ
たので、できないとは言っていない』と言い返すのだった」

 そんな現場を見て、
「ああ、あんなふうに性格が悪くなれたら。どんなに楽しいことだろう」と羨
ましく思っていたそうである。

 言い換えれば、読者に詭弁を弄する方に回って欲しい・・・それは詭弁を弄
する人たちのノウハウを身に着けて対抗できるようになって欲しいという願い
からではないかと勝手に想像する。たぶん著者は照れ臭くて、そう思っていて
も、決してそうは言わないだろうと、勝手な憶測をして、さも真実であるよう
に詭弁を弄してこの書評を終えるw


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■「おばちゃまの一人読書会〜中高年の本棚〜」/大友舞子
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この世の人全員の死が近しくなった今年だから身に染みて読める
『死にぎわに何を思う 〜日本と世界の死生観から〜』
(上村くにこ著 アートヴィレッジ刊)

 降って湧いたような感染症のために、暮らし方も価値観も一変した今年。
死者が1000人を超えたという報道に、これまで遠いところにあると思っていた
死がひしひしとそばに近づいていることを感じます。

 そんなときに手に取ったのがこの本。ずばり、死にぎわに人は何を思うのか
をテーマに、西洋と日本の死生観を比較する文化論を展開しています。

 著者は長年、大学でフランス文学・神話学・ジェンダー論などを専攻した研
究者。退官後は、死生学をテーマに、医学、社会学、文学など多方面から専門
家を呼んで講座を開き、市民とともに死とは何か、生きるとは何かを学ぶNP
O法人を立ち上げました。この本はその8年にわたる学びを集大成し、研究者
としての見解を述べた1冊。バラエティ豊かにソクラテスから「ブラック・ジ
ャック」までを例に引く読みやすいエッセイになっています。

 まず、「死生観とは何か」から始まるこの本。江戸時代の武士道、乃木大将
を引用しながら日本人の死生観を検証、ギリシャ神話における死の神・タナト
スを引用して死の文化について考察。次に死生学の祖、シシリー・ソンダース
とキューブラー・ロスという、それまで放置されていた死に向かう人へのケア
を作り出した人を紹介いています。

 第二次世界大戦で300万人を失った日本人の遺骨に対する考え、西欧の頭骨
を集めてアート作品にする試みの対比など日本人と西洋人の感覚の違いなど興
味深い論考が多々あり、この手の本でこんなことを言っていいのかわかりませ
んが、読んでて楽しいです。

 そして最終章では安楽死について論じています。おばちゃま、この本はメモ
を取りながら3回読んだのですが、この安楽死については、「もし、自分が」
「もし家族が」と思うとなんだか背中のあたりがゾワゾワとしてきて、なかな
か読み進められませんでした。すでにオランダなど欧米では安楽死が死ぬ選択
の1つとして認められていますが、う〜ん、どうなんでしょう? この章を読
んで飲み込めるか否かで、その人の死までの距離がわかる気がしました。

 死生学を学ぶNPOを立ち上げてしばらくして著者のイギリス人の夫は医師
の注射による終末期鎮静(セデレーション)を選んで亡くなっています。(ま
た著者自身もがん患者であることを文中で述べています。)
 夫の死をなかなか受け入れられない著者が夫とよく歩いた場所を散策してい
ると一匹の蝶が飛んできて著者の胸もとに止まり、触っても逃げなかったとい
います。

 「このとき私は夫がそばにいてくれることを確信したのです。それで心の痛
みが無くなったわけではありませんが、悲しみの色がちょっと輝いて、穏やか
に耐えられるものになりました」

 まるで恋愛映画のラストシーンのように美しい光景だと思いました。

大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・渋谷昌三 著『人を傷つける話し方、 人に喜ばれる話し方』(WAC)
 http://web-wac.co.jp/book/bunko/280

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510


 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
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 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 先日、酔っぱらって老眼鏡を壊してしまい、ちょっと不自由です。(あ)

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